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  • 特許-電池パックの設置構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】電池パックの設置構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20220107BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20220107BHJP
   H01M 50/30 20210101ALI20220107BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M50/20
H01M50/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017138252
(22)【出願日】2017-07-14
(65)【公開番号】P2019018679
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】ルー ウェン レオン
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-177943(JP,A)
【文献】特開2002-095142(JP,A)
【文献】国際公開第2015/019742(WO,A1)
【文献】特開2005-153594(JP,A)
【文献】特開2008-174181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
H01M 50/20
H01M 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネルの上面側に配設され、ケースの内部に複数の電池セルが配された電池パックと、
一端が前記電池パックの前記ケースの内部に連通し、他端が前記フロアパネルの開口穴を貫通して前記フロアパネルの下面側に開口する排気管とからなる電池パックの設置構造において、
前記ケースを前記フロアパネルの上面側に固定する固定ブラケットを備え、
前記固定ブラケットは、前記ケースから前記フロアパネルの前記開口穴に向けて延びて配され、前記開口穴を挟んで前記ケースの反対側に端部が位置し、前記フロアパネルに固定される水平面に対して上下方向に延びる縦面を有し、
前記縦面が、前記ケースから前記フロアパネルの前記開口穴に向けて延びて配され、前記開口穴を挟んで前記ケースの反対側に端部が位置する
ことを特徴とする電池パックの設置構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックの設置構造において、
前記固定ブラケットは、
前記開口穴を挟んで前記ケースの反対側で前記フロアパネルに固定されている
ことを特徴とする電池パックの設置構造。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2に記載の電池パックの設置構造において、
前記固定ブラケットは、
前記ケース側から延びて、前記フロアパネルの前記開口穴の側部にそれぞれ配されている
ことを特徴とする電池パックの設置構造。
【請求項4】
車両のフロアパネルの上面側に配設され、ケースの内部に複数の電池セルが配された電池パックと、
一端が前記電池パックの前記ケースの内部に連通し、他端が前記フロアパネルの開口穴を貫通して前記フロアパネルの下面側に開口する排気管とからなる電池パックの設置構造において、
前記ケースを前記フロアパネルの上面側に固定する固定ブラケットを備え、
前記固定ブラケットは、
前記ケースから前記フロアパネルの前記開口穴に向けて延びて配され、前記開口穴を挟んで前記ケースの反対側に端部が位置し、
前記固定ブラケットは、
前記ケース側から延びて、前記フロアパネルの前記開口穴を覆うように配され、前記開口穴に対応して貫通穴が形成されている
ことを特徴とする電池パックの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックの設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
環境へ排出される排気ガスを削減するため、エンジン及びモータを駆動源として備え、エンジンもしくはモータのうち少なくとも一方の出力により駆動するハイブリッド電気自動車や、モータの出力により駆動する電気自動車が種々開発されている。ハイブリッド電気自動車や電気自動車は、モータの駆動により動力を得ているため、電源となる電池セルを搭載している。
【0003】
電気自動車では、限られたスペースに多くの電池セルを搭載する必要があるため、多数の電池セルがケースに積層されて、もしくは、複数の電池セルがモジュール化されて多数のモジュールがケースに収容されて電池パックが構成されている。そして、電池パックは、温度調整を有利にするため、車室内(フロアの上面)に設けられることがある。
【0004】
電池パックは、電池セルへの異物の混入等により、また、金属析出等により、短絡等が生じる虞がある。電池セルに短絡等が生じると、電池セルから電池パック内にガスが排出される虞があるのが現状である。このため、車室内に配設される電池パックには、電池パック内のガスを車室外(フロアの下側)に排出する排気管が設けられた電池パックが従来から提案されている(特許文献1)。
【0005】
特許文献1に記載された技術では、保護カバーにより排気管の排出口の周囲に空間を形成し、排気管の排気口の目詰まりを防止している。このため、電池パックの搭載性を向上させて排気管の排気口の目詰まりを防止することができる。
【0006】
しかし、従来から提案されている技術では、衝突等によりフロアパネルが変形した場合、フロアパネルにより排気管が押し潰されたり、フロアパネルの変形に応じて排気管が変位し、電池パックとの接続部が外れて排気管が脱落したりする虞があった。排気管が押し潰されたり、排気管が脱落したりすると、車室内に電池パック内のガスが漏れる虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-19379号公報
【発明の概要】
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、車室内に電池パックが搭載された車両において、フロアパネルが変形しても排気管が変形したり変位したりすることがない電池パックの設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の電池パックの設置構造は、車両のフロアパネルの上面側に配設され、ケースの内部に複数の電池セルが配された電池パックと、一端が前記電池パックの前記ケースの内部に連通し、他端が前記フロアパネルの開口穴を貫通して前記フロアパネルの下面側に開口する排気管とからなる電池パックの設置構造において、前記ケースを前記フロアパネルの上面側に固定する固定ブラケットを備え、前記固定ブラケットは、前記ケースから前記フロアパネルの前記開口穴に向けて延びて配され、前記開口穴を挟んで前記ケースの反対側に端部が位置し、前記フロアパネルに固定される水平面に対して上下方向に延びる縦面を有し、前記縦面が、前記ケースから前記フロアパネルの前記開口穴に向けて延びて配され、前記開口穴を挟んで前記ケースの反対側に端部が位置することを特徴とする電池パックの設置構造にある。
【0010】
請求項1に係る本発明では、固定ブラケットが、ケースからフロアパネルの開口穴に向けて延びて配され、固定ブラケットは、開口穴を挟んでケースの反対側に端部が位置するので、排気管からケースに向かう方向の入力があった時に(例えば、側面衝突時や後突時に)フロアパネルが変形した場合、固定ブラケットの端部で、開口穴の部位のフロアパネルの変形が阻止され、排気管が変形したり、排気管に変位が生じたりすることがない。
【0011】
このため、車両のフロアパネルの上側(車室内、荷室内)に電池パックが搭載された車両において、フロアパネルが変形しても排気管が変形したり変位したりすることがない電池パックの設置構造とすることが可能になる。これにより、排気管からケースに向かう方向に入力があった時に(例えば、側面衝突時や後突時に)、フロアパネルが変形しても排気管が潰れたり脱落したりすることがなくなり、車室内に電池パック内のガスが漏れることがなくなる。
【0012】
そして、請求項2に係る本発明の電池パックの設置構造は、請求項1に記載の電池パックの設置構造において、前記固定ブラケットは、前記開口穴を挟んで前記ケースの反対側で前記フロアパネルに固定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る本発明では、固定ブラケットは、開口穴を挟んでケースの反対側で前記フロアパネルに固定されているので、フロアパネルが変形した場合、固定ブラケットのフロアパネルへの固定部で開口穴の部位のフロアパネルの変形が阻止される。
【0014】
また、請求項3に係る本発明の電池パックの設置構造は、請求項1もしくは請求項2に記載の電池パックの設置構造において、前記固定ブラケットは、前記ケース側から延びて、前記フロアパネルの前記開口穴の側部にそれぞれ配されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る本発明では、固定ブラケットは、ケース側から延びて、フロアパネルの開口穴の側部にそれぞれ配されているので、少ない面積の固定ブラケットでフロアパネルの変形を阻止することができる。
【0016】
また、請求項4に係る本発明の電池パックの設置構造は、車両のフロアパネルの上面側に配設され、ケースの内部に複数の電池セルが配された電池パックと、一端が前記電池パックの前記ケースの内部に連通し、他端が前記フロアパネルの開口穴を貫通して前記フロアパネルの下面側に開口する排気管とからなる電池パックの設置構造において、前記ケースを前記フロアパネルの上面側に固定する固定ブラケットを備え、前記固定ブラケットは、前記ケースから前記フロアパネルの前記開口穴に向けて延びて配され、前記開口穴を挟んで前記ケースの反対側に端部が位置し、前記固定ブラケットは、前記ケース側から延びて、前記フロアパネルの前記開口穴を覆うように配され、前記開口穴に対応して貫通穴が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る本発明では、固定ブラケットは、ケース側から延びて、フロアパネルの開口穴を覆うように配され、開口穴に対応して貫通穴が形成されているので、排気管が貫通穴で支えられ、排気管が支えられる固定ブラケットでフロアパネルの変形を阻止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電池パックの設置構造は、車室内に電池パックが搭載された車両において、排気管からケースに向かう方向の入力によりフロアパネルが変形しても排気管の変形や変位を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例に係る設置構造により設置された電池パックを備えた車両の概略側面図である。
図2】本発明の第1実施例に係る設置構造を説明する電池パックの設置部位の平面構成図である。
図3図2中のIII-III線矢視図である。
図4】側面衝突時の状況を説明する概略構成図である。
図5】排気経路が異なる電池パックの設置部位の概略構成図である。
図6】本発明の第2実施例に係る設置構造を説明する電池パックの設置部位の概略構成図である。
図7図6中のVII-VII線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には本発明の実施例に係る設置構造により設置された電池パックを備えた車両の側面視の状況、図2には本発明の第1実施例に係る設置構造を説明する電池パックの設置部位の平面視の概略状況、図3には図2中のIII-III線矢視(車両の前側から見た断面)の状況を示してある。また、図4には車両の左側側部からの側面衝突時にフロアパネルに入力があった場合の状況(図2に対応)を示してある。
【0021】
図1に示すように、車両1の車室2の床面にフロアパネル3が配され、シート4の下側のフロアパネル3の上面側(上面)には電池パック5が固定(配設)されている。電池パック5は、右固定ブラケット6、左固定ブラケット7(固定ブラケット)がフロアパネル3に固定されることで、フロアパネル3の上面に固定されている。
【0022】
電池パック5は、ケース8の内部に多数の電池セルが配されて構成されている。例えば、電池パック5は、複数個の電池セルがモジュール化されて電池モジュールとされ、複数の電池モジュールがケース8に収容されて構成されている。
【0023】
電池パック5には、ケース8の内部のガスを車室2の外に排気するための排気管9が備えられている。排気管9は、一端が電池パック5のケース8の左側側部から内部に連通し、他端がフロアパネル3の開口穴を貫通してフロアパネル3の下面側(下側)に開口している。
【0024】
図2図3に示すように、排気管9は、一端9aが電池パック5のケース8の左側側部に設けられた排ガス口11に接続されてケース8の内部に連通している。フロアパネル3には開口穴12が形成され、排気管9はゴムプラグ13を介して開口穴12を貫通し、排気管9の他端9bがフロアパネル3の下側に開口している。
【0025】
右固定ブラケット6はL字型のブラケットで構成され、ケース8の壁面とフロアパネル3の上面とに亘り配されている。右固定ブラケット6は、ケース8の右側の壁面に縦面が接合され、ボルト14により水平面がフロアパネル3の上面に固定されている。
【0026】
固定ブラケットとしての左固定ブラケット7は、L字型のブラケットで構成され、ケース8の左側の壁面とフロアパネル3の上面とに亘り配されている。即ち、ケース8の左側の壁面に縦面7aが接合され、ケース8側からフロアパネル3の開口穴12に向けて延びて水平面7bが配され、開口穴12を挟んでケース8の反対側に水平面7bの端部15が位置している。
【0027】
左固定ブラケット7は、ケース8側から延びて、フロアパネル3の開口穴12の前後部にそれぞれ配されている。つまり、左固定ブラケット7は、フロアパネル3の開口穴12を挟んで、車両の前後方向(図2中上下方向)に一対備えられている。
【0028】
左固定ブラケット7の水平面7bの端部15のケース8寄りの部位は、ボルト16によりフロアパネル3に固定されている。つまり、左固定ブラケット7の水平面7bは、開口穴12を挟んでケース8の反対側でフロアパネル3に固定されている。
【0029】
上記構成の電池パックの設置構造は、万一、電池パック5のケース8内にガスが排出された場合、ケース8内のガスは排気管9からフロアパネル3の下側に排出される。このため、ケース8内のガスが車室2に入り込むことが防止される。
【0030】
そして、左固定ブラケット7が、ケース8側からフロアパネル3の開口穴12に向けて延びて配され(車両の左側に延びて配され)、開口穴12を挟んでケース8の反対側に端部15が位置し、端部15のケース8寄りの部位がボルト16によりフロアパネル3に固定されているので、ボルト16の位置よりもケース8寄り(端部15の位置よりもケース8寄り)の領域のフロアパネル3の剛性が確保される。
【0031】
このため、排気管9からケースに向かう方向の入力により、即ち、車両の左側からの側面衝突等により、フロアパネル3が変形した場合、左固定ブラケット7のボルト16の位置で、即ち、フロアパネル3の固定部で(端部15の位置で)、開口穴12の部位のフロアパネル3(端部15の位置よりもケース8寄りの領域)の変形が阻止され、排気管9が変形したり、排気管9に変位が生じたりすることがない。
【0032】
つまり、上記構成の電池パックの設置構造では、ボルト16の位置よりもケース8寄り(端部15の位置よりもケース8寄り)の領域のフロアパネル3の剛性が確保されているので、図4に示すように、排気管9からケースに向かう方向の入力により、即ち、車両の左側からの側面衝突等により、車両の左側からの入力(図中矢印で示す)があっても、フロアパネル3の変形は、ボルト16の位置よりもケース8とは反対側寄り(端部15の位置よりもケース8とは反対側)だけとなる。
【0033】
従って、車室2内に電池パック5が搭載された車両1において、車両の左側からの側面衝突等による入力(図中矢印で示す)によりフロアパネル3が変形しても、排気管9が変形したり変位したりすることがない。これにより、車両の左側からの側面衝突等によりフロアパネル3が変形しても排気管9が潰れたり脱落したりすることがなくなり、車室2内に電池パック5のケース8内のガスが漏れることがなくなる。
【0034】
左固定ブラケット7は、ケース8側から延びて、フロアパネル3の開口穴12の側部にそれぞれ配されているので、少ない面積の左固定ブラケット7(水平面7b)でフロアパネル3の変形を阻止することができる。
【0035】
図1から図3に示した実施例では、左固定ブラケット7を開口穴12の前後にそれぞれ配した構成となっているが、一方側だけに左固定ブラケット7を配することも可能である。この場合、開口穴12にできるだけ近づけて水平面7bを配置することが好ましい。
【0036】
また、図1から図3に示した実施例では、排気管9の一端9aをケース8の左側側部に接続した例を挙げて説明したが、電池セルの並び方向等によりガスが抜けやすい部分(例えば、右側部、前後の側部)に接続することが可能である。例えば、図5に示すように、排気管9の一端9aをケース8の後側の側部に接続することも可能である。
【0037】
図6図7に基づいて本発明の第2実施例を説明する。
【0038】
図6には本発明の第2実施例に係る設置構造を説明する電池パックの設置部位の概略状況、図7には図6中のVII-VII線矢の状況を示してある。尚、図1から図5に示した部材と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
【0039】
図6図7に示した第2実施例は、第1実施例の設置構造で備えられた一対の左固定ブラケット7に代えて、一つの左固定ブラケット21を備えた構成となっている。
【0040】
図6図7に示すように、固定ブラケットとしての左固定ブラケット21は、L字型の一つのブラケットで構成され、ケース8の壁面とフロアパネル3の上面とに亘り配されている。即ち、ケース8の左側の壁面に縦面21aが接合され、ケース8側からフロアパネル3の開口穴12に向けて延びて開口穴12を覆うように水平面21bが配されている。
【0041】
左固定ブラケット21は、開口穴12を挟んでケース8の反対側に水平面21bの端部22が位置し、水平面21bには、フロアパネル3の開口穴12に対応して貫通穴23が形成されている。排気管9はゴムプラグ24を介して開口穴12、貫通穴23を貫通し、排気管9の他端9bがフロアパネル3の下側に開口している。
【0042】
左固定ブラケット21の水平面21bの端部22のケース8寄りの部位は、ボルト25によりフロアパネル3に固定されている。つまり、左固定ブラケット21の水平面21bは、開口穴12を挟んでケース8の反対側でフロアパネル3に固定されている。
【0043】
上記構成の電池パックの設置構造は、第1実施例と同様に、左固定ブラケット21が、ケース8側からフロアパネル3の開口穴12に向けて延びて配され(車両の左側に延びて配され)、開口穴12を挟んでケース8の反対側に端部22が位置し、端部22のケース8寄りの部位がボルト25によりフロアパネル3に固定されているので、ボルト25の位置よりもケース8寄り(端部22の位置よりもケース8寄り)の領域のフロアパネル3の剛性が確保される。
【0044】
このため、排気管9からケースに向かう方向の入力により、即ち、車両の左側からの側面衝突等によりフロアパネル3が変形した場合、左固定ブラケット21のボルト25の位置で、即ち、フロアパネルへ3の固定部で(端部22の位置で)、開口穴12の部位のフロアパネル3(端部22の位置よりもケース8寄りの領域)の変形が阻止され、排気管9が変形したり、排気管9に変位が生じたりすることがない。
【0045】
つまり、上記構成の電池パックの設置構造では、ボルト25の位置よりもケース8寄り(端部22の位置よりもケース8寄り)の領域のフロアパネル3が水平面21bで覆われて剛性が確保されているので、排気管9からケースに向かう方向の入力により、即ち、車両の左側からの側面衝突等により車両の左側から入力があっても、フロアパネル3の変形は、ボルト25の位置よりもケース8とは反対側寄り(端部22の位置よりもケース8とは反対側)だけとなる。
【0046】
即ち、水平面21bで覆われた部位のフロアパネル3には変形が生じない。しかも、左固定ブラケット21の水平面21bには、開口穴12に対応して貫通穴23が形成され、排気管9はゴムプラグ24を介して開口穴12、貫通穴23を貫通している。このため、排気管9が水平面21bの貫通穴23で支えられ、排気管9が支えられる左固定ブラケット21でフロアパネル3の変形を阻止することができる。
【0047】
従って、車室2内に電池パック5が搭載された車両1において、排気管9からケースに向かう方向の入力により、即ち、車両の左側からの側面衝突等による車両の左側から入力によりフロアパネル3が変形しても、排気管9の変形や変位を確実に抑制することができる。これにより、排気管9からケースに向かう方向の入力により、即ち、車両の左側からの側面衝突等によりフロアパネル3が変形しても排気管9が潰れたり脱落したりすることがなくなり、車室2内に電池パック5のケース8内のガスが漏れることがなくなる。
【0048】
上述した実施例では、排気管9がケース8の左側のフロアパネル3を貫通する構成のブラケット(左固定ブラケット7、21)を例に挙げて説明したが、排気管9がフロアパネル3を貫通する側に応じて、ケース8の前側、ケース8の後側にブラケットを設け、本発明の構成とすることも可能である。
【0049】
例えば、車両の後側の荷室のフロアパネルの上側に電池パックが搭載された車両において、排気管がケースの後側のフロアパネルを貫通する構成のブラケットとして適用した場合、ケースの車両の後側に本発明のブラケットを設けることで、後突時の入力に対して排気管が配された部位を、変形が阻止された領域とすることができる。
【0050】
上述した電池パック5の設置構造は、車室2内に電池パック5が搭載された車両において、排気管9からケースに向かう方向の入力により、即ち、車両の左側からの側面衝突等の入力があってフロアパネル3が変形しても、排気管9が変形したり変位したりすることをなくすことが可能になる。つまり、衝突等の入力があってフロアパネル3が変形しても、排気管9が変形したり変位したりすることをなくすことが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、電池パックの設置構造の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 車両
2 車室
3 フロアパネル
4 シート
5 電池パック
6 右固定ブラケット
7、21 左固定ブラケット
8 ケース
9 排気管
11 排ガス口
12 開口穴
13、24 ゴムプラグ
14、16、25 ボルト
15、22 端部
23 貫通穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7