(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ロボット用充電ステーション
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220107BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220107BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
G05D1/02 Z
(21)【出願番号】P 2017204727
(22)【出願日】2017-10-23
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】515337268
【氏名又は名称】GROOVE X株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 要
(72)【発明者】
【氏名】根津 孝太
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-184529(JP,A)
【文献】特表2013-544382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの充電を行うための充電ステーションであって、
本体ベースと、
前記ロボットが所定位置に到達したとき、前記ロボットに給電する給電端子と、
前記本体ベースに相対変位可能に支持されるガイドと、
を備え、
前記ガイドは、前記ロボットが接触した際に受ける力により変位し、その変位により前記ロボットを前記所定位置に誘導
し、
前記ガイドが、前記本体ベースに支持される回動軸を有し、前記ロボットの進入を受け入れる際に作用するモーメントにより前記ロボットに当接しつつ回動し、所定角度回動したときに前記ロボットと接触した部分を支点として、前記ロボットを前記所定位置へ導くよう方向転換させることを特徴とする充電ステーション。
【請求項2】
前記ガイドが、前記回動軸につながる一対のアーム部を有し、
前記一対のアーム部が、ロボットの幅よりも小さな間隔をあけて配置され、
両アーム部の間に形成される凹状スペースにロボットの一部を受け入れることを特徴とする請求項
1記載の充電ステーション。
【請求項3】
車輪で走行するロボットの充電を行うための充電ステーションであり、
前記ガイドが、
ガイド本体と、
前記ガイド本体の相対的に低位置に設けられた第1ガイド部と、
前記ガイド本体の相対的に高位置に設けられた第2ガイド部と、
を含み、
前記ガイド本体に前記回動軸があり、
前記第1ガイド部は、前記車輪を受け入れることで前記ガイド本体を回動させ、
前記第2ガイド部は、前記ロボットのボディを受け入れることで、前記ガイド本体を前記第1ガイド部による回動方向とは反対方向に回動させることを特徴とする請求項
1又は2に記載の充電ステーション。
【請求項4】
前記ガイドが、第1ガイド部および第2ガイド部を含み、
前記第1ガイド部が前記第2ガイド部よりも先に前記ロボットと接触することで前記ガイドを回動させ、
前記ガイドが所定角度回動したときに前記第2ガイド部が前記ロボットと接触し、その接触部分を支点として、前記ロボットを方向転換させることを特徴とする請求項
1又は2に記載の充電ステーション。
【請求項5】
前記第2ガイド部に前記給電端子が設けられていることを特徴とする請求項
3又は4に記載の充電ステーション。
【請求項6】
前記ロボットが離脱したときに前記ガイドの回動角度を基準位置に復帰させる付勢部材をさらに備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の充電ステーション。
【請求項7】
ロボットの充電を行うための充電ステーションであって、
本体ベースと、
前記ロボットが所定位置に到達したとき、前記ロボットに給電する給電端子と、
前記本体ベースに相対変位可能に支持されるガイドと、
を備え、
前記ガイドは、前記ロボットが接触した際に受ける力により変位し、その変位により前記ロボットを前記所定位置に誘導し、
前記充電ステーションは、前記ロボットの姿勢に合わせて前記ガイドを昇降させる昇降機構をさらに備え、
前記昇降機構は、
前記ガイドを昇降方向に変位可能に支持する支持機構と、
前記ガイドを上方に付勢する付勢機構と、
を含み、
前記ロボットの重力が負荷されることにより、前記給電端子と前記ロボットとの接続状態を保持しつつ前記ガイドを基準高さから降下させ、
前記ロボットの重力が解除されることにより前記ガイドを前記基準高さまで上昇させることを特徴とす
る充電ステーション。
【請求項8】
ロボットの充電を行うための充電ステーションであって、
本体ベースと、
前記ロボットが所定位置に到達したとき、前記ロボットに給電する給電端子と、
前記本体ベースに相対変位可能に支持されるガイドと、
を備え、
前記ガイドは、前記ロボットが接触した際に受ける力により変位し、その変位により前記ロボットを前記所定位置に誘導し、
前記ガイドが、前記本体ベースに支持される回動軸を有し、前記ロボットの進入を受け入れる際に作用するモーメントにより前記ロボットに当接しつつ回動することを特徴とする充電ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの充電を行うための充電ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒューマノイドロボットやペットロボット等、人間との対話や癒しを提供する自律行動型ロボットの開発が進められている。このようなロボットは、制御プログラムにしたがって動作するが、周囲の状況に基づいて自律的に学習することで行動を進化させ、生命を感じさせるものも出現しつつある。
【0003】
このようなロボットも電気エネルギーで動作する以上、充電が必要となる。そこで、ロボットの充電残量が少なくなると、ユーザに向けてアラームが出力される。ユーザは、そのアラームに気づくと、ロボットを専用の充電ステーションにセットし、充電が完了するのを待つ。あるいは、ロボットを充電ステーションと通信可能とし、充電残量が基準値以下となったときにそのステーションへ誘導し、自律的に充電させる技術も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
後者の充電ステーションは、ユーザの手を煩わせない点で優れている。しかし、ロボットをステーションの設定位置に正確な角度で進入させなければ、互いの端子を接続できない。このため、特にステーションに近づいたときにロボットの精密な移動制御が必要となり、処理負荷が大きくなるうえ時間もかかるといった問題があった。
【0006】
本発明は上記課題認識に基づいてなされた発明であり、その主たる目的は、充電ステーションにおいて簡易な構成にてロボットとの接続容易性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、ロボットの充電を行うための充電ステーションである。この充電ステーションは、本体ベースと、ロボットが所定位置に到達したとき、ロボットに給電する給電端子と、本体ベースに相対変位可能に支持されるガイドと、を備える。ガイドは、ロボットが接触した際に受ける力により変位し、その変位によりロボットを所定位置に誘導する。
ある態様では、前記ガイドが、前記本体ベースに支持される回動軸を有し、前記ロボットの進入を受け入れる際に作用するモーメントにより前記ロボットに当接しつつ回動し、所定角度回動したときに前記ロボットと接触した部分を支点として、前記ロボットを前記所定位置へ導くよう方向転換させてもよい。
また、ある態様では、前記充電ステーションは、前記ロボットの姿勢に合わせて前記ガイドを昇降させる昇降機構をさらに備え、
前記昇降機構は、
前記ガイドを昇降方向に変位可能に支持する支持機構と、
前記ガイドを上方に付勢する付勢機構と、
を含み、
前記ロボットの重力が負荷されることにより、前記給電端子と前記ロボットとの接続状態を保持しつつ前記ガイドを基準高さから降下させ、
前記ロボットの重力が解除されることにより前記ガイドを前記基準高さまで上昇させてもよい。
また、ある態様では、前記ガイドが、前記本体ベースに支持される回動軸を有し、前記ロボットの進入を受け入れる際に作用するモーメントにより前記ロボットに当接しつつ回動してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の充電ステーションによれば、ロボットの接続容易性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るロボットの充電システムを表す図である。
【
図2】実施形態に係るロボットの外観を表す図である。
【
図3】ロボットの構造を概略的に表す断面図である。
【
図9】充電時におけるロボットとステーションの一連の動作を例示する模式図である。
【
図10】充電時におけるロボットとステーションの一連の動作を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。また、以下の実施形態およびその変形例について、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略することがある。
【0011】
図1は、実施形態に係るロボット100の充電システム10を表す図である。同図には、ロボット100が充電ステーション(以下、単に「ステーション」とよぶ)200にセットされた状態を示す。ステーション200は、床面Fに設置される本体ベース202、本体ベース202に支持されるガイド204、およびガイド204に設けられる一対の給電端子206を備える。本体ベース202は、ロボット100に対して開放される進入口208を有する。ガイド204は、本体ベース202に設けられた軸線(鉛直軸)周りに回動可能であり、ロボット100を充電位置に誘導するための構造を有する。ステーション200は、背面(進入口208の反対側)が壁や箪笥などの重量物に接するように設置される。
【0012】
ガイド204から前方に一対の給電端子206が延出する。一方、ロボット100の背面には一対の充電端子302が設けられている。ロボット100がバックでステーション200へ進入することにより充電端子302が給電端子206に当接し、充電可能となる。ステーション200は、このような端子間の接続を簡易かつスムーズに実現するための機構を有する。その詳細については後述する。
【0013】
図2は、実施形態に係るロボット100の外観を表す図である。
図2(a)は正面図であり、
図2(b)は側面図である。
ロボット100は、外部環境および内部状態に基づいて行動や仕草(ジェスチャー)を決定する自律行動型のロボットである。外部環境は、カメラやサーモセンサなど各種のセンサにより認識される。内部状態はロボット100の感情を表現するさまざまなパラメータとして定量化される。
【0014】
ロボット100は、3輪走行するための3つの車輪を備える。図示のように、一対の前輪102(左前輪102a,右前輪102b)と、一つの後輪103を含む。前輪102が駆動輪であり、後輪103が従動輪である。前輪102は操舵機構を有しないが、左右輪の回転速度や回転方向が個別に制御可能とされている。後輪103は、いわゆるキャスターからなり、ロボット100を前後左右への移動させるために回転自在となっている。左前輪102aよりも右前輪102bの回転数を大きくすることで、ロボット100が左折したり、左回りに回転できる。右前輪102bよりも左前輪102aの回転数を大きくすることで、ロボット100が右折したり、右回りに回転できる。
【0015】
前輪102および後輪103は、後述する駆動機構(回動機構、リンク機構)によりボディ104に完全収納できる。走行時においても各車輪の大部分はボディ104に隠れているが、各車輪がボディ104に完全収納されるとロボット100は移動不可能な状態となる。すなわち、車輪の収納動作に伴ってボディ104が降下し、床面Fに着座する。この着座状態においては、ボディ104の底部に形成された平坦状の着座面108(接地底面)が床面Fに当接する。
【0016】
ロボット100は、2つの手106を有する。手106には、モノを把持する機能はない。手106は、図示しない内蔵ワイヤを引っ張る又は緩めることにより、上げる、振る、振動するなど簡単な動作が可能である。2つの手106も個別制御可能である。
【0017】
ロボット100の頭部正面(顔)には2つの目110が設けられている。目110は、液晶素子または有機EL素子により、様々な表情で表示される。ロボット100は、スピーカーを内蔵し、簡単な音声を発することもできる。ロボット100の頭頂部にはツノ112が取り付けられる。ツノ112には全天球カメラが内蔵され、上下左右全方位を一度に撮影できる。また、ロボット100の頭部正面には、高解像度カメラが設けられる(図示せず)。
【0018】
このほか、ロボット100は、周辺温度を検出する温度センサ、複数のマイクロフォンを有するマイクロフォンアレイ、計測対象の形状を測定可能な形状測定センサ(深度センサ)、超音波センサなどさまざまなセンサを内蔵する。
【0019】
図3は、ロボット100の構造を概略的に表す断面図である。
ボディ104は、ベースフレーム308、本体フレーム310、一対のホイールカバー312および外皮314を含む。ベースフレーム308は、ボディ104の軸芯を構成するとともに内部機構を支持する。ベースフレーム308は、ロアプレート334に複数のサイドプレート336を立設して構成される。ベースフレーム308の内方には、バッテリ118、制御回路342および各種アクチュエータ等が収容されている。ロアプレート334の底面が着座面108を形成する。ロボット100の背面側には一対の充電端子302が設けられ、バッテリ118に接続されている。
【0020】
本体フレーム310は、頭部フレーム316および胴部フレーム318を含む。頭部フレーム316は、中空半球状をなし、ロボット100の頭部骨格を形成する。胴部フレーム318は、段付筒形状をなし、ロボット100の胴部骨格を形成する。胴部フレーム318の下端部が、ロアプレート334に固定されている。頭部フレーム316は、リンク構造330を介して胴部フレーム318に接続されている。
【0021】
頭部フレーム316は、ヨー軸321、ピッチ軸322およびロール軸323を有する。頭部フレーム316のヨー軸321周りの回動(ヨーイング)により首振り動作が実現され、ピッチ軸322周りの回動(ピッチング)により頷き動作,見上げ動作および見下ろし動作が実現され、ロール軸323周りの回動(ローリング)により首を左右に傾げる動作が実現される。各軸は、リンク構造330の駆動態様に応じて三次元空間における位置や角度が変化し得る。
【0022】
胴部フレーム318は、ベースフレーム308および車輪駆動機構370を収容している。車輪駆動機構370は、前輪102および後輪103をそれぞれ駆動し、ロボット100を移動させる「移動機構」として機能する。前輪102は、その中心部にダイレクトドライブモータ(以下「DDモータ」と表記する)を有する。このため、左前輪102aと右前輪102bを個別に駆動することができる。胴部フレーム318は、ボディ104のアウトラインに丸みをもたせるよう、上半部が滑らかな曲面形状とされている。胴部フレーム318の下半部は、ホイールカバー312との間に前輪102の収納スペースSを形成するために小幅とされ、前輪102の回動軸378を支持している。
【0023】
一対のホイールカバー312は、胴部フレーム318の下半部を左右から覆うように設けられている。ホイールカバー312は、胴部フレーム318の上半部と連続した滑らかな外面(曲面)を形成する。ホイールカバー312の上端部が、上半部の下端部に沿って連結されている。それにより、下半部の側壁とホイールカバー312との間に、下方に向けて開放される収納スペースSが形成されている。
【0024】
前輪駆動機構は、前輪102を回転させるための回転駆動機構と、前輪102を収納スペースSから進退させるための収納作動機構とを含む。前輪駆動機構の駆動により、前輪102を収納スペースSから外部へ向けて進退駆動できる。後輪駆動機構の駆動により、後輪103を収納スペースSから外部へ向けて進退駆動できる。
【0025】
外皮314は、本体フレーム310を外側から覆う。外皮314は、人が弾力を感じる程度の厚みを有し、ウレタンスポンジなどの伸縮性を有する素材で形成される。これにより、ユーザがロボット100を抱きしめると、適度な柔らかさを感じ、人がペットにするように自然なスキンシップをとることができる。本体フレーム310の内側には、静電容量型のタッチセンサが設けられる。タッチセンサは、複数箇所に設けられ、ロボット100のほぼ全域におけるタッチを検出する。なお、変形例においては、タッチセンサを本体フレーム310と外皮314との間に設けてもよい。手106は、外皮314と一体に形成されている。外皮314の上端部には、開口部390が設けられる。ツノ112の下端部が、開口部390を介して頭部フレーム316に接続されている。
【0026】
手106を駆動するための駆動機構は、外皮314に埋設されたワイヤ134と、その駆動回路340(通電回路)を含む。ワイヤ134は、本実施形態では形状記憶合金線からなり、加熱されると収縮硬化し、徐熱されると弛緩伸長する。ワイヤ134の両端から引き出されたリード線が、駆動回路340に接続されている。駆動回路340のスイッチがオンされるとワイヤ134(形状記憶合金線)に通電がなされる。
【0027】
ワイヤ134は、外皮314から手106に延びるようにモールド又は編み込まれている。ワイヤ134の両端から胴部フレーム318の内方にリード線が引き出されている。ワイヤ134は外皮314の左右に1本ずつ設けてもよいし、複数本ずつ並列に設けてもよい。ワイヤ134に通電することで腕(手106)を上げることができ、通電遮断することで腕(手106)を下げることができる。
【0028】
図4は、車輪収納動作を模式的に示す図である。
図4(a)は側面図であり、
図4(b)は正面図である。図中点線は車輪が収納スペースSから進出して走行可能な状態を示し、図中実線は車輪が収納スペースSに収納された状態を示す。
【0029】
車輪駆動機構370は、前輪駆動機構374および後輪駆動機構376を含む。前輪駆動機構374は、回動軸378およびアクチュエータ379を含む。前輪102の車軸398は、アーム400を介して回動軸378と一体化されている。アクチュエータ379の駆動により、収納スペースSから外部へ前輪102を進退駆動できる。
【0030】
後輪駆動機構376は、回動軸404およびアクチュエータ406を含む。回動軸404の中央に回転軸407が支持されている。回転軸407からは二股のアーム408が延び、その先端に車軸410が一体に設けられている。車軸410に後輪103が回転可能に支持されている。回転軸407は自軸周りに回転自在であり、後輪103の向き(進行方向)を任意に変化させる。アクチュエータ406の駆動により、収納スペースSから外部へ後輪103を進退駆動できる。
【0031】
車輪収納時には、アクチュエータ379,406が一方向に駆動される。このとき、アーム400が回動軸378を中心に回動し、前輪102が床面Fから上昇する。また、アーム408が回動軸404を中心に回動し、後輪103が床面Fから上昇する(一点鎖線矢印参照)。それにより、ボディ104が降下し、着座面108が床面Fに接地する(実線矢印参照)。これにより、ロボット100がお座りした状態が実現される。アクチュエータ379,406を反対方向に駆動することにより、各車輪を収納スペースSから進出させ、ロボット100を立ち上がらせることができる。
【0032】
なお、後輪103の外側には尻尾を模した後部カバー107が設けられており、後輪103と連動してボディ104の後部下開口部を開閉する。すなわち、後輪103を進出させるときには後部カバー107が開動作し、後輪103を収納するときには後部カバー107が閉動作する。
【0033】
図5および
図6は、ステーション200の構成を表す概略図である。
図5(a)は斜視図であり、
図5(b)は正面図である。
図6(a)は、
図5(b)のA-A矢視断面図である。
図6(b)は、ガイド204が待機位置から降下した状態を示す。なお、以下では説明の便宜上、ステーション200においてロボット100の進入方向手前側(進入方向後側)を「手前側」、進入方向奥側(進入方向先側)を「奥側」と表現することがある。
【0034】
図5(a)および(b)に示すように、ステーション200は、概ね左右対象な形状を有する。本体ベース202は、長方形状の天板210と、天板210を支える左右一対の側板212とを有する。一対の側板212は、手前側に向けて両者の間隔を大きくするように天板210に固定されている。天板210と側板212との境界部には、補強用の複数のリブ214が設けられている。
【0035】
天板210の中央には、ガイド204を支持する支持機構216が設けられている。支持機構216は、鉛直方向の軸線Lを有し、ガイド204を軸線Lに沿って昇降可能、かつ軸線Lの周りに回動可能に支持している。天板210には、外力が作用しない状態においてガイド204を回動方向の基準位置に保持するためのスプリング218(「付勢部材」として機能する)が配設されている。ここで、「基準位置」は、ガイド204が正面を向く状態とされる。
【0036】
ガイド204は、支持機構216に支持される軸部220(「回動軸」として機能する)と、軸部220の下面から左右に垂下される一対のガイドフレーム222と、それらのガイドフレーム222によって上方から支持されるガイド部材226を含む。軸部220およびガイドフレーム222が「ガイド本体」を構成する。一対のガイドフレーム222は、下方に向かって両者の間隔を広げるよう湾曲形状を有する。各ガイドフレーム222の手前端から前方に向けて給電端子206が延出している。一対の給電端子206は「第2ガイド部」として機能し、両者の間隔は、ロボット100(ボディ104)の幅よりも小さい。
【0037】
ガイド部材226は、平面視U字状の板状部材であり、手前側に向けて開放される凹状嵌合部228を有する。ガイド部材226は、その凹状嵌合部228を画定する左右一対のアーム部230を有し、「第1ガイド部」として機能する。一対のアーム部230は、その手前側半部がテーパ状に形成され、両者の間隔は手前端において最大となり、奥方に向けて徐々に幅狭とされている。両者の最大間隔は、ボディ104の幅よりも小さい。一対のアーム部230の奥側半部の間隔は、後輪103の幅よりやや大きい程度とされ、後輪103が進入したときにその左右への動きを規制できる。ガイド部材226とガイドフレーム222との間には、補強用の複数のリブ232が設けられている。
【0038】
図6(a)に示すように、天板210の中央には円孔236が設けられており、ガイド204の軸部220がこれを貫通している。支持機構216は、段付円筒状の支持部材240と、支持部材240を外側から覆うハウジング242を含む。支持部材240は、その下端部が円孔236に同軸状に挿通され、その挿通部の直上に半径方向外向きに突出するフランジ部244が設けられている。フランジ部244が天板210の上面に載置される態様で支持されている。支持部材240の上端部にも半径方向外向きに突出するフランジ部246が設けられている。支持部材240の軸線方向中間部には、半径方向内向きに突出する係止部248が設けられている。
【0039】
ハウジング242は、上半部が支持部材240と同軸の円筒状に形成され、その外側面から複数の脚部250が延設され、天板210に固定されている。ハウジング242の上端部には、半径方向内向きに突出する係止部252が設けられている。係止部252は、フランジ部246を上方から係止し、支持部材240の脱落を防止している。支持部材240は、円孔236の内周面とハウジング242の内周面とを軸受(滑り軸受)として軸線L周りに回動可能とされている。
【0040】
一方、ガイド204の軸部220は、下半部が大径部254、上半部が小径部256とされた段付円柱状をなす。大径部254は、支持部材240の下半部内周面に摺動可能に支持されている。大径部254の上面が係止部248の下面に係止されることにより、ガイド204の基準高さが規定される。軸部220の下端部は、天板210の下方に延出し、半径方向外向きに突出するフランジ部258を有する。フランジ部258に対して一対のガイドフレーム222が固定されている。小径部256の上端部には円板状のばね受け260が固定(締結)されている。ばね受け260と係止部248との間には、軸部220を上方に付勢するためのスプリング262(「付勢機構」として機能する)が介装されている。
【0041】
支持部材240の下半部内周面には、軸線Lに平行な複数の突条264が周方向に等間隔で設けられている。一方、大径部254の外周面には、突条264と対向する位置に軸線Lに平行な複数の長溝266が設けられている。突条264と長溝266とは相補形状を有し、嵌合している。このような構成により、軸部220は、支持部材240に対して軸線方向の動きは許容されるが、回動方向の動きは拘束される。すなわち、
図6(b)にも示すように、軸部220は、回動方向には支持部材240と一体に動作し、軸線方向には支持部材240と相対変位する。
【0042】
図5(b)に示したように、フランジ部244から半径方向外向きに一対のストッパ217が延出し、それぞれ隣接する脚部250の中間からハウジング242の外方に突出している。その一方のストッパ217にスプリング218が接続されている。これらのストッパ217は、支持部材240と一体に軸線L周りに回動するが、所定角度回動すると脚部250により係止される。すなわち、ガイド204は外力を受けることで回動するが、その回動範囲は制限される。ガイド204は、その外力が解除されると、スプリング218の付勢力により基準位置に復帰する。
【0043】
図6(a)に示すように、大径部254が係止部248を係止した状態が、ガイド204が基準高さに位置する待機状態である。ガイド204は、外力の負荷状態に応じて軸線Lに沿って昇降する。給電端子206にロボット100の外力(重力)が作用すると、
図6(b)に示すようにガイド204は降下する。その外力が解除されると、スプリング262の付勢力により、ガイド204が押し上げられ、待機状態に復帰する。
【0044】
給電端子206は、その基端部がガイドフレーム222に挿通される態様で固定され、その先端部が上方に突出する鉤形状とされている。本体ベース202の奥方に充電回路224が設けられ、その充電回路224から延びる配線が一対の給電端子206に接続されている。充電回路224は、図示しない電源ケーブルを介して電源に接続される。充電回路224および給電端子206は、「充電部」として機能する。
【0045】
図7は、充電システム10の機能ブロック図である。
上述のように、充電システム10は、ロボット100およびステーション200を含む。ロボット100の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0046】
ロボット100は、内部センサ128、通信部142、データ処理部136、データ格納部148、駆動機構120、バッテリ118および充電回路420を含む。内部センサ128は、各種センサの集合体であり、カメラ、マイクロフォンアレイ、温度センサ、形状測定センサおよび充電残量センサ等を含む。
【0047】
通信部142は、図示しない外部サーバ(外部端末)や他のロボット等との通信処理を担当する。データ格納部148は各種データを格納する記憶装置である。データ処理部136は、通信部142により取得されたデータおよびデータ格納部148に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部136は、プロセッサおよびプロセッサにより実行されるコンピュータプログラムに該当する。データ処理部136は、通信部142、内部センサ128、駆動機構120およびデータ格納部148のインタフェースとしても機能する。
【0048】
データ格納部148は、ロボット100の各種モーションを定義するモーション格納部160を含む。モーション格納部160には、ロボット100による様々なモーションが定義される。モーションは、モーションIDによって識別される。前輪102を収容して着座する、手106を持ち上げる、2つの前輪102を逆回転させることで、あるいは、片方の前輪102だけを回転させることでロボット100を回転行動させる、前輪102を収納した状態で前輪102を回転させることで震える、ユーザから離れるときにいったん停止して振り返る、などのさまざまなモーションを表現するために、各種アクチュエータ(駆動機構120)の動作タイミング、動作時間、動作方向などがモーションファイルにおいて時系列定義される。また、ロボット100がステーション200に進入した後に行う充電姿勢なども定義されている。
【0049】
データ処理部136は、認識部156および制御部150を含む。制御部150は、移動制御部152および動作制御部154を含む。移動制御部152は、ロボット100の移動方向を決める。駆動機構120は、移動制御部152の指示にしたがって前輪102を駆動することで、ロボット100を移動目標地点に向かわせる。
【0050】
動作制御部154は、ロボット100のモーションを決める。動作制御部154は選択したモーションを駆動機構120に実行指示する。駆動機構120は、モーションファイルにしたがって、各アクチュエータを制御する。
【0051】
認識部156は、内部センサ128から得られた外部情報を解釈する。認識部156は、視覚的な認識(視覚部)、匂いの認識(嗅覚部)、音の認識(聴覚部)、触覚的な認識(触覚部)が可能である。認識部156は、カメラ、温度センサおよび形状測定センサの検出情報を定期的に取得し、人やペットなどの移動物体や、オーディオやテレビ等の固定物体を検出できる。認識部156は、移動物体の特徴(身体的特徴と行動的特徴)を抽出し、これらの特徴に基づいて複数の移動物体をクラスタ分析できる。
【0052】
認識部156は、また、形状測定センサにより被写体の三次元形状を測定し、その被写体が所定の形状を有する物体であるか否かを判定する。例えば、認識部156は、被写体が凹凸形状を有するか否かを判定する。凹凸形状を有しないとき、被写体はテレビ、壁、鏡などの平面体であると推定できる。
【0053】
充電残量センサは、バッテリ118の充電残量を検出する。データ処理部136は、充電残量が所定値以下となると、後述する充電のための制御処理を開始する。移動制御部152は、ロボット100をステーション200へ移動させる。充電回路420がステーション200の充電回路224に接続されることにより、バッテリ118への充電が可能となる。
【0054】
一方、ステーション200は、充電回路224を含む簡易な構成からなる。ロボット100がステーション200に進入し、給電端子206と充電端子302とが当接すると、互いの充電回路が接続され、充電が開始される。なお、本実施形態では、ステーション200を簡易かつ低コストに実現するために、ロボット100との通信部や各機構の制御部を設けていないが、変形例においては、これらを設けてもよい。
【0055】
次に、ステーション200の特徴的機能について説明する。
図8は、ロボット100の進入動作を表す図である。
図8(a)~(d)は、その動作過程を示す。
バッテリ118の充電残量が所定値以下になると、ロボット100は、ステーション200へ向けて移動する。このとき、カメラや形状測定センサ等の情報に基づいて障害物を避けながらステーション200へ向かう。ロボット100は、ステーション200に接近すると(
図8(a))、その向きを反転してバックし、ステーション200に進入する(
図8(b))。
【0056】
このとき、ロボット100の進行方向がステーション200に設定された正規の進入路RPに対して傾いていたとしても、給電端子206と充電端子302とを接続できる。すなわち、ガイド204がロボット100の進入を受け入れる際に作用するモーメントにより回動し、ロボット100の進行方向を修正しつつ給電端子206の回動角度を調整する。このようなガイド204の機械的作動により、両端子の接続を簡易に実現できる。
【0057】
具体的には、後輪103が左右の一方のアーム部230に突き当たることで発生する回転モーメントにより、ガイド204が後輪103に当接しつつ一方向に回動する(
図8(c))。それにより、左右の他方の給電端子206がロボット100の背面に当接する。この当接によりガイド204の一方向へのそれ以上の回動を抑止しつつ、その当接点を支点としてロボット100を進入路RPに近づく方向に旋回させる(
図8(d))。その結果、ロボット100の背面とガイド204とを正対させることができ、ロボット100をそのまま進行させることで両端子を接続できる。本実施形態では、このようにロボット100の背面とガイド204とが正対して両端子が接続可能となる位置、言い換えれば、両端子が接続可能となるようなロボット100とガイド204との位置関係が「所定位置」に対応する。「所定位置」は、ロボット100の進入角度によっても変化しうるため、ロボット100とステーション200(ガイド204)との相対的な位置関係と言える。
【0058】
図9および
図10は、充電時におけるロボット100とステーション200の一連の動作を例示する模式図である。
図9(a)~(c)は、ロボット100がステーション200に進入を開始してから充電端子302と給電端子206とが接続されるまでの動作過程を平面視にて示す。説明の便宜上、ロボット100に関しては前輪102と後輪103との位置関係を中心に示し、ステーション200に関してはガイド204の動作を中心に示している。
図10(a)および(b)は、充電端子302と給電端子206とが接続された後、ロボット100が充電姿勢となるまでの動作過程を側面視にて示す。
図10(a)の状態と
図9(b)の状態とが対応する。
【0059】
ここでは、
図9(a)に示すように、ロボット100の進入方向とステーション200の進入路RPの方向とがずれた場合、具体的にはロボット100が進入路RPに対して左方に傾いた角度でステーション200へ進入してきた場合を想定する。この場合、後輪103が一方の側のアーム部230(向かって左側のアーム部230L)に突き当たることで、
図9(b)に示すように、ガイド204が軸線Lを中心に図中時計回りに回動する。ロボット100の進入が進むにつれて回動角度は大きくなり、ストッパ217が脚部250に係止されるまでガイド204は回動する。ストッパ217によりその回動が制限されると、後輪103がアーム部230Lから反力を受けることで、ロボット100に重心G周りの回転モーメントが生じる。また、他方の側の給電端子206(向かって右側の給電端子206R)がロボット100の背面に突き当たる。これにより、ロボット100は、その給電端子206Rとの当接点を支点として右旋回する。つまり、この支点がロボット100の旋回軸(旋回中心)となる。その結果、後輪103がガイド204の奥方に滑るように導かれる。このとき、アーム部230Lから受ける反力が低減もしくは解除されるため、逆に給電端子206Rがロボット100から押圧され、ガイド204が軸線Lを中心に図中反時計回りに回動する。それにより、
図9(c)に示すように、一方の側の給電端子206(向かって左側の給電端子206L)がロボット100の背面に突き当たる。この状態で一対の給電端子206が一対の充電端子302に当接し、両者の電気的接続がなされる。
【0060】
図10(a)にも示すように、充電端子302は凹状に形成され、給電端子206が嵌合するように接続される。すなわち、両者の接続時に給電端子206は充電端子302を介してボディ104に引っ掛かる状態となる。このため、
図10(b)に示すように、ロボット100が着座姿勢をとると、その給電端子206を介してガイド204が押し下げられる。ロボット100は、その着座状態にて充電される。
【0061】
充電完了後にロボット100が車輪(前輪102および後輪103)を進出させると、ロボット100の外力(重力)が作用しなくなるため、ガイド204がスプリング262の付勢力により押し上げられ、基準高さに復帰する。その後、ロボット100が前進することにより、両端子の接続を容易に解除できる。
【0062】
以上、実施形態に基づいてロボット100、ステーション200およびこれらを含む充電システム10について説明した。ステーション200によれば、ロボット100の進入角度がずれていたとしても、ガイド204の機械的作動によりその進行方向を修正し、両者を容易に接続できる。すなわち、ロボット100とガイド204との間に作用する回転モーメントを効果的に利用することにより、ロボット100の進行方向が自然に修正され、給電端子206と充電端子302とを対向させ、接続することができる。
【0063】
なお、ロボット100は、左前輪102aと右前輪102bとが個別に駆動できるため、ステーション200への進入制御に際して各輪の制御に細かい補正を繰り返せば双方の端子を接続することも不可能ではない。しかし、バッテリの充電残量が少なくなっているロボットにおいて、ステーション200への進入のために処理負荷が過大となったり、長時間を要するのは運用上好ましくない。この点、本実施形態によれば、各輪を細かく制御しなくとも、ガイド204が自然に回動してロボット100の進入を補助するため、簡易かつ低コストな運用が可能となる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0065】
上記実施形態では述べなかったが、後輪103をボール状のキャスターにて構成してもよい。あるいは、後輪103として、例えばオムニホイール等、前後左右に移動自在の他の車輪を採用してもよい。
【0066】
上記実施形態では、後輪103を「誘導部分」として、ガイド204に案内させる構成を例示した。変形例においては、ロボットの一部(例えば突き出した部分)を誘導部分とする等、車輪以外の部分をガイドしてもよい。ガイドの高さ(位置)は、その誘導部分の位置に応じて定めることができる。
【0067】
上記実施形態では、
図9に示したように、左右の一方の側のアーム部230と、左右の他方の側の給電端子206がロボット100の各部に順次接触することにより、ロボット100の進行方向を修正する例を示した。変形例においては、給電端子206によるガイドは行わず、一対のアーム部230によりロボット100の進行方向を修正してもよい。
【0068】
例えば、
図9における給電端子206の突き出し量を小さくし、後輪103がアーム部230Lのテーパ面に突き当たるだけでは給電端子206がボディ104に当接しない構成とする。このような構成においても、ガイド204の回動が制限されることで後輪103がアーム部230Lから受ける反力により、ロボット100を進入路RPに近づく方向に旋回させることができる。後輪103が凹状嵌合部228の奥方に導かれたときに充電端子302が給電端子206に当接する構成としてもよい。また、ストッパ217を省略してもよい。そのような構成であっても、スプリング218の付勢力によりガイド204の回動をある程度制限できる。後輪103を突き当てる位置を凹状嵌合部228の中央寄りとすることで、後輪103を凹状嵌合部228の奥方に導くことができる。
【0069】
上記実施形態では、一対の給電端子206を「第2ガイド部」とする例を示したが、給電端子とは別に第2ガイド部を設けてもよい。例えば、ガイド204と同様又は類似した部材を「第2ガイド部」とし、ガイドフレーム222に設けてもよい。その第2ガイド部をボディに当接させることで、ロボットの回動支点(旋回時の支点)となるようにしてもよい。その場合、給電端子は、ガイド(可動部材)に設けられてもよいし、本体ベース(固定部材)に設けられてもよい。ボディが第2ガイド部の奥方に導かれたときに充電端子が給電端子に当接する構成としてよい。
【0070】
ロボットの充電端子は、ロボットの背面に限らず、背面下部(お尻)、手の内側(脇の下)などの特定の部位に設けてもよい。その充電端子の位置に応じて、ステーションにおける給電端子の位置も適宜設定される。ロボットが所定位置に誘導されたときに、両端子が接続される位置関係とすればよい。
【0071】
上記実施形態では、
図10(b)に示す着座状態(車輪収納状態)にて充電を行う例を示した。変形例においては、ロボット100を着座させることなく、
図10(a)に示す離座状態(車輪進出状態)にて充電を行ってもよい。あるいは、
図10(a)に示す離座状態では充電を開始せず、
図10(b)に示す着座状態で充電を開始してもよい。例えば、離座状態では端子間の電気的接続がなされず、着座姿勢になることで電気的接続が実現されるよう各端子の形状や配置を設定してもよい。
【0072】
上記実施形態では、ロボット100がバックによりステーション200に進入する例を示した。すなわち、後輪103が進入方向の先輪(進入先輪)、前輪102が進入方向の後輪(進入後輪)となる例を示した。変形例においては、ロボットが前進によりステーションに進入する構成としてもよい。上記実施形態のようにロボットの車輪を3輪とする場合、前輪を1輪、後輪を2輪とし、その後輪を駆動輪、前輪を従動輪としてもよい。あるいは4輪とし、進入先輪を従動輪、進入後輪を駆動輪としてもよい。その場合、進入先輪の車輪幅(左輪と右輪との間隔)を進入後輪のそれより小さくしてもよい。
【0073】
上記実施形態では、ロボット100が車輪走行する例を示した。変形例においては、2足歩行のロボットに対し、上記実施形態に基づくステーションを構成してもよい。その場合、ロボットの誘導部分(脚部やボディの一部など)がガイドに差し掛かることによりガイドが変位し、ロボットの進行方向を補正してもよい。上記実施形態では、本体ベースに対してガイドが回動する構成を例示したが、スライドする構成としてもよい。ロボットが進入して接触した際に受ける力によりガイドがスライドし、それにより給電端子が充電端子に接続される構成としてもよい。
【0074】
上記実施形態では、充電端子302と給電端子206との凹凸形状が嵌合して支点(旋回中心)を形成し、その支点を中心にロボット100を旋回させる構成を例示した。変形例においては、このような端子間に限らず、ロボットの一部とガイドの一部との凹凸嵌合部により旋回中心を形成してもよい。あるいは、このような凹凸形状でなくとも、両部分の当接部により旋回中心を形成してもよい。そのために、ロボットの一部およびガイドの一部の少なくとも一方について、摩擦係数の高い材質を採用してもよい。
【0075】
上記実施形態では述べなかったが、ロボットの左右輪を個別に制御できることを利用して端子間接続を補助してもよい。ボディの一方の側(例えば右側)がステーションのアームに接触したことを検出すると、他方の側(例えば左側)の車輪の回転数を上げてロボットを左旋回させ、充電端子を給電端子に正対させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 充電システム、100 ロボット、102 前輪、103 後輪、104 ボディ、107 後部カバー、118 バッテリ、120 駆動機構、128 内部センサ、136 データ処理部、142 通信部、148 データ格納部、150 制御部、156 認識部、200 ステーション、202 本体ベース、204 ガイド、206 給電端子、208 進入口、216 支持機構、218 スプリング、220 軸部、222 ガイドフレーム、224 充電回路、226 ガイド部材、228 凹状嵌合部、230 アーム部、240 支持部材、242 ハウジング、248 係止部、252 係止部、258 フランジ部、262 スプリング、302 充電端子、370 車輪駆動機構、420 充電回路、F 床面、RP 進入路。