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特許6997604太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システム
<図1>
  • 特許-太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システム 図1
  • 特許-太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システム 図2
  • 特許-太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システム 図3
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  • 特許-太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20220107BHJP
   H02S 10/00 20140101ALI20220107BHJP
【FI】
H02J7/35 K
H02S10/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017230188
(22)【出願日】2017-11-30
(65)【公開番号】P2019103209
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】591097632
【氏名又は名称】長州産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【弁理士】
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩二
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6148782(JP,B1)
【文献】特開2014-192443(JP,A)
【文献】特開2017-169436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L31/04-31/06
H02S10/00-10/40
H02S30/00-99/00
H02H7/00
H02H7/10-7/20
H02J3/00-7/12
H02J7/34-7/36
H02J13/00
H02M7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールと、前記太陽電池モジュール又は系統電源からの電力を蓄電する蓄電池と、前記太陽電池モジュール及び蓄電池と電気的に接続され、前記太陽電池モジュールからの発電電力により起動、作動されるパワーコンディショナーとを備えた太陽光発電システムにおいて、
太陽電池モジュールによる発電電力の電圧を検出する発電電圧検出部と、
太陽電池モジュールとパワーコンディショナーとの間に外付けされた接続開閉部であって、前記太陽電池モジュールと前記パワーコンディショナーとの間を電気的に接続又は遮断する接続開閉部と、
前記太陽電池モジュールが発電を行っていないとき前記パワーコンディショナーからの電圧が前記太陽電池モジュールに印加されないように前記接続開閉部を制御する開閉制御部であって、前記発電電圧検出部からの出力に基づいて、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が供給開始電圧以上となったとき前記太陽電池モジュールと前記パワーコンディショナーとの間を電気的に接続して前記太陽電池モジュールからの発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を開始すると共に、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が供給停止電圧以下となったとき前記太陽電池モジュールと前記パワーコンディショナーとの間を電気的に遮断して前記太陽電池モジュールからの発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を停止する開閉制御部と、
前記開閉制御部に接続され、前記開閉制御部が「前記太陽電池モジュールと前記パワーコンディショナーとの間を電気的に接続するか否か及び同電気的に遮断するか否か」を判定するために参照する参照電圧値である供給開始電圧及び供給停止電圧の各値を、それらが前記各パワーコンディショナーの各機種毎に固有の起動電圧及び停止電圧に対応又は適合するように設定、切換え又は調整するための電圧値切換設定部であって、前記接続開閉部を外付けする施工者が前記参照電圧値を設定、切換え又は調整できる電圧値切換設定部と、
を備えたことを特徴とする太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システム。
【請求項2】
前記開閉制御部は、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が予め決められた所定時間以上、前記供給開始電圧以上となったとき、前記接続開閉部を制御して前記太陽電池モジュールによる発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を開始し、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が予め決められた所定時間以上、前記供給停止電圧以下となったとき、前記接続開閉部を制御して前記太陽電池モジュールによる発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を停止するものである、請求項1に記載の太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システム。
【請求項3】
前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が前記供給開始電圧以上となったか否か及び前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が前記供給停止電圧以下となったか否かを複数回繰り返し判定する時間を施工者が設定できる時間設定部を備えたことを特徴とする、請求項2に記載の太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの太陽光発電システムにおいて、天候の変動などによる太陽電池モジュールの出力変動を蓄電池の充放電で吸収して負荷に供給される電力の変動を抑えること、及び太陽電池モジュールにより発電された電力の余剰分を蓄電して夜間等に使用すること等の目的から、パワーコンディショナー(太陽電池モジュール及び蓄電池からの直流電力を交流に変換するインバーター、及び太陽電池モジュールからの直流電力を蓄電池に蓄電するなどのために直流電力を変圧するDC/DCコンバーターなどを含む)に蓄電池を接続し又は内蔵するようにした太陽光発電システム(ハイブリッド蓄電システム)が知られている。
【0003】
ところで、このような蓄電池を備えた太陽光発電システムにおいては比較的小規模な太陽光発電システムにおいても太陽電池モジュールの劣化・出力低下現象(PID現象など)が生じてしまうことが従来より問題とされていたところ、夜間など太陽電池モジュールが作動していないときでも作動中のパワーコンディショナー(これに内蔵されたDC/DCコンバーターなど)からの電圧が太陽電池モジュールに印加されることが前記劣化・出力低下現象の主原因となっていることが、本出願人側により新たに発見された(特許文献1参照)。
【0004】
そして、このような劣化・出力低下現象の防止策として、太陽電池モジュールが発電を行っていないときは太陽電池モジュールとパワーコンディショナーとの間の電気的接続を遮断する機能を太陽光発電システムに備えること、例えば、太陽電池モジュールが発電を行っているかどうか等により太陽電池モジュールとパワーコンディショナーとを電気的に接続又は遮断する機器を両者間に介設することが、本出願人側から提案されているところである。
【0005】
すなわち、本出願人の出願に係る特許文献1においては、例えば図5に示すように、既設の太陽光発電システムに対して「制御手段が、太陽電池モジュールが発電を行っているか否かを検出又は判定し、太陽電池モジュールが発電を行っていないときは開閉手段を制御して太陽電池モジュールとパワーコンディショナーとの間の電気的接続を遮断するための構成」を後から追加的に備えるようにするだけで、夜間などの太陽電池モジュールが作動していない時間帯等において作動中のパワーコンディショナーからの電圧が太陽電池モジュールに印加されることを防止し、以って、夜間などの太陽電池モジュールが作動していない時間帯においても前記作動中のパワーコンディショナーからの電圧が太陽電池モジュールに印加され続けることにより生じる太陽電池モジュールの劣化・出力低下現象を有効に抑制できるようにしたことが、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6148782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、本出願人側が特許文献1などで提案した、太陽電池モジュールとパワーコンディショナーとの間に太陽電池モジュールが発電を行っているかどうか等により両者間を電気的に接続又は遮断する機器を備える方法は、従来の太陽電池システムに対して太陽電池モジュールとパワーコンディショナーとの間に前記機器を後から外付けするだけで済むため、極めて簡単で且つ安価な前記劣化現象の防止対策と言えるものであった。
【0008】
しかしながら、一般の太陽電池システムに備えられるパワーコンディショナーは、朝になって太陽電池モジュールによる発電電力が所定の起動電圧より上昇したとき太陽電池モジュールからの発電電力が供給されて起動し、その後、夜間などになって太陽電池モジュールによる発電電力が所定の停止電圧より低下したとき太陽電池モジュールによる発電電力が供給されなくなって停止するように構成されているのであるが、そのようなパワーコンディショナーの起動電圧と停止電圧は各メーカーの機種毎に様々に異なっているため、前記劣化現象の防止用の機器を太陽電池モジュールとパワーコンディショナーとの間に設置した場合に、パワーコンディショナーの機種毎に決まっている起動電圧と停止電圧が前記機器とうまくマッチングしないためパワーコンディショナーの円滑な作動が妨げられてしまうおそれがあった。
【0009】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目して為されたものであって、蓄電池が接続(又は内蔵)されたパワーコンディショナーを含む太陽光発電システムにおいて、太陽電池モジュールとパワーコンディショナーとの間に、両者間を電気的に接続し又は遮断する機器を後から外付けするだけで、太陽光発電システムに組み込まれているパワーコンディショナーのメーカーや機種の違いに影響されることなく、夜間など太陽電池モジュールが作動していないときでもパワーコンディショナーからの電圧が太陽電池モジュールに印加されることを主原因とする太陽電池モジュールの劣化・出力低下現象を、簡単かつ安価に防止することができる、太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システムは、太陽電池モジュールと、前記太陽電池モジュール又は系統電源からの電力を蓄電する蓄電池と、前記太陽電池モジュール及び前記蓄電池と電気的に接続されたパワーコンディショナーとを備えた太陽光発電システムにおいて、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧を検出する発電電圧検出部と、前記太陽電池モジュールと前記パワーコンディショナーとの間を電気的に接続又は遮断する接続開閉部と、前記太陽電池モジュールが発電を行っていないとき、前記パワーコンディショナーからの電圧が前記太陽電池モジュールに印加されないように、前記接続開閉部を制御する開閉制御部であって、前記発電電圧検出部からの出力に基づいて、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が前記パワーコンディショナーの各機種毎に異なる起動電圧に対応又は適合するように予め設定又は調整しておくことが可能な供給開始電圧以上となったとき、前記太陽電池モジュールからの発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を開始し、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が前記パワーコンディショナーの各機種毎に異なる停止電圧に対応又は適合するように予め設定又は調整しておくことが可能な供給停止電圧以下となったとき、前記太陽電池モジュールからの発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を停止する開閉制御部とを備えたものである。
【0011】
また、本発明による太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システムにおいては、前記開閉制御部が前記太陽電池モジュールからの発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を開始するか否かを判定するときに参照する供給開始電圧、及び前記供給を停止するか否かを判定するときに参照する供給停止電圧を、前記各パワーコンディショナーの各機種毎に決められた起動電圧及び停止電圧に対応又は適合するように任意に設定、切換え又は調整するための電圧値切換設定部をさらに備えたものであってもよい。
【0012】
さらに、本発明による太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システムにおいては、前記開閉制御部は、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が、予め決められた所定時間以上、前記供給開始電圧以上となったとき、機械式スイッチを作動させて前記太陽電池モジュールによる発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を開始し、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が、予め決められた所定時間以上、前記供給停止電圧以下となったとき、機械式スイッチを作動させて前記太陽電池モジュールによる発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を停止するタイマー機能による制御を行うものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、蓄電池が接続(又は内蔵)されたパワーコンディショナーを含む太陽光発電システムにおいて、前記開閉制御部が、前記発電電圧検出部からの出力に基づいて、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が前記パワーコンディショナーの各機種毎に異なる起動電圧に対応又は適合するように予め設定又は調整しておくことが可能な供給開始電圧以上となったとき、前記太陽電池モジュールからの発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を開始し、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が前記パワーコンディショナーの各機種毎に異なる停止電圧に対応又は適合するように予め設定又は調整しておくことが可能な供給停止電圧以下となったとき、前記太陽電池モジュールからの発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を停止するように、前記接続開閉部を制御するようにしている。
【0014】
よって、本発明によれば、蓄電池が接続されたパワーコンディショナーが太陽電池モジュールからの発電電力により起動するように接続されている太陽光発電システムにおいて、太陽電池モジュールとパワーコンディショナーとの間に、両者間を電気的に接続し又は遮断する機器を後から外付けするという簡単な構成を追加するだけで、太陽光発電システムに組み込まれるパワーコンディショナーのメーカーや機種の違いに影響されることなく、夜間など太陽電池モジュールが作動していないときでもパワーコンディショナーからの電圧が太陽電池モジュールに印加されることを主原因とする太陽電池モジュールの劣化・出力低下現象を、簡単かつ安価に防止することができるようになる。
【0015】
また、本発明において、前記電圧値切換設定部により、前記開閉制御部が前記太陽電池モジュールからの発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を開始するか否かを判定するときに参照する供給開始電圧、及び前記開閉制御部が前記供給を停止するか否かを判定するときに参照する供給停止電圧を、前記各パワーコンディショナーの各機種毎に決められた起動電圧及び停止電圧に対応又は適合するように設定、切換え又は調整できるようにしたときは、前記開閉制御部が前記接続開閉部を制御して前記太陽電池モジュールによる発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を開始するときの判定の際に参照する供給開始電圧を、極めて容易に、各パワーコンディショナーの機種毎に固有の起動電圧に対応又は適合させて設定等することができると共に、前記開閉制御部が前記接続開閉部を制御して前記太陽電池モジュールによる発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を停止するときの判定の際に参照する供給停止電圧を、極めて容易に、各パワーコンディショナーの機種毎に固有の停止電圧に対応又は適合させて設定等することができるようになる。
【0016】
さらに、本発明において、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が、予め決められた所定時間以上、前記供給開始電圧以上となったとき、機械式スイッチを作動させて前記太陽電池モジュールによる発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を開始し、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧が、予め決められた所定時間以上、前記供給停止電圧以下となったとき、機械式スイッチを作動又は作動停止させて前記太陽電池モジュールによる発電電力の前記パワーコンディショナーへの供給を停止するタイマー機能による制御を行うようにしたときは、天候が不安定なときや朝などの太陽電池モジュールによる発電開始時の電力の上昇の様子が不安定であるときの太陽電池モジュールによる発電電圧のパワーコンディショナーの供給の開始、及び悪天候になったときや夕刻などの太陽電池モジュールによる発電終了時の電力の低下の様子が不安定であるときの太陽電池モジュールによる発電電圧のパワーコンディショナーの供給の停止に関して発生する、前記機械式スイッチが短い間隔(数秒から数分間)でON/OFFを繰り返してしまう現象を、有効に防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システムの全体構成を示す概略図である。
図2】本実施形態の電気的構成を示す回路ブロック図である。
図3】本実施形態において、機械式スイッチが短い間隔(数秒から数分間)でON/OFFを繰り返してしまう現象を防止するためのCPUの動作(タイマー機能)の一例を示すフローチャートである。
図4】本実施形態におけるリレー回路の動作の一例を示すグラフである。
図5】特許文献1で提案された太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール劣化防止機能を備えた太陽光発電システムの全体構成を示す概略図、図2は本実施形態の電気的構成を示す回路ブロック図である。
【0019】
図1において、1は太陽電池モジュール、2はパワーコンディショナー、3は前記太陽電池モジュール1と前記パワーコンディショナー2との間に接続されたリレー回路(リレーボックス)である。前記パワーコンディショナー2には蓄電池(図2の符号4参照)が接続されている。また、前記パワーコンディショナー2は、前記太陽電池モジュール1からの発電電力により起動、作動されるように構成されている。また、前記リレー回路3には前記リレー回路3を制御するためのマイクロコンピュータなどから成る制御部(図2のCPU12など参照)が接続されている。
【0020】
前記制御部は、朝日が昇り前記太陽電池モジュール1の発電電圧が規定値(供給開始電圧)以上に上昇したら前記リレー回路3をONにして前記太陽電池モジュール1及び前記パワーコンディショナー2間を電気的に接続し、日が落ちて前記太陽電池モジュール1の発電電圧が規定値(供給停止電圧)以下になったら前記リレー回路をOFFにして前記太陽電池モジュール1及び前記パワーコンディショナー2間を電気的に遮断する。その目的は、前記太陽電池モジュール1が発電をしていないときに対地電圧(前記パワーコンディショナー2の電圧)が前記太陽電池モジュール1に印加されないようにするためである。なお、本実施形態では、前記リレー回路3のリレーを保持する補助電源(AC100/200V共用)を備えるようにしているが、備えないようにしてもよい。
【0021】
次に、図2において、3は前記太陽電池モジュール1と前記パワーコンディショナー2との間に接続されたリレー回路(リレーボックス)、4は前記パワーコンディショナー2に接続された蓄電池、5は前記パワーコンディショナー2が接続された商用電力系統である。
【0022】
次に、前記リレー回路3の構成を説明する。図2において、11は前記太陽電池モジュール1と前記パワーコンディショナー2との間を電気的に接続し又は遮断するリレー開閉部である。また、12は、前記太陽電池モジュール1による発電電力が所定の供給開始電圧以上に上昇したとき前記太陽電池モジュール1からの発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を開始させると共に、前記太陽電池モジュール1による発電電力が所定の供給停止電圧以下に低下したとき前記太陽電池モジュール1からの発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を停止させるように、前記リレー開閉部11を制御するCPUである。なお、本実施形態では、前記CPU12は、前記太陽電池モジュール1からの発電電力により作動するように、前記太陽電池モジュール1と後述の電圧変換回路などを介して接続されている。
【0023】
また、図2において、13は前記太陽電池モジュール1からの発電電力を所定の電圧に変換する電圧変換回路、14は前記電圧変換回路13からの電力を前記CPU12に供給するCPU電源、15は前記電圧変換回路13からの電力を前記リレー開閉部11側に供給するリレー電源、16は前記太陽電池モジュール1による発電電力の電圧を検出して前記CPU12に出力する電圧検出回路、17は前記CPU12からの出力を受けてリレー駆動部(コイル)11aを制御するための信号を出力するリレー出力回路である。
【0024】
また、図2において、18は前記CPU12が前記太陽電池モジュール1からの発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を開始するか否かを判定するときに参照する供給開始電圧(ON電圧)の設定等を行うためのON電圧設定部、19は前記CPU12が前記太陽電池モジュール1からの発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を停止するか否かを判定するときに参照する供給停止電圧(OFF電圧)の設定等を行うためのOFF電圧設定部である。なお、図2において、21は、太陽電池モジュール1の施工・修理・メンテナンスなどのために太陽電池モジュール1を他の部分と電気的に遮断するときに使用するスイッチである。
【0025】
本実施形態では、前記ON電圧設定部18及び前記OFF電圧設定部19は、例えば25Vから95Vまでの5V間隔の複数段階の電圧値を事前に選択・変更して設定できるダイヤルスイッチなどにより構成されている。よって、例えば施工業者が蓄電ハイブリット式の太陽光発電システムに前記リレー回路(リレーボックス)3を備えた機器を外付けするとき、前記CPU12が前記リレー開閉部11を制御するときに参照する供給開始電圧(ON電圧)及び供給停止電圧(OFF電圧)を、当該システムに既に組み込まれているパワーコンディショナーの各機種に固有の起動電圧及び停止電圧に対応又は適合するように、容易に設定、切換又は調整等することができる。
【0026】
また、図2において、20は、前記CPU12が前記太陽電池モジュール1による発電電力の電圧が前記供給開始電圧(ON電圧)以上又は供給停止電圧(OFF電圧)以下になったか否かを判定するときの計測・判定時間を設定するための遅延時間設定部である。前記遅延時間設定部20は、前記CPU12に、前記太陽電池モジュール1の発電電力の電圧が前記供給開始電圧(ON電圧)以上又は供給停止電圧(OFF電圧)以下となったか否かの判定を所定時間だけ繰り返す機能(タイマー機能)を持たせるため、及び前記判定を繰り返す時間(遅延時間)を設定するためのものである。
【0027】
すなわち、もし、前記電圧検出回路16から入力された前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧値について、前記CPU12が前記供給開始電圧(ON電圧)以上に一瞬でもなったら直ちに前記リレー開閉部11をONさせて前記太陽電池モジュール1による発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を開始するようにしたときは、例えば天候が不安定なときや早朝時などにおいては前記発電が不安定で発電電力の変動が激しいことから前記リレー開閉部11が短い間隔(数秒から数分間)でON/OFFを繰り返してしまう現象が発生してしまう。そこで、本実施形態においては、前記CPU12が、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧値が前記供給開始電圧(ON電圧)以上になったかどうかの判定を予め設定等された所定の遅延時間だけ繰り返すようにし(図3のステップS2,S3参照)、前記遅延時間の全てにおいて前記供給開始電圧(ON電圧)以上になったと判定されたとき初めて前記リレー開閉部11をONさせて(図3のステップS4参照)、前記太陽電池モジュール1による発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を開始するようにし、これにより、前記供給開始時に前記リレー開閉部11が短い間隔(数秒から数分間)でON/OFFを繰り返してしまう現象の発生を防止するようにした。
【0028】
また、もし、前記電圧検出回路16から入力された前記太陽電池モジュールの発電電力の電圧値について、前記CPU12が前記供給停止電圧(OFF電圧)以下に一瞬でもなったら直ちに前記リレー開閉部11をOFFさせて前記太陽電池モジュール1による発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を停止するようにしたときは、例えば悪天候になったときや夕刻時などにおいては前記発電が不安定で発電電力の変動が激しいことから前記リレー開閉部11が短い間隔(数秒から数分間)でON/OFFを繰り返してしまう現象が発生してしまう。そこで、本実施形態においては、前記CPU12が、前記太陽電池モジュールによる発電電力の電圧値が前記供給停止電圧(OFF電圧)以下になったかどうかの判定を予め設定された所定の遅延時間だけ繰り返すようにし(図3のステップS5,S6参照)、前記遅延時間の全てにおいて前記供給停止電圧(OFF電圧)以下になったと判定されたとき初めて前記リレー開閉部11をOFFさせて(図3のステップS7参照)、前記太陽電池モジュール1による発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を停止するようにし、これにより、前記供給停止時に前記リレー開閉部11が短い間隔(数秒から数分間)でON/OFFを繰り返してしまう現象の発生を防止するようにした。
【0029】
前記遅延時間設定部20は、前記太陽電池モジュール1による発電電力の電圧値が前記供給開始電圧(ON電圧)以上になったかどうかの判定を前記CPU12が繰り返す時間、又は前記太陽電池モジュール1による発電電力の電圧値が前記供給停止電圧(OFF電圧)以下になったかどうかの判定を前記CPU12が繰り返す時間を、例えば数秒~数十秒などの間で、任意に選択的に設定・調整できるようにしたものである。
【0030】
次に本実施形態の動作を説明する。本実施形態においては、施工業者が太陽光発電システムの稼動前に、前記ON電圧設定部18及びOFF電圧設定部19により、前記CPU12が前記太陽電池モジュール1からの発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を開始させ及び停止させるかどうかを判定するときに参照する供給開始電圧及び供給停止電圧を、前記パワーコンディショナー2の各機種に固有の起動電圧及び停止電圧に対応・適合するように、設定等しておく。
【0031】
また、本実施形態においては、施工業者は、システム稼動前に、前記遅延時間設定部20により、前記CPU12が前記太陽電池モジュール1からの発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を開始させ及び停止させるときに前記太陽電池モジュール1による発電電力の電圧値が前記供給開始電圧以上か又は前記供給停止電圧以下かの判定を所定時間だけ繰り返す(タイマー機能)ときの当該判定を繰り返す時間(遅延時間)として、太陽光発電システムが設置された周辺環境などに対応・適合する任意の時間(数~数百秒間中の任意の時間)を、それぞれ設定等しておく。
【0032】
そして、前記CPU12は、前記電圧検出回路16からの出力に基づいて、前記太陽電池モジュール1による発電電力の電圧が前記パワーコンディショナー2の各機種に固有の起動電圧と対応又は適合するように予め設定された供給開始電圧以上になったと予め設定された遅延時間だけ繰り返し判定したとき(図3のステップS2,S3参照)、前記リレー出力回路17を制御して前記リレー開閉部11をONさせ(図3のステップS4参照)、前記太陽電池モジュール1による発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を開始させる。
【0033】
また、前記CPU12は、前記電圧検出回路16からの出力に基づいて、前記太陽電池モジュール1による発電電力の電圧が前記パワーコンディショナー2の機種に固有の停止電圧と対応又は適合するように予め設定された供給停止電圧以下になったと予め設定された遅延時間だけ繰り返し判定したとき(図3のステップS5,S6参照)、前記リレー出力回路17を制御して前記リレー開閉部11をOFFさせ(図3のステップS7参照)、前記太陽電池モジュール1による発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を停止させる。
【0034】
次に図4は本実施形態における前記リレー回路3の動作を示すグラフである。図4において、Aは太陽電池モジュールの発電電圧、Bは動作電圧(前記CPU12がパワーコンディショナー2を起動又は停止するか否かを判定してリレー回路3を制御するときに参照する供給開始電圧又は供給停止電圧)、Cはリレー接続動作(リレーのON/OFFの動作)を示している。図4からは、本実施形態において、前記CPU12が、前記太陽電池モジュール1による発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給の開始及びその停止を、前記太陽電池モジュール1による発電の出力変動に対して所定の遅延時間における判定の繰り返しを経た上で(タイマー機能)行っていることが分かる。
【0035】
以上のように、本実施形態においては、前記CPU12が、前記電圧検出回路16からの出力に基づいて、前記太陽電池モジュール1による発電電力の電圧が前記パワーコンディショナー2の各機種毎に異なる起動電圧に対応又は適合するように予め設定した供給開始電圧以上となったと判定し、且つ所定の遅延時間において前記と同じ判定が繰り返されたとき、前記太陽電池モジュール1からの発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を開始すると共に、前記太陽電池モジュール1による発電電力の電圧が前記パワーコンディショナー2の各機種毎に異なる停止電圧に対応又は適合するように予め設定した供給停止電圧以下となったと判定し、且つ所定の遅延時間において前記と同じ判定が繰り返されたとき、前記太陽電池モジュール1からの発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を停止するように、前記接続開閉部を制御するようにした。
【0036】
よって、本実施形態によれば、蓄電池4が接続されたパワーコンディショナー2が太陽電池モジュール1からの発電電力により起動するように接続されている太陽光発電システムにおいて、太陽電池モジュール1とパワーコンディショナー(インバーター)2との間に、両者間を電気的に接続し又は遮断するリレー回路(リレーボックス)3を後から外付けするだけで、太陽光発電システムに組み込まれているパワーコンディショナー2のメーカーや機種の違いに影響されることなく、夜間など太陽電池モジュール1が作動していない時間帯でもパワーコンディショナー2からの電圧が太陽電池モジュールに印加されることを主原因とする太陽電池モジュール1の劣化・出力低下現象を、簡単かつ安価に防止することができるようになる。
【0037】
また、本実施形態では、前述のように、前記太陽電池モジュール1による発電電力の電圧が、予め決められた所定の遅延時間以上、前記供給開始電圧以上となったときに初めて、前記リレー開閉部11を作動させて前記太陽電池モジュール1による発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を開始すると共に、前記太陽電池モジュール1による発電電力の電圧が、予め決められた所定の遅延時間以上、前記供給停止電圧以下となったときに初めて、前記リレー開閉部11を作動させて前記太陽電池モジュール1による発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を停止するタイマー機能による制御を行うようにした。よって、本実施形態によれば、天候が不安定なときや早朝などの太陽電池モジュール1による発電開始時の電力の上昇の様子が不安定であるときのパワーコンディショナー2への前記発電電力の供給開始、及び悪天候になったときや夕刻などの太陽電池モジュール1による発電終了時の電力の低下の様子が不安定であるときのパワーコンディショナー2への前記発電電力の供給停止のときに発生する、前記リレー開閉部11が短い間隔(数秒から数分間)でON/OFFを繰り返してしまう現象を、有効に防止できるようになる。
【0038】
さらに、本実施形態では、前記ON電圧設定部18及び前記OFF電圧設定部19により、前記CPU12が前記太陽電池モジュール1からの発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を開始するか否かを判定するときに参照する供給開始電圧、及び前記CPU12前記太陽電池モジュール1からの発電電力の前記パワーコンディショナー2への供給を停止するか否かを判定するときに参照する供給停止電圧を、前記各パワーコンディショナー2の各機種毎に固有の起動電圧及び停止電圧に対応又は適合するように、例えばダイヤルスイッチ式で設定、切換え又は調整できるようにした。よって、本実施形態によれば、前記CPU12が前記リレー回路(リレーボックス)3を制御して前記太陽電池モジュール1による発電電力のパワーコンディショナー2への供給を開始するときの供給開始電圧を、極めて容易に、各パワーコンディショナー2の機種毎の起動電圧に対応・適合させることができると共に、前記CPU12が前記リレー回路(リレーボックス)3を制御して前記太陽電池モジュール1からの発電電力をパワーコンディショナー2に供給しないように前記供給を停止するときの供給停止電圧を、極めて容易に、各パワーコンディショナー2の機種毎の停止電圧に対応・適合させることができるようになる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施形態においては、太陽電池モジュールとパワーコンディショナーとの間を電気的に接続し又は遮断する接続開閉部としてDCリレー回路3を示したが、本発明においてはこれに限られるものではなく、従来から知られている他の様々な接続開閉手段を使用できることはもちろんである。
【符号の説明】
【0040】
1 太陽電池モジュール
2 パワーコンディショナー
3 リレー回路(リレーボックス)
4 蓄電池
11 リレー開閉部
11a リレー駆動部(コイル)
12 CPU
13 電圧変換回路
14 CPU電源
15 リレー電源
16 電圧検出回路
17 リレー出力回路
18 ON電圧設定部
19 OFF電圧設定部
20 遅延時間設定部
図1
図2
図3
図4
図5