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特許6997489営業組織のマネジメント支援装置、営業組織のマネジメント支援システム、営業組織のマネジメント支援方法、営業組織のマネジメント支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】営業組織のマネジメント支援装置、営業組織のマネジメント支援システム、営業組織のマネジメント支援方法、営業組織のマネジメント支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220107BHJP
【FI】
G06Q10/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021140506
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2021-08-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510340300
【氏名又は名称】エクスプローラーコンサルティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183988
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 泰帥
(72)【発明者】
【氏名】高原 祐介
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-132204(JP,A)
【文献】特開2021-068035(JP,A)
【文献】野部 剛ほか,現場から見た日本企業の営業,一橋ビジネスレビュー 2018年 WIN.,東洋経済新報社,2018年12月27日, 第66巻,第3号,第6-19頁
【文献】Sales Force Assistant シリーズ ユーザー操作マニュアル ボトルネックサーチ,株式会社NIコンサルティング[オンライン],2020年05月25日,[検索日 2021年10月22日],インターネット:<URL: http://ni-consul.jp/ni_us/manual/ge/nisfa/user_nisfx_18.pdf>
【文献】加賀田 裕之,営業工程・営業フロー・営業プロセスを見える化・改善して売上アップ![オンライン],2020年12月15日,[検索日 2021年10月22日],インターネット:<URL: https://million-sales.com/?p=1442>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
営業組織のマネジメント支援装置であって、
前記マネジメント支援装置に入力された案件ごとの情報を蓄積する情報蓄積部と、
営業組織の業務の状況の評価に利用する営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値を指標として設定して保持する指標設定部と、
前記指標設定部が設定して保持する指標に基づく営業組織の業務の状況の評価に利用する情報を、前記情報蓄積部に蓄積された案件ごとの情報から抽出する情報抽出部と、
前記情報抽出部が抽出した情報と、前記指標設定部が保持する前記指標とによって、営業の段階ごとの営業組織の業務の状況を評価する評価スコアを算出する評価スコア算出部と、
前記評価スコア算出部が算出した前記評価スコアについて営業の段階における分布を示す分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出する分布パターン解析部と、
前記分布パターン解析部が解析し、検出した結果に基づいて、複数の活動候補から営業組織が行うべき1ないし複数の活動を選択する活動選択部と、
前記評価スコア算出部が算出した営業の段階ごとの前記評価スコアと、前記分布パターン解析部が生成して解析した前記分布パターンと、前記活動選択部が選択した営業組織が行うべき1ないし複数の活動と、を関連づけて示す出力情報を生成する出力情報生成部と、
を備えることを特徴とする営業組織のマネジメント支援装置。
【請求項2】
前記分布パターン解析部による前記分布パターンを解析した結果に基づいて、前記指標設定部が前記指標として保持する基準とする値を調整して再設定する指標調整部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の営業組織のマネジメント支援装置。
【請求項3】
前記評価スコア算出部は、前記情報抽出部が営業組織の業務の状況の評価に利用する情報として抽出した前記指標設定部が保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する値と、前記指標設定部が指標として保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する基準とする値と、の差分から前記評価スコアを算出し、
前記分布パターン解析部は、前記評価スコア算出部が算出した評価スコアを対応する営業の段階の営業活動における実行の順に配置する分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の営業組織のマネジメント支援装置。
【請求項4】
前記評価スコア算出部は、前記情報抽出部が営業組織の業務の状況の評価に利用する情報として抽出した前記指標設定部が保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する値の、前記指標設定部が指標として保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する基準とする値に対する割合から前記評価スコアを算出し、
前記分布パターン解析部は、前記指標設定部が保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する値と、前記評価スコア算出部が算出した評価スコアを、営業の段階ごとに、一定期間ごとの時系列に配置する分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の営業組織のマネジメント支援装置。
【請求項5】
前記出力情報生成部は、前記分布パターン解析部が検出した改善すべき営業の段階についての優先順位が視覚的に区別されるための情報であって、優先順位に対応する色彩としての情報を、営業組織が活動を行うべき営業の段階を示す情報に付加して出力情報として生成する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の営業組織のマネジメント支援装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の営業組織のマネジメント支援装置と、
通信ネットワークと、
通信ネットワークを介して少なくとも営業組織のマネジメント支援装置の入出力装置として機能するコンピュータと、
から成る営業組織のマネジメント支援システム。
【請求項7】
営業組織のマネジメント支援方法であって、
案件ごとの情報を蓄積する情報蓄積ステップと、
営業組織の業務の状況の評価に利用する営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値を指標として設定して保持する指標設定ステップと、
前記指標設定ステップで設定して保持する指標に基づく営業組織の業務の状況の評価に利用する情報を、前記情報蓄積ステップで蓄積された案件ごとの情報から抽出する情報抽出ステップと、
前記情報抽出ステップで抽出した情報と、前記指標設定ステップで保持する前記指標とによって、営業の段階ごとの営業組織の業務の状況を評価する評価スコアを算出する評価スコア算出ステップと、
前記評価スコア算出ステップで算出した前記評価スコアについて営業の段階における分布を示す分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出する分布パターン解析ステップと、
前記分布パターン解析ステップで解析し、検出した結果に基づいて、複数の活動候補から営業組織が行うべき1ないし複数の活動を選択する活動選択ステップと、
前記評価スコア算出ステップで算出した営業の段階ごとの前記評価スコアと、前記分布パターン解析ステップで生成して解析した前記分布パターンと、前記活動選択ステップで選択した営業組織が行うべき1ないし複数の活動と、を関連づけて示す出力情報を生成する出力情報生成ステップと、
を備えることを特徴とする営業組織のマネジメント支援方法。
【請求項8】
コンピュータによって読み取られ実行されることで、前記コンピュータを営業組織のマネジメント支援装置として機能させる営業組織のマネジメント支援プログラムであって、
前記コンピュータに入力された案件ごとの情報を蓄積する情報蓄積ステップと、
営業組織の業務の状況の評価に利用する営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値を指標として設定して保持する指標設定ステップと、
前記指標設定ステップで設定して保持する指標に基づく営業組織の業務の状況の評価に利用する情報を、前記情報蓄積ステップで蓄積された案件ごとの情報から抽出する情報抽出ステップと、
前記情報抽出ステップで抽出した情報と、前記指標設定ステップで保持する前記指標とによって、営業の段階ごとの営業組織の業務の状況を評価する評価スコアを算出する評価スコア算出ステップと、
前記評価スコア算出ステップで算出した前記評価スコアについて営業の段階における分布を示す分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出する分布パターン解析ステップと、
前記分布パターン解析ステップで解析し、検出した結果に基づいて、複数の活動候補から営業組織が行うべき1ないし複数の活動を選択する活動選択ステップと、
前記評価スコア算出ステップで算出した営業の段階ごとの前記評価スコアと、前記分布パターン解析ステップで生成して解析した前記分布パターンと、前記活動選択ステップで選択した営業組織が行うべき1ないし複数の活動と、を関連づけて示す出力情報を生成する出力情報生成ステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする営業組織のマネジメント支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、営業組織のマネジメント支援装置、営業組織のマネジメント支援システム、営業組織のマネジメント支援方法、営業組織のマネジメント支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、企業の営業活動において、顧客情報や商談進捗情報などの営業活動に関する情報をデータ化して活用することで営業の生産性向上や効率化を目的とする営業支援システム(SFA:Sales Force Automation)の利用が進んでいる。
【0003】
これまでも、営業の生産性向上や効率化との目的達成に向けて営業活動を支援するシステムの発明が提案されている。しかし、その多くは個々の商談進捗の管理や営業行動の管理に留まり、組織としての生産性向上や効率化を支援することができない。例えば、特許文献1に示す発明などである。また、多くの発明では出力する情報として視覚的に捉えやすい図表やグラフを利用しているが、見やすくデータを整理して出力するに留まり、目的とする営業組織の生産性向上や効率化に向けての活動に直結していない。例えば、特許文献2に示す発明などである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-209184号公報
【文献】特開2021-68035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の発明者は、工場などの生産現場の管理に用いられる生産方式の総合的な品質管理手法を、営業組織の生産性向上や効率化を目的として営業組織のマネジメントに適用することを提案している。特に、生産方式の総合的な品質管理手法として用いられるジャストインタイムの手法(限量生産)は、営業組織に適用することで、営業組織の生産性向上や効率化に寄与するものである。しかし、生産現場とは畑が異なる営業組織の管理者にとって、生産方式の管理手法を営業組織のマネジメントに適用することは困難である。営業組織の管理者が生産方式の管理手法を営業組織のマネジメントに適用するためには、出力においてデータ分析結果が見える化され、営業組織の活動に直結する生産方式の管理手法に基づいて営業組織のマネジメントを支援する、営業組織のマネジメント支援装置、営業組織のマネジメント支援システム、営業組織のマネジメント支援方法、営業組織のマネジメント支援プログラムが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、営業組織の生産性向上や効率化との目的達成に向けて活動を支援する営業組織のマネジメント支援装置、営業組織のマネジメント支援システム、営業組織のマネジメント支援方法、営業組織のマネジメント支援プログラムを提供する。
【0007】
本発明は、営業組織のマネジメント支援装置であって、マネジメント支援装置に入力された案件ごとの情報を蓄積する情報蓄積部と、営業組織の業務の状況の評価に利用する営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値を指標として設定して保持する指標設定部と、指標設定部が設定して保持する指標に基づく営業組織の業務の状況の評価に利用する情報を、情報蓄積部に蓄積された案件ごとの情報から抽出する情報抽出部と、情報抽出部が抽出した情報と指標設定部が保持する指標とによって、営業の段階ごとの営業組織の業務の状況を評価する評価スコアを算出する評価スコア算出部と、評価スコア算出部が算出した評価スコアについて営業の段階における分布を示す分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出する分布パターン解析部と、分布パターン解析部が解析し、検出した結果に基づいて、複数の活動候補から営業組織が行うべき1ないし複数の活動を選択する活動選択部と、評価スコア算出部が算出した営業の段階ごとの評価スコアと、分布パターン解析部が生成して解析した分布パターンと、活動選択部が選択した営業組織が行うべき1ないし複数の活動と、を関連づけて示す出力情報を生成する出力情報生成部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る営業組織のマネジメント支援装置の一態様では、分布パターン解析部による分布パターンを解析した結果に基づいて、指標設定部が指標として保持する基準とする値を調整して再設定する指標調整部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る営業組織のマネジメント支援装置の一態様では、評価スコア算出部は、情報抽出部が営業組織の業務の状況の評価に利用する情報として抽出した指標設定部が保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する値と、指標設定部が指標として保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する基準とする値と、の差分から評価スコアを算出し、分布パターン解析部は、評価スコア算出部が算出した評価スコアを対応する営業の段階の営業活動における実行の順に配置する分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る営業組織のマネジメント支援装置の一態様では、評価スコア算出部は、情報抽出部が営業組織の業務の状況の評価に利用する情報として抽出した指標設定部が保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する値の、指標設定部が指標として保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する基準とする値に対する割合から前記評価スコアを算出し、分布パターン解析部は、指標設定部が保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する値と、評価スコア算出部が算出した評価スコアを、営業の段階ごとに、一定期間ごとの時系列に配置する分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る営業組織のマネジメント支援装置の一態様では、出力情報生成部は、分布パターン解析部が検出した改善すべき営業の段階についての優先順位が視覚的に区別されるための情報であって、優先順位に対応する色彩としての情報を、営業組織が活動を行うべき営業の段階を示す情報に付加して出力情報として生成することを特徴とする。
【0012】
本発明は、営業組織のマネジメント支援システムであって、本発明に係る営業組織のマネジメント支援装置と、通信ネットワークと、通信ネットワークを介して少なくとも営業組織のマネジメント支援装置の入出力装置として機能するコンピュータと、から成ることを特徴とする。
【0013】
本発明は、営業組織のマネジメント支援方法であって、案件ごとの情報を蓄積する情報蓄積ステップと、営業組織の業務の状況の評価に利用する営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値を指標として設定して保持する指標設定ステップと、指標設定ステップで設定して保持する指標に基づく営業組織の業務の状況の評価に利用する情報を、情報蓄積ステップで蓄積された案件ごとの情報から抽出する情報抽出ステップと、情報抽出ステップで抽出した情報と指標設定ステップで保持する指標とによって、営業の段階ごとの営業組織の業務の状況を評価する評価スコアを算出する評価スコア算出ステップと、評価スコア算出ステップで算出した評価スコアについて営業の段階における分布を示す分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出する分布パターン解析ステップと、分布パターン解析ステップで解析し、検出した結果に基づいて、複数の活動候補から営業組織が行うべき1ないし複数の活動を選択する活動選択ステップと、評価スコア算出ステップで算出した営業の段階ごとの評価スコアと、分布パターン解析ステップで生成して解析した分布パターンと、活動選択ステップで選択した営業組織が行うべき1ないし複数の活動と、を関連づけて示す出力情報を生成する出力情報生成ステップと、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明は、コンピュータによって読み取られ実行されることで、コンピュータを営業組織のマネジメント支援装置として機能させる営業組織のマネジメント支援プログラムであって、コンピュータに入力された案件ごとの情報を蓄積する情報蓄積ステップと、営業組織の業務の状況の評価に利用する営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値を指標として設定して保持する指標設定ステップと、指標設定ステップで設定して保持する指標に基づく営業組織の業務の状況の評価に利用する情報を、情報蓄積ステップで蓄積された案件ごとの情報から抽出する情報抽出ステップと、情報抽出ステップで抽出した情報と指標設定ステップで保持する指標とによって、営業の段階ごとの営業組織の業務の状況を評価する評価スコアを算出する評価スコア算出ステップと、評価スコア算出ステップで算出した評価スコアについて営業の段階における分布を示す分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出する分布パターン解析ステップと、分布パターン解析ステップで解析し、検出した結果に基づいて、複数の活動候補から営業組織が行うべき1ないし複数の活動を選択する活動選択ステップと、評価スコア算出ステップで算出した営業の段階ごとの評価スコアと、分布パターン解析ステップで生成して解析した分布パターンと、活動選択ステップで選択した営業組織が行うべき1ないし複数の活動と、を関連づけて示す出力情報を生成する出力情報生成ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明による営業組織のマネジメント支援装置、営業組織のマネジメント支援システム、営業組織のマネジメント支援方法、営業組織のマネジメント支援プログラムは、営業組織の生産性向上や効率化との目的達成に向けて営業組織のマネジメントを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】営業組織のマネジメント支援装置のブロック図である。
図2】営業組織のマネジメント支援装置のハードウェア構成図である。
図3】営業組織のマネジメント支援システムの構成を示す図である。
図4】営業組織のマネジメント支援装置の動作を示すフローチャートである。
図5A】分布パターンのグラフ表現の例である。
図5B】分布パターンのグラフ表現の例である。
図5C】分布パターンのグラフ表現の例である。
図5D】分布パターンのグラフ表現の例である。
図5E】分布パターンのグラフ表現の例である。
図6】分布パターン解析処理を示すフローチャートである。
図7A】出力情報に基づいて作成された帳票のイメージ図である。
図7B】出力情報に基づいて作成された帳票のイメージ図である。
図8】指標調整処理を適用した後の状態を示すグラフ表現である。
図9】分布パターンのグラフ表現の例である。
図10】出力情報に基づいて作成された帳票のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態について、実施例を提示し、図面を参照して説明する。なお、重複する説明は省略し、各図面において同一又は相当部分には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0018】
本実施例に係る営業組織のマネジメント支援装置、営業組織のマネジメント支援システム、営業組織のマネジメント支援方法、営業組織のマネジメント支援プログラムは、営業組織の生産性向上や効率化との目的達成に向けて営業組織の活動を支援することができる。実施例1は、営業組織のマネジメント支援のうち、活動の質のマネジメントにおいて好適に採用されるものである。
【0019】
図1は、営業組織のマネジメント支援装置100のブロック図である。営業組織のマネジメント支援装置100は、単独で装置として構成される形態のみならず、他の装置に組み込まれて使用される形態であってもよい。営業組織のマネジメント支援装置100は、図2に示すように、物理的には、中央演算装置(CPU)201、入力装置202、出力装置203、主記憶装置(RAM/ROM)204、補助記憶装置205を備えるコンピュータとして構成される。営業組織のマネジメント支援装置100を組み込む他の装置はネットワークに接続されたサーバ装置やパーソナルコンピュータなどの他にも、例えば、スマートフォン、情報携帯端末等の携帯型電化製品であってもよい。
【0020】
営業組織のマネジメント支援装置100の各機能は、図2に示す中央演算装置(CPU)201、主記憶装置(RAM/ROM)204等に、営業組織のマネジメント支援装置100としてコンピュータを機能させるプログラムを読み込ませることにより、中央演算装置(CPU)201の制御により入力装置202、出力装置203を動作させるとともに、主記憶装置(RAM/ROM)204、補助記憶装置205とデータの読み書きを行うことで実現される。
【0021】
図1に示すように、営業組織のマネジメント支援装置100は、情報蓄積部101、指標設定部102、情報抽出部103、評価スコア算出部104、分析パターン解析部105、活動選択部106、出力情報生成部107及び指標調整部108を備えている。図1のブロック図に従って、営業組織のマネジメント支援装置100の各ブロックの機能を説明する。動作の詳細については後述する。
【0022】
情報蓄積部101は、営業組織のマネジメント支援装置100に入力された案件ごとの情報を蓄積する。なお、案件ごとの情報については、後述する動作の説明において例をあげて説明する。
【0023】
指標設定部102は、営業組織の業務の状況の評価に利用する営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値を指標として設定して保持する。ここで、営業の段階とは、営業活動における顧客探索から受注契約までの段階をいう。これは本願書面において同様である。例えば、顧客探索、接点構築、案件発掘、案件取得、提案実施、受注契約などの営業活動における段階である。これは例示であって、本発明において、営業の段階を、これらに限るものではない。本発明を適用する営業組織の業務の状況に適した営業の段階を定めればよい。なお、評価する項目と基準とする値については、後述する動作の説明において例をあげて説明する。
【0024】
情報抽出部103は、指標設定部102が設定して保持する指標に基づく営業組織の業務の状況の評価に利用する情報を、情報蓄積部101に蓄積された案件ごとの情報から抽出する。なお、営業組織の業務の状況の評価に利用する情報については、後述する動作の説明において例をあげて説明する。
【0025】
評価スコア算出部104は、情報抽出部103が抽出した情報と、指標設定部102が保持する指標とによって、営業の段階ごとの営業組織の業務の状況を評価する評価スコアを算出する。評価スコアの定義は本願書面において同様である。実施例1では、評価スコア算出部104は、情報抽出部103が営業組織の業務の状況の評価に利用する情報として抽出した指標設定部102が保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する値と、指標設定部102が指標として保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する基準とする値と、の差分から評価スコアを算出するとして、後述する動作の説明において説明する。なお、これは例示であって、本発明において評価スコアの算出方法をこれに限定するものではない。
【0026】
分布パターン解析部105は、評価スコア算出部104が算出した評価スコアについて営業の段階における分布を示す分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出する。なお、分布パターンの解析については、後述する動作の説明において例をあげて説明する。実施例1では、分布パターン解析部105は、評価スコア算出部104が算出した評価スコアを対応する営業の段階の営業活動における実行の順に配置する分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出するとして、後述する動作の説明において説明する。なお、これは例示であって、本発明において分布パターンの生成方法、解析方法をこれに限定するものではない。
【0027】
活動選択部106は、分布パターン解析部105が解析した結果に基づいて、営業組織がまず行うべき活動を複数の活動候補から選択する。
【0028】
出力情報生成部107は、評価スコア算出部104が算出した営業の段階ごとの評価スコアと、分布パターン解析部105が生成して解析した分布パターンと、活動選択部106が選択した営業組織がまず行うべき活動と、を関連づけて示す出力情報を生成する。なお、関連づけについては、後述する動作の説明において例をあげて説明する。実施例1では、出力情報生成部107は、分布パターン解析部105が検出した改善すべき営業の段階についての優先順位が視覚的に区別されるための情報であって、優先順位に対応する色彩としての情報を、営業組織が活動を行うべき営業の段階を示す情報に付加して出力情報として生成する。
【0029】
指標調整部108は、分布パターン解析部105による分布パターンの解析結果に基づいて、指標設定部102が指標として保持する基準とする値を調整して再設定する。
【0030】
次に、実施例1に係る営業組織のマネジメント支援装置100の動作について説明する。説明理解の容易性を考慮して、営業組織のマネジメント支援装置100は、通信ネットワークに接続したサーバ装置に機能として組み込まれて、営業組織のマネジメント支援システムを構成しているとして動作を説明する。なお、これは例示であって、営業組織のマネジメント支援装置100の一部の構成要素がサーバ装置に機能として組み込まれ、他の構成要素がクライアント装置に機能として組み込まれることで、営業組織のマネジメント支援システムを構成してもよい。
【0031】
図3は、営業組織のマネジメント支援システムの構成の例を示す図である。営業組織のマネジメント支援装置100は、通信ネットワーク302に接続したサーバ装置301に機能として組み込まれている。サーバ装置301は、中央演算装置(CPU)201、入力装置202、出力装置203、主記憶装置(RAM/ROM)204、補助記憶装置205を備えるコンピュータであって、通信ネットワーク302を介して通信するための通信モジュールを備える。通信ネットワーク302は、企業内LANなどの狭域閉鎖型のネットワークであっても良いし、インターネットなどの広域開放型のネットワークであってもよい。また、通信ネットワーク302は、有線であっても、無線であってもよい。クライアント装置として例示するパーソナルコンピュータ303、スマートフォン304、情報携帯端末305は通信ネットワーク302を経由して営業組織のマネジメント支援装置100に接続して少なくとも入力装置202、出力装置203として機能する。クライアント装置は、コンピュータとしての機能を備え、少なくとも営業組織のマネジメント支援装置100の入力装置202、出力装置203として機能すればよく、例として示すパーソナルコンピュータ303、スマートフォン304、情報携帯端末305に限るものではない。また、入出力は、サーバ装置301の入力装置202、出力装置203を介しても行うことができる。なお、図3に示す営業組織のマネジメント支援システムの構成は、営業組織のマネジメント支援装置100の動作についての説明理解の容易性を考慮した例示であって、この構成のみに本発明の適用を限るものではない。
【0032】
図4は、実施例1に係る営業組織のマネジメント支援装置100の動作を示すフローチャートである。図4のフローチャートに従って実施例1における営業組織のマネジメント支援装置100の動作を説明する。営業組織のマネジメント支援装置100は、営業組織が扱う商材によらず、商品もしくはサービスのいずれを扱う営業組織であっても本発明を適用することができる。例えば、自動車のような商品の営業であっても、金融機関における融資のようなサービスの営業であっても本発明は適用できる。また、注文住宅のような受注までに顧客との合意形成に時間がかかる商品の営業であっても本発明は適用できる。
【0033】
営業組織のマネジメント支援装置100は、動作を開始すると図4に示すフローチャートに従って処理を行う。動作の開始は、案件ごとの情報の入力後に自動的であっても、明示的な命令によるものであってもよい。営業組織のマネジメント支援装置100への案件ごとの情報の入力は、通信ネットワーク302を介して接続される営業組織のマネジメント支援装置100の入力装置202として機能するクライアント装置であるパーソナルコンピュータ303、スマートフォン304、情報携帯端末305等からでも良いし、営業組織のマネジメント支援装置100が機能として組み込まれているサーバ装置301の入力装置202からでもよい。案件ごとの情報の営業組織のマネジメント支援装置100への入力は、方法を問わない。例えば、案件を担当する営業職員などが入力装置202から案件ごとに個別に行ってもよいし、バッチ処理などで定期的にまとまった情報を営業組織のマネジメント支援装置100に入力することでもよい。
【0034】
営業組織のマネジメント支援装置100は、動作を開始すると、情報蓄積部101が営業組織のマネジメント支援装置100に入力された案件ごとの情報を蓄積する情報蓄積処理(S401)を実行する。ここで、案件とは、営業組織に属する営業職員が顧客に対して提供する商品やサービスの提案から受注に至るまでに一連の処理すべき事柄をいう。金融機関における融資を扱う営業組織を例にとれば、例えば、A銀行のB支店に属する営業職員Cが顧客Dへ提案する100万円の融資などが案件にあたる。また、案件ごとの情報とは、各々の案件に紐づく各種情報をいう。案件ごとの情報には、案件を特定するための情報(例えば、A銀行のB支店に属する営業職員Cが担当である、顧客Dへの提案である、100万円の融資であるなど)、案件の進捗状況についての情報(例えば、今月末が受注目標時期である、提案段階であって受注には至っていないなど)、案件の周辺情報(顧客Dの決裁者はE部長であるなど)等が含まれる。案件ごとの情報には、評価スコア算出部104が営業の段階ごとの営業組織の業務の状況を評価する評価スコアを算出するために情報抽出部103が抽出すべき情報が含まれる。
【0035】
次に、指標設定部102が実行する指標設定処理(S402)について説明する。指標設定処理(S402)では、営業組織の業務の状況の評価に利用する営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値を指標として設定して保持する。ここで、評価する項目とは、その営業の段階において、営業組織の生産性向上や効率化に最も影響する項目であって定量的に計測できる項目である。また、基準とする値とは、生産性や効率の観点から営業組織全体としてバランスよくパフォーマンスを発揮できる状態での各営業の段階における評価する項目の値である。評価する項目と基準とする値のいずれも本発明を適用する営業組織の業務の状況によって適した設定が異なる。実施例1において、例として、営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値を指標として表1のように設定する。表1では、顧客探索から受注契約まで営業の段階における時系列順で評価する項目と基準とする値を指標として示している。なお、これは例示であって、本発明において、営業組織の業務の状況の評価に利用する営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値を指標を、これらに限るものではない。本発明を適用する営業組織の業務の状況の評価に適した評価する項目と基準とする値を営業の段階ごとに指標として定めればよい。なお、以下の説明で、表1に示す記号(a~c)を使用する。
【0036】
【表1】
【0037】
次に、情報抽出部103が実行する情報抽出処理(S403)について説明する。情報蓄積部101による情報蓄積処理(S401)と、指標設定部102による指標設定処理(S402)が終了すると、情報抽出部103が情報抽出処理(S403)を開始する。情報抽出処理(S403)では、指標設定処理(S402)によって営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値を指標に基づく営業組織の業務の状況の評価に利用する情報を、情報蓄積処理(S401)によって情報蓄積部101に蓄積された案件ごとの情報から抽出する。ここで営業組織の業務の状況とは、個々の案件の状況のことではなく、営業組織で扱うすべての案件を営業組織の視点から捉えた業務の状況をいう。
【0038】
情報抽出処理(S403)によって抽出される情報には、営業組織の業務の状況の評価に利用する情報であるから、指標設定処理(S402)が設定して保持する営業組織の業務の状況の評価に利用する営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値からなる指標と対応づけることができる情報が少なくとも含まれる。
【0039】
表2は、指標設定処理(S402)によって設定され保持される指標との対応にあって、情報抽出処理(S403)によって抽出される情報の例を示すものである。表2に示す例では、指標設定処理(S402)が設定して保持する営業組織の業務の状況の評価に利用する営業の段階ごとに定められた評価する項目と基準とする値からなる指標と対応づけるために営業の段階(a)を情報として持つ。なお、表2に示す情報は、以下の説明において少なくとも必要とされる情報の例示であって、本発明において情報抽出処理(S403)によって抽出される情報をこれらに限るものではない。例えば、表2に示す情報抽出処理(S403)によって抽出される情報には、顧客名、案件名、担当営業職員名など、案件に付随する情報が付加されていてもよい。なお、以下の説明で、表2に示す記号(d~f)を使用する。
【0040】
【表2】
【0041】
次に、評価スコア算出部104が実行する評価スコア算出処理(S404)について説明する。情報抽出部103による情情報抽出処理(S403)が終了すると、評価スコア算出部104が評価スコア算出処理(S404)を開始する。
【0042】
評価スコア算出処理(S404)では、情報抽出処理(S403)で抽出された情報と、指標設定処理(S402)で設定されて保持された指標とによって、営業の段階ごとの営業組織の業務の状況を評価する評価スコアを算出する。
【0043】
表3は、情報抽出処理(S403)で抽出された情報と、指標設定処理(S402)で設定されて保持された指標とによって、評価スコア算出処理(S404)が行う営業の段階ごとの営業組織の業務の状況を評価する評価スコアの算出処理について説明するための例示である。なお、以下の説明で、表3に示す記号gおよびhを使用する。また、表3に示す記号のうち、a~cは表1に示すものと、dは表2に示すものと共通である。
【0044】
【表3】
【0045】
表3を用いて、評価スコア算出処理(S404)が行う、営業の段階(a)ごとの営業組織(d)の業務の状況を評価する評価スコア(h)の算出処理について説明する。評価スコア算出処理(S404)では、まず、情報抽出処理(S403)によって抽出された情報から、指標設定処理(S402)で設定されて保持された指標である評価する項目(b)で案件件数を営業組織(d)ごとに集計して、表3に示すように、営業組織(d)における評価する項目(b)で案件件数の当月値(g)を算出する。案件件数の当月値(g)は、情報抽出処理(S403)によって営業組織の業務の状況の評価に利用する情報として抽出された、指標設定処理(S402)で設定されて保持された営業の段階(a)ごとに定められた評価する項目(b)に対応する値である。次に、評価スコア算出処理(S404)では、表3に示す評価スコア(h)を、当月値(g)と基準とする値(c)の差分(h=g-c)として算出する。なお、評価スコアの定義は例示であって、本発明においてこれらに限るものではない。本発明を適用する営業組織の業務の状況の評価に適した評価スコアの定義を定めればよい。
【0046】
なお、表3では、営業組織(d)ごとに、顧客探索から受注契約まで営業の段階(a)は営業活動における時系列順で、営業の段階(a)に割り当てられた番号は時系列に連続で昇順となっている。以降において、第n段階との表記は、番号nが割り当てられた営業の段階を示す。また、表3では、営業組織(d)ごとに、顧客探索から受注契約まで営業の段階(a)における時系列順で、評価する項目(b)、基準とする値(c)、当月値(g)及び評価スコア(h)を示している。これは、後述する分布パターン解析処理(S405)において営業の段階(a)における時系列順を解析について説明容易のためである。
【0047】
次に、分布パターン解析部105が実行する分布パターン解析処理(S405)について説明する。評価スコア算出部104による評価スコア算出処理(S404)が終了すると、分布パターン解析部105が分布パターン解析処理(S405)を開始する。
【0048】
図5A図5Eは、分布パターンを視覚的に表現(グラフ表現)した図の例である。分布パターン解析処理(S405)において視覚的な情報を処理しているわけではないが、分布パターン解析処理(S405)の説明理解の容易性を考慮して、図5A図5Eを参照しつつ説明する。なお、図5A図5Eに例として示す分布パターンのグラフ表現は、後述する出力情報生成処理(S407)において生成される出力情報のひとつでもある。
【0049】
図5A図5Eに示す分布パターンのグラフ表現について説明する。図5A図5Eに示す分布パターンのグラフ表現は、顧客探索から受注契約まで営業の段階における評価スコアを示している。軸501は、基準となる軸である。軸501では、評価スコアの値が0となる。横軸は、軸501から右方向に正値、左方向に負値をとる。横軸上に示すS及びTは分布パターンの解析及び指標調整で使用する閾値であって、分布パターン解析処理(S405)及び指標調整処理(S409)の説明において後述する。縦軸には、顧客探索から受注契約まで営業の段階を時系列順でとる。一点鎖線502は、各営業段階における評価スコアを示すグラフである。
【0050】
営業組織のマネジメントの観点からは、分布パターンのグラフ表現において、各営業段階における評価する項目について評価スコアが負値を取る場合は、基準とする値に対して当該営業組織の当月値が不足していることになる。このため、当該評価する項目についての当該営業組織の当月値を上げるための営業組織のマネジメントが必要となる。一方、各営業段階における評価する項目について評価スコアが正値を取る場合は、基準とする値に対して当該営業組織の当月値が越えていることになるが、当該基準とする値の設定が低過ぎるとも考えられるため、指標である基準とする値を見直す営業組織のマネジメントが必要となる。
【0051】
各営業段階における評価する項目について、基準とする値と当該営業組織の当月値が一致することが営業組織のマネジメントの観点からは理想である。すなわち、各営業段階における評価する項目について評価スコアが0であることが望ましい。分布パターンのグラフ表現は、軸501と各営業段階における評価スコアを示すグラフ502が一致する理想の状態からの現状の乖離具合を視覚的に把握することができる。
【0052】
図6は、分布パターン解析処理(S405)を示すフローチャートである。図6のフローチャートに従って実施例1における営業組織のマネジメント支援装置100の動作を説明する。図6のフローチャートにおいて、hは評価スコアを表す。jは、営業の段階を時系列に示すパラメータであって、表3の例では、営業の段階(a)に振られた番号がこれにあたる。h(j)は、パラメータがjの場合の評価スコアを表す。また、Mは、最終の営業の段階を示すパラメータの値である。表3の例では、Mは6となる。図6のフローチャートにおいて、Sは、基準となる値からの評価スコアの下振れの許容範囲の閾値である。Sは、0以下の値を取り、本発明を適用する営業組織の業務の状況の評価に適した適切な値を設定すればよい。
【0053】
図6のフローチャートで示される分布パターン解析処理(S405)は、マネジメント対象として特定した営業組織について、各営業の段階における評価スコアを時系列に解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出する。
【0054】
分布パターン解析処理(S405)がスタートすると、S601の処理でパラメータjに1を加算する。次に、S602の処理では、j番目の営業の段階における評価スコアh(j)が閾値Sより大きいかどうか判定する。h(j)<=Sの場合は、評価スコアh(j)が下振れの許容範囲を超えて基準となる軸501から下振れしていることになる。このため、j番目の営業の段階を優先的に改善すべきと判定して、優先的に改善すべき営業の段階としてjを出力(S603)する。一方、h(j)>Sの場合は、評価スコアh(j)が下振れの許容範囲に収まっていると判定して次のS604の処理に移る。
【0055】
S604の処理では、j番目の営業の段階における評価スコアh(j)とj+1番目の営業の段階における評価スコアh(j+1)の比較を行う。h(j)>0>h(j+1)となる場合、すなわち、j+1番目の営業の段階における評価スコアh(j+1)が評価スコアh(j)より値が小さく、かつ、負の値をとる場合、j+1番目の営業の段階を優先的に改善すべきと判定して、優先的に改善すべき営業の段階としてj+1を出力(S605)する。h(j)>0>h(j+1)とならない場合は、次のS606の処理に移る。
【0056】
S606の処理では、j+1=Mについて判定を行う。j+1=Mでない場合は、j+1番目の営業の段階は最後の段階ではないのでS601の処理に戻りパラメータjに1を加算して次の営業の段階についての判定処理に進む。j+1=Mとなる場合は、j+1番目の営業の段階は最後の段階であるので、これ以上段階を進むことができない。この場合はS607の処理に進む。
【0057】
S607の処理では、h(1)<0について判定を行う。営業の段階は最後の段階まで判定を行ったため、あらためて1番目の営業の段階についての評価スコアh(1)の正負を判定する。h(1)<0の場合、1番目の営業の段階についての評価スコアh(1)が基準となる値から下振れしているため改善の余地がある。このため、優先的に改善すべき営業の段階として1を出力(S608)する。一方、h(1)>=0の場合、すべての営業の段階において評価スコアが基準となる値を上回るため、優先的に改善すべき営業の段階が検出できないとして0を出力(S609)する。
【0058】
ここで、図5A図5Eを例に示しながら、図6で示す分布パターン解析処理(S405)を説明する。図5Aは、表3に示す営業組織(d)のうちZ支店についての評価スコア(h)の分布パターンを示している。図5Aに、図6のフローチャートで示される処理を適用すると、営業の第1段階(j=1)での評価スコアh(1)である訪問数について、h(1)は負の値をとるものの、h(1)>Sであって、基準となる値からの評価スコアの下振れの許容範囲の閾値Sより大きいため、S602の処理をYESで通過する。次に、営業の第2段階(j+1=2)での評価スコアh(j+1)である担当者面談数において、h(j)>0>h(j+1)が成立するため、S604の処理をYESで通過して、優先的に改善すべき営業の段階として第2段階(j+1=2)と出力(S605)する。対応の優先順位としては、基準となる値からの評価スコアの下振れであって、営業の段階における時系列順でより上流に位置するものが営業組織の生産性向上や効率化ボトルネックとなるため、これを解消するための施策の優先順位が高いと判定される。
【0059】
図5Bは、前述の分布パターン解析処理(S405)の結果を受けて、図5Aの状態であった営業組織に対して優先的に改善すべき営業の段階として出力された第2段階に対して活動を改善した結果を示した分布パターンである。図5Bに、図6のフローチャートで示される処理を適用すると、j=3の場合に、S604の処理でh(j)>0>h(j+1)が成立して、優先的に改善すべき営業の段階として第4段階(j+1=4)と出力(S605)される。
【0060】
図5Cは、前述の分布パターン解析処理(S405)の結果を受けて、図5Bの状態であった営業組織に対して優先的に改善すべき営業の段階として出力された第4段階に対して活動を改善した結果を示した分布パターンである。図5Cに、図6のフローチャートで示される処理を適用すると、j=5の場合に、S604の処理でh(j)>0>h(j+1)が成立して、優先的に改善すべき営業の段階として第6段階(j+1=6)と出力(S605)される。
【0061】
図5Dは、前述の分布パターン解析処理(S405)の結果を受けて、図5Cの状態であった営業組織に対して優先的に改善すべき営業の段階として出力された第6段階に対して活動を改善した結果を示した分布パターンである。図5Dに、図6のフローチャートで示される処理を適用すると、j=5の場合でも、S604の処理でh(j)>0>h(j+1)が成立せず、S606の処理でj+1=6(=M)となり最終の第6段階に達したと判定される。S607の処理でh(1)<0であるため、第1段階に改善の余地があるとして、優先的に改善すべき営業の段階として第1段階と出力(S608)される。
【0062】
図5Eは、前述の分布パターン解析処理(S405)の結果を受けて、図5Dの状態であった営業組織に対して優先的に改善すべき営業の段階として出力された第1段階に対して活動を改善した結果を示した分布パターンである。図5Eに示される分布パターンでは、すべての営業の段階において評価スコアが基準となる値を上回るため、優先的に改善すべき営業の段階が検出できないとして0が出力(S609)される。
【0063】
このように分布パターン解析処理(S405)の出力である優先的に改善すべき営業の段階について、評価する項目の評価スコアが向上するように管理者が営業組織のマネジメントを進めることで、例に示す図5Aから図5Eのように段階的に営業組織の生産性向上を効率的に進めることができる。
【0064】
図4のフロチャートに戻って、分布パターン解析処理(S405)以降の説明を進める。分布パターン解析部105による分布パターン解析処理(S405)が終了すると、活動選択部106が活動選択処理(S406)を開始する。また、分布パターン解析部105による分布パターン解析処理(S405)の結果、指標の調整が必要(S408)と判定された場合は、指標調整処理部108が指標調整処理処理(S409)を実行する。指標調整処理処理(S409)については後述する。
【0065】
まず、活動選択処理(S406)では、分布パターン解析処理(S405)の出力である優先的に改善すべき営業の段階に基づいて、営業組織がまず行うべき活動を複数の活動候補から選択する。活動候補は、営業の段階ごとに設定される。表1に示す指標に従う実施例1では、例えば、第1段階であれば「顧客訪問数を増やす」、第3段階であれば「新規アポイントを取得する」、第5段階であれば「新規提案書を提出する」などが活動候補として選択される。また、活動選択処理(S406)での活動候補の選択にあたっては、優先的に改善すべき営業の段階に加えて、評価スコアなどの他の情報も考慮して活動候補を選択してもよい。例えば、同じ第1段階に対して「評価スコア(h)に対して、(―h)×10件の顧客訪問を設定する」などを活動候補として選択するなどである。なお、ここに示す活動候補は例示であって、本発明においてこれらに限るものではない。本発明を適用する営業組織の業務の状況の評価に適した活動候補を定めればよい。
【0066】
次に、出力情報生成部107が実行する出力情報生成処理(S407)について説明する。活動選択部106による活動選択処理(S406)が終了すると、出力情報生成部107が出力情報生成処理(S407)を開始する。
【0067】
出力情報生成処理(S407)は、評価スコア算出処理(S404)で算出された営業の段階ごとの評価スコアと、分布パターン解析処理(S405)で生成された解析した分布パターンと、活動選択処理(S406)が選択した営業組織がまず行うべき活動と、を関連づけて示す出力情報を生成する。
【0068】
図7Aは、出力情報生成処理(S407)で生成される出力情報に基づいて作成された帳票のイメージ図である。分布パターン解析処理(S405)で生成された解析した分布パターンをグラフ表現することによって営業組織の管理者が全体像と優先的に対応すべき営業段階を視覚的に把握することができる。また、評価スコア算出処理(S404)で算出された優先的に改善すべき営業の段階の評価スコアと活動選択処理(S406)が選択した営業組織がまず行うべき活動を示すことで営業組織の管理者が優先的に改善すべき営業の段階の状況とまず行うべき活動を把握することができる。
【0069】
また、実施例1では、出力情報生成処理(S407)は、分布パターン解析処理(S405)で検出された改善すべき営業の段階についての優先順位が視覚的に区別されるための情報であって、優先順位に対応する色彩としての情報を、営業組織が活動を行うべき営業の段階を示す情報に付加して出力情報として生成することができる。図7Bは、優先順位に対応する色彩としての情報が付加された出力情報生成処理(S407)で生成される出力情報に基づいて作成された帳票のイメージ図である。図7Bの例では、最も優先的に対応すべき第2段階には「危険」を示す「赤」のシグナル701が、閾値Sよりも評価スコアが下振れしている第4段階と第6段階には「注意」を示す「黄」のシグナル702が、閾値Sよりも評価スコアが大きい第1段階、第3段階及び第5段階には「安全」を示す「緑」のシグナル703が付されている。優先順位の情報を色彩の情報として交通信号等で使用されるシグナルに見立てることで、営業組織の管理者が全体像と優先的に対応すべき営業段階を視覚的に把握することができる。
【0070】
図4のフローチャートに戻って、指標調整処理部108が実行する指標調整処理処理(S409)について説明する。前述の通り、分布パターン解析部105による分布パターン解析処理(S405)の結果、指標の調整が必要(S408)と判定された場合は、指標調整処理部108が指標調整処理処理(S409)を実行する。
【0071】
各営業段階における評価する項目について評価スコアが正値を取る場合は、基準とする値に対して当該営業組織の当月値が越えていることになるが、一方で、当該基準とする値の設定が低過ぎるとも考えられるため、指標である基準とする値を見直す営業組織のマネジメントが必要となる。指標調整処理部108が実行する指標調整処理処理(S409)は、分布パターン解析部105が実行する分布パターン解析処理(S405)による分布パターンの解析結果に基づいて、指標設定部が102指標として保持する基準とする値の設定が低過ぎる場合に、基準とする値を調整して再設定する。
【0072】
実施例1では、指標の調整が必要かどうかの判定(S408)は、前述の閾値Tと評価スコアの関係によって判定する。Tは、基準となる値からの評価スコアの上振れの許容範囲の閾値である。Tは、0以上の値を取り、本発明を適用する営業組織の業務の状況の評価に適した適切な値を設定すればよい。
【0073】
説明理解の容易性を考慮して、図5E及び図8を使用して指標調整処理処理(S409)を説明する。図8は、図5Eの状態に対して指標調整処理部108が実行する指標調整処理(S409)を適用した後の状態を示すグラフ表現である。S408の処理では、閾値Tと評価スコアhの大小を判定する。T<hの場合、基準とする値の設定が低過ぎるとして指標調整処理(S409)に情報を受け渡す。
【0074】
図5Eの例では、第3段階において一点鎖線のグラフ502で示される評価スコアhが閾値Tを上回っている。よって、S408の処理では、第3段階について指標調整処理(S409)が必要と判定する。
【0075】
次に、指標調整部109が指標調整処理(S409)を実行する。指標調整処理(S409)では、指標として保持する基準とする値を調整して再設定する。実施例1においては、指標調整処理(S409)は、指標を調整する対象である営業段階の基準とする値についてTの値を減ずることで新しい基準とする値とする。また、この新しい基準とする値に変更する指示を指標設定部102に行う。指標設定部102は、指標設定処理(S402)を行って、新しい基準とする値を保持する。なお、新しい基準とする値の決め方は例示であってこれに限るものではない。本発明を適用する営業組織の業務の状況の評価に適した新しい基準とする値の決め方を定めればよい。また、実施例1では、指標調整部109が、直接、指標設定部102に新しい基準とする値を設定するように指示を行うが、指標調整部109が新しい基準とする値を一旦出力して本発明の実施者である営業組織の管理者に確認を求めたうえで、営業組織の管理者が指標設定部102に新しい基準とする値を設定するように指示することとしてもよい。
【0076】
図8の例は、営業の第3段階における基準とする値801を、図5Eで示す基準とする値からTの値を減じた値に置き換えた場合のグラフ表現である。このように分布パターン解析処理(S405)の出力である優先的に改善すべき営業の段階について、評価する項目の評価スコアが向上するように管理者が営業組織のマネジメントを進めることで、例に示す図5Aから図5Eのように段階的に営業組織の生産性向上を効率的に進めることができることに加え、指標調整処理(S409)によって、基準とする値の設定が低過ぎる場合には、指標である基準とする値を見直すことができ、営業組織の生産性向上をより精度高く進めることができる。
【0077】
以上が、実施例1における営業組織のマネジメント支援装置100の動作についての説明である。
【0078】
次に、コンピュータを営業組織のマネジメント支援装置として機能させるための営業組織のマネジメント支援プログラムについて説明する。なお、営業組織のマネジメント支援プログラムについての説明は、実施例1と後述する実施例2のいずれも同じである。
【0079】
営業組織のマネジメント支援プログラムは、メインモジュール、入出力モジュール及び演算処理モジュールを備える。メインモジュールは、処理を統括的に制御する部分である。入出力モジュールは、案件の情報などの入力情報をコンピュータに取得させ、一連の処理の結果生成した情報をコンピュータに表示し出力させる。演算処理モジュールは、情報蓄積モジュール、情報抽出モジュール、指標設定モジュール、評価スコア算出モジュール、分布パターン解析モジュール、活動選択モジュール、出力情報生成モジュール及び指標調整モジュールを備える。メインモジュール、入力モジュール及び演算処理モジュールを実行させることにより実現される機能は、営業組織のマネジメント支援装置100の情報蓄積部101、指標設定部102、情報抽出部103、評価スコア算出部104、分布パターン解析部105、活動選択部106、出力情報生成部107及び指標調整部108の機能とそれぞれ同様である。
【0080】
営業組織のマネジメント支援プログラムは、例えば、ROM等の記憶媒体又は半導体メモリによって提供される。また、営業組織のマネジメント支援プログラムは、通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【実施例2】
【0081】
本実施例に係る営業組織のマネジメント支援装置、営業組織のマネジメント支援システム、営業組織のマネジメント支援方法、営業組織のマネジメント支援プログラムは、営業組織の生産性向上や効率化との目的達成に向けて営業組織の活動を支援することができる。実施例2は、営業組織のマネジメント支援のうち、案件量のマネジメントにおいて好適に採用されるものである。実施例2は、単独で発明を構成してもよいし、実施例1と共に一つの発明を構成してもよい。実施例1と実施例2で一つの発明を構成する場合、質のマネジメントと量のマネジメントの両面からの営業組織の多面的マネジメント支援に好適である。
【0082】
実施例2に係る営業組織のマネジメント支援装置は、実施例1に係る営業組織のマネジメント支援装置と、評価スコア算出部と分布パターン解析部の機能及び動作がそれぞれ異なるとともに、評価スコア算出部の算出結果を分布パターン解析部の解析結果から出力情報を生成することから出力情報生成部の動作に違いがある。実施例2の説明においては、実施例1と同様の機能及び動作についての説明は割愛し、相違する機能及び動作について重点的に説明する。
【0083】
実施例2に係る営業組織のマネジメント支援装置のブロック図及びハードウェア構成は、図1に示すブロック図及び図2に示すハードウェア構成と同様である。また、実施例2に係る営業組織のマネジメント支援システムの構成は、図3に示すシステム構成と同様である。ただし、前述の通り、図1に示す評価スコア算出部104と分布パターン解析部105の機能が実施例1に係る営業組織のマネジメント支援装置とは異なる。
【0084】
実施例2では、評価スコア算出部104は、情報抽出部103が営業組織の業務の状況の評価に利用する情報として抽出した指標設定部102が保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する値の、指標設定部102が指標として保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する基準とする値に対する割合から評価スコアを算出するとして、後述する動作の説明において説明する。なお、これは例示であって、本発明において評価スコアの算出方法をこれに限定するものではない。
【0085】
実施例2では、分布パターン解析部105は、指標設定部102が保持する営業の段階ごとに定められた評価する項目に対応する値と、評価スコア算出部104が算出した評価スコアを、営業の段階ごとに、一定期間ごとの時系列に配置する分布パターンを生成し、解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出するとして、後述する動作の説明において説明する。なお、これは例示であって、本発明において分布パターンの生成方法、解析方法をこれに限定するものではない。
【0086】
図4は、実施例2に係る営業組織のマネジメント支援装置100の動作を示すフローチャートとしても同様である。実施例2における営業組織のマネジメント支援装置100の動作は、前述の通り、図4のフローチャートで、情報蓄積処理(S401)、指標設定処理(S402)及び情報抽出処理(S403)については、実施例1に係る営業組織のマネジメント支援装置100の動作と同様であるため説明を割愛する。
【0087】
実施例2における営業組織のマネジメント支援装置100の動作について、図4の評価スコア算出処理(S404)から説明する。評価スコア算出処理(S404)では、情報抽出処理(S403)で抽出された情報と、指標設定処理(S402)で設定されて保持された指標とによって、営業の段階ごとの営業組織の業務の状況を評価する評価スコアを算出する。
【0088】
表4は、情報抽出処理(S403)で抽出された情報と、指標設定処理(S402)で設定されて保持された指標とによって、評価スコア算出処理(S404)が行う営業の段階ごとの営業組織の業務の状況を評価する評価スコアの算出処理について説明するための例示である。表4において、営業の段階(a)、評価する項目(b)、基準とする値(c)、営業組織(d)及び案件件数の当月値(g)は、実施例1の説明おける表3と同様である。実施例2での評価スコア(i)が、実施例1での評価スコア(h)と異なる。
【0089】
評価スコア算出処理(S404)が評価スコア(i)を算出する。表4に示す評価スコア(i)は、当月値(g)の基準とする値(c)に対する割合(i=100×g/c)として算出する。表4では割合は百分率として示されている。なお、評価スコアの定義は例示であって、本発明においてこれらに限るものではない。本発明を適用する営業組織の業務の状況の評価に適した評価スコアの定義を定めればよい。
【0090】
【表4】
【0091】
次に、分布パターン解析部105が実行する分布パターン解析処理(S405)について説明する。評価スコア算出部104による評価スコア算出処理(S404)が終了すると、分布パターン解析部105が分布パターン解析処理(S405)を開始する。
【0092】
図9は、分布パターンを視覚的に表現(グラフ表現)した図の例である。分布パターン解析処理(S405)において視覚的な情報を処理しているわけではないが、分布パターン解析処理(S405)の説明理解の容易性を考慮して、図9を参照しつつ説明する。なお、図9に例として示す分布パターンのグラフ表現は、後述する出力情報生成処理(S407)において生成される出力情報のひとつでもある。
【0093】
図9は、管理者がマネジメントする営業組織について、各営業段階(a)における当月値(g)の時系列の推移を表すグラフ表現である。軸901は、各営業段階(a)における基準とする値(c)である。図9で示すグラフ表現では、各営業段階(a)における基準とする値(c)を同軸上901に置いていることから、図9は、各営業段階(a)における評価スコア(i)の時系列の推移を表すグラフ表現と読み替えることができる。この場合には、軸901は、各営業段階(a)における評価スコア(i)=100の軸であって、基準とする値(c)と当月値(g)が等しい値をとる。横軸上に示すU及びVは分布パターンの解析及び指標調整で使用する閾値であって、分布パターン解析処理(S405)及び指標調整処理(S409)の説明において後述する。また、図9では、各営業段階(a)における当月値(g)について前月と今月を示しているが、時系列の推移を表すものであればよく、これに限るものではない。例えば、直近3か月や12か月など、本発明を適用する営業組織の業務の状況の評価に適した設定すればよい。
【0094】
実施例2において、図4に示す分布パターン解析処理(S405)では、指標設定処理(S402)で設定されて保持された営業の段階(a)ごとに定められた評価する項目(b)に対応する値である基準とする値(c)を100と換算した値と、評価スコア算出処理(S404)で算出された評価スコア(i)を、営業の段階ごとに、一定期間である月ごとの時系列に配置する分布パターンを生成する。前述の通り、生成された分布パターンを視覚的にグラフ表現したものが図9である。
【0095】
さらに、分布パターン解析処理(S405)では、生成された分布パターンを解析して、優先的に改善すべき営業の段階を検出する。実施例2においては、優先的に改善すべき営業の段階である「危険」、改善の優先順位は高くないものの課題を有する「注意」、現時点で課題は認められない若しくは課題はあるものの改善の優先順位は低い「安全」の3段階に営業の段階を評価する。なお、営業の段階についての3段階評価は例示であって、本発明において、営業の段階についての評価を、これらに限るものではない。本発明を適用する営業組織の業務の状況に適した営業の段階についての評価を定めればよい。
【0096】
図9を用いて分布パターン解析処理(S405)を説明する。横軸上に示す閾値U及びVは、実施例2において、営業の段階についての評価における3段階の境界を示す。Uは「危険」と「注意」の境界であり、Vは「注意」と「安全」の境界である。なお、閾値U及びVのそれぞれの値については、本発明を適用する営業組織の業務の状況に適した閾値を定めればよい。例えば、各営業段階における基準とする値901に対してUを70%値、Vを90%値と定めたり、各営業段階における基準とする値901に対してUを20ポイント低い値、Vを5ポイント低い値と定めるなどである。
【0097】
実施例2においては、各営業の段階(a)で、今月の評価する項目(b)に対応する値である基準とする値(c)を100と換算した値が、3段階のいずれにあるかによって分布パターン解析処理(S405)で評価される。図9に示す例では、第n段階における今月の評価する項目(b)に対応する値である基準とする値(c)を100と換算した値をXnとすると、第4段階と第6段階は、Xn<Uであって分布パターン解析処理(S405)により「危険」と評価される。第1段階と第5段階は、U<=Xn<=Vであって分布パターン解析処理(S405)により「注意」と評価される。第2段階と第3段階は、V<Xnであって分布パターン解析処理(S405)により「安全」と評価される。なお、ここでは今月の値のみを使って分布パターン解析処理(S405)は評価を行ったが、時系列での値の変化を加味するなどした評価とすることもできる。例えば、図9で示す第2段階における今月の値X2はV<X2であるものの、前月から減少しているため一段階下げて「注意」と評価するなどである。
【0098】
分布パターン解析部105による分布パターン解析処理(S405)が終了すると、活動選択部106が活動選択処理(S406)を開始する。活動選択処理(S406)では、分布パターン解析処理(S405)の各営業段階の評価に基づいて、営業組織がまず行うべき活動を複数の活動候補から選択する。実施例2においては、活動選択処理(S406)は、各営業段階を時系列の順に第1段階から探索してはじめに発見される「危険」段階にある営業段階を優先的に改善すべき営業段階として検出する。図9の例では、第4段階が優先的に改善すべき営業段階として検出される。なお、最後の営業段階まで探索して「危険」段階にある営業段階が発見できなかった場合には、各営業段階を時系列の順に第1段階から探索してはじめに発見される「注意」段階にある営業段階を優先的に改善すべき営業段階として検出する。
【0099】
活動選択処理(S406)は、優先的に改善すべき営業の段階に基づいて、営業組織がまず行うべき活動を複数の活動候補から選択する。活動候補の選択については実施例1と同様の処理のため、説明は割愛する。活動選択部106による活動選択処理(S406)が終了すると、出力情報生成部107が出力情報生成処理(S407)を開始する。
【0100】
出力情報生成処理(S407)は、評価スコア算出処理(S404)で算出された営業の段階ごとの評価スコアと、分布パターン解析処理(S405)で生成された解析した分布パターンと、活動選択処理(S406)が選択した営業組織がまず行うべき活動と、を関連づけて示す出力情報を生成する。
【0101】
図10は、出力情報生成処理(S407)で生成される出力情報に基づいて作成された帳票のイメージ図である。分布パターン解析処理(S405)で生成された解析した分布パターンをグラフ表現することによって営業組織の管理者が全体像と優先的に対応すべき営業段階を視覚的に把握することができる。また、優先的に改善すべき営業の段階の評価スコアと活動選択処理(S406)が選択した営業組織がまず行うべき活動を示すことで営業組織の管理者が優先的に改善すべき営業の段階の状況とまず行うべき活動を把握することができる。
【0102】
また、実施例2では、出力情報生成処理(S407)は、分布パターン解析処理(S405)で検出された改善すべき営業の段階についての優先順位が視覚的に区別されるための情報であって、優先順位に対応する色彩としての情報を、営業組織が活動を行うべき営業の段階を示す情報に付加して出力情報として生成することができる。図10で示す出力情報生成処理(S407)で生成される出力情報に基づいて作成された帳票のイメージ図には、優先順位に対応する色彩としての情報が付加されている。図10の例では、優先的に改善すべき営業の段階である第4段階と第6段階には「危険」を示す「赤」のシグナル701が、改善の優先順位は高くないものの課題を有する営業の段階である第1段階と第5段階には「注意」を示す「黄」のシグナル702が、現時点で課題は認められない若しくは課題はあるものの改善の優先順位は低い営業の段階である第2段階と第3段階には「安全」を示す「緑」のシグナル703が付されている。優先順位の情報を色彩の情報として交通信号等で使用されるシグナルに見立てることで、営業組織の管理者が全体像と優先的に対応すべき営業段階を視覚的に把握することができる。
【0103】
図4のフローチャートに戻って、指標調整処理部108が実行する指標調整処理処理(S409)について説明する。前述の通り、分布パターン解析部105による分布パターン解析処理(S405)の結果、指標の調整が必要(S408)と判定された場合は、指標調整処理部108が指標調整処理処理(S409)を実行する。
【0104】
実施例2では、指標の調整が必要かどうかの判定(S408)は、当月値が基準とする値を越えたかどうかで判定する。例えば、図9に示すグラフ表現において、第3段階の当月値は基準である値901を超えているため、第3段階を指標の調整が必要と判定する。
【0105】
指標調整部109が指標調整処理(S409)を実行する。指標調整処理(S409)では、指標として保持する基準とする値を調整して再設定する。実施例2においては、指標調整処理(S409)は、基準とする値を越えた当月値を新たな指標として設定する。例えば、図9に示すグラフ表現において、第3段階の当月値を、新たな第3段階を指標として設定する。
【0106】
以上が、実施例2における営業組織のマネジメント支援装置100の動作について、実施例1との相違点を明確とした説明である。また、実施例2におけるコンピュータを営業組織のマネジメント支援装置として機能させるための営業組織のマネジメント支援プログラムについては、前述の通り、実施例1と同じであるため説明を割愛する。
【0107】
以上、本発明に係る営業組織のマネジメント支援装置、営業組織のマネジメント支援システム、営業組織のマネジメント支援方法、営業組織のマネジメント支援プログラムは、営業組織の生産性向上や効率化との目的達成に向けて営業組織の活動を支援することができる。
【符号の説明】
【0108】
100 営業組織のマネジメント支援装置
101 情報蓄積部
102 指標設定部
103 情報抽出部
104 評価スコア算出部
105 分布パターン解析部
106 活動選択部
107 出力情報生成部
108 指標調整部
201 中央演算装置(CPU)
202 入力装置
203 出力装置
204 主記憶装置(RAM/ROM)
205 補助記憶装置
301 サーバ装置
302 通信ネットワーク
303 パーソナルコンピュータ
304 スマートフォン
305 情報携帯端末
501 分布パターンのグラフ表現での軸
502 各営業段階における評価スコアを示すグラフ
701 赤のシグナル
702 黄のシグナル
703 緑のシグナル
801 指標調整処理によって見直された指標である基準
901 営業段階における基準とする値
【要約】
【課題】
生産方式の総合的な品質管理手法を営業組織に適用することで、営業組織の生産性向上や効率化に寄与する。しかし、生産現場とは畑が異なる営業組織の管理者にとって、生産方式の管理手法を営業組織のマネジメントに適用することは困難であって、支援が求められる。
【解決手段】
本発明に係る営業組織のマネジメント支援装置、営業組織のマネジメント支援システム、営業組織のマネジメント支援方法、営業組織のマネジメント支援プログラムによれば、営業組織の生産性向上や効率化との目的達成に向けて、生産方式の総合的な品質管理手法に基づく営業組織のマネジメント活動を支援することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10