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特許6997447固形薬剤供給装置及び固形薬剤払出し装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】固形薬剤供給装置及び固形薬剤払出し装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018057583
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019166202
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】大村 司郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 繁幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓
(72)【発明者】
【氏名】深津 邦夫
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/011890(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/099189(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/094687(WO,A1)
【文献】特開2000-203525(JP,A)
【文献】特開2019-033953(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0243560(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形薬剤を収容する薬剤収容部を形成するとともに、その一部に固形薬剤の放出開口を形成した円筒壁と、
前記円筒壁の内部に設けられ、回転することにより前記薬剤収容部に収容された固形薬剤を外周方向に移動させる円盤と、
前記円筒壁の前記放出開口近傍に、その回転軸が前記円筒壁の外周の接線方向となるように設けられ、回転することにより前記放出開口から固形薬剤を挟持して前記円筒壁の径方向に放出する一対の回転手段を有する放出手段と、
を具備する固形薬剤供給装置。
【請求項2】
前記一対の回転手段は、前記放出開口を塞ぐ状態で設けられ、互いに接離方向に移動可能かつ接触方向に弾性付勢されており、非回転時は前記薬剤収容部に収容される固形薬剤の放出を規制し、回転時に固形薬剤を挟持して放出する、
ことを特徴とする請求項1記載の固形薬剤供給装置。
【請求項3】
前記一対の回転手段を駆動する駆動手段と、
前記一対の回転手段間に固形薬剤を挟持したことを検出する第1のセンサと、
前記第1のセンサの出力に基づいて前記一対の回転手段が放出した固形薬剤の数量を計数する第1の計数手段と、
前記第1の計数手段の計数値が供給すべき所定の数量になったとき、前記駆動手段の駆動を停止する制御手段と、
をさらに具備する請求項1又は請求項2記載の固形薬剤供給装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記駆動手段の駆動を停止した後、前記一対の回転手段を逆回転させることにより前記一対の回転手段間に挟持されてしまった固形薬剤を前記薬剤収容部に戻す、
ことを特徴とする請求項3記載の固形薬剤供給装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記一対の回転手段の両方を駆動する、
ことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の固形薬剤供給装置。
【請求項6】
前記一対の回転手段の周速は前記円盤の外周の周速よりも早いことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の固形薬剤供給装置。
【請求項7】
前記放出手段よりも固形薬剤放出方向の下流に設けられ、前記放出手段によって放出された固形薬剤を検出する第2のセンサと、
前記第2のセンサの出力に基づいて前記放出手段から放出された固形薬剤の数量を計数する第2の計数手段と、をさらに具備し、
前記制御手段は、固形薬剤の放出終了時に前記第1の計数手段の計数値と第2の計数手段の計数値とが一致しないとき装置の動作を停止させる、
ことを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか1項記載の固形薬剤供給装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の固形薬剤供給装置が複数収納された棚部と、
前記棚部の下方に設けられ、前記固形薬剤供給装置から放出された固形薬剤を分包紙で分包する分包部と、
を具備する固形薬剤払出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤やカプセル剤などの固形薬剤を1個ずつ供給可能な固形薬剤供給装置及び供給された固形薬剤を分包して払出す固形薬剤払出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
調剤業務において、数百種類にも及ぶ多様な形状の錠剤やカプセル剤を処方箋に従って、たとえば朝昼晩で2週間分42回分を、それぞれ1回分ずつ、所定の複数種類の錠剤やカプセル剤を所定数計数した上で、1ケの個包に封入することができる薬剤払出し装置(特許文献1)が実用化して、調剤業務の効率化と誤服用の防止などに大きく寄与してきた。
【0003】
これらの薬剤払出し装置に収容される薬剤供給装置は必然的に、それぞれの錠剤やカプセル剤の形状に対応して、正しく1個ずつ供給することが出来るような構造を取る必要がある。このため、薬剤の出口部を中心とする各部の寸法を供給する薬剤に応じて変化させる必要があり、結果としてそれらの薬剤供給装置は、薬剤の種別毎に固有のもの(専用カセット)とする必要があった。
【0004】
一方で、例えばジェネリック薬品の登場などによって、近年薬剤の品種は増大する一方であり、これに対応して、専用の薬剤供給装置を準備することは、薬剤払出し装置を維持管理する上での大きな負担となってきている。
【0005】
これに対して近年、前記の問題を解消するために、特許文献2に示すように薬剤の形状が異なるものであっても、機構側を大幅に変更しなくとも、正確に1個ずつ供給できる、薬剤供給装置が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6255528号公報
【文献】WO2017/094687
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の装置においては、多数の種類の錠剤を払出しできるが、それぞれのカセットは1種類の錠剤に対応しており、新たな形状の錠剤が登場したときは新たなカセットを準備する必要が生じる。
【0008】
また、特許文献2記載の装置は、錠剤寸法データを別に記憶しておき、当該錠剤の払い出しが指示されると、錠剤通過経路を錠剤の幅や高さに応じて高さ規制体と幅規制体とを錠剤の寸法に合わせて駆動手段によって、事前に設定するようにしている。
【0009】
この装置では、円盤を正回転させて所定数の錠剤の落下が検知されたら、速やかに円盤を逆回転させて、次の錠剤を円盤外周端から遠ざけて、次の錠剤の落下を防止することで、過剰な錠剤落下を防止するようにしている。そして、カセットに投入する錠剤の数量を、1回の処方分に一致するように、たとえば朝昼晩で2週間分42回分を、各2錠として84錠を、事前に計数した上で容器に装填するという運用であれば、1回の処方箋分の払出しが完了すれば、カセットの中には錠剤が残らない。
【0010】
しかしながら、事前に計数するのは係員の負担になるので、より大量の錠剤を事前に装填しておき、そのうち必要数量分だけを払出すという運用が求められる。この装置でこれを実施すると、錠剤の払出し完了後に円盤を逆転して錠剤を外周端から遠ざける制御を行ったとしても、その後、次の処方でこの錠剤が使用するまでの間に何らかの振動や外力によって、錠剤が円盤上から落下する虞がある。このような外力は、薬剤払出し装置に係員がアクセスするための扉の開閉や、他の想定しない振動によって加わるものである。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、固形薬剤の形状やサイズが異なるものであっても、機構を大幅に変更しなくとも1個ずつ供給できるとともに、供給が完了した後に薬剤が誤って落下することの無い固形薬剤供給装置及び固形薬剤払出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決すべくなされたもので、本発明の固形薬剤供給装置は、固形薬剤を収容する薬剤収容部を形成するとともに、その一部に固形薬剤の放出開口を形成した円筒壁と、前記円筒壁の内部に設けられ、回転することにより前記薬剤収容部に収容された固形薬剤を外周方向に移動させる円盤と、前記円筒壁の前記放出開口近傍に、その回転軸が前記円筒壁の外周の接線方向となるように設けられ、回転することにより前記放出開口から固形薬剤を挟持して前記円筒壁の径方向に放出する一対の回転手段を有する放出手段と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る錠剤払出し装置の内部を透視した正面図。
図2】実施形態に係る錠剤払出し装置の錠剤カセット棚を引き出した状態を示す斜視図。
図3】実施形態に係る錠剤供給装置の平面の断面図。
図4】実施形態に係る錠剤供給装置の側面の断面図。
図5】実施形態に係る錠剤供給装置のローラ切出し部の断面図。
図6】実施形態に係る錠剤供給装置のローラ切出し部の斜視図。
図7】実施形態に係る錠剤供給装置のローラ切出し部の斜視図。
図8】実施形態に係る錠剤払出し装置のブロック図。
図9】実施形態に係る錠剤供給装置の動作を説明するためのフローチャート。
図10】実施形態に係る錠剤供給装置の変位センサの出力波形図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態に係る薬剤払出し装置を、図面を用いて説明する。
以下の説明では錠剤として説明するが、本発明は錠剤に限定されるものではなく、カプセル剤等の固形薬剤にも適用可能なものである。
【0015】
図1は、実施形態に係る錠剤払出し装置の内部を透視した正面図で、図2は1つの錠剤カセット棚を引き出した状態を示す斜視図である。錠剤払出し装置の筐体100の内部には、その上部に4台の錠剤カセット棚200が200a~200dまで並んで配置されている。それぞれの錠剤カセット棚200は、図2に200aで示すように手動で手前に引き出せるようになっている。
【0016】
この各錠剤カセット棚200a~200dには、その右側に右カセット収容部201、左側に左カセット収容部202が具備される。それぞれのカセット収容部201,202は5段に形成され、各段にはそれぞれが特定の形状とサイズの錠剤を払出す固形薬剤供給装置である専用カセットが収容されるようになっている。カセット収容部201、202に収容される専用カセットは、例えば特許第6255528号公報に記載されたような従来から公知のもので、それぞれの錠剤の寸法と形状に適合した専用カセットである。実施形態では、各棚に50ケから58ケ、4棚全体として232ケの専用カセットを収容することができる。
【0017】
一方、最も下段には異なる形状、大きさの錠剤の供給に対応した汎用カセット204a、204bが収容されている。この汎用カセット204が本発明の薬剤供給装置に対応する。
【0018】
汎用カセット204は各棚に4ケ収容され、錠剤払出し装置全体で計16ケ収容できる。この汎用カセット204は、専用カセットより大型化する(図1では専用カセットと汎用カセットとを同じサイズで記載してあるが、汎用カセットは専用カセット2個分の大きさである)ので、錠剤払出し装置のすべてのカセットを汎用カセットにすると、収容できる薬剤の種類が大幅に減少してしまう。このため、それぞれの薬局において、使用頻度の高い錠剤は、専用カセットに収容し、使用頻度の低い錠剤あるいは新薬に対しては汎用カセットを使用するようにする。
【0019】
次に、205は垂直シュートであって、矢印206のようにカセット収容部から、放出される錠剤を、各棚200の下部に位置する棚バッファ部207に自然落下させる。棚バッファ部207は、回動するシャッタ機構208とガイド体209とで構成され、シャッタ208が閉鎖されていると、下向きの三角形空間を形成して、落下してくる錠剤を一旦保留しておくことができる。207cは、そのシャッタ機構208cが、制御による指令で開くと矢印210の方向に錠剤は落下することができる。この各棚の下部に設けられた4つの棚バッファ207の下に、それぞれのシャッタ機構208が開いたときに、その錠剤を受け入れることができる大きなロート形状を持つ斜めシュート211が配置されている。この斜めシュート211によって落下した錠剤は中央のシュート出口212に集められる。
【0020】
さらに斜めシュート211の下部に包装機213が配置されている。包装機213は内蔵する分包紙ロール214に1包分ずつ所定の印字を行ったり、1包ずつ熱シールを行ったりする機能を持っている。前記のシュート出口212から導かれる複数の錠剤を例えば朝昼晩という服用単位毎に215のように個包して、矢印216方向に、連続包装して出口217から完成品を排出するものである。
【0021】
図3は本実施形態の要部である汎用カセット204の平面の断面図、図4は汎用カセット204の側面の断面図である。
【0022】
汎用カセット204は、下板301の上に各機構が取付けられている。302は軸心保持台であって、軸受303を介して、垂直軸304が回転自在に取付けられている。垂直軸304の途中には歯車305が固定されており、下板301に固定された第1のモータ306によって、歯車307を介して、回転力が伝達され、垂直軸304が回転することができる。垂直軸304には円盤308が水平に固定され、垂直軸304が回転することにより、この円盤308も矢印308aの方向に回転する。
【0023】
この円盤308の外周を取囲むように垂直の円筒壁312が設けられ、円盤308と円筒壁312とによって複数の錠剤Pを収容する薬剤収容部を形成している。この円筒壁312の一部を切り欠くことにより錠剤Pを放出する放出開口である円盤出口314が形成されている。
【0024】
円盤308の上部まで突出している垂直軸304は、半円錐体309に対して回転自在に嵌め込まれている。さらに半円錐体309はその上部を円筒壁312に固定された固定板310に固定されている。また、半円錐体309の側部には半円形のガイド体311の一端が固定され、ガイド体311の他端は順次円筒体312に接近するように配置されている。
【0025】
以上のように構成されているので、円盤308が回転することによって円盤308の上に載っている錠剤Pは円盤308とともに回転するが、半円形のガイド体311にガイドされて錠剤が円盤の内周方向から外周方向に移動させられる。
【0026】
313は円筒壁312から突出して設けられた突出板であって、その高さは円盤308の上面から錠剤1.5錠分の厚さ程度の間隙を持っている。この突出板313は、例えば図4に示すように複数の錠剤がP2の状態のように、積み重なって搬送された時に、下側の錠剤のみが、円盤308の外周に沿って円盤出口314側に導出され、上側の錠剤は突出板313によって円盤308の内周方向に落下させられる。
【0027】
315は、錠剤の幅を規制するガイド体であり、軸316に軸支され、この軸316に固定された歯車317と、対向する歯車318を介して、第2のモータ319によってその先端315aを破線のように回動可能としている。そして、第2のモータ319を所定角度回転することで、ガイド先端315aと円筒壁312の内面との間隙を、錠剤の幅の1.5倍程度として、円筒壁312とガイド体315との間隙に1錠ずつ通過できるようにしている。
【0028】
円盤出口314の外側には円盤出口314を塞ぐように一対のローラ401、402を有するローラ切出し部400(放出手段)が設けられている。これらローラ401、402はその回転軸401a、402aの方向が円筒壁312の外周の接線方向となるように配置されている。そして、一対のローラ401,402が回転することによってこれらのローラ間に錠剤を挟持して放出する。
【0029】
一対のローラ401、402の錠剤放出方向の下流側には落下シュート320が設けられ、この落下シュート320を介して図1に示す錠剤払出し装置100の垂直シュート205に錠剤が放出される。落下シュート320の下部には透過型光センサ321が設けられ、落下シュート320を通過する錠剤を検出するようになっている。
【0030】
次に、ローラ切出し部400を図5乃至図7を用いて詳細に説明する。図5は断面図で、図6は左斜視図、図7は右斜視図である。
【0031】
一対のローラ401、402は下ローラ401と上ローラ402とから成る。
下ローラ401の軸401aは、下ハウジング403の側面に軸受404で軸支されて、回転自在である。一方上ローラ402は、上ハウジング405の側面に軸受406を介して軸支されていて、回転自在である。上ハウジング405は、軸407によって下ハウジンング403に回動可能に取付けられており、これによって上ローラ402は下ローラ401に対して接離方向に移動が可能となっている。さらに408は上ハウジング405と下ハウシング403の間に嵌め込まれた圧縮バネであって、この押上げ力によって、上ローラ402は軸407を中心として下方向に回動付勢されている。
【0032】
なお、下ローラ401と上ローラ402の間隙は、最小錠剤の厚さよりも小さい程度の間隙を持つように設定されている。この間隙はゼロでも良いが、錠剤が下ローラ401と上ローラ402との間に挟持されたときの上ローラ402の跳ね上がり衝撃が大きくなるので、間隙を持たせている。重要なことは、下ローラ401と上ローラ402とが回転していないときにこの間隙から錠剤が自由に通過できない寸法になっていることである。
【0033】
さらに下ローラ401と上ローラ402とは、歯車列409を介して、第3のモータ410によって回転駆動される。ここで、下ローラ401と上ローラ402の双方のローラともに回転駆動されることで、ローラ401,402間に隙間ができてもローラに回転力が付与される。従って錠剤の両面に対して搬送力を付与することができるので錠剤を確実に放出することができる。
【0034】
また、第3のモータ410は、下ローラ401と上ローラ402の外周の速度を、第1のモータ306で駆動される円盤308の外周の速度よりも速い速度になるように設定されている。従って、円盤308の上を円盤308の外周の速度に近い速度で搬送されてくる錠剤を、下ローラ401と上ローラ402とで挟持して円筒壁312の径方向に高速に放出することができ、次の錠剤との間に隙間を設けることができる。
【0035】
411は下ハウジング403に取付けられた変位センサで、上ハウジング405に取付けられた検出板412に当接するように配置されている。これによって、下ローラ401と上ローラ402との間に錠剤が挟持されると、上ハウジング405が上側に変位するので、その変位量が変位センサ411によって検出されるものである。
【0036】
図8は、錠剤払出し装置100の制御ブロック図である。
錠剤払出し装置100内には全体制御部218が設けられ、この全体制御部218には筐体内通信路を介して、包装機213、複数の専用カセット201,202、及び複数の汎用カセット204が接続されている。また、全体制御部218はLANを経由して薬局内の処方箋システム219に接続されている。
【0037】
汎用カセット204内には汎用カセット制御部413が設けられている。汎用カセット制御部413には円盤308を回転駆動する第1のモータ306、ガイド体315を回動駆動する第2のモータ319、下ローラ401及び上ローラ402を回転駆動する第3のモータ410、ローラ切出し部400の上ハウジング405の変位を検出する変位センサ411及び落下シュート320に設けられ、通過する錠剤を検出する透過型光センサ321がそれぞれ接続されている。
【0038】
そして、処方箋に従って分包動作を開始する場合は、処方箋システム219から全体制御部218に対して、1服用当たりの錠剤名、数量、朝昼晩等の服用指示、日数等の指示が伝えられる。全体制御部218は、1服用あたり必要な各錠剤が入っている専用カセット201,202に対して、必要な数量の払出し指示をする。同様に汎用カセット204の制御部413にも、数量指示が伝えられる。この分包指令に基づいて専用カセット201,202からの錠剤の放出、汎用カセット204からの錠剤の放出、及び包装機213により放出された錠剤の包装が成されるものである。
【0039】
次に、汎用カセット204からの錠剤の放出動作について、図9のフローチャートを参照して説明する。
すなわち、全体制御部218から汎用カセット204の制御部413にも、放出する数量指示が伝えられる。
【0040】
なお、この制御部413は、予めこの汎用カセットに特定の寸法の錠剤をセットする準備操作において、その寸法に対応して、第2のモータ319を所定パルス駆動して、ガイド先端315aと円筒壁312の内面との幅を、錠剤幅の1.5倍程度として、1錠のみが順次通過できるように設定している。
【0041】
制御部413は全体制御部218から放出すべき放出指令数量nを受信する(ST1)。放出数量nを受信すると制御部413は上ローラ402の変位を検出する変位センサ411の出力に基づいて錠剤の放出数量を計数する第1のカウンタ(第1の計数手段)の値Cをゼロにクリアするとともに、落下シュート320を通過する錠剤を検出する透過型光センサ321の出力に基づいて通過する錠剤の数量を計数する第2のカウンタ(第2の計数手段)の値Pをゼロにクリアする(ST2)。これら第1のカウンタ及び第2のカウンタは図示しないが、制御部413内のRAMに設けられている。
【0042】
次に、第1のモータ306を駆動して円盤308を回転させる(ST3)。同様に第3のモータ410を駆動して下ローラ401及び上ローラ402を回転させる(ST4)。
【0043】
下ローラ401及び上ローラ402が回転することによって円盤出口314のところに搬送されてきた錠剤は下ローラ401及び上ローラ402の間に挟持されてローラ間を通過する。この通過にともなって変位センサ411がONとなり(ST5)、第1のカウンタの値Cがカウントアップされる(ST6)。カウントアップした結果、第1のカウンタの値Cが放出数nと一致したか否かが判定される(ST7)。第1のカウンタの値Cが放出指令数nと一致していないと、ST5に戻って錠剤の放出が継続される。
【0044】
一方、一対のローラ401,402間を通過した錠剤は落下シュート320を落下する途中で透過型光センサ321によって検出され(ST8)、第2のカウンタの値Pもカウントアップされる(ST9)。
【0045】
ST7で変位センサ411に基づく第1のカウンタの計数値Cが放出指令数nと一致すると、制御部413は一対のローラ401,402を所定時間逆転した後に停止される(ST10)。この所定時間逆転させるのは、次の錠剤が一対のローラ401,402間に一部入り込んでいる可能性があるため、入り込んでいる錠剤を錠剤収容部に戻すためである。さらに制御部413は円盤308の回転も停止させる(ST11)。
【0046】
その後、変位センサ411に基づく第1のカウンタの計数値Cと透過型光センサ321に基づく第2のカウンタの計数値Pとが一致しているかが確認される(ST12)。この確認の結果、両カウンタの計数値が一致していれば正しい数の錠剤が放出されたものとして放出動作を終了する。一方、両計数値が一致していないときは、放出された錠剤の数が正しくない可能性があるため、錠剤払出し装置を停止させて(ST13)オペレータが確認することになる。
【0047】
変位センサ411の出力波形の例を図10に示す。錠剤がローラ対401、402の間に進入してくると、出力が大きくなり、錠剤がローラ対401、402の間から出て行くと出力が小さくなる。この一山分の波形が錠剤1個の通過に伴う出力波形である。ちなみにローラ対401、402の周速度は、円盤308の外周の周速度より速いので、錠剤が連続的に進入しても、このローラ対401、402の増速効果によって、錠剤間隔を広げることができるので、変位センサ411で明確に錠剤の区分ができるものである。
【0048】
上記の実施の形態では一対のローラの双方を駆動するようにしたが、一方のローラのみを駆動するようにしてもよい。また、ローラに限定されること無く、ローラ間に掛け渡されたベルトで錠剤を挟持して放出するようにしてもよく、錠剤の放出開口である円盤出口を塞ぐ状態で設けられた一対の回転手段であればよい。
【0049】
さらに、円盤を1枚の平板としているが、錠剤の収容容量を大きくするために内側に凹状の円盤を設けた、二重の円盤としてもよい。
【0050】
以上説明したように、実施の形態によれば、それぞれの薬局において、使用頻度の高い錠剤は、専用カセットに収容し、頻度の低い錠剤あるいは新薬に対しては汎用カセットを使用することで、多種・多様な錠剤に対応できる錠剤払出し装置を提供できる。
【0051】
また、円盤出口にローラ対による規制体を持つことによって、円盤に残留している錠剤が、振動や外力によって意図しないタイミングで放出される恐れがなくなった。これは調剤業務における最大の責務である調剤過誤の防止に大きく寄与するものである。特に、錠剤カセット棚を前面へスライドする形式の錠剤払出し装置においては、この錠剤カセット棚の開閉での振動が特に大きく、他の錠剤の補充の都度、開閉するので、従来構造では、意図しない錠剤の落下の恐れが多かった。すなわち本実施形態の錠剤払出し装置は、このようなスライド棚式の錠剤払出し装置において、より一層有用なものとなる。
【0052】
さらに、計数保証の観点からは、ローラ対の周速度を円盤外周の周速度よりも高速とすることで、錠剤の間隔を広げて、確実なセンシングができるという点、さらに出口で別のセンサで計数するという二重チエックを行うことで、信頼性の向上が図られる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態、変形例を説明したが、これらの実施形態、変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態、変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
100・・・錠剤払出し装置
200・・・錠剤カセット棚
201,202・・・専用カセット
204・・・汎用カセット(固形薬剤供給装置)
213・・・分包機
306・・・第1のモータ
308・・・円盤
312・・・円筒壁
314・・・円盤出口
321・・・透過型光センサ(第2のセンサ)
400・・・錠剤切出し部
401・・・下ローラ
402・・・上ローラ
410・・・第3のモータ
411・・・変位センサ(第1のセンサ)
413・・・汎用カセット制御部
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