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特許6997478アンプ装置、オーディオ装置、及びアンプ装置の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】アンプ装置、オーディオ装置、及びアンプ装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20220107BHJP
   H03F 1/26 20060101ALI20220107BHJP
   H03F 3/22 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
H04R3/00 310
H03F1/26
H03F3/22
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021072785
(22)【出願日】2021-04-22
【審査請求日】2021-04-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517199385
【氏名又は名称】有限会社森山銘木
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】町田 和明
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-163548(JP,A)
【文献】特開平10-224884(JP,A)
【文献】実開昭49-72146(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F1/00-3/72
H03G1/00-11/08
H04R3/00-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅素子と、
該増幅素子からの出力信号が入力される一次巻線、及び前記出力信号を所定の出力レベルに変換した音声信号を負荷に対して出力する二次巻線を有するトランスと、
前記増幅素子に電力を供給する電源に接続される電源端子と、
所定の定電位に接続される定電位端子と、
前記電源端子、及び前記定電位端子との間に接続され、ダイオードとコンデンサが並列に設けられた逆起電圧ショート回路と、を備える
アンプ装置。
【請求項2】
前記定電位端子の電位は、前記電源端子に対する入力電圧の絶対値よりも所定に低く、
前記ダイオードのカソード端子が前記電源端子側、アノード端子が前記定電位端子側に接続され、
前記コンデンサの正端子が前記電源端子側、負端子が前記電位端子側に接続された
請求項1に記載のアンプ装置。
【請求項3】
前記定電位端子における定電位がアース電位である
請求項1または請求項2に記載のアンプ装置。
【請求項4】
スピーカーと、
増幅素子からの出力信号が入力される一次巻線及び前記出力信号を所定の出力レベルに変換した音声信号を前記スピーカーに対して出力する二次巻線を有するトランス、増幅素子に電力を供給する電源からの電源回路が接続された電源端子、該電源端子への入力電圧の絶対値よりも所定に低い定電位である定電位端子、前記電源端子及び前記定電位端子との間に接続されダイオードとコンデンサが並列に設けられた逆起電圧ショート回路を有するアンプ装置と、を備える
オーディオ装置。
【請求項5】
増幅素子に電力を供給する電源からの電源回路が接続された電源端子と、該電源端子への入力電圧の絶対値よりも所定に低い定電位である定電位端子と、前記電源端子、及び前記定電位端子との間に接続された逆起電圧ショート回路を有するアンプ装置の制御方法において、
前記アンプ装置に含まれる前記増幅素子からの出力信号をトランスの一次巻線に入力し、該一次巻線に入力された前記出力信号を前記トランスの二次巻線で所定の出力レベルに変換した音声信号を負荷に出力する際に、前記負荷で発生し、前記トランスの二次巻線から一次巻線を介して前記電源端子に入力された逆起電圧による逆起電流を、前記電源端子から前記定電位端子の方向に向けて流すステップ、及び定電位端子から前記電源端子の方向に向けて流すステップを繰り返し、前記逆起電圧を前記逆起電圧ショート回路内でショート状態とする
アンプ装置の制御方法。
【請求項6】
前記逆起電圧ショート回路はダイオードとコンデンサが並列に設けられており、
前記電源端子に印加される前記逆起電圧が正電位の場合には、前記逆起電流を前記電源端子から前記コンデンサを通じて前記定電位端子に向けて流し
前記電源端子に印加される前記逆起電圧が負電位の場合には、前記逆起電流を前記定電位端子から前記ダイオードを通じて前記電源端子に向けて流す、
請求項5に記載のアンプ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンプ装置、オーディオ装置、及びアンプ装置の制御方法に関する。詳しくは、逆起電圧の発生を抑え、音質を向上させることができるアンプ装置、オーディオ装置、及びアンプ装置の制御方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
オーディオ装置は、家庭用音響機器、車載用音響機器等において普及するとともに、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のモバイル端末にも広く採用されている。また、近年では、人間の耳に聞こえない可聴域外の周波数帯の音情報を入れたハイレゾリューション音源が注目されており、これらハイレゾリューション音源に対応したスピーカー装置の開発も盛んに行われている。
【0003】
オーディオ装置の中でも、アンプ装置(増幅器)は忠実な再生音質の向上のため、従来から回路構成、回路素子、使用部品の材質等について様々な改良が進められおり、近年ではデジタル技術の発達により、アンプ装置に使用される増幅素子としてトランジスタや集積回路(IC)が広く採用されている。一方で、このようなデジタル技術が発達する状況においても、増幅素子としての真空管を用いたアンプ装置(以下、「真空管アンプ」という。)は、聴感上優れた再生音質が得られるため、多くの音楽愛好家に支持され、現在もその製造が世界的に続けられている。
【0004】
図12には、特許文献1に開示がされている一般的な真空管アンプの回路構成図の一部を示す。アンプ装置の出力回路100は、再生装置(CDプレーヤー、DVDプレヤー等)から出力される音声信号を増幅する増幅素子としての真空管アンプ101、真空管アンプ101の出力側には一次巻線、及び二次巻線を有する出力トランス102から主に構成され、真空管アンプ101の入力側には図示しない高域通過フィルタ、及び該高域通過フィルタを制御する図示しない制御装置を備えている。
【0005】
また、出力回路100には真空管アンプ101に電力を給電する電源回路103が接続されている。電源回路103は、図12に示すように、AC100V電源から給電された電流を変換し、電源トランス104で昇圧したのちに平滑回路105で平滑化されて、これによって得られた直流高電圧(B電源)が出力トランス102の一次側に供給される。以上のような構成において、真空管アンプ101で増幅された音声信号は、出力トランス102の二次側に接続された音声出力装置であるスピーカー装置(図示しない)を通じて音波として外部に放出される。
【0006】
ところで、スピーカー装置は、一般的にヨーク、磁石、プレート及びセンターポール等の磁気回路と、ボイスコイル、振動板、及びフレーム等の振動体から構成されている。そして、スピーカー装置に接続されているアンプからの入力信号に基づいて、磁石により作られた磁界の中のボイスコイルに流れる電流の変化によりボイスコイルが軸方向に振動し、更に、このボイスコイルにつながっている振動板が振動することで、音波を外部に放射するものとなっている。
【0007】
ボイスコイルに音声信号が入力されると、磁場の中でコイルが振動し振動板を振動させる。その時、同時に磁場の中でボイスコイルが振動する(フレミングの右手の法則・左手の法則が同時に起きる。)ことにより発電が起こる。この発電により生じた電圧(電流)を一般的に逆起電圧(逆起電流)とよぶ。逆起電圧はスピーカー装置からアンプ方向に向かって逆流する性質を有しており、出力トランスの二次側から一次側に入力され、B端子とアース間を通り、さらに電源トランスの二次側を通り、トランスコアの一次側にトランス巻線比に比例して電源トランスの一次側へと入力される。そして、逆起電圧はボイスコイルに流れる電流波形と重なることで音声信号を濁し、結果としてスピーカー装置の音質に大きな影響を及ぼす。
【0008】
逆起電圧は、ボイスコイルの空間における磁場の強さと、ボイスコイルの振動する速度に正比例して発生し、アースに交流信号として入力されることから、アースに大きな電位の歪みを生じさせる。そのため、従来ではアンプ設計において基本とされてきたアースによる0Vの基本回路設計の考えは、実際には0Vが実現しておらず、アースの電位は逆起電圧により常に変動しており、音声信号の忠実な再生の妨げになっている。
【0009】
即ち、この逆起電圧により、図12の出力回路100内において0V設計がされている接地点において電圧変位(B電源のプラスと0Vの間に交流波形として出ている)を常に発生させることになる。そのため、正確な音声信号(信号電圧)を出力することが不可能となり、スピーカー装置からの音質に影響を与える要因となっている。
【0010】
さらに、図12において出力回路100に入力された逆起電圧は、電源回路103にも入力される。電源回路103に入力された逆起電圧は平滑回路105を通り、電源トランス104において所定に減衰されてAC100V電源に入力される(なお、減衰幅は電源トランスの一次側と二次側のコイルの巻数により異なる)。AC100V電源に入力された逆起電圧は、電源トランス104で昇圧された後に平滑回路105を通り、再度出力回路100へと入力される。また、AC100V電源に複数のアンプ装置を接続する場合には、一方のアンプ装置に入力された逆起電圧がAC100V電源を介して他方のアンプ装置にも入力されることになり、一方のアンプ装置からの出力信号だけでなく、他方のアンプ装置の出力信号にも影響を及ぼすことになる。
【0011】
このようなスピーカー装置の音質劣化を引き起こす逆起電圧を低減するために、例えば特許文献2には、逆起電圧に相当する信号をスピーカー回路に正帰還、或いは負帰還する帰還回路を設けることで逆起電圧を補正し、音質を改善するオーディオ装置が開示されている。
【0012】
具体的には、逆起電圧を正帰還させる場合には、逆起電圧を入力信号に対して増加(スピーカー装置の振動板を押す、または引く力が加算)させるように補正することで、正帰還が無い場合よりも振動板の動きがスムーズになる。一方、逆起電圧を負帰還させる場合には、逆起電圧を入力信号に対して減少(スピーカー装置の振動板の動きを抑制)させるように補正することで、負帰還が無い場合よりも振動板は動き難くなる。このように、帰還条件を任意に設定して逆起電圧を補正することで、逆起電圧に起因する音質の歪みを防止することができるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2003-163548号公報
【文献】特開平10-224884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献2に記載の技術においては、ボイスコイルから発生する逆起電圧を検出して、その電圧に応じて補正値を設定するものであるため、逆起電圧を検出するための検出回路が別途必要となる。また、特許文献2は検出された逆起電圧に対して補正値を設定してアンプ回路からスピーカー回路に出力する出力電圧を補正しているに過ぎず、増幅素子から出力される出力電圧と分離して逆起電圧そのものを抑制するという考えについては何ら開示がされていない。
【0015】
以上のように、従来の技術においては逆起電圧の存在は把握されていても、アンプ回路内の出力電圧と、スピーカー装置からアンプ回路内に流れる交流電圧である逆起電圧をそれぞれ分離したうえで、逆起電圧のみを抑制するという考えについては何れの文献にも開示がされていない。
【0016】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、逆起電圧の発生を抑え、音質を向上させることができるアンプ装置、オーディオ装置、及びアンプ装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成するために、本発明のアンプ装置は、増幅素子と、該増幅素子からの出力信号が入力される一次巻線、及び前記出力信号の出力レベルを所定に変換した音声信号を負荷に対して出力する二次巻線を有するトランスと、前記増幅素子に電力を供給する電源に接続される電源端子と、所定の定電位に接続される定電位端子と、前記電源端子、及び前記定電位端子との間に接続され、ダイオードとコンデンサが並列に設けられた逆起電圧ショート回路とを備える。
【0018】
ここで、アンプ装置が、増幅素子を備えることにより、アンプ装置内の回路に入力された音声信号は増幅素子を通じて増幅されて、負荷であるスピーカー装置に出力することができる。
【0019】
また、増幅素子からの出力信号が入力される一次巻線、及び出力信号の出力レベルを所定に変換した音声信号を負荷に対して出力する二次巻線を有する出力トランスを備えることにより、増幅素子で増幅された出力信号の電圧を所定に変換し、負荷であるスピーカー装置に音声信号として出力することができる。
【0020】
また、増幅素子に電力を供給する電源に接続される電源端子を備えることにより、電源から供給される電力を、電源端子を通じて増幅素子に常時供給することができる。
【0021】
また、電源端子、及び所定の定電位に接続される定電位端子との間に、ダイオードとコンデンサが並列に設けられた逆起電圧ショート回路を備えることにより、逆起電圧による逆起電流はコンデンサ、或いはダイオードにおいて逆起電流のみをショートさせて消去することができる。
【0022】
即ち、B端子において、逆起電圧が交流のマイナス電位となった場合には、逆起電流はアースからダイオードを通りB端子に流れてショート状態となる。一方、B端子において、逆起電圧が交流のプラス電位となった場合には、ダイオードと並列に設けられたコンデンサにより、逆起電流はアースの0Vに流れてショート状態となる。
【0023】
従って、逆起電圧が交流のマイナス電位、及び交流のプラス電位の両方において逆起電圧ショート回路のダイオード又はコンデンサを通り逆起電流はショート状態となり、ボイスコイルにおける逆起電圧の発生を防止することができる。以上のことから、アンプ回路、及びスピーカー装置への逆起電圧の影響を無くすことができるため、音声信号が忠実で雑音のない音波をスピーカー装置から出力することが可能となるため、スピーカー装置の音質の向上を図ることができる。
【0024】
このように、逆起電圧として正負の電位が電源端子に入力されても、逆起電流は逆起電圧ショート回路内を流れてコンデンサ、及びダイオードによりショート状態となる。そして逆起電流は出力トランスの一次側から二次側へと出力される際に、一次巻線と二次巻線の巻線比によってさらに低減される。従って、アンプ装置から出力される出力信号の逆起電圧(逆起電流)による影響を最小限に抑制することができる。
【0025】
前記の目的を達成するために、本発明のオーディオ装置は、スピーカー装置と、増幅素子からの出力信号が入力される一次巻線及び前記出力信号の出力レベルを所定に変換した音声信号を前記スピーカー装置に対して出力する二次巻線を有するトランス、増幅素子に電力を供給する電源からの電源回路が接続された電源端子、該電源端子への入力電圧の絶対値よりも所定に低い定電位である定電位端子、前記電源端子及び前記定電位端子との間に接続され、ダイオードとコンデンサが並列に設けられた逆起電圧ショート回路を有するアンプ装置とを備える。
【0026】
ここで、オーディオ装置がスピーカー装置を備えることにより、アンプ装置内の増幅素子で増幅された出力信号が音声信号としてスピーカー装置に入力され、スピーカー装置に入力された音声信号が音波となって外部に向けて放射させることができる。
【0027】
そして、スピーカー装置を構成するボイスコイルの運動に起因する逆起電圧がトランスを介してアンプ装置内に入力された場合に、逆起電圧による逆起電流は電源端子と定電位端子との間に設けられた逆起電圧ショート回路内に導かれる。
【0028】
従って、アンプ装置内の回路からスピーカー装置に向けて出力される音声信号の逆起電圧による影響を抑制し、アンプ装置からスピーカー装置に向けて正確な音声信号を出力することができる。その結果、音声信号が忠実で雑音のない音波をスピーカー装置から出力することが可能となるため、スピーカー装置の音質向上を図ることができる。
【0029】
前記の目的を達成するために、本発明のアンプ装置の制御方法は、増幅素子に電力を供給する電源からの電源回路が接続された電源端子と、該電源端子への入力電圧の絶対値よりも所定に低い定電位である定電位端子と、前記電源端子、及び前記定電位端子との間に接続された逆起電圧ショート回路を有するアンプ装置の制御方法において、前記アンプ装置に含まれる前記増幅素子からの出力信号をトランスの一次巻線に入力し、該一次巻線に入力された前記出力信号を前記トランスの二次巻線で所定の出力レベルに変換した音声信号を負荷に出力する際に、前記負荷で発生し、前記トランスの二次巻線から一次巻線を介して前記電源端子に入力された逆起電圧による逆起電流を、前記電源端子から前記定電位端子の方向に向けて流すステップ、及び定電位端子から前記電源端子の方向に向けて流すステップを繰り返し、前記逆起電圧を前記逆起電圧ショート回路内でショート状態とする。
【0030】
ここで、負荷で発生し、トランスの二次巻線から一次巻線を介して電源端子に入力された逆起電圧による逆起電流を、電源端子から定電位端子の方向に向けて流すステップ、及び定電位端子から電源端子の方向に向けて流すステップを繰り返すことにより、負荷で発生した逆起電圧による逆起電流が逆起電圧ショート回路内を連続的に流れることで逆起電圧が抑制される。
【0031】
即ち、逆起電圧が交流のマイナス電位、及び交流のプラス電位の両方において逆起電圧ショート回路を通り逆起電流はショート状態となり、ボイスコイルにおける逆起電圧の発生を防止することができる。以上のことから、スピーカー駆動用の音声信号には逆起電流の影響を全く与えないため、音声信号が忠実で雑音のない音波をスピーカー装置から出力することが可能となり、スピーカー装置の音質の向上を図ることができる。
【0032】
また、電源端子に印加される逆起電圧が正電位の場合には、逆起電流が電源端子からコンデンサを通じて定電位端子に向けて流すステップを有することにより、入力される逆起電圧が正電位であるとき、電源端子から定電位端子に向けてコンデンサを介して逆起電流が流れる。このとき、コンデンサは直流電流を遮断し、交流電流のみを流すため、アンプ装置の回路内を流れる電流のうち交流電流である逆起電流のみが定電位端子に向けて流れる。従って、電源端子から定電位端子に向けて高電流が流れることを防止し、アンプ装置の回路全体が短絡することを防止できる。
【0033】
また、電源端子に印加される逆起電圧が負電位の場合には、逆起電流が定電位端子からダイオードを通じて電源端子に向けて流すステップを有することにより、電源端子よりも相対的に高電位となる定電位端子から電源端子に向けて逆起電流が流れ、このとき逆起電流はダイオードによりショート状態となり逆起電圧が抑制される。
【0034】
以上のように、アンプ回路内を流れる電圧のうちから交流電圧である逆起電圧のみを取り出し、係る逆起電圧による逆起電流を逆起電圧ショート回路内に流すことで逆起電流をショートさせることで、増幅素子から出力される出力電圧の逆起電圧による影響を最小限として、負荷から出力される音声信号の歪み等を防止することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係るアンプ装置、オーディオ装置、及びアンプ装置の制御方法は逆起電圧の発生を抑え、音質を向上させることができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の第1の実施形態に係るオーディオ装置の概略図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係るオーディオ装置の概略図である。
図3】計測器を用いて逆起電圧を計測している状態を示す概略図である。
図4A】計測1におけるスピーカー装置3aへの入力電圧の波形を示す図である(4V-15Hz)。
図4B】計測1におけるスピーカー装置3aへの入力電圧の波形を示す図である(4V-20Hz)。
図4C】計測1におけるスピーカー装置3aへの入力電圧の波形を示す図である(4V-40Hz)。
図4D】計測1におけるスピーカー装置3aへの入力電圧の波形を示す図である(4V-80Hz)。
図4E】計測1におけるスピーカー装置3aへの入力電圧の波形を示す図である(4V-160Hz)。
図4F】計測1におけるスピーカー装置3aへの入力電圧の波形を示す図である(4V-320Hz)。
図5A】計測1における比較例でのスピーカー装置3bからの出力電圧の波形を示す図である(15Hz)。
図5B】計測1における比較例でのスピーカー装置3bからの出力電圧の波形を示す図である(20Hz)。
図5C】計測1における比較例でのスピーカー装置3bからの出力電圧の波形を示す図である(40Hz)。
図5D】計測1における比較例でのスピーカー装置3bからの出力電圧の波形を示す図である(80Hz)。
図5E】計測1における比較例でのスピーカー装置3bからの出力電圧の波形を示す図である(160Hz)。
図5F】計測1における比較例でのスピーカー装置3bからの出力電圧の波形を示す図である(320Hz)。
図6】周波数と逆起電圧の関係を示すグラフである。
図7】4V-40Hzにおける実施例でのスピーカー装置3bからの出力電圧の波形を示す図である。
図8】計測2におけるスピーカー装置3bへの入力電圧の波形を示す図である。
図9】計測2におけるスピーカー装置3aで発生する出力電圧の波形を示す図である。
図10】計測2における比較例でのアンプ装置で計測された逆起電圧の波形を示す図である。
図11】計測2における実施例でのアンプ装置で計測された逆起電圧の波形を示す図である。
図12】従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0038】
[第1の実施形態]
まず、本発明を適用した第1の実施形態に係るオーディオ装置1の概略を図1に示す。オーディオ装置1はアンプ装置2、及びスピーカー装置3から主に構成され、アンプ装置内には増幅素子としての真空管アンプ21を一つ有する、所謂シングルアンプである。
【0039】
アンプ装置2は、前記した増幅素子としての真空管アンプ21、真空管アンプ21の出力側(プレート)に出力回路26を介して接続された出力トランス22、真空管アンプ21に電力を給電する電源回路27から構成されている。
【0040】
真空管アンプ21は、カソード211、プレート212、及び3つのグリッド213からなる公知の5極管と同一の構成である。具体的には、カソード211には、抵抗R1とコンデンサC1との並列回路の一端が接続されており、この並列回路の他端は接地されている。そして、第1のグリッドであるコントロールグリッド、第2のグリッドであるスクリーングリッド、第3のグリッドであるサプレッサーグリッドの3つのグリッドが設けられており、これら3つのグリッドが5極管の安定な増幅動作を実現している。
【0041】
ここで、必ずしも、真空管アンプ21は5極管である必要はなく3極管から構成されていてもよい。
【0042】
出力トランス22は一次側に一次巻線221が巻回され、二次側に二次巻線222が巻回されており、一次巻線221と二次巻線222の巻線比(本発明の実施形態においては一次側と二次側の巻線比を15:1に設定されるが、これに限定されるものではない。)を変更することで、二次側に出力される出力電圧を変更することが可能となっている。
【0043】
出力トランス22の一次巻線221の一端には真空管アンプ21からの出力回路26が接続され、出力トランス22の二次巻線222にはスピーカー装置3が接続さている。そして、真空管アンプ21から出力された出力電圧は、出力トランス22の一次巻線221から二次巻線222に伝わるときに前記した巻線比に応じて出力電圧が変圧され、変圧後の出力電圧が音声信号としてスピーカー装置3に入力される。
【0044】
出力トランス22の一次巻線221の他端には電源端子23が接続されている。この電源端子23には、真空管アンプ21のプレート212に向けて電力を供給するための電源回路27が接続されている。電源回路27は、AC100V電源から給電された電流を変換し、電源トランス28で昇圧したのちに平滑回路29で平滑化され、これによって得られた直流高電圧(B電源)は、出力トランス22の一次側を経由して真空管アンプ21のプレート212に供給される。
【0045】
出力トランス22の二次側にはスピーカー装置3が接続されている。スピーカー装置3は主にフレーム、プレート、ヨーク、磁石、振動板、ボイスコイルから構成された外磁型の公知のダイナミックスピーカーである。
【0046】
スピーカー装置3は、ボイスコイルにアンプ装置2からの音声信号が入力されると、フレミングの左手の法則に基づき、ボイスコイルに駆動力(ローレンツ力)が作用し、振動板をスピーカー装置の軸方向に振動させ音波が放射される。このとき、ボイスコイル中にスピーカーの振動板を逆に振動させようとする逆起電圧が発生する。
【0047】
逆起電圧はスピーカー装置3から出力トランス22の二次側から一次側に出力されるが、このとき一次巻線221と二次巻線222の巻線比による影響を受ける。即ち、本発明の実施形態においては、一次側と二次側の巻線比が15:1に設定されているため、スピーカー装置3で発生した逆起電圧は、出力トランス22の二次側から一次側に出力される際に一次側では二次側の15倍の大きさに昇圧された状態でアンプ装置2の出力回路26内に入力される。
【0048】
この逆起電圧は、前記したように、真空管アンプ21からの出力信号と重なり信号波形に歪みを生じさせるとともに、出力回路26内において0V設計がされている接地点において電圧変位を常に発生させることになる。その結果、スピーカー装置3からの音質にノイズを発生させる要因となっている。さらに、逆起電圧は、出力回路26から電源回路27に入力され、電源トランス28で所定に減衰されてAC100V電源に入力される。そのため、共通のAC100V電源を利用して複数のアンプ装置を接続する場合には、他のアンプ装置にもAC100V電源を介して逆起電圧が入力され、出力信号に影響を及ぼすことになる。
【0049】
そこで、本発明においては、スピーカー装置3からアンプ装置2内に入力された逆起電圧のみを取り出して、取り出した逆起電圧による逆起電流を電位差の異なる端子間に接続された逆起電圧ショート回路25内に流してショートさせることで、逆起電圧を抑制し、真空管アンプ21から出力される音声信号の歪みを低減している。
【0050】
この逆起電圧ショート回路25は、電源端子23、及び接地される0V基準の定電位端子24との間に接続されており、コンデンサC、及びダイオードDが並列に設けられた回路構成となっている。コンデンサCは、正端子が電源端子23側、負端子が定電位端子24側となるように設置され、ダイオードDはカソード端子が電源端子23側、アノード端子が定電位端子24側となるように設置されている。
【0051】
ここで、必ずしも、定電位端子24は接地されている必要はない。定電位端子24は電源端子23の電位の絶対値よりも所定に低い一定電位を有していればよい。
【0052】
なお、コンデンサCの正端子が定電位端子24側、負端子が電源端子23側となるように設置され、ダイオードDのカソード端子が定電位端子24側、アノード端子が電源端子23側となるように設置する場合には、電源端子23から定電位端子24に向けて逆起電流のみならず、アンプ装置2の回路内を流れる直流電流も含めて瞬時に大電流が流れてアンプ装置2内の回路が短絡する可能性がある。従って、アンプ装置2の回路保護という観点においては、電源端子23から定電位端子24の方向については、直流電流を通さないコンデンサCを介して逆起電流のみを流すように構成する必要がある。
【0053】
次に、逆起電圧ショート回路25内の機能について説明する。前記した通り、逆起電圧は交流電圧であるため、正電位と負電位が交互に電源端子23に印加される。まず、電源端子23に正電位が印加されると、電源端子23の電位は、0V基準である定電位端子24に比べて相対的に電位が高くなる。そのため、逆起電圧による逆起電流は電源端子23から定電位端子24に向けて流れる。
【0054】
このとき、逆起電流はコンデンサCを通過することで、ショート状態とすることができる。そして、前記したように、コンデンサCは交流電流のみを流すため、例えば真空管アンプ21から出力された直流電流は遮断される。従って、逆起電圧ショート回路25内に大電流が流れることを防止しつつ、逆起電流をショートさせることができる。
【0055】
一方、電源端子23に負電位が印加されると、電源端子23の電位は0V基準である定電位端子24に比べて相対的に電位が低くなる。そのため、逆起電圧による逆起電流は定電位端子24から電源端子23に向けて流れることになる。このとき、逆起電流はダイオードDを通過する際にショートされることで逆起電圧が抑制される。
【0056】
以上のように、アンプ装置2内に入力された逆起電圧による逆起電流は、真空管アンプ21から出力される出力電圧とは分離されて、電源端子23と定電位端子24との間に形成された逆起電圧ショート回路25内を流れることでショート状態とすることができる。そして、電圧値が抑制された逆起電圧は、例え二次側に出力されることがあったとしても、出力トランス22の巻線比に応じて、出力トランス22でさらに低減されることから、スピーカー装置3には逆起電圧は殆ど入力されないため、スピーカー装置3から放射される音質の歪みを抑制することができる。
【0057】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るオーディオ装置1aについて図2を用いて説明する。なお、以下の説明においては、第1の実施形態と共通する構成部分については図面上同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0058】
第2の実施形態に係るオーディオ装置1aは、一対の真空管アンプ21a、21bから構成されたプッシュプルアンプである。この場合、出力トランス22の一次巻線221の一端側に真空管アンプ21aの出力回路が接続され、他端側に真空管アンプ21bの出力回路がそれぞれ接続されている。
【0059】
そして、出力トランス22の一次巻線221の中点から引き出されたセンタータップにB電源からの電力供給回路が接続される電源端子23が設けられ、係る電源端子23から接地された定電位端子間に第1の実施形態と同様の構成で、逆起電圧ショート回路25が接続されている。
【0060】
第2の実施形態に係るオーディオ装置1aにおいても、第1の実施形態と同様に、スピーカー装置3から出力された逆起電圧は、出力トランス22で昇圧された後にアンプ装置2の回路内に入力されるが、このとき、逆起電圧による逆起電流は逆起電圧ショート回路25内においてコンデンサC、及びダイオードDでショート状態とすることができる。
【0061】
次に、本発明に係る逆起電圧ショート回路25による逆起電圧の抑制効果を確認するために、アンプ装置2の回路内に逆起電圧ショート回路25を設けた場合(実施例)と、設けない場合(比較例)のそれぞれについての逆起電圧を計測した試験結果を示す。計測に用いたスピーカー装置、及び計測条件等は以下の通りである。なお、アンプ装置は、前記した第2の実施形態に係るプッシュプルアンプを使用しているが、シングルアンプについても同様の結果となる。
【0062】
<スピーカー装置の仕様>
メーカー名:GOTO UNIT
型式:SG―38W
方式:38cmコーン型ウーファーユニット
再生周波数帯域:30~600Hz
最低共振周波数:27Hz
出力音圧レベル:110dB
ミュージックパワー:35W
<計測器>
メーカー名:日置電機
型式:HIOKI8860
<計測場所>
福岡県工業技術センター機械電子研究所(福岡県北九州市八幡西区則松3-6-1)
<計測日>
計測1 2021年2月19日
計測2 2021年4月8日
【0063】
<計測1>
計測1の計測方法は図3に示すように、同一のスピーカー装置3a、3bを二つ準備して振動板が相対するように重ね合わせてフレームのエッジ部分をボルトナットで接続したうえで、一方のスピーカー装置3aの入出力端子にアンプ装置2を接続し、他方のスピーカー装置3bの入出力端子に計測器4を接続した。なお、アンプ装置2の出力トランスの一次側と二次側の巻線比は15:1に設定されている。
【0064】
以上のような条件で、スピーカー装置3aにアンプ装置2からの出力信号を入力してスピーカー装置3aを作動させると、スピーカー装置3aから放出される音波が空気を媒介してスピーカー装置3bに入力されるが、このときのスピーカー装置3bの振動により生じる電圧がスピーカー装置3aから生じる逆起電圧とみなすことができる。
【0065】
図4A乃至図4Fは出力トランス22の二次側に入力された音声信号の電圧波形を示している。図4A乃至図4Fに示す通り、本計測ではスピーカー装置3aに4V-15Hz、4V-20Hz、4V-40Hz、4V-80Hz、4V-160Hz、4V-320Hzの交流電圧が入力されている。
【0066】
まず、本発明の実施形態に係る逆起電圧ショート回路25を設けない場合のスピーカー装置3bで計測される出力電圧の波形を図5A乃至図5Fに、周波数毎の逆起電圧の変動を図6にそれぞれ示す。一般的に逆起電圧は、スピーカー装置3aに入力された電圧(4V)と同程度の電圧が出力トランス22の二次側に発生し、出力トランス22の巻線比に応じて昇圧された後にアンプ装置2に入力される。そして図6から明らかなように、周波数帯域として40Hz前後が最も逆起電圧が高くなり、周波数が大きくなると徐々に逆起電圧は低くなる特性がある。
【0067】
逆起電圧がアンプ装置2に入力される際、出力トランス22の二次側に入力されて一次側から出力されるが、このとき逆起電圧は出力トランス22の巻線比(15:1)に応じて昇圧される。例えば図5Cに示す周波数40Hzの入力電圧の場合では、スピーカー装置3aで生じた逆起電圧(約3.5~3.8V)は、出力トランス22で約15倍に昇圧(約60V前後)されてアンプ装置2に入力されていると推定できる。
【0068】
一方、逆起電圧がアンプ装置2からスピーカー装置3aに出力される場合には、出力トランス22の一次側に入力されて二次側から出力されるが、このとき逆起電圧は出力トランス22の巻線比に応じて15分の1程度に減衰される。即ち、図5Cに示す通り、周波数40Hzの場合では、一次側で発生していると推定される約60Vの逆起電圧は15分の1程度である約4V前後に減衰されてスピーカー装置3aに入力されていることがわかる。
【0069】
次に、本発明の実施形態に係る逆起電圧ショート回路25をアンプ装置2内に設けた場合のスピーカー装置3bで計測される出力電圧の波形を示す図7に示す。なお、図7は、逆起電圧が最も高くなる周波数帯域である40Hzにおける計測結果を示す。
【0070】
逆起電圧ショート回路25を設けることで、スピーカー装置3aで発生した逆起電圧は、逆起電圧ショート回路25内でショートされた結果、アンプ装置2からスピーカー装置3aに出力される際には出力トランス22で15分の1程度に減衰されて約3mV以内となり(即ち、アンプ装置2内では約3.0~4.5mV程度の逆起電圧が発生していると推定される)、比較例に対して1000分の1程度まで抑制されていることが確認できる。
【0071】
<計測2>
計測2では、スピーカー装置から生じる逆起電圧がアンプ装置2内でどの程度の電圧となってアンプ回路内に入力されているかを確認するために、アンプ回路2内の電圧を直接計測した。計測の前提条件としては、図3と同じく同一のスピーカー装置3a、3bを二つ準備して振動板が相対するように重ね合わせてフレームのエッジ部分をボルトナットで結合した状態において、スピーカー装置3bに入力電圧を入力し、そのときのアンプ装置2内で計測される電圧を計測器により計測した。なお、アンプ装置2における電圧の計測点は、図2の回路図中のP-B間の電圧である。
【0072】
スピーカー装置3bに入力される入力電圧を図8、そのときのスピーカー装置3aで計測される電圧を図9にそれぞれ示す。計測2では、スピーカー装置3aで計測される電圧(即ち逆起電圧)が4Vとなるように、スピーカー装置3bに入力する電圧を調整した。なお、計測に用いた周波数帯域は40Hzである。以上の条件のもとで、スピーカー装置3bに電圧を入力したときのアンプ装置2内で計測される電圧波形を図10、及び図11に示す。なお図10は本発明に係る逆起電圧ショート回路25を設けない場合の電圧波形であり、図11は本発明に係る逆起電圧ショート回路25を設けた場合の電圧波形である。
【0073】
まず図10に示すように、アンプ装置2内のP-B間には約60V程度の電圧が発生している(なお、図10の計測結果は出力方法の都合上、グラフの中心位置が若干上側にずれている。)。このとことは、スピーカー装置3aで発生した4Vの逆起電圧が、出力トランス22の一次側と二次側の巻線比に応じて約15倍に昇圧された結果、60V程度の電圧がアンプ装置2内に入力されるという計測1での推定値と合致する。
【0074】
また、逆起電圧ショート回路25を設けた場合には、図11に示すように、アンプ装置2内のP-B間で計測される逆起電圧は約45mV程度に抑制されている。そして、アンプ装置2内の逆起電圧がスピーカー装置3aに入力される際には、出力トランス22の巻線比に応じて約15分の1に減衰されることになる。即ち、出力トランス22の一次側で発生した約45mV程度の逆起電圧は、15分の1である約3.0~4.5mV程度に減衰されてスピーカー装置3aに入力されることになるが、この結果についても計測1の計測結果と合致することがわかる。
【0075】
以上の計測結果からも、本発明に係る逆起電圧ショート回路25は逆起電圧を効率的に抑制し、スピーカー装置3から放射される音質向上に寄与していることが明らかであるといえる。
【0076】
以上のように、本発明を適用したアンプ装置、オーディオ装置、及びアンプ装置の制御方法は、逆起電圧の発生を抑え、音質を向上させることができるものとなっている。
【符号の説明】
【0077】
1、1a オーディオ装置
2 アンプ装置
21、21a、21b 真空管アンプ
211、211a、211b カソード
212、212a、212b プレート
213、213a、213b グリッド
22 出力トランス
221 一次巻線
222 二次巻線
23 電源端子
24 定電位端子
25 逆起電圧ショート回路
26 出力回路
27 電源回路
28 電源トランス
29 平滑回路
3、3a、3b スピーカー装置
4 計測器
C、C1、C2、C3、C4 コンデンサ
D ダイオード
R、R1、R2、R3、R4 抵抗
【要約】
【課題】逆起電圧の発生を抑え、音質を向上させることができるアンプ装置、オーディオ装置、及びアンプ装置の制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】アンプ装置2は、出力トランス22の一次側にある電源端子23と接地された定電位端子24の間に逆起電圧ショート回路25を備えている。逆起電位ショート回路25は、コンデンサCとダイオードDが並列に設けられている。アンプ装置1の回路内に入力された逆起電圧が正電位の場合には、電源端子23から定電位端子24に向けて逆起電流が流れ、このとき逆起電流はコンデンサCによりショート状態となる。一方、入力された逆起電圧が負電位の場合には、定電位端子24から電源端子23に向けて逆起電流が流れ、このときダイオードDによりショート状態となる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12