(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】油性組成物、毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/891 20060101AFI20220107BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20220107BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220107BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20220107BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/894
A61K8/37
A61K8/39
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2017162975
(22)【出願日】2017-08-28
【審査請求日】2020-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】特許業務法人河崎・橋本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 尚人
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-110545(JP,A)
【文献】特開2015-127318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、界面活性剤、及びデカメチルシクロペンタシロキサンが配合され、
前記界面活性剤として、
ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び高級脂肪酸とジグリセリンのエステル、
ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、
ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
又は、
下記一般式(1)で表されるHLBが3.5以上6.0未満のポリエーテル変性シリコーン及び高級脂肪酸とジグリセリンのエステ
ルが配合され
、
前記水が前記デカメチルシクロペンタシロキサンを含む油性媒体に分散された油性組成物。
【化1】
[上記一般式(1)において、x及びyは、分子量に依存する整数を表し、nは、エチレンオキサイドの平均付加モル数を表す。]
【請求項2】
前記界面活性剤として、
ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び高級脂肪酸とジグリセリンのエステル、
又は、
ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルが配合された
請求項1に記載の油性組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤として、
ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、
又は、
ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテ
ルが配合された
請求項
1に記載の油性組成物。
【請求項4】
水溶性成分が配合された請求項1~3のいずれか1項に記載の油性組成物。
【請求項5】
毛髪に塗布し、洗い流さない態様で用いられる請求項1~4のいずれか1項に記載の油性組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の油性組成物を使用する毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪に塗布し、洗い流さない態様で使用する用途に適した油性組成物、及び当該組成物を使用する毛髪処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪用組成物としては、デカメチルシクロペンタシロキサンを配合した油性の組成物が知られている(特許文献1参照)。このような油性組成物においては、水の配合が必要になる場合がある。例えば、水溶性成分を配合したい場合、水を配合すれば、水溶性成分自体が水に溶解し、油性組成物中における水溶性成分の分散性が高まる。
【0003】
しかし、デカメチルシクロペンタシロキサンと水を共存させると、水がデカメチルシクロペンタシロキサンとは非相溶性であるがために、水の分離、又は、水の分散性が不十分な状況が生じる。この状況は、毛髪用組成物の均一な塗布性が悪いなどの不都合を生じさせる。
【0004】
本出願人は、デカメチルシクロペンタシロキサンに水を分散させる油性組成物に関する技術を、特許文献2において提案している。その提案は、水、HLB値が3.5以上6.0未満のポリエーテル変性シリコーン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及び、HLB値が6.5以上10.5以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルを配合するものである(特許文献2の請求項1、請求項5参照)。このような提案を行っているところではあるが、配合成分による毛髪の感触改善が求められる場合があり、水の分散性を高める他の技術提案が望まれる。また、水の分散性を高める成分であるとしても、その成分自体の分散性が高いことも望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-87115号公報
【文献】特開2015-110545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑み、デカメチルシクロペンタシロキサンに水を共存させた際に、水を効果的に分散可能な油性組成物、及び当該組成物を使用する毛髪処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が鋭意検討を行った結果、特定の界面活性剤の併用が、油性組成物における水の効果的な分散に適することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る油性組成物は、水、界面活性剤、及びデカメチルシクロペンタシロキサンが配合され、前記界面活性剤として、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び高級脂肪酸とジグリセリンのエステル、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテル、下記一般式(1)で表されるHLBが3.5以上6.0未満のポリエーテル変性シリコーン及び高級脂肪酸とジグリセリンのエステル、又は、下記一般式(1)で表されるHLBが3.5以上6.0未満のポリエーテル変性シリコーン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが配合されたものである。
【化1】
[上記一般式(1)において、x及びyは、分子量に依存する整数を表し、nは、エチレンオキサイドの平均付加モル数を表す。]
【0009】
なお、本発明の油性組成物における「油性」とは、デカメチルシクロペンタシロキサンを含む非水系媒体が、水に対して外相となることを意味する。
【0010】
本発明に係る油性組成物は、前記界面活性剤として、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び高級脂肪酸とジグリセリンのエステル、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテル、又は、前記一般式(1)で表されるHLBが3.5以上6.0未満のポリエーテル変性シリコーン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが配合されたものが良い。このような油性組成物であれば、製造において、水及び界面活性剤などの分散を容易に行える。
【0011】
また、本発明に係る油性組成物は、前記界面活性剤として、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテル、又は、前記一般式(1)で表されるHLBが3.5以上6.0未満のポリエーテル変性シリコーン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが配合されたものが良い。このような油性組成物であれば、室温の長期保存において、水及び界面活性剤などの分散性に優れる。
【0012】
本発明に係る油性組成物は、水溶性成分が配合されたものが良い。水の配合により、水溶性成分の配合を増量できる。ここで「水溶性成分」とは、水とを配合したした際に、透明の水溶液を確認できる成分を意味する。
【0013】
本発明に係る油性組成物は、毛髪に塗布し、洗い流さない態様で用いられるものが良い。この組成物に水溶性成分が配合されている場合には、その水溶性成分による毛髪への効果も期待できる。
【0014】
また、本発明に係る毛髪処理方法は、毛髪に塗布し、洗い流さない態様で用いられる上記の本発明に係る油性組成物を使用するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る油性組成物によれば、デカメチルシクロペンタシロキサンに共存させる水の効果的な分散が可能である。
【0016】
また、本発明に係る毛髪処理方法によれば、油性組成物における水を効果的に分散できるから、当該油性組成物における各成分が均一性高く毛髪に塗布される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】製造してから50日経過した実施例及び比較例の油性組成物を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態に係る油性組成物には、水、所定の界面活性剤、及びデカメチルシクロペンタシロキサンが配合される。また、実使用上許容されるのであれば、公知の毛髪用組成物に配合されている成分を、任意成分として適宜配合しても良い。
【0019】
(水)
本実施形態の油性組成物における水の配合量は、この油性組成物に求められる濁りの程度や透明性に応じて適宜設定すると良い。その配合量は、濁りを低減させる観点から、例えば3質量%以下であり、1質量%以下が良く、0.1質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましい。一方、水の配合量の下限は、例えば0.00001質量%である。
【0020】
(所定の界面活性剤)
本実施形態の油性組成物に配合される所定の界面活性剤は、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び高級脂肪酸とジグリセリンのエステル、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテル、下記一般式(1)で表されるHLBが3.5以上6.0未満のポリエーテル変性シリコーン及び高級脂肪酸とジグリセリンのエステル、又は、下記一般式(1)で表されるHLBが3.5以上6.0未満のポリエーテル変性シリコーン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルである。
【化2】
[上記一般式(1)において、x及びyは、分子量に依存する整数を表し、nは、エチレンオキサイドの平均付加モル数を表す。]
【0021】
本実施形態の油性組成物において、上記所定の界面活性剤の配合量は、水の配合量に応じて適宜設定される。当該所定の界面活性剤の配合量は、水1質量部に対して、例えば50質量部以下であり、0.5質量部以上30質量部以下であると良い。
【0022】
上記ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコンは、表示名称として特定されるものであり、信越シリコーン社製「KF-6104」、同社製「KF-6106」などとして市販されている。
【0023】
本実施形態の油性組成物において、上記ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコンは、一種又は二種以上が配合される。その配合量は、水の配合量に応じて適宜設定される。当該ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコンの配合量は、水1質量部に対して、例えば50質量部以下であり、0.5質量部以上30質量部以下であると良い。
【0024】
上記高級脂肪酸とジグリセリンのエステルとしては、化粧品における表示名称をもって例示すれば、ステアリン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2が挙げられる。
【0025】
本実施形態の油性組成物において、上記高級脂肪酸とジグリセリンのエステルの配合量は、水の配合量に応じて適宜設定される。当該高級脂肪酸とジグリセリンのエステルの配合量は、水1質量部に対して、例えば30質量部以下であり、0.1質量部以上15質量部以下であると良い。
【0026】
上記のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルにおいて、HLB値(Hydrophile-Lipophile Balance)は、乳化試験により算出されるものである。
【0027】
乳化試験によるHLB値の算出は、次に説明する方法に従って行う。まず、当該油性組成物に配合されるA質量部のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルと、B質量部のソルビタンモノステアリン酸エステル(日光ケミカル社の「NIKKOL SS-10MV」、HLB値=4.7)を使用し、これらの配合比率(A/B)が異なる下記組成の乳化物を下記方法により調製する。この乳化物を一日放置した後、乳化物における油滴の粒径が最小となる界面活性剤の配合量A、Bを求め、下記式に基づいて算出する。
【0028】
乳化物の組成
流動パラフィン(油相) 40質量%
乳化剤 A+B=4質量%
水 56質量%
【0029】
乳化物の調製法
流動パラフィンを80℃程度に加温して、攪拌しながら80℃以上の水相を加えて乳化する。その後、冷却しながら、攪拌を続けて40℃で放置する。
【0030】
HLB値の算出式
HLB値=(10.5-4.7×B/4)4/A
【0031】
このHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、化粧品における表示名称をもって例示すれば、PPG-4セテス-1、PPG-4セテス-10が挙げられる。
【0032】
本実施形態の油性組成物において、上記HLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルは、一種又は二種以上が配合される。その配合量は、水の配合量に応じて適宜設定される。当該HLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量は、水1質量部に対して、例えば30質量部以下であり、0.1質量部以上15質量部以下であると良い。
【0033】
上記のポリオキシエチレンアルキルエーテルにおいて、HLB値(Hydrophile-Lipophile Balance)は、上記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルのHLBと同様、乳化試験により算出されるものである。
【0034】
このHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、化粧品における表示名称をもって例示すれば、ラウレス-2、セテス-2、セテス-2、ステアレス-2、ステアレス-4、オレス-2、オレス-7、ベヘネス-5、ベヘネス-10、(C12-14)パレス-3が挙げられる。
【0035】
本実施形態の油性組成物において、上記HLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、一種又は二種以上が配合される。その配合量は、水の配合量に応じて適宜設定される。当該HLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量は、水1質量部に対して、例えば30質量部以下であり、0.1質量部以上15質量部以下であると良い。
【0036】
上記のHLBが3.5以上6.0未満のポリエーテル変性シリコーンにおいて、HLB値(Hydrophile-Lipophile Balance)は、ポリエーテル変性シリコーンにおけるポリオキシエチレンの質量百分率の1/5である。ポリエーテル変性シリコーンのHLB値としては、3.8以上5.7未満が好ましく、4.0以上5.5未満がより好ましい。
【0037】
このポリエーテル変性シリコーンとしては、化粧品における表示名称をもって例示すれば、PEG-3ジメチコン、PEG-7ジメチコン、PEG-8ジメチコン、PEG-9ジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-12ジメチコンが挙げられる。
【0038】
本実施形態の油性組成物において、上記のHLBが3.5以上6.0未満のポリエーテル変性シリコーンは、一種又は二種以上が配合される。その配合量は、水の配合量に応じて適宜設定される。当該ポリエーテル変性シリコーンの配合量は、水1質量部に対して、例えば50質量部以下であり、0.5質量部以上30質量部以下であると良い。
【0039】
(デカメチルシクロペンタシロキサン)
デカメチルシクロペンタシロキサンは、水が分散する本実施形態の油性組成物の外相成分となる油性媒体である。
【0040】
本実施形態の油性組成物におけるデカメチルシクロペンタシロキサンの配合量は、例えば70質量%以上であり、80質量%以上であると良い。
【0041】
(任意成分)
本実施形態の油性組成物に配合される任意成分は、上記の通り、毛髪用組成物に配合される成分として公知のものから、適宜に選定される。任意成分としては、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ジメチコノール、カチオン界面活性剤、アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤等である。
【0042】
また、本実施形態の油性組成物には、水溶性成分として公知のものを配合すると良い。この水溶性成分の分散性は、水も配合されるから、高くなる。なお、上記水溶性成分としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、トレハロースなどの糖類が挙げられる。
【0043】
(剤型)
本実施形態の油性組成物の使用時の剤型としては、例えば、液状、霧状である。
【0044】
(用途)
本実施形態の油性組成物は、例えば、毛髪に塗布し、洗い流さない態様で用いられる。このような用途の組成物として公知のものは、スタイリング剤、洗い流さないトリートメントなどが挙げられる。ここで、「スタイリング剤」とは、髪型を一時的に保持するために用いられる毛髪用組成物である。
【0045】
なお、本実施形態の油性組成物を洗い流さない態様の毛髪用組成物として使用する場合、濡れた毛髪又は乾燥した毛髪に塗布し、乾燥させることで使用される。このときの毛髪は、パーマ処理、カラーリング処理又はブリーチ処理の履歴がある毛髪、及びそれらの処理の履歴がない毛髪のいずれでも良い。
【実施例】
【0046】
以下、本発明に係る油性組成物を実施例に基づき説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
(油性組成物)
ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(信越シリコーン社製「KF-6104」)、HLB4.5であるPEG-10ジメチコン、HLBが9.5であるPPG-4-セテス-1、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、HLBが9.5であるラウレス-2、HLBが7.5であるオレス-2、HLBが11.5であるセテス-7、HLBが14.5であるラウレス-9、水、トレハロース、PEG-150(平均付加モル数が150であるポリエチレングリコール)、ラウリルベタイン、及びデカメチルシクロペンタシロキサンから選んだ成分を、下記表1の配合量で配合し、実施例及び比較例の油性組成物を製造した。この製造においては、アズワン社製超音波洗浄器「ASU-10」を用いた超音波撹拌を30分間程度行って、上記油性組成物を製造した。
【0048】
(外観)
実施例及び比較例の油性組成物について、直径4cm程度、容量100ml程度の無色透明のスクリューに注入してから、外観を目視確認した。外観の確認は、製造直後と、製造してから室温で50日経過後について、行った。
【0049】
下記表1に、実施例及び比較例の油性組成物に配合した成分、配合量と共に、外観の確認結果を示す。
【表1】
【0050】
製造直後の外観に関して、上記表1において、本発明に該当する実施例1a~1eの油性組成物は、「微白濁」又は「透明」であるから、「白濁」であった比較例1a~1bの油性組成物よりも水及び界面活性剤などの分散性が高かったことを確認できる(なお、透明性が高いほど、分散性も高いことを意味する。)。そして、実施例1aが「微白濁」であったのに対して、実施例1b~1eが「透明」であった。このことは、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び高級脂肪酸とジグリセリンのエステルの配合(実施例1b)、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合(実施例1c、1d)、上記一般式(1)で表されるHLBが3.5以上6.0未満のポリエーテル変性シリコーン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの配合(実施例1e)が、製造過程において、水及び界面活性剤などの分散が容易であったことを意味する。
【0051】
また、50日経過後の外観に関して、上記表1及び
図1において結果を示している。つまり、本発明に該当する実施例1a~1eの油性組成物は、「微白濁」又は「透明」であるから、「粗粒子析出」又は「白濁」であった比較例1a~1bの油性組成物よりも水及び界面活性剤などの分散性が長期にわたり高かったことを確認できる。そして、実施例1bが「微白濁」であったのに対して、実施例1a、1c~1eが「透明」であった。このことは、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの配合(実施例1a)、ポリグリセリル-3-ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合(実施例1c、1d)、上記一般式(1)で表されるHLBが3.5以上6.0未満のポリエーテル変性シリコーン及びHLBが6.5以上10.5未満のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルの配合(実施例1e)が、長期間において、水及び界面活性剤などの分散性が高かったことを意味する。なお、実施例1a、1c~1eの透明性を比較すると、実施例1aと実施例1eが同等、実施例1aが実施例1cよりも透明性が高く、実施例1cが実施例1dよりも透明性が高かった。