(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】内視鏡用処理装置、内視鏡、及び拡張型ステント
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20220128BHJP
A61B 1/018 20060101ALI20220128BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B1/018 515
A61B1/00 622
(21)【出願番号】P 2019539914
(86)(22)【出願日】2018-01-04
(86)【国際出願番号】 CN2018071404
(87)【国際公開番号】W WO2018133677
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2019-11-01
(31)【優先権主張番号】201710058825.2
(32)【優先日】2017-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519263109
【氏名又は名称】杭州安杰思医学科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hangzhou AGS MedTech Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building 6,No.597.Kangxin Road,Yuhang District,Hangzhou,Zhejiang,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】時 百明
(72)【発明者】
【氏名】李 鵬
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/086753(WO,A1)
【文献】特開2004-261581(JP,A)
【文献】特表2016-501685(JP,A)
【文献】特表2014-529427(JP,A)
【文献】特表2009-544347(JP,A)
【文献】特表2009-534113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 1/018
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気処理部及び操作ワイヤを備える第1の電極と、
内視鏡の遠位端に取り付けるための第2の電極であって、人体に接触するための第1の導電部、及び前記第1の導電部に電気的に接続されている摺動接触部を備える第2の電極と、
表面に第2の導電部が設けられているシースと、を備え、
前記操作ワイヤは前記シース内に穿設されており、前記シースは内視鏡内に穿設するためのものであり、前記シースが予定位置にあるとき、前記摺動接触部は前記第2の導電部に接触して電気的に接続され、前記シースは前記摺動接触部と摺動係合することを特徴とする内視鏡用処理装置。
【請求項2】
前記内視鏡外に被設するための拡張型ステントをさらに備え、前記第1の導電部は前記拡張型ステントの外周に設けられ、
前記第1の導電部は前記拡張型ステントに設けられており、前記第1の導電部の人体に接触するための部分と前記内視鏡の軸心との距離は前記内視鏡の半径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用処理装置。
【請求項3】
前記拡張型ステントの外周面には導電材料が設けられており、前記導電材料により前記第1の導電部が構成されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用処理装置。
【請求項4】
前記シースの外面には導電材料が1層設けられており、前記導電材料により前記第2の導電部が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用処理装置。
【請求項5】
前記シースには第1のキャビティ及び第2のキャビティが設けられており、前記操作ワイヤは前記第1のキャビティ内に穿設されており、前記第2のキャビティ内には、前記第2の導電部に電気的に接続されている第3の導電部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用処理装置。
【請求項6】
前記第2の導電部は前記シースの周方向に前記シースを一周取り囲むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内視鏡用処理装置。
【請求項7】
前記摺動接触部は第5の導電部と第6の導電部とを備え、前記第6の導電部は前記第1の導電部に電気的に接続されており、前記第5の導電部は前記第6の導電部に接続されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内視鏡用処理装置。
【請求項8】
前記拡張型ステントは、前記内視鏡外に被設するためのスリーブと、前記スリーブに接続されている可撓性部又は弾性部とを備え、前記摺動接触部は前記スリーブ内側に固定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の内視鏡用処理装置。
【請求項9】
内視鏡の遠位端に取り付けるための拡張型ステントであって、前記拡張型ステントの外周面の直径は前記内視鏡の外周面の直径よりも大きく、前記拡張型ステントには第1の導電部、及び前記第1の導電部に電気的に接続されている摺動接触部が設けられており、前記第1の導電部は、人体組織に接触するために前記拡張型ステントの外周に設けられており、前記摺動接触部は
内視鏡用処理装置の第2の導電部に接触するとともに電気的に接続され
、
前記内視鏡用処理装置は、
電気処理部及び操作ワイヤを備える第1の電極と、
外面には前記第1の導電部に電気的に接続するための前記第2の導電部が設けられているシースを備え、
前記シースは内視鏡内に穿設するためのものであり、前記シースには第1のキャビティ及び第2のキャビティが設けられており、前記操作ワイヤは前記第1のキャビティ内に穿設されており、前記第2のキャビティ内には、前記第2の導電部に電気的に接続されている第3の導電部が設けられていることを特徴とする拡張型ステント。
【請求項10】
内視鏡外に被設するためのスリーブと、前記スリーブに接続されており、内視鏡に画像を取得させるための透明又は半透明な透明キャップとを備えることを特徴とする請求項
9に記載の拡張型ステント。
【請求項11】
内視鏡外に被設するためのスリーブと、前記スリーブに接続されている可撓性部又は弾性部とを備え、前記摺動接触部は拡張型ステントの内側に固定されていることを特徴とする請求項
9又は
10に記載の拡張型ステント。
【請求項12】
外周面には導電材料が設けられており、前記導電材料により前記第1の導電部が構成されていることを特徴とする請求項
11に記載の拡張型ステント。
【請求項13】
前記内視鏡用処理装置の前記第2の導電部は前記シースの外面に設けられていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の拡張型ステント。
【請求項14】
前記内視鏡用処理装置の前記シースの外面には導電材料が1層設けられており、前記導電材料により前記第2の導電部が構成されていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の拡張型ステント。
【請求項15】
前記内視鏡用処理装置の前記第2の導電部は前記シースの周方向に前記シースを一周取り囲むことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載の拡張型ステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療機器の分野に属し、具体的には、内視鏡用処理装置、内視鏡、及び拡張型ステントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡を介して生体組織などを処理する内視鏡用バイポーラ処理具が知られている。このような内視鏡用バイポーラ処理具には、例えば、生体組織に対して切開、焼灼、止血などの処理を行うために処理具に高周波電流を通電する機能を有するものがある。
【0003】
このような内視鏡用処理具の例として、特許文献CN102413786Bには、高周波電流を通電するポリープ切除スネアにより生体組織を切開する高周波切開具が記載されている。電線、延長部の外周に配置されているパッシブ電極、パッシブ電極に接触している生体組織、ポリープ切除スネア、及び操作ワイヤが供給電極と導通することにより電流回路を形成し、ポリープ切除の作業を完了する。また、特許CN205697995Uには、制御部、絶縁シース、切断部を備えるバイポーラ切開ナイフであって、制御部の遠位端は絶縁シースの近位端に接続されており、切断部は、切断極、パッシブ電極、切断極と導通可能な切断極端子、パッシブ電極と導通可能なパッシブ電極端子、切断極と切断極端子を接続している切断極導体、及びパッシブ電極とパッシブ電極端子を接続しているパッシブ電極導体を備え、切断極、パッシブ電極は、絶縁シースの遠位端に設けられており、それぞれ切断極導体及びパッシブ電極導体により制御部に接続されているバイポーラ切開ナイフが記載されている。
【0004】
しかしながら、上記技術方案は、いずれも次のように改善できるところがある。第1に、アクティブ電極(即ち、前記高周波処理部及び切断部)の熱効果が顕著ではなく、切断速度が遅いので、臨床適用が広くない。第2に、パッシブ電極と組織との接触面積が小さいので、意図しない組織の火傷の発生のリスクがある。第3に、パッシブ電極とアクティブ電極の両者が接近するので、両極が互いに接触する又は電流が両者間の組織液を流れることによりショート不良が発生するリスクがある。第4に、内視鏡用手術器具には、スネア、パピロトームのほか、電気凝固鉗子、生検鉗子、針状ナイフといった、切開、焼灼、止血などの作業を実施するために通電を必要とする処理具があり、上記技術方案のパッシブ電極の汎用性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づいて、本発明は、従来技術の欠点を克服し、構造設計が合理的であり、切断速度が速く、パッシブ電極による火傷のリスクが低く、かつ汎用性を有する内視鏡用処理装置、内視鏡、及び拡張型ステントを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
技術方案は以下のとおりである。
内視鏡用処理装置は、電気処理部及び操作ワイヤを備える第1の電極と、内視鏡に取り付けるための第2の電極であって、人体に接触するための第1の導電部、及び前記第1の導電部に電気的に接続されている摺動接触部を備える第2の電極と、表面に第2の導電部が設けられているシースとを備え、前記操作ワイヤは前記シース内に穿設されており、前記シースは内視鏡内に穿設するためのものであり、前記シースが予定位置にあるとき、前記摺動接触部は前記第2の導電部に接触して電気的に接続され、前記シースは前記摺動接触部と摺動係合する。
【0007】
一実施例において、前記内視鏡外に被設するための拡張型ステントをさらに備え、前記第1の導電部は前記拡張型ステントの外周に設けられ、前記第1の導電部は前記拡張型ステントに設けられており、前記第1の導電部の人体に接触するための部分と前記内視鏡の軸心との距離は前記内視鏡の半径よりも大きい。
【0008】
一実施例において、前記拡張型ステントの外周面には導電材料が設けられており、導電材料により前記第1の導電部が構成されている。
【0009】
一実施例において、前記拡張型ステントは、前記内視鏡外に被設するためのスリーブと、前記スリーブに接続されている可撓性部又は弾性部とを備え、前記摺動接触部は前記可撓性部又は弾性部に接続されている。
【0010】
一実施例において、前記シースの外面には導電材料が1層設けられており、導電材料により前記第2の導電部が構成されている。
【0011】
一実施例において、前記シースには第1のキャビティ及び第2のキャビティが設けられており、前記操作ワイヤは前記第1のキャビティ内に穿設されており、前記第2のキャビティ内には、前記第2の導電部に電気的に接続されている第3の導電部が設けられている。
一実施例において、前記第2の導電部は前記シースの周方向に前記シースを一周取り囲む。
一実施例において、前記摺動接触部は第5の導電部と第6の導電部とを備え、前記第6の導電部は前記第1の導電部に電気的に接続されており、前記第5の導電部は前記第6の導電部に接続されている。
一実施例において、前記拡張型ステントは、前記内視鏡外に被設するためのスリーブと、前記スリーブに接続されている可撓性部又は弾性部とを備え、前記摺動接触部は前記スリーブ内側に固定されている。
【0012】
内視鏡用処理装置は、電気処理部及び操作ワイヤを備える第1の電極と、外面には内視鏡における第1の導電部に電気的に接続するための第2の導電部が設けられているシースを備え、前記シースには第1のキャビティ及び第2のキャビティが設けられており、前記操作ワイヤは前記第1のキャビティ内に穿設されており、前記第2のキャビティ内には、前記第2の導電部に電気的に接続されている第3の導電部が設けられている。
【0013】
一実施例において、前記第2の導電部は前記シースの外面に設けられている。
一実施例において、前記シースの外面には導電材料が1層設けられており、導電材料により前記第2の導電部が構成されている。
【0014】
一実施例において、前記シースには第1のキャビティ及び第2のキャビティが設けられており、前記操作ワイヤは前記第1のキャビティ内に穿設されており、前記第2のキャビティ内には、前記第2の導電部に電気的に接続されている第3の導電部が設けられている。
【0015】
一実施例において、前記第2の導電部は前記シースの周方向に前記シースを一周取り囲む。
【0016】
内視鏡に取り付けるための拡張型ステントであって、前記拡張型ステントの外周面の直径は前記内視鏡の外周面の直径よりも大きく、前記拡張型ステントには、第1の導電部、及び前記第1の導電部に電気的に接続されている摺動接触部が設けられており、前記第1の導電部は、人体組織に接触するために前記拡張型ステントの外周に設けられており、前記摺動接触部は前記いずれか1項に記載の内視鏡用処理装置の第2の導電部に接触するとともに電気的に接続されている。
【0017】
一実施例において、前記拡張型ステントの外周面には導電材料が設けられており、導電材料により前記第2の導電部が構成されている。
一実施例において、前記拡張型ステントは、内視鏡外に被設するためのスリーブと、前記スリーブに接続されており、内視鏡に画像を取得させるための透明又は半透明な透明キャップとを備える。
【0018】
一実施例において、前記拡張型ステントは、内視鏡外に被設するためのスリーブと、前記スリーブに接続されている可撓性部又は弾性部とを備え、前記摺動接触部は前記拡張型ステントの内側に固定されている。
【0019】
内視鏡であって、内視鏡の外面には人体に接触するための第1の導電部が設けられており、内視鏡には内視鏡用処理装置を穿設するための機器通路が設けられており、内視鏡には第4の導電部が設けられており、前記第1の導電部と前記第4の導電部とは電気的に接続されている。
【0020】
一実施例において、内視鏡外に取り付けられている拡張型ステントをさらに備え、前記第1の導電部は前記拡張型ステントに設けられる。
【0021】
一実施例において、前記内視鏡には内視鏡の外周面と前記機器通路とを連通する接続ビアが設けられており、前記接続ビア内には前記第1の導電部と前記第4の導電部とを電気的に接続するように導電材料が設けられている。
【0022】
一実施例において、内視鏡の遠位端の端面には、前記第1の導電部と前記第4の導電部とを電気的に接続するように導電材料が設けられている。
【0023】
内視鏡外に取り付けるための拡張型ステントであって、前記拡張型ステントには、人体に接触するための第1の導電部、及び第1の導電部に電気的に接続されており供給電極に電気的に接続するための第4の導電部が設けられている。
【0024】
一実施例において、前記第4の導電部は、内視鏡内に穿設する又は内視鏡外に設けるための導線である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0026】
第1の電極により人体に対して電気的操作を行い、人体に流れ込む電流が第2の導電部により回路を構成し、人体の全身を流れることなく、人体の他の臓器又は電子装置(例えば、ペースメーカー)に対する損害を回避し、操作全体が安全である。電気的要求を満たすことができれば、第2の電極を内視鏡のいずれの位置に設けてもよく、第2の導電部と人体との接触面積の大きさを十分に確保し、電流を十分に取り出す。内視鏡本体の外側と組織との接触空間を十分に利用することで、帰還経路のうち、人体組織から電流を取り出す接触部分の導電面積を大きくし、火傷のリスクを低減させるとともに、熱効果をさらに向上させ、内視鏡手術の安全性及び操作効率を向上させ、内視鏡用処理装置のさらなる臨床普及と適用のための保証を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】本発明の実施例1に係る内視鏡用処理装置及び内視鏡組み立ての模式図である。
【
図1B】本発明の実施例1に係る内視鏡用処理装置及び内視鏡組み立ての模式図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る拡張型ステントが内視鏡用処理装置に取り付けられている模式図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る第2の導電体の複数の配置方式を示す図である。
【
図5A-5C】本発明の実施例1に係る拡張型ステントの他の実施形態の模式図である。
【
図6A-6C】本発明の実施例2に係る内視鏡用処理装置及び内視鏡組み立ての模式図である。
【
図7A-7B】本発明の他の実施形態の模式図である。
【
図8A-8F】本発明の他の実施形態の模式図である。
【
図9-13】本発明の他の実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の実施形態はこれに限られない。
【0029】
実施例1
図1A~
図3に示すように、内視鏡用処理装置は、電気処理部及び操作ワイヤ20を備える第1の電極と、内視鏡(図示せず)に設けるための第2の電極であって、人体に接触するための第1の導電部51、及び第1の導電部51に電気的に接続されている摺動接触部53を備える第2の電極と、表面に第2の導電部52が設けられているシース10とを備え、操作ワイヤ20はシース10内に穿設されており、シース10は内視鏡内に穿設されており、シース10は、内視鏡の機器通路内で前後に移動することができる。具体的には、シース10は、内視鏡の機器通路403を貫通しており、身体の外部に接続されている駆動部30(その上にスライドリング31を有する)により機器通路403内で進退自在になるように制御される。
【0030】
図2示すように、シース10には、軸線方向に延びており、両端が開口している第1のキャビティ11が形成されており、シース10は、絶縁性を有する材料で構成され、例えば、
絶縁性の樹脂などで形成されている。また、シース10は、生体内に管腔組織等に沿って湾曲して進退可能な程度まで柔軟になるように構成することが好ましい。
【0031】
図1A、1B及び
図4に示すように、シース10には第1のキャビティ11及び第2のキャビティ12が設けられており、第1のキャビティ11内には導電可能な操作ワイヤ20が進退自在に貫通しており、当該操作ワイヤ20の遠位端には、電気操作部(後述するESDナイフ222、電気スネア221、電気凝固鉗子223、電気生検鉗子224、パピロトーム225を含むが、これらに限られない)を有する。本実施例においては電気スネアである。当該操作ワイヤ20は導電性を有し、その近位端が供給電極60のアクティブ電極62(本発明においては、供給電極60は、パッシブ電極、アクティブ電極62に分けられている。詳細は
図14を参照されたい)に電気的に接続されている。操作ワイヤ20は本実施例において導電性を有する(ひいては、操作ワイヤ20と電気操作部は一体化した導体であってもよい)が、具体的な材料性能は限定されず、電気操作部の進退を操作できればよい。操作ワイヤ20自体は導電性を有しておらず、導電接続の目的を達成するように電気操作部と電極との間に導線を別途接続してもよい。
【0032】
内視鏡の先端には拡張型ステントが被設されており、
図2及び
図3に示すように、拡張型ステントは内視鏡外に被設されているスリーブ411及び透明キャップ41を備える。透明キャップ41は、透明絶縁材料で構成され、内視鏡のレンズ402(
図1A、
図2に示す)の一部の視野を遮蔽することができる。透明キャップ41を介して、内視鏡に画像を取得させることができる。第1の導電部51はスリーブの外周に設けられており、スリーブの外周面の直径は内視鏡の外周面の直径よりも大きい。摺動接触部53は拡張型ステントに設けることができる。
【0033】
図5A、5B、5Cには、拡張型ステント42が内視鏡用処理装置に取り付けられている他の実施形態をさらに示す。使用時、拡張型ステント42は内視鏡本体401の遠位端に取り付けられ、第1の導電部51は拡張型ステントの外周に設けられている。第1の導電部51は表面積が大きく人体組織に十分に接触することができる。好ましくは、第1の導電部51は、拡張型ステント42の外周面に導電材料が設けられており、導電材料により第1の導電部51が構成されるように構成されてもよく、必要に応じて導電材料の種類を選択することができる。また、摺動接触部53は拡張型ステント42に設けられており、導電性を有し、摺動接触部53は、一部が第一導電部51に電気的に接続されており、他の一部がシースの外周と緊密に係合して第2の導電部52と電気的に導通していることが好ましい。
【0034】
なお、前記実施例において透明キャップ41が設けられている拡張型ステント42は、前記2つの構造に限定されず、組織の側壁に密着可能でありシースよりも大きい表面積を有する内視鏡に用いられる補助装置であれば、第1の導電部51をその外周面に付着させ、摺動接触部53により第2の導電部52と導通することで、同様の作用を奏することができる。
図7Aに示すように、拡張型ステント42は、内視鏡外に被設するためスリーブ411’と、スリーブ411’に接続されている可撓性部又は弾性部412とを備え、摺動接触部53は、拡張型ステントの内側又はスリーブ411’の内側に固定されていることが好ましい。可撓性部又は弾性部412は、摺動接触部53に一定の緩衝を提供し、又は一定の圧力を加えることにより摺動接触部53を第2の導電部52に電気的に接触させ、摺動接触部53に第2の導電部52との電気的接続を常に維持させる。
【0035】
さらに、
図2及び
図3に示すように、第2の導電部52は、シース10の前段外周の頂端L1に近い箇所に固定されており、導電性を有する。第2の導電部52の外径は機器通路403の内径以下である。また、
図1B及び
図4を参照すると、シース10には第2のキャビティ12が設けられており、導電機能を有する第3の導電部54は第2のキャビティ12にパッケージされており、第2の導電部52は第3の導電部54と電気的に導通している。また、第2の導電部52は、第3の導電部54を介して供給電極60のパッシブ電極61に電気的に接続されており、外部電源から電気スネアに給電する。しかし、これに限られず、シース10の外面に導電材料が1層設けられ、導電材料により第2の導電部52を構成してもよい。必要に応じて導電材料の種類を選択することができる。導電材料層は少なくともシース10の外周面の一部を覆っており、導電材料層は、余計な体積の増加を減らすために薄く製作することができる。内視鏡の機器通路内でのシース10の動きに寄与するために導電材料層を平滑に製作することが好ましい。
【0036】
第3の導電部54は本実施例においてシース12にパッケージされているが、シースにおける具体的な位置は限定されず、第1のキャビティ11内の電気スネア221と電気的に分離して最終的に第1の導電部51に電気的に接続すればよい。
図4に、第3の導電部54のシース12における複数の配置方式を示す。
【0037】
第3の導電部54は本実施例において直線状であるが、具体的な形状及び構造は限定されず、第1の導電部51を供給電極に電気的に接続するとともに可撓性管腔に適合して湾曲可能であればよい。
【0038】
以下、本発明の作業方式を説明する。内視鏡手術操作の開始前に、第1の導電部51付きの拡張型ステント42を内視鏡本体401の遠位端に取り付け、さらに、電気スネア221付きのシース10を内視鏡の機器通路403に挿入する。続いて、内視鏡を人体管腔(例えば、消化管、膣)に挿入しながら、レンズ402から戻ってきた画像を観察する。病巣に達すると、駆動部30におけるスリップリング31を操作し、電気スネア221を切除予定の組織に被せると同時に、第1の導電部51を側壁の組織70に密着させる。最後に、供給電極60を起動させ、電流が供給電極60のアクティブ電極62、電気スネア221、切除予定の組織、帰還経路50(
図12に示すように、帰還経路50は第1の導電部51、摺動接触部53、第2の導電部52、第3の導電部54を含む)を介して供給電極60のパッシブ電極61に戻して回路を形成する。また、電気スネア221と切除予定の組織との接触箇所に高熱を発生させて組織を切除する。帰還経路50の構成について、シース10が予定位置にあると、摺動接触部53は第2の導電部52に接触して電気的に接続され、シース10は摺動接触部53と摺動係合する。当該予定位置は、必ずしも1点ではなく、シース10が一定の範囲内で摺動する場合に摺動接触部53と第2の導電部52とは常に接触して電気的に導通可能であるように設計することができる。よって、第1の導電部51、摺動接触部53、第2の導電部52、第3の導電部54は人体内から電流を取り出す帰還経路50を構成する。従来の内視鏡用機器は、帰還経路50を設けない、または、他の方式により電流を取り出すが、本発明のように人体との信頼可能な電気的連通を維持できず、不測の損害を引き起こしやすい。第1の導電部5と電気操作部が接近し、人体に流れ込む電流が第1の導電部51により、人体の全身を流れることなく引き出されるので、より大きい電流を採用することができ、従来の電気スネア221では得られない電熱効率を得ることができ、より大きい電流が病巣を流れることにより、熱がより多く発生する。全文にわたって、アクティブ電極、パッシブ電極61についての説明は、同一の回路における電流の向きを認識しやすくするためものに過ぎず、実際の電流の向きを限定するものではなく、通常、形成された回路に流れる電流は、周波数20KHZ以上の高周波交流電流である。
【0039】
なお、上記した電気的接触、電気的接続とは、電流の伝導が実際に起こり得ることを意味し、このような接触は、2つのエンティティが直接接触してもよいし、エンティティ自体は接触しない(隙間がある)が、人体内の導電液体(例えば、組織液、分泌液など)を介して電流の伝導を完了することができる。
【0040】
本実施例の好ましい方案及び有益な効果は以下のとおりである。
【0041】
1、内視鏡用処理装置は、人体に対して電気的操作(感電、電熱、電気焼灼などの作用を含むが、これらに限られない)を行うための電気処理部、及び操作ワイヤ20を備える第1の電極と、内視鏡に取り付けるための第2の電極であって、人体に接触するための第1の導電部51、及び第1の導電部51に電気的に接続されている摺動接触部53を備える第2の電極と、表面に第2の導電部52が設けられているシース10とを備え、操作ワイヤ20はシース10内に穿設されており、シース10は内視鏡内に穿設されており、シース10は内視鏡の機器通路内で前後に移動することができ、シース10が予定位置にあるとき、摺動接触部53は第2の導電部52に接触して電気的に接続され、シース10は摺動接触部53と摺動係合する。
【0042】
第1の電極により人体に対して電気的操作を行い、人体に流れ込む電流が第2の導電部52により回路を構成し、人体の全身を流れることなく、人体の他の臓器又は電子装置(例えば、ペースメーカー)に対する損害を回避し、操作全体が安全である。電気的要求を満たすことができれば、第2の電極を内視鏡のいずれの位置に設けてもよく、第2の導電部52と人体との接触面積の大きさを十分に確保し、電流を十分に取り出す。
【0043】
2、内視鏡用処理装置は内視鏡外に被設するための拡張型ステント42をさらに備え、第1の導電部51は拡張型ステント42の外周に設けられており、第1の導電部51の人体に接触するための部分と内視鏡との軸心の距離は内視鏡の半径よりも大きい。拡張型ステント42により第1の導電部51の人体に接触するための部分と内視鏡の軸心との距離を大きくする。シース10が内視鏡内に穿設されるので、第1の導電部51が優先的に人体に接触し、第1の導電部51と人体の接触の信頼性を確保し、漏電を回避する。
【0044】
電気的要求を満たすことができれば、拡張型ステント42を内視鏡のいずれの位置に設けてもよい。電流が人体を流れる経路を短くするために、拡張型ステントを内視鏡の遠位端に設け、拡張型ステントを第1の電極の電気操作部にできるだけ接近させることが好ましい。
【0045】
3、拡張型ステント42の外周面には導電材料が設けられており、導電材料により第1の導電部51が構成されている。必要に応じて導電材料の種類を選択することができる。導電材料層は少なくとも拡張型ステント42の外周面の一部を覆っており、導電材料層は、余計な体積の増加を減らすために薄く製作することができる。人体に対する損害を小さくするために導電材料層を平滑に製作することが好ましい。拡張型ステントは本実施例では円筒状であるが、これに限られず、拡張型ステントの内視鏡への取り付けができれば、他の形状を採用してもよい。
【0046】
4、拡張型ステント42は、内視鏡外に被設するためのスリーブと、スリーブに接続されており内視鏡に画像を取得させるための透明又は半透明な透明キャップとを備える。拡張型ステント42のキャップにおける内視鏡の光学デバイス(レンズ、照明を含むが、これらに限られない)を遮蔽する部分を、透明又は半透明な透明キャップで製作することで、光学デバイスによる正常な画像取得を確保する。
【0047】
5、拡張型ステント42は、内視鏡外に被設するためのスリーブと、スリーブに接続されている可撓性部又は弾性部とを備え、摺動接触部53は拡張型ステントの内側に固定されており、可撓性部又は弾性部に接続されている。または、摺動接触部53は、スリーブの内側に固定されてもよい。可撓性部又は弾性部は、摺動接触部53に第2の導電部52との電気的接続を常に維持するように摺動接触部53に一定の緩衝を提供する。
【0048】
6、必要に応じて、電気処理部として電気スネア221、電気凝固鉗子223、電気生検鉗子224、又は切開ナイフを選択することができ、本発明の内視鏡用処理装置の適用範囲は広い。
【0049】
7、シース10の外面には導電材料が1層設けられており、導電材料により第2の導電部52が構成されている。必要に応じて導電材料の種類を選択することができる。導電材料層は少なくともシース10の外周面の一部を覆っており、導電材料層は、余計な体積の増加を減らすために薄く製作することができる。内視鏡の機器通路内でのシース10の動きに寄与するために導電材料層を平滑に製作することが好ましい。
【0050】
8、シース10には第1のキャビティ11及び第2のキャビティ12が設けられており、操作ワイヤ20は第1のキャビティ11内に穿設されており、第2のキャビティ12内には、シースの軸方向に沿って配置され、第2の導電部52に電気的に接続されている第3の導電部54が設けられている。第3の導電部54専用の第2のキャビティ12を設けることで、第3の導電部54と第2の導電部52、第1の電極との電気的絶縁を確保し、信頼性を向上させる。
【0051】
9、第2のキャビティ12は第1のキャビティ11外を取り囲む環状であり、第3の導電層は第1のキャビティ11の周囲に分布し、第3の導電部54に起因するシース10の半径の増加を抑制し、シース10の半径を減少させることができる。
【0052】
10、内視鏡用処理装置は、アクティブ電極62及びパッシブ電極61を備える供給電極60をさらに備え、電気処理部はアクティブ電極62に電気的に接続されており、第3の導電部54はパッシブ電極61に電気的に接続されている。アクティブ電極62により電気処理部に給電し、電気処理部により人体に対して電気的操作を行い、電流が電気操作部から人体に流れ込み、第1の導電部51から引き出され、第2の導電部52を介してパッシブ電極61に帰り、電流が人体を流れる経路をできるだけ短くする。
【0053】
11、第2の導電部52はシース10の周方向にシース10を一周取り囲む。シース10が内視鏡内で前後に摺動する場合に第2の導電部52と摺動接触部53に良好な接触を維持することに寄与し、シース10が自転しても電気的接触に影響を与えない。
【0054】
なお、本実施例において、内視鏡用処理装置は、第2の電極を含まず、使用時、第2の電極を外付けしてもよい。この場合、当該装置は、電気処理部及び操作ワイヤを備える第1の電極と、外面には内視鏡における第1の導電部に電気的に接続するための第2の導電部が設けられているシースとを備える。シースの他の部分の配置は上記と同じであり、ここでは重複して述べない。
【0055】
実施例2
実施例2は内視鏡を保護している。
図6A、6B、6Cに内視鏡を介して電流を取り出す方式を3つ示す。内視鏡には第4の導電部55が設けられており、第4の導電部55は第1の導電部51に電気的に接続されている。
【0056】
第1の形態において、第4の導電部55は内視鏡の機器通路403の内壁に設けられており、第1の導電部51は、本体401の遠位端のレンズ402の外周に設けられており、機器通路403内の第4の導電部55と直接又は摺動接触部53を介して電気的に連通させている。
【0057】
第2の形態において、第4の導電部55は内視鏡本体401の外壁に設けられており、本体401の外周に第1の導電部51と一体的に設けられて全体として構成されている。
【0058】
第3の形態において、第4の導電部55は内視鏡の機器通路403の内壁に設けられており、第1の導電部51は本体401の遠位端のレンズ402の外周に設けられており、摺動接触部53は本体401の側壁を通って第1の導電部51を機器通路403内の第4の導電部55に電気的に接続している。
【0059】
本実施例の好ましい方案及び有益な効果は以下のとおりである。
【0060】
1、内視鏡は以下のことを含む。内視鏡の外面には人体に接触するための第1の導電部51が設けられており、内視鏡には内視鏡用処理装置を穿設するための機器通路が設けられており、内視鏡には第4の導電部55が設けられており、第1の導電部51と第4の導電部55とは電気的に接続されている。第1の導電部51及び第4の導電部55は、内視鏡に人体電流を取り出す電気経路を提供し、人体に流れ込む電流が第1の導電部51により引き出された後、内視鏡における第4の導電部55から引き出される。
【0061】
第2の導電部52は供給電極60のパッシブ電極61に電気的に接続するためのものであることが好ましい。
【0062】
2、第1の導電部51は内視鏡に直接設けられている。第1の導電部51が内視鏡の外壁に嵌め込まれてもよいし、内視鏡の外周面に導電材料が1層設けられ、導電材料により第4の導電部55が構成されてもよい。
【0063】
3、内視鏡には接続ビアが設けられており、接続ビアは内視鏡の外周面と機器通路とを連通させており、接続ビア内には、第1の導電部51と第4の導電部55とを電気的に接続するように導電材料が設けられている。人体に流れ込む電流は第1の導電部51により引き出された後、接続ビア内の導電材料、第4の導電部55を順に経て引き出される。
【0064】
4、内視鏡の遠位端の端面には、第1の導電部51と第4の導電部55とを電気的に接続するように導電材料が設けられている。このように設けることで、内視鏡の端面も人体に接触可能な位置になる。内視鏡の端面、外周面が人体に接触できる場合、いずれも人体電流を取り出すことができ、人体に電気的接触可能な面積が大きくなる。
【0065】
実施例3
実施例3は内視鏡用拡張型ステントを保護している。
図22、23に示すように、拡張型ステント42の外周面に導電材料が設けられており、導電材料により第1の導電部51が構成され、第1の導電部51の近位端は第4の導電部55に電気的に接続されており、第4の導電部55(導線であってもよい)は本体401に沿って配置されるとともに、その近位端に引き出されてパッシブ電極61に電気的に接続されている。作業時、拡張型ステント42を普通の内視鏡に取り付け、拡張型ステント42を人体組織に密着させると同時に、従来のモノポーラ機器を機器通路403内に挿入し、病巣に達した後、電源を入れて、モノポーラ機器の電気処理部、被処理組織及び第1の導電部51の間で作業回路を形成し、手術操作を完了する。
【0066】
実施例1に対する本実施例3の相違点は、拡張型ステントに摺動接触部が設けられず、代わりに拡張型ステントに内視鏡内に穿設されている又は内視鏡外に設けられている第4の導電体が設けられていることにある。第4の導電体は、内視鏡内に穿設されている又は内視鏡外に設けられている導線であることが好ましい。拡張型ステントの他の形状は実施例1と同様にすることができる。このような拡張型ステントは使用しやすい。拡張型ステントの第1の導電部が拡張型ステントの外周に設けられるとともに人体に接触し、人体電流を取り出し、続いて、第4の導電部が人体電流を取り出し、電流を人体から取り出す経路を提供する。これは、嵌着などの方式により内視鏡に容易に取り付けることができ、内視鏡を別途変更する必要がなく、汎用性が高くて使用範囲が広い。
【0067】
他の変形形態
前記実施例の各技術方案は単独又は組み合わせて実施することができるが、前記各実施例に限られず、例えば、次のような変形形態を採用することができる。
【0068】
例えば、粘膜下層剥離ESD手術を行うために、
図7A、7Bに示すように、電気スネア221を、操作ワイヤの軸線方向に延びるヘッドを有するESD切開ナイフ222に置換した。当該ヘッドは針状ナイフであってもよいし、T型ナイフ、星形ナイフであってもよく、粘膜下層剥離手術に適合できればよい。
図8A~Fに電気処理部の幾つかの形状を示す。ESD切開ナイフ222以外の他の構成部分は前記実施例と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0069】
また、例えば、手術中に止血を行うために、
図9、10に示すように、電気スネア221を、開閉動作可能な一対の挟持部を有し生体組織を切開可能な電気凝固鉗子223に置換した。電気凝固鉗子223以外の他の構成部分は前記実施例と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0070】
また、例えば、生検及び止血を行うために、
図11、12に示すように、電気スネア221を電気生検鉗子224に置換した。電気生検鉗子224以外の他の構成部分は前記実施例と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0071】
また、例えば、逆行性膵胆管切開術ERCPを行うために、
図13に示すように、電気スネア221を、乳頭括約筋切開機能を有するパピロトームの切断糸2252に置換した。パピロトームは、シース10に沿ってシース10内を縦に延びる導体キャビティ2251を備え、電気スネア221の実施例における第1のキャビティ11に相当し、導体キャビティ内に切断糸2252が収容されており、切断糸2252はシースの遠位端からLだけ離れたアンカーポイント2253から突き抜け、シースの遠位端に装着されてそれとアーチ形切断部21を形成し、切断糸2252はアンカーポイントでシース10に強固に装着され、切断糸2252の近位端は導電性を有する操作ワイヤ20に電気的に接続されている。本実施例の他の構成部分は前記実施例と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0072】
また、好ましくは、
図24~26に示すように、摺動接触部53は、摺動接触部と第2の電極との安定な接続を確保可能な第5の導電部531と、摺動接触部と第1の導電部51とを電気的に接続するための第6導電部532を備える。
図24~26では、第5の導電部は、ばね鋼ボールであり、ばね鋼ボールの最高点が機器通路の内視鏡の延長線に突き出ており、後部が拡張型ステントに嵌め込まれて第6の導電部により第1の導電部51に電気的に接続されている。また、第5の導電部531は他の実施形態を有してもよい。例えば、第5の導電部531は、中心線が内視鏡の機器通路の中軸線と一致し、内径が機器通路の内径と一致する導電リングとしてもよい。この場合、第6の導電部532は第1の導電部51及び導電リングに電気的に接続されており、導電リングを採用することで、導電部において各方向で安定な接触を維持することができるとともに、製造コストがより低くなる。第5の導電部は、中心線が内視鏡の縦軸線と一致し、内視鏡の機器通路壁の軸方向の延長線に突き出る導電リブとしてもよい。または、第5の導電部は、摺動接触部と機器通路との安定なマッチングを確保可能な、機器通路の遠位端に嵌め込まれた嵌入管としてもよい。
【0073】
また、第1の導電部51は他の配置方式を有してもよい。
【0074】
一変形において、
図14、15に示すように、第1の導電部51は内視鏡本体401の中段に設けられており、帰還導体54は本体401に沿って縦方向に設けられており、第1の導電部51に電気的に接続されている。供給電源60はパッシブ電極61、アクティブ電極62に分けられ、パッシブ電極61は第3の導電部54(又は第4の導電部55)と電気的に導通し、本体401の近位端に引き出され、アクティブ電極62は高周波処理部に電気的に接続され、駆動部30から引き出されている。また、第3の導電部54(又は第4の導電部55)は本実施例において本体401に設けられているが、具体的な配置位置は限定されず、第3の導電部54(又は第4の導電部55)と第1の導電部とを電気的に導通することができればよい。第3の導電部54(又は第4の導電部55)はシース10に配置され、第1の導電部51の内側に設けられている導電機構を介して第1の導電部51に電気的に接続されてもよい。この場合、パッシブ電極61及びアクティブ電極62はいずれも駆動部30から引き出される。
【0075】
別の変形例において、
図16、17、6Bに示すように、その第1の導電部51は本体401の外面を覆っており、帰還導体54は、第1の導電部51の近位端でそれに電気的に接続され、本体401の近位端からパッシブ電極62から引き出され、アクティブ電極61は高周波処理部に電気的に接続され、駆動部30から引き出されている。
【0076】
別の変形例において、
図18、19、6Aに示すように、その第1の導電部51はレンズ401の遠位端の外周面を覆っており、帰還導体54は機器通路403の内壁に配置され、パッシブ電極61に電気的に接続されてアクティブ電極62と共に駆動部30から引き出されている。
【0077】
別の変形例において、
図20、21に示すように、その帰還導体54は本体401の外側に配置されている導線であり、使用時、第1の導電部51を有する高周波処理装置と係合し、導線は第1の導電部51に電気的に接続されている
。
【0078】
本発明は、内視鏡本体の外側と組織との接触空間を十分に利用することで、帰還経路のうち、内視鏡用処理装置と組織との接触部分の導電面積を増大させ、バイポーラ機器による火傷のリスクを低減させるとともに、高周波処理部と切除、電気凝固を行う予定の組織との間の熱効果をさらに向上させ、内視鏡手術の安全性及び操作効率を向上させ、バイポーラ機器のさらなる臨床普及と適用に保証を提供する。
【0079】
以上の実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができる。説明を簡潔にするために、前記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組合せを説明しないが、これらの技術的特徴の組合せは、矛盾がなければ、いずれも本明細書に記載の範囲にあると考えるべきである。
【0080】
以上の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を表したものに過ぎず、その説明は具体的で詳しいが、発明特許の範囲に対する制限として理解してはならない。指摘すべきなのは、本分野の技術者にとって、本発明の思想から逸脱しない前提で、さらに複数の変形及び改善を行うことができ、これらは同様に本発明の保護範囲に属することである。したがって、本発明特許の保護範囲は添付した特許請求の範囲を基準とすべきである。
【符号の説明】
【0081】
10 : シース
11 : 第1のキャビティ
12 : 第2のキャビティ
20 : 操作ワイヤ
21 : 切断部
222 : ESD切開ナイフ
221 : 電気スネア
223 : 電気凝固鉗子
224 : 電気生検鉗子
2251 : 導体キャビティ
2252 : 切断糸
2253 : アンカーポイント
30 : 駆動部
31 : スリップリング
401 : 本体
403 : 機器通路
41 : 透明キャップ
42 : 拡張型ステント
50 : 帰還経路
51 : 第1の導電部
52 : 第2の導電部
53 : 摺動接触部
54 : 第3の導電部
55 : 第4の導電部
60 : 供給電極
61 : パッシブ電極
62 : アクティブ電極
70 : 組織操作機構