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特許6997632スノーボード用ビンディングのハイバック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】スノーボード用ビンディングのハイバック
(51)【国際特許分類】
   A63C 10/02 20120101AFI20220107BHJP
【FI】
A63C10/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018003434
(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公開番号】P2019122468
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】金井 琢
(72)【発明者】
【氏名】内藤 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】打江 佳典
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3087523(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0070530(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 1/00 - 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブーツの背面側を支持するハイバック本体と、
前記ハイバック本体の主面の上下中心部に軸心を取り付けて着脱可能なサポート部材と、
を備え、
前記サポート部材は、柱状であり、かつ前記ハイバック本体よりも剛性の高い部材であり、前記ハイバック本体は主面に前記サポート部材の着脱部を備え、
前記着脱部は、前記ハイバック本体の主面の上端に設けて前記サポート部材の一端が嵌る上部凹部と、前記サポート部材の他端が嵌る下部凹部を有するブラケットと、前記ブラケットを前記ハイバック本体に固定する締結ボルトからなることを特徴とするスノーボード用ビンディングのハイバック。
【請求項2】
ブーツの背面側を支持するハイバック本体と、
前記ハイバック本体の主面の上下中心部に軸心を取り付けて着脱可能なサポート部材と、
を備え、
前記サポート部材は、柱状であり、かつ前記ハイバック本体よりも剛性の高い部材であり、前記ハイバック本体は主面に前記サポート部材の着脱部を備え、
前記着脱部は、前記ハイバック本体の主面の上端に設けて前記サポート部材の一端が嵌る凹部と、前記サポート部材の他端と接続するブラケットと、前記ブラケットを前記ハイバック本体に固定する締結ボルトからなることを特徴とするスノーボード用ビンディングのハイバック。
【請求項3】
ブーツの背面側を支持するハイバック本体と、
前記ハイバック本体の主面の上下中心部に軸心を取り付けて着脱可能なサポート部材と、
を備え、
前記サポート部材は、柱状であり、かつ前記ハイバック本体よりも剛性の高い部材であり、前記ハイバック本体は主面に前記サポート部材の着脱部を備え、
前記着脱部は、前記ハイバック本体の主面の上端に設けて前記サポート部材の一端が嵌る上部凹部と、前記上部凹部と対向するとともに前記ハイバックの主面に設けて前記サポート部材の他端が嵌る下部凹部を有することを特徴とするスノーボード用ビンディングのハイバック。
【請求項4】
前記サポート部材は、前記ハイバック本体の主面の上下中心線に沿って複数並べて配置したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載のスノーボード用ビンディングのハイバック。
【請求項5】
前記ハイバック本体は、主面の上下中心線を跨ぐ開口を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1に記載のスノーボード用ビンディングのハイバック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にブーツの背面側を支持して、スノーボードのバックサイド(背面側)ターン時に利用するスノーボード用ビンディングのハイバックに関する。
【背景技術】
【0002】
図10はスノーボード用ビンディングの説明図である。図示のようにスノーボード用ビンディング1は、ネジ等によってスノーボードへ固定するベースプレート2と、ブーツをベースプレート2に固定するための締付構造4と、ベースプレート2の後部に折り畳み可能に軸支されて、その展開状態においてブーツの背面を支持するハイバック5を備え、ブーツをスノーボードに固定できる。前記締付構造4は、ブーツのつま先を締め付けるトゥーストラップ4aと、ブーツの足首を締め付けるアンクルストラップ4bと、バックル4cからなる。
このうちハイバック5は、主にバックサイドターン時に利用し、ブーツの背面側を支持してヒール側のエッジを立て易くしている。このハイバック5は所定の硬質性、及び転倒時の怪我防止のために柔軟性を兼ね備えた材料で形成されている。従来、後方又は左右方向の変形特性をユーザの好みや、滑走内容等に応じて最適化できる種々のハイバックが提案されている。
【0003】
特許文献1に開示のハイバックは、ハイバック本体(バックサポート本体)の裏面にほぼ平板状の補強部材を固定した構成である。この補強部材は、下方部を当接した状態で固定し、上方部は後方に離間した状態で固定している。
【0004】
特許文献2に開示のハイバックは、弾性を有する剛体で形成されたシェル部材を有し、上方の左右部分は斜め上方に向かう柔軟性を有し、中央部分は剛性を維持するように構成されている。
【0005】
特許文献3に開示のハイバックは、開口部を有し、この開口部にブーツの一部を支持する織物状の材料を配置している。織物状の材料となるフィラメントは、開口部全体にわたって垂直、水平、斜め方向に延びて、脚からの力を伝達するのを補助し、脚に対する圧点を低減して、脚又はブーツ全体にわたって力を分散させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-134093号公報
【文献】実用新案登録第3149984号公報
【文献】実用新案登録第3139536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1によれば、平板形状の補強部材は全体として大型化し、重量増加、コスト高のおそれがある。また製造時において、剛性を調整するために所定の取り付け間隔となるように補強部材をハイバック本体へ組み付けているが、この調整に手間と時間がかかるおそれがあった。
【0008】
特許文献2によれば、剛性を高めるニーズの場合、シェル部材の厚みを厚くしなければならない。そうすると必要以上に厚みが増して、重量も増加してしまう。また剛性をユーザの好みに合わせる場合、中央部分のみ交換することができず、シェル部材をそっくり交換しなければならず、コスト高となる。
【0009】
特許文献3によれば、織物状の材料を採用することにより、垂直、水平、斜め方向に延びて力を伝達又は分散させることができる。しかしながら、後方のみなど特定の方向の伸び率を変える要請に対応することができない。またそのような要請について何ら考慮されていない。
【0010】
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、スノーボード用ビンディングのハイバックの変形特性、特に後方への変形を使用者の好み等に応じて容易に設定することができるスノーボード用ビンディングのハイバックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、ブーツの背面側を支持するハイバック本体と、
前記ハイバック本体の主面の上下中心部に軸心を取り付けて着脱可能なサポート部材と、
を備え、
前記サポート部材は、柱状であり、かつ前記ハイバック本体よりも剛性の高い部材であり、前記ハイバック本体は主面に前記サポート部材の着脱部を備え、
前記着脱部は、前記ハイバック本体の主面の上端に設けて前記サポート部材の一端が嵌る上部凹部と、前記サポート部材の他端が嵌る下部凹部を有するブラケットと、前記ブラケットを前記ハイバック本体に固定する締結ボルトからなることを特徴とするスノーボード用ビンディングのハイバックを提供することにある。
上記第1の手段によれば、ハイバックの特に後方への変形に対する反力となる剛性を備えることができる。またハイバックの左右方向(ハイバック本体の上端が捩れる方向)の変形にサポート部材が干渉することがなく、所定の柔軟性を有するハイバックの本来の左右方向の変形を維持することができる。
【0012】
上記課題を解決するための第2の手段として、本発明は、第1の手段において、前記サポート部材は、円柱形状であり、かつ前記ハイバック本体よりも剛性の高い部材であることを特徴とするスノーボード用ビンディングのハイバックを提供することにある。
上記第2の手段によれば、ハイバックの特に後方への変形に対する反力となる剛性を備えることができる。またハイバックの左右方向(ハイバック本体の上端が捩れる方向)の変形に円柱形状のサポート部材が干渉することがなく、所定の柔軟性を有するハイバックを容易に変形(捩れる方向に変形)することができる。
【0013】
上記課題を解決するための第3の手段として、本発明は、第1又は第2の手段において、前記ハイバック本体は主面に前記サポート部材の着脱部を備え、
前記着脱部は、前記ハイバック本体の主面の上端に設けて前記サポート部材の一端が嵌る上部凹部と、前記サポート部材の他端が嵌る下部凹部を有するブラケットと、前記ブラケットを前記ハイバック本体に固定する締結ボルトからなることを特徴とするスノーボード用ビンディングのハイバックを提供することにある。
上記第3の手段によれば、上下の凹部がサポート部材を軸支する構成であり、本来のハイバックの左右方向(ハイバック本体の上端が捩れる方向)の変形にサポート部材が干渉することがなく、所定の柔軟性を有するハイバックの本来の左右方向の変形を維持することができる。
【0014】
上記課題を解決するための第4の手段として、本発明は、第1又は第2の手段において、前記ハイバック本体は主面に前記サポート部材の着脱部を備え、
前記着脱部は、前記ハイバック本体の主面の上端に設けて前記サポート部材の一端が嵌る凹部と、前記サポート部材の他端と接続するブラケットと、前記ブラケットを前記ハイバック本体に固定する締結ボルトからなることを特徴とするスノーボード用ビンディングのハイバックを提供することにある。
上記第4の手段によれば、サポート部材とブラケットを一体化して上方の凹部のみがサポート部材を軸支する構成であり、本来のハイバックの左右方向(ハイバック本体の上端が捩れる方向)の変形にサポート部材が干渉することがなく、所定の柔軟性を有するハイバックの本来の左右方向の変形を維持することができる。
【0015】
上記課題を解決するための第5の手段として、本発明は、第1又は第2の手段において、前記ハイバック本体は主面に前記サポート部材の着脱部を備え、
前記着脱部は、前記ハイバック本体の主面の上端に設けて前記サポート部材の一端が嵌る上部凹部と、前記上部凹部と対向するとともに前記ハイバックの主面に設けて前記サポート部材の他端が嵌る下部凹部を有することを特徴とするスノーボード用ビンディングのハイバックを提供することにある。
上記第5の手段によれば、上下の凹部がサポート部材を軸支する構成であり、本来のハイバックの左右方向(ハイバック本体の上端が捩れる方向)の変形にサポート部材が干渉することがなく、所定の柔軟性を有するハイバックの本来の左右方向の変形を維持することができる。また着脱部の構成を簡易化及び軽量化でき、ハイバック本体の柔軟性を利用してサポート部材を容易に着脱できる。
【0016】
上記課題を解決するための第6の手段として、本発明は、第1ないし第5のいずれか1の手段において、前記サポート部材は、前記ハイバック本体の主面の上下中心線に沿って複数並べて配置したことを特徴とするスノーボード用ビンディングのハイバックを提供することにある。
上記第6の手段によれば、ハイバック本体に取り付けるサポート部材の本数を任意に変更することができ、ユーザの好み、滑走内容等に応じてハイバック本体の後方への変形に対する反力となる剛性を容易に調整できる。
【0017】
上記課題を解決するための第7の手段として、本発明は、第1ないし第6のいずれか1の手段において、前記ハイバック本体は、主面の上下中心線を跨ぐ開口を有することを特徴とするスノーボード用ビンディングのハイバックを提供することにある。
上記第7の手段によれば、ハイバック本体の柔軟性を確保し易く、かつ捩じれる方向へ容易に変形し易くなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ハイバック本体が後方へ傾く力のみの反力を確保しつつ、後方以外の左右方向(捩じれ方向)に柔軟性を備えたスノーボード用ビンディングのハイバックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のスノーボード用ビンディングのハイバックの背面図である。
図2】本発明のスノーボード用ビンディングのハイバックの側面図である。
図3】本発明のスノーボード用ビンディングのハイバックの正面図である。
図4図3のA-A矢視図である。
図5】ハイバックをベースプレートに取り付けた側面図である。
図6】変形例のスノーボード用ビンディングのハイバックの背面図である。
図7】変形例のハイバック本体の背面図である。
図8】変形例のハイバック本体の側面図である。
図9】変形例のハイバック本体の正面図である。
図10】スノーボード用ビンディングの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のスノーボード用ビンディングのハイバックの実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
なお本明細書中のハイバックの後方とは、スノーボードに乗ったユーザの背面側を示している。また、ハイバックの左右方向とは、ハイバックの上端側が左右いずれかに捩れる方向を示している。またハイバックの上方とはベースプレートから離れる方向を示し、下方とはベースプレートに接近する方向を示している。
【0021】
図1は本発明のスノーボード用ビンディングのハイバックの背面図である。図2は本発明のスノーボード用ビンディングのハイバックの側面図である。図3は本発明のスノーボード用ビンディングのハイバックの正面図である。図4図3のA-A矢視図である。図5はハイバックをベースプレートに取り付けた側面図である。
【0022】
スノーボード用ビンディングのハイバック10(以下、単にハイバックということあり)は、下端に左右一対のベースプレート2に対する軸支部22が形成されてブーツの背面側を支持するように構成されるハイバック本体20と、ハイバック本体20の主面の上下中心線に沿って着脱可能に取り付けるサポート部材30と、ハイバック本体20の主面に対するサポート部材30の着脱を可能とする着脱部40を有している。
【0023】
ハイバック本体20は、ブーツの背面側に沿って覆う湾曲状に形成されて、下端に左右一対のベースプレート2に対する軸支部22が形成されている。またハイバック本体20の背面側の主面の上下方向に延びる中心線(以下、上下中心線ということあり)上と対向するベースプレート2の上端に係止して、ベースプレート2に対するハイバック本体20の角度、換言するとハイバック本体20が正面側に傾斜する角度を段階的に調整可能な角度調整部24を備えている。ハイバック本体20は全体的に肉厚を薄く形成して所定の柔軟性を有しているが、さらにブーツの背面と接する箇所の一部に上下中心線を跨ぐ開口部26を設けて、より柔軟性を確保し易く、かつ捩じれる方向へ容易により変形し易くしている。
このようなハイバック本体20は、ポリウレタンエラストマ、ポリプロピレン、ナイロン、ポリカーボネイト、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、ポリエチレンなどの剛性樹脂及びそれらの複合体や、カーボン複合材、FRP(Fiberglass Reinforced Plastics)、その他の耐寒性があり柔軟性と硬質性を有する素材を適用することができる。
【0024】
着脱部40は、上部凹部42と、下部凹部44と、下部凹部44を有するブラケット46と、締結ボルト48を有している(図1-4参照)。
上部凹部42は、ハイバック本体20の主面の上部に設けている。上部凹部42は、サポート部材30の一端が嵌る凹状に形成して、開口面が下方を向くように形成している。
ブラケット46は、上面に下部凹部44を有する部材であり、ハイバック本体20の中心にとりつけることができる。下部凹部44は、サポート部材30の他端が嵌る凹状に形成している。ブラケット46は主面に締結ボルト48が螺合するメネジを施した締結穴461を有している(図4参照)。
【0025】
このようなブラケット46は、ハイバック本体20の中心に設けた中心孔21の一方の開口側(ハイバック本体20の背面側)に締結孔461の位置合わせをする。このとき下部凹部44が上面に配置されるようにしている。そして中心孔21の他方の開口側(ハイバック本体20の正面側)から締結ボルト48を挿入し螺合させることによりブラケット46をハイバック本体20に着脱可能に取り付けることができる。
なおブラケットの構成は、この他にも前述の上部凹部及びブラケットの位置関係を上下反対にしてもよい。
着脱部の構成は、この他にもブラケットを用いずに、ハイバック本体20の柔軟性を利用して、下部凹部をハイバック本体20の主面に直に設けてもよい。この場合下部凹部は開口部26の下端で、上部凹部42と対向する箇所に設けると良い。このような着脱部の構成によるサポート部材30の取り付けは、例えばハイバック本体20を捩れ方向に変形して上部及び下部凹部を離間させた状態で、サポート部材30の一端を上部凹部に挿入し、他端を下部凹部に挿入して取り付けることができる。
【0026】
サポート部材30は、柱状かつ、ハイバック本体20よりも剛性の高い部材である。サポート部材30は、ハイバック本体20の上下中心線に沿って中心から上端まで跨る長さに設定している。本実施形態のサポート部材30は一例として円柱の形状を採用しているが、この他、多角柱(四角柱、六角柱など)の形状を採用することもできる。
このようなサポート部材30は、ハイバック本体20よりも剛性の高い、カーボン複合素材、グラスファイバー素材等を適用して所定の剛性に設定することができる。またこのような素材に加えて直径を任意に変更することにより剛性を設定することもできる。
なお、サポート部材は、軸心をハイバック本体の上下中心部に取り付けていればよく、換言すると、上下中心線付近、例えば軸心を上下中心線からわずかに外れた位置や、上下中心線を僅かに傾けて上下方向に延びる直線上、又は上下中心線上又は上下中心線と所定間隔を開けて平行に取り付けていればよく、柱状の他にも平板状、軸心に沿って直径の異なる異形状に形成することもできる。
またサポート部材は、いずれか一端をブラケットに接続した一体型の構造であってもよい。
【0027】
[変形例]
図6は変形例のスノーボード用ビンディングのハイバックの背面図である。図示のように変形例のスノーボード用ビンディングのハイバック10Aは、複数のサポート部材30をハイバック本体20に取り付けている(図6では3本)。
図6に示す着脱部40Aは3本のサポート部材30を取付けできるように上部及び下部凹部42A,44Aに3個の凹部を形成している。そして真ん中の凹部がハイバック本体20の上下中心線上と一致するように配置している。
このような構成の変形例のスノーボード用ビンディングのハイバック10Aによれば、ハイバック本体20に取り付けるサポート部材30の本数を任意に変更することができ、ユーザの好み、滑走内容等に応じてハイバック本体20の後方への変形に対する反力となる剛性を容易に調整できる。
【0028】
図7は変形例のハイバック本体の背面図である。図8は変形例のハイバック本体の側面図である。図9は変形例のハイバック本体の正面図である。図示のように変形例のハイバック本体20Aは、図1-3に示すように開口部26を設けていない。すなわち、ハイバック本体20A本来の全体的に薄肉に形成するだけの構成で柔軟性を確保している。
このような構成の変形例のハイバック本体20Aであっても、柔軟性を確保し易く、かつ捩じれる方向へ容易に変形し易くなる。
【0029】
[作用]
上記構成による本発明のスノーボード用ビンディングのハイバックの作用について以下説明する。
ハイバック本体20のサポート部材30を取り付けたスノーボード用ビンディングのハイバック10は、バックサイドターン時にハイバックが後方に変形しようとすると、後方に変形しようとする方向とサポート部材の軸心が同一平面上にあるためサポート部材30の剛性が反力となって、後方への変形を抑制できる。
また、ハイバック10の左右方向に変形する場合には、上部及び下部凹部42,44に軸支されたサポート部材30の捩れる方向となるが、ハイバック本体20と両端(サポート部材の両端が上部又は下部凹部に嵌る構成)が又はいずれか一端(サポート部材の一端がブラケットに接続し、他端が凹部に嵌る構成)が直に接していない(一体的に構成していない)サポート部材30と、上部及び下部凹部42,44を固定したハイバック本体20と力の伝達が絶たれているため、左右方向の変形に干渉することがない。すなわち所定の柔軟性を有するハイバック本体20の本来の左右方向の変形を維持できる。
【0030】
ユーザの嗜好、滑走内容等によりハイバック10の後方への変形の度合いを変えたい場合、サポート部材30をハイバック本体20から容易に取り外すことができる。剛性の調整は、剛性を段階的に変えたサポート部材30を複数用意して、その中から任意に選択や、複数のサポート部材を着脱可能な着脱部によるサポート部材の設置数の変更などにより行うことができる。
このような本発明のスノーボード用ビンディングのハイバックによれば、ハイバック本体が後方へ傾く力のみの反力を確保しつつ、後方以外の左右方向(捩じれ方向)に柔軟性を備えたスノーボード用ビンディングのハイバックを提供できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、スノーボード用ビンディングのハイバックとして、産業上有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1………スノーボード用ビンディング、2………ベースプレート、4………締結手段、4a………トゥーストラップ、4b………アンクルストラップ、4c………バックル、5………ハイバック、
10,10A………スノーボード用ビンディングのハイバック、
20,20A………ハイバック本体、21………中心孔、22………軸支部、24………角度調整部、26………開口部、
30………サポート部材、
40………着脱部、42………上部凹部、44………下部凹部、46………ブラケット、461………締結穴、48………締結ボルト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10