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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】支持具およびデッキプレート支持具
(51)【国際特許分類】
   B66F 3/10 20060101AFI20220107BHJP
   E04G 11/56 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B66F3/10
E04G11/56
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019096547
(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公開番号】P2020189739
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-07-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521048967
【氏名又は名称】合同会社B-アドバンス
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-166195(JP,A)
【文献】特開平08-099796(JP,A)
【文献】特開平04-371497(JP,A)
【文献】特表2016-513763(JP,A)
【文献】特開2016-169084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 3/08- 3/10
E04G 11/48ー 11/56
B66F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の筒体を入れ子状に配してなり中心軸を基軸に回転しない多重筒体と、この多重筒体の前記中心軸上に配されて前記多重筒体を伸縮させる動力伝達軸と、を備えたスクリュージャッキ構造からなる伸縮装置と、
この伸縮装置を構成する少なくとも1の前記筒体の外側面上にスライド可能に設けられ、支持対象物を直接又は間接的に支持する支持用腕部と、を備え、
前記伸縮装置において、
前記多重筒体を構成する個々の前記筒体は角筒状をなし、
前記動力伝達軸の外側面上に第1のネジ部を備え、
前記多重筒体を構成する最内の前記筒体において、他の前記筒体とつながる側の端部寄りの内側面と、前記動力伝達軸の前記第1のネジ部が螺合し、
前記支持用腕部を備えている前記筒体は、前記多重筒体を構成する最外の前記筒体の中空部内に収容されない非収容領域を備えており、
この非収容領域は、
その周側面上に形成される第2のネジ部と、
この第2のネジ部に螺設される位置調整部と、
前記非収容領域の外側面上に周設されて、前記位置調整部により前記非収容領域におけるスライドが規制され、前記支持用腕部を直接又は間接的に支える環状部と、を備えていることを特徴とする支持具。
【請求項2】
前記伸縮装置は、
前記動力伝達軸に設けられるウォームホイールと、
このウォームホイールに噛合するウォームギアと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の支持具。
【請求項3】
前記伸縮装置は、その中心軸方向両端部のそれぞれにストッパーを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の支持具。
【請求項4】
請求項3に記載されている支持具において、
前記支持用腕部は、前記多重筒体を構成する最内の前記筒体に少なくとも設けられており、
前記伸縮装置においてその中心軸方向にスライドするスライド端部に取設されている前記ストッパーを第1のストッパーとすると、この第1のストッパーは平板材を折曲してなる折曲板であり、
前記伸縮装置においてスライドしない固定端部に取設されている前記ストッパーを第2のストッパーとすると、この第2のストッパーは平板材を断面コ字状又はU字状に折曲してなる挟持板である、ことを特徴とするデッキプレート支持具。
【請求項5】
複数の筒体を入れ子状に配してなる多重筒体と、この多重筒体の中心軸上に配されて個々の前記筒体の供回りを防止しながら前記多重筒体を伸縮させる動力伝達軸と、を備えたスクリュージャッキ構造からなる伸縮装置と、
この伸縮装置を構成する少なくとも1の前記筒体の外側面上にスライド可能に設けられ、支持対象物を直接又は間接的に支持する支持用腕部と、
前記伸縮装置においてその中心軸方向にスライドするスライド端部に取設され、平板材を折曲してなる折曲板である第1のストッパーと、
前記伸縮装置においてスライドしない固定端部に取設され、平板材を断面コ字状又はU字状に折曲してなる挟持板である第2のストッパーと、を備え、
前記支持用腕部は、
デッキプレートを構成する角パイプの端部を直接又は間接的に支持する第1の支持用腕部と、
この第1の支持用腕部の真下に配されて、前記角パイプの下側に配される鋼製梁の端部を直接又は間接的に支持する第2の支持用腕部と、を備え、
前記支持用腕部を備えている前記筒体は、前記多重筒体を構成する最外の前記筒体の中空部内に収容されない非収容領域を備えており、
この非収容領域は、
その周側面上に形成される第2のネジ部と、
この第2のネジ部に螺設される位置調整部と、
前記非収容領域の外側面上に周設されて、前記位置調整部により前記非収容領域におけるスライドが規制され、前記支持用腕部を直接又は間接的に支える環状部と、を備えていることを特徴とするデッキプレート支持具。
【請求項6】
前記第1及び第2のストッパーはともに、
前記平板材を貫通する貫通孔と、
この貫通孔に出没自在に螺設されるボルトと、を備えていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のデッキプレート支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汎用性を有する支持具に関し、特にH型鋼を構造材料とする建築物において、床や天井等にコンクリートスラブを形成するスラブ施工方法を実施する際に再利用可能なデッキプレートを支持するためのデッキプレート支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートを構造材料とする建築物の施工時に、コンクリートスラブを形成する際の型枠として、鋼製の板材を加工したデッキプレートを用いる場合がある。従来、デッキプレートは梁の上面に溶接やボルト締め等によって固定されていた。しかしながら、このような方法では、コンクリートの固化に伴って、デッキプレートがスラブに埋設されてしまう。このため、デッキプレートを回収することができなくなるという課題があった。
このような事情に鑑み本発明の出願人は過去に、再利用可能なデッキプレート、及び、このデッキプレートを着脱可能にH型鋼に支持しておくための支持具に関する発明をいくつか出願している。ここでは、その中でも本発明と最も関連性が高いと思われる先行技術(特許文献1)について説明する。
さらに、本発明に関連する技術分野の他の先行技術としては、例えば特許文献2に開示されるような技術が知られている。
【0003】
特許文献1には「デッキプレート支持具とそれを用いたスラブ施工方法」という名称で、デッキプレートの再利用を可能にするデッキプレート支持具とそれを用いたスラブ施工方法に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明であるデッキプレート支持具は、同文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、外周面に雄ネジ部3aが設けられ、上端に上部受け金具2が取り付けられた支柱3と、下端に下部受け金具4が取り付けられ、上方から挿入された支柱3を回動自在に保持する筒状の脚部5と、支柱3へ回動可能に外挿される筒状の支持金具6と、支持金具6に設置される角材受け金具7及び補強金具8と、支持金具6と脚部5の間において支柱3の雄ネジ部3aに螺合される上部ナット9及び下部ナット10と、を備えることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献1に開示される発明によれば、下部ナット10を支柱3の周方向に回転させることで、支柱3と脚部5との螺合関係により、このデッキプレート支持具を支柱3の軸方向に所望に伸縮させることができる(特許文献1中の図1を参照)。
また、特許文献1に開示されるデッキプレート支持具によれば、支柱3に螺着される上部ナット9を支柱3の周方向に回転させることで、角材受け金具7aの鉛直方向高さを所望に変更することができる(特許文献1中の図1を参照)。
よって、特許文献1に開示されるデッキプレート支持具によれば、支柱3の軸方向長さを所望に変更できるため、上側フランジ13aと下側フランジ13bとの間の距離が異なる複数種類のH型鋼13に、特許文献1に開示されるデッキプレート支持具を取設することができる。
また、特許文献1に開示されるデッキプレート支持具によれば、角材受け金具7aの鉛直方向高さを所望に変更できるので、角材受け金具7aにおいて間接的にデッキプレートを支持しながら安全にデッキプレートを鉛直方向に上下動させることができる(特許文献1中の図5を参照)。
よって、特許文献1に開示されるデッキプレート支持具によれば、デッキプレートを支持することができ、さらにデッキプレート支持具へのデッキプレートの着脱を簡便に行えるという利点がある。
【0004】
また、特許文献2には「ジャッキ」という名称で、対象物を爪部に係止して昇降するジャッキに関する考案が開示されている。
特許文献2に開示される考案であるジャッキは、対象物を掛止する爪部を備えたジャッキであって、接地盤に固定されてなり、内部に駆動軸を螺合保持する内筒と、この内筒の外周面に沿って、駆動軸により上下動される外筒と、爪部を保持してなり、外筒に対して、摺動自在かつ任意の高さレベルで固定可能な取付部と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の特許文献2に開示される考案によれば、ジャッキ自体の伸縮動作をラジェットハンドル又はモータ等を利用して行うことができる。このため、ジャッキの伸縮操作が極めて簡便である。
また、上記構成の特許文献2に開示される考案によれば、外筒に対する爪部の取付け位置を変更することができるので、利便性の高いジャッキを提供できるというメリットも有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6302498号公報
【文献】実全昭63-71194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示されるような再利用可能なデッキプレートを用いる場合は、H型鋼を構造材料とする建築物にコンクリート製の床面を形成する際に、H型鋼の随所に特許文献1に開示されるデッキプレート支持具を設置する必要がある(特許文献1中の図4(b)を参照)。さらに、特許文献1に開示される技術の場合、デッキプレート支持具の角材受け金具により支持される角材上に、デッキプレートの扁平端を多数並設することになる(特許文献1中の図6(a)~(c)を参照)。
このように、特許文献1に開示されるデッキプレート支持具を用いる場合は、H型鋼にデッキプレート支持具を取設するに際に、その支柱の中心軸方向にデッキプレート支持具を伸縮させる必要があった(特許文献1中の図4を参照)。このため、使用する全てのデッキプレート支持具において下部ナットを支柱の周方向に連続的に回転し続ける必要があり、この作業が極めて煩雑であった(特許文献1中の図5を参照)。
【0007】
また、特許文献2に開示される考案の場合は、ジャッキ自体の伸縮動作は極めて簡便である。
その一方で、特許文献2に開示される考案では、爪部の位置を変更する場合に、蝶ネジを外筒から一旦取り外す必要がある。この場合、爪部で支持対象物を別の支持部材で支えておかないと、支持対象物は支えを失って落下する。したがって、特許文献2に開示される考案をデッキプレート支持具として用いる場合は、特許文献2に開示される考案以外にデッキプレートを支持しておくための別の支持具が必要になるという課題があった。
【0008】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、伸縮装置の周側面上に突設される支持用腕部の位置を無段階で位置変更することができる支持具を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、伸縮装置の伸縮動作を容易に行うことができる支持具を提供することにある。
加えて、本発明の別の目的は、デッキプレートを構成する角パイプと、この角パイプを支持する鋼製梁を積層させて配置する際に、支持用腕部の位置調整を安全かつ容易に行えるデッキプレート支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため第1の発明である支持具は、複数の筒体を入れ子状に配してなる多重筒体と、この多重筒体の中心軸上に配されて個々の筒体の供回りを防止しながら多重筒体を伸縮させる動力伝達軸と、を備えたスクリュージャッキ構造からなる伸縮装置と、この伸縮装置を構成する少なくとも1の筒体の外側面上にスライド可能に設けられ、支持対象物を直接又は間接的に支持する支持用腕部と、を備え、この支持用腕部を備えている筒体は、多重筒体を構成する最外の筒体の中空部内に収容されない非収容領域を備えており、この非収容領域は、その周側面上に形成されるネジ部と、このネジ部に螺設される位置調整部と、非収容領域の外側面上に周設されて、位置調整部により非収容領域におけるスライドが規制され、支持用腕部を直接又は間接的に支える環状部と、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において伸縮装置は、スクリュージャッキ構造を有していることで、その動力伝達軸を、伸縮装置と別体に設けられる例えばハンドル等を操作して回転させることで、多重筒体を構成する個々の筒体の供回りを防止しながら多重筒体をその中心軸方向に所望に伸縮させるという作用を有する。また、多重筒体を構成する任意の筒体に設けられる支持用腕部は、支持対象物を支持するという作用を有する。さらに、多重筒体を構成する任意の筒体に設けられる非収容領域は、その任意の筒体の周側面上において、支持用腕部の位置を無段階で調節可能にするという作用を有する。より具体的には、上記非収容領域の周側面上に形成されるネジ部は、ナット状の位置調整部の螺設を可能にするという作用を有する。そして、ネジ部に位置調整部が螺設されることで、ネジ部上の位置調整部を無段階で移動可能にするという作用を有する。さらに、環状具は、位置調整部の移動と連動して非収容領域上をスライドするという作用を有する。この時、環状具は位置調整部により常に支えられているので、ネジ部上における位置調整部の位置が変わっても支持用腕部が支えを失うことはない。
つまり、第1の発明によれば、位置調整部によって支持用腕部を直接又は間接的に備えた環状具を支えながら、この環状具を多重筒体の中心軸方向でかつネジ部が形成される範囲内をスライドさせるという作用を有する。
【0010】
第2の発明である支持具は、上述の第1の発明において、伸縮装置は、動力伝達軸に設けられるウォームホイールと、このウォームホイールに噛合するウォームギアと、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明と同じ作用を有する。加えて、第2の発明における伸縮装置がウォームホイールとウォームギアを備えていることから、ウォームギアを回転させることで間接的にウォームホイールを回転させることができる。そして、ウォームホイールの回転により動力伝達軸を回転させるという作用を有する。つまり、第2の発明によれば、動力伝達軸の回転方向とは異なる方向の回転力を利用して動力伝達軸を回転させるという作用を有する。
【0011】
第3の発明である支持具は、上述の第1又は第2の発明において、伸縮装置は、その中心軸方向両端部のそれぞれにストッパーを備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、上述の第1の発明又は第2の発明と同じ作用を有する。加えて、第3の発明においてストッパーは、任意の空隙に伸縮装置を架け渡して固定する際に、伸縮装置の中心軸方向両端部の位置ズレを防止するという作用を有する。
【0012】
第4の発明であるデッキプレート支持具は、上述の第3の発明において、支持用腕部は、多重筒体を構成する筒体群のうち一番内側に配設されている筒体に少なくとも設けられており、伸縮装置においてその中心軸方向にスライドするスライド端部に取設されているストッパーを第1のストッパーとすると、この第1のストッパーは平板材を折曲してなる折曲板であり、伸縮装置においてスライドしない固定端部に取設されているストッパーを第2のストッパーとすると、この第2のストッパーは平板材を断面コ字状又はU字状に折曲してなる挟持板である、ことを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、上述の第3の発明を特にデッキプレート支持具として用いる場合の具体的な形態を発明として特定したものである。このような第4の発明は、上述の第3の発明と同じ作用を有する。加えて、第4の発明における第1のストッパーが平板材を折曲してなる折曲板からなることで、H型鋼における凹状の空隙に伸縮装置を配置して伸長させた際に、H型鋼の上フランジに第1のストッパーを掛止して伸縮装置のスライド端部を固定するという作用を有する。
また、第4の発明における第2のストッパーは、同じくH型鋼における凹状の空隙に伸縮装置を架け渡した状態で固定する際に、H型鋼の下フランジの肉厚部分を挟持するという作用を有する。そして、第4の発明が伸縮装置の固定端部に挟持板(第2のストッパー)を備えていることで、H型鋼における凹状の空隙に伸縮装置を自立させるという作用を有する。
【0013】
第5の発明であるデッキプレート支持具は、上述の第4の発明において、支持用腕部は、デッキプレートを構成する角パイプの端部を直接又は間接的に支持する第1の支持用腕部と、この第1の支持用腕部の真下に配されて、上記角パイプの下側に配される鋼製梁の端部を直接又は間接的に支持する第2の支持用腕部と、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第5の発明は、上述の第4の発明と同じ作用を有する。加えて、第5の発明は、デッキプレートを構成する角パイプとその鉛直下方側に配される鋼製梁とを交差させながら、あるいは、これらを互いに平行に配しながら、かつ積層させて配置する場合に、第1の支持用腕部において、上層側に配される角パイプの端部を直接又は間接的に(例えば角材等を介して)支持するという作用を有する。また、これと同時に、第2の支持用腕部は、下層側に配される鋼製梁の端部を直接又は間接的に支持するという作用を有する。
【0014】
第6の発明であるデッキプレート支持具は、上述の第4又は第5の発明において、第1及び第2のストッパーはともに、平板材を貫通する貫通孔と、この貫通孔に出没自在に螺設されるボルトと、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第6の発明は、上述の第4又は第5の発明と同じ作用を有する。加えて、第5の発明において第1及び第2のストッパーに出没自在に設けられるボルトは、H型鋼の上フランジ及び下フランジをボルトの先端で押圧することで、H型鋼に伸縮装置をしっかりと固定するという作用を有する。
【発明の効果】
【0015】
上述のような第1の発明によれば、スクリュージャッキ構造からなる伸縮装置における任意の筒体の周側面上に、支持用腕部を伸縮装置の中心軸方向に無段階で位置調整可能にしながら取設することができる。
さらに、第1の発明によれば、支持用腕部を、伸縮装置を構成する筒体の周側面上をスライドさせる際に、支持用腕部に作用する荷重を常に位置調整部により支えることができる。
したがって、第1の発明によれば、伸縮装置を伸縮させることにより、筒体の中心軸方向に支持用腕部を移動させることができる。さらに、第1の発明によれば、この支持用腕部が設けられている任意の筒体の中心軸方向における支持用腕部の位置を無段階で調整することができる。
加えて、第1の発明では、支持用腕部の位置を無段階で調整する最中も、支持用腕部に作用する荷重を位置調整部により支え続けることができる。このため、支持用腕部の位置を無段階で調整する際に、支持用腕部で支持している支持対象物が支えを失って落下することはない。
つまり、上述のような第1の発明によれば、支持用腕部の位置を調整する際に、支持対象物を別の支持具で支えておく必要がない。
したがって、第1の発明によれば、建築資材等を仮固定しておく際に、安全で使い勝手が良い支持具を提供することができる。
【0016】
第2の発明によれば、上述の第1の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第2の発明がウォームホイール及びウォームギアを備えていることで、動力伝達軸の回転方向と異なる方向への回転力、すなわち別体のハンドルや、別体の電動の回転装置等を利用して容易に伸縮装置を伸縮させることができる。
よって、第2の発明によれば、上述の第1の発明と比較して、操作性に優れた支持具を提供することができる。
【0017】
第3の発明によれば、上述の第1又は第2の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第3の発明が伸縮装置の中心軸方向両端部のそれぞれにストッパーを備えていることで、何らかの空隙に伸縮装置を架け渡すようして固定する際に、架設された伸縮装置の安定性を高めることができる。
したがって、第3の発明によれば、その使用時に空隙から伸縮装置が意図せず外れてしまうのを防止できる。よって、第3の発明によれば、上述の第1又は第2の発明と比較して安定性が優れた支持具を提供することができる。
【0018】
第4の発明は、上述の第3の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第4の発明の伸縮装置が平板材を折曲してなる挟持板(第2のストッパー)を備えていることで、H型鋼に形成される凹状の空隙に伸縮装置を架け渡した状態で固定する際に、空隙内に伸長前の伸縮装置を自立させておくことができる。さらに、第4の発明が、挟持板(第2のストッパー)に加えて、折曲板(第1のストッパー)を備えていることで、伸縮装置のスライド端部が空隙の際に到達した際に、H型鋼の上フランジの立体形状に折曲板をフィットさせて、伸縮装置の固定作業を完了することができる。
したがって、第4の発明によれば、H型鋼に形成される凹状の空隙に容易に伸縮装置を着脱させることができるデッキプレート支持具を提供することができる。
【0019】
第5の発明は、上述の第4の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第5の発明における支持用腕部が、第1の支持用腕部と第2の支持用腕部の2種類を備えていることで、1種類の支持用腕部のみを備えてその取設位置を変更して用いる場合に比べて、デッキプレートの設置作業を簡素化することができる。
よって、第5の発明によれば、再利用可能なデッキプレートを用いて床面を形成する際の、デッキプレートの設置作業を効率的に行うことができる。
また、第5の発明によれば、支持用腕部が、第1の支持用腕部と第2の支持用腕部の2種類を備えていることで、1つのデッキプレート支持具により角パイプの端部と鋼製梁の端部の両者を同時に支持することができる。
この場合、デッキプレートを構成する角パイプの配設方向に関わらず、角パイプを常に鋼製梁により支えることができる。さらに、この場合、角パイプを支持する鋼製梁の端部を、H型鋼に取設されるデッキプレート支持具により支持することができるという効果も有する。
よって、第5の発明によれば、デッキプレートとそれを支える鋼製梁を安全に支持しておくことができるデッキプレート支持具を提供することができる。
【0020】
第6の発明は、上述の第4又は第5の発明による効果と同じ効果を有する。さらに、第6の発明は、伸縮装置が伸長した際の押圧力によりH型鋼における凹状の空隙に伸縮装置を固定することができ、さらに第1及び第2のストッパーに設けられているボルトによって一層強固にH型鋼に伸縮装置を固定することができる。
よって、第6の発明によれば、伸縮装置が意図せずH型鋼から外れてしまうのを一層確実に防止することができる。
この場合、第6の発明によりデッキプレートを支持している最中に、H型鋼からデッキプレート支持具が外れてデッキプレートが落下してしまうのを防止できる。
したがって、第6の発明によれば、第1及び第2のストッパーが固定用のボルトを備えてない場合に比べて、一層安全性及び操作性に優れたデッキプレート支持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具の斜視図である。
図2】(a)本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具の鉛直方向断面イメージ図であり、(b)同デッキプレート支持具の伸長途中の状態を示す鉛直方向断面イメージ図であり、(b)同デッキプレート支持具が伸長した状態を示す鉛直方向断面イメージ図である。
図3】本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具をH型鋼に設置した状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具をH型鋼に設置した状態を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具における伸縮装置の固定端部側を分解して示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具におけるウォームホイールとウォームギアの連関を示す平面図である。
図7】本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具における第2の筒体及び第3の筒体を分解して示す斜視図である。
図8】(a)本発明の実施形態に係る第3の筒体の斜視図であり、(b)同第3の筒体の内部を透視可能にして示した側面図である。
図9】本発明の実施形態に係る第2の筒体と第3の筒体の動作時の連関を示す斜視図である。
図10】(a)本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具における支持用腕部とそれに付属する構成の斜視図であり、(b)同支持用腕部とそれに付属する構成を分解して示す斜視図である。
図11】本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具によりデッキプレートを構成する角パイプとその下側に配される鋼製梁を支持する様子を示す断面のイメージ図である。
図12】本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具によりデッキプレートを構成する角パイプとその下側に配される鋼製梁を支持する様子を示す斜視図である。
図13】本発明の実施形態の変形例に係る支持具の断面イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る支持具及びデッキプレート支持具について図1乃至13を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
はじめに、本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具1の概要について図1及び図2を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具の斜視図である。また、図2(a)は本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具の鉛直方向断面イメージ図であり、(b)同デッキプレート支持具の伸長途中の状態を示す鉛直方向断面イメージ図であり、(b)は同デッキプレート支持具が伸長した状態を示す鉛直方向断面イメージ図である。
図1及び図2(a)に示すように、本実施形態に係るデッキプレート支持具1は主に、スクリュージャッキ構造からなる伸縮装置2と、この伸縮装置2を構成する多重筒体3(第1の筒体3a~第1の筒体3c)のうちの少なくともいずれか(本実施形態においては第3の筒体3c)の外側面上にスライド可能に設けられ、支持対象物である、例えばデッキプレート等を直接又は間接的に支持する支持用腕部13と、を備えてなるものである。
また、上述の伸縮装置2において多重筒体3は、図2(a)に示すように、複数の筒体(第1の筒体3a~第3の筒体3c)が入れ子状に配されてなるものである。さらに、伸縮装置2では、このような多重筒体3の中心軸上に動力伝達軸5を備えている。なお、多重筒体3と動力伝達軸5の連関及びこれらの動作の仕組みについては後段において説明する。
【0024】
さらに、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、支持用腕部13が設けられている例えば第3の筒体3cは、多重筒体3の中空部内に収容されない非収容領域Bである筒体3c及び筒体3cを備えている(図2(a)を参照)。
また、この非収容領域Bを備える筒体3cは、その外側面上にネジ部22を備えており、このネジ部22にリング状の位置調整部17が螺設されている。
加えて、上記非収容領域B(図2(a)を参照)は位置調整部17の鉛直上方側で、かつこの非収容領域Bの周側面上に、ネジの嵌合に拠らずにスライドする環状部16を備えている。そして、この環状部16に支持用腕部13が直接、又は、例えば図1,2に示すように支持用腕部保持部15を介して間接的に固定されている。
【0025】
したがって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、位置調整部17をその周方向に回転させることで、ネジ部22上において位置調整部17が第3の筒体3cの中心軸方向に無段階で上下動する。また、支持用腕部保持部15が接続されている環状部16は、位置調整部17の鉛直上方側端部に、一体に連結されることなく接触しながら載置されている。このため、位置調整部17が無段階で筒体3cの中心軸方向に移動することで、環状部16及び支持用腕部保持部15も無段階で筒体3cの中心軸方向にスライドする。
したがって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、多重筒体3を構成する任意の筒体(ここでは、第3の筒体3c)の周側面上において、支持用腕部13を多重筒体3の中心軸方向に無段階でスライドさせることができる。
【0026】
さらに、上述のような本実施形態に係るデッキプレート支持具1の伸縮装置2は、図2(b),(c)に示すようにスクリュージャッキ構造を有しているため、動力伝達軸5をその中心軸を基軸に正逆回転させることで、多重筒体3をその中心軸方向に伸縮させることができる。
より具体的には、本実施形態に係る伸縮装置2が縮んで最も短くなった状態を示しているのが図2(a)であり、また、本実施形態に係る伸縮装置2が最も伸びた状態を示しているものが図2(c)である。
したがって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、伸縮装置2の伸縮機構としてスクリュージャッキ構造を採用することで、伸縮装置2における最短時と最長時の差を大きくすることができる。
【0027】
従来、多重筒体及び動力伝達軸を備えるスクリュージャッキ構造では、多重筒体を構成する個々の筒体が入れ子状に収容されるとともに、このような多重筒体の中空部内に動力伝達軸が常時格納される。このため、伸縮装置として上述のようなスクリュージャッキ構造を採用する場合は、特許文献1に開示される発明のように、動力伝達軸に角材受け金具(本発明における支持用腕部13に相当)を無段階でスライド可能に取設することができなかった。したがって、当然に特許文献1,2を参照しても、スクリュージャッキ構造を備えてなる伸縮装置における多重筒体の中心軸方向に、支持用腕部13を無段階で移動可能に取設することはできなかった。
これに対して、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、伸縮装置2を構成する多重筒体3の任意の筒体(第1の筒体3a~第3の3c)が、最外の筒第1の体3aの中空部内に収容されない非収容領域Bを備え、さらにこの非収容領域Bの外側面上に位置調整部17を螺着して、この位置調整部17を無段階で移動させることで、支持用腕部13を支持している環状部16も無段階で移動させることができる。
よって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、スクリュージャッキ構造を有する伸縮装置2における多重筒体3の周側面上に、支持用腕部13を多重筒体3の中心軸方向に無段階で移動させることができる新規な支持具を提供することができる。
【0028】
図3,4はいずれも本発明の実施の形態に係るデッキプレート支持具をH型鋼に設置した状態を示す斜視図である。なお、図1,2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係るデッキプレート支持具1は、伸縮装置2が多重筒体3を備えるスクリュージャッキ構造を有していることで、図3,4に示すように、上フランジ19aから下フランジ19bまでの高さが様々なH型鋼19における凹状の空隙19cに、伸縮装置2を架け渡した状態で固定することができる。つまり、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、その取付け対象であるH型鋼19の空隙19cの広狭に対する汎用性が高いデッキプレート支持具を提供することができる。
【0029】
また、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、伸縮装置2がスクリュージャッキ構造を有していることで、先の特許文献1に示される発明のように、伸縮装置2を伸縮させるにあたり、ネジ棒状の支柱に螺設されるナット状の環状具を手で回転し続けるという作業を行う必要がない。すなわち、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、動力伝達軸5に直接又は間接的にハンドルや、電動式の回転装置を接続することで容易に動力伝達軸5をその中心軸を基軸に回転させることができる。
よって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、その取付け対象であるH型鋼19への着脱作業が容易なデッキプレート支持具を提供することができる。
【0030】
さらに、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、伸縮装置2における支持用腕部13の取付け位置を無段階で変更する際も、支持用腕部13に作用する荷重を位置調整部17により間断なく支えることができる。
よって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、支持用腕部13で支持されるデッキプレートの鉛直方向位置の調整や、支持用腕部13へのデッキプレートの着脱作業を安全かつ容易に行うことができる。
【0031】
なお、本実施形態に係るデッキプレート支持具1は、先の図1乃至図4に示すように、伸縮装置2のスライド端部2aに第1のストッパー8aを、また、固定端部2bに第2のストッパー8bをそれぞれ備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、例えば本実施形態に係るデッキプレート支持具1を、先の図3,4に示すように、H型鋼19の上フランジ19aと下フランジ19bの間に形成される凹状の空隙19cに架け渡すように配して固定する場合に、伸縮装置2の固定時の両端部の安定性を高めることができる。
【0032】
続いて、図5乃至図12を参照しながら本実施形態に係るデッキプレート支持具1の細部構造及びそれらによる作用効果について説明する。
はじめに、本実施形態に係るデッキプレート支持具1における動力伝達軸5及びその周辺構造について図5,6を参照しながら説明する。
図5は本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具における伸縮装置の基部側端部を分解して示す斜視図である。また、図6は本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具におけるウォームホイールとウォームギアの連関を示す平面図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係るデッキプレート支持具1の伸縮装置2は、図5に示すように、動力伝達軸5の下端に一体に設けられるウォームホイール5aと、このウォームホイール5aに嵌合しながら設けられるウォームギア7を備えている。
【0033】
また、第2のストッパー8bは、その上面にウォームホイール5aを収容するためのケーシング6aと、ウォームギア7を収容するためのケーシング6bとを備えており、ケーシング6aの中空部とケーシング6bの中空部は連通している。このため、ケーシング6a、ケーシング6bのそれぞれにウォームホイール5a、ウォームギア7を収容すると、その中空部の連通部分においてウォームホイール5aとウォームギア7が噛合した状態になる(図6を参照)。
そして、ウォームギア7をその中心軸を基軸に回動させると、ウォームホイール5aがその中心軸を基軸に回転し、これにより動力伝達軸5がその中心軸方向に回動する(図6を参照)。
【0034】
なお、ケーシング6a内に収容されるウォームホイール5aは、図5に示す軸保定パーツ5bによりケーシング6a内に保定されている。また、ウォームホイール5aに連結される動力伝達軸5は、ケーシング6aの開口上端にフランジ4を介して接続される第1の筒体3a内に収容される(図2,5を参照)。また、ケーシング6aとフランジ4は、その重なり部分にピン23が挿設されることで一体化されている。
さらに、ケーシング6b内に収容されるウォームギア7は、軸保定パーツ7aにより保定されるとともに、ケーシング6bの開口部は蓋体6bにより封止されている。
また、ウォームギア7のネジ部が形成されない側の端部は、接続部7bを備えている。そして、この接続部7bに図示しないハンドルや、例えば電力で駆動する回転装置等を接続することで、ウォームギア7を容易に回転操作することができる。
【0035】
上述のように本実施形態に係るデッキプレート支持具1の伸縮装置2が、ウォームホイール5a及びウォームギア7を備えていることで、動力伝達軸5の回転を、伸縮装置2に対する直接的な操作ではなく、ハンドルや、電力等で駆動する回転装置等を用いた間接的な操作により行うことができる。
よって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、取付け対象(例えば、H型鋼19等)への伸縮装置2の着脱作業を簡便化することができる。したがって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、操作性が優れたデッキプレート支持具を提供することができる。
【0036】
次に、図2図7乃至図9を参照しながら本実施形態に係るデッキプレート支持具1に係る多重筒体3について説明する。
図7は本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具における第2の筒体及び第3の筒体を分解して示す斜視図である。また、図8(a)は本発明の実施形態に係る第3の筒体の斜視図であり、(b)は同第3の筒体の内部を透視可能にして示した側面図である。さらに、図9(a),(b)は本発明の実施形態に係る第2の筒体と第3の筒体の動作時の連関を示す斜視図である。なお、図1乃至図6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の図2に示すように、本実施形態に係るデッキプレート支持具1に係る多重筒体3は、最外に位置し角筒状をなす第1の筒体3a(図5を参照)と、この第1の筒体3a内に収容されて角筒状をなす第2の筒体3bと、この第2の筒体3b内にその一部が収容される第3の筒体3cにより構成されている。
より詳細には、本実施形態に係る多重筒体3では、第1の筒体3aとケーシング6aからなる連結体が、多重筒体3の最外の筒体をなしている。よって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、ケーシング6aの下端を伸縮装置2の固定端部2bとしている。なお、第1の筒体3aとケーシング6aが一体ものの筒体として形成される場合は、この筒体が多重筒体3の最外の筒体となる。
【0037】
また、図7,8に示すように、本実施形態に係る多重筒体3を構成する第3の筒体3cは、その内側面にネジ部25を備えた角筒状の筒体3cと、シンプルな角筒状の筒体3cと、外側面にネジ部22を備えた円筒状の筒体3cと、シンプルな角筒状の筒体3cとが、鉛直下方側からこの順序で直列状に連結されてなるものである。
そして、上述のような第3の筒体3cにおける筒体3cのネジ部25と、先の図5に示す動力伝達軸5の外側面上に形成されているネジ部5cとが螺合している。
また、本実施形態に係る伸縮装置2では、図5,7,8に示すように、本実施形態に係る多重筒体3を構成する第1の筒体3a、第2の筒体3b、及び、第3の筒体3cにおける筒体3c及び筒体3cが全て角筒状をなすとともに、多重筒体3の最外に位置している第1の筒体3aが、ケーシング6aにピン23により固定されている。このため、動力伝達軸5をその中心軸を基軸に回転させた際に、この動力伝達軸5のネジ部5cと螺合している筒体3cは、動力伝達軸5とともに共回りすることなく動力伝達軸5の中心軸方向に移動する。
よって、本実施形態に係る伸縮装置2では、ウォームギア7を正逆回転させることにより動力伝達軸5がその中心軸を基軸に正逆回転し、この動作に伴って動力伝達軸5の外側面上を第3の筒体3cがその中心軸方向に上下動する。この結果、伸縮装置2がその中心軸方向に伸縮する。
【0038】
さらに、図7,8に示すように、第3の筒体3cを構成する筒体3cは、その外側面における鉛直下方側端部に突起24aを備えている。また、第2の筒体3bは、その内側面の鉛直上方端部に掛止用ツメ24bを備えている。そして、本実施形態に係る多重筒体3では、第3の筒体3cにおける筒体3cに設けられる突起24aと、第2の筒体3bに設けられる掛止用ツメ24bとが掛止構造を形成することで、第2の筒体3bと第3の筒体3cがこの掛止構造を介して直列状に一体化する。
なお、第2の筒体3bと第3の筒体3cを直列状に連結して多重筒体3を最大限伸ばした状態を示したものが図2(c)及び図9(a)である。また、突起24aと掛止用ツメ24bの掛止構造を解除して、第2の筒体3bの中空部内に、第3の筒体3cを構成する筒体3c及び筒体3cを収容して、多重筒体3を最も短くした状態を示しているのが図2(a)及び図9(b)である。
よって、本実施形態に係る伸縮装置2では、第2の筒体3bと第3の筒体3cの接続部に、突起24a及び掛止用ツメ24bを備えていることで、筒体3cが動力伝達軸5の中心軸方向にスライドする際に、筒体3c(第3の筒体3c)により第2の筒体3bを鉛直上方側に引き上げる、あるいは鉛直下方側に第2の筒体3bを下げ降ろすことができる(図2(a)~(c)を参照)。
【0039】
そして、本実施形態に係る第3の筒体3cは、第1の筒体3a内に第2の筒体3b及び第3の筒体3cの一部を収容して最大限縮めた場合でも、第1の筒体3a内に収容されない非収容領域B(図7図9を参照)を備えている。より具体的には、この非収容領域Bは、ネジ部22を備える筒体3cと、この筒体3cに一体に固設される筒体3cにより構成されている(図7図9を参照)。
また、筒体3cのネジ部22には、ナット状の位置調整部17が螺着されている。そして、ネジ部22上において位置調整部17をその中心軸を基軸に回転させることで、ネジ部22上における位置調整部17の位置を無段階で変更することができる。
【0040】
また、位置調整部17は、図7,9に示すように、その外側面上に突設される少なくとも1以上の操作レバー18を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、位置調整部17をその周方向に回転させる動作を容易に行うことができる。これにより、本実施形態に係るデッキプレート支持具1の操作性を向上させることができる。
なお、位置調整部17における操作レバー18は必ずしも必要ではなく、操作レバー18を備える代わりに、位置調整部17の外側面上に凹凸を形成するなどして、その回転操作時の滑りを防止してもよい。この場合も位置調整部17を人の手指により容易に操作することができる。
また、本実施の形態においては、第3の筒体3cの上端が、伸縮装置2におけるスライド端部2aをなしている。したがって、第3の筒体3cの上端に第1のストッパー8aを備えている。
【0041】
続いて、本実施形態に係る図2図10乃至図12を参照しながら、本実施形態に係るデッキプレート支持具1の支持用腕部13とそれに付属する構成について説明する。
図10(a)は本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具における支持用腕部とそれに付属する構成の斜視図であり、(b)は同支持用腕部とそれに付属する構成を分解して示す斜視図である。また、図11は本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具によりデッキプレートを構成する角パイプとその下側に配される鋼製梁を支持する様子を示す断面のイメージ図である。さらに、図12は本発明の実施形態に係るデッキプレート支持具によりデッキプレートを構成する角パイプとその下側に配される鋼製梁を支持する様子を示す斜視図である。なお、図1乃至図9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
本実施形態に係るデッキプレート支持具1は、図10(a),(b)に示すように、伸縮装置2の外側面側に配される支持対象物を支持するための支持用腕部13を備えている。また、この支持用腕部13は、例えば水平方向に配される平板体からなっている。より具体的には、この支持用腕部13は、例えば角筒状の支持用腕部保持部15に固設されるとともに、この支持用腕部保持部15の下端部に中空管状の環状部16が固設されていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、本実施形態に係るデッキプレート支持具1において、支持用腕部保持部15の中空部と、環状部16の中空部は連通している。
【0042】
そして、図2に示すように、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、支持用腕部保持部15と環状部16との連通孔に、第3の筒体3cが挿通されている。この時、環状部16の下端側には位置調整部17が、環状部16とは別体として配されている。この場合、第3の筒体3cに螺着される位置調整部17は、支持用腕部保持部15及び環状部16が第3の筒体3cの外側面上をスライドして落下するのを妨げるストッパーとして機能する。この結果、第3の筒体3cの外側面上に支持用腕部13及びそれに付属する構成(支持用腕部保持部15及び環状部16)を保持しておくことができる。
また、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、先にも述べた通り、位置調整部17がネジ部22上を移動することで間接的に、環状部16が第3の筒体3の周側面上を移動する。つまり、ネジ部22において位置調整部17を移動させることで、第3の筒体3cの中心軸方向に支持用腕部13を移動させることができる。
この時、支持用腕部13に作用する荷重は、支持用腕部保持部15及び環状部16を介して位置調整部17により常時に支えられている。
このため、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、支持用腕部13において支持対象物(例えば、デッキプレートを構成する角パイプや、この角パイプを支持する鋼製梁等)を支持したまま位置調整部17を移動させても、支持対象物が支えを失って落下することはない。
よって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、支持用腕部13において支持される支持対象物の保持位置を、伸縮装置2の中心軸方向に安全かつ無段階で容易に変更(微調整)することができるデッキプレート支持具を提供することができる。
なお、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、支持用腕部保持部15と環状部16を別体の構成とする場合を例に挙げて説明しているが、これらは一体に構成してもよい(任意選択構成要素)。この場合も、位置調整部17のスライドに連動して支持用腕部13を移動させることができるという効果を発揮させることができる。
【0043】
本実施形態に係るデッキプレート支持具1における支持用腕部13は、任意の形態からなる第1の支持用腕部のみから構成されていても良い(任意選択構成要素)。ただし、この場合は図1乃至図4図10乃至図12に記載されている第1の支持用腕部13aとは異なり、第1の支持用腕部13aにおいて鋼製梁26の端部26aも直接又は間接的に支持できる形態に改変する必要がある。
そしてこの場合は、例えば図12に示すようにデッキプレートを構成する角パイプ21と鋼製梁26とを交差させながら積層して配置する場合や、あるいは、図11に示すようにデッキプレートを構成する角パイプ21と鋼製梁26とを互いに平行に配する場合に、鉛直上方側に配される角パイプ21の端部21aを直接又は間接的に支持するための支持用腕部13と、その鉛直下方側に配される鋼製梁26の端部26aを直接又は間接的に支持するための支持用腕部13と、を1種類の第1の支持用腕部により兼用することになる。
このように角パイプ21の端部21aを支持するための支持用腕部13と、鋼製梁26の端部26aを支持するための支持用腕部13とを兼用する場合は、支持対象が変わる度に支持用腕部13を適切な位置に移動させる必要がある。このため、本実施形態に係るデッキプレート支持具1の操作性がやや低下するものの、デッキプレート支持具1自体の構造をシンプルにできるというメリットがある。
【0044】
あるいは、本実施形態に係るデッキプレート支持具1における支持用腕部13は、図2図10乃至図12に示すように、所望の形態を有する第1の支持用腕部13aと、この第1の支持用腕部13aの直下に配され、やはり所望の形態を有する第2の支持用腕部13bの2種類を備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、例えば図12に示すように、H型鋼19からなる構造材を枠状に配して、その中空部内にデッキプレートを構成する角パイプ21と、この角パイプ21と交差しながら配される鋼製梁26を積層して配置する場合に、角パイプ21の端部21aを第1の支持用腕部13aにおいて間接的に支持することができる。また、その鉛直下方側に配される鋼製梁26の端部26aを、第2の支持用腕部13bにおいて直接支持することができる。
この場合、支持用腕部13を1種類のみとし、その取付位置を所望に変更して角パイプ21と鋼製梁26の両方を支持できるよう構成する場合に比べて、支持用腕部13の位置決め作業を簡素化することができる。つまり、支持用腕部13が第1の支持用腕部13a及び第2の支持用腕部13bを備える場合は、第1の支持用腕部13aを位置決めすることで、自動的に第2の支持用腕部13bの位置決め作業を完了することができる。
したがって、支持用腕部13が第1の支持用腕部13a及び第2の支持用腕部13bにより構成されるデッキプレート支持具1によれば、デッキプレートの設置作業を一層効率的に行うことができる。
【0045】
なお、図12では、1つの本実施形態に係るデッキプレート支持具1により、角パイプ21の端部21a又は鋼製梁26の端部26aのいずれかを支持する場合を例に挙げて説明しているが、例えば図11に示すように、1つの本実施形態に係るデッキプレート支持具1により角パイプ21の端部21aと、鋼製梁26の端部26aを同時に支持することもできる。
特に、後者の場合は、デッキプレートを構成する角パイプ21と、それを支える鋼製梁26とを互いに平行に、かつこれらを鉛直方向に積層させながら配置する場合である。この場合、例えばデッキプレート支持具1の取設対象であるH型鋼19同士の間隔が開きすぎていて、角パイプ21に対して鋼製梁26を交差させた状態で配設することができない状況下でも、角パイプ21と平行に鋼製梁26を配置することで、角パイプ21に作用する荷重を鋼製梁26で支えることができる。
よって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、支持用腕部13が第1の支持用腕部13a及び第2の支持用腕部13bの2種類を備えていることで、角パイプ21の配設方向に関わらず角パイプ21の鉛直下方側に鋼製梁26を配設することができる。このため、角パイプ21に作用する荷重を常に鋼製梁26で支えることができる。この結果、角パイプ21を備えた再利用可能なデッキプレートを用いてコンクリート製の床面を形成する作業を一層安全に行うことができる。
【0046】
さらに、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、図11,12に示すように、第1の支持用腕部13a上に例えば角材20を介して角パイプ21の端部21aを載置して支持することができる。この場合、個々の角パイプ21の端部21aをデッキプレート支持具1の支持用腕部13(例えば、第1の支持用腕部13a)により個別に支持する場合に比べて、デッキプレート支持具1の使用数を少なくすることができる。
なお、特に図示しないが、個々の角パイプ21の端部21aをデッキプレート支持具1の支持用腕部13(例えば、第1の支持用腕部13a)により個別に支持することもできるが、この場合は、角パイプ21の端部21aと同数のデッキプレート支持具1を準備する必要がある。
【0047】
さらに、図11,12では、個々の鋼製梁26の端部26aを、デッキプレート支持具1の第2の支持用腕部13bにより個別に支持する場合を例に挙げて説明しているが、例えば図11,12中に示される角パイプ21の支持形態と同様に、第2の支持用腕部13bにおいても、例えば角材20等を介して間接的に複数の鋼製梁26の端部26aを支持することができる。ただし、この場合は、第2の支持用腕部13bにおいて角材20等を支持することができるようにするために、第2の支持用腕部13bの形態を図示されるものとは異なる形態に改変する必要がある。
この場合、例えば1つのデッキプレート支持具1により角パイプ21の端部21a、及び、鋼製梁26の端部26aの両者を同時に支持するのに要するデッキプレート支持具1の数を、角パイプ21の端部21aの総数、又は、鋼製梁26の端部26aの総数、よりも少なくすることができる。この結果、H型鋼19に対してデッキプレート支持具1を着脱する作業を迅速かつ容易に行うことができる。
【0048】
また、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、図12に示すように、1つの第1の支持用腕部13aにより複数の角パイプ21の端部21aが支持されている。あるいは、上述のように1つの第2の支持用腕部13bにより複数の鋼製梁26の端部26aを支持する場合も想定される。
したがって、位置調整部17の操作時に支持用腕部13が意図せず落下してしまうと極めて危険である。しかしながら、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、支持用腕部13(第1の支持用腕部13a及び第2の支持用腕部13b)の荷重を支える位置調整部17が、第3の筒体3c外側面上に螺設されている。このため、位置調整部17の操作時に支持用腕部13aが支えを失って落下することはない。
よって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、安全性に優れたデッキプレート支持具を提供することができる。
【0049】
加えて、本実施形態に係るデッキプレート支持具1において支持用腕部13は、その真下に補強板14を備えていてもよい(任意選択構成要素)。より具体的には、支持用腕部13(第1の支持用腕部13a又は第2の支持用腕部13bを形成する平板体)の下面に垂設され、かつ平板体からなる補強板14を備えていてもよい。
この場合、支持用腕部13(第1の支持用腕部13a、又は、第1の支持用腕部13a及び第2の支持用腕部13b)の荷重を補強板14で支えることができるので、本実施形態に係る支持用腕部13の強度を向上させることができる。
よって、補強板14を備えた本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、強度と耐久性に優れたデッキプレート支持具を提供することができる。
なお、本実施形態では、デッキプレートを構成する角パイプ21とその下に配される鋼製梁26が同じ形態である場合を例に挙げて説明しているが、角パイプ21と鋼製梁26の形態は異なっていてもよい。この場合、それぞれの形態に適した支持用腕部13(第1の支持用腕部13aや第2の支持用腕部13b)を準備する必要がある。
【0050】
ここで、本実施形態に係るデッキプレート支持具1の伸縮装置2の両端部に設けられている第1のストッパー8a及び第2のストッパー8bについて詳細に説明する。
先の図1,3,4に示すように、本実施形態に係るデッキプレート支持具1では第1のストッパー8aを、例えば金属製の平板体を折曲してなる折曲板8a´により構成するとともに、第2のストッパー8bを例えば同じく金属製の平板体を折曲してなる挟持板8b´により構成してもよい(任意選択構成要素)。
この場合、H型鋼19に本実施形態に係る伸縮装置2を取設する際に、挟持板8b´でH型鋼19の下フランジ19bを挟持することができる。この結果、伸縮装置2の動力伝達軸5を操作して第1のストッパー8a(折曲板8a´)を上フランジ19aに到達させるまでの間、伸縮装置2を人手で保持しておく必要がなくなる。
さらに、第1のストッパー8aが折曲板8a´により構成されていることで、伸縮装置2のスライド端部2a(ここでは折曲板8a´)がH型鋼19の上フランジ19aに到達すると同時に、H型鋼19への伸縮装置2の設置作業を完了することができる。
また、H型鋼19から本実施形態に係る伸縮装置2を取り外す場合も同様に、動力伝達軸5の操作時に伸縮装置2を人手で保持しておく必要がないので、その作業を簡便化することができる。
したがって、本実施形態に係る伸縮装置2が折曲板8a´及び挟持板8b´を備えていることで、H型鋼19へのデッキプレート支持具1の着脱作業を大幅に簡便化することができる。
【0051】
さらに、本実施形態に係るデッキプレート支持具1における第1のストッパー8a及び第2のストッパー8bは、先の図1,3,4,7に示すように、第1のストッパー8a、第2のストッパー8bのそれぞれに穿設される貫通孔10と、この貫通孔10から出没自在に螺設されるボルト11、及び、このボルト11を所望の位置で固定しておくためのナット12を備えていてもよい(いずれも任意選択構成要素)。
この場合、図3及び図4に示すように、本実施形態に係るデッキプレート支持具1の伸縮装置2を、その取設対象である例えばH型鋼19に取り付ける際に、H型鋼19の上フランジ19a,下フランジ19bのそれぞれに係止された第1のストッパー8a,第2のストッパー8bのそれぞれからボルト11の頭部を導出させてその先端で上フランジ19a,下フランジ19bを押圧して、その状態でナット12によりボルト11を固定すればよい。
この場合、先の図3,4に示すように、H型鋼19の空隙19cに伸縮装置2をしっかりと固定しておくことができる。このため、本実施形態に係るデッキプレート支持具1の使用時に、H型鋼19からデッキプレート支持具1が意図せず外れてしまうことで、デッキプレートを構成する角パイプ21やこの角パイプ21を支える鋼製梁26が意図せず落下するリスクを大幅に低減することができる。
したがって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1の第1のストッパー8a及び第2のストッパー8bが上述のようなボルト11及びナット12を備えていることで、デッキプレート支持具1の使用時の安全性を大幅に向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態に係るデッキプレート支持具1において、特に第2のストッパー8bである挟持板8b´がボルト11及びナット12を備えていることで、H型鋼19に対して伸縮装置2を取り付ける際に、下フランジ19bに挟持板8b´をしっかりと固定しておくことができる。この結果、作業者が伸縮装置2から完全に手を離した状態で伸縮装置2の伸縮動作を行うことができる。よって、H型鋼19に対するデッキプレート支持具1の着脱作業を一層簡素化することができる。
したがって、本実施形態に係るデッキプレート支持具1によれば、挟持板8b´がボルト11及びナット12を備えていない場合に比べて、その操作性を大幅に向上させることができる。
【0053】
加えて、本実施形態に係るデッキプレート支持具1における挟持板8b´は、先の図1,3,4及び図5に示すように、その変形を防止するための補強部材9aや補強部材9bを備えていてもよい(任意選択構成要素)。
この場合、挟持板8b´の強度を向上させることができる。この結果、強度と耐久性に優れたデッキプレート支持具1を提供することができる。
なお、挟持板8b´における下フランジ19bとの接触面に平板状の補強部材9aを付加するだけでも十分な補強効果が期待できる。これに加えて、挟持板8b´の立体形状を保持するための補強部材9bを付加することで、挟持板8b´の剛性と強度を一層向上させることができる。
【0054】
最後に、図13を参照しながら本実施形態に係るデッキプレート支持具1の変形例について説明する。
図13は本発明の実施形態の変形例に係る支持具の断面イメージ図である。なお、図1乃至図12に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
上述のような本実施形態に係るデッキプレート支持具1は、例えば伸縮装置2を最長にした時の長さを所望に変更するとともに、必要に応じて第1のストッパー8a及び/又は第2のストッパー8bの形態を所望に変更し、さらに必要に応じて支持用腕部13の形態を所望に変更することで、デッキプレート以外の任意の支持対象物を支持するための支持具1Aとして使用することができる。
このような支持具1Aは、例えば、建築現場等においては、H型鋼19からなる梁同士の間に支持具1Aにおける伸縮装置2を架け渡して、建築資材や足場を一時的に保持しておくための仮固定具として使用することができる。
【0055】
なお、先に述べた本実施形態に係るデッキプレート支持具1では、非収容領域B及び支持用腕部13(先の図7~9を参照)を、第3の筒体3cにのみ設ける場合を例に挙げて説明しているが、非収容領域B及び支持用腕部13は、図13に示すように、第1の筒体3a~第3の筒体3cのそれぞれに単数又は複数組設けてもよい(任意選択構成要素)。なお、図3ではその一例として各筒体(第1の筒体3a~第3の筒体3c)に非収容領域(非収容領域B~B)及び支持用腕部13を一組ずつ備える場合を示している。あるいは、非収容領域B及び支持用腕部13は、多重筒体3を構成する任意の1以上の筒体に設けてもよい(図示せず、任意選択構成要素)。
上記構成の本発明の変形例に係る支持具1Aによれば、例えば室内空間において、床面と天井(例えば、梁材)の間に1対の支持具1Aを設置し、さらにこれら1対の支持具1Aにおいて同じ鉛直方向高さに設けられている支持用腕部13に、例えば棚板や棒体を架設又は固設することで、着脱式の棚やハンガーラックとして使用することができる。
よって、本実施形態の変形例に係る支持具1Aによれば、新規な建築設備や家具として使用可能な汎用性の高い支持具を提供することができる。
【0056】
また、本実施の形態に係る伸縮装置2は図1乃至図13に示される形態に特定される必要はなく、これらの図面に示される形態以外のものを採用することができる。より具体的には、本実施形態に係るデッキプレート支持具1は、その伸縮装置2として、少なくとも2つ以上の筒体が入れ子状に収容されてなる多重筒体と、この多重筒体を構成する個々の筒体を供回りさせることなくその中心軸方向に伸縮させる動力伝達軸を備えてなるスクリュージャッキ構造であればどのようなものでも使用できる。
また、多重筒体3の供回りを防止するための具体的な構造としては、例えば本願の各図に示されるように、多重筒体3を構成する各筒体を角筒とし、その最外に配置される角筒の回転動作を規制する、あるいは、多重筒体3を構成する各筒体同士をその中心軸方向にスライド可能に嵌合又は係合させてその供回りを防止する等、従来公知の様々な構造を適宜採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように本発明は、主にスラブ施工方法において用いられる再利用可能なデッキプレートや、それ以外の任意の支持対象物を支持することができる支持具及びそれを用いてなるデッキプレート支持具であり、建築、家具及びインテリア等に関する技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1A…支持具 1…デッキプレート支持具 2…伸縮装置 2a…スライド端部 2b…固定端部 3…多重筒体 3a…第1の筒体 3b…第2の筒体 3c…第3の筒体 3c~3c…筒体 4…フランジ 5…動力伝達軸 5a…ウォームホイール 5b…軸保定パーツ 5c…ネジ部 6a…ケーシング 6b…ケーシング 6b…蓋体 7…ウォームギア 7a…軸保定パーツ 7b…接続部 8a…第1のストッパー 8a´…折曲板 8b…第2のストッパー 8b´…挟持板 9a…補強部材 9b…補強部材 10…貫通孔 11…ボルト 12…ナット 13…支持用腕部 13a…第1の支持用腕部 13b…第2の支持用腕部 14…補強板 15…支持用腕部保持部 16…環状部 17…位置調整部 18…操作レバー 19…H型鋼 19a…上フランジ 19b…下フランジ 19c…空隙 20…角材 21…角パイプ 21a…端部 22…ネジ部 23…ピン 24a…突起 24b…掛止用ツメ 25…ネジ部 26…鋼製梁 26a…端部 B,B~B…非収容領域
図1
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