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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】加熱調理方法、及び加熱調理装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/04 20060101AFI20220107BHJP
   A47J 27/14 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A47J37/04 101Z
A47J27/14 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017125506
(22)【出願日】2017-06-27
(65)【公開番号】P2019005383
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】513129209
【氏名又は名称】株式会社武蔵野ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 定明
(72)【発明者】
【氏名】安田 信行
(72)【発明者】
【氏名】中村 博昭
(72)【発明者】
【氏名】高 英明
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-033162(JP,A)
【文献】実開昭62-037237(JP,U)
【文献】特開2001-069951(JP,A)
【文献】特開2005-052660(JP,A)
【文献】米国特許第05515774(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/04
A47J 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱材料を複数の加熱部により加熱調理する加熱調理方法であって、
前記被加熱材料を加熱する加熱工程と、
加熱された前記被加熱材料から放出された煙を集煙し、集煙した煙を被燻煙材料の周囲空間に還流させる集煙還流工程と、
前記被加熱材料を搬送する搬送工程であって、搬送方向最上流側の前記加熱部から搬送方向最下流側の前記加熱部まで各加熱部に沿って搬送手段により搬送する搬送工程と、
を含み、
前記加熱工程において、搬送されている前記被加熱材料を加熱し、
前記集煙還流工程において、前記最下流側の加熱部の近傍より吸込ダクトを介して前記煙を集煙し、集煙した煙を前記吸込ダクトに通じる吐出ダクトを介して前記最上流側の加熱部の近傍に還流させることで、前記複数の加熱部による加熱が行われる前の段階の前記被加熱材料に吹き付ける、加熱調理方法。
【請求項2】
前記集煙還流工程において、
煙の吐出速度を速める手段を備えた前記吐出ダクトにより、前記集煙した煙を前記最上流側の加熱部の近傍に還流させる、請求項1記載の加熱調理方法。
【請求項3】
被加熱材料を加熱調理する加熱調理装置であって、
前記被加熱材料を加熱する複数の加熱部と、
前記複数の加熱部によって加熱された前記被加熱材料から放出された煙を集煙し、集煙した煙を被燻煙材料の周囲空間に還流させる集煙還流手段と、
搬送方向最上流側の前記加熱部から搬送方向最下流側の前記加熱部まで各加熱部に沿って前記被加熱材料を搬送する搬送手段と、
を備え、
前記複数の加熱部は、前記搬送手段により搬送されている前記被加熱材料を加熱し、
前記集煙還流手段は、
前記最下流側の加熱部の近傍より吸込ダクトを介して前記煙を集煙し、集煙した煙を前記吸込ダクトに通じる吐出ダクトを介して前記最上流側の加熱部の近傍に還流させることで、前記複数の加熱部による加熱が行われる前の段階の前記被加熱材料に吹き付ける、加熱調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理方法、及び加熱調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食材を加熱調理する技術の一つとして、コンベア上を移動する食材を、コンベアの上方に設けられた加熱装置によって焼成しながら、コンベアの下方に設けられた炭火カート内の炭であって加熱された炭から放出される煙によって食材に対して炭火焼の香り付けを行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-255036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来の技術においては、加熱された炭から放出される煙によって食材に炭火焼の香り付けを行うことができるものの、食材に対して炭火焼の香りをさらに強く付けることが求められるようになってきていることから、食材の如き材料に対する炭火焼の香りを効果的に行う観点から一層の改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題を解決するためのものであって、材料に対する炭火焼の香り付けを効果的に行うことが可能になる、加熱調理方法、及び加熱調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の加熱調理方法は、被加熱材料を複数の加熱部により加熱調理する加熱調理方法であって、前記被加熱材料を加熱する加熱工程と、加熱された前記被加熱材料から放出された煙を集煙し、集煙した煙を被燻煙材料の周囲空間に還流させる集煙還流工程と、前記被加熱材料を搬送する搬送工程であって、搬送方向最上流側の前記加熱部から搬送方向最下流側の前記加熱部まで各加熱部に沿って搬送手段により搬送する搬送工程と、を含み、前記加熱工程において、搬送されている前記被加熱材料を加熱し、前記集煙還流工程において、前記最下流側の加熱部の近傍より吸込ダクトを介して前記煙を集煙し、集煙した煙を前記吸込ダクトに通じる吐出ダクトを介して前記最上流側の加熱部の近傍に還流させることで、前記複数の加熱部による加熱が行われる前の段階の前記被加熱材料に吹き付ける。
【0008】
請求項2に記載の加熱調理方法は、請求項1に記載の加熱調理方法において、前記集煙還流工程において、煙の吐出速度を速める手段を備えた前記吐出ダクトにより、前記集煙した煙を前記最上流側の加熱部の近傍に還流させる。
【0010】
請求項3に記載の加熱調理装置は、被加熱材料を加熱調理する加熱調理装置であって、前記被加熱材料を加熱する複数の加熱部と、前記複数の加熱部によって加熱された前記被加熱材料から放出された煙を集煙し、集煙した煙を被燻煙材料の周囲空間に還流させる集煙還流手段と、搬送方向最上流側の前記加熱部から搬送方向最下流側の前記加熱部まで各加熱部に沿って前記被加熱材料を搬送する搬送手段とを備え、前記複数の加熱部は、前記搬送手段により搬送されている前記被加熱材料を加熱し、前記集煙還流手段は、前記最下流側の加熱部の近傍より吸込ダクトを介して前記煙を集煙し、集煙した煙を前記吸込ダクトに通じる吐出ダクトを介して前記最上流側の加熱部の近傍に還流させることで、前記複数の加熱部による加熱が行われる前の段階の前記被加熱材料に吹き付ける。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の加熱調理方法、又は本願発明の加熱調理装置によれば、被加熱材料を加熱する加熱工程と、加熱された被加熱材料から放出された煙を集煙し、集煙した煙を被燻煙材料の周囲空間に還流させる集煙還流工程と、を含むので、集煙還流工程において還流された煙を被燻煙材料に対して繰り返し吹き付けることができる。よって、従来技術(加熱された炭から放出された煙によって材料に対して炭火焼の香り付けを行う技術)に比べて、被燻煙材料に対して炭火焼の香りを強く付けることができ、被燻煙材料に対する炭火焼の香り付けを効果的に行うことが可能となる。また、還流される煙の温度が比較的高いことから、加熱エネルギー効率を高めることができ、省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0012】
また、本願発明の加熱調理方法によれば、加熱工程において、搬送されている被加熱材料を加熱し、集煙還流工程において、搬送されている被加熱材料である被燻煙材料の周囲空間に煙を還流させるので、搬送されている被燻煙材料を加熱し、且つ当該被燻煙材料に対する炭火焼の香り付けを行うことができ、例えば、工場における食品の製造工程に容易に組み込むことが可能となる。
【0013】
また、本願発明の加熱調理方法によれば、被加熱材料の搬送方向の下流側で煙を集煙するので、被加熱材料の搬送方向の上流側で煙を集煙する場合に比べて、被加熱材料から放出される煙の量が比較的多い位置で煙を集煙でき、煙の集煙量を高めることができる。また、集煙した煙を被加熱材料の搬送方向の上流側で被燻煙材料の周囲空間に還流させるので、加熱調理の初期段階又は加熱調理が行われる前の段階で被燻煙材料に対して煙を吹き付けることができ、集煙した煙を被加熱材料の搬送方向の下流側で被燻煙材料の周囲空間に還流させる場合に比べて、被燻煙材料に対する炭火焼の香り付けを効果的に行うことができると共に、加熱エネルギー効率を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る加熱調理装置を概念的に示す正面図である(一部図示省略)。
図2図1の平面図である(一部図示省略)。
図3図1の左側面図である(一部図示省略)。
図4】被加熱材料が加熱調理されている状態を示す正面図である。
図5】加熱調理装置の変形例を示す正面図である(一部図示省略)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る加熱調理方法、及び加熱調理装置の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、被加熱材料を加熱調理する加熱調理方法、及び加熱調理装置に関するものである。
【0018】
ここで、「被加熱材料」とは、加熱調理装置によって加熱調理される対象を意味する。この「被加熱材料」は、例えば、液体状、ゲル状、固体状、あるいはこれらの状態が混合された状態の食材等を含む概念であり、一例として、肉(牛肉、豚肉、鶏肉等)、魚介(鰻等)、野菜等が該当する。また、加熱調理装置は、例えば、業務用の加熱調理装置や家庭用の加熱調理装置等が該当するが、実施の形態では、業務用の加熱調理装置として説明する。
【0019】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0020】
(構成)
最初に、実施の形態に係る加熱調理装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る加熱調理装置を概念的に示す正面図である(一部図示省略)。図2は、図1の平面図である(一部図示省略)。図3は、図1の左側面図である(一部図示省略)。以下の説明では、図1のX方向を加熱調理装置の左右方向(-X方向を加熱調理装置の左方向、+X方向を加熱調理装置の右方向)、図2のY方向を加熱調理装置の前後方向(+Y方向を加熱調理装置の前方向、-Y方向を加熱調理装置の後方向)、図1のZ方向を加熱調理装置の上下方向(+Z方向を加熱調理装置の上方向、-Z方向を加熱調理装置の下方向)と称する。ここで、図1から図3においては、後述する加熱調理装置1のコンベア80によって搬送される被加熱材料の搬送方向は、図1図2の左方側から右方側に向けて搬送されるものとして説明する。
【0021】
図1から図3に示すように、この加熱調理装置1は、概略的に、支持台10、コンベア80、水皿90、上方加熱部100、下方加熱部110、炭加熱部120、集煙還流部150、及び制御ユニット(図示省略)を備えている。
【0022】
また、この加熱調理装置1における各装置の接続形態については、具体的には、コンベア80、上方加熱部100、下方加熱部110、炭加熱部120、及び集煙還流部150は、制御ユニットと図示しない配線を介して電気的に接続されている。よって、コンベア80、上方加熱部100、下方加熱部110、炭加熱部120、又は集煙還流部150との相互間で通信及び電力供給を直接的又は間接的に行うことができる。
【0023】
(構成-支持台)
支持台10は、コンベア80、水皿90、上方加熱部100、下方加熱部110、炭加熱部120、集煙還流部150、及び制御ユニットを支持するための支持手段である。この支持台10は、例えば、公知の加熱調理用の支持台(一例として、鋼製(例えば、ステンレス製等)の支持台等)を用いて構成されており、図1から図3に示すように、支持台本体20、第1脚部71、及び第2脚部72を備えている。
【0024】
(構成-支持台-支持台本体)
支持台本体20は、支持台10の基本構造体であり、図1から図3に示すように、第1支持部30、第2支持部40、及び排水樋60を備えて構成されている。
【0025】
(構成-支持台-支持台本体-第1支持部)
第1支持部30は、コンベア80、水皿90、上方加熱部100、下方加熱部110、及び集煙還流部150を支持する第1支持手段である。図1から図3に示すように、この第1支持部30は、2つの側面(具体的には、上面及び下面等)を開放した略箱形状のベース部31であって、コンベア80、水皿90、及び下方加熱部110を収容するベース部31と、このベース部31をその開放面側から略覆う略逆凹状の蓋部32であって、上方加熱部100を収容すると共に集煙還流部150が外部に露出するように取り付けられている蓋部32とを備えている。また、ベース部31は、略水平に配置され、第1脚部71及び第2脚部72に対して固定されており、蓋部32は、ベース部31の後端部に対して左右方向に沿う軸の軸回りに回動可能に固定されている。
【0026】
(構成-支持台-支持台本体-第2支持部)
第2支持部40は、炭加熱部120を支持する第2支持手段である。図1図3に示すように、この第2支持部40は、略平坦状にて形成された板状体であり、第1支持部30よりも下方の位置に設置されており、具体的には、略水平に配置され、第2脚部72に対して固定されている。
【0027】
(構成-支持台-支持台本体-排水樋)
排水樋60は、加熱調理装置1で発生した排水を収集して外部に排出するための排水手段であり、例えば、公知の排水樋を用いて構成されており、図1から図3に示すように、第2支持部40よりも下方の位置であって、第2脚部72の近傍に設置されている。
【0028】
(構成-支持台-支持台本体-その他)
また、図2図3に示すように、支持台本体20には、ガス給気口21、給水口22、蒸気排気口23、及び蓋部支持部24が設けられている。ここで、ガス給気口21は、図示しないガス源から送られた燃焼用ガスを配管3を介して上方加熱部100、下方加熱部110、又は炭加熱部120に導入するための開口であり、支持台本体20の左方側(被加熱材料の搬送方向の上流側)において上方加熱部100、下方加熱部110、又は炭加熱部120の近傍に設置されている。また、給水口22は、図示しない水源から送られた水を図示しない配管を介して水皿90に導入するための開口であり、支持台本体20の左方側(被加熱材料の搬送方向の上流側)において水皿90の近傍に設置されている。また、蒸気排気口23は、第1支持部30内で発生した蒸気を図示しない配管を介して第1支持部30の外部に排出するための開口であり、支持台本体20の右方側(被加熱材料の搬送方向の下流側)に設置されている。また、蓋部支持部24は、支持台本体20に対して蓋部32を所定角度(例えば、45度等)に維持するように支持するための蓋部支持手段であり、略棒状体にて形成されており、支持台本体20の前端部に対して左右方向(又は前後方向)に沿う軸の軸回りに回動可能に固定されている。
【0029】
(構成-支持台-第1脚部、第2脚部)
第1脚部71は、支持台本体20(特に、第1支持部30)を支持する支持手段である。この第1脚部71は、側面形状が略逆凹状である板状体にて形成されており、図1図3に示すように、第1支持部30の左端部及び右端部の各々にそれぞれ設けられ、設置面2に対して固定されている。また、第2脚部72は、支持台本体20(特に、第2支持部40)を支持する支持手段である。この第2脚部72は、側面形状が略逆凹状である板状体にて形成されており、図1に示すように、第2支持部40の左端部及び右端部の各々にそれぞれ設けられ、設置面2に対して固定されている。
【0030】
(構成-コンベア)
コンベア80は、被加熱材料の搬送方向に略沿って被加熱材料を搬送するための搬送手段であり、図1から図3に示すように、ベルト81、一対の第1ローラ部82、一対の第2ローラ部83、及び駆動部(図示省略)を備えている。
【0031】
ベルト81は、被加熱材料を載置するためのものであり、例えば搬送方向に直交する方向に沿って所定間隔で配置された複数の金属ローラを連結して構成された公知の加熱調理用の金属ローラベルトとして構成されており、第1支持部30内において当該ベルト81の長手方向が左右方向に略沿うように設けられている。このベルト81の上に着脱自在に固定された網(図示省略)に被加熱材料を載置することができる。
【0032】
一対の第1ローラ部82は、ベルト81を回転させるための回転体である。これら一対の第1ローラ部82は、ベルト81の内側に設けられており、具体的には、一対の第1ローラ部82の一方がベルト81の内周面の左端部と当接して配置されていると共に、一対の第1ローラ部82の他方がベルト81の内周面の右端部と当接して配置されており、一対の第1ローラ部82の各々が第1支持部30のベース部31に対して回転可能に固定されている。
【0033】
一対の第2ローラ部83は、ベルト81の張力を調整するための回転体である。これら一対の第2ローラ部83は、ベルト81の下方位置においてベルト81の外側に設けられており、具体的には、一対の第2ローラ部83の一方がベルト81の外周面の左端部の近傍部分に当接して配置されていると共に、一対の第2ローラ部83の他方がベルト81の外周面の右端部の近傍部分に当接して配置されており、一対の第2ローラ部83の各々が第1支持部30のベース部31に対して回転可能に固定されている。
【0034】
駆動部は、一対の第1ローラ部82を駆動する駆動手段であり、例えば、公知のモータ等を用いて構成されており、一対の第1ローラ部82の各々の近傍にそれぞれ設けられ、第1支持部30のベース部31に対して固定されている。
【0035】
(構成-水皿)
水皿90は、当該水皿90に収容された水により、上方加熱部100又は下方加熱部110で生じた熱で第1支持部30の下側部分が過剰に加熱されることを抑制するためのものである。この水皿90は、例えば公知の加熱調理用の水皿等を用いて構成されており、コンベア80よりも下方の位置であり、且つ当該コンベア80の近傍位置に設けられている。
【0036】
(構成-上方加熱部)
上方加熱部100は、被加熱材料を加熱する加熱手段である。この上方加熱部100は、例えば公知の加熱調理用のヒータ等を用いて構成され、第1支持部30の蓋部32の内部においてベルト81の上側部分よりも上方に位置するように設置されており、具体的には、図1に示すように、左右方向に略沿って複数並設されており(実施の形態では、30台並設されており)、蓋部32に対して固定されている。
【0037】
(構成-下方加熱部)
下方加熱部110は、後述する被加熱材料を加熱する加熱手段である。この下方加熱部110は、例えば公知の加熱調理用のヒータ等を用いて構成され、第1支持部30のベース部31の内部においてベルト81の上側部分よりも下方に位置するように設置されており、具体的には、図1に示すように、ベルト81の内側において左右方向に略沿って複数並設されており(実施の形態では、30台並設されており)、ベース部31に対して固定されている。
【0038】
(構成-炭加熱部)
炭加熱部120は、被燻煙材料に対して炭火焼の香り付けを行うために用いられる炭を加熱する炭加熱手段であり、図1から図3に示すように、炭収容部121及び熱源部122を備えている。
【0039】
炭収容部121は、炭を収容する炭収容手段であり、例えば1つの側面(例えば、上面等)を開放した鋼製の略箱形状に形成されており、図1に示すように、第2支持部40上において左右方向に略沿って複数並設されている(実施の形態では、6台並設されている)。
【0040】
熱源部122は、炭収容部121に収容された炭を加熱するためのものであり、例えば、公知の炭加熱用バーナを用いて構成されている。また、図1に示すように、この熱源部122は、炭収容部121の近傍位置において左右方向に略沿って複数並設されており(実施の形態では、3台並設されており、1台の熱源部122に対して2台の炭収容部121を加熱することが可能な位置にそれぞれ配置されている)、具体的には、熱源部122の放熱ノズル122a(熱が放出されるノズル)が炭収容部121の後側壁部に形成された挿通孔(図示省略)を介して挿通された状態で配置されており、支持台本体20に対して固定されている。
【0041】
(構成-集煙還流部)
集煙還流部150は、上方加熱部100又は下方加熱部110によって加熱された被加熱材料から放出された煙を集煙し、集煙した煙を被燻煙材料の周囲空間Sに還流させる集煙還流手段であり、図1から図3に示すように、吸込ダクト151、第1中継ダクト152、第2中継ダクト153、吐出ダクト154、及びブロア155を備えている。ここで、「被燻煙材料」とは、炭火焼の香り付けが行われる対象を意味し、実施の形態では、被加熱材料を被燻煙材料として説明する。ただし、これに限られず、例えば、被加熱材料以外の材料を被燻煙材料としてもよい。「被燻煙材料の周囲空間S」とは、被燻煙材料のまわりの空間を意味し、例えば、第1支持部30の内部空間のうち被燻煙材料を載置するコンベア80の近傍の空間等が該当する。
【0042】
(構成-集煙還流部-吸込ダクト、第1中継ダクト、第2中継ダクト、吐出ダクト)
吸込ダクト151は、第1支持部30内において被加熱材料から放出された煙を吸い込み、当該吸い込まれた煙を第1中継ダクト152に送るためのダクトであり、例えば公知のダクト等を用いて構成されている(なお、第1中継ダクト152、第2中継ダクト153、及び吐出ダクト154についても同様とする)。第1中継ダクト152は、吸込ダクト151にて吸い込まれた煙を第2中継ダクト153に送るためのダクトである。第2中継ダクト153は、第1中継ダクト152から送られた煙を吐出ダクト154に送るためのダクトである。吐出ダクト154は、第2中継ダクト153から送られた煙を第1支持部30内に吐出するためのダクトである。
【0043】
ここで、吸込ダクト151、第1中継ダクト152、第2中継ダクト153、及び吐出ダクト154の接続方法については任意であるが、例えば、まず、吸込ダクト151の一方の端部を第1支持部30の蓋部32の右方側(被加熱材料の搬送方向の下流側)に形成された第1接続口(図示省略)と接続すると共に、吸込ダクト151の他方の端部を第1中継ダクト152の一方の端部と接続する。次に、第2中継ダクト153の一方の端部をブロア155を介して第1中継ダクト152の他方の端部と接続すると共に、第2中継ダクト153の他方の端部を吐出ダクト154の一方の端部と接続する。そして、吐出ダクト154の他方の端部を第1支持部30の蓋部32の左方側(被加熱材料の搬送方向の上流側)に形成された第2接続口(図示省略)と接続する。これらダクトにより、上方加熱部100又は下方加熱部110によって加熱された被加熱材料から放出される煙を上方から吸い込むことができると共に、当該吸い込んだ煙を上方から被燻煙材料(被加熱材料)に吹き付けることができる。
【0044】
また、吐出ダクト154の具体的な構成については任意であるが、例えば、吐出ダクト154の先端部(第1支持部30側の端部)の径を先端部以外の部分の径よりも小さくすることにより、煙を吐出する速度を速めてもよい。あるいは、吐出ダクト154の先端部の径を先端部以外の部分の径よりも大きくすることにより、煙を吐出する速度を遅くしてもよい。また、吐出ダクト154の先端部及びその近傍部分をフレキシブルに変形可能に形成してもよい。これにより、例えば、被燻煙材料の種類に応じて煙を吐出する位置又は向きを変更したい場合に、吐出ダクト154の先端部の位置又は向きを容易に調整することができる。
【0045】
(構成-集煙還流部-ブロア)
ブロア155は、吸込ダクト151、第1中継ダクト152、第2中継ダクト153、及び吐出ダクト154による煙の集煙及び還流を行うための気流(例えば、後述する図4に示す気流SA等。以下、「集煙還流気流」と称する)を形成するための気流形成手段である。このブロア155は、例えば公知のファン等を用いて構成されており、第1中継ダクト152と第2中継ダクト153との相互間に設けられ、第1支持部30の蓋部32に対して固定されている。
【0046】
このような集煙還流部150により、上方加熱部100又は下方加熱部110によって加熱された被加熱材料から放出された煙を吸込ダクト151の一端部から集煙し、集煙した煙を吐出ダクト154の一端部から被燻煙材料(被加熱材料)の周囲空間Sに還流させることができる。よって、この還流された煙を被燻煙材料に対して繰り返し吹き付けることができ、被燻煙材料に対する炭火焼の香り付けを効果的に行うことが可能となる。また、還流される煙の温度が比較的高いことから、加熱エネルギー効率を高めることができ、省エネルギー化を図ることが可能となる。特に、被加熱材料の搬送方向の下流側に配置された吸込ダクト151によって煙を集煙するので、吸込ダクト151を被加熱材料の搬送方向の上流側に配置する場合に比べて(すなわち、被加熱材料の搬送方向の上流側で煙を集煙する場合に比べて)、被加熱材料から放出される煙の量が比較的多い位置で煙を集煙でき、煙の集煙量を高めることができる。また、被加熱材料の搬送方向の上流側に配置された吐出ダクト154によって集煙した煙を被燻煙材料の周囲空間Sに還流させるので、加熱調理の初期段階又は加熱調理が行われる前の段階で被燻煙材料に対して煙を吹き付けることができ、吐出ダクト154を被加熱材料の搬送方向の下流側に配置する場合に比べて(すなわち、集煙した煙を被加熱材料の搬送方向の下流側で被燻煙材料の周囲空間Sに還流させる場合に比べて)、被燻煙材料に対する炭火焼の香り付けを効果的に行うことができると共に、加熱エネルギー効率を一層高めることができる。
【0047】
(構成-制御ユニット)
制御ユニットは、加熱調理装置1を制御するためのユニットである。この制御ユニットは、支持台10に設けられており、操作部、出力部、制御部、及び記憶部を備えている(いずれも図示省略)。
【0048】
操作部は、制御ユニットに対する操作入力を受け付けるものであり、制御ユニット、コンベア80の駆動部、上方加熱部100、下方加熱部110、炭加熱部120の熱源部122、及び集煙還流部150のブロア155の各々の電源のON又はOFFを切り替える電源スイッチ(図示省略)を備えている。
【0049】
出力部は、制御部の制御に基づいて各種の情報を出力する出力手段であり、例えば、ディスプレイやスピーカ等の公知の出力装置を用いて構成されている。
【0050】
制御部は、加熱調理装置1の各部を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されている。
【0051】
記憶部は、加熱調理装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる。
【0052】
(加熱調理方法)
次に、このように構成された加熱調理装置1を用いて行われる加熱調理方法について説明する。図4は、被加熱材料が加熱調理されている状態を示す正面図である。図4に示すように、本実施の形態に係る加熱調理方法は、搬送工程、加熱工程、集煙還流工程、及び香り付け工程を含んでいる。ここで、「搬送工程」とは、被加熱材料を搬送する工程を意味する。「加熱工程」とは、被加熱材料を加熱する工程である。「集煙還流工程」とは、加熱された被加熱材料から放出された煙を集煙し、集煙した煙を被燻煙材料の周囲空間Sに還流させる工程を意味する。「香り付け工程」とは、被燻煙材料に炭火焼の香り付けを行う工程を意味する。以下では、各工程の詳細な内容について説明する。
【0053】
最初に、搬送工程においては、被加熱材料Mをコンベア80のベルト81の上側部分に載せた後、制御ユニットの制御部によってコンベア80を駆動させる。これにより、コンベア80によって被加熱材料Mが搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送される(なお、実施の形態では、被加熱材料Mの搬送は、途中の地点で停止することなく連続的に行われる)。
【0054】
次に、加熱工程においては、制御ユニットの制御部によって、コンベア80で搬送されている被加熱材料Mを上方加熱部100及び下方加熱部110で加熱させる。これにより、被加熱材料Mが搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送されている間において、被加熱材料Mの加熱が継続して行われる。
【0055】
次いで、集煙還流工程においては、図4に示すように、加熱工程が実施されているタイミングと同じタイミングで、制御ユニットの制御部によってブロア155を駆動させることにより、集煙還流気流SAを形成する。これにより、被加熱材料Mが搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送されている間において、加熱工程において加熱された被加熱材料Mから放出された煙が集煙還流気流SAによって被燻煙材料(被加熱材料)Mの周囲空間Sに還流され、当該還流された煙が被燻煙材料Mに対して繰り返し吹き付けられることにより、被燻煙材料Mに対して炭火焼の香り付けが継続して行われる。特に、被加熱材料Mの搬送方向の下流側で煙を集煙するので、被加熱材料Mの搬送方向の上流側で煙を集煙する場合に比べて、被加熱材料Mから放出される煙の量が比較的多い位置で煙を集煙でき、煙の集煙量を高めることができる。また、集煙した煙を被加熱材料Mの搬送方向の上流側で被燻煙材料Mの周囲空間Sに還流させるので、加熱調理の初期段階又は加熱調理が行われる前の段階で被燻煙材料Mに対して煙を吹き付けることができ、集煙した煙を被加熱材料Mの搬送方向の下流側で被燻煙材料Mの周囲空間Sに還流させる場合に比べて、被燻煙材料Mに対する炭火焼の香り付けを効果的に行うことができる。
【0056】
続いて、香り付け工程においては、加熱工程及び集煙還流工程が実施されているタイミングと同じタイミングで、制御ユニットの制御部によって、炭加熱部120の炭収容部121に収容された炭を炭加熱部120の熱源部122で加熱させる。これにより、被加熱材料Mが搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送されている間において、炭から放出された煙によって被燻煙材料Mに対する炭火焼の香り付けがさらに継続して行われる。
【0057】
以上のような加熱調理方法により、集煙還流工程において還流された煙を被燻煙材料Mに対して繰り返し吹き付けることができる。よって、従来技術(加熱された炭から放出された煙によって材料に対して炭火焼の香り付けを行う技術)に比べて、被燻煙材料Mに対して炭火焼の香りを強く付けることができ、被燻煙材料Mに対する炭火焼の香り付けを効果的に行うことが可能となる。また、還流される煙の温度が比較的高いことから、加熱エネルギー効率を高めることができ、省エネルギー化を図ることが可能となる。特に、集煙還流工程及び香り付け工程において被燻煙材料Mに対して炭火焼の香り付けを行うことができ、集煙還流工程のみ行う場合に比べて、被燻煙材料Mに対して炭火焼の香りをさらに強く付けることができる。また、加熱工程において、搬送されている被加熱材料Mを加熱し、集煙還流工程において、搬送されている被加熱材料Mである被燻煙材料Mの周囲空間Sに煙を還流させるので、搬送されている被燻煙材料Mを加熱し、且つ当該被燻煙材料Mに対する炭火焼の香り付けを行うことができ、例えば、工場における食品の製造工程に容易に組み込むことが可能となる。
【0058】
(効果)
このように実施の形態によれば、被加熱材料を加熱する加熱工程と、加熱された被加熱材料から放出された煙を集煙し、集煙した煙を被燻煙材料の周囲空間Sに還流させる集煙還流工程と、を含むので、集煙還流工程において還流された煙を被燻煙材料に対して繰り返し吹き付けることができる。よって、従来技術(加熱された炭から放出された煙によって被燻煙材料に対して炭火焼の香り付けを行う技術)に比べて、被燻煙材料に対して炭火焼の香りを強く付けることができ、被燻煙材料に対する炭火焼の香り付けを効果的に行うことが可能となる。また、還流される煙の温度が比較的高いことから、加熱エネルギー効率を高めることができ、省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0059】
また、加熱工程において、搬送されている被加熱材料を加熱し、集煙還流工程において、搬送されている被加熱材料である被燻煙材料の周囲空間Sに煙を還流させるので、搬送されている被燻煙材料を加熱し、且つ当該被燻煙材料に対する炭火焼の香り付けを行うことができ、例えば、工場における食品の製造工程に容易に組み込むことが可能となる。
【0060】
また、被加熱材料の搬送方向の下流側で煙を集煙するので、被加熱材料の搬送方向の上流側で煙を集煙する場合に比べて、被加熱材料から放出される煙の量が比較的多い位置で煙を集煙でき、煙の集煙量を高めることができる。また、集煙した煙を被加熱材料の搬送方向の上流側で被燻煙材料の周囲空間Sに還流させるので、加熱調理の初期段階又は加熱調理が行われる前の段階で被燻煙材料に対して煙を吹き付けることができ、集煙した煙を被加熱材料の搬送方向の下流側で被燻煙材料の周囲空間Sに還流させる場合に比べて、被燻煙材料に対する炭火焼の香り付けを効果的に行うことができると共に、加熱エネルギー効率を一層高めることができる。
【0061】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0062】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0063】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0064】
(コンベアについて)
上記実施の形態では、コンベア80が設けられていると説明したが、これに限られない。例えば、被加熱材料を搬送させることなく加熱調理するために、コンベア80に代えて例えば加熱調理用の鉄板が設けられてもよい。この場合には、加熱調理方法において、搬送工程に代えて被加熱材料を鉄板に載置する載置工程が行われる。
【0065】
(上方加熱部、下方加熱部、炭加熱部について)
上記実施の形態では、上方加熱部100及び下方加熱部110が設けられていると説明したが、これに限られず、例えば、上方加熱部100又は下方加熱部110のいずか一方を省略してもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、炭加熱部120が設けられていると説明したが、これに限られず、例えば、炭加熱部120を省略してもよい。この場合には、加熱調理方法において、香り付け工程が省略される。
【0067】
(集煙還流部について)
上記実施の形態では、吸込ダクト151が第1支持部30の蓋部32の第1接続口に接続されていると説明したが、これに限られない。例えば、上方加熱部100又は下方加熱部110によって加熱された被加熱材料から放出される煙を下方、左右方向の一方、前後方向の一方、又は第1支持部30の中央部分から吸い込むことができるように、吸込ダクト151は、第1支持部30のベース部31の底部又は側壁部に形成された少なくとも1つ以上の第1接続口に接続されてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、吐出ダクト154が第1支持部30の蓋部32の第2接続口に接続されていると説明したが、これに限られない。例えば、吸込ダクト151にて吸い込まれた煙を下方、左右方向の一方、前後方向の一方、又は第1支持部30の中央部分から吐出することができるように、吐出ダクト154は、第1支持部30のベース部31の底部又は側壁部に形成された少なくとも1つ以上の第2接続口に接続されてもよい。
【0069】
また、上記実施の形態では、集煙還流部150において、ブロア155が第1中継ダクト152と第2中継ダクト153との間に設けられていると説明したが、これに限られない。図5は、加熱調理装置1の変形例を示す正面図である(一部図示省略)。図5に示すように、第2中継ダクト153の一方の端部が第1中継ダクト152の他方の端部と直接接続され、且つ吸込ダクト151が外気ダクト160の一方の端部と接続されると共に、外気ダクト160の他方の端部の近傍に、ブロア155が設けられてもよい。このような構成により、加熱調理方法の集煙還流工程において、吸込ダクト151に外気を導入することにより、集煙還流気流を形成することができる。よって、実施の形態のように、集煙還流部150のダクトの一部にブロア155を設けて集煙還流気流を形成する場合に比べて、集煙還流気流によって運ばれる煙に含まれる油分等がブロア155に付着することを回避でき、ブロア155のメンテナンスの手間(一例として、ブロア155の清掃作業等の手間)を低減することが可能となる。なお、この外気ダクト160の具体的な構成については任意であるが、外気ダクト160の一方の端部又は他方の端部には、公知の各種のフィルタを設けることにより、外気ダクト160から導入される外気を清浄できるようにしてもよい。
【0070】
(加熱調理方法について)
上記実施の形態では、搬送工程においては、被加熱材料の搬送は、途中の地点で停止することなく連続的に行われると説明したが、これに限られず、例えば、途中の地点(一例として、吐出ダクト154、上方加熱部100、又は下方加熱部110の近傍地点)で停止しながら間欠的に行われてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、集煙還流工程が、加熱工程が実施されているタイミングと同じタイミングで行われると説明したが、これに限られない。例えば、集煙還流工程が、加熱工程が実施されているタイミングと異なるタイミングで行われてもよく、一例として、加熱工程が実施された後のタイミングで行われてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、集煙還流工程において、コンベア80で搬送されている被加熱材料である被燻煙材料に対して還流された煙が吹き付けられる、すなわち、還流された煙が加熱調理装置1の内部に供給されると説明したが、これに限られない。例えば、還流された煙が加熱調理装置1の内部と加熱調理装置1の外部の一方又は両方に供給されてもよい。一例として、コンベア80で搬送されている材料以外の他の材料(例えば、加熱調理装置1の近傍に設置されたバットに載置された材料であって、加熱調理される前の被加熱材料又は加熱調理された後の被燻煙材料等)に対して還流された煙が吹き付けられてもよい。あるいは、上記バットに載置された材料及びコンベア80で搬送されている被加熱材料である被燻煙材料の両方に対して還流された煙が吹き付けられてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、集煙還流工程において、集煙還流部150によって還流された煙が被燻煙材料に対して吹き付けられると説明したが、これに限られない。例えば、加熱調理装置1の近傍に設けられた公知の煙発生源から放出される煙が被燻煙材料に対して吹き付けられてもよい。
【0074】
(付記)
付記1の加熱調理方法は、被加熱材料を加熱調理する加熱調理方法であって、前記被加熱材料を加熱する加熱工程と、加熱された前記被加熱材料から放出された煙を集煙し、集煙した煙を被燻煙材料の周囲空間に還流させる集煙還流工程と、を含む。
【0075】
付記2の加熱調理方法は、付記1に記載の加熱調理方法において、前記被加熱材料を搬送する搬送工程を含み、前記加熱工程において、搬送されている前記被加熱材料を加熱し、前記集煙還流工程において、搬送されている前記被加熱材料である前記被燻煙材料の周囲空間に前記煙を還流させる。
【0076】
付記3の加熱調理方法は、付記2に記載の加熱調理方法において、前記集煙還流工程において、前記被加熱材料の搬送方向の下流側で前記煙を集煙し、集煙した煙を前記被加熱材料の搬送方向の上流側で前記被燻煙材料の周囲空間に還流させる。
【0077】
付記4の加熱調理方法は、付記1から3のいずれか一項に記載の加熱調理方法において、前記集煙還流工程において、ダクトの一端部から前記煙を集煙し、前記ダクトの他端部から前記煙を還流させ、前記ダクトに前記一端部から前記他端部に至るように外気を導入することにより前記集煙と前記還流を行うための気流を形成する。
【0078】
付記5の加熱調理装置は、被加熱材料を加熱調理する加熱調理装置であって、前記被加熱材料を加熱する加熱手段と、前記加熱手段によって加熱された前記被加熱材料から放出された煙を集煙し、集煙した煙を被燻煙材料の周囲空間に還流させる集煙還流手段と、を備える。
【0079】
(付記の効果)
付記1に記載の加熱調理方法、又は付記5に記載の加熱調理装置によれば、被加熱材料を加熱する加熱工程と、加熱された被加熱材料から放出された煙を集煙し、集煙した煙を被燻煙材料の周囲空間に還流させる集煙還流工程と、を含むので、集煙還流工程において還流された煙を被燻煙材料に対して繰り返し吹き付けることができる。よって、従来技術(加熱された炭から放出された煙によって材料に対して炭火焼の香り付けを行う技術)に比べて、被燻煙材料に対して炭火焼の香りを強く付けることができ、被燻煙材料に対する炭火焼の香り付けを効果的に行うことが可能となる。また、還流される煙の温度が比較的高いことから、加熱エネルギー効率を高めることができ、省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0080】
付記2に記載の加熱調理方法によれば、加熱工程において、搬送されている被加熱材料を加熱し、集煙還流工程において、搬送されている被加熱材料である被燻煙材料の周囲空間に煙を還流させるので、搬送されている被燻煙材料を加熱し、且つ当該被燻煙材料に対する炭火焼の香り付けを行うことができ、例えば、工場における食品の製造工程に容易に組み込むことが可能となる。
【0081】
付記3に記載の加熱調理方法によれば、被加熱材料の搬送方向の下流側で煙を集煙するので、被加熱材料の搬送方向の上流側で煙を集煙する場合に比べて、被加熱材料から放出される煙の量が比較的多い位置で煙を集煙でき、煙の集煙量を高めることができる。また、集煙した煙を被加熱材料の搬送方向の上流側で被燻煙材料の周囲空間に還流させるので、加熱調理の初期段階又は加熱調理が行われる前の段階で被燻煙材料に対して煙を吹き付けることができ、集煙した煙を被加熱材料の搬送方向の下流側で被燻煙材料の周囲空間に還流させる場合に比べて、被燻煙材料に対する炭火焼の香り付けを効果的に行うことができると共に、加熱エネルギー効率を一層高めることができる。
【0082】
付記4に記載の加熱調理方法によれば、集煙還流工程において、ダクトの一端部から煙を集煙し、ダクトの他端部から煙を還流させ、ダクトに一端部から他端部に至るように外気を導入することにより集煙と還流を行うための気流を形成するので、例えば、ダクトの一部にブロアを設けて上記気流を形成する場合に比べて、上記気流によって運ばれる煙に含まれる油分等がブロアに付着することを回避でき、ブロアのメンテナンスの手間(一例として、ブロアの清掃作業等の手間)を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0083】
1 加熱調理装置
2 設置面
3 配管
10 支持台
20 支持台本体
21 ガス給気口
22 給水口
23 蒸気排気口
24 蓋部支持部
30 第1支持部
31 ベース部
32 蓋部
40 第2支持部
60 排水樋
71 第1脚部
72 第2脚部
80 コンベア
81 ベルト
82 第1ローラ部
83 第2ローラ部
90 水皿
100 上方加熱部
110 下方加熱部
120 炭加熱部
121 炭収容部
122 熱源部
122a 放熱ノズル
150 集煙還流部
151 吸込ダクト
152 第1中継ダクト
153 第2中継ダクト
154 吐出ダクト
155 ブロア
160 外気ダクト
M 被加熱材料、被燻煙材料
S 周囲空間
SA 集煙還流気流
図1
図2
図3
図4
図5