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特許6997504ガスメータの中に組み入れるための遮断弁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】ガスメータの中に組み入れるための遮断弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20220128BHJP
   F16K 1/04 20060101ALI20220128BHJP
   G01F 3/22 20060101ALN20220128BHJP
   F16K 31/50 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
F16K31/04 A
F16K31/04 K
F16K1/04 A
F16K1/04 D
G01F3/22 B
F16K31/50 B
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016120351
(22)【出願日】2016-06-17
(65)【公開番号】P2017009116
(43)【公開日】2017-01-12
【審査請求日】2019-04-16
(31)【優先権主張番号】102015109694.3
(32)【優先日】2015-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】シュテン ウェーリシュ
(72)【発明者】
【氏名】シュテン リッチェル
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ヘルマン
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-062015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0127485(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0256747(US,A1)
【文献】特開2007-162511(JP,A)
【文献】特開2002-317875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00-31/05
F16K 1/00- 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメータの中に組み入れるための遮断弁であって、前記遮断弁は、遮断体を備え、前記遮断体は、めねじ付きのスピンドルドライブを組み込んだモータ駆動式減速伝動装置によって、弁座に対して相対的に縦方向に変位可能であり、
さらに、直流モータ及び前記直流モータの電流を検出するようにされた制御電子機器を備え、
前記遮断体は、前記遮断体が前記遮断弁のガス排出口に対して相対的に引っ張られる開状態の弁位置と、前記めねじ付きのスピンドルドライブが前記直流モータにより前記遮断体を移動させて前記遮断体が固定ストッパに押し付けられるバイアスされた閉状態の弁位置と、前記制御電子機器がモータの電流の増加又はモータの電流最大値によりバイアスされた閉状態を検出したときに前記直流モータが、前記遮断体を前記固定ストッパから解除するバイアス解除された閉状態の弁位置とのあいだで、移動可能とされ、前記遮断弁の気密性は、前記遮断体に抗して動作する可撓性のリップシールによって維持される、
ことを特徴とする遮断弁。
【請求項2】
前記遮断体は、ドーム状且つ流動最適化されたマッシュルーム型遮断体として形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の遮断弁。
【請求項3】
前記遮断体は、前記バイアスされた閉状態の弁位置において固定収容部ストッパによって制限されることを特徴とする、請求項1に記載の遮断弁。
【請求項4】
前記遮断体は、前記バイアスされた閉状態の弁位置において前記弁座に配置されるリップシールへの衝突によって制限されることを特徴とする、請求項1に記載の遮断弁。
【請求項5】
前記弁座の周囲に垂直方向に小分離収容室が形成され、前記小分離収容室はモータを収容し、前記モータは回転可能に固定され、封入され、火花を発生しないことを特徴とする、請求項1に記載の遮断弁。
【請求項6】
前記リップシールは、ガス圧によって支持される、前記バイアスされた閉状態の弁において位置の前記遮断体に押し付けられることを特徴とする、請求項1に記載の遮断弁。
【請求項7】
遮断体と、前記遮断体を、シールが設けられた弁座に対して、縦方向に変位させるための直流モータ作動式伝動装置とを備える、ガスメータのための遮断弁を操作する方法であって、
前記弁を閉位置に切り換える際、前記遮断体は、最初に、前記伝動装置の境界バイアスまでストロークを行い、次に、前記直流モータの電流の増加又は電流最大値を検出する制御電子機器に応じて、リターンストロークによって、前記弁の気密性を維持しながら、前記伝動装置をバイアス解除する位置に移動することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記弁を閉位置に切り換える際、前記遮断体は、前記弁の気密性を維持しながら、前記伝動装置をバイアス解除する位置に直接移動することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モータは、制御スイッチを介して切り換えられ、検出器が、前記遮断体の位置を直接的又は間接的に検出することを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記遮断体は、時間制御で、閉位置から開位置に作動されることを特徴とする、請求項7、8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記モータは、収容室において密閉されていることを特徴とする請求項5に記載の遮断弁。
【請求項12】
前記組み込まれためねじ付きのスピンドルドライブは、円筒形の受け口に収容される制御棒と、前記円筒形の受け口の底部に配置された緩衝ばねとを備え、開位置における前記制御棒は、下側収容部の底部には直接接触せずに前記緩衝バネに当接することを特徴とする請求項5に記載の遮断弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0002]
本発明は、ガスメータ、特に、住宅用又は産業用のガス供給のためのいわゆるインテリジェントガスメータの中に組み入れるための遮断弁及びこの遮断弁を操作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]
ガス吸入口及びガス排出口が設けられた測定収容部では、インテリジェントガスメータは、一般に、交互に充填してガスの流量を測定する2つの可撓性の測定室を含み、測定室は、測定室のための制御系と、計数装置と、計数状態に関する遠隔照会のための部材と、ガス流の遠隔オン/オフ切換のための部材とを含む。遠隔切換は、例えば、料金前納システムや、ガス供給業者側によるガスメータの無効化に必要である。この目的のため、ガス吸入口の遮断弁(遮断弁のアクチュエータは、電気的に作動される)が、機能する。最もコンパクトな構造、作動音の低減、及び操作安全性の向上のために、電源を内蔵する遮断弁は、通常、ガスメータの内部の収容部に収容される。このことから、最小寸法の遮断弁、高い動作安全性、長期間保守不要であることが要求され、これらの要求には、特に、長期にわたるバッテリ援用による動作モードも含まれる。後者には、特に、遮断弁の切換時のエネルギ消費が極めて低いことが求められ、必要な場合には、遮断弁のアクチュエータでの火花発生に対する保護の改善が求められる。
【0003】
[0004]
ソレノイド駆動装置に基づいたアクチュエータに比べて、専用の電気モータに基づいたアクチュエータは、他者による外部からの影響に対する操作安全性の改善により、市場に浸透してきた。このようなアクチュエータは、概ね、故意の衝突、振動、及びその他の操作に影響を受けない。
【0004】
[0005]
同じ出願人による特許文献1によって、遮断体を有する遮断弁が知られており、遮断体は、ガス供給連結部のガスメータ内にフランジ取付され、遮断体は、弁収容部内に回転可能に固定され且つ縦方向に移動される制御棒に位置するので、リップシールが設けられた弁座に対して縦方向に変位可能に設計されている。下部では、制御棒は、調整ナット部材と共に、ナットスピンドルドライブを形成し、ナットスピンドルドライブを介して、遮断体は、調整ナット部材の回転方向に応じて、遮断弁にガス流を流したり、ガス流を遮断したりする。調整ナット部材は、多段歯車伝動装置を介して、小型直流モータによって駆動される。
【0005】
[0006]
特許文献1によるガス遮断弁は、弁の遮断位置及び/又は開位置において、付勢された小型直流モータのトルクを制限する装置を有するが、この装置は、制御棒が、予め規定された移動距離を移動した後、調整ナット部材から係合解除し、その後、調整ナット部材が自由に回転する点において、単に機械的なトルク制限装置として構成されている。したがって、移動距離は、組立分解作業をしなければ、再調整することができない。
【0006】
[0007]
例えば、特許文献2又は特許文献3に相当するステッピングモータを用いることによって、規定の移動距離は、ソフトウェアによって変更可能なステップ仕様を用いて、実現することができる。しかしながら、ステッピングモータは、例えば、出力が匹敵する小型直流モータよりも、比較的大きく、高価で、制御が実質的に複雑である。これらの特許文献に記載の遮断体の設計は、更に、設計上複雑であり、安全性及び機能性のため、長期間にわたって密封体の弁座に適正に到達するように、非常に正確な制御を必要とする。
【0007】
[0008]
遮断/開の実行時間制御が事前に定義された経済的な小型直流モータを用いることによって、従来生じていた問題として、直流モータは、負荷によって、作動点が変化し、このため、弁の実際の開/閉時間は、例えば、ガス圧変動又は温度変動により、動作中に変化する。したがって、完全な開/閉を確実にするため、小型直流モータは、実際に必要よりもかなり長く付勢され、遮断体は、弁座のストッパまで上昇しにくい。また、更なる安全性のため、一般に、数秒が規定されて、例えば、ガス圧の変動を考慮する。平坦なシールを有する弁では、設計を考慮して高い密封力を必要とするので、遮断体は、直流モータが阻止されるまで、弁座内に移動する。この状態で、直流モータは、弁が時間制御でオフに切り換えられるまで、最大電気負荷を受ける。比較的長い付勢時間中、エネルギ消費は、明らかに高く、これにより、電力供給用バッテリに著しく応力が加わり、バッテリの運用寿命は著しく短くなり、モータの運用寿命は、ブラシ間の最大電力流により短くなる。更に、高い圧縮力による調整部材の妨害は、通常動作状態(より長い非作動状態、降下バッテリ電圧)及び環境条件(-20℃~+50℃の温度変動、空気圧変動)時に、確実に排除されない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2015/0060711号明細書
【文献】欧州特許第0836701号明細書
【文献】欧州特許第0836702号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009]
したがって、寸法、安全性、信頼性、運用寿命、及びコストについて改良された遮断弁が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]
したがって、本発明は、その一態様において、ガスメータの中に組み入れるための遮断弁を提供するものであり、前記遮断弁は、遮断体を備え、前記遮断体は、めねじ付きのスピンドルドライブを組み込んだモータ駆動式減速伝動装置によって、弁座に対して相対的に縦方向に変位可能であり、前記伝動装置は、前記弁の閉状態では、気密性を維持しながら、バイアス解除される。
【0011】
[0011]
閉位置の前記遮断体には、バイアスストロークが与えられ、前記遮断体は、閉じる過程を完了すると、降下して、バイアス解除ストロークに戻り、これにより、気密性を維持しながら、前記伝動装置をバイアス解除することが好ましい。
【0012】
[0012]
前記遮断体のバイアスストロークは、固定収容部ストッパによって制限されることが好ましい。
【0013】
[0013]
前記遮断体のバイアスストロークは、前記弁座に配置されるリップシールへの衝突によって制限されることが好ましい。
【0014】
[0014]
バイアス解除された伝動装置座内のストロークのみが、前記弁の気密性を保証しながら、閉方向の前記遮断体に対して規定されることが好ましい。
【0015】
[0015]
前記リップシールは、ガス圧によって支持される、閉位置の前記遮断体に押し付けられることが好ましい。
【0016】
[0016]
第2の態様では、本発明は、遮断体と、前記遮断体を、シールが設けられた弁座に対して、縦方向に変位させるためのモータ作動式伝動装置とを備える、ガスメータのための遮断弁を操作する方法を提供するものであり、前記弁を閉位置に切り換える際、前記遮断体は、最初に、前記伝動装置の境界バイアスまでストロークを行い、次に、小さいリターンストロークによって、前記弁の気密性を維持しながら、前記伝動装置をバイアス解除する位置に移動する。
【0017】
[0017]
前記弁を閉位置に切り換える際、前記遮断体は、前記弁の気密性を維持しながら、前記伝動装置をバイアス解除する位置に直接移動することが好ましい。
【0018】
[0018]
前記モータは、制御スイッチを介して切り換えられ、検出器が、前記遮断体の位置を直接的又は間接的に検出することが好ましい。
【0019】
[0019]
前記遮断体は、時間制御で、閉位置から開位置に作動されることが好ましい。
【0020】
[0020]
本発明の特定の実施形態は、追加の望ましい特徴を含むことができる。「スマート」ガスメータの中に組み入れるための遮断弁は、アクチュエータとして、元来それ自体が知られている小型直流モータを有するとともに、従来から市場で一般的なメータよりも設置スペースが小さいガスメータの中にも組み入れることができるように、全体として小型化されるべきである。遮断弁の機能的に確実な切換のための電気エネルギの消費は、ガスメータの高い運用寿命を実現するのに必要な最大限に制限されるべきである。調整手段は、運用寿命全体にわたって、容易に操作できるべきであり、且つ、妨害又は阻止を招いてはならない。更に、密封システムは、好ましい変形例では、極めて高い電気モータの圧縮力が無くても、確実な密封を保証するため、ガス圧を有利に用いるようなシールを備えるべきである。最後に、遮断弁は、部品が少なく且つ安価な電気制御を含む、極めて簡単で、組み立て易く、ひいては経済的な設計であるべきであり、また、様々なメータ収容部で使用可能であるべきである。
【0021】
[0021]
特定の実施形態により、ガスメータの中に組み入れるための遮断弁は、その弁座に対して、遮断体を有し、遮断体は、縦方向に移動可能であり、弁収容部内で縦方向に案内される制御棒に位置し、制御棒は、減速伝動装置を介して、小型直流モータによって作動されることがわかった。弁座に、比較的軟らかいリップシールが配置されることが有利である。小型直流モータは、電気装置によって制御され、これにより、調整システム全体は、リップシール及び遮断体からなる密封システムを介して、気密性を確実に確立する。しかしながら、調整システム/調整駆動装置自体は、バイアス解除されることによって、動作寿命全体を考慮すると、駆動装置での妨害の発生を確実に防止することができる。遮断体のための固定収容部ストッパ、リップシール上の遮断体の停止、又は適当なセンサによる位置検出は、遮断過程の間、基準位置として用いることができる。最初の2つの場合では、モータの電流の評価スイッチが、モータの電流の流れ(モータの電流の経時増加、モータのトルク)によって、遮断体の停止を認識し、後者の場合、モータの電流は、センサスイッチを介して、直接切られる。本発明のそれぞれ異なる実施形態の遮断体が、最初に、バイアス解除された座を通り越して、基準位置としての、伝動装置をバイアスする座に移動すると、次に、制御スイッチは、直ちに、直流モータの極性の反転、及び、伝動装置をバイアス解除する状態、特に、めねじ付きのスピンドルドライブへの遮断体の移動と反応し、その後、モータの電流は遮断される。このリターンストロークは、好ましくは、技術的な切換手段によって、数mmに、いずれの場合も、気密性が安全に保証されるような値に時間制御される。
【0022】
[0022]
センサとして、例えば、リミットスイッチ、マイクロセンサ、リードコンタクト、遮光壁、又は圧力センサを用いることができる。適当な制御によって、内蔵バッテリの経済的なエネルギ消費を可能にする。
【0023】
[0023]
密封挙動は、好ましい変形例では、ドーム状の流動最適化された遮断弁と相互に作用する特に軟らかいリップシールによって、適当にサポートすることができる。これは、既に印加されているガス圧を用いることによって、密封効果が増すからである。
【発明の効果】
【0024】
[0024]
本発明によって、新しい著しく小さいガスメータだけでなく、現在の従来の寸法のインテリジェントガスメータの両方の中に組み入れるための、格別に小さく、空力式で、操作が安全で、低保守で、信頼性があり、設置し易く、経済的な遮断弁の構造を可能にする。従来よりも消費電力が著しく低い小型直流モータ(概ね小型化されたマイクロ電気モータ)を、減速伝動装置及びインテリジェント制御と組み合わせて用いることによって、遮断弁の切換時、高い調整力で、エネルギ消費を低減することができ、この手段によって、内蔵のエネルギ蓄積(バッテリ)は、多数年後、回生又は交換しさえすればよい。但し、特に、遮断体は、遮断動作位置(そこに留まると、妨害の結果として、弁の機能破壊の恐れがある動的なバイアスを招くような位置)には移動されない。遮断体は、各遮断命令の後、長いアイドル段階の結果として調整手段をフリーズさせる傾向がなくなるようなレベルまで、調整システム全体を自動的にバイアス解除するか、又は、遮断弁は、調整運動が所定の限度内でバイアス解除されたままである位置に直接移動される。特定のリップシール及び湾曲状の流動最適化された遮断体を用いることにより、弁の閉塞状態で存在するガス圧、並びに、開状態で流れるガスの流動挙動の結果として、密封挙動は向上する。これにより、動作時に印加しなければならない密封力を最小にすることができる。これにより、モータの歯車からのモータのトルクと調整ナット部材ひいては制御棒との平行移動比が大きいことに関連して、消費電力が非常に低い、特に小さい小型直流モータを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】開状態の弁位置における弁の第1の実施形態を通る3次元断面図である。
図2】バイアスされた閉状態の弁位置における第1の弁を通る3次元断面図である。
図3】バイアス解除された閉状態の弁位置における第1の弁を通る3次元断面図である。
図4】開状態の弁位置における弁の第2の実施形態を通る3次元断面図である。
図5】バイアスされた閉状態の弁位置における第2の弁を通る3次元断面図である。
図6】バイアス解除された閉状態の弁位置における第2の弁を通る3次元断面図である。
図7】開状態の弁位置における弁の第3の実施形態を通る3次元断面図である。
図8】閉状態の弁位置における第3の弁を通る3次元断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[0025]
ここで、添付図面の図を参照して、単なる例示として本発明の好ましい実施形態を説明する。図において、複数の図に現れる同一の構造体、要素又は部品は、一般に、それらが現れる全ての図において同じ符号で表記される。図内に示される構成部品及び構造部の寸法は、一般に、便宜のため及び提示の明確さのために選択されたものであり、必ずしも縮尺通りではない。
【0027】
[0034]
図1に、3次元図で、ガス遮断弁の第1の変形例を通る断面図を示す。弁の円筒形のプラスチック収容部は、本質的に、上から下に、ガス吸入管2を有する上側収容部1、プレート3、及び下側収容部4から構成される。ドーム状且つ流動最適化されたマッシュルーム型遮断体5は、上側収容部1に渡されたリップシール6に対して密封するために機能する。プレート3は、上側収容部1に対して特定の距離だけ離れて固定され、この手段によって、横方向のガス排出口7が、弁の開状態で、形成される。小さい分離した収容室8が、プレート3の周囲に垂直方向に成形され、小型直流モータ9を収容し、小型直流モータ9は、回転可能に固定され、封入され、火花を発生しない。収容室8から、電気接続部が、上方に案内され、小型直流モータ9から出る。下側収容部4は、底部で、収容室8を閉塞する。分離した収容室8により、マイクロ電気モータは、完全に封入されるように設計することができ、また、必要な爆発保護を、弁の運用寿命全体にわたって、確実に保障することができるように、密封することができる(図示せず)。下側収容部4の底部は、後述する中心の円筒形の制御棒16の受け口10として押し下げられる。
【0028】
[0035]
モータ9のモータ軸は、分離した収容室8から下方に突出し、下側収容部4に案内され、モータ歯車11をその端部側で支持する。平歯車からなる減速伝動装置(その機能については、後述する)は、プレート3と下側収容部4との間の空間に取り付けられる。モータ歯車11は、中間歯車12に作用し、中間歯車12は、下側収容部4内に取り付けられ、別の中間歯車13と係合する。中間歯車13の軸に、小さい出力歯車14が位置する。歯車13及び14は、単一体として成形又は形成することもできる。出力歯車14は、下側収容部4とプレート3との間に取り付けられる調整ナット部材15を駆動する。調整ナット部材15は、その軸の周りを回転するとき、一種の滑りねじ駆動装置(めねじ付きのスピンドルドライブ)に応じて、制御棒16を作動させる。具体的には、制御棒16は、下端に、調整ナット部材15の内側ねじ山に対応する外側ねじ山を有し、調整ナット部材15によってバイアスされる。このように、制御棒16は、遮断体5の回転方向に応じて、弁座の方向、又は円筒形の受け口10の方向の下方のいずれかに、調整ナット部材15を平行移動させる。
【0029】
[0036]
制御棒16及び遮断体5は、図示のように、それらの軸が、互いに回転可能に固定されて挿入されるので、2つの別個の部品から構成することができるか、又は、射出成形工程において、一体のプラスチック成形品で製造することができる。プレート3に形成されるスリーブ17は、確実に、制御棒16及び遮断体5を回転不能にする。マッシュルーム形状で流線形の最適化された遮断体5は、ガス排出口7に対して相対的に引っ張られた位置では、全開位置に引っ張られる。円筒形の受け口10の底部は、遮断弁の開状態では、制御棒16のストッパとして機能する。
【0030】
[0037]
図2は、めねじ付きのスピンドルドライブ15,16が、モータ駆動式減速伝動装置12~14によって、モータ駆動により、遮断体5を上昇させて、最高点まで移動させた第1の閉段階の弁を示す。第1の実施形態では、遮断体5が、上側収容部1の固定ストッパ18に抗して移動されるので、この状態になる。したがって、伝動装置は、まだ、遮断体を固定ストッパ18に押し付けるバイアス状態である。制御電子機器は、モータの電流の増加又はモータ9の電流最大値により、めねじ付きのスピンドルドライブ15,16のバイアス状態を検出し、そして、モータの電流を切ることによって、モータ9の直流の極の反転、及び、短く、時間制御された、モータ9に対する逆方向の付勢に反応する。
【0031】
[0038]
遮断体5は、この完結段階において、時間制御で、非常に短い距離、例えば、1mm又は1.5mmだけ下方に移動されて、遮断体5は、固定ストッパ18から外れ、めねじ付きのスピンドルドライブ15,16は、妨害を確実に防止するバイアス解除動作状態になる。しかしながら、この状態では、遮断体5は、リップシール6に抗して動作し続けるので、弁の気密性は、更に維持される。可撓性のリップシール6に作用する印加ガス圧は、気密性を更にサポートする。図3に、このような弁のバイアス解除された閉状態を示す。
【0032】
[0039]
図4図6に、より詳細に、本発明の第2の実施形態を図示する。基本構造は、概ね、第1の実施形態と一致するので、原理構造及びその作用方法を説明するために、前述の実施形態及び説明された符号を参照することができる。
【0033】
[0040]
図4は、全開位置の弁を示し、ここで、特別な特徴として、他の2つの実施形態と同様に、開位置の制御棒16は、下側収容部4の底部10に直接接触しないが、代わりに、緩衝ばね19に当接することを供することができる。緩衝ばね19は、全開状態からの起動時に、制御棒16をより速く始動させる。
【0034】
[0041]
図5は、めねじ付きのスピンドルドライブ15,16が、モータ駆動式減速伝動装置12~14によって、モータ駆動により、圧縮力の結果として、遮断体5を上方にバイアスして、最高点に至る第1の閉段階の弁を示す。第2の実施形態では、遮断体5が、可撓性のリップシール6の抵抗に抗して移動されるので、この状態になる。制御電子機器は、モータの電流の経時増加又はモータのトルクの増加により、めねじ付きのスピンドルドライブ15,16のバイアス状態を検出し、次に、モータの電流を遮断することによって、モータ9の直流の極の反転、及び、短く、時間制御された、モータ9の付勢間隔に反応して、モータを逆方向に作動させる。
【0035】
[0042]
図6では、弁のバイアス解除された閉状態を示し、遮断体5は、この完結段階において、時間制御で、非常に短い距離、例えば、1mm又は1.5mmだけ下方に移動され、ここで、可撓性のリップシール6は、少し弾性復元して戻り、めねじ付きのスピンドルドライブ15,16は、妨害を防止するバイアス解除動作状態になる。しかしながら、この状態では、遮断体5は、リップシール6を押圧し続けるので、弁の気密性は維持される。可撓性のリップシール6に作用する印加ガス圧は、気密性を更にサポートする。
【0036】
[0043]
最後に、図7及び図8は、本発明による弁の第3の実施形態を示す。弁の基本構造は、上記の2つの実施形態から若干逸脱するが、原理の発明概念から離れるものではない。
【0037】
[0044]
図7は、全開状態の弁を示す。弁の円筒形のプラスチック収容部は、本質的に、上から下に、ガス吸入管2を有する上側収容部1、プレート3、及び下側収容部4から構成される。ドーム状且つ流動最適化されたマッシュルーム型遮断体5は、上側収容部1に渡されたリップシール6に対して密封するために機能する。プレート3は、上側収容部1に対して或る距離だけ離れて固定され、この手段によって、横方向のガス排出口7が、弁の開状態で、形成される。小さい分離した収容室8が、プレート3の周囲に垂直方向に成形され、小型直流モータ(はっきりと図示せず)を収容し、小型直流モータは、回転可能に固定され、火花を発生しない。下側収容部4は、底部で、収容室8を閉塞する。分離した収容室8により、電気モータは、完全に封入されるように設計することができ、また、必要な爆発保護を、このような弁の運用寿命全体にわたって、確実に保障することができるように、密封することができる。
【0038】
[0045]
下側収容部4の底部は、中心の円筒形の制御棒16の受け口10として押し下げられる。モータのモータ軸は、モータ歯車11を端部側で支持する。モータ歯車11は、中間歯車12に作用し、中間歯車12は、下側収容部4に取り付けられ、別の中間歯車13を駆動する。中間歯車13の軸に、小さい出力歯車14が位置する。出力歯車14自体は、下側収容部4とプレート3との間に取り付けられる調整ナット部材15を駆動する。調整ナット部材15は、その軸の周りを回転するとき、一種の滑りねじ駆動装置(めねじ付きのスピンドルドライブ)に応じて、制御棒16を作動させる。制御棒16は、回転に抗して固定される遮断体5を、両方向に平行移動させる。制御棒16及び遮断体5は、図示のように、それらの軸が、互いに挿入されるので、2つの別個の部品から構成することができるか、又は、射出成形工程において、一体のプラスチック成形品で製造することができる。プレート3上に成形されるスリーブ17は、確実に、制御棒16及び遮断体5を回転不能にする。マッシュルーム形状で流線形の最適化された遮断体5は、ガス排出口7に対して相対的に引っ張られるような位置では、全開位置に引っ張られる。下側収容部4の底部10は、遮断弁の開状態では、制御棒16のストッパとして機能する。
【0039】
[0046]
両端にストッパ21,22を有するスライダ20が、弁収容部内を横方向に案内される。遮断体5は、突起23を有する上側のストッパ21で、スライダ20に接し、下側のストッパ22は、下側収容部4の底部に設置されるセンサ24と一致する。
【0040】
[0047]
図8は、バイアス解除された閉状態の弁を示す。遮断体5は、モータによって、上方に移動される。遮断体5上の突起23は、上側のストッパ21の後方に引っ掛かり、スライダ20を持ってくる。センサ24は、スライダ20の変位路に反応し、遮断体5がバイアス解除された閉状態になるとすぐに、モータの電流を切らせる。その結果、2つの前述の実施形態とは異なり、遮断体5は、最初に、バイアス位置に移動しない。この手段によって、省エネルギ化が行われる。センサ24として、距離の変化又は流れの変化を記録することができる任意の適当な電気機械部品又は電子部品、例えば、マイクロセンサ、ホールセンサ、超音波センサ、又は熱線フローセンサを用いることができる。
【0041】
[0048]
遮断体の位置検出装置は、当然、遮断体が、バイアスされた閉位置に上昇され、その後、リターンストロークによって、バイアス解除が行われるような寸法にすることができる。
【0042】
[0049]
本出願の説明及び請求項において、動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、「含む(contain)」及び「有する(have)」、並びにその変形形態は、説明する要素又は特徴の存在を規定するために包括的な意味で使用され、追加の要素又は特徴の存在を排除するものではない。
【0043】
[0050]
明確にするために別個の実施形態に関連して説明されている本発明の特定の特徴は、1つの実施形態において組み合わせて提供してもよいものと理解される。逆に、簡潔にするために1つの実施形態に関連して説明されている本発明の種々の特徴を、個別に又はそれらを適当に組み合わせて提供してもよい。
【0044】
[0051]
上記の実施形態は単なる例示であり、請求項に定義する本発明の範囲から逸脱することなく、他の様々な修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0045】
1 上側収容部
2 ガス吸入管/吸入口
3 プレート
4 下側収容部
5 遮断体
6 リップシール
7 ガス排出口
8 収容室
9 小型直流モータ
10 受け口/底部
11 モータ歯車
12 中間歯車/モータ駆動式減速伝動装置
13 中間歯車/モータ駆動式減速伝動装置
14 出力歯車/モータ駆動式減速伝動装置
15 調整ナット部材/めねじ付きのスピンドルドライブ
16 制御棒/めねじ付きのスピンドルドライブ
17 スリーブ
18 固定ストッパ
19 緩衝ばね
20 スライダ
21,22 ストッパ
23 突起
24 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8