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  • 特許-計時器用表示機構 図1
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  • 特許-計時器用表示機構 図4a
  • 特許-計時器用表示機構 図4b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-20
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】計時器用表示機構
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/04 20060101AFI20220107BHJP
   G04B 19/00 20060101ALI20220107BHJP
   G04B 13/02 20060101ALI20220107BHJP
   G04B 19/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G04B19/04 Z
G04B19/00 L
G04B13/02 Z
G04B19/02 Z
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021003317
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2021131380
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】20158326.7
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・グロ
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ツァウク
(72)【発明者】
【氏名】パトリス・ゴレイ
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-115197(JP,A)
【文献】特開2011-128027(JP,A)
【文献】特開2008-157947(JP,A)
【文献】特表2016-502081(JP,A)
【文献】特開2014-194416(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1945046(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第04012026(DE,A1)
【文献】特開2020-060560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイムベースによって駆動されるように構成しているカム(2)を備える計時器用表示機構(1)であって、
第1の量についての第1の表示(3)を駆動する少なくとも第1の駆動手段を備え、
前記第1の駆動手段は、軸Aのまわりを回転する駆動ラック(4)を備え、前記第1の表示(3)の駆動車(30)と直接的又は間接的に連係するように構成しており、
前記駆動ラック(4)には、歯付きセクタ(41)がある第1の部分である剛体部分(40)と、第2の部分である弾性変形可能部分(42)があり、
前記剛体部分(40)と前記弾性変形可能部分(42)の間には、偏心部品(6)を受ける溝(5)があり、
前記偏心部品(6)は、前記弾性変形可能部分(42)と連係して前記弾性変形可能部分(42)を前記剛体部分(40)から分離するように構成し、前記溝(5)の開き角αを調整可能にする
ことを特徴とする計時器用表示機構(1)。
【請求項2】
前記弾性変形可能部分(42)は、前記カム(2)の輪郭を追従するように構成しているフィーラースピンドル(43)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用表示機構(1)。
【請求項3】
前記剛体部分(40)には、前記偏心部品(6)を受けるように構成している溝(5)内へと開いているノッチ(7)がある
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計時器用表示機構(1)。
【請求項4】
前記偏心部品(6)には、前記偏心部品(6)を受けるように構成している溝(5)内へと開いているノッチ(7)内に載置される足部(60)と、前記足部に対して偏心している偏心ディスクの形態である本体(61)と、及び円筒状の頭部(62)がこの順であり、
前記本体(61)は、前記剛体部分(40)上に載置され、前記弾性変形可能部分(42)とは上から見て点接触する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の計時器用表示機構(1)。
【請求項5】
前記偏心部品(6)の前記本体(61)には、そのリムの全部又は一部にあるジャグ(63)と、及び平坦な部分(64)があり、
前記ジャグは、前記弾性変形可能部分と連係するように構成している
ことを特徴とする請求項4に記載の計時器用表示機構(1)。
【請求項6】
前記溝(5)の開き角αは、0.08~1.04°の範囲であり、
前記開き角αは、前記偏心部品(6)を用いて設定される
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の計時器用表示機構(1)。
【請求項7】
前記カム(2)は、最大半径の位置にビーク(20)があるスネールカムであり、
このビーク(20)を通過すると、前記カム(2)の輪郭を追従するように構成しているフィーラースピンドル(43)のジャンプがアクチュエートされて、前記カムの最小半径の位置に戻る
ことを特徴とする請求項6に記載の計時器用表示機構(1)。
【請求項8】
前記弾性変形可能部分の厚みは、前記剛体部分の厚みよりも大きい
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計時器用表示機構(1)。
【請求項9】
レトログレード性の表示機構である
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の計時器用表示機構(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の計時器用表示機構(1)を少なくとも1つ備える
ことを特徴とする計時器用ムーブメント。
【請求項11】
請求項10に記載の計時器用ムーブメントを備え、かつ/又は
請求項1~9のいずれか一項に記載の計時器用表示機構(1)を備える
ことを特徴とする携行型時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腕時計製造又は宝飾品の分野に関する。本発明は、特に、計時器用表示機構に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、標準的な表示機構には、表示用の針又はディスクと、情報を表示するための開口がある。この針又はディスクをピニオンや歯車などに直接リベット止めすることができる。
【0003】
表示が所定の位置に配置された後には、表示をインデクシングし、組み付け後にその位置を調整することは難しく、不可能な場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、表示の位置をその組み付けとは独立に設定することができ組み付け後も調整可能であり続けるような表示機構を提供することによって、上述の課題のすべて又は一部を改善させることである。
【0005】
また、本発明は、表示機構の特定のコンポーネントが摩耗した分を補償するような調整を常に可能にするような表示機構を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、大きさがコンパクトであり、製造が単純であり経済的な設計であるような表示機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、本発明は、タイムベースによって駆動されるように構成しているカムを備える計時器用表示機構に関する。これは、第1の量についての第1の表示を駆動する少なくとも第1の駆動手段を備え、前記第1の駆動手段は、軸Aのまわりを回転する駆動ラックを備え、前記第1の表示の駆動車と直接的又は間接的に連係するように構成しており、前記駆動ラックには、歯付きセクタがある第1の部分である剛体部分と、第2の部分である弾性変形可能部分があり、前記剛体部分と前記弾性変形可能部分の間には、偏心部品を受ける溝があり、前記偏心部品は、前記弾性変形可能部分と連係して前記弾性変形可能部分を前記剛体部分から分離するように構成している。
【0008】
本発明の他の有利な代替的実施形態は、以下の特徴を有する。
- 前記弾性変形可能部分は、前記カムの輪郭を追従するように構成しているフィーラースピンドルを備える。
- 前記剛体部分には、前記偏心部品を受けるように構成している溝内へと開いているノッチがある。
- 前記偏心部品には、前記ノッチ内に載置される足部と、前記足部に対して偏心している偏心ディスクの形態である本体と、及び円筒状の頭部がこの順であり、前記本体は、前記剛体部分上に載置され、前記弾性変形可能部分とは上から見て点接触する。
- 前記偏心部品の前記本体には、そのリムの全部又は一部にあるジャグと、及び平坦な部分があり、前記ジャグは、前記弾性変形可能部分と連係するように構成している。
- 前記溝の開き角αは、0.08~1.04°の範囲であり、前記開き角αは、前記偏心部品を用いて設定される。
- 前記カムは、最大半径の位置にビークがあるスネールカムであり、このビークを通過すると、前記フィーラースピンドルのジャンプがアクチュエートされて、前記カムの最小半径の位置に戻る。
- 前記弾性変形可能部分の厚みは、前記剛体部分の厚みよりも大きい。
- レトログレード性(逆行性)の表示機構である。
【0009】
本発明は、さらに、本発明に係る少なくとも1つの表示機構を備える計時器用ムーブメントと、及びこのような計時器用ムーブメント及び/又はこのような表示機構を備える携行型時計(例、腕時計、懐中時計)に関する。
【0010】
図面を参照しながら本発明に係る計時器用表示機構の実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の他の特徴や利点が明らかになるであろう。この例は、純粋に説明用であり、これによって限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る表示機構の斜視図を示している。
図2図2a及び2bはそれぞれ、本発明に係る表示機構を上から見た図及び下から見た図を示している。
図3】本発明に係る表示機構の正面図を示している。
図4図4a及び4bはそれぞれ、本発明に係る表示機構のラック及び偏心部品の斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1、2a、2b、3、4a及び4bを参照しながら、計時器用表示機構について説明する。
【0013】
本発明は、タイムベースによって駆動されるように構成しているカム2と、第1の量についての第1の表示3を駆動する少なくとも第1の駆動手段とを備える計時器用表示機構1に関する。前記駆動手段は、軸Aのまわりを回転する駆動ラック4を備え、この駆動ラック4は、前記第1の表示3の駆動車30と直接的又は間接的に連係するように構成している。
【0014】
本発明によると、駆動ラック4には、歯付きセクタ41がある第1の部分である剛体部分40と、第2の部分である弾性変形可能部分42があり、前記剛体部分40と前記弾性変形可能部分42の間には、回転軸Aのピボットのレベルにて偏心部品6を受ける溝5があり、この偏心部品6は、前記弾性変形可能部分42と連係して、この弾性変形可能部分42を前記剛体部分40から分離するように構成している。
【0015】
前記弾性変形可能部分42は、その自由端にて、カム2の輪郭を追従するように構成しているフィーラースピンドル43と、偏心部品6と連係するように構成しているヒール44とを備え、ラック4は、図示していない戻しばねを用いてカム2に対して拘束される。
【0016】
図4aにて観察することができるように、ラック4の剛体部分40には、溝5内へと開いているノッチ7が形成されており、このノッチ7は、偏心部品6を受け偏心部品6を所定の位置に保持するように構成している。
【0017】
図4bに示しているように、偏心部品6には、マッシュルーム状の足部60があり、この足部60の第1の部分601の直径は、第2の部分602の直径よりも大きい。この偏心部品6の足部60の第2の部分602は、ノッチ7内に載置されるように構成しており、第1の部分は、剛体部分40の上面又は下面と偏心部品6に対向するように載置される。偏心部品6は、足部60に対して偏心している偏心ディスクの形態である本体61を備え、この本体61は、ラック4の剛体部分40の上面又は下面にも対向するようにも載置され、これによって、偏心部品6がノッチ7内に挿入された後に偏心部品6を所定の位置にしっかりと保持し、第1の部分601と本体61はそれぞれ、ラック4の剛体部分40の面の1つに対向するように載置される。
【0018】
また、好ましいことに、偏心部品6には、溝65が形成されている円筒状の頭部62があり、これによって、ねじ回しのような道具を用いて回転や設定を容易にする。
【0019】
本発明の一実施形態において、偏心部品は一体化されており、単一の部品を形成する。当業者であれば、複数の部品によって構成するものを製造し、それらを組み付けることを考えることができるであろう。
【0020】
図1にて観察できるように、本体61は、剛体部分40の上面上に載置され、フィーラースピンドル43の近くにて弾性変形可能部分42と上から見て点接触している。偏心部品6の本体61には、そのリムの全部又は一部にジャグ63があり、弾性変形可能部分42と連係するように構成しており、1つのジャグから次のジャグへと移るごとに、偏心部品6の中心と弾性部分42の間の距離が大きくなる。また、本体61には、平坦な部分64があり、これによって、偏心部品6のポジショニングを容易にし、弾性変形可能部分42への応力を抑え、この平坦な部分64は、偏心部品6がノッチ7のレベルにて溝5に挿入されている間に、ヒール44に対向するように配置される。
【0021】
偏心部品6によって、溝5の開き角α、そして、黙示的に表示30の位置、を変化させて設定することが可能になり、この開き角αは、0.08~1.04°であり、弾性変形可能部分の離間に対応する偏心部品のジャグ(又は段)は、0.08°である。ノッチ7のレベルにおける溝5内の偏心部品6のポジショニング中に、この偏心部品6は予応力をかけ、偏心部品6の載置位置に対して開き角αを2°開く。このような構成は、偏心部品6の良好な保持を可能にし、偏心部品6は、50cmの高さから携行型時計が落下した後でも、その位置を維持する。
【0022】
本発明の一実施形態において、カム2は、最大半径の位置においてビーク(くちばし部)20を備えるスネールカムであり、このビーク20を通過すると、フィーラースピンドル43のジャンプがアクチュエートされて、カムの最小半径に戻る。カムのプロファイルは、完了する経路に適合するものである。上記の例は、レトログレード性の日表示専用のものである。当然、当業者の必要性に応じて、時、日付、月、年、月相の表示のような他のプロファイルを実現することができる。
【0023】
図面からわかるように、ラック4の剛体部分40は、偏心部品6の近くで機械加工され、弾性変形可能部分42と比べて厚みが小さく、これによって、偏心部品6の取り扱いを容易にする。当業者であれば、偏心部品6のレベルにボア穴を形成して、偏心部品6が剛体部分40によって囲まれるようにすることができる。
【0024】
図1~3に示しているように偏心部品6を溝5内にポジショニングするために、平坦な部分64が弾性変形可能部分42のヒール44と接触するように向きを合わせることによって、第1の段階において偏心部品6が溝5の近くに配置される。そして、操作者又はユーザーは、ガイド手段として第2の部分602を用いて偏心部品6がノッチ7内にクリップされるまで偏心部品6を押し、弾性変形可能部分42は、偏心部品6に力を与え、ノッチ7内の所定の位置に偏心部品6を保持する。
【0025】
そして、この機構は、ブリッジ又は計時器用ムーブメントのプレート上に取り付けられ、必要に応じて第1の表示3の設定を行うことができる。操作者が表示3を変えなければならない場合、操作者は、ねじ回しを用いて頭部62を介して偏心部品6を回転させ、ジャグ63は、細かい設定及び操作者に優れた知覚を提供することを可能にする。操作者が偏心部品6を回転させると、軸Aに対して動かすことによって本体61が弾性変形可能部分42に作用し、溝5の開き角αが大きくなり、このことには、駆動車30の位置を変え、究極的には表示3の位置を変える効果がある。
【0026】
位置が設定された後に、操作者は偏心部品6をその位置のままにし、ジャグ63及びヒール44は、偏心部品6をその位置に保持することを可能にする。
【0027】
上述の実施形態において、ラックと偏心部品は、金属又は金属合金によって作られているが、ケイ素、セラミックス、複合材料などによっても同様に良好に作ることができる。
【0028】
本発明によると、表示機構はレトログレード性(逆行性)の表示である。
【0029】
本発明は、少なくともこのような表示機構1を備える計時器用ムーブメントに関する。
【0030】
本発明は、さらに、このような計時器用ムーブメントを備え、かつ/又は少なくともこのような表示機構1を備える、携行型時計に関する。
【0031】
本発明のこれらの異なる態様のおかげで、容易に調整可能であり高速な表示機構をその組み付けとは独立に提供することができる。
【0032】
当然、本発明は、図示している例に限定されず、当業者にとって自明な様々な代替形態及び変形形態にも適合するものである。
【符号の説明】
【0033】
1 計時器用表示機構
2 カム
3 第1の表示
4 駆動ラック
5 溝
6 偏心部品
7 ノッチ
20 ビーク
30 駆動車
40 剛体部分
41 歯付きセクタ
42 弾性変形可能部分
43 フィーラースピンドル
60 足部
61 本体
62 頭部
63 ジャグ
64 平坦な部分
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b