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特許6997728植物サンプル収集、特に藻類サンプル収集の為のサンプル収集キットと方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】植物サンプル収集、特に藻類サンプル収集の為のサンプル収集キットと方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20220107BHJP
   B01L 99/00 20100101ALI20220107BHJP
   A61L 27/20 20060101ALI20220107BHJP
   A61K 36/02 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G01N1/04 H
B01L99/00
A61L27/20
A61K36/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018566219
(86)(22)【出願日】2017-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2017063334
(87)【国際公開番号】W WO2017215939
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-02-14
(31)【優先権主張番号】16001367.8
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591037214
【氏名又は名称】フラウンホッファー-ゲゼルシャフト ツァ フェルダールング デァ アンゲヴァンテン フォアシュンク エー.ファオ
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】ツィマーマン、ハイコ
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04303610(US,A)
【文献】国際公開第2009/143339(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0293070(US,A1)
【文献】中国実用新案第201724839(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N1/00-1/44
A61K 36/02
B01L 99/00
A61L 27/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物医学的応用の為の藻類サンプル収集の為に適合された、サンプル収集キット(100)であって、
・前記藻類サンプルを受け取るように適合された、少なくとも一つのサンプル容器(10)と、
・サンプルデータが獲得できる複数のセンサ(21、22、…)を有するセンサ配列と、
・前記サンプルデータを記録するように適合されたデータ記録装置(30)と、
を備え、
・前記藻類サンプルを採取するのに適合された収集ツール(41、42、…)と、前記藻類サンプルを処理するのに適合された処理ツール(51、52、…)を有するツール配列と、
・前記藻類サンプルの収集、輸送、処理に使用できる補助装置(61、62、…)を有する装置配列と、
・周囲から隔離された状態で前記ツール配列と前記装置配列を受け入れるように適合された容器装置(70)と、
・前記少なくとも一つのサンプル容器、前記収集ツール(41、42、…)、および前記処理ツール(51、52、…)に適用された、識別データを有した識別マーキング(80)で特徴づけられ
前記容器装置(70)は、充電インターフェイス(74)を備え、これを介して電気充電電流が装置配列の電動式補助装置に供給される、サンプル収集キット。
【請求項2】
請求項1に記載のサンプル収集キットであって、
・前記藻類サンプルの採取と処理で使用できる消耗品(91、92、…)を有する、サンプル収集キット。
【請求項3】
請求項1と2のいずれか一項に記載のサンプル収集キットであって、
・前記容器装置(70)は採取開始前に前記収集ツール(41、42、…)と前記処理ツール(51、52、…)の無菌状態を保つように適合されている、サンプル収集キット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のサンプル収集キットであって、
・前記容器装置は、前記収集ツール(41、42、…)を含む採取モジュール(71)、補助装置(61、62、…)を含む記録モジュール(72)、前記処理ツール(51、52、…)を含む処理モジュール(73)、から成る、複数の容器モジュール(71、72、73)を有する、サンプル収集キット。
【請求項5】
請求項に記載のサンプル収集キットであって、
・前記充電インターフェイス(74)は前記容器装置(70)の外側に配置されている充電ソケットを含む、サンプル収集キット。
【請求項6】
請求項4からのいずれか一項に記載のサンプル収集キットであって、前記容器モジュール(71、72、73)は以下の特徴、
・前記収集ツール(41、42、…)および前記処理ツール(51、52、…)は、前記藻類サンプルの収集および処理における前記収集ツール(41、42、…)および前記処理ツール(51、52、…)の所定の使用順序で、それぞれ前記採取モジュール(71)および前記処理モジュール(73)にそれぞれのケースの中に隣り合って配置され、
・前記採取モジュール(71)は、所定の地理的サンプル収集位置でのみ前記採取モジュール(71)の解放を可能とする解放装置(71C)を備えられ、
・前記容器モジュール(71、72、73)は、お互いに着脱可能で接続され、
・前記容器モジュール(71、72、73)は、前記容器モジュール(71、72、73)の手動運搬の為の運搬用取手(75)を有し、
・前記容器モジュール(71、72、73)は、同じ形状とサイズを有し、
・前記容器モジュール(71、72、73)は、それぞれのケースに、サンプル収集キットのパーツを受け取る為の受け取り要素(76A)を有した少なくとも一つの保持台(76、76.1、76.2)を有し、
・前記容器モジュール(71、72、73)は、お互いに兌換性のある接続要素(77)をその外側に有している、
を少なくとも一つ有する、サンプル収集キット。
【請求項7】
請求項4からのいずれか一項に記載のサンプル収集キットであって、
・前記容器装置(70)は、サンプル収集キットの使用者が使用する為の医療補助を含む救急モジュール(78)を有する、サンプル収集キット。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載のサンプル収集キットであって、以下の特徴、
・少なくとも一つの気温センサ、少なくとも一つの湿度センサ、少なくとも一つのUVセンサ及び/又は少なくとも一つの塩度センサを含む、前記センサ(21、22、…)、
・少なくとも一つの収集ネット(41)、少なくとも一つの採取ナイフ(42)、厚さ測定器(43)、マーキング要素(44)、すすぎボトル(45)、及び/又は少なくとも一つのサンプルボトル(46)を含む、前記収集ツール(41、42、…)、
・少なくとも一つのピーリングナイフ(51)、少なくとも一つの肉切り包丁、まな板(52)、フィルタ素材(53)、貯蔵容器(54)、掃除装置(55)及び/又は輸送容器(56、57)を含む、前記処理ツール(51、52、…)、
・衛星受信器(61)、カメラ(62)、時計(63)、携帯電話(65)、印刷された操作説明書(66)、筆記装置(67)、充電装置(68)、書面の為の記録手段(64)及び/又はサンプル収集キット使用者の為の防護服(69)を含む、前記補助装置、
を少なくとも一つ有する、サンプル収集キット。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載のサンプル収集キットであって、
・少なくとも一つの前記収集ツール(41、42、…)及び/又は前記処理ツール(51、52、…)はツールの使用を表示するように適合された使用インディケータ(42A)を有し、及び/又は、
・少なくとも一つの前記収集ツール(41、42、…)及び/又は前記処理ツール(51、52、…)は、藻類サンプル内の異物を検出するように適合された化学センサ(51A)を有する、
サンプル収集キット。
【請求項10】
生物医学的応用の為の藻類サンプルを収集するサンプル収集方法であって、請求項1からのいずれか一項に記載のサンプル収集キットが以下のステップ、
(a)前記藻類サンプルを、自然なサンプル収集位置で収集ツール(41、42、…)を使用して収集し、収集された前記藻類サンプルは少なくとも一つのサンプル容器(10)で受け取られ、サンプルデータがデータ記録装置(30)に記録され、
(b)前記少なくとも一つのサンプル容器(10)と前記サンプル収集キット(100)を処理ラボラトリーへ輸送し、前記サンプルデータはデータ記録装置(30)に追加され、
(c)植物抽出物を、処理ツール(51、52、…)を使用して処理ラボラトリーで製造し、前記サンプルデータは前記データ記録装置(30)更に追加され、
(d)前記植物抽出物の更なる利用の為に、前記植物抽出物と、前記サンプルデータと識別データを含むデータセットを提供する、
で使用される、サンプル収集方法。
【請求項11】
請求項10に記載のサンプル収集方法であって、
・前記サンプルデータは、収集位置、収集時、輸送時、処理時の温度、そして輸送ルートの情報を含む、サンプル収集方法。
【請求項12】
請求項10から11のいずれか一項に記載のサンプル収集方法であって、
・ステップ(a)の場合では、前記サンプル収集位置から環境サンプル、特に水サンプルが追加的に取られる、サンプル収集方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項に記載のサンプル収集方法であって、
・ステップ(d)の場合では、前記植物抽出物は、前記サンプル収集キットの識別データと前記サンプルデータを備えた抽出物容器(56,57)に梱包され、及び/又は、
・ステップ(d)の場合では、前記植物抽出物を有する前記抽出物容器(56、57)は、容器装置(70)に配置され、消費者への更なる輸送の為に提供される、サンプル収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物サンプル、特に生物医学的応用の為の藻類サンプル収集の為に適合された、サンプル収集キットに関する。発明は更に、サンプル収集キットを利用した植物サンプル収集の方法に関する。発明の応用は、例えばアルギン酸顆粒の獲得等の、特に生物医学的応用の為の、植物抽出物の獲得を含む。
【背景技術】
【0002】
アルギン酸は海藻類から得られる多糖体であり、化学工学、食品製造技術、生物医学において多くの用途がある。生物医学においてアルギン酸は、例えば移植組織の製造に使用される。医学的用途の移植組織、例えば人間の移植組織レシピエントへの使用などにおいては、生体機能性(特に生物的適合性)、純度、安定性に対して高い要求がある。これらの条件を満たす為には、構造のばらつきを最小限にする為に所定の洗浄プロセス下にアルギン酸を置く事が一般的に知られている。更にドイツ特許公報(DE 10 2005 040 872 B3)からも分かるように、藻類から得られたアルギン酸の生体機能性のばらつきを最小限にする為に、収集位置(藻類採取の地理的位置)と、藻類の消費者への輸送のサンプルデータとを記録する事は知られている。
【0003】
藻類の採取は従来、漁師により再利用可能な道具を使って手作業で行われてきた。収集された藻類の初期準備に該当するものの乾燥も漁師達によって行われる。採取の後、収集された藻類は、ドイツ特許公報(DE 10 2005 040 872 B3)にあるような、センサとデータロガーを有する事ができるサンプル容器で、例えば移植組織の製造の為に、乾燥された藻類から得られるアルギン酸が消費者に送付される。
【0004】
しかしながら実際には、アルギン酸は、その収集と運送状態が記録されていたとしても、生体機能に望ましくないばらつきが生じてしまう事がある。更に、医学的用途における植物製品の認可は厳しい条件下にあり、特に製造プロセス及び環境の品質保証の為のガイドライン(GMP「適正製造基準」)は、先の採取と輸送状態の結果により、かろうじて、また低い信頼性で満たされ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】ドイツ特許公報102005040872B3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既述の問題は、藻類の収集とアルギン酸の獲得の際に生じるだけでなく、例えば有効成分の製造などの為のその他の植物サンプル収集時にも生じる問題である。
【0007】
発明の課題は、従来の技術のデメリットが回避された、改良されたサンプル収集キットと、植物サンプル、特に藻類サンプルの改良された収集方法を提供する事である。特に、サンプル収集キットおよび方法は、藻類の収集および処理の信頼性および再現性の向上、組成物の再現性の向上、および/または生体機能性のばらつきの低減を伴う、アルギン酸塩の獲得を可能にすることを目的とする。品質保証の基準、例えばGMP基準の満足度がより改善される。
【0008】
これらの課題は、独立項の特徴を有する、サンプル収集キットと植物サンプル収集方法によって解決する。発明の有利な実施形態および応用は、従属項から明らかとなる。
【0009】
発明の第1の一般的な態様によれば、上記課題は、植物サンプル、特に藻類サンプルを収集するために適合され、サンプルデータを検出する為の複数のセンサを有するセンサ配列を含むサンプル収集キットと、例えば植物抽出物を得るための、植物サンプルの一次収集(採取)、輸送、処理の為の作業装置と、そして作業装置の識別データを有する識別マークで解決できる。
【0010】
サンプル収集キットは有利には、植物サンプルの収集から植物抽出物獲得までの全ての段階に適している。全ての作業装置、特に植物抽出物の製造まで必要とされるツールと補助装置は、好ましくはサンプル収集キットに含まれており、少なくともツールは識別マークによって識別する事ができる。これにより植物抽出物を、植物抽出物の収集と製造方法の完全な特徴付けを可能にするサンプルデータと識別データと共に提供する事が可能となる。植物サンプルの収集、輸送、処理の個々のステップは更に、収集された植物サンプルとこれより作られた植物抽出物又は得られる物質の特徴のばらつき、特に生体機能性のばらつきが減少されるように、作業装置の供給によって標準化される。サンプル収集キットで得られた植物サンプル使用中に汚染やエラーが明らかになった時には、完全なサンプルデータと識別データの結果として、その原因を植物サンプル収集までも遡る事ができる。
【0011】
サンプル収集キットは一般的に、植物サンプルの収集、輸送、処理の為の作業装置一式を意味する。詳細には、サンプル収集キットは、植物サンプルを受けるサンプル容器を少なくとも一つ含んでいる。サンプル容器は好ましくは、植物サンプルの液体不透過性の受け取りに対応し、例えばプラスチックフィルムでできている袋等を含む。サンプル容器は有利には、湿った環境の維持と輸送中の望ましくない異物の浸透への保護を提供する。
【0012】
サンプル収集キットは更に、特に植物サンプルの物理的及び/又は化学的特性及び/又は植物サンプルの収集、輸送、処理の物理的及び/又は化学的状態等の、収集された植物サンプルの特性又はサンプル収集のタイプを意味するサンプルデータが検出できるような複数のセンサを含むセンサ配列と、サンプルデータを記録するように適合されたデータ記録装置(少なくとも一つのデータロガーを有する)を含む。データ記録装置は、サンプル収集キットにしっかりと接続されたデータロガーを含んでもよく、輸送中にデータを記録する為にサンプル収集キットの中のサンプル容器の連結の為の一つ又は複数のデータロガーを含んでもよい。
【0013】
サンプル収集キットは有利には、収集ツールと処理ツールを含むツール配列からなる。収集ツールは植物サンプルを採取する為に適合されている。標準化された収集ツールは有利には、例えば藻類収集の場合に、漁師などの使用者に提供され、結果として植物サンプルの収集環境が標準化される。処理ツールは、自然の収集位置とは離れた処理位置、特に処理ラボラトリーでの、植物サンプル、特にその抽出物を獲得する為の処理に適合されている。処理ツールは、処理中に植物サンプルに反応する、サンプル収集キット使用者の作業装置と道具からなる。処理ツールを指定することによって、収集ツールの場合のように植物抽出物の抽出まで、均一で再現可能な処理という利点が得られる。収集ツールと処理ツールは好ましくは、共通バッチの植物サンプルを収集・処理する為に単発で使用される、使い捨ての作業装置である。
【0014】
サンプル収集キットは更に有利には、植物サンプルの収集、輸送、処理に利用する事ができ、特にこれらのステップの間の物理的及び/又は化学的状態を記録するように設定されている補助装置を有する装置配列からなる。
【0015】
サンプル収集キットは更に、周囲から隔離された状態の収集ツール、処理ツール、そして補助装置を受ける容器装置からなる。好ましくはモジュール構造を有している容器装置は、サンプル収集キットの包装を形成する。容器装置は有利には、サンプル収集キット使用前の作業装置の保護と作業装置の規定された配列を提供し、その結果、例えば収集又は処理ツールの使用シークエンスを指定する等、サンプル収集キットの使用が単純化される。
【0016】
発明の第2の一般的な態様では、上記の課題は、発明の第1の一般的な態様に基づくサンプル収集キットが使用された際の植物サンプルの収集の為のサンプル収集方法によって解決される。このサンプル収集方法には、植物サンプルの少なくとも一つのサンプル容器への移動、サンプルデータが記録、収集ツールを使用した自然のサンプル収集位置での植物サンプルの収集からなる。少なくとも一つのサンプル容器とサンプル処理キットの処理ラボラトリーへの輸送がその後行われ、輸送中にサンプルデータには、輸送の物理的及び/又は化学的状態、特に輸送ルートと輸送期間のデータを補足される。植物抽出物の製造はその後処理ラボラトリーで処理ツールを使用して行われる。処理中、サンプルデータは処理の物理的及び/又は化学的状態に関する情報を補足される。最後に、完成した植物抽出物は、サンプルデータとサンプル収集キットの識別データからなるデータセットと共に提供される。
【0017】
発明の結果、植物サンプル、特に藻類の採取と準備プロセスは、植物抽出物の純度と個々の方法ステップの記録と追跡可能性に関して、有利に著しく改良される。発明者は、従来の技術で得られた植物サンプルの生体機能性のばらつきは、作業装置の汚染、おそらく再利用された又は十分に掃除されていないツール、プロセス全体の未定義及び不十分に記録されたパラメータ(採取位置、採取時間、輸送時間、物理的及び/又は化学的環境パラメータ等)、そして標準化されていない作業装置の使用の結果損なわれている事を発見した。従来技術に対して、サンプル収集キットは有利には材料の製造を再生可能なプロパティで単純化する。発明者に認識されているサンプル収集キットの重要な利点は更に、サンプルの収集と処理に必要な作業装置全てがサンプル収集キットに収容される事ができ、手で扱う事ができる、特に使用者によって手で運ぶことができる点にある。この利点は特に、例えば沖や砕波などの極限環境状態下でアルギン酸を獲得する為に重要である。
【0018】
サンプル収集キットは好ましくは使い捨てのツールと消耗品の為の作業装置のセットを表す。しかし、例えば記録装置、特に衛星受信器、時計、通信装置、ランプ、センサ等の補助装置は、使い捨て又は複数回使用として提供され得る。
【0019】
発明の更なる利点は、サンプル収集キットが植物サンプル収集の規定された初期状態を表し、サンプル収集キットの使用は使用者の時間節約にも関連付けられる点にある。発明は全サンプル収集キットと全作業装置とそこに含まれている材料の明確なラベリングを可能とする。これは有利にはキット構成要素の完全な追跡可能性を確実にする。
【0020】
サンプル収集キットの更なる利点は、使用者が、標準化された、新しい、テスト済のツールを使用し、任意にサンプル収集キットによって救急システム(通信装置、救急箱)が提供される事による使用者の安全性の改善である。
【0021】
本発明の好適実施例によれば、サンプル収集キットは更に、植物サンプルの採取と処理に使用できる消耗品を含む。消耗品は、例えば異物を検出する為に、例えば、水、消毒液及び/又は試験物質からなる。サンプル収集キットと共に消耗品を提供する事で、個々の作業ステップの信頼性と再現性が有利に改善される。
【0022】
サンプル収集キットの更なる好適実施例によれば、容器装置は植物サンプルの採取に先んじて収集ツールと処理ツールを無菌状態で受けるように適合されている。容器装置では、収集ツールおよび処理ツールとは環境から実質的に分離されている。容器装置は好ましくは、採取開始時にのみ破壊されるように意図されている封が提供されている。
【0023】
サンプル収集キットの容器装置は特に好ましくは、採取モジュール、記録モジュール、処理モジュールからなる複数の容器モジュールから構成される。それぞれの容器モジュールは収集、処理及び/又は補助装置の個々の段階の為の作業装置全てを有した、隔離され封止された容器を表す。採取モジュールは収集ツールを受けるように構成されている。採取モジュールは、必要とされる収集ツールの数、大きさ、形に適合している受け取り要素を有する。不適切な収集ツールの意図しない受け取りは有利には回避される。処理モジュールは処理ツールを受けるように構成されている。処理ツールの場合においても、特殊な受け取り要素が処理モジュールに提供され、その結果不適切な処理ツールの使用が回避される。記録モジュールは好ましくは、必要ならば植物サンプルの収集と処理の為に使用される補助装置を有する。
【0024】
発明の更なる有利な特徴によれば、容器装置は充電インターフェイスを備えてもよく、この充電インターフェイスを介して電気充電電流が、サンプル収集キットの電動式補助装置と、必要に応じて電動式ツールに供給される。電流供給の様々な可能性が有利に利用可能である。例えば、ワイヤレスの誘導エネルギー供給又は有線のエネルギー供給が備えられ得る。充電インターフェイスは特に好ましくは、容器装置の外側にある充電ケーブルのプラグを受け取るように配置されている充電ソケットを含んでいる。サンプル収集キットは有利には、充電中に作業装置の無菌状態が保たれるように、容器装置が開けられる事なく電気的に充電する事ができる。
【0025】
容器装置は更に、例えば外部コンピュータ等の、それを介してデータ記録装置と外部制御装置間のデータ交換がされる、ワイヤレスまたは有線のデータインターフェイスが備えられてもよい。
【0026】
本発明のさらなる有利な実施形態によれば、収穫モジュール内の収集ツールおよび処理モジュール内の処理ツールは、植物サンプルの収集および処理におけるそれぞれのツールの使用順序に従って列を形成するように並んで配置されてもよい。採取モジュールと処置モジュールは、作業順序としての発明に基づいた方法の手順に基づいたツールを提供し、その結果として、サンプル収集キット使用の信頼性と再現性が有利に改良される。
【0027】
代替的に、または、更に、採取モジュールは、所定の地理的サンプル収集位置でのみ採取モジュールを開け、さもなければ採取モジュールの閉鎖を阻止する解放装置を備えられてもよい。解放装置とその作動は、例えばドイツ特許公報(DE10 2005 040 872 B3)に記述されているように実行する事ができる。
【0028】
サンプル収集キットの更なる有利点は、容器モジュールが取り外し可能にお互いに連結されている時に得られる。その為には好ましくは、容器モジュールは、例えばラッチ要素等の互換性のある接続要素がその外側に備えられている。サンプル収集キットは、例えば、集められた容器モジュールの積み重ねを含む。もし容器モジュールが輸送用の取手を有する場合、植物サンプルの収集、輸送、処理段階の間のサンプル収集キットおよび個々の容器モジュール取り扱い時に有利となる。容器モジュールは好ましくは、様々なタスクの為のサンプル収集キットを作る為に、容器モジュールの互換性が簡素化されるように、同じ形状とサイズである。
【0029】
特に有利な更なる発明の実施形態によれば、容器モジュールはそれぞれのケースに受け取り要素を有する保持台を有し、例えば、サンプル収集キットの作業装置、特に収集と処理ツールを受け取るのに適している受け取り要素を有する硬質フォームベッド等である。よって負荷固定状態のツールの輸送が有利に可能となり、使用者の安全性が向上し、ツールの不在可能性が更に簡単に認識できるようになる。特に好ましくは、作業装置の形状に適合された形状の形状フィット受け取り要素が設けられる。
【0030】
容器装置に複数の容器モジュールが備えられている時、記録モジュールに電動式補助装置が含まれているため、好ましくは、充電インターフェイスは記録モジュールに設けられている。代替的に、特に容器モジュールの電気接続及び/又は電動式ツールの使用及び/又は補助装置の他のモジュールでの受け取りの場合では、充電インターフェイスは他の容器モジュールに備えられてもよい。
【0031】
容器装置は更に有利には、サンプル収集キット使用者の為の医療補助を含む救急モジュールを備えてもよい。救急モジュール(救急箱)は好ましくは、特に容器モジュールの積み重ねと統合されるように、他の容器モジュールと連結するように構成されている。
【0032】
サンプル収集キットの作業装置とセンサは有利には、特に藻類の収集と処理の場合、特定の作業に応じて異なり得る。構成要素は好ましくは次の特徴のうち少なくとも一つを備えている。センサは好ましくは、少なくとも一つの温度センサ、少なくとも一つの湿度センサ、少なくとも一つのUVセンサ及び/又は少なくとも一つの塩度センサを含む。
【0033】
植物サンプル収集中、輸送中、また必要に応じて処理中の温度は温度センサによって測る事ができる。計測された温度値はデータ記録装置のサンプルデータとして記憶される。
【0034】
湿度センサは好ましくは、サンプル容器の中の収集された植物サンプルの周囲の湿度を検出する為に備えられる。それぞれのサンプル容器には好ましくは湿度センサが設けられている。湿度センサによって検出された湿度データもまた、植物サンプル収集中と輸送中のサンプルデータとして、データ記録装置に記憶される。湿度センサは有利には、輸送中のサンプル容器の破損を検出する事を可能とする。もしサンプル容器が破損されたならば、記録された湿度データによって明らかなように、植物サンプルが乾燥する。
【0035】
UVセンサは放射線センサであり、植物サンプル収集中及び輸送中の自然UV放射線が検出される。好ましくは、収集された植物サンプルの輸送中のUV露光を検出する為に、UVセンサもまたサンプル容器に連結されている。
【0036】
塩度センサは、収集位置の海及び/又は収集された植物サンプルの塩分を検出するように適合されている。収集中および輸送中に記憶された塩度データは、植物サンプルの特徴付けとどの異物の浸透の検出をも可能とする。
【0037】
サンプル収集キットの収集ツールは好ましくは、少なくとも一つの収集ネット(例えば藻類収集の為のすくい網)と、少なくとも一つの採取ナイフ、収集された植物(例えば藻類の茎)の厚さを検出する為の、例えば摺動カリパスなどの厚さ測定装置、また、リファレンスサンプル、例えば収集された藻類の周囲の海水等の環境サンプル、を受け取る為のサンプルボトルを含む。
【0038】
処理ツールは、ピーリングナイフ、まな板、また、特に処理ラボラトリーでの処理の間のサンプル収集キット使用者の為の防護服、例えばフード、手袋、マウスガードまた保護コート、及び/又は清掃装置、例えば清掃ブラシ等を含む。乾燥プロセスの後の、乾燥した植物成分を受け取る為の吸気フィルタも、処理ツールとして更に設けられてもよい。
【0039】
サンプル収集キットの補助装置は好ましくは、衛星受信器、カメラ、時計、及び/又は書面の為の記録手段を含む。植物サンプルの採取状態、例えば藻類に付着している貝等が、有利にはカメラに記録される事ができる。
【0040】
発明の更なる有利な実施形態によれば、少なくとも一つの収集ツール及び/又は処理ツールは、ツールの使用を表示するように適合された使用インディケータを有する事ができる。使用インディケータ、特に水センサは、それぞれのツールの表面に配置されている。化学的に作動されるインディケータの場合、化学的インディケータは、例えば水への接触に反応するように設けられている。使用者に関連ツールが使用済みか否かが明白であるように、ツールが水と接触した場合、使用インディケータは変色する。電子作動式使用インディケータの場合、例えば水との接触時に電子的に読み出せるような状態の変化をする電子回路が備えられている。
【0041】
ツールの使用済検出は更に、データ記録装置のロックにも使用できる。少なくとも一つのデータロガーは、ある特定の作業手法にて最後のツールが使用されたらすぐに作動されるような、書込み保護が構成されていてもよい。
【0042】
代替的にまたは追加的に、少なくとも一つの収集ツール及び/又は処理ツールは、植物サンプルの中の植物とは異質の物質、例えば、特に微生物、海洋動物又は排泄物等の動物性タンパク質、又は、無機化合物又は環境毒を検出するように適合されている化学的センサを有してもよい。植物サンプルの汚染は、例えば色の変化に基づいて、化学的センサによって有利に測定される事ができる。
【0043】
本発明によるサンプル収集法では、植物サンプル処理後に得られた植物抽出物は好ましくは、サンプル収集キットの識別データとサンプルデータを備えた抽出物容器に詰められる。植物抽出物と識別及びサンプルデータの組み合わせは、有利には、例えば移植組織の製造業者等の消費者での更なる利用の為に維持される。
【0044】
サンプル収集キットの容器モジュールの一つは特に、好ましくは、処理ラボラトリーから消費者への輸送時に抽出物容器を受け取る為に使用される。処理モジュールと共に、データ記録装置もまた抽出物容器と共に消費者に送られる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、いくつかの容器モジュールの積み重ねを有する、本発明によるサンプル収集キットの実施形態の概略斜視図である。
図2図2は、サンプル収集キットの採取モジュールの内容物の概略図である。
図3図3は、サンプル収集キットの記録モジュールの内容物の概略図である。
図4図4は、サンプル収集キットの処理モジュールの内容物の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
発明の更なる詳細と利点を、添付の図面を参照して以下に説明する。
本発明の好適実施例は、アルギン酸の製造の為の藻類サンプル収集の為のサンプル収集キットを例として参照して、以下に説明する。藻類サンプルは好ましくは微細藻類、特に藻類型ラミナリアから得られる。しかしながら、本発明の実施はこの例に限定されるわけではなく、むしろ他の植物サンプルでも同様に可能である。サンプル収集キットに収容される藻類サンプル収集用の作業装置が例として引用される。本発明の実施は具体的に述べられたツールや補助装置の応用に限定されるものではなく、むしろ具体的な応用に適合された改良された作業装置でも実現可能である。特に、図2から図4に示された容器モジュールは、代替的または追加的に、下記の作業装置一覧の部品を備える事ができる。藻類サンプルの収集及び処理と、相応しい種類の藻類選択の詳細は、それ自体周知であり公知である為、以下では説明されていない。
【0047】
サンプル収集キット100に示される本発明の実施形態は、正しい使用の安全性を向上させるために変更及び/又は補遺される事ができる。特に、サンプル収集キット100は、サンプル収集キット100の、例えば、ワイヤレスで解除できる、特にトランスポンダやRFIDチップ等によって解除できる、または鍵で起動できる(コンビネーションロック又はメカニカルキー)ロックなどのアクセス制御の為の装置、バッチの完全性を検出する為の、例えば容器モジュール内の個々の受け取り要素での空間センサ等のモニタ装置、及び/又は作動状態、例えば充電状態を表示する為の表示装置を備える事ができる。
【0048】
図1は、本発明(藻類キット)に基づくサンプル収集キット100の好適実施例の概略斜視図を示し、その容器装置70は複数の容器モジュール71、72、73と救急モジュール78の積み重ねを含む。容器モジュール71、72、73は、閉鎖状態では、相互補完しながら容器モジュール71、72、73の外側に配置されている接続要素77を介して連結される。容器モジュールは、採取モジュール71(図2参照)、記録モジュール72(図3参照)そして処理モジュール73(図4参照)を備える。容器モジュール71,72,73は、これらの機能と装置に基づいて、図表を用いて及び/又はテキストで(例えば71:“SEA”、72:“DOC”、73:“LAB”、78:“SOS”)ラベリングされる。
【0049】
容器モジュール71、72、73はそれぞれ、例えばプラスチック及び/又は金属で構成されたケース(トランク)であり、底部71Aと蓋部71Bはお互いに蝶番を介して連結されている。閉鎖状態では、容器モジュール71、72、73は、内空が周囲から実質的に隔離されるようにすべての側で閉鎖されており、最初の開封まで無菌状態を提供できる。端側及び/又は蓋部71B上の運搬用取手75は、容器モジュール71、72、73の個々若しくはまとめての手動運搬に適合されている。
【0050】
容器モジュール71、72、73の外側の識別マーク80は、サンプル収集キット100の識別データを含む耐水性マーク、例えばバーコード、QRコード(登録商標)、ワイヤレスで読取り可能なメモリ、特にトランスポンダ、及び/又は数字及び/又は文字で構成された列から成る。サンプル収集キット100でまとめられ容器モジュールから取り除き可能な作業装置は、サンプル収集キット100と同じ識別データを有する、同じ又は改良されたタイプの識別マーク80を設けられる。
【0051】
記録モジュール72は、それぞれの底部の外表面上に、記録モジュール72の中の電動の補助装置(例えば、衛星受信器、携帯電話)に内部充電装置を介して電気充電電流が供給されるように、充電ソケットの形状(例えば、IECプラグソケット)で充電インターフェイス74が設けられている。故に、サンプル収集キット100の封を損傷する事なく全ての装置が採取時の作業の為に準備される事が保証される。内部のデータ記録装置からのデータを読み取る事が出来るデータインターフェイス79が記録モジュール72上に更に備えられる。
【0052】
図2は、サンプル収集キット100の開かれた状態の採取モジュール71を、底部71Aと蓋部71Bの上面図と共に概略的に示す。藻類サンプルを収集するのに使用される収集ツール41、42、…、の為の受け取り要素76Aを有する保持台76は、サンプル容器10の為に底部71Aに備えられている。保持台76は適応形状フィット硬質フォームベッドであり、受け取り要素76Aは個々の構成部品の外型枠にくぼむように形成される。採取モジュール71は更に、衛星受信器と連結され、採取モジュール71が所定の地理的サンプル採取位置に位置するまで採取モジュール71の閉鎖を阻止する、概略的に示されている解放装置71Cを有する。
【0053】
底部71Aの収集ツールは、採取ナイフ42を2本、厚さ測定装置43、マーキング要素44、すすぎ又はスプレーボトル45、サンプルボトル46を2本、フィルム素材47を含む。採取ナイフ42は、例えば採取ナイフ42が水と接触した際に色が変化する使用インディケータ42Aを有した例として示されている。採取ナイフ42は更に、異物を検出できるように化学センサを備える事ができる。厚さ測定装置43は、採取された藻類サンプルの厚さが測られる定規又は計算尺である。測定された厚さは、記録モジュール72の文書の為の記録手段で記録される。マーキング要素44は、それぞれのケースにサンプル収集キット100の識別データを有した識別マークを記載したバンドであり、サンプル容器10に取り付けられるように備えられている。マーキング要素44は有利には同時に、サンプル容器10の閉鎖の為に備えられている。すすぎボトル45には採取された藻類がサンプル容器10に受け入れられる前に藻類をすすぐ為の無塩水又は塩水が入っている。サンプルボトル46を使用すると、環境サンプル、例えば水サンプル等が採取位置で採取され、採取された藻類と共に処理ラボラトリーまで輸送されることができる。フィルム素材47は、例えば梱包の為に、補助素材として備えられている。蓋部71Bの収集ツールは、海水から藻類サンプルを採取する為の収集ネット41を2枚含む。
【0054】
図3に示される、開けられた状態で概略的に示された記録モジュール72は、特に記録の為の補助装置61、62、…、の為の受け取り要素76Aを有する保持台76を有する底部72Aと、例えばメモ帳等の文書の為の記録手段64の為の仕切り72Cを有する蓋部72Bを有する。
【0055】
底部72A内の補助装置は、少なくとも一つの衛星受信器61、カメラ62、時計63、携帯電話65、印刷された操作説明書66、記述装置67、充電装置68、サンプル収集キット100の使用者の為の防護服69を含む。充電装置68は、一方は充電インターフェイス74に連結され、他方は充電ケーブル(図示無し)を介して蓄電器を有した電動の補助装置に連結されている。防護服69は、藻類サンプルの処理中及びアルギン酸顆粒の製造中の使用者の為の、例えば、フードやヘアネット、マウスガードや手袋を含む。
【0056】
底部72Aには更に、概略的に示されている複数のセンサ21、22、…を有するセンサ配列と、サンプルデータを記録する為のデータ記録装置30(データロガー)が配置されている。データ記録装置30はデータインターフェイス79に連結されている。更なるデータロガー(図示無し)は、センサへの連結と、処理ラボラトリーへの輸送中の、採取後の藻類サンプルのサンプル容器10への挿入の為に設けられている。
【0057】
センサ21、22、…は、例えば採取後と輸送中のサンプル容器10内の湿度を測定する湿度センサ21と、サンプル収集キット100使用中の空気及び/又は水の温度を測定する温度センサ22と、採取後および輸送中のサンプル容器10のUV放射線を測定するUVセンサ23、及び/又は塩度センサ24を含む。
【0058】
改良された本発明の実施形態では、他の、又は更なる補助装置は記録モジュール72又は他の容器モジュールに収める事ができる。例えば、データ記録装置30はコンピュータに置き換える事ができ、及び/又は構成部品61、62、63、及び65とデータ記録装置30は、マイクロコンピュータまたはスマートフォン等の共通装置に統合されてもよい。代替的に又は追加的に、センサは更に、気象情報、藻類サンプルのクロロフィル濃度または藻類サンプルの形態的データを獲得する為に設けられてもよい。更に、複数の衛星受信器61は、藻類サンプル輸送時にサンプル容器10に配置されて備えられてもよい。
【0059】
図4によれば、処理モジュール73は、底部73Aに、処理ツール51、52、…と随意的に更なる補助装置の為の受け取り要素76Aを有する保持台76.1、76.2の2つを有し、蓋部73Bに、文書又は書かれた操作説明書の為の更なる記録手段64の為の仕切り73Cを有する。保持台76.1と76.2は異なる処理ツール51、52、…を有する二つのオーバーラップした平面を形成する。
【0060】
処理ツールは、例えば、2本のピーリングナイフ及び/又は肉切り包丁51、まな板52、フィルタ素材53、特に消毒液等の処理液用貯蔵容器54、ブラシ等の掃除装置55、例えば缶56と袋57のような抽出物容器56、57を含む。ピーリングナイフ及び/又は肉切り包丁51は、例えば、植物サンプルの動物性タンパク質の存在時には色が変わるような、異物検出の為の化学センサ51Aを有した例として示されている。ピーリングナイフ及び/又は肉切り包丁51は更に、使用インディケータを備える事ができる。
【0061】
1つの具体的な例示的な実施形態では、サンプル収集キット100は以下の作業装置一覧にある内容物を有する:
・印刷された操作説明書66、1枚
・識別マーク80を有したラベル、6枚
・消費者へ発送する際の住所ラベル、5枚
・サンプル容器10としての耐UVビニール袋、8枚
・識別データを含むバーコードをそれぞれに有するマーキング要素44、9本
・温度計(最低-最高)、1本
・使い捨て手袋、19組
・スプレーボトル45(容量1l)、1本
・消毒液、例えばMicropur、1g
・ゴミ袋、1枚
・閉鎖可能なテストサンプルチューブ46(50ml)、3本
・収集ネット41(カラビナフック付)、1枚
・採取ナイフ42、1本
・肉切り包丁(刃渡り15cm)、1本
・サイズ決定用参照モデル、1つ
・衛星受信器61、1台
・携帯電話、1台
・データロガー、2つ
・デジタルカメラ、1台
・アラーム/目覚まし機能付き時計、1つ
・A5フォーマットの筆記用クリップボード、1つ
・筆記装置67、1つ
・様々なサイズの白衣、4着
・ヘアネット、8枚
・フェイスマスク、8枚
・ハンドブラシ55、1つ
・まな板52(30cmx22cm)、1枚
・ピーリングナイフ51、2本
・様々なサイズの抽出物用袋57、12枚
・フィルタ53、1つ
・記録書64、1つ
【0062】
アルギン酸抽出物を得る為の藻類サンプルの収集と処理は、以下のステップを含む。
【0063】
サンプル収集キット100は、海岸や沖における採取段階の前に積み込まれる。採取中は、工程中の連続的な時間測定(時計)、継続的な消毒(例えばMicropur等による)、継続的な手書きによる記録(クリップボード、記録装置、記録書)が行われる。水道水による溶液の準備後、データロガーの開始、実際の採取(藻類の取り出し、採取ナイフとネットの使用)、藻類の切断とサイズ測定(測定装置、厚さ測定装置)、が実行される。藻類サンプルの消毒(例えばMicropur等による)と遮光のサンプル容器10に入った藻類サンプルの梱包(マーキング要素44で閉じられデータロガーが備えられている袋、衛星受信器)がその後に続く。水サンプルがサンプルボトル46で追加的に取られる。
【0064】
地上と処理ラボラトリーへの輸送後、ラボラトリーにて準備(処理)が実行される。このため、サンプル収集キット100に含まれる防護服69がはじめに装着される(手袋、コート、ヘアネット、マウスガード)。全てのデータロガーはサンプル容器から読み出される。藻類サンプルはその後洗浄され、ハンドブラシ55とマイクロカッター刃が使用される。これに続いて、藻類の切断と皮むき、水道水による水サンプルの除去、および沈殿工程にかけてアルギン酸塩を得ることができるように藻類を藻類顆粒に細かく切る事が行われる。
【0065】
藻類顆粒又はアルギン酸は処理ラボラトリーの乾燥棚で乾燥され、吸引装置とフィルタ53で乾燥棚から移動される。乾燥された藻類顆粒は、抽出物容器56、57に真空下で梱包される。抽出物容器56、57は、サンプル収集キット100の独自コード(例:バーコードのラベル)を備えられ、温度計(最低-最高)と共に消費者に送られる。
【0066】
前述の説明、図面、および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、その様々な形態での本発明の実現のために、単独でも組み合わせでも、または部分的組み合わせでも重要であり得る。
図1
図2
図3
図4