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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】ベルトコンベア
(51)【国際特許分類】
   B65G 21/20 20060101AFI20220111BHJP
   B65G 45/18 20060101ALI20220111BHJP
   B65G 15/64 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B65G21/20 B
B65G45/18 B
B65G15/64
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019236995
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104879
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-04-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1)展示により公開 〔展示日〕令和1年10月4日 〔展示会名、開催場所〕警察庁の担当者向けベルトコンベア新製品説明会、株式会社啓文社製作所内(広島県安芸高田市吉田町山手739番地の6) 〔公開者〕株式会社啓文社製作所 〔出品内容〕特願2019-236995に記載した土砂侵入防止手段を備えたベルトコンベア 2)販売、配布により公開 〔販売日又は配布日〕出荷日として令和1年10月9日 〔販売場所又は配布場所〕出荷先として、北海道警察本部、宮城県警察本部、青森県警察本部、秋田県警察本部、山形県警察本部、福島県警察本部 〔公開者〕株式会社啓文社製作所 〔販売又は配布した物の内容〕出荷物として、特願2019-236995に記載した土砂侵入防止手段を備えたベルトコンベア 3)販売、配布により公開 〔販売日又は配布日〕出荷日として令和1年10月10日 〔販売場所又は配布場所〕出荷先として、千葉警察本部、岩手県警察本部、栃木県警察本部、新潟県警察本部、富山県警察本部、茨城県警察本部 〔公開者〕株式会社啓文社製作所 〔販売又は配布した物の内容〕出荷物として、特願2019-236995に記載した土砂侵入防止手段を備えたベルトコンベア 4)販売、配布により公開 〔販売日又は配布日〕出荷日として令和1年10月11日 〔販売場所又は配布場所〕出荷先として、沖縄県警察本部、福井県警察本部、群馬県警察本部、静岡県警察本部、山梨県警察本部、長野県警察本部 〔公開者〕株式会社啓文社製作所 〔販売又は配布した物の内容〕出荷物として、特願2019-236995に記載した土砂侵入防止手段を備えたベルトコンベア 5)販売、配布により公開 〔販売日又は配布日〕出荷日として令和1年10月15日 〔販売場所又は配布場所〕出荷先として警視庁 〔公開者〕株式会社啓文社製作所 〔販売又は配布した物の内容〕出荷物として、特願2019-236995に記載した土砂侵入防止手段を備えたベルトコンベア他、令和2年1月24日付け新規性の喪失の例外証明書提出書記載の6)-10)の事実
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000142643
【氏名又は名称】株式会社啓文社製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】正野 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】岡本 隆昭
(72)【発明者】
【氏名】畑中 久夫
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 伸也
(72)【発明者】
【氏名】三浦 豊
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-310632(JP,A)
【文献】特開平07-025434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/00 - 21/22
B65G 15/00 - 15/28
B65G 15/60 - 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
従動ローラ側を低く駆動ローラ側を高く配設して斜設した、搬送ベルト上に載せた土砂を上方に搬送するベルトコンベアであって、
平面視で略長方形状のコンベアフレーム体と、一端側を前記コンベアフレーム体の長手方向の端部近傍の外壁面に固定され他端側を長手方向に突設させて、他端側の端部に前記従動又は前記駆動ローラの回転軸受を嵌設した左右の側板部とを備え、
短手方向は、前記側板部の内壁面から、前記搬送ベルトの短手方向の端部より土砂が侵入しないように予め定めた前記搬送ベルト表面の短手方向の位置までを覆い、かつ、長手方向は、前記搬送ベルトの前記従動ローラ側の先端部から、前記側板部と前記コンベアフレーム体との垂直方向の隙間を覆うことができる予め定めた長手方向の位置までを覆う土砂侵入防止手段を備えることを特徴とするベルトコンベア。
【請求項2】
前記従動ローラの外郭形状を中央部の径を端部の径より大きくする略太鼓状にし、かつ、下段側の前記搬送ベルトの前記従動ローラの手前の位置に、前記搬送ベルトの横ずれが大きくなったときに短手方向のベルト端縁に当接させる、両側の前記側板部から前記搬送ベルト側にそれぞれ突設させた搬送ベルト短手方向位置規制手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のベルトコンベア。
【請求項3】
下段側の前記搬送ベルトの前記搬送ベルト短手方向位置規制手段より前記駆動ローラ寄りの部位に、前記下段側の搬送ベルトの上面及び下面に当接させる平面視又は底面視で前記駆動ローラ方向に鋭角を向けたV字形状のブラシ体を両側の前記側板部から突設させたことを特徴とする請求項1又は2に記載のベルトコンベア。
【請求項4】
前記駆動ローラの側板部の下端縁及び前記従動ローラの側板部の下端縁の形状を円弧状の下向きの凸形状にし、前記駆動ローラの側板部の上端部に長手方向に2つ並んだ上方向に凹部となる円弧状の溝を形成し、2つの前記凹部溝にそれぞれ前記駆動ローラの側板部の下端縁の円弧状部及び前記従動ローラの側板部の下端縁の円弧状部を嵌設可能とし、前記ベルトコンベアを積み重ね可能とすることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のベルトコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台を連設しかつ斜設して使用する土砂運搬に適し、土砂災害発生場所にも人による持ち運びが容易なベルトコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
土砂運搬を対象とする特許文献1には、ベルトコンベアのリターンローラ間に、コンベアベルトの両側端に立設して、リターンベルトの側端部を内側に押圧してリターンベルトを上方に湾曲した状態に保持する少なくとも一対の竪型ローラを備えたベルトコンベアが開示されている。
【0003】
特許文献2には、掘削ズリを上段ベルトコンベアから下段ベルトコンベアに落下させて搬送する機構において用いられ、 前記上段搬ベルトコンベアの下方に設けられ、コンベアベルトに付着した泥をこすり落とすスクレーパの下方に、このスクレーパを包囲する面積を有する上端開口が対向し、前記下段ベルトコンベアの上方に、下端開口が対向して配設されるとともに、振動が与えられるバイブレータを備えたベルトコンベア用泥受けシュートが開示されている。
【0004】
特許文献3には、ベルトの上面に載せられた土砂をベルトの移動により搬送するベルトコンベアにおいて、前記ベルトに当接して該ベルトの移動により回転する摩 擦車と、前記ベルトの上面の上方に配設された土砂掻き上げ羽根車と、 前記摩擦車の回転を前記土砂掻き上げ羽根車に伝達する動力伝達機構とを備え、前記土砂掻き上げ羽根車は、ベルトの上面に平行しかつ搬ベルトの移動方向と90度の向きをなして延在する回転軸と、回転軸に放射状に複数取着されその下縁が搬送ベルトの上面に臨みかつベルトの幅方向に延在する幅を有する 羽根体とで構成されている土砂搬送用ベルトコンベアが開示されている。
【0005】
特許文献4には、腐食性ガスを発生する汚泥を載せる無端状のベルトと、前記ベルトに付着した前記汚泥を洗浄する散水装置と、前記ベルトと摩擦接触して回転するプーリと、回転する前記プーリの軸を支持する軸受と、前記軸受を覆う軸受カバーとを含み、前記軸受カバーは、気体導入口を有し、 前記気体導入口から導入される気体は、前記軸受カバーの内部を陽圧に保つ汚泥搬送コンベアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-53215号公報
【文献】特開2000-318816号公報
【文献】特開平8-301427号公報
【文献】実用新案登録第3164091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の発明は、リターンベルトからの落泥・落土対策であるが、従動ローラとベルトとの間に土砂が挟まれると過負荷で異常停止するという問題があった。従動ローラとベルトとの間に土砂が挟まれると手で従動ローラを回しながらときには流水を加えて土砂を取り除かねばならないという煩わしさがあった。また、リターン側の搬送ベルトの中央部を凸形状に湾曲させるための構造を追加するため、上下方向の長さが増加し大きくなり、そのため人による持ち運びが困難であるという問題があった。
【0008】
特許文献2の発明は、ベルトが駆動ローラで回って上段から下段にきたときに、下向きに変わったベルト表面に付着している掘削ずりをスクレーパでこすり落しバイブレータで落とす技術であるが、従動ローラとベルトとの間に土砂が挟まれると過負荷で異常停止するという問題があった。従動ローラとベルトとの間に土砂が挟まれると手で従動ローラを回しながらときには流水を加えて土砂を取り除かねばならないという煩わしさがあった。また、少なくともベルトコンベアを2段にしているため上下方向の高さが高いので人による持ち運びが困難であるという問題があった。
【0009】
特許文献3の発明は、ベルトコンベアを斜設したときに、土砂掻き上げ羽根車によりベルトに載せた土砂が低い方へ流動するのを防ぐ対策であるが、従動ローラとベルトとの間に土砂が挟まれると過負荷で異常停止するという問題があった。従動ローラとベルトとの間に土砂が挟まれると手で従動ローラを回しながらときには流水を加えて土砂を取り除かねばならないという煩わしさがあった。また、土砂掻き上げ羽根車を備えるため重量的に重くなり人による持ち運びが困難であるという問題があった。
【0010】
特許文献4の考案は、プーリの軸受部分の腐食防止であるが、従動ローラとベルトとの間に土砂が挟まれると過負荷で異常停止するという問題があった。従動ローラとベルトとの間に土砂が挟まれると手で従動ローラを回しながらときには流水を加えて土砂を取り除かねばならないという煩わしさがあった。
【0011】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、搬送ベルトを左右方向で偏らないようにし、従動ローラと搬送ベルトとの間に土砂が入り込まず、人による持ち運びが容易なベルトコンベアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載のベルトコンベアは、従動ローラ側を低く駆動ローラ側を高く配設して斜設した、搬送ベルト上に載せた土砂を上方に搬送するベルトコンベアであって、平面視で略長方形状のコンベアフレーム体と、一端側を前記コンベアフレーム体の長手方向の端部近傍の外壁面に固定され他端側を長手方向に突設させて、他端側の端部に前記従動又は前記駆動ローラの回転軸受を嵌設した左右の側板部とを備え、短手方向は、前記側板部の内壁面から、前記搬送ベルトの短手方向の端部より土砂が侵入しないように予め定めた前記搬送ベルト表面の短手方向の位置までを覆い、かつ、長手方向は、前記搬送ベルトの前記従動ローラ側の先端部から、前記側板部と前記コンベアフレーム体との垂直方向の隙間を覆うことができる予め定めた長手方向の位置までを覆う土砂侵入防止手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載のベルトコンベアは、請求項1において、前記従動ローラの外郭形状を中央部の径を端部の径より大きくする略太鼓状にし、かつ、下段側の前記搬送ベルトの前記従動ローラの手前の位置に、前記搬送ベルトの横ずれが大きくなったときに短手方向のベルト端縁に当接させる、両側の前記側板部から前記搬送ベルト側にそれぞれ突設させた搬送ベルト短手方向位置規制手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載のベルトコンベアは、請求項1又は2において、下段側の前記搬送ベルトの前記搬送ベルト短手方向位置規制手段より前記駆動ローラ寄りの部位に、前記下段側の搬送ベルトの上面及び下面に当接させる平面視又は底面視で前記駆動ローラ方向に鋭角を向けたV字形状のブラシ体を両側の前記側板部から突設させたことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載のベルトコンベアは、請求項1~3のいずれかにおいて、前記駆動ローラの側板部の下端縁及び前記従動ローラの側板部の下端縁の形状を円弧状の下向きの凸形状にし、前記駆動ローラの側板部の上端部に長手方向に2つ並んだ上方向に凹部となる円弧状の溝を形成し、2つの前記凹部溝にそれぞれ前記駆動ローラの側板部の下端縁の円弧状部及び前記従動ローラの側板部の下端縁の円弧状部を嵌設可能とし、前記ベルトコンベアを積み重ね可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載のベルトコンベアは、連設したベルトコンベア間で土砂を落下させて移載するとき、あるいは斜設したベルトコンベアの傾斜角度が例えば30°のときに搬送ベルト上に載せて上昇中の土砂が落下したときに、土砂が従動ローラと搬送ベルト間に侵入するのを防ぐことができる。これにより、土砂が従動ローラと搬送ベルト間に挟まり過負荷となって異常停止することがなくなり稼働率が向上し、搬送ベルトと従動ローラ間に入り込んだ土砂をブラシや流水で取り除く煩わしさがなくなった。また、従動ローラと搬送ベルト間への土砂の入り込みによる搬送ベルトの片寄りが発生しなくなった。
【0017】
請求項2に記載のベルトコンベアは、従動ローラ近傍で搬送ベルトを偏らないようにすることができ、上側の搬送ベルトと土砂侵入防止手段との短手方向の位置関係を一定にすることができ、土砂侵入防止手段を有効に機能させることができる。
【0018】
請求項3に記載のベルトコンベアは、搬送ベルトが従動ローラに到達する前の位置で、搬送ベルトの上面及び下面に付着している土砂を払い落とすことができ、下段側の搬送ベルトの上面に付着した土砂を直接に従動ローラと搬送ベルト間に土砂を入れ込むのを防止し、下段側の搬送ベルトの下面に付着した土砂が搬送ベルト4の表面に固着し堆積するのを防ぐことができるという効果を奏する。
【0019】
請求項4に記載のベルトコンベアは、ベルトコンベアを積層させて積み重ねることができるので、ベルトコンベアを移動させるときのスペースを狭くでき、トラックで輸送が容易にでき、ベルトコンベアを小スペースに保管させることができる。
【0020】
また、前記駆動ローラの側板部の下端縁の下方に凸型で円弧状の縁に山型の凹凸形状を形成し、前記凹部に運搬用キャスターの軸を嵌入すれば、前記従動ローラ付近を人が持ち上げることによって、1名で容易にベルトコンベアを移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のベルトコンベアの左側面説明図である。
図2図1におけるA1矢視の斜視図である。
図3図1におけるA2矢視の正面説明図である。
図4図1におけるB矢視の平面説明図である。
図5図4におけるL側板部を仮に透明状態にした場合の土砂侵入防止手段の近傍における左側面説明図である。
図6図4における土砂侵入防止手段の近傍におけるC―C断面説明図である。
図7図1におけるD矢視の側面説明図である。
図8】土砂侵入防止手段の説明図で、(a)がR側板部の平面視の展開説明図で、(b)が(a)のF-F断面説明図で、(c)が(a)の左側面視の説明図で、(d)がL側板部の平面視の展開説明図である。
図9】搬送ベルト短手方向位置規制手段の説明図で、(a)が正面図で、(b)が右側面図である。
図10】コンベアフレーム体の平面視の説明図である。
図11図10におけるG-G断面図で、短手方向梁を設けた部位の左右方向断面説明図である。
図12図10におけるH-H断面図で、短手方向梁を設けない部位の左右方向断面説明図である。
図13図10におけるJ-J断面図で、コンベアフレーム体の受動プーリ側端部手前における左右方向断面説明図である、
図14】本発明のベルトコンベアを2台直列に配置した形態の説明図である。
図15】本発明のベルトコンベアを4台積み重ねた形態の説明図である。
図16】本発明のベルトコンベアを1名の人が移動させる姿の説明図である。
図17】運搬用キャスターの正面視説明図である。
図18図4におけるK-K断面であって、土砂侵入防止手段を設けない従来の場合の断面説明図で、(a)は土砂がないときの説明図で、(b)は土砂が積み込まれたときの説明図である。
図19図4におけるK-K断面であって、土砂侵入防止手段を設けた本発明の場合の断面説明図で、(a)は土砂がないときの説明図で、(b)は土砂が積み込まれたときの説明図である。
図20図4におけるN-N断面であって、本発明の土砂侵入防止手段を設けた場合の断面説明図で、土砂が積み込まれたときの説明図である。
図21図1にけるA2矢視からの図で、土砂侵入防止手段を設けない場合の従来の従動ローラ部分の説明図で、(a)は土砂がないときの説明図で、(b)は土砂が積み込まれたときの説明図である。
図22図1にけるA2矢視からの図であって図3の土砂侵入防止手段を設けた場合の従動ローラ部分に土砂が積み込まれたときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のベルトコンベア1は、土砂災害発生場所(土砂災害被害場所も含む。)において土砂の運搬を、一台ずつを斜設させながら複数台を連設して使用するときに適し、保管場所から土砂災害発生場所まで例えば4段積みで運搬させることができ、小型で軽量のため人が持ち運びでき、複数台のベルトコンベア1を連設させて長い距離を搬送させることができ、前記連設したときの前の斜設したベルトコンベア1から次の斜設したベルトコンベア1へ土砂を落下させるとき、搬送ベルト4上に載せた土砂の崩れによる落下が発生したとき、または、土砂の搬送ベルト4上への積み込みのときに、土砂が従動ローラ2と搬送ベルト4間に入り込むのを阻止できるため、土砂災害発生場所で土砂搬出の長時間の連続使用ができる。
【0023】
本発明のベルトコンベア1は、従動ローラ2側を低く駆動ローラ3側を高く配設して斜設した、搬送ベルト4上に載せた土砂を上方に搬送するベルトコンベア1であって、平面視で略長方形状のコンベアフレーム体5と、一端側を前記コンベアフレーム体5の長手方向の端部近傍の外壁面に固定され他端側を長手方向に突設させて、他端側の端部に前記従動ローラ2又は前記駆動ローラ3の回転軸受を嵌設した左右の側板部6a、6bとを備える。
【0024】
ベルトコンベア1は、全長を2~4mとしかつ段積み可能の構造としてトラックで移送ができる大きさにしている。また、ベルトコンベア1は、駆動ローラ3側の下段の搬送ベルト4の下方に、防水対策を施工されたモーター(図示なし)を配設し、前記モーターの回転をモーター軸に固定した歯車と駆動ローラ3の軸に固定した歯車とをチェーン(図示なし)で連結している。また、発電機(図示なし)と前記モーターと接続された電源プラグ(図示なし)とを電源ケーブルで接続し、かつ前記電源プラグと従動ローラ2側の側板部6aに設けた電源コンセント(図示なし)とを配線コードで接続し、前記電源コンセントを連設した他のベルトコンベア1の駆動ローラ3側の電源プラグとを電源ケーブルで接続する。
【0025】
前記ベルトコンベア1の前記モーターの起動スイッチをONにすると、前記モーターの回転がチェーンを介して駆動ローラ3を回転させ、該駆動ローラ3の回転が摩擦により搬送ベルト4を回転させ、該搬送ベルト4の回転により摩擦で側板部6aに嵌設された回転軸2aに固定された従動ローラ2が回転する。
【0026】
図14に示すように、1台のベルトコンベア1に1台の発電機と接続すれば、複数台のベルトコンベア1を1台の発電機で稼働させることができる。なお、複数台のベルトコンベアは、図14に示すように直列的に接続させることができ、あるいは直角方向に方向転換させるように接続することが可能である。
【0027】
前記複数のベルトコンベア1を接続させたときに、例えば図14に示すように接続させたときに、まず土砂はベルトコンベア1の斜上方向イの方向に上昇しながら搬送され、駆動ローラ3側の先端の位置に到達すると土砂は落下方向ロの方向に次のベルトコンベア1の従動ローラ2周囲に落下し、土砂はベルトコンベア1の斜上方向ハの方向に上昇しながら搬送される。土砂侵入防止手段を備えていない場合には、前記落下方向ロの方向で土砂が落下したときに落下した土砂が図21(b)や図18(b)に示すように前記従動ローラ2と搬送ベルト4間に入り込み過負荷が発生したり、搬送ベルト4の片寄りが発生するという問題があった。
【0028】
前記搬送ベルト4は、ベルトコンベア1を斜設したときに、図2に示すように土砂を積載させて上昇中の土砂が転がり落ちないように所定の間隔で土砂滑り止め21を配設している。なお、図2を含む全図において、Rは右側を示しLは左側を示す。
【0029】
前記コンベアフレーム体5は、図10図13に示すように平面視で略長方形状であり、上段の搬送ベルト4の裏面側に当接し搬送ベルト4表面に積載され搬送される土砂の重みを支える。前記重みに耐える強度を有するために短手方向の両側に長尺状のサイドフレーム51を固定し、かつ両サイドフレーム51間に長手方向梁構造(図示なし)を備えている。そして、搬送ベルト4を中央部は低く左右の両サイドは高くするように左右には長尺状の斜めフレーム体52が前記サイドフレーム51の上面に固定されている。なお、前記斜めフレーム体52の長手方向の端部52aは、従動ローラ2や駆動ローラ3の外周面形状に搬送ベルト4の状態を近づけるために斜面を有する蓋をしており斜めフレーム体52の内部には土砂は入らない。
【0030】
また、軽量化を図るために前記コンベアフレーム体5の材質はアルミニウムが好ましい。前記コンベアフレーム体5が上段の搬送ベルト4と下段の搬送ベルト4との間の壁となるので、上段の前記搬送ベルト4上に積載され移動中の土砂は下段の搬送ベルト4上に落下しない。
【0031】
前記サイドフレーム51は曲げ強さを確保するため断面係数を高くする断面形状にし、例えば図11図13に示すように四角枠形状や円筒形状などの筒状体がある。また、図11に示すように前記サイドフレーム51の下端には所定の間隔を設けて左右の側フレーム51間を連結する短手方向梁53を配設している。そして前記短手方向梁53を配設しない部位は図12に示すように左右の側フレーム51間は空間としている。
【0032】
前記側板部6a、6bは、図10又は図13に示すように、一端側を、前記コンベアフレーム体5の短手方向の両端につまり前記サイドフレーム51の外壁面に接して、かつ前記コンベアフレーム体5の長手方向の両端部につまり前記サイドフレーム51の長手方向の端部近傍にボルト等の締結手段で固定される。そして、前記側板部6a、6bの他端は長手方向に突出させて、前記側板部6a、6bは、図5図6図13に示すように、側面視で板状の形状をした形態である。そして、突出させた部位の他端側の端部に従動ローラ2又は駆動ローラ3の回転軸2a等の回転軸受を嵌設している。
【0033】
図14に示すように、上段の搬送ベルト4の前記従動ローラ2近傍に土砂が落下して載せられ前記駆動ローラ3側に向かって上昇しながら搬送される。このときに、複数のベルトコンベア1をつないだとときの前の斜設したベルトコンベア1から次の斜設したベルトコンベア1へ土砂を落下させるとき、搬送ベルト4上に載せた土砂の崩れによる落下が発生したとき、または、土砂への搬送ベルト4上への積み込みのときに、土砂が従動ローラ2と搬送ベルト4間に入り込むことによって過負荷となって作動停止になったり、搬送ベルト4が横ずれするという問題があった。そこで、発明者は土砂侵入防止手段7を想到した。
【0034】
前記土砂侵入防止手段7は、図2図6図13に示すように、短手方向は、前記側板部6aの内壁面から、前記搬送ベルト4の短手方向の端部より土砂が侵入しないように予め定めた前記搬送ベルト4表面の短手方向の位置までを覆い、かつ、長手方向は、前記搬送ベルト4の前記従動ローラ6a側の先端部から、前記側板部6aと前記コンベアフレーム体5との垂直方向の隙間Sを覆うことができる予め定めた長手方向の位置までを覆う。前記隙間Sは、平面視では前記側板部6aの取付金具16の短手方向の内壁面と前記搬送ベルト4端部との隙間に該当し、垂直方向では前記側板部6aの取付金具16及び覆体15の下面と、前記斜めフレーム体52のサイドフレーム体51への当接面となるフランジ部位の上面との隙間に該当する。
【0035】
前記土砂侵入防止手段7は、右側の前記土砂侵入防止手段7の平面視の展開説明図を図8(a)に示し、左側の前記土砂侵入防止手段7の平面視の展開説明図を図8(e)に示している。前記土砂侵入防止手段7は、図8(c)又は(d)に示すように取付金具16により前記側板体6aにボルト等を使用して固定される。
【0036】
そして、図8(a)におけるF-F断面図を図8(b)に示すように、板状のゴム製板の覆体15と取付金具16とを備え、前記取付金具16は鋭角に曲げた形態にし、前記ゴム製板が前記搬送ベルト4の表面に押し付けるようにしている。これにより前記搬送ベルト4上に載った土砂は前記搬送ベルト4の短手方向の端部より侵入しない。前記鋭角の角度は、図19に示すように搬送ベルト4の斜面に沿うことができる角度に設定する。
【0037】
また、図13に示すように側板部6aと斜めフレーム体52との間に左右方向の隙間Sがあるので、この隙間Sから土砂が従動ローラ2側に入り込むのを阻止するため、図8(d)に示すように切欠き部17で折り曲げ、図5の締結部位Tに示すように、側板部6aの駆動ローラ3側を前記斜めフレーム体52の前記サイドフレーム51に当接している上面に当接させてボルトにより固定する。
【0038】
これにより、従動ローラ2と搬送ベルト4間に土砂が入り込む可能性がある、前記搬送ベルト4の短手方向の端部からの土砂の侵入、前記搬送ベルト4の前記従動ローラ2側の先端部からの土砂の侵入、前記側板部6aと前記コンベアフレーム体5との隙間Sからの土砂の侵入及び前記側板部6aと前記搬送コンベア4との間からの土砂の侵入を防ぐことができる。
【0039】
前記覆体15の材質としては例えばゴム製板、樹脂製板又は繊維製板等が該当するが、曲げ変形可能な弾性を有し搬送ベルト4の表面を押さえる力の剛性を有する材質であればよい。
【0040】
次に、図14に示すようにベルトコンベア1を複数台連設したときに、前のベルトコンベア1から土砂90が次のベルトコンベア1に向けて落下したときの従動ローラ周辺について、土砂侵入防止手段7の有無の効果を説明する。図1におけるA2矢視、図4におけるK-K断面、N-N断面について比較する。
【0041】
まず、図1におけるA2矢視での比較をする。土砂侵入防止手段7の有の形態を図3に示し、この場合の土砂の落下状態を図22に示し、土砂侵入防止手段7の無の形態を図21(a)に示し、この場合の土砂の落下状態を図21(b)に示している。
【0042】
土砂侵入防止手段7を備えていない形態の場合は、図21(b)に示すように、土砂90が従動ローラ2表面に落下しており土砂90が搬送ベルト4と従動ローラ2間に入り込む。一方、本発明の土砂侵入防止手段7を備えた形態の場合は、図22に示すように土砂90は従動ローラ2に落下しない。
【0043】
次に、図4におけるK-K断面での比較をする。土砂侵入防止手段7の有の形態を図19(a)に示し、この場合の土砂の落下状態を図19(b)に示し、土砂侵入防止手段7の無の形態を図18(a)に示し、この場合の土砂の落下状態を図18(b)に示している。
【0044】
土砂侵入防止手段7を備えていない形態の場合は、図18(b)に示すように、土砂90が側板部6aと斜めフレーム体52との間の隙間Sに落下しており、従動ローラ2を低くした斜設した状態で使用するので搬送ベルト4の回転稼働による振動などにより土砂90が徐々にずり落ち土砂90が図21(b)に示すように従動ローラ2の表面に落下してくる。そして土砂90が搬送ベルト4と従動ローラ2間に入り込む。一方、本発明の土砂侵入防止手段7を備えた形態の場合は、図19(b)に示すように土砂90は側板部6aと斜めフレーム体52との間の隙間Sに落下しない。
【0045】
次に、図4におけるN-N断面での比較をする。図8(a)や(d)に示すように土砂侵入防止手段7に切欠き部17を形成して折り曲げ末端部を斜めフレーム体52のサイドフレーム体51との当接部にボルト等の締結手段で取り付けた場合の効果を説明する。土砂侵入防止手段7の有の形態及び土砂90の状態を図20に示し、土砂侵入防止手段7の無の形態を図18(a)に示し、この場合の土砂の落下状態を図18(b)に示している。
【0046】
前記N―N断面の位置は土砂侵入防止手段7が固設された位置から長手方向で駆動ローラ3側に寄った位置であるが、図18(b)に示すように、土砂90が側板部6aと斜めフレーム体52との間の隙間Sに落下している。すると、土砂侵入防止手段7の無の形態の場合は、従動ローラ2を低くした斜設した状態で使用するので搬送ベルト4の回転稼働による振動などにより土砂90が徐々にずり落ち土砂90が図21(b)に示すように従動ローラ2の表面に落下してくる。一方、図5図20に示すように、本発明の土砂侵入防止手段7を備えた形態の場合は、土砂90が隙間S内で徐々にずり落ちてきても土砂侵入防止手段7で阻止することができる。
【0047】
次に、図3に示すように、前記従動ローラ2又は駆動ローラ3はその外郭形状を中央部の径を端部の径より大きくする略太鼓状にし、これにより搬送ベルト4を横ずれしにくくしている。そして、図9(a)や(b)に示すような前記搬送ベルト4の短手方向の位置規制手段8が、図5図7に示すように、下段側の前記搬送ベルト4の前記従動ローラ2の手前の位置に、前記搬送ベルト4の横ずれが大きくなったときに搬送ベルト4の短手方向の端縁に当接させるように、両側の前記側板部6aから前記搬送ベルト4側にそれぞれ突設させている。
【0048】
次に、平面視又は底面視でV字形状の形態の前記ブラシ体9a、9bが、図5図7に示すように、
下段側の前記搬送ベルト4の前記搬送ベルト短手方向位置規制手段8より前記駆動ローラ3寄りの部位に、前記下段側の搬送ベルト4の上面及び下面に当接させる平面視又は底面視で前記駆動ローラ3方向に鋭角を向けたV字形状のブラシ体9a、9bを両側の前記側板部から突設させている。前記ブラシ体9aが前記下段の搬送ベルト4の上面に当接し、前記ブラシ体9bが前記下段の搬送ベルト4の下面に当接し、前記下段側の搬送ベルトをブラシ体9aとブラシ体9bで挟み込んでいる。
【0049】
前記ブラシ体9aにより、下段から上段に移動する搬送ベルト4の裏面に付着した土砂を払い除くので、前記従動ローラ2と前記搬送ベルト4間に土砂が入り込まない。また、前記ブラシ体9bにより、下段から上段に移動する搬送ベルト4の表面に付着した土砂を払い除くので、土砂が搬送ベルト4の表面に固着し堆積するのを防ぐことができる。
【0050】
次に、左右の前記側板部6aの円弧状の下端近傍には、図2図4図7に示すように複数の横棒13を備えて前記従動ローラ2や搬送ベルト4に土砂が付着しないようにしている。
【0051】
次に、図1図5図15に示すように、前記駆動ローラ3の側板部6bの下端縁及び前記従動ローラ2の側板部6aの下端縁の形状を円弧状の下向きの凸形状にし、前記駆動ローラ3の側板部6bの上端部に長手方向に2つ並んだ上方向に凹部12となる円弧状の溝を形成し、2つの前記凹部12の溝にそれぞれ前記駆動ローラ3の側板部6bの下端縁の円弧状部及び前記従動ローラ2の側板部6aの下端縁の円弧状部を嵌設可能とし、前記ベルトコンベア1を積み重ね可能としている。
【0052】
次に、図17に示すような左右の車輪31と軸32を備えた運搬用キャスター30の軸32を、図16に示すように、従動ローラ2側に比較して重量的に重い駆動ローラ3側の側板部6bの下端縁の凹凸部の凹部に嵌入させることにより人80が1名でベルトコンベア1を移動させることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ベルトコンベア
2 従動ローラ
2a 回転軸
3 駆動ローラ
4 搬送ベルト
5 コンベアフレーム体
6a 側板部
6b 側板部
7 土砂侵入防止手段
8 位置規制手段
9a ブラシ体
9b ブラシ体
11 円弧状部
12 凹部
13 横棒
15 覆体
16 取付金具
17 切欠き部
21 土砂滑り止め
30 運搬キャスター
31 車輪
32 軸
51 サイドフレーム
52 斜めフレーム体
52a 端部
53 短手方向梁
54 メインフレーム板
54a 端部
80 人
90 土砂
S 隙間
T 締結部位
図1
図2
図3
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