(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】パネルゲート
(51)【国際特許分類】
E06B 3/48 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
E06B3/48
(21)【出願番号】P 2017170851
(22)【出願日】2017-09-06
【審査請求日】2020-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】505061447
【氏名又は名称】株式会社アルマックス
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 博信
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】実公昭09-011992(JP,Y1)
【文献】特開昭54-121537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の縦桟と、
隣接する前記縦桟を接近離反可能に接続するリンク機構と、
隣接する前記縦桟の間に配設されて前記リンク機構の前面を覆うパネル構造と、
を備え、
前記パネル構造は、複数のパネルを折り畳み可能に連結した蛇腹状の連結パネルと、前記連結パネルの両端部と前記縦桟とを固定する固定部と、前記連結パネルの折り畳みをガイドするために伸縮可能に構成された伸縮機構と、を備え
、
前記リンク機構および前記伸縮機構は、前記連結パネルの裏面側にのみ設けられている、パネルゲート。
【請求項2】
前記連結パネルは、山部と谷部とが交互に形成されており、前記両端部付近と前記谷部付近とが前記伸縮機構に支持されていることを特徴とする、請求項1記載のパネルゲート。
【請求項3】
前記伸縮機構は、少なくとも前記連結パネルの上下2箇所に設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載のパネルゲート。
【請求項4】
前記伸縮機構は、複数の傾斜リンクを回動可能に交差させて構成されており、前記複数の傾斜リンクの交差箇所において前記連結パネルを支持していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のパネルゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工事現場の出入り口などに開閉可能に設けられる、折り畳み式のパネルゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のパネルゲートは、例えば特許文献1に記載されているように、複数の縦桟を備えており、隣り合う縦桟の間に対となる2枚のパネルを備えている。対となる2枚のパネルはヒンジ結合されており、縦桟を接近させることで2枚のパネルを重ねて折り畳み可能となっている。
【0003】
また、ヒンジ結合された対となるパネルは、平面からみて直線状になるまで展張せず、少し折った状態、つまり平面から見て外方に膨らんだ状態に組み付けられる。これにより対となるパネルに折癖がついた状態となり、パネルゲートを折り畳む際に、パネルが折り畳みたい方向と逆に折れ曲がることがなく、折癖に従って円滑に折り畳むことができるようになっている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したような従来のパネルゲートでは、パネルの横幅を「縦桟の間隔の1/2」よりも大きく設定する必要がある。このため、パネルゲートを折り畳んだときに、パネルの横幅の分だけパネルが突出することになる。すなわち「縦桟の間隔の1/2」よりも大きく前方にパネルが突出することになる。パネルが前方に大きく突出すると、その分だけパネルゲートが前重心となるため、パネルゲートが倒れやすく不安定になるおそれがあった。
【0006】
また、こうしたパネルゲートを道路に面した出入り口に設ける場合、折り畳んだパネルが道路側に突出しないように配置する必要がある。よって、パネルが前方に大きく突出する場合、道路側に寄せてパネルゲートを配置することができず、言い換えると、敷地内にオフセットしてパネルゲートを配置しなければならないため、敷地内の作業スペースが狭くなってしまうという問題があった。
【0007】
なお、縦桟の間隔を狭めればパネルの横幅が狭くなるのでパネルの突出量を減らすことができる。しかしながら、縦桟の間隔を狭めるためには縦桟の本数を増やさなければならないため、部品点数が増加して製造コストが上昇する。また、折り畳んだときの横幅が増加するため、設置スペースの制限ともなる。
【0008】
また、対となる2枚のパネルが直線状になるまでパネルゲートを展開できるようにすれば、パネルゲートを展開したときの最大幅を維持しつつパネルの横幅を小さくできるので、わずかながらパネルの突出量を減らすことができる。しかしながら、パネルが直線状になるまで展張すると、パネルゲートを円滑に折り畳めない可能性がある。
【0009】
そこで、本発明は、パネルゲートを折り畳んだときのパネルの突出量を小さくすることができ、かつ、パネルゲートを折り畳む動作も円滑に行うことができるパネルゲートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
請求項1記載の発明は、複数の縦桟と、隣接する前記縦桟を接近離反可能に接続するリンク機構と、隣接する前記縦桟の間に配設されて前記リンク機構の前面を覆うパネル構造と、を備え、前記パネル構造は、複数のパネルを折り畳み可能に連結した蛇腹状の連結パネルと、前記連結パネルの両端部と前記縦桟とを固定する固定部と、前記連結パネルの折り畳みをガイドするために伸縮可能に構成された伸縮機構と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記連結パネルは、山部と谷部とが交互に形成されており、前記両端部付近と前記谷部付近とが前記伸縮機構に支持されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1または2に記載の発明の特徴点に加え、前記伸縮機構は、少なくとも前記連結パネルの上下2箇所に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1~3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記伸縮機構は、複数の傾斜リンクを回動可能に交差させて構成されており、前記複数の傾斜リンクの交差箇所において前記連結パネルを支持していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、隣接する縦桟の間に配設されてリンク機構の前面を覆うパネル構造を備え、このパネル構造は、複数のパネルを折り畳み可能に連結した蛇腹状の連結パネルを備える。このような構成によれば、複数の縦桟の間にそれぞれ蛇腹状の連結パネルが設けられているため、縦桟の間に対となる2枚のパネルを設ける従来の構造と比較して、個々のパネルの横幅を小さくすることができる。すなわち、パネルゲートを折り畳んだときのパネルの突出量を小さくすることができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、連結パネルの折り畳みをガイドするために伸縮可能に構成された伸縮機構を備え、連結パネルは、両端部付近と谷部付近とが伸縮機構に支持されている。このような構成によれば、パネルゲートを折り畳むときに蛇腹状の連結パネルが前後に膨らんでしまうことが防止される。よって、パネルゲートを折り畳む操作を円滑に行うことができる。
【0016】
しかも、縦桟を接近離反可能に接続するリンク機構とは別に伸縮機構を備えているため、縦桟やリンク機構の配設ピッチとパネルの配設ピッチとを合致させる必要がない。よって、パネルの枚数や配設ピッチを自由に設定することができる。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、伸縮機構は、少なくとも連結パネルの上下2箇所に設けられている。このような構成によれば、連結パネルの高さが高い場合でも、連結パネルの全高に合わせて伸縮機構を設ける必要がなく、少なくとも上下2箇所に伸縮機構を設ければよい。すなわち、小さな伸縮機構で効率的に連結パネルの折り畳みをガイドすることができる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、伸縮機構は、複数の傾斜リンクを回動可能に交差させて構成されており、複数の傾斜リンクの交差箇所において連結パネルを支持している。このような構成によれば、伸縮機構を伸縮させて連結パネルを展開または折り畳むときに、連結パネルを支持している箇所のピッチが均等に保たれるので、山部や谷部の角度に偏りが生じず、連結パネルを円滑に折り畳むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】パネルゲートの(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図である。
【
図2】A部拡大図(連結パネルを簡略表示した図)である。
【
図3】縦桟間に取り付けたパネル構造を背面側から見た図である。
【
図4】展開したパネル構造の(a)平面図、(b)背面図である。
【
図6】折り畳んだパネル構造の(a)平面図、(b)背面図である。
【
図7】(a)連結パネルおよび伸縮機構の平面図、(b)伸縮機構の正面図である。
【
図8】接続部材を断面で示した伸縮機構の側面図である。
【
図9】連結パネルと接続部材との接続方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
本実施形態に係るパネルゲート10は、工事現場の出入り口などに開閉可能に設けられるものであり、パネル22が折り重なることで折り畳み可能となっている。このパネルゲート10は、
図1等に示すように、複数の縦桟11と、隣接する縦桟11を接近離反可能に接続するリンク機構15と、隣接する縦桟11の間に配設されてリンク機構15の前面を覆うパネル構造20と、を備える。
【0021】
縦桟11は、設置面Gに対して立設するように配置される柱状の部材であり、例えば中空のアルミ材で形成されている。この縦桟11は、
図1(b)に示すように、パネルゲート10を最大幅に伸長させたときに等間隔となるように配設されている。
【0022】
なお、複数の縦桟11のうちの少なくとも一部には、脚部12が設けられている。脚部12は、縦桟11の下端に固定される部材であり、パネルゲート10の設置面Gを転動するキャスター13を備えている。本実施形態に係る脚部12は、縦桟11に対して逆T字形に直交するように固定されており、下面の前後にキャスター13が回転可能に取り付けられている。
【0023】
リンク機構15は、隣り合う縦桟11の間に複数のリンクバー16を斜め格子状に交差させて構成されている。交差するリンクバー16は、軸ピン17によって互いに回動自在に連結されている。このリンク機構15は、リンクバー16の角度と縦桟11間の距離を変えることにより伸縮できるように構成されている。
【0024】
パネル構造20は、各縦桟11の間に設けられるものであり、言い換えると、リンク機構15と対になるように、リンク機構15と同じ数だけ設けられている。具体的には、本実施形態に係るパネルゲート10は縦桟11を6本備えているので、これらの縦桟11の間に5つのパネル構造20が配設されている。このパネル構造20は、
図2等に示すように、連結パネル21と、固定部25と、伸縮機構30と、を備える。
【0025】
連結パネル21は、複数(少なくとも4枚以上)のパネル22をヒンジによって連結し、折り畳み可能としたものである。本実施形態においては、8枚のパネル22を横方向に連結することで連結パネル21が構成されている。この連結パネル21は、山部21bと谷部21cとが交互に形成された蛇腹状となっており、この山部21bおよび谷部21cの付近で曲折可能となっている。
【0026】
具体的には、
図5に示すように、連結パネル21の端部21a付近、山部21b付近および谷部21c付近には、複数のパネル22を回動可能に連結する連結ピン23が設けられている。この連結ピン23は、縦桟11に対して平行な軸部材であり、パネル22に設けられた貫通孔に挿通されている。これにより、連結ピン23を回動軸としてパネル22が回動可能となっている。
【0027】
この連結パネル21は、
図4に示すように、最大まで伸張させた場合でも山部21bおよび谷部21cが直線状になるまで展開することはできないようになっている。このため、連結パネル21を折り畳む際に、パネル22が折り畳みたい方向と逆に折れ曲がることがなく、円滑に折り畳めるようになっている
【0028】
また、この連結パネル21を折り畳んだときには、
図6に示すように、複数のパネル22が互いに折り重なるようになっている。なお、連結パネル21を折り畳んだときには、山部21bの頂点がやや前方に移動するので、連結パネル21の前端部がやや前方に突出することになる。しかしながら、それぞれのパネル22の幅が小さいため、それほど大きく前方に突出することはない。本実施形態においては、連結パネル21を折り畳んだときに、連結パネル21の前端部が脚部12よりも前方に突出しないように構成されている。
【0029】
固定部25は、
図4等に示すように、連結パネル21の両側の端部21aに回動可能に固定される部材である。この固定部25は、連結パネル21の高さ方向に見て、連結パネル21よりも短尺で形成されており、連結パネル21の端部21aの複数箇所に取り付けられている。本実施形態においては、連結パネル21の高さ方向に見て、上下の2箇所に固定部25が取り付けられており、この上下の2箇所において連結パネル21の両端部21aと縦桟11とが回動可能に固定されている。
【0030】
この固定部25は、一方の端部が連結ピン23を介して回動可能に連結パネル21の端部21aに固定されており、他方の端部が縦桟11に固定されている。縦桟11に固定される方の端部には、
図4(a)に示すように、平面視略コ字形に形成された抱持部25aと、上下に貫通する取付孔25bと、が設けられている。この固定部25を縦桟11に固定するときには、抱持部25aを縦桟11の外周面に当接させ、取付孔25bに貫通させたボルトを縦桟11の受孔(図示せず)に螺着させる。これにより、固定部25は、縦桟11に固定されて移動できない状態となる。
【0031】
伸縮機構30は、連結パネル21の折り畳みをガイドするために伸縮可能に構成されるものである。本実施形態に係る伸縮機構30は、
図7等に示すように、複数の傾斜リンク31を回動可能に交差させて構成されている。具体的には、右上がりの傾斜リンク31と右下がりの傾斜リンク31とを交互に連結することで、伸縮自在なパンタグラフ機構を構成している。
【0032】
各傾斜リンク31は、回動ピン32によって回動可能に連結されている。このうち、傾斜リンク31が交差する箇所には、
図8に示すような接続部材33が回動ピン32によって取り付けられている。この接続部材33は、伸縮機構30を連結パネル21に結合するための略L字型の部材であり、回動ピン32によって傾斜リンク31に固定される取付部33aと、連結パネル21に固定される突出部33bと、を備える。
【0033】
取付部33aには、回動ピン32を貫通させる孔が形成されている。この孔に回動ピン32を貫通させることで、傾斜リンク31の交差箇所に接続部材33が取り付けられる。
【0034】
突出部33bには、連結ピン23を貫通させる挿通孔33cが形成されている。
図9に示すように、この挿通孔33cに連結ピン23を貫通させることで、連結パネル21の裏面側に、接続部材33を介して伸縮機構30が接続されている。
【0035】
このような接続部材33は、
図7(a)に示すように、連結パネル21の両端部21a付近と谷部21c付近とに対応した位置に設けられている。このため、伸縮機構30は、連結パネル21の両端部21a付近と谷部21c付近とを背面側から支持するようになっている。このような構成によれば、パネル構造20を折り畳むときに蛇腹状の連結パネル21が前後に膨らんでしまうことが防止される。よって、パネルゲート10を折り畳む操作を円滑に行うことができる。
【0036】
しかも、縦桟11を接近離反可能に接続するリンク機構15とは別に伸縮機構30を備えているため、縦桟11やリンク機構15の配設ピッチとパネル22の配設ピッチとを合致させる必要がない。よって、パネル22の枚数や配設ピッチを自由に設定することができる。
【0037】
また、上記した伸縮機構30は、連結パネル21の上下方向に見て全長に設けられているわけではなく、一部にのみ設けられており、少なくとも連結パネル21の上下2箇所に設けられている。本実施形態においては、
図3に示すように、上下2列の伸縮機構30が設けられている。このような構成によれば、連結パネル21の高さが高い場合でも、連結パネル21の全高に合わせて伸縮機構30を設ける必要がない。すなわち、小さな伸縮機構30で効率的に連結パネル21の折り畳みをガイドすることができる。
【0038】
また、上記した伸縮機構30は、
図7(a)に示すように、複数の傾斜リンク31の交差箇所と、連結パネル21の谷部21cとが対応するように配置されている。そして、これらの対応箇所に接続部材33が設けられ、連結パネル21と伸縮機構30とが連結されている。これにより、伸縮機構30は、複数の傾斜リンク31の交差箇所において連結パネル21を支持している。このような構成によれば、伸縮機構30を伸縮させて連結パネル21を展開または折り畳むときに、連結パネル21を支持している箇所のピッチが均等に保たれるので、山部21bや谷部21cの角度に偏りが生じず、連結パネル21を円滑に折り畳むことができる。
【符号の説明】
【0039】
10 パネルゲート
11 縦桟
12 脚部
13 キャスター
15 リンク機構
16 リンクバー
17 軸ピン
20 パネル構造
21 連結パネル
21a 端部
21b 山部
21c 谷部
22 パネル
23 連結ピン
25 固定部
25a 抱持部
25b 取付孔
30 伸縮機構
31 傾斜リンク
32 回動ピン
33 接続部材
33a 取付部
33b 突出部
33c 挿通孔
G 設置面