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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】畦成形機
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/00 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
A01B35/00 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018186207
(22)【出願日】2018-09-29
(65)【公開番号】P2020054257
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】横浜 雅透
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓未
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-188905(JP,A)
【文献】特開2006-094752(JP,A)
【文献】特開2012-005371(JP,A)
【文献】特開2004-267098(JP,A)
【文献】特開2017-139976(JP,A)
【文献】特開2008-043272(JP,A)
【文献】特開2006-166768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に装着され、前記走行機体から動力を供給する入力軸を有した機枠と、
該機枠に旋回自在に一端側を支持され、長手方向に伸縮可能な回動フレーム部と、
前記機枠に旋回自在且つ長さ調整可能に設けるとともに、前記回動フレーム部と非平行リンク機構が設定されるロッドと、
前記回動フレーム部の他端側に回動可能に支持されるとともに前記回動フレーム部の長手方向に移動可能にされた作業部と、
該作業部は、元畦の土壌を切削する耕耘装置を備えた盛土部と、
該盛土部の後方に位置して前記盛土部によって盛られた土壌を回転しながら押圧して畦を成形する畦成形ディスク体と、
前記畦成形ディスク体の回転軸と平行に設け、前記盛土部及び前記畦成形ディスク体を駆動させる作業部入力軸と、を備え、
前記入力軸及び前記作業部入力軸に接続して動力を伝達するとともに平面視において前記回動フレーム部とほぼ平行に設けた伸縮可能な中間シャフトを有するユニバーサルジョイントと、を備え、
前記回動フレーム部を長手方向に移動させた時において、前記中間シャフトが伸縮することによって前記入力軸と前記作業部入力軸の相対角度は不変のままで互いの距離が変化するように設ける、
とを特徴とした畦成形機。
【請求項2】
前記回動フレーム部は、前記機枠に旋回自在に一端側を支持される第1回動フレームと、
該第1回動フレームに対し、位置変更可能に取り付けられた第2回動フレームと、
をさらに備えたことを特徴とした請求項1に記載の畦成形機。
【請求項3】
前記第2回動フレームは前記第1回動フレームに対して長手方向と平行に位置変更が可能であると共に、前記第1回動フレームに固定及び固定解除が可能に設けている、
ことを特徴とした請求項2に記載の畦成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体に装着する畦成形機に係る。詳細には、畦成形作業部を支持する支持フレーム長が調整可能な畦成形機に係る。
【背景技術】
【0002】
畦成形作業部を装着する走行機体の進行方向側方の一方にオフセットさせて畦を成形する畦成形機は、特許文献1に記載の畦成形機が開示されている。
この畦成形機は、土を盛上げ状態に供給する盛土部と、盛土部で盛土された土壌を押圧して畦に成形する成形部とを有し、成形部は、盛土部で土を盛上げ状態とした畦成形箇所上を回転しながら通過する上面ローラと、円錐状ディスクを備えた畦成形機であるとされる。また、盛土部と成形部によって構成された畦成形作業部は、進行方向側方の一方にオフセットさせる作業を可能にすると共に、他方側に反転させて作業が可能である畦成形機である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-139976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機械を走行機体に装着して走行する場合は、走行機体が有する複数の車輪の接地面にかかる荷重は適正な配分であることが走行安定上望ましい。したがって、走行機体に装着される作業機械は軽量であるか、又は、作業機械を走行機体に近接させて配置させる、すなわち作業機械の重心位置を走行機体に近接させることが好ましいと言える。
特許文献1に記載の畦成形機は、異なる車体寸法の走行機体にそれぞれ装着した場合、一方の走行機体に対しては好適な重量バランスで装着可能であるが、他方の走行機体に対しては重量バランスが悪化するといった場面が生じる。数多く存在する走行機体に合わせて、異なる寸法の作業機械を製造していては販売価格に直結する製造原価が高騰する問題がある。
また、特許文献1に記載の畦成形機は、支持フレームの旋回動作で、畦成形作業部を走行機体の進行方向の側方に移動させることが可能であるものの、設定された移動範囲以上に畦成形作業部を進行方向の側方に移動させると、畦成形作業部を駆動するユニバーサルジョイントの屈曲角度が大きくなり、駆動トルクによってユニバーサルジョイントが破損に至る問題がある。
【0005】
したがって、本発明は上記問題点に着眼してなされたものであり、製造原価を抑制すると共に、ユニバーサルジョイントの屈曲角度を過大にする事無く、種々の走行機体に好適な重量バランスで装着可能な畦成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、走行機体に装着され、走行機体から動力を供給する入力軸を有した機枠と、この機枠に旋回自在に一端側を支持され、長手方向に伸縮可能な回動フレーム部と、機枠に旋回自在且つ長さ調整可能に設けるとともに、回動フレーム部と非平行リンク機構が設定されるロッドと、回動フレーム部の他端側に回動可能に支持されるとともに回動フレーム部の長手方向に移動可能にされた作業部と、該作業部は、元畦の土壌を切削する耕耘装置を備えた盛土部と、該盛土部の後方に位置して盛土部によって盛られた土壌を回転しながら押圧して畦を成形する畦成形ディスク体と、畦成形ディスク体の回転軸と平行に設け、盛土部及び畦成形ディスク体を駆動させる作業部入力軸と、を備え、入力軸及び作業部入力軸に接続して動力を伝達するとともに平面視において回動フレーム部とほぼ平行に設けた伸縮可能な中間シャフトを有するユニバーサルジョイントと、を備え、回動フレーム部を長手方向に移動させた時において、中間シャフトが伸縮することによって入力軸と作業部入力軸の相対角度は不変のままで互いの距離が変化するように設ける、畦成形機であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、製造原価を抑制すると共に、ユニバーサルジョイントの屈曲角度を過大にする事無く、種々の走行機体に好適な重量バランスで装着可能な畦成形機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態である畦成形機の前進作業状態の平面図である。
図2】本発明の実施形態である畦成形機の前進作業状態の正面図である。
図3】本発明の実施形態である畦成形機の前進作業状態の回動フレーム部を拡大した平面図である。
図4】本発明の実施形態である畦成形機の回動フレーム部の正面を拡大して模式的に表した正面図である。
図5】本発明の実施形態である畦成形機の前進作業状態の伝動部を表した平面図で、2点鎖線にて記載した部分は回動フレーム部及び支持フレームの位置関係を示すため設けたものである。
図6】本発明の実施形態である畦成形機の重心位置を表わした平面図で、(a)は前進作業状態、(b)は格納状態、(a)は後進作業状態である。
図7】本発明の実施形態である畦成形機の第1の変形例のロッドを示した部品図で、(a)はロッドの平面図、(b)はロッドの側面図である。
図8】本発明の実施形態である畦成形機の第2の変形例の回動フレーム部を拡大した平面図である。
図9】本発明の実施形態である畦成形機の第2の変形例の回動フレーム部を拡大した側面を模式的に表した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付すことがある。説明に用いる図面は模式的なものであり、各部の寸法との関係等は現実のものとは異なることがある。
又、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
図1乃至図6は、本発明の実施形態である畦成形機Aを示している。
説明においては、図1の右側を作業前進方向の前方、左側を作業前進方向の後方、上方を作業前進方向に対する左方向、下方向を作業後進方向に対する右方向、として説明する。
【0011】
図1に示す畦成形機Aは、走行機体に設けた三点リンク機構(図示せず)に装着し、走行機体の進行と共に田畑の畦を成形するものである。畦成形機Aは、走行機体側に設けた機枠1と、機枠1に一端側を水平方向へ回動可能に設けた回動フレーム部2と、回動フレーム部2の他端側に回動可能に設けられた作業部Wが位置している。作業部Wは、機枠1の中心部から回動フレーム部2によって左右側方にオフセットして位置させることができる。
【0012】
作業部Wの作業時における進行方向の前方側には、田面及び元畦の一部土壌を掘削して元畦の側面及び上面に盛り上げる盛土部4が位置している。作業部Wの作業時における進行方向の後方側に位置し、進行方向と直行する水平な回転軸により回転駆動しながら、盛土部4により盛り上げられた盛土を締め固めて、元畦上に新たな畦を成形する畦成形ディスク体5が備えられている。
【0013】
この実施の形態においては、走行機体の前進方向の右側に回動フレーム部2を揺動させて作業部Wを右側方に位置させた場合、走行機体の前進と共に田畑の畦を成形することができる。反対に、回動フレーム部2を回動させて作業部Wを左側方に位置させた場合、走行機体の後進と共に田畑の畦を成形することができる。
【0014】
機枠1の前方部には、走行機体の三点リンク機構に畦成形機Aを装着するための装着部10が位置している。畦成形機Aは、走行機体後方の三点リンク機構Dに装着部10を介して取り付けられ、使用される。装着部10には、機枠1の中央部に前方且つ上方に向けて突設された1個のトップブラケット101を設け、このトップブラケット101上方部の前端部にはトップリンクピン102を設けている。同じく、機枠1に前方且つ下方に向けて左右に対向して突設されたロアブラケット103と、このロワブラケット103のそれぞれの前方端部にロワリンクピン104、104が取り付けられている。これらトップリンクピン102、ロワリンクピン104により、畦成形機Aは走行機体の三点リンク機構に連結され装着される。
【0015】
機枠1の後方部には、第1回動基部12が位置している。第1回動基部12は図2に示すように側面視コの字状の部材で、装着部10の後方部に固着される。旋回基部12の進行方向に対する左右の中央部には、支点孔121、121を垂直方向に側面視コの字状部材の対向する面を貫通するように設けている。支点孔121、121の間には、回動フレーム部2の一端側が取付けられる。
【0016】
回動フレーム部2は、機枠1の後方部に回動自在に取り付ける第1回動フレーム21と、第1回動フレーム21に取り付けられ、第1回動フレーム21の長手方向に摺動可能に設けた第2回動フレーム22によって構成されている。
【0017】
第1回動フレーム21は長尺状の部材で、一端側を支点孔121、121の間に位置させると共に第1回動軸211を支点孔121、121に通すことで、支点孔121、121及び第1回動軸211を軸にして進行方向左右に回動自在に設けられている。説明する実施形態においては、第1回動フレーム21は中空部材である角パイプを用いているが、角棒を使用しても良い。
第1回動フレーム21の他端側には、第2回動フレーム22を取付けるための取付孔212が設けられている。この実施形態では、取付孔212は鉛直方向に2箇所、近接して設けていて第1回動軸211に近い側から順に、取付孔212a、取付孔212bとしている。第1回動フレーム21の他端側には第2回動フレーム22が取付けられている。
【0018】
第2回動フレーム22は前後方向に長い中空部材であり、一端側の中空部分に第1回動フレーム21を挿入して設けている。説明する実施形態においては、角パイプを使用している。第2回動フレーム22の中空部分に第1回動フレーム21を挿入することで、第2回動フレーム22は第1回動フレーム21に対して長手方向に摺動して移動が可能である。
さらに第2回動フレーム22の一端側には、第1回動フレーム21に設けた取付孔212と同じ方向に向けた取付孔221が貫通して設けられている。取付孔221は複数設けられていて、この実施形態では4箇所に設けている。取付孔221は第1回動軸211に近い側から順に、取付孔221a、取付孔221b、取付孔221c、取付孔221d、としている。
【0019】
第2回動フレーム22に設けられた取付孔221a、221b、221c、221dのいずれか2つと、第1回動フレーム21の取付孔212a、212bに位置を合わせて係止部材23を通すことによって、第2回動フレーム22は回動フレーム21に対して固定及び固定解除することが可能である。この実施形態において、第2回動フレーム22を固定するための係止部材はボルト及びナットであるが、棒状のピンを通すことでも得られる効果は同様である。また、係止部材23を取外せば固定が解除され、第2回動フレーム22は第1回動フレーム21に対して長手方向に再び移動が可能になる。
【0020】
第2回動フレーム22は第1回動フレーム21に対して長手方向に伸縮が可能であるが、その位置は、取付孔212a、212bに合わせる取付孔221a、221b、221c、221dを選択して係止部材23を通すことによって決められる。図3及び図4に示す実施の形態では、3段階に回動フレーム部2の長さを調整ができ、短縮位置、中間位置、伸長位置としている。伸長位置は、取付孔212a、212bに対して合わせる第2回動フレーム22の孔位置を、取付孔221a、221bにして係止部材23を通して固定することで形成される。中間位置は、取付孔212a、212bに対して合わせる第2回動フレーム22の孔位置を、取付孔221b、221cにして係止部材23を通して固定することで形成される。短縮位置は、取付孔212a、212bに対して合わせる第2回動フレーム22の孔位置を、取付孔221c、221dにして係止部材23を通して固定することで形成される。
【0021】
実施形態において、第1回動フレーム21の取付孔212を2箇所、第2回動フレーム22の取付孔221を4箇所にして、3段階に調整しているが、第1回動フレーム21の取付孔212を1箇所、第2回動フレーム22の取付孔221を3箇所にしても3段階に調整でき、その効果は変わらない。また、回動フレーム部2の長さの調整段階数を変更する場合は、取付孔221の数を変更すれば良く、より細かな調整ができる。
【0022】
回動フレーム部2の長さを変更可能にしたことによって、第1回動フレーム21に取り付けられた第2回動フレーム22の他端は、第1回動軸211を支点に回動したときの半径を選択的に変更することができる。回動フレーム部2の他端側となっている第2回動フレーム22の他端部には作業部Wが旋回可能に取付けられていて、作業部Wは第2回動フレーム22の移動に伴って位置を変更できる。作業部Wについては後述する。
【0023】
回動フレーム部2は駆動手段24によって、進行方向に対して左右に旋回駆動が可能である。駆動手段24は伸縮駆動が可能なシリンダで、説明する実施形態においては、電気を動力源として駆動手段24内で発生させた液圧によってピストンロッドを伸縮駆動可能なシリンダとしている。
【0024】
駆動手段24の一端部は、第1回動基部12の右側部に、左右方向に回動自在に設けられている。駆動手段24の他端部、すなわち、ピストンロッドの先端部を、第2回動フレーム22の側方に上下対向して固着させた矩形状の取付板25、25の間に位置させている。取付板25、25には回動フレーム部2の長さ調整段階数と同じ数の孔251が貫通させてある。説明する実施の形態では孔251は3箇所であり、第1回動軸211に近い側から順に、孔251a、孔251b、孔251cとしている。孔251のピッチは回動フレーム部2の長さの調整ピッチと同じに設けられている。孔251に位置させた駆動手段24の他端部は、孔251と共にボルト・ナット252によって取付けられる。すると、回動フレーム部2は、駆動手段24の伸縮に伴って、左右方向に回動駆動ができる。ボルト・ナット252はピンによっても駆動手段24の取付けが可能である。
【0025】
取付板25、25は、第1回動フレーム21に対して移動可能な第2回動フレーム22に固着されていることから、駆動手段24と孔251の取付位置は、第2回動フレーム22の移動に伴って変更させる。回動フレーム部2を伸縮させた位置が、伸長位置の場合は孔251aを使用し、中間位置の場合は孔251bを使用し、短縮位置の場合は孔251cを使用する。このように、回動フレーム部2を伸縮に伴い駆動手段24と孔251の取付位置を変更することで、回動フレーム部2の回動角度及び回動幅は不変のままで、回動フレーム部2の長手方向の長さのみを変更できる。
【0026】
駆動手段24は、この実施形態で示した電気を動力源としたシリンダに限らない。他の離れた場所で発生させた液圧を配管等で送り、ピストンロッドを伸縮させるシリンダを使用しても、回動フレーム部2を回動させる効果に変わりはない。
【0027】
駆動手段24によって旋回可能な回動フレーム部2の他端側である第2回動フレーム22の他端側には、作業部Wが取付けられている。作業部Wは、支持フレーム部3と盛土部4と畦成形ディスク体5で構成されている。
【0028】
支持フレーム部3には、回動フレーム部2と連結するための支持部材30が設けられている。支持部材30は、長尺状の部材で、説明する実施形態の支持部材30は角パイプを用いている。支持部材30の一端側は、第2回動フレーム22の他端側に固着された図4に示す側面視でコの字状の第2回動基部26に挟まれるように配置いている。支持部材30は、支持部材30の一端側に貫通して設けた孔と、第2回動基部26に垂直方向に設けられた孔に、第2回動軸31を差し込むことによって左右方向への回動が自在である。
【0029】
第2回動軸31と同軸で第2回動基部26の上方には、アーム32を設けている。アーム32は、第2回動軸31を軸にして回動自在である。アーム32は、左右方向に長い部材で中央部付近を回動支点に設けている。アーム32の一端側は回動支点に対し前進方向左方に延ばすように設けられて、アーム32の他端側は回動支点に対して進行方向右方に延ばすように設けている。
【0030】
アーム32の一端部には取付軸321を下方に向けて設けていて、この取付軸321にはロッド33の一端部が回動自在に取付けられる。ロッド33の他端部は、第1回動基部12の近傍に設けた取付軸122に取り付けられる。ロッド33は、長さの調整が可能で、この実施形態においては、ロッド33の両端部それぞれに設けたインナーロッド331と、インナーロッド331、331間を繋ぐようにアウターパイプ333が設けられている。ロッド33はインナーロッド331、331に設けた雄ネジとアウターパイプ333に設けた雌ネジによって長さ調整が可能である。回動フレーム部2の長さを変更した場合は、アウターパイプ333を作業者によって回転させることで長さを調整する。
【0031】
第1回動軸211と第2回動軸31間、第2回動軸31と取付軸321間、取付軸321と取付軸122間、取付軸122と第1回動軸211間のそれぞれの距離は異なっていて、非平行のリンク機構に設けている。この非平行リンク機構の設定によって、図3に示す平面視で、回動フレーム部2の回動に伴い、第2回動軸31と取付軸321間を結ぶ直線は、取付軸122と第1回動軸211間を結ぶ直線に対して角度を変えながら回動する。
【0032】
アーム32の他端側にはリンク取付部335を設け、このリンク取付部335には第1リンク34の一端側を取付けることによって、第1リンク34は左右方向に回動自在である。第1リンク34の他端側は、支持部材30の長手方向中央部の側方に一端側を回動自在に取付けた第2リンク35の中央部付近に取り付ける。さらに、第2リンク35の他端部には、支持部材30の長手方向他端部側方に一端側を回動自在に取付けた駆動手段36を取り付ける。
【0033】
この実施形態においては、第1リンク34及び第2リンク35はいずれも長尺状の部材で、第1リンク34は第2リンク35よりも短く設定している。また、駆動手段36は、駆動手段24と同様に伸縮駆動が可能なシリンダを使用している。
駆動手段36の伸縮動作に伴い、支持部材30は第1リンク34及び第2リンク35を介することによって、第2回動軸31を支点にして回動フレーム部2に対して進行方向の左右に回動駆動が可能になる。
【0034】
支持部材30の他端には、盛土部4及び畦成形ディスク体5が取付けるためのベース部材37が固着されている。ベース部材37は板部材であり、板面を支持部材30の他端から下方に向けて設置されている。図1及び図3に示す前進作業状態のときは、ベース部材37の板面に対する法線は左右方向に向いている。前進作業状態の場合において、ベース部材37の前方側には盛土部4を配置させている。
【0035】
盛土部4は、水平回転軸に複数且つ回転半径がそれぞれ異なる耕耘爪40を放射状に設け、元畦側に突出するように設けた耕耘装置41と、耕耘爪40によって跳ね上げた土壌を元畦側に誘導するカバー体42を備える。耕耘爪40を有する耕耘装置41は、走行機体からの動力により回転駆動して田面及び元畦斜面の一部及び元畦の上面の土壌を掘削する。元畦斜面は耕耘装置41の耕耘爪40の回転半径によって階段状に掘削することができる。掘削された土壌は、元畦側及び盛土部4の後方に位置する畦成形ディスク体5に飛ばされて盛土を形成する。畦成形ディスク体5は後述する。
この実施形態での耕耘装置41は、2箇所に設けている。田面及び元畦斜面の土壌を掘削する第1耕耘装置41aと、第1耕耘装置41aより畦成形ディスク体5側に位置し、元畦の上部の面の土壌を掘削する第2耕耘装置41bとで構成している。
【0036】
盛土部4を覆うようにカバー体42が取り付けられている。カバー体42は、耕耘装置41の回転駆動する耕耘爪40によって、元畦及び田面を耕耘するときに、周囲に土が飛散しないように設けられている。カバー体21側部の畦側は、耕耘爪40の耕耘によって盛土を畦側面及び畦上面に成形させるために開放されている。カバー体21の後方側は、畦成形ディスク体5の前方側の一部を覆っている。
【0037】
盛土部4の後方に位置する畦成形ディスク体5は、図2に示すように畦上面を成形する円筒状の上面ローラ52と、畦側面を成形する成形ディスク51により構成されている。畦成形ディスク体5は、進行方向と直行する回転中心軸を中心に進行速度より速く回転して、盛土部4により盛土された土壌をスリップ回転しながら進行し締め固める。
【0038】
成形ディスク51は、畦側面側から田面側に向かって徐々に半径を拡大させるように、分割片を互いに重ね合わせて円錐台状に設けている。また、成形ディスク51頂部側には水平方向に向けた円筒状の上面ローラ52を畦側に向けて突出するように取り付けられている。成形ディスク51及び上面ローラ52は盛土部4の耕耘装置41と共に回転駆動する。走行機体の動力を得て回転する成形ディスク51及び上面ローラ52と、これらそれぞれの自重とによって、盛土部4で成形された盛土を元畦に擦り付ける共に押圧して盛土を締め固める。
【0039】
ここで、盛土部4及び畦成形ディスク体5の駆動方法を説明する。駆動の動力源となる回転動力を走行機体後方のPTO軸(図示せず)から獲得する。PTO軸の回転動力はユニバーサルジョイント(図示せず)を介し、装着部10の下方側で進行方向左右中央部に一端を走行機体側に向け突出して設けられた入力軸13に伝達される。
【0040】
入力軸13は機枠1に設けられた軸受部131によって回転自在に保持していて、他端側は軸受部131から走行機体と反対側に向けて突出して設ける。この入力軸13の他端側にはユニバーサルジョイント14が取付けられている。
ユニバーサルジョイント14は、両端側に自在継手142、142を有し、自在継手間に位置する中間シャフト141は伸縮が可能に設けている。ユニバーサルジョイント14の一端側は入力軸13に接続し、他端側は作業部入力軸15に接続している。
【0041】
作業部入力軸15は、ベース部材37の上部で、第2回動軸31側に向けて突出させて設ける。作業部入力軸15は、前進作業状態及び後進作業状態では、進行方向に対し左右方向にけられる。作業部入力軸15は、軸受部151によって回転自在に保持されていて、PTO軸から伝達された回転動力を伝動ケース部16に伝える。この実施形態の場合、伝動ケース部16は伝動ケースを3箇所に設けていて、作業部入力軸15から動力を受けると共に盛土部4の第2耕耘装置41bに動力を伝達する第1伝動ケース161、第1伝動ケース161から盛土部4の第1耕耘装置41aに動力を伝達する第2伝動ケース162、第1伝動ケース161から畦成形ディスク体5に動力を伝達する第3伝動ケース163で構成している。また、第1乃至第3の伝動ケース161、162、163内にはチェーン(図示せず)とスプロケット(図示せず)によって、作業部入力軸15から得た回転動力を変速すると共に伝動する。第1乃至第3の伝動ケース161、162、163のそれぞれ一端側は伝動軸164を共通に通していて、ここから第2耕耘装置41bへの動力を取り出すと共に盛土部4及び畦成形ディスク体5に動力を分配している。
【0042】
このように構成することによって、PTO軸の回転動力は入力軸13、ユニバーサルジョイント14、作業部入力軸15、伝動ケース部16を介して盛土部4や畦成形ディスク体5に伝動し、それぞれを回転駆動させる。また、畦成形ディスク体5の回転軸は、作業部入力軸15と平行に設けていて、分配した動力を効率よく伝達する。
【0043】
回動フレーム部2は短縮位置、中間位置、伸長位置へ調整が可能に設けられていることは前述したとおりである。このため、回動フレーム部2の長手方向に伸縮移動と共に作業部Wも回動フレーム部2と同様に短縮位置、中間位置、伸長位置へ移動が可能となる。図1及び図3及び図5に示す前進作業状態は、回動フレーム部2は前進方向右側且つ後方側へ回動した状態になっている。進行方向の前後の向きに配置した入力軸13と、進行方向の左右の向きに配置した作業部入力軸15と、を繋ぐようにユニバーサルジョイント14が取付けられている。又、中間シャフト141は、回動フレーム部2と平面視でほぼ平行に設けている。このため、回動フレーム部2を短縮位置、中間位置、伸長位置のそれぞれへ移動させると、入力軸13と作業部入力軸15の相対角度は不変のままで、入力軸13と作業部入力軸15の互いの距離が変化する。ユニバーサルジョイント14は中間シャフト141が伸縮するのみで自在継手142、142の屈曲角度は変化しない。自在継手142、142の屈曲角度は変化しないので、ユニバーサルジョイント14は安定的に動力を伝達することができ破損等の不具合を減少させる。
【0044】
作業部Wは、回動フレーム部2及び支持部材30の回動によって、前進作業位置と、格納位置と、後進作業位置に姿勢を変更できる。前進作業位置は、平面視で図6の(a)に示すように作業部Wを走行機体の右側方に位置させた状態である。この状態で走行機体を前進させることによって、走行機体の進行方向右側の畦を成形する。格納位置は、平面視で図6の(b)に示す作業部Wを走行機体の後方に位置させた姿勢であり、走行機体を畦成形作業時以外に移動させる場合に用いる。後進作業位置は、平面視で図6の(c)に示す作業部Wを走行機体の左側方に位置させた状態であり、走行機体を後進させることによって、走行機体左側の畦を成形する。
【0045】
作業部Wを前進作業位置から格納位置に変更する場合は、回動フレーム部2近傍に配置させた駆動手段24を伸縮動作させ、回動フレーム部2を走行機体の前進方向右側から左側に回動する。すると作業部Wも回動フレーム部2と一体になって回動するので、作業部Wは走行機体の後方に位置する。平面視の図〇に示すように、格納位置の盛土部4及び畦成形ディスク体5の回転駆動軸は後方に向いて、畦成形機A全体として走行機体の側方から大きくはみ出さないようになっている。このときの作業部入力軸15の端部は前方右側に向いていて、ユニバーサルジョイント14の他端側も回動フレーム部2の回動と共に移動する。
【0046】
後進作業位置に変更する場合は、作業部Wを一度格納位置にしてから行う。後進作業位置への変更は、格納位置状態である作業部Wを駆動手段36の伸縮動作により、第2回動軸31を中心軸にして回動させて行う。すると、作業部Wは走行機体の左側方に位置すると共に、格納位置の盛土部4及び畦成形ディスク体5の回転駆動軸は、進行方向と直交する方向に向いた状態になる。また、作業部Wの回動と共に作業部入力軸15の端部も進行方向の右側に向き、ユニバーサルジョイント14の他端側は回動フレーム部2の回動と共に移動する。中間シャフト141は回動フレーム部2と平面視で平行に設定されている。
この状態で、盛土部4及び畦成形ディスク体5を回転駆動させると共に走行機体を後進させると、走行機体左側の畦を成形することができる。又、後進作業位置のときの作業部Wの走行機体の進行方向に対するオフセット量は、進作業位置のときの作業部Wの走行機体の進行方向に対するオフセット量と同一に設定している。そうすることで、作業者は、前進作業、後進作業共に違和感なく走行機体を操作できるので、さらなる安全性の向上を期待できる。
【0047】
前進作業状態又は後進作業状態での作業部Wの位置は、畦成形ディスク体5の円錐台状部の裾部で形成される底面を、走行機体の進行方向に対して左右のいずれかの最も側方の位置と同じか、やや外側に位置させることが望ましい。このように位置させることで、畦成形機Aを装着した際の走行機体のバランス及び作業性を良好に保つことができる。
【0048】
装着する走行機体の大きさによって、走行機体の最も外側の側部から畦成形ディスク体5の円錐台状の裾部で形成される底面が、走行機体の最も外側の端面から内側に入る場合は、回動フレーム部2の長手方向の位置を調整する。回動フレーム部2の長手方向の位置の調整を行うことによって、走行機体に対する作業部Wの位置を適正にすることができる。また、実際の畦成形作業において、畦成形機Aと走行機体の組合せを頻繁に変えることは起きないため、回動フレーム部2の調整を畦成形作業の前に予め調整するのみで、畦成形作業は滞りなく行うことができる。
【0049】
また、この実施形態では、作業部Wの位置を前進作業位置、格納位置、後進作業位置の3つの位置に限定しているため、前進作業又は後進作業における作業部Wの進行方向と直交する方向への位置調整を不要にできる。このことは、回動フレーム部2へ作業部Wを支持する構造・部材を簡略化できるので、製造に纏わる原価を低減できる。
また、作業部Wの位置を限定しているので、自在継手142が不用意に屈曲角度を過大となることを防ぎ、ユニバーサルジョイント14の破損を防止できる。さらに、回動フレーム部2の長手方向の位置を調整によって作業部Wの位置が変化しても、中間シャフト141が回動フレーム部2の移動と共に伸縮するのみである。したがって、自在継手142の屈曲角度は変化しないので、回動フレーム部2の位置調整による設定ミスが無くなる。
【0050】
畦成形機Aの重心位置を説明する。この実施形態の畦成形機Aの全重量の過半数は作業部Wが占めているため、畦成形機Aの重心位置は作業部W側に位置している。この実施形態の重心位置は、図6に示す平面視において、第2の伝動ケース162及び伝動軸164よりやや畦成形ディスク体5寄りに位置している。さらに畦成形機Aは、回動フレーム部2の先端部に作業部Wを支持させている構造であるため、回動フレーム部2の長手方向に位置調整した際の短縮位置、中間位置、伸長位置のそれぞれの位置で、重心位置が変化する。図6に示す2点鎖線で描いた線は、回動フレーム部2が中間位置、伸長位置にさせたときの、それぞれの作業部Wの位置を示している。回動フレーム部2の短縮位置では作業部Wが最も入力軸13、第1回動軸211に近く、伸長位置のときが最も遠くなる。これは、前進作業位置、格納位置、後進作業位置のそれぞれ、どの状態でも同様に設けられている。
【0051】
図6に示す平面図には、回動フレーム部2が短縮位置のときの重心位置をG1、中間位置のときの重心位置をG2、伸長位置のときの重心位置をG3として示している。前進作業位置、格納位置、後進作業位置のそれぞれの状態において、回動フレーム部2が短縮位置のときの重心位置G1は、回動フレーム部2が中間位置のときの重心位置G2よりも入力軸13に近くなる。同様に、回動フレーム部2が中間位置のときの重心位置G2は、回動フレーム部2が伸長位置のときの重心位置G3よりも入力軸13に近くなる。
【0052】
すると、入力軸13の近傍に位置する装着部10によって走行機体に装着した場合の畦成形機Aの重心位置は、回動フレーム部2が伸長位置よりも中間位置、中間位置よりも短縮位置のときが走行機体により近接できるので、走行時の安定性を向上できる。詳細には、前進作業位置及び後進作業位置においては、走行機体の進行方向左右側への安定度の向上、格納位置においては走行機体の進行方向の前後側への安定度の向上のそれぞれを期待できる。これは、走行機体が安定して走行できることを示し、不用意に走行機体が振られることを減少させ、作業者による走行機体の操作を容易にする。
【0053】
この実施形態の畦成形機Aの実際の作業における取扱いを説明する。走行機体に装着させ、前進作業位置又は後進作業位置にした場合に、畦成形ディスク体5の円錐台裾部を走行機体の進行方向に対する左右側方端と同一又はやや外側に位置しているか確認をする。このときに、円錐台裾部が走行機体の進行方向に対する左右側方端より内側に位置しているときは、回動フレーム部2を長手方向に伸長させて、走行機体に対する畦成形ディスク体5の位置を調整する。反対に、畦成形ディスク体5の円錐台裾部が走行機体の進行方向に対する左右側方端より大幅に外側に位置しているときは、回動フレーム部2を長手方向に短縮移動させて、位置を調整する。
【0054】
走行機体に対する畦成形ディスク体5の側方へのオフセット量を、予め望ましい量に調整することで、畦成形作業中の都度、作業部Wを進行方向に対する左右方向への位置調整をすることは無くなる。したがって、畦成形機Aに対して、作業者が操作する部分が減少するので、利便性が向上する。畦成形作業中は畦成形機Aを装着する走行機体を変更することは無いため、一度回動フレーム部2を調整してしまえば畦成形作業中に回動フレーム部2を調整することは無くなる。また、畦成形作業後に別の走行機体に変更しても、車格が同じであれば、走行機体に対する畦成形ディスク体5の側方へのオフセット量は同じであるため、回動フレーム部2は調整が不要になる。
【0055】
また、作業部Wの位置を前進作業位置、格納位置、後進作業位置の3つの位置に限定しているため、作業部Wが回動フレーム部2に対して回動する部材を簡略化できる。したがって、作業部Wを回動させるために不必要な部材を廃することができ、畦成形機Aの製造原価を抑制できる。
【0056】
また、前進作業位置及び後進作業位置において、回動フレーム部2を長手方向へ移動調整させても、ユニバーサルジョイント14の屈曲角度は変わらないので、入力軸13から作業部入力軸15へ回転動力の伝達効率は変わらない。このため、安定的に動力を作業部Wの盛土部4及び畦成形ディスク体5に伝達できると共に、ユニバーサルジョイント14の屈曲角度が過大になることによる破損から防ぐことができる。
【0057】
畦成形機Aによって畦成形作業を行う場合を説明する。
前進作業又は後進作業状態での盛土部4及び畦成形ディスク体5の回転駆動軸はそれぞれ水平で進行方向に対し直交する方向に向けられている。盛土部4は走行機体の進行方向の先に位置させ、畦成形ディスク体5は盛土部4の後方に位置させている。走行機体の進行方向への進行と共に、回転駆動させた盛土部4の耕耘装置41で田面、畦側面、畦上面部の土壌を耕耘する。同時に、耕耘した土壌を盛土部4の後方に盛り上げると共に、土壌を畦成形ディスク体5側に跳ね飛ばす。畦成形ディスク体5は盛土部4で形成した盛土と、跳ね飛ばされた土壌を回転させながら元畦に塗り付けるように押圧することで畦を成形する。また、作業部Wの自重は畦成形ディスク体5を介して盛土を押圧するので、成形した畦をさらに強く押圧でき、滑らかで強固な畦を成形する。畦の成形作業を終え、走行機体を別な場所へ移動させる場合は、作業部Wを格納位置にしてから、走行機体を移動させる。
【0058】
図7を用いて第1の変形例を説明する。
上述の実施形態のロッド33は、2つのインナーロッド331と1つのアウターパイプ333のそれぞれに設けたネジによって、長さを調整する方式を説明した。しかし、長さ調整は、この方式にはとらわれない。図7に示すように、ロッド33aを1つのインナーロッド331aと1つのアウターパイプ333aで構成し、それぞれに複数の貫通孔を設けて、この孔にピン等の係止部材334aを挿入することで、互いの移動を規制する方式でも良い。この方式では、回動フレーム部2を段階的に調整した場合に、予め設定された貫通孔に係止部材334aを入れるだけで良いので、作業者にとって、より利便性の向上が期待できる。
【0059】
図8及び図9を用いて第2の変形例を説明する。
実施形態の回動フレーム部2は複数の取付孔212、221によって段階的に長尺方向への長さ調整を行う方式で説明したが、図8及び図9に示すように、無段階調整が可能に構成した方式の回動フレーム部2aで、2点鎖線で描いた部分は回動フレーム部2aを伸長させた場合の位置を表している。第2の変形例では、第1回動基部12a上に第1取付ホルダ271、第2回動フレーム22a上に第2取付ホルダ272を設け、第1取付ホルダ271と第2取付ホルダ272を架け渡すようにして調整ロッド28を取付ける。調整ロッド28の両端部は回動自在に取付けられていて、第1回動フレーム21aの回動を阻害しない。
【0060】
調整ロッド28は、円筒状で両端に雌ネジを形成したアウターパイプ282と、アウターパイプ282の両端側に設け、一端側に雄ネジを有すると共に他端側を第1取付ホルダ271及び第2取付ホルダ272に取り付けたインナーロッド281で構成している。このため、アウターパイプ282を回転させると、インナーロッド281及びアウターパイプ282に設けたネジにより、調整ロッド28は伸縮自在である。アウターパイプ282を回転させることにより、第2回動フレーム22aは第1回動フレーム21aに対して長手方向に移動が可能である。アウターパイプ282を回転させることより、第2回動フレーム22aは第1回動フレーム21aに対して任意の位置に決めることができる。移動完了後は、インナーロッド281に取り付けたナット283を回して締め付けることにより、第2回動フレーム22aは固定される。第2回動フレーム22aを移動するときには、ナット283を弛めて固定を解除してから行う。
【0061】
また、第1回動フレーム21a及び第2回動フレーム22aを有する回動フレーム部2aを回動させる駆動手段24を取付ける取付板25aは、第1回動フレーム21aに取り付けられている。第1回動フレーム21aの外周を覆うように配置された第2回動フレーム22aの側方には、取付板25aを回避するように矩形状の切欠き孔223aが設けられている。このように構成した回動フレーム部2aは、回動自在であると共に長手方向に任意に指定した場所に伸縮移動が可能としつつ、駆動手段24に対する取付孔の付け替えを回避できる。したがって、作業部Wの位置はより緻密に調整を行うことができるので、作業部Wは作業者が任意に要求した位置に設定することができる。駆動手段24の付け替えがなくなることで調整工程が減らせるので、作業者にとって利便性がより高まる。
【0062】
第2の変形例では、調整ロッド28を取付ける第1取付ホルダ271は第1回動軸211より前方側に設けている。このように構成することで、調整ロッド28は第1回動軸211より前方側で回動することになり、第1回動フレーム21aが第1回動軸211を軸に後方側に回動すると共に、第2回動フレーム22aが徐々に回動中に第1回動軸211の方向に近接することができる。その後、回動を進めると回動フレーム部2aは、徐々に伸長して元の位置に戻る。つまり、第1回動フレーム21a回動中に作業部Wをより前方に近接させて回動動作ができ、作業部Wの旋回動作をより狭い範囲で行うことができる。旋回動作後、すなわち、先進作業状態、格納状態、後進作業状態での第2回動フレーム22aの長手方向への移動は、調整ロッド28によって固定された状態であるので、移動することなく安定して畦成形作業ができる
【0063】
本発明は、上記の実施形態及び変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示に基づく実施形態、実施例及び運用技術の改変は、当業者とって自明のことである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
この発明は、トラクタ等の走行機体に装着し、進行方向の左右側方にオフセットして作業を行う農作業機に利用できる。
【符号の説明】
【0065】
1 機枠
10 装着部
12 第1回動基部
13 入力軸
14 ユニバーサルジョイント
2 回動フレーム部
21 第1回動フレーム
22 第2回動フレーム
3 支持フレーム部
30 支持部材
31 第2回動軸
32 アーム
33 ロッド
4 盛土部
41 耕耘装置
5 畦成形ディスク体
W 作業部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9