(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-17
(54)【発明の名称】発電装置および発電方法
(51)【国際特許分類】
F01K 25/10 20060101AFI20220107BHJP
F01K 9/00 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F01K25/10 F
F01K9/00 F
(21)【出願番号】P 2018079169
(22)【出願日】2018-04-17
【審査請求日】2021-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】中村 恭明
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰
(72)【発明者】
【氏名】小川 斗
【審査官】小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-234709(JP,A)
【文献】特開2013-036456(JP,A)
【文献】特表2018-530691(JP,A)
【文献】特表2018-529042(JP,A)
【文献】特表2014-515084(JP,A)
【文献】特開2001-221015(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0352463(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0255304(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107882603(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101196354(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 9/00- 9/04,21/00-21/06,
25/00-25/14
F04F 5/00- 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体にガスを吸収させるガス吸収部と、
前記ガス吸収部から排出された前記液体を加熱して、前記液体から前記ガスを発生させるガス発生部と、
前記ガス発生部から排出された前記ガスにより駆動されて発電し、
前記発電に供された後の前記ガスを前記ガス吸収部に排出する発電部と、
前記ガス吸収部内
において前記液体に吸収されず前記ガス吸収部に残存する前記ガスを前記ガス吸収部の第1箇所から抽出し、抽出された前記ガスを前記
ガス吸収部の第2箇所から前記ガス吸収部内に導入する循環流路であって、前記第2箇所は、前記第1箇所よりも高い位置に設けられている循環流路と、
を備え
、
前記ガス吸収部は、前記液体と前記ガスとを接触させて、前記液体に前記ガスを吸収させる気液接触部を備え、
前記第1箇所は、前記気液接触部よりも下流位置に設けられ、
前記第2箇所は、前記気液接触部よりも上流位置に設けられている、
発電装置。
【請求項2】
前記ガス吸収部は、
前記液体を液体導入口から導入し、
前記ガスを前記液体導入口と同じまたは異なるガス導入口から導入し、
前記ガスを吸収した前記液体を、前記液体導入口および前記ガス導入口よりも低い位置に設けられた液体排出口から排出し、
前記第1箇所は、前記液体導入口および前記ガス導入口よりも低い位置に設けられ、前記液体排出口よりも高い位置に設けられている、請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記ガス吸収部から前記ガス発生部に向かう前記液体と、前記ガス発生部から前記ガス吸収部に向かう前記液体との間で熱交換を行う熱交換器を備える、請求項
1または2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記液体により駆動され、前記ガス吸収部内の前記ガスを前記循環流路を介して移送するエジェクタを備える、請求項1から
3のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項5】
前記発電部から排出された前記ガスにより駆動され、前記ガス吸収部内の前記ガスを前記循環流路を介して移送するエジェクタを備える、請求項1から
3のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項6】
ガス吸収部内で液体にガスを吸収させ、
前記ガス吸収部から排出された前記液体をガス発生部内で加熱して、前記液体から前記ガスを発生させ、
前記ガス発生部から排出された前記ガスにより発電部が駆動されて発電し、
前記発電に供された後の前記ガスを前記発電部から前記ガス吸収部に排出し、
前記ガス吸収部内
において前記液体に吸収されず前記ガス吸収部に残存する前記ガスを前記ガス吸収部の第1箇所から抽出し、抽出された前記ガスを前記
ガス吸収部の前記第1箇所よりも高い位置に設けられた第2箇所から前記ガス吸収部内に導入する、
ことを含
み、
前記ガス吸収部は、前記液体と前記ガスとを接触させて、前記液体に前記ガスを吸収させる気液接触部を備え、
前記第1箇所は、前記気液接触部よりも下流位置に設けられ、
前記第2箇所は、前記気液接触部よりも上流位置に設けられている、
発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発電装置および発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低温の排ガスや温泉などを熱源として発電するサイクルとして、有機ランキンサイクルやカリーナサイクルが知られている。有機ランキンサイクルでは、熱源から熱を回収する媒体として、ペンタンなどの有機物や、代替フロンを使用する。また、カリーナサイクルでは、熱源から熱を回収する媒体として、例えば水にアンモニアを吸収(溶解)させた非共沸媒体を使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非共沸媒体を使用する発電装置は例えば、水などの液体にアンモニアなどのガスを吸収させるガス吸収部と、ガスを吸収した液体を熱源により加熱して、液体からガスを放出させる気化器と、放出されたガスにより駆動されるタービンと、タービンにより駆動される発電機とを備えている。
【0005】
この発電装置には、放出されるガスの温度を熱源の温度に近づけやすく、発電装置の熱効率を高めやすいというメリットがある。一方、この発電装置には、液体に吸収されないガスがガス吸収部内に滞留すると、ガス吸収部内の圧力が上昇して、発電に悪影響が生じ得るというデメリットがある。このようなガスの滞留を防ぐために液体とガスの接触面積を大きく確保すると、ガス吸収部が大型化して、発電装置のコストが上昇してしまう。
【0006】
本発明の実施形態は、ガス吸収部の吸収性能を向上させることが可能な発電装置および発電方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一の実施形態によれば、発電装置は、液体にガスを吸収させるガス吸収部を備える。前記装置はさらに、前記ガス吸収部から排出された前記液体を加熱して、前記液体から前記ガスを発生させるガス発生部を備える。前記装置はさらに、前記ガス発生部から排出された前記ガスにより駆動されて発電し、前記ガスを前記ガス吸収部に排出する発電部を備える。前記装置はさらに、前記ガス吸収部内の前記ガスを前記ガス吸収部の第1箇所から抽出し、抽出された前記ガスを前記ガス供給部の第2箇所から前記ガス吸収部内に導入する循環流路であって、前記第2箇所は、前記第1箇所よりも高い位置に設けられている循環流路を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、ガス吸収部の吸収性能を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【
図2】第2実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【
図3】第2実施形態の変形例の発電装置の構成を示す模式図である。
【
図4】第3実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【
図5】第3実施形態の変形例の発電装置の構成を示す模式図である。
【
図6】第4実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【
図7】第4実施形態の変形例の発電装置の構成を示す模式図である。
【
図8】第5実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【
図9】第5実施形態の変形例の発電装置の構成を示す模式図である。
【
図10】第6実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【
図11】第6実施形態の変形例の発電装置の構成を示す模式図である。
【
図12】第7実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1から
図12において、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【0012】
図1の発電装置は、熱源から熱を回収する媒体として、非共沸媒体を使用する。本実施形態の非共沸媒体は、アンモニアを吸収した水であるが、その他の媒体(例えば、二酸化炭素を吸収したアミン水溶液)でもよい。
【0013】
図1の発電装置は、ガス吸収部1と、ポンプ2と、熱交換器3と、気化器4と、気液分離器5と、タービン6と、発電機7と、エジェクタ8と、ブロワ9と、制御部10とを備えている。気化器4および気液分離器5は、ガス発生部の一例である。タービン6および発電機7は、発電部の一例である。
【0014】
ガス吸収部1は、上流部1aと、充填層1bと、下流部(タンク)1cと、冷温熱源用流路1dとを備えている。充填層1bは、気液接触部の一例である。気化器4は、高温熱源用流路4aを備えている。
【0015】
図1は、
ガス吸収部1の設置面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、
ガス吸収部1の設置面に垂直なZ方向を示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱うが、-Z方向は、重力方向と一致していても一致していなくてもよい。本実施形態の-Z方向は、重力方向とほぼ一致している。
ガス吸収部1において、上流部1aは充填層1bの上に配置され、下流部1cは充填層1bの下に配置されている。
【0016】
ガス吸収部1は、液体導入口およびガス導入口として機能する入口A1を上流部1aに備え、液体排出口として機能する出口B1を下流部1cに備えている。入口A1から上流部1aに導入された液体(水)とガス(アンモニア)は、充填層1bに流入し、充填層1b内で十分に気液接触する。その結果、液体がガスを吸収し、ガスを吸収した液体(リッチ液)が下流部1cに溜まる。下流部1cに溜まった液体は、出口B1から流路P1に排出される。冷温熱源用流路1dは、ガス吸収部1内を通過する流路であり、冷温熱源からの循環液S1を移送してガス吸収部1内の液体を冷却するために使用される。循環液S1の例は、冷却水である。
【0017】
流路P1に排出された液体は、ポンプ2により、熱交換器3を介して気化器4に移送される。高温熱源用流路4aは、気化器4内を通過する流路であり、高温熱源からの循環液S2を移送して気化器4内の液体を加熱するために使用される。循環液S2の例は、工場からの排ガスや、温泉からの温水である。気化器4は、流路P1から導入された液体を循環液S2により加熱して、液体からガスを放出させる。これらの液体とガスは、流路P2に排出される。
【0018】
流路P2に排出された液体とガスは、気液分離器5に流入する。気液分離器5は、これらをガス(アンモニア)と、ガスを放出した液体(リーン液)とに分離し、ガスを気液分離器5の頂部から流路P3に排出し、ガスを放出した液体を気液分離器5の底部から流路P4に排出する。
【0019】
流路P3に排出されたガスは、タービン6に流入する。タービン6は、このガスにより駆動されて回転軸を回転させる。発電機7は、この回転軸を介してタービン6により駆動されて発電する。こうして、ガスのエネルギーが電気エネルギーに変換される。タービン6を通過したガスは、流路P5に排出される。
【0020】
流路P4に排出された液体は、熱交換器3とエジェクタ8とを介してガス吸収部1に移送される。熱交換器3は、ガス吸収部1から気化器4に向かう液体(リッチ液)と、気液分離器5からガス吸収部1に向かう液体(リーン液)との間で熱交換を行う。リーン液は気化器4内で加熱されたため、リッチ液よりも高温である。よって、リッチ液は熱交換により加熱され、リーン液は熱交換により冷却される。リッチ液は、高濃度のアンモニアを含有するアンモニア水溶液であり、リーン液は、低濃度のアンモニアを含有するアンモニア水溶液(またはアンモニアを含有しない水)である。
【0021】
流路P5に排出されたガスは、エジェクタ8により吸引される。エジェクタ8は、熱交換器3から流入する液体により駆動されて、このガスを吸引する。その結果、流路P5に排出されたガスはエジェクタ8に流入し、液体と共に流路P4を介してガス吸収部1に移送される。これらのガスと液体は、ガス吸収部1の入口A1からガス吸収部1内に導入される。
【0022】
ガス吸収部1にガスが導入されると、ガスの一部は液体に吸収されてガス吸収部1から排出され、ガスの別の一部は液体に吸収されずガス吸収部1内に残存する。そこで、本実施形態のガス吸収部1は、ガス吸収部1内のガスを抽出するための出口B2を下流部1cに備え、抽出されたガスをガス吸収部1内に戻すための入口A2を上流部1aに備えている。入口A2は、出口B2よりも高い位置に設けられている。また、出口B2と入口A2は、出口B1よりも高い位置に設けられ、入口A1よりも低い位置に設けられている。出口B2は第1箇所の一例であり、入口A2は第2箇所の一例である。
【0023】
出口B2から抽出されたガスは、流路P6を介して入口A2に移送される。本実施形態のガスは、ガス吸収部1と流路P6との間を循環することとなる。流路P6は、循環流路の一例である。ブロワ9は、流路P6に設けられるガス移送手段の一例であり、ガス吸収部1内のガスを流路P6を介して移送するよう動作する。
【0024】
制御部10は、発電装置の種々の動作を制御する。例えば、制御部10は、循環液S1の流量、ポンプ2の回転数、循環液S2の流量、発電機7の出力、エジェクタ8の動作、ブロワ9の動作などを制御する。制御部10の例は、プロセッサ、電気回路、コンピュータなどである。
【0025】
流路P6は、下流部1cの空間から上流部1aの空間にガスを循環させる。このような流路P6が存在しない場合、充填層1b内で液体に吸収されなかったガスは下流部1cに滞留し、ガス吸収部1内の圧力を上昇させる。本実施形態によれば、下流部1cのガスを流路P6から抽出することで、ガス吸収部1内の圧力上昇を抑制することができる。さらに、本実施形態によれば、抽出されたガスを上流部1aに戻すことで、液体へのガスの吸収を促すことができる。
【0026】
なお、入口A2は、上流部1aの代わりに充填層1bに設けられていてもよい。この場合、入口A2からガス吸収部1aに導入されたガスは、充填層1bの全部ではなく、充填層1bの一部を通過することとなる。一般に、このガスは充填層1bの全部を通過させた方が望ましいため、本実施形態の入口A2は上流部1aに設けられている。よって、本実施形態の出口B2は充填層1bよりも低い位置に設けられ、本実施形態の入口A2は充填層1bよりも高い位置に設けられている。
【0027】
以上のように、本実施形態では、ガス吸収部1内のガスを出口B2から抽出し、抽出されたガスを出口B2より高い位置に設けられた入口A2からガス吸収部1内に導入する。よって、本実施形態では、ガス吸収部1を大型化しなくても、ガス吸収部1内のガスの滞留を抑制することができる。このように、本実施形態によれば、ガス吸収部1の吸収性能を向上させることが可能となる。
【0028】
なお、充填層1bは、液体とガスとを気液接触させることが可能なその他の構造(例えばミキサ)に置き換えてもよい。また、気化器4や気液分離器5は、リッチ液からガスを発生させることが可能なその他の構造(例えば蒸気ドラム)に置き換えてもよい。また、タービン6は、ガスの膨張などによりガスから動力を得ることが可能なその他の構造(例えばエネルギー変換器)に置き換えてもよい。
【0029】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【0030】
本実施形態では、
図1の入口A1およびA2が、タービン6から排出されたガスを流路P5から導入するための入口A3と、熱交換器3から排出された液体(リーン液)と、出口B2から抽出されたガスとを、流路P4から導入するための入口A4に置き換えられている。入口A3およびA4は、上流部1aに設けられている。本実施形態において、入口A3はガス導入口の一例であり、入口A4は液体導入口および第2箇所の一例であり、流路P6と流路P4の一部とは循環流路の一例である。
【0031】
本実施形態のエジェクタ8は、流路P4と流路P6との合流地点に設けられている。出口B2から流路P6に抽出されたガスは、エジェクタ8により吸引される。エジェクタ8は、出口B2から抽出されたガスを循環流路である流路P6を介して入口A4に移送するガス移送手段の一例である。エジェクタ8は、熱交換器3から流入する液体により駆動されて、このガスを吸引する。その結果、流路P6のガスはエジェクタ8に流入し、液体と共に流路P4を介してガス吸収部1に移送される。これらのガスと液体は、入口A4からガス吸収部1内に導入される。
【0032】
図3は、第2実施形態の変形例の発電装置の構成を示す模式図である。
【0033】
本変形例では、
図2の上流部1aがミキサ1eに置き換えられ、
図2の入口A3およびA4が入口A5に置き換えられている。入口A5は、ミキサ1eに設けられている。本変形例において、入口A5はガス導入口、液体導入口、および第2箇所の一例であり、流路P6と流路P4の一部とは循環流路の一例である。
【0034】
本変形例のエジェクタ8は、流路P4、流路P5、および流路P6の合流地点に設けられている。タービン6から流路P5に排出されたガスと、出口B2から流路P6に抽出されたガスは、エジェクタ8により吸引される。エジェクタ8は、熱交換器3から流入する液体により駆動されて、これらのガスを吸引する。その結果、流路P5およびP6のガスはエジェクタ8に流入し、液体と共に流路P4を介してガス吸収部1に移送される。これらのガスと液体は、入口A5からガス吸収部1内に導入される。ミキサ1eは、これらのガスと液体を混合するよう動作する。
【0035】
本実施形態では、流路P6のガスを、ブロワ9ではなく、リーン液の作用により駆動されるエジェクタ8により移送する(
図2、
図3)。よって、本実施形態によれば、流路P6のガスを移送する動力を低減することが可能となる。
【0036】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【0037】
本実施形態の発電装置は、
図2に示す構成要素に加えて、上流部1aにおいて入口A3およびA4よりも低い位置に設けられた入口A6と、ポンプ2と熱交換器3との間で流路P1に設けられたバルブ11と、ポンプ2とバルブ11との間で流路P1から分岐した流路P7とを備えている。本実施形態において、入口A3はガス導入口の一例であり、入口A4は液体導入口および第2箇所の一例であり、入口A6は液体導入口の一例であり、流路P6と流路P7の一部とは循環流路の一例である。
【0038】
本実施形態のエジェクタ8は、流路P7と流路P6との合流地点に設けられている。出口B2から流路P6に抽出されたガスは、エジェクタ8により吸引される。エジェクタ8は、ポンプ2から流入する液体により駆動されて、このガスを吸引する。その結果、流路P6のガスはエジェクタ8に流入し、液体と共に流路P7を介してガス吸収部1に移送される。これらのガスと液体は、入口A4からガス吸収部1内に導入される。
【0039】
一方、気液分離器5から排出された液体は、流路P4を介して入口A6に移送され、入口A6からガス吸収部1内に導入される。なお、入口A6は、入口A3およびA4よりも高い位置に設けられていてもよいし、入口A3およびA4と同じ高さに設けられていてもよい。
【0040】
バルブ11は、流路P1と流路P7との分岐地点から熱交換器3に流入する液体と、この分岐地点からエジェクタ8に流入する液体との流量比を調整するために使用される。バルブ11の開閉や開度は、制御部10により制御される。
【0041】
図5は、第3実施形態の変形例の発電装置の構成を示す模式図である。
【0042】
本変形例の発電装置は、
図4に示す構成要素に加えて、下流部1cにおいて出口B2よりも低い位置に設けられた出口B3と、出口B3に接続された流路P8と、流路P8と流路P7との合流地点に設けられたジェットポンプ12とを備えている。
【0043】
ガス吸収部1内の液体は、ジェットポンプ12により出口B3へと吸引される。ジェットポンプ12は、ポンプ2から流入する液体により駆動されて、ガス吸収部1内の液体を出口B3へと吸引する。その結果、流路P8の液体はジェットポンプ12に流入し、ポンプ2からの液体と共に流路P7を介してエジェクタ8に移送される。本変形例によれば、液体の循環動力としてポンプ2とジェットポンプ12とを併用することで、より効率的な液体循環を実現することができる。
【0044】
本実施形態では、流路P6のガスを、ブロワ9ではなく、リッチ液の作用により駆動されるエジェクタ8により移送する(
図4、
図5)。よって、本実施形態によれば、流路P6のガスを移送する動力を低減することが可能となる。
【0045】
なお、リーン液はガス吸収に使用する必要があるため、本実施形態のようにリッチ液をエジェクタ8の駆動に使用することには例えば、発電装置の動作の自由度を高くすることができるという利点がある。一方、第2実施形態のようにリーン液をエジェクタ8の駆動に使用することには例えば、比較的単純な構成により液体の流路を構成できるという利点がある。
【0046】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【0047】
本実施形態では、
図5の流路P7およびP8、出口B3、バルブ11、およびジェットポンプ12が、流路P9、出口B4、およびポンプ13に置き換えられている。出口B4は、下流部1cにおいて出口B2よりも低い位置に設けられている。流路P9は、出口B3と入口A4とを接続している。ポンプ13は、流路P9に設けられている。本実施形態において、入口A3はガス導入口の一例であり、入口A4は液体導入口および第2箇所の一例であり、入口A6は液体導入口の一例であり、流路P6と流路P9の一部とは循環流路の一例である。
【0048】
ガス吸収部1内の液体は、出口B1から排出されてポンプ2により流路P1を介して移送されるだけでなく、出口B4から排出されてポンプ13により流路P9を介して移送される。ポンプ2とポンプ13の動作は、制御部10により独立に制御可能である。
【0049】
本実施形態のエジェクタ8は、流路P9と流路P6との合流地点に設けられている。出口B2から流路P6に抽出されたガスは、エジェクタ8により吸引される。エジェクタ8は、ポンプ13から流入する液体により駆動されて、このガスを吸引する。その結果、流路P6のガスはエジェクタ8に流入し、液体と共に流路P9を介してガス吸収部1に移送される。これらのガスと液体は、入口A4からガス吸収部1内に導入される。
【0050】
図7は、第4実施形態の変形例の発電装置の構成を示す模式図である。
【0051】
本変形例の発電装置は、
図6に示す構成要素に加えて、下流部1cにおいて出口B2よりも低い位置に設けられた出口B3と、出口B3に接続された流路P8と、流路P8と流路P9との合流地点に設けられたジェットポンプ12とを備えている。
【0052】
ガス吸収部1内の液体は、ジェットポンプ12により出口B3へと吸引される。ジェットポンプ12は、ポンプ13から流入する液体により駆動されて、ガス吸収部1内の液体を出口B3へと吸引する。その結果、
流路P8の液体はジェットポンプ12に流入し、ポンプ13からの液体と共に流路P9を介してエジェクタ8に移送される。本変形例によれば、液体の循環動力としてポンプ13とジェットポンプ12とを併用することで、より効率的な液体循環を実現することができる。具体的には、
図7のポンプ13は、
図6のポンプ13に比べて小型化することが可能となる。
【0053】
本実施形態では、流路P6のガスを、ブロワ9ではなく、リッチ液の作用により駆動されるエジェクタ8により移送する(
図6、
図7)。よって、本実施形態によれば、第3実施形態と同様に、流路P6のガスを移送する動力を低減することが可能となる。また、本実施形態によれば、2台のポンプ2、13を使用することで、より自由度の高い液体循環を実現することが可能となる。
【0054】
(第5実施形態)
図8は、第5実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【0055】
本実施形態の発電装置は、
図2に示す構成要素に加えて、出口B4と、流路P9と、ポンプ13とを備えている。出口B4は、下流部1cにおいて出口B2よりも低い位置に設けられている。流路P9は、出口B4に接続されると共に、熱交換器3とエジェクタ8との間で流路P4に接続されている。ポンプ13は、流路P9に設けられている。
【0056】
ガス吸収部1内の液体は、第4実施形態と同様に、出口B1から排出されてポンプ2により流路P1を介して移送されるだけでなく、出口B4から排出されてポンプ13により流路P9を介して移送される。ポンプ2とポンプ13の動作は、制御部10により独立に制御可能である。
【0057】
流路P9の液体(リッチ液)は、流路P4の液体(リーン液)と合流する。これらの液体の混合液は、流路P4を介してエジェクタ8に流入する。一方、出口B2から流路P6に抽出されたガスは、エジェクタ8により吸引される。エジェクタ8は、エジェクタ8に流入する上記の混合液により駆動されて、このガスを吸引する。その結果、流路P6のガスはエジェクタ8に流入し、混合液と共に流路P4を介してガス吸収部1に移送される。これらのガスと混合液は、入口A4からガス吸収部1内に導入される。
【0058】
図9は、第5実施形態の変形例の発電装置の構成を示す模式図である。
【0059】
本変形例では、
図5の構成が以下のように変更されている。まず、流路P4が、入口A6ではなく入口A4に接続されている。また、エジェクタ8が、流路P6と流路P7との合流地点ではなく、流路P6と流路P4との合流地点に設けられている。また、流路P7は、熱交換器3とエジェクタ8との間で流路P4に合流している。
【0060】
ガス吸収部1内の液体は、ジェットポンプ12により出口B3へと吸引される。ジェットポンプ12は、ポンプ2から流入する液体により駆動されて、ガス吸収部1内の液体を出口B3へと吸引する。その結果、流路P8の液体はジェットポンプ12に流入し、ポンプ2からの液体と共に流路P7を介して流路P4に移送される。本変形例によれば、液体の循環動力としてポンプ2とジェットポンプ12とを併用することで、より効率的な液体循環を実現することができる。
【0061】
流路P7の液体(リッチ液)は、流路P4の液体(リーン液)と合流する。これらの液体の混合液は、流路P4を介してエジェクタ8に流入する。一方、出口B2から流路P6に抽出されたガスは、エジェクタ8により吸引される。エジェクタ8は、エジェクタ8に流入する上記の混合液により駆動されて、このガスを吸引する。その結果、流路P6のガスはエジェクタ8に流入し、混合液と共に流路P4を介してガス吸収部1に移送される。これらのガスと混合液は、入口A4からガス吸収部1内に導入される。
【0062】
本実施形態では、流路P6のガスを、ブロワ9ではなく、リーン液とリッチ液との混合液の作用により駆動されるエジェクタ8により移送する(
図8、
図9)。よって、本実施形態によれば、流路P6のガスを移送する動力を低減することが可能となる。また、混合液の密度はリッチ液の密度よりも低いため、本実施形態によれば、リーン液とリッチ液との混合液を循環させることで、液体を容易に循環させることが可能となる。
【0063】
(第6実施形態)
図10は、第6実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【0064】
本実施形態の発電装置は、
図2に示す構成要素に加えて、出口B3と、流路P8と、ジェットポンプ12とを備えている。出口B3は、下流部1cにおいて出口B2よりも低い位置に設けられている。流路P8は、出口B3に接続されると共に、熱交換器3とエジェクタ8との間で流路P4に接続されている。ジェットポンプ12は、流路P8と流路P4との合流地点に設けられている。
【0065】
ガス吸収部1内の液体は、ジェットポンプ12により出口B3へと吸引される。ジェットポンプ12は、熱交換器3から流入する液体により駆動されて、ガス吸収部1内の液体を出口B3へと吸引する。その結果、流路P8の液体(リッチ液)はジェットポンプ12に流入し、熱交換器3からの液体(リーン液)と共に流路P4を介してエジェクタ8に移送される。本実施形態によれば、液体の循環動力としてポンプ2とジェットポンプ12とを併用することで、より効率的な液体循環を実現することができる。
【0066】
流路P8の液体(リッチ液)は、ジェットポンプ12で流路P4の液体(リーン液)と合流する。これらの液体の混合液は、流路P4を介してエジェクタ8に流入する。一方、出口B2から流路P6に抽出されたガスは、エジェクタ8により吸引される。エジェクタ8は、エジェクタ8に流入する上記の混合液により駆動されて、このガスを吸引する。その結果、流路P6のガスはエジェクタ8に流入し、混合液と共に流路P4を介してガス吸収部1に移送される。これらのガスと混合液は、入口A4からガス吸収部1内に導入される。
【0067】
図11は、第6実施形態の変形例の発電装置の構成を示す模式図である。
【0068】
本変形例の発電装置は、
図2に示す構成要素に加えて、出口B4と、流路P9と、ジェットポンプ12と、ポンプ13とを備えている。出口B4は、下流部1cにおいて出口B2よりも低い位置に設けられている。流路P9は、出口B4に接続されると共に、熱交換器3とエジェクタ8との間で流路P4に接続されている。ジェットポンプ12は、流路P9と流路P4との合流地点に設けられ、ポンプ13は、流路P9に設けられている。
【0069】
ガス吸収部1内の液体は、出口B1から排出されてポンプ2により流路P1を介して移送されるだけでなく、出口B4から排出されてポンプ13により流路P9を介して移送される。ポンプ2とポンプ13の動作は、制御部10により独立に制御可能である。
【0070】
流路P4における熱交換器3内の液体は、ジェットポンプ12により吸引される。ジェットポンプ12は、ポンプ13から流入する液体により駆動されて、熱交換器3内の液体を吸引する。その結果、流路P9の液体(リッチ液)はポンプ13を介してジェットポンプ12に流入し、熱交換器3からの液体(リーン液)と共に流路P4を介してエジェクタ8に移送される。本変形例によれば、液体の循環動力としてポンプ13とジェットポンプ12とを併用することで、より効率的な液体循環を実現することができる。
【0071】
流路P9の液体(リッチ液)は、ジェットポンプ12で流路P4の液体(リーン液)と合流する。これらの液体の混合液は、流路P4を介してエジェクタ8に流入する。一方、出口B2から流路P6に抽出されたガスは、エジェクタ8により吸引される。エジェクタ8は、エジェクタ8に流入する上記の混合液により駆動されて、このガスを吸引する。その結果、流路P6のガスはエジェクタ8に流入し、混合液と共に流路P4を介してガス吸収部1に移送される。これらのガスと混合液は、入口A4からガス吸収部1内に導入される。
【0072】
本実施形態では、流路P6のガスを、ブロワ9ではなく、リーン液とリッチ液との混合液の作用により駆動されるエジェクタ8により移送する(
図10、
図11)。よって、本実施形態によれば、流路P6のガスを移送する動力を低減することが可能となる。また、混合液の密度はリッチ液の密度よりも低いため、本実施形態によれば、第5実施形態と同様に、リーン液とリッチ液との混合液を循環させることで、液体を容易に循環させることが可能となる。
【0073】
(第7実施形態)
図12は、第7実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【0074】
本実施形態では、
図6の出口B4、入口A3およびA4、流路P9、およびポンプ13が、入口A7に置き換えられている。入口A7は、流路P5に接続されている。
【0075】
本実施形態のエジェクタ8は、流路P5と流路P6との合流地点に設けられている。出口B2から流路P6に抽出されたガスは、エジェクタ8により吸引される。エジェクタ8は、タービン6から排出されたガスにより駆動されて、流路P6のガスを吸引する。その結果、流路P6のガスはエジェクタ8に流入し、タービン6からのガスと共に流路P5を介してガス吸収部1に移送される。これらのガスは、入口A7からガス吸収部1内に導入される。
【0076】
本実施形態では、流路P6のガスを、ブロワ9ではなく、タービン6からのガスの作用により駆動されるエジェクタ8により移送する(
図12)。よって、本実施形態によれば、流路P6のガスを移送する動力を低減することが可能となる。
【0077】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0078】
1:ガス吸収部、1a:上流部、1b:充填層、1c:下流部、
1d:冷温熱源用流路、1e:ミキサ、2:ポンプ、3:熱交換器、
4:気化器、4a:高温熱源用流路、5:気液分離器、6:タービン、
7:発電機、8:エジェクタ、9:ブロワ、10:制御部、
11:バルブ、12:ジェットポンプ、13:ポンプ