(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】緩衝器
(51)【国際特許分類】
F16F 9/32 20060101AFI20220107BHJP
F16F 9/084 20060101ALI20220107BHJP
F16F 15/04 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F16F9/32 T
F16F9/084
F16F15/04 A
(21)【出願番号】P 2017212918
(22)【出願日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【氏名又は名称】石川 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【氏名又は名称】天野 泉
(72)【発明者】
【氏名】古田 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】森 俊廣
(72)【発明者】
【氏名】小林 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】荒畑 哲夫
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-213454(JP,A)
【文献】特開平07-167189(JP,A)
【文献】特開2016-183761(JP,A)
【文献】特公平02-023365(JP,B2)
【文献】実開昭60-078608(JP,U)
【文献】特開平08-285000(JP,A)
【文献】特開2017-166572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F9/00-9/58
15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドと前記ロッドが出入りするアウターシェルとを有して伸縮可能な緩衝器本体と、
エア室を有して前記緩衝器本体を伸長方向へ附勢するエアばねとを備え、
前記エアばねは、
前記ロッドに連結される筒状のエアチャンバと、
前記アウターシェルの外周に装着される環状の取付部材と、
筒状であって前記取付部材の外周に装着されるピストンパイプと、
前記エアチャンバと前記ピストンパイプとに架け渡されるローリングダイヤフラムと、
中空であって前記取付部材に接続されるとともに前記取付部材に設けられた接続孔を介して内部が前記ピストンパイプ内に連通されるサブチャンバとを有し、
前記エアチャンバ、前記取付部材、前記ピストンパイプ、前記ローリングダイヤフラムおよび前記サブチャンバで前記エア室を形成している
ことを特徴とする緩衝器。
【請求項2】
前記緩衝器本体は、車両
における車体と車輪
の車軸との間に介装され、
前記サブチャンバは、
前記緩衝器本体の径方向で前記緩衝器本体に対して前記車輪とは反対側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
【請求項3】
前記緩衝器本体は、前記アウターシェルを前記ロッドに対して下方にして車両における車体と車輪の車軸との間に介装されており、
前記サブチャンバは、
筒状とされて、前記ピストンパイプよりも下方であって、
かつ、前記アウターシェルの
径方向の側方
であって前記アウターシェルの軸方向に対して平行に配置される
ことを特徴とする請求項
1に記載の緩衝器。
【請求項4】
前記サブチャンバは、前記取付部材に固定的に支持される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の緩衝器。
【請求項5】
前記サブチャンバは、前記エアチャンバに常時連通している
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗り心地の更なる向上や車高調整を目的として懸架ばねをエアばねとするエアサスペンションが実用化されており、このようなエアサスペンションでは、たとえば、緩衝器本体周りにエア室を設けて緩衝器本体とエアばねとを一体化した緩衝器が広く採用されるに到っている。
【0003】
エアばねは、緩衝器本体におけるロッドに装着される筒状のエアチャンバと、緩衝器本体におけるシリンダに装着される筒状のピストンパイプと、ピストンパイプとエアチャンバに架け渡されるローリングダイヤフラムとを備えて、エア室を形成している。そして、エアばねは、緩衝器本体の伸縮に伴って、エアチャンバ内にピストンパイプが出入りしてエア室の容積を変化させ、エア室の容積に応じて緩衝器本体を伸長方向に附勢する弾発力を発揮する。
【0004】
つまり、このように構成された緩衝器は、緩衝器本体が収縮するとエアばねが容積を減少させてエア室内の圧力を高めて前記弾発力を強めるので、車体を弾性支持する懸架ばねとして機能する(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エアばねのばね定数はエア室の容積に反比例するため、エアばねは、緩衝器本体の伸縮量に対して非線形な弾発力を発揮し、エア室の容積が小さくなると非常に大きな弾発力を発揮する。よって、緩衝器本体が最収縮するとエア室の容積が最小となるが、この最小容積が小さいとエアばねは非常に大きな弾発力を発揮するようになるので、車両における乗心地を損なってしまう。
【0007】
以上より、エアばねにおけるエア室の最小容積をできるだけ大きく確保して容積変化を少なくすれば、エアばねの非線形な特性が出現しにくく、温度変化に対しても寛容となって、車両における乗心地を良好なものとできる。しかしながら、エア室の容積確保のために単純にエアチャンバやピストンパイプを大型化すると緩衝器の外径が大型化してしまい車両への搭載性が悪化し、車両へ搭載できなくなってしまう恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、車両への搭載性を損なわずにエアばねにおけるエア室の容積を確保して車両における乗心地を向上できる緩衝器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明の緩衝器は、ロッドとロッドが出入りするアウターシェルとを有して伸縮可能な緩衝器本体と、エア室を有して緩衝器本体を伸長方向へ附勢するエアばねとを備え、エアばねが緩衝器本体におけるロッドに連結される筒状のエアチャンバと、アウターシェルの外周に装着される環状の取付部材と、筒状であって取付部材の外周に装着されるピストンパイプと、エアチャンバとピストンパイプとに架け渡されるローリングダイヤフラムと、中空であって取付部材に接続されるとともに取付部材に設けられた接続孔を介して内部がピストンパイプ内に連通されるサブチャンバとを有して構成されている。このように構成された緩衝器は、ピストンパイプをアウターシェルに取付ける取付部材にサブチャンバが接続されているので、エアチャンバおよびピストンパイプを回避した位置にサブチャンバを設置できる。よって、外径が大きなエアチャンバとピストンパイプを回避する位置にエア室の容積に寄与するサブチャンバを設置できるから、緩衝器の大型化を回避しつつもエア室の容積を確保できる。
【0010】
また、緩衝器本体を車両における車体と車輪の車軸との間に介装するにあたってサブチャンバを緩衝器本体の径方向で緩衝器本体に対して車輪とは反対側に配置してもよい。このようにすると、車輪にサブチャンバが干渉しないので、緩衝器本体を可能な限り車輪に接近させて配置でき、緩衝器が減衰力を発揮しやすくなって車体の振動を効果的に抑制できる。
【0011】
さらに、緩衝器本体を車両における車体と車輪の車軸との間にアウターシェルをロッドに対して下方にして介装するにあたって、筒状のサブチャンバをピストンパイプよりも下方であって、かつ、アウターシェルの径方向の側方であってアウターシェルの軸方向に対して平行に配置するようにしてもよく、このようにすると、緩衝器本体の周囲であって緩衝器の外径の大型化を回避できる位置にサブチャンバを設置でき、緩衝器の無用な大型化も回避できる。
【0012】
また、サブチャンバが取付部材に固定的に支持される場合、サブチャンバを緩衝器本体以外の別所へ固定するための取付具が不要となるので、緩衝器が安価となるとともに車両への付け外しも容易となる。
【0013】
さらに、サブチャンバは、エアチャンバに常時連通しているので、エア室の容積を大きくできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の緩衝器によれば、車両への搭載性を損なわずにエアばねにおけるエア室の容積を確保して車両における乗心地を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態における緩衝器の縦断面図である。
【
図2】本発明の一実施の形態における緩衝器を車両の車体と車輪との間に介装した状態を示した図である。
【
図3】本発明の一実施の形態の第一変形例における緩衝器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に示した一実施の形態に基づいて本発明について説明する。一実施の形態における緩衝器Dは、ロッド2とロッド2が出入りするアウターシェル3とを有して伸縮可能な緩衝器本体1と、エア室Gを有して緩衝器本体1を伸長方向へ附勢するエアばねSとを備えている。
【0017】
この緩衝器Dは、アウターシェル3の
図1中下端を図示しない車両の車軸へ連結し、ロッド2を図示しない車両の車体へ連結して、車体と車軸との間に介装できるようになっている。そして、緩衝器Dは、ロッド2とアウターシェル3との軸方向の相対移動、つまり、伸縮によって緩衝器本体1が減衰力を発揮し車体振動を抑制する。
【0018】
エアばねSは、緩衝器本体1におけるロッド2に連結される筒状のエアチャンバ4と、アウターシェル3の外周に装着される環状の取付部材5と、筒状であって取付部材5の外周に装着されるピストンパイプ6と、エアチャンバ4とピストンパイプ6とに架け渡されるローリングダイヤフラム7と、中空であって取付部材5に接続されるとともに内部がピストンパイプ6内に連通されるサブチャンバ8とを備えて構成されている。そして、緩衝器本体1の外周にエアチャンバ4、取付部材5、ピストンパイプ6、ローリングダイヤフラム7およびサブチャンバ8で区画されたエア室Gが形成されており、このエア室G内に気体が充填されている。
【0019】
エアばねSは、緩衝器本体1が伸縮すると、エアチャンバ4内に対してピストンパイプ6が出入りしてエア室Gの容積が変化して内部圧力が変動し、エア室G内の圧力に応じて緩衝器本体1を伸長方向へ附勢する弾発力を発揮する。よって、緩衝器Dが車体と車軸との間に介装されると、エアばねSは、緩衝器本体1に並列される懸架ばねとして機能する。なお、緩衝器Dの使用形態は、車両の車体と車軸との間に介装される使用形態に限られない。
【0020】
以下、各部について詳細に説明する。緩衝器本体1は、本例では複筒型とされており、図示はしないが、アウターシェル3内に収容されるシリンダと、シリンダ内に移動可能に収容されるとともにロッド2に連結されるピストンと、シリンダ内にピストンで区画した二つの作動液体が充填される部屋と、シリンダとアウターシェル3との間に形成されるリザーバ室とを備えており、伸縮する際に減衰力を発揮するようになっている。なお、緩衝器本体1は、複筒型とされる他、単筒型とされてもよく、単筒型に設定される場合にはアウターシェル3内にピストンを摺動自在に挿入してアウターシェル内に二つの作動液体が充填される部屋を設ければよい。
【0021】
そして、アウターシェル3の外周には、環状の取付部材5が設けられている。取付部材5は、
図1に示すように、環状であって
図1中上方となるエアチャンバ4側へ向かうほど拡径しており、上端外周にピストンパイプ6が嵌合される環状凹部でなる嵌合部5aを備えている。また、取付部材5は、嵌合部5aより下方の一部における肉厚が厚くした肉厚部5bと、肉厚部5bを貫通する接続孔5cとを備えている。そして、取付部材5は、内径が最小となる下端内周をアウターシェル3の外周に嵌合させており、下端とアウターシェル3の外周との空隙を開先として溶接によってアウターシェル3に装着されている。また、取付部材5は、嵌合部5aの外周に二つの環状溝5d,5dを備えており、環状溝5d,5dには、それぞれシールリング9,9が装着されている。
【0022】
ピストンパイプ6は、筒状であって、アウターシェル3との間に所定の空間が形成されている。ピストンパイプ6は、
図1に示すように、先端となる下端が取付部材5の嵌合部5aへ嵌合されており、下端内周をシールリング9,9に密着させている。よって、取付部材5とピストンパイプ6との間は、シールリング9,9によって気密に封止されている。
【0023】
そして、このようにピストンパイプ6を取付部材5に装着すると、取付部材5がアウターシェル3に固定されており、シールリング9,9がピストンパイプ6によって縮径されてピストンパイプ6に密着しているので、ピストンパイプ6は、アウターシェル3に対して抜けも回転も阻止される。
【0024】
戻って、ロッド2には、筒状であって内径がピストンパイプ6の外径より大径のエアチャンバ4が取り付けられている。したがって、緩衝器本体1が伸縮する際に、エアチャンバ4は、ピストンパイプ6の基端となる上端の出入りを許容している。
【0025】
ローリングダイヤフラム7は、筒状であってその
図1中下端となる一端7aが内側に折り返された状態でピストンパイプ6の
図1中上端外周に固定バンド10によって緊迫されて固定され、他端7bがエアチャンバ4の外周に固定バンド
12によって緊迫されて固定されている。また、エアチャンバ4の下端には、ローリングダイヤフラム7の外周から筒状のカバー
11が装着されている。
【0026】
サブチャンバ8は、取付部材5の肉厚部5bに取付けられている。具体的には、サブチャンバ8は、取付部材5に取付けられるキャップ13と、キャップ13の
図1中下方に取付けられる筒状の胴14と、胴14の
図1中下端を閉塞する底板15とを備えている。本例では、取付部材5における肉厚部5bにおける側面は、平面となっていて、サブチャンバ8は、肉厚部5bに取付けられる。具体的には、キャップ13は、
図1中上方側面に取付部材5の肉厚部5bの側面に沿うように側部に平面13aを有しており、この平面13aから下端に通じる通路13bを備えており、取付部材5の肉厚部5bに取付けられると接続孔5cと通路13bとが連通される。このように、キャップ
13と、キャップ
13の下端に装着される胴14と、胴14の下端に装着される底板15とで、サブチャンバ8が構成されており、サブチャンバ8の内部には接続孔5cを介してピストンパイプ6内に連通される中空部16が形成されている。そして、サブチャンバ8は、取付部材5に取付けられるとピストンパイプ6より下方であってアウターシェル3の側方に平行に配置される。なお、取付部材5へのサブチャンバ8の固定にあたって、溶接によってもよいし、取付部材5とサブチャンバ8とに雄螺子と雌螺子を設けて螺子締結してもよいし、取付部材5に螺子孔を設けてサブチャン
バ8をボルトによって締結してもよい。
【0027】
このようにエアばねSを構成すると、エアチャンバ4、取付部材5、ピストンパイプ6およびローリングダイヤフラム7とで緩衝器本体1の外周に仕切られる空間Rが中空部16に連通される。このように、サブチャンバ8は、エアチャンバ4に常時連通しており、エア室Gの容積は、空間Rの容積にサブチャンバ8における中空部16の容積を加算したものとなる。サブチャンバ8がエアチャンバ4に常時連通しているので、エア室Gの容積を大きくできる。
【0028】
なお、本例では、取付部材5の肉厚部5bにおける接続孔5cの開口の周囲にはこれを取り囲むとともにキャップ13の平面13aに密着するシールリング17が装着されており、取付部材5とキャップ13との間が気密に封止されている。シールリング17は、取付部材5ではなくキャップ13に装着されてもよい。
【0029】
このように構成された緩衝器Dは、緩衝器本体1が伸縮すると、エアチャンバ4に対してピストンパイプ6が遠近する。緩衝器本体1が伸縮に伴って、ローリングダイヤフラム7は、カバー11によってガイドされて折り返し位置を変化させて、エアチャンバ4とピストンパイプ6の相対移動を許容して、エア室G内の容積を変化させる。よって、緩衝器Dが伸縮するとエア室G内の容積が変化し、エアばねSは、エア室Gの容積変化に応じて緩衝器本体1を伸長方向に附勢する弾発力を発揮する。
【0030】
そして、本発明の緩衝器Dは、ロッド2とロッド2が出入りするアウターシェル3とを有して伸縮可能な緩衝器本体1と、エア室Gを有して緩衝器本体1を伸長方向へ附勢するエアばねSとを備え、エアばねSが緩衝器本体1におけるロッド2に連結される筒状のエアチャンバ4と、アウターシェル3の外周に装着される環状の取付部材5と、筒状であって取付部材5の外周に装着されるピストンパイプ6と、エアチャンバ4とピストンパイプ6とに架け渡されるローリングダイヤフラム7と、中空であって取付部材5に接続されるとともに内部がピストンパイプ6内に連通されるサブチャンバ8とを有して構成されている。
【0031】
このように構成された緩衝器Dは、ピストンパイプ6をアウターシェル3に取付ける取付部材5にサブチャンバ8が接続されているので、エアチャンバ4およびピストンパイプ6を回避した位置にサブチャンバ8を設置できる。よって、外径が大きなエアチャンバ4とピストンパイプ6を回避する位置にエア室Gの容積に寄与するサブチャンバ8を設置できるから、緩衝器Dの大型化を回避しつつもエア室Gの容積を確保できる。緩衝器本体1が伸縮すると空間Rの容積は変化するが、サブチャンバ8の中空部16の容積は変化しないので、サブチャンバ8の設置によってエア室Gの最小容積を大きくできる。そのため、本発明の緩衝器Dは、エアばねSの非線形な特性が出現しにくくなって車両における乗心地を向上させ得る。以上より、本発明の緩衝器Dによれば、車両への搭載性を損なわずにエアばねSにおけるエア室Gの容積を確保して、車両における乗心地を向上できる。
【0032】
また、
図2に示すように、緩衝器Dを車両の車体Bと車輪Wとの間に介装する際に、サブチャンバ8を緩衝器本体1に対して車輪Wとは反対側に配置するとよい。つまり、緩衝器本体1の
図2中で車輪側の端を通る仮想線Vよりもサブチャンバ8を車体B側に配置するとよい。このようにすると、車輪Wにサブチャンバ8が干渉しないので、緩衝器本体1を可能な限り車輪Wに接近させて配置できる。そうすると、車輪Wの
図2中上下方向の変位に対する緩衝器本体1の伸縮量を大きく確保できるので、緩衝器Dが減衰力を発揮しやすくなって車体Bの振動を効果的に抑制できる。なお、本例では、緩衝器Dの下端であるアウターシェル3を車両の車輪Wに連結する際に、アウターシェル3の下端に設けたナックルブラケットNを用いているが、車両が採用するサスペンション形式に適するブラケットを適宜選択して用いればよい。
【0033】
さらに、本例の緩衝器Dでは、サブチャンバ8が取付部材5に取付けられるとピストンパイプ6よりも下方であってアウターシェル3の側方に平行に配置されるので、緩衝器本体1の周囲であって緩衝器Dの外径の大型化を回避できる位置にサブチャンバ8を設置できる。また、緩衝器本体1が減衰力を変更可能であって減衰力調整部がアウターシェル3の下端側部に突出するような構造を採用していても、ピストンパイプ6より下方のアウターシェル3の周囲には減衰力調整部を避け得るスペースがあるので、サブチャンバ8を容易に設置できる。また、サブチャンバ8がアウターシェル3に対して平行配置されるから、緩衝器Dの無用な大型化も回避できる。
【0034】
なお、本例では、サブチャンバ8が取付部材5に固定的に支持されているが、サブチャンバ8を別所に固定して、
図3に示すように、取付部材5とサブチャンバ8とをホースHで接続して、サブチャンバ8の中空部16を空間Rに連通させてもよい。サブチャンバ8が取付部材5に固定的に支持される場合、サブチャンバ8を緩衝器本体1以外の別所へ固定するための取付具が不要となるので、緩衝器Dが安価となるとともに車両への付け外しも容易となる利点がある。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1・・・緩衝器本体、2・・・ロッド、3・・・アウターシェル、4・・・エアチャンバ、5・・・取付部材、6・・・ピストンパイプ、6c・・・孔、7・・・ローリングダイヤフラム、8・・・サブチャンバ、B・・・車体、G・・・エア室、S・・・エアばね、W・・・車輪