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特許6997684オブジェクトの印刷中に3次元(3D)オブジェクトを回転させるためのシステム及び方法
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  • 特許-オブジェクトの印刷中に3次元(3D)オブジェクトを回転させるためのシステム及び方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】オブジェクトの印刷中に3次元(3D)オブジェクトを回転させるためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220107BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B41J2/01 109
B41J2/01 305
B41J3/407
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018135418
(22)【出願日】2018-07-19
(65)【公開番号】P2019034542
(43)【公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】15/674,764
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・アール・ジャスコワイアック
(72)【発明者】
【氏名】チュ-ヘン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ・マコンヴィル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・エム・ルフェーブル
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・ケイ・ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】レイド・ダブリュ・ガンネル
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102010034780(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015216026(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013214935(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03106402(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0221360(US,A1)
【文献】特開2018-176735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
B41J 3/01 - 3/54
B41J 3/62
B41F 16/00 - 19/08
B65B 59/00 - 65/08
B05D 1/00 - 7/26
B05C 5/00 - 5/04
B05C 7/00 - 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
少なくとも1つの印刷ヘッドであって、マーキング材料の液滴を射出するように構成された少なくとも1つの印刷ヘッドと、
第1の端部と第2の端部を有する部材であって、前記部材の前記第1の端部は前記第2の端部より高い位置にあり、前記少なくとも1つの印刷ヘッドは、前記部材と対向し、前記部材の前記第1の端部と前記第2の端部の間に位置している、部材と、
オブジェクトを保持するように、かつ前記第1の端部と前記第2の端部の間の前記部材に沿って移動させて前記少なくとも1つの印刷ヘッドを通過して前記オブジェクトを運び、前記少なくとも1つの印刷ヘッドがマーキング材料の液滴を前記オブジェクト上に射出することができるように構成されたオブジェクト回転サブシステムであって、
第1のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータに動作可能に接続されたホルダであって、前記オブジェクトの一部を把持するように構成されたホルダと、
出力軸を有する第2のアクチュエータと、
前記第2のアクチュエータの前記出力軸に回転可能に取り付けられた延長部であって、前記ホルダによって把持された前記オブジェクトの前記一部とは反対の前記オブジェクトの端部で前記オブジェクトの平らな表面を支持するように構成された延長部と、
前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータに動作可能に接続されたコントローラであって、前記第1のアクチュエータを動作させて、前記ホルダ及び前記ホルダによって把持された前記オブジェクトを回転させ、前記少なくとも1つの印刷ヘッドが、前記少なくとも1つの印刷ヘッドの幅よりも長い前記オブジェクトの外周の一部を印刷すること、並びに、前記第2のアクチュエータを動作させて、前記第2のアクチュエータの前記出力軸を伸ばして前記延長部を前記ホルダによって把持された前記オブジェクトの前記一部とは反対の前記オブジェクトの端部の前記平らな表面と係合させ、及び前記第2のアクチュエータの前記出力軸を縮めて前記ホルダが前記オブジェクトを解放した後に前記オブジェクトを支持して前記オブジェクトを前記ホルダから離すように移動させることを可能にするように構成されている、コントローラと、を備える、オブジェクト回転サブシステムと、を備える印刷システム。
【請求項2】
前記ホルダが、チャックである、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記ホルダに接続された前記第1のアクチュエータが、ステッパモータである、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記オブジェクト回転サブシステムが、
前記第1のアクチュエータの出力軸の角変位を示す電気信号を生成するように構成されたロータリエンコーダをさらに備え、
前記コントローラが、前記ロータリエンコーダによって生成された前記電気信号を処理して、前記オブジェクトの表面の位置を識別するようにさらに構成される、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記オブジェクト回転サブシステムが、
電源と、
前記電源及び前記第1のアクチュエータに動作可能に接続された電気スイッチと、を備え、
前記コントローラが、前記電気スイッチに動作可能に接続され、前記コントローラが、前記電気スイッチを動作させて、前記電源を前記第1のアクチュエータに選択的に接続するようにさらに構成される、請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記オブジェクト回転サブシステムに動作可能に接続された第3のアクチュエータをさらに備え、
前記コントローラが、前記第3のアクチュエータに動作可能に接続され、前記コントローラが、前記オブジェクト回転サブシステムに接続された前記第3のアクチュエータを動作させて、前記部材に沿った両方向のプロセス方向において前記オブジェクト回転サブシステムを移動させるようにさらに構成される、請求項5に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの印刷ヘッドに動作可能に接続された第4のアクチュエータであって、前記少なくとも1つの印刷ヘッドを前記オブジェクト回転サブシステムの前記ホルダによって把持された前記オブジェクトに向かって及びそれから離れるように移動させるように構成される、第4のアクチュエータをさらに備え、
前記コントローラが、前記第4のアクチュエータに動作可能に接続され、前記コントローラが、前記第4のアクチュエータを動作させて、前記少なくとも1つの印刷ヘッドを前記オブジェクト回転サブシステムの前記ホルダによって把持された前記オブジェクトに向かって及びそれから離れるように移動させるようにさらに構成される、請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記オブジェクト回転サブシステムが前記少なくとも1つの印刷ヘッドの反対に位置付けされたとき、前記少なくとも1つの印刷ヘッドと前記オブジェクト回転サブシステムの前記ホルダによって把持された前記オブジェクトとの間の距離に対応する信号を生成するように構成されたセンサをさらに備え、
前記コントローラが、前記センサに動作可能に接続され、前記コントローラが、前記第4のアクチュエータを動作させて、前記少なくとも1つの印刷ヘッドを、前記センサから受信した前記信号を参照して前記オブジェクト回転サブシステムの前記ホルダによって把持された前記オブジェクトに向かって及びそれから離れるように移動させるようにさらに構成される、請求項7に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記コントローラが、前記ホルダ及び前記ホルダによって把持された前記オブジェクトを回転させて、前記少なくとも1つの印刷ヘッドが、マーキング材料を所定の距離だけ分離された前記オブジェクトの前記外周の少なくとも2つの部分上に射出することを可能にするようにさらに構成され、前記2つの部分及び前記所定の距離が共に、前記少なくとも1つの印刷ヘッドの幅よりも大きい、請求項1に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、3次元(3D)オブジェクト上に印刷するためのシステムに関し、より具体的には、円筒形または他の丸みを帯びたオブジェクトに印刷するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
商業用物品印刷は、典型的に、物品の製造中に行われる。例えば、ボールスキンには、ボールが完成して膨張する前に、パターンまたはロゴが印刷される。その結果、例えば、潜在的な製品顧客が複数のプロまたは大学チームをサポートする地域における、流通サイトまたは小売店などの非製造施設は、その地域で人気のあるさまざまなチームのロゴを持つ製品の在庫を保持する必要がある。在庫を維持するために、各々の異なるロゴについて正しい数の製品を注文することは、問題になる可能性がある。
【0003】
非生産店でこれらの問題に対処する1つの方法は、印刷されていないバージョンの製品を保持し、流通サイトまたは小売店でパターンまたはロゴを印刷することである。個々のオブジェクトを印刷するために、ダイレクト・ツー・オブジェクト(DTO)プリンタとして既知であるプリンタが開発されている。これらのDTOプリンタは、典型的には、別の印刷ヘッド上に1つの印刷ヘッドを有する垂直構成で配設された複数の印刷ヘッドを有する。これらの印刷ヘッドは、配向が固定されている。印刷されるべきオブジェクトが、ボール、水ボトルなど、丸みを帯びているとき、丸みを帯びた表面が印刷ヘッドの平面から離れるため、完全な画像を表面に印刷することができない。DTOプリンタが丸みを帯びたオブジェクトの外周の全部または一部に画像を印刷することができるようにすることは有益であろう。
【発明の概要】
【0004】
新しい3次元(3D)オブジェクト印刷システムは、丸みを帯びたオブジェクトの外周の大部分または全てを印刷することを可能にする。印刷システムは、少なくとも1つの印刷ヘッドであって、マーキング材料を射出するように構成された少なくとも1つの印刷ヘッドと、オブジェクトを保持するように、かつ少なくとも1つの印刷ヘッドを通過してオブジェクトを移動させて、少なくとも1つの印刷ヘッドから射出されたマーキング材料を受け取るように構成されたオブジェクト回転サブシステムと、を含む。オブジェクト回転サブシステムは、第1のアクチュエータと、第1のアクチュエータに動作可能に接続されたチャックであって、オブジェクトの一部を把持するように構成されたチャックと、第1のアクチュエータに動作可能に接続されたコントローラと、を有する。コントローラは、第1のアクチュエータを動作させて、チャック及びチャックによって把持されるオブジェクトを回転させ、少なくとも1つの印刷ヘッドが、少なくとも1つの印刷ヘッドの幅よりも長いオブジェクトの外周の一部を印刷することを可能にするように構成される。
【0005】
オブジェクト回転サブシステムは、丸みを帯びたオブジェクトの外周の大部分または全てをDTOプリンタで印刷することを可能にする。オブジェクト回転サブシステムは、第1のアクチュエータと、第1のアクチュエータに動作可能に接続されたチャックと、オブジェクトの一部を把持するように構成されたチャックと、第1のアクチュエータに動作可能に接続されたコントローラと、を含む。コントローラは、第1のアクチュエータを動作させて、チャック及びチャックによって把持されるオブジェクトを回転させ、少なくとも1つの印刷ヘッドが、少なくとも1つの印刷ヘッドの幅よりも長いオブジェクトの外周の一部を印刷することを可能にするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
丸みを帯びたオブジェクトの外周の大部分または全部が印刷されることを可能にする印刷システム及びオブジェクト回転サブシステムの前述の態様及び他の特徴は、添付図面に関連して以下の記述において説明される。
【0007】
図1A】丸みを帯びたオブジェクトの外周の大部分または全部を印刷することを可能にするオブジェクト回転サブシステムを有するDTO印刷システムの側面図の概略図である。
図1B】サブシステムによって保持されたオブジェクト上に材料を射出する印刷ヘッドからの図1Aのオブジェクト回転サブシステムの概略図である。
図2図1の印刷システムで使用されるオブジェクト回転サブシステムの実施形態を示す。
図3A】オブジェクト回転サブシステムによって保持されたオブジェクトを回転させる図1のプリンタを動作させるためのプロセスを示す。
図3B】オブジェクト回転サブシステムによって保持されたオブジェクトを回転させる図1のプリンタを動作させるための別のプロセスを示す。
図4図1Aに示すオブジェクト回転サブシステムによって保持されたオブジェクトの外周の不連続セクタの印刷を示す。
図5図1Aに示すオブジェクト回転サブシステムによって保持されたオブジェクトの外周の連続的な印刷を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態の一般的な理解のために、図面を参照する。図面において、同様の参照番号は同様の要素を示すために全体を通して使用されている。
【0009】
図1Aは、サブシステム108が印刷ヘッド118のアレイ112を通過してオブジェクト104を移動させるときに、オブジェクト回転サブシステム108内に固定されたオブジェクト104の表面を印刷するように構成されたダイレクト・ツー・オブジェクト(DTO)印刷システム100の側面図を示す。本文書で使用される際、「印刷ヘッド」という用語は、マーキング材料を射出するように構成された複数のイジェクタを有する構成要素を意味する。イジェクタによって射出されるマーキング材料は、イジェクタが流体接続されるマーキング材料源に依存する。オブジェクト回転サブシステム108は、図の矢印によって示されるように、部材116に沿って双方向に摺動する。コントローラ124は、アクチュエータ128を動作させて、オブジェクト104がサブシステム108に取り付けられた後に、オブジェクト回転システム108を移動させるように構成される。コントローラ124はまた、サブシステム108、印刷ヘッドアレイ112、またはその両方のいずれかを、互いに向かって、または互いから離れて移動させるように構成されているアクチュエータ138に動作可能に接続される。距離センサ142は、印刷ヘッドアレイ112に関連付けられている。センサ142は、オブジェクト104が印刷ヘッドアレイと反対にあるときに、印刷ヘッドアレイ112とオブジェクト104との間の距離に対応する信号を生成するように構成される。コントローラ124は、これらの信号を受信し、アクチュエータ138を動作させて、印刷ヘッドアレイ112またはサブシステム108またはその両方を互いに移動させる。コントローラ124はまた、アレイ112内の印刷ヘッド118を動作させて、マーキング材料をオブジェクト104の表面上に射出するように構成される。アレイ112内の1つ以上の印刷ヘッド118が紫外線(UV)マーキング材料を射出する場合、UV硬化装置120はコントローラ124によって動作して、UV材料を硬化させる。本文書で使用される際、「UV光線」は、可視光よりも短いがX線よりも長い波長を有する光を指す。このような光の波長は、約10nm~約400nmである。
【0010】
サブシステム108の一実施形態は、図1Bの印刷ヘッドとは反対の観点から示されている。サブシステム108は、部材116を受け取る一対のスリーブ132を含む。スリーブ132の少なくとも1つはアクチュエータ128に動作可能に接続され、コントローラ124はアクチュエータ128を動作させて、サブシステム108を部材116に沿って双方向に移動させることができる。この双方向移動は、プロセス方向の移動と呼ばれる。図示の構成は、アクチュエータ140及び242を部材116からオフセットする。印刷ヘッド118は、部材116の長手方向軸からプロセス横断方向にオフセットされて、印刷ヘッドがサブシステム108によって保持されたオブジェクト104に向かってマーキング材料を射出することを可能にする。同様に、UV硬化装置120は、プロセス横断方向にオフセットされて、UV硬化装置がUV光をオブジェクト104上の画像に向けることができ、オブジェクト上のUV硬化性材料を硬化させることを可能にする。アクチュエータ140は、スリーブ132のうちの1つに機械的に接続され、コントローラ124に動作可能に接続される。ホルダ212は、アクチュエータ140の出力軸144に取り付けられている。ホルダ212は、以下でより詳細に説明されるように、アクチュエータ140がコントローラ124によって動作されて、オブジェクト104を回転させるときに、オブジェクト104の一部136を把持及び保持するように構成される。アクチュエータ242の出力軸234に回転可能に取り付けられた延長部230は、オブジェクト104の下部を支持する。アクチュエータ242はスリーブ132に接続され、アクチュエータ242はその出力軸234をオブジェクト104に向かって、またはそれから離れて変位させ、オブジェクト104が、以下に詳細に説明するように、オブジェクト回転サブシステム108に装着されること及びそれから取り外されることを可能にする。
【0011】
図2は、印刷システム100で使用され得るオブジェクト回転サブシステム108の一実施形態を示す。本文書で使用される際、「サブシステム」という用語は、より大きなシステム内で特定の機能を実行するように動作する2つ以上の構成要素を指す。図2には示されていないが、図1Bを参照して上述したように、コントローラ124は、アクチュエータ128を動作させて、スリーブ132及びサブシステム108をプロセス方向において印刷ヘッドアレイ112及びUV硬化装置120を通過して移動させる。図1B及び図2に示すように、サブシステム108のアクチュエータ140は、ホルダ212が取り付けられた出力軸144を有する電気モータとすることができる。図2は、電気スイッチ220を介して電源216に電気的に接続されたアクチュエータ140をさらに示す。コントローラ124は、電気スイッチ220に動作可能に接続されて、コントローラがスイッチ220を動作させ、アクチュエータ140を電力に選択的に接続することを可能にする。オブジェクト104の少なくとも一部136がホルダ212内に固定されると、コントローラ124は、スイッチ220を介してアクチュエータ140を動作させて、オブジェクトを回転させることができる。オブジェクト回転サブシステム108がアレイ112(図1A)内の印刷ヘッド118を通過して移動させるとき、オブジェクトの回転は、オブジェクトの一部または全部の外周を1つ以上の印刷ヘッドによって印刷することを可能にする。図2に示す一実施形態では、ロータリエンコーダ224はアクチュエータ140の出力軸の隣に位置付けされ、コントローラ124が、軸144の位置を示すエンコーダによって生成される電気信号を受信することを可能にする。コントローラ124は、コントローラがエンコーダ224からの電気信号を処理し、印刷ヘッド118に面するオブジェクト104の外周部分を識別することを可能にするソフトウェアを伴って構成され、画像の一部をオブジェクト上に印刷することができる。代替の実施形態では、アクチュエータ140はステッパモータであり、コントローラ124は、ホルダ及びオブジェクトを回転させるためにアクチュエータに送信されるパルスを参照して、ホルダ212によって把持されたオブジェクトの位置を識別する。この実施形態では、コントローラが印刷ヘッドに面するオブジェクト表面の一部を識別できるようにエンコーダは必要とされない。
【0012】
ホルダ212は、既知のコレットチャック、3つの爪チャック、被印刷オブジェクトの先端に位置する構造を把持するように構成されたカラー、粒状材料ホルダなどであってもよい。本文書で使用される際、「ホルダ」とは、被印刷オブジェクトを固定するように構成された任意の装置を意味する。本文書で使用される際、「カラー」及び「チャック」という用語は、開口部を有する平面部材と、開口部のサイズを変化させて所定の向きのオブジェクトを選択的に固定する少なくとも1つの可動部材を意味する。チャックは、第1の方向に回転して、チャックの少なくとも1つの可動部材をチャック内の開口部内に前進させて、既知の方法でオブジェクトを固定することができる。チャックの回転を逆にすると、オブジェクトをカラーから解放する。チャックの別の実施形態では、チャックの可動部材は、チャック内の開口部の中央で一緒になり、チャックの第1の方向への回転は、部材を開口部の外周方向に移動させ、その部材をボトルの口のようなオブジェクトの開口部に挿入することができ、第1の方向の回転は、部材を、印刷オブジェクトを保持するためにオブジェクトの開口部の外周に対して付勢する。チャックの回転を逆にすることにより、開口部の中心に部材が集まり、オブジェクトを除去することができるようにオブジェクト開口部の外周に対する圧力を低減する。本文書で使用される際、「粒状材料ホルダ」という用語は、空気排出及び空気加圧源に流体的に接続された内部を有し、粒状材料の粒間の空気を除去して、容器を変形させてオブジェクトを固定し、オブジェクトの一部を解放するように粒間に空気を付勢することを可能にする、粒状材料で充填された柔軟な容器を意味する。
【0013】
図2に示すように、オブジェクト回転サブシステム108内のアクチュエータ242の出力軸234は、オブジェクト104の下部と係合する延長部230を含む。延長部230は、ベアリングなどによって出力軸234に回転可能に取り付けられている。アクチュエータ140がオブジェクト104を回転させると、延長部230は、出力軸234の周りを回転してオブジェクトを回転させる。出力軸234は、出力軸234を垂直方向に双方向に移動させるように構成されたアクチュエータ242に動作可能に接続されている。コントローラ124は、アクチュエータ242に動作可能に接続され、アクチュエータ242を動作させて、延長部230がホルダ212によって他端部に保持されたオブジェクト104の下部表面に係合する位置に延長部230を移動させる。この位置において、延長部230は、印刷中にオブジェクト104を支持するのを助け、アクチュエータ140が出力軸144及びオブジェクト104を回転させると自由に回転する。アクチュエータ242の動作は、異なる長さのオブジェクトを収容するために、延長部230とホルダ212との間の距離を変化させる。オブジェクトの印刷が完了し、サブシステム108がその開始位置に戻ると、ホルダ212が動作して、オブジェクト104の一端が解放され、アクチュエータ242が動作して、延長部230を下降させ、オブジェクト104をサブシステム108から回収し得る。
【0014】
プリンタ100を動作させるためのプロセスを図3に示す。このプロセスの説明では、プロセスが何らかのタスクまたは機能を実行しているという記述は、タスクまたは機能を実行するためにデータを操作するか、またはプリンタ内の1つ以上の構成要素を動作させるために、コントローラまたはプロセッサに動作可能に接続された非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納されたプログラムされた命令を実行するコントローラまたは汎用プロセッサを指す。上述したコントローラ124は、そのようなコントローラまたはプロセッサとすることができる。代替的に、コントローラは、複数のプロセッサ及び関連する回路ならびに構成要素で実装することができ、その各々は、本明細書で説明する1つ以上のタスクまたは機能を形成するように構成される。付加的に、この方法のステップは、図に示される順序またはプロセスが記述される順序にかかわらず、任意の実行可能な時間順に実行されてもよい。
【0015】
図3Aは、回転オブジェクトサブシステム108のいずれかの実施形態で上述した印刷オブジェクトの回転を実装するプロセスのフロー図である。プロセス300は、ホルダ212がサブシステム108内にオブジェクト104を固定するように動作し、アクチュエータ242が動作して、延長部230を有するオブジェクトの下部を支持して開始する(ブロック304)。コントローラ124は、コントローラが印刷ヘッドを動作させて、印刷ヘッドに面するオブジェクトのセクタを印刷する(ブロック308)とき、アレイ112内の印刷ヘッド118によってオブジェクト104を移動させるためにアクチュエータ128を動作させる。オブジェクトの別のセクタが印刷される場合(ブロック312)、コントローラ124は、オブジェクトがアレイ112内の最後の印刷ヘッド118を通過して印刷される次のセクタまで通過した後に、(ブロック316)アクチュエータ140を動作させて、オブジェクト104を回転させる。コントローラ124は、アクチュエータ128を動作させて、オブジェクトを印刷ヘッド118によって反対の方向に移動させ、印刷ヘッドが印刷ヘッドに面するセクタを印刷できるようにする(ブロック312)。オブジェクトを回転させ、次にオブジェクトを印刷ヘッドを通過して通過させるこのプロセスは、印刷を必要とするオブジェクト外周上の全てのセクタが印刷されるまで継続される。その時点で、コントローラ124は、アクチュエータ128を動作させて、オブジェクトをその開始位置に戻し(ブロック320)、そこで、それをホルダ212から解放することができる(ブロック324)。
【0016】
回転オブジェクトサブシステム108のいずれかの実施形態によって保持されたオブジェクトの印刷を実装する代替プロセスのフロー図を図3Bに示す。プロセス350は、ホルダ212がサブシステム108内にオブジェクト104を固定するように動作し、アクチュエータ242が動作して、延長部230を有するオブジェクトの下部を支持して開始する(ブロック354)。コントローラ124はアクチュエータ128を動作させて、アレイ112内の印刷ヘッド118のうちの1つとは反対のオブジェクトを停止させる(ブロック358)。オペレータは、オブジェクトの印刷に先立って、オブジェクト構成を識別するデータを入力することができる。オブジェクトが非円筒形である場合(ブロック362)、印刷ヘッドとは反対のオブジェクトセクタが印刷され(ブロック366)、プロセスは別のオブジェクトセクタが印刷されるかどうかを判定する(ブロック370)。ブロック366の処理によって実行される印刷は、画像の垂直高さが、セクタを印刷するために現在使用されている印刷ヘッドのイジェクタアレイの高さよりも大きい場合、セクタを印刷するために、わずかな増分だけオブジェクトを垂直方向に移動させることを含むことができる。別のセクタが印刷される場合、コントローラ124は、オブジェクトを回転させる前にセンサ142からの信号を参照して、アクチュエータ138を動作させて、アレイ112、サブシステム108、またはその両方を互いに移動させる(ブロック374)。オブジェクト及びアレイが適切な距離だけ分離されて、アレイに当たることなくオブジェクトの回転を可能にすると、オブジェクトは回転され(ブロック378)、アクチュエータ138を動作させるコントローラ124によってオブジェクトは非円筒形オブジェクトの別のセクタを印刷するのに適切な距離に戻る(ブロック382)。このセクタが印刷され(ブロック366)、プロセスは、印刷ヘッドと反対のオブジェクトの外周のセクタが全て印刷されるまで継続される(ブロック370)。現在の周囲のセクタの全てが印刷されると、プロセスは、周囲が別の印刷ヘッドで印刷されるかどうかを判定する(ブロック386)。そうである場合、ブロック358~382のプロセスが繰り返されて、周囲を別の印刷ヘッドで印刷する。周囲が全ての印刷ヘッドによって印刷されると、そのオブジェクトはその開始位置に戻され(ブロック390)、ホルダから解放される(ブロック394)。オブジェクトが円筒形の場合、印刷ヘッドに当たることなく回転できる。この状況では、オブジェクトが停止した第1の印刷ヘッドは、オブジェクトが回転されるときに外周を印刷するように動作する(ブロック396)。ブロック396の処理によって実行される印刷は、画像の垂直高さが、セクタを印刷するために現在使用されている印刷ヘッドのイジェクタアレイの高さよりも大きい場合、セクタを印刷するために、わずかな増分だけオブジェクトを垂直方向に移動させることを含むことができる。外周が別の印刷ヘッドで印刷される場合(ブロック386)、オブジェクトは印刷ヘッドの反対に移動され(ブロック358)、印刷ヘッドで印刷されている間に回転される(ブロック396)。このプロセスは、全ての印刷ヘッドが外周を印刷するまで継続する。その時点で、オブジェクトはその開始位置に戻され(ブロック390)、ホルダから解放される(ブロック394)。
【0017】
図3A及び図3Bのプロセスにおけるオブジェクト104の回転は、図4に示されているように、第1の印刷部分から所定の距離だけ離れている印刷のための外周または周囲の別の部分を提示することができる。したがって、ハンドルのような表面の突起または窪みを避けるために、オブジェクトの外周または周囲の異なるセクタを印刷することができ、円筒形オブジェクトは、ブロック396において、図3Bのプロセスによって回転されて図5に示すように、オブジェクト104の全部または大部分の周りに連続的な画像を印刷することを可能にする。図3Aのプロセスでは、オブジェクトが印刷ヘッドアレイを通った後に発生するオブジェクトの回転は、印刷のための非連続セクタまたはオブジェクトの構成に関係ない印刷のための連続セクタのいずれかを提示することができる。
【0018】
上記で開示された装置及び他の特徴、ならびに機能またはそれらの代替物の変形は、多くの他の異なるシステムまたはアプリケーションに望ましく組み合わされ得ることが理解されるであろう。例えば、上述の実施形態は垂直構成で示されているが、印刷システム及びオブジェクト回転サブシステムは、プリンタを介してオブジェクトを他の方向に移動するように構成することができる。当業者であれば、現在予知しない、または予期しない種々の代替、変更、変形、または改良を後で行うことができ、これらもまた添付の特許請求の範囲によって包含されるものとする。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5