(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】容量性タッチパッドを用いたハンドコントローラ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0354 20130101AFI20220111BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G06F3/0354
G06F3/01 510
(21)【出願番号】P 2019557362
(86)(22)【出願日】2017-06-15
(86)【国際出願番号】 US2017037638
(87)【国際公開番号】W WO2018194698
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2020-01-24
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】フェイスブック・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FACEBOOK TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】特許業務法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】ブリストル, ピーター ウェズリー
(72)【発明者】
【氏名】チェン, イー-ヤン
(72)【発明者】
【氏名】トンプキンス, グレン ジェイソン
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0361638(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0364910(US,A1)
【文献】特許第6117414(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03
G06F 3/041 - 3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドコントローラであって、
長手方向に延び、ユーザの手により把持されるように成形および寸法設定されたハンドルと、
前記ハンドルの端部に取り付けられ、前記長手方向に対して所定の角度をなす平面を画定する環状面を有
し、容量性タッチパッドの一部を囲むリングと、
前記ハンドルの前記端部に取り付けられ、前記ユーザの手の指からの触覚入力を受けるタッチ面を有し、前記ユーザの手の前記指からの前記触覚入力を受けていることに応答してセンサ信号を生成するように構成された
前記容量性タッチパッドと、
を備え、
前記所定の角度は、45°~135°であ
り、
前記容量性タッチパッドは、平坦であり、前記長手方向に対して15°~45°の角度をなす、ハンドコントローラ。
【請求項2】
前記タッチ面が、円形状または楕円形状を有する、請求項1に記載のハンドコントローラ。
【請求項3】
前記触覚入力が、前記ユーザの手の前記指が前記タッチ面に触れることを含む、請求項1または2に記載のハンドコントローラ。
【請求項4】
前記触覚入力が、前記ユーザの手の前記指が前記タッチ面を横切って移動することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のハンドコントローラ。
【請求項5】
前記ハンドルが、円筒形状を有する、請求項1から
4のいずれか一項に記載のハンドコントローラ。
【請求項6】
前記容量性タッチパッドが、ガラス、プラスチック、または金属で構成された、請求項1から
5のいずれか一項に記載のハンドコントローラ。
【請求項7】
前記ハンドルが、エンジニアリングプラスチック製である、請求項1から
6のいずれか一項に記載のハンドコントローラ。
【請求項8】
前記容量性タッチパッドにより受けた前記触覚入力を表す無線信号を送信するように構成された無線通信インターフェースをさらに備えた、請求項1から
7のいずれか一項に記載のハンドコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的に、バーチャルリアリティ(VR)コントローラに関し、具体的には、容量性タッチパッドを用いたハンドコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
VRシステムは、ユーザの身体の動きを仮想世界の具体的な動作に変換するコントローラを含み得る。一部のコントローラは、運動ベースのゲームに用いるAndroidまたはiOS VRヘッドセットに対して振動フィードバックを与える。コントローラは、運動をゲームに戻すジャイロスコープ、加速度計、または地磁気センサを備えている場合があり、プレイヤがゲーム内にいるような直感的なゲームプレイを可能にする。
【発明の概要】
【0003】
実施形態は、ユーザの手の運動、位置、自然なジェスチャ、および指の動きを追跡して、より現実的かつ触覚性のVRのためのハンドプレゼンス感を生成するハンドコントローラに関する。コントローラは、指差し、手振り、および親指を立てる仕草のようなソーシャルジェスチャまたは仮想空間における物体の操作、直感的で自然な手の動きによる玩具の持ち上げもしくはレーザガンの発射をユーザに行わせることができる。
【0004】
一実施形態において、ハンドコントローラは、長手方向に延びたハンドルを備える。ハンドルは、ユーザの手により把持されるように成形および寸法設定されている。リングがハンドルの端部に取り付けられ、環状面を有する。環状面は、長手方向に対して所定の角度をなす平面を画定する。容量性タッチパッドがハンドルの端部に取り付けられ、ユーザの手の指からの触覚入力を受けるタッチ面を有する。容量性タッチパッドは、ユーザの手の指からの触覚入力を受けていることに応答してセンサ信号を生成する。
【0005】
一実施形態において、タッチ面は、円形状または楕円形状を有する。
【0006】
一実施形態において、触覚入力は、ユーザの手の指がタッチ面に触れることを含む。
【0007】
一実施形態において、触覚入力は、ユーザの手の指がタッチ面を横切って移動することを含む。
【0008】
一実施形態において、リングは、容量性タッチパッドの一部を囲む。
【0009】
一実施形態において、ハンドルは、円筒形状を有する。
【0010】
一実施形態において、容量性タッチパッドは、ガラスまたはプラスチック製である。
【0011】
一実施形態において、ハンドルは、エンジニアリングプラスチック製である。
【0012】
一実施形態において、タッチ面は、平坦であり、長手方向に対して15°~45°の角度をなす。
【0013】
一実施形態において、このハンドコントローラは、容量性タッチパッドにより受けた触覚入力を表す無線信号を送信するように構成された無線通信インターフェースを備える。
【0014】
本発明に係る実施形態は、ハンドコントローラ/システムを対象とする添付の特許請求の範囲に詳しく開示しているが、あるクレームカテゴリ(たとえば、システム)に記載の如何なる特徴も、別のクレームカテゴリ(たとえば、方法、記憶媒体、コンピュータプログラム製品)において同様に特許請求可能である。添付の特許請求の範囲における従属または前方参照は、形式的な理由で選定しているに過ぎない。ただし、任意の先行請求項に対する意図的な前方参照(特に、マルチ従属)の結果としての如何なる主題も、同様に特許請求可能であるため、請求項およびその特徴の任意の組み合わせが開示され、添付の特許請求の範囲において選定した従属にかかわらず特許請求可能である。特許請求可能な主題は、添付の特許請求の範囲に記載の特徴の組み合わせのみならず、特許請求の範囲の特徴のその他任意の組み合わせを含むことができ、特許請求の範囲に記載の各特徴は、特許請求の範囲のその他任意の特徴または他の特徴の組み合わせと結合可能である。さらに、本明細書に記載または図示の実施形態および特徴のいずれも、別個の請求項における請求ならびに/または本明細書に記載もしくは図示の任意の実施形態もしくは特徴あるいは添付の特許請求の範囲の特徴のいずれかとの任意の組み合わせでの請求が可能である。
【0015】
上記実施形態の教示内容は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することにより容易に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係る、ハンドコントローラの例示的な概略斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る、ハンドコントローラの例示的な概略側面図である。
【
図3】一実施形態に係る、ハンドコントローラの例示的な概略平面図である。
【
図4】一実施形態に係る、ハンドコントローラの例示的な概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面は、例示のみを目的として、種々実施形態を示す。
【0018】
以下の実施形態の説明においては、多くの具体的詳細を示して、より徹底した理解を可能にする。ただし、実施形態は、これら具体的詳細のうちの1つまたは複数なく実現可能である。他の例では、説明の無用な複雑化を避けるため、周知の特徴について詳しく説明していない。
【0019】
本明細書においては、図面を参照して実施形態を説明するが、同等の参照番号は同一または機能的に類似の要素を示す。また、図面において、各参照番号の最左桁は、当該参照番号が最初に使われた図に対応する。
【0020】
実施形態は、ユーザの指の運動を追跡する容量性タッチパッドを有するハンドコントローラに関する。このハンドコントローラは、長手方向に延びたハンドルを具備する。リングがハンドルの端部に取り付けられ、環状面を有する。容量性タッチパッドがハンドルの端部に取り付けられ、ユーザの手の指からの触覚入力を受けるタッチ面を有する。追跡面は、VR環境におけるユーザの位置または向きを追跡するのに用いられるようになっていてもよい。
【0021】
ハンドコントローラの例示的な概略斜視図
図1は、一実施形態に係る、ハンドコントローラ100の例示的な概略斜視図である。ハンドコントローラ100は、「ハンドプレゼンス」すなわちユーザの仮想的な手が実際にユーザ自身のものであるという感覚をユーザに与える独立型コントローラまたは一対の追跡コントローラの一部としての、VRシステムの一部であり得る。ハンドコントローラ100によれば、ユーザは、正確で直感的かつ自然な手の動きにより、仮想空間において物体を操作可能となり得る。
【0022】
ハンドコントローラ100は、長手方向108に延びたハンドル104を具備する。ハンドル104は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、またはポリアミド(ナイロン)等のエンジニアリングプラスチック製であってもよい。他の実施形態において、ハンドル104は、木材または金属製であってもよい。ハンドル104は、衝撃および摩耗に耐性を有していてもよい。ハンドル104の材料は、耐熱性、機械的強度、または剛性を示していてもよい。
【0023】
ハンドル104は、ユーザの手により把持されて、自然なジェスチャおよび指の動きを追跡することにより、より現実的かつ触覚性のVRを生成するように成形および寸法設定されている。たとえば、ハンドルは、円筒形状を有していてもよい。ハンドコントローラ100のハンドル104は、ユーザの手のひらの最上部またはユーザの指の屈曲部に自然に収まるように、屈曲または湾曲して、コントローラ100の重量をバランスさせるようにしてもよい。したがって、ユーザは、ハンドコントローラ100を落とすことなく快適に保持可能である。ユーザがハンドコントローラ100を正常に保持している場合に手を完全に開こうとしても、ユーザの指がリング112に引っ掛かって、ハンドコントローラ100の重量を支えることができる。リング112は、ハンドル104の端部に取り付けられ、環状面120を有する。リングは、エンジニアリングプラスチック製であってもよい。
【0024】
容量性タッチパッド124がハンドル104の端部に取り付けられている。リング112は、容量性タッチパッド124の一部を囲む。容量性タッチパッド124は、ユーザの手の指からの触覚入力を受けるタッチ面128を有する。容量性タッチパッド124は、タッチ面128上のユーザの指の運動および位置を、コンピュータ画面またはヘッドマウントディスプレイ(HMD)に出力されるVR環境中の相対位置に変換する触覚センサを有していてもよい。容量性タッチパッド124は、ユーザの指の容量性仮想グランドエフェクトの検知等、容量性検知によって動作し得る。
【0025】
容量性タッチパッド124は、ガラス、ガラス状ポリマー、プラスチック、または金属製であってもよい。一実施形態において、容量性タッチパッド124は、シリコーンゴムに埋め込まれた可撓性ヒドロゲル製であってもよい。
【0026】
図2は、一実施形態に係る、ハンドコントローラ100の例示的な概略側面図である。
図1を参照して図示および上述したリング112の環状面120は、ハンドル104が延伸する長手方向108に対して所定の角度216をなす平面224を画定する。所定の角度216は、45°~135°であってもよい。
図1を参照して図示および上述した容量性タッチパッド124のタッチ面128は、
図2に示すように平坦であり、長手方向108に対して15°~45°の角度220をなしていてもよい。
【0027】
図3は、一実施形態に係る、ハンドコントローラ100の例示的な概略平面図である。
図3に示すように、容量性タッチパッド124のタッチ面128は、円形状または楕円形状を有していてもよい。容量性タッチパッド124のタッチ面128により検知される触覚入力は、ユーザの手の指がタッチ面128に触れることを含んでいてもよい。容量性タッチパッド124のタッチ面128により検知される触覚入力は、ユーザの手の指がタッチ面128を横切って移動することを含んでいてもよい。
【0028】
一実施形態において、容量性タッチパッド124は、マルチタッチパッドであってもよく、これは、ユーザが2本以上の指を用いることにより、容量性タッチパッド124を介してジェスチャに基づくコマンドを有効化し得ることを意味する。容量性タッチパッド124およびその関連するデバイスドライバソフトウェアは、タッチ面のタップを「クリック」として解釈するようにしてもよい。タッチ面128をタップした後の連続的な指差し運動は、ドラッグを示し得る。
【0029】
容量性タッチパッド124は、高度な機能に用いられるタッチ面128上の場所である「ホットスポット」を有していてもよい。たとえば、タッチ面128の縁部に沿ってユーザの指を移動させることは、スクロールホイールとして作用し得る。また、容量性タッチパッド124は、2本指ドラッグによるスクロールをサポートしていてもよい。容量性タッチパッド124のドライバは、たとえばVRゲームの中断またはアプリケーションの起動等の機能をタップによって実行する領域であるタップゾーンをサポートしていてもよい。
【0030】
図4は、一実施形態に係る、ハンドコントローラ100の例示的な概略ブロック図である。ハンドコントローラ100は、容量性タッチパッド124、無線通信インターフェース412、中央演算処理装置408、およびバス424を具備する。代替構成においては、メモリ、バッテリ、Bluetoothコンポーネント、USB入力等の異なる構成要素および/または付加的な構成要素がハンドコントローラ100に含まれていてもよい。
【0031】
容量性タッチパッド124は、ユーザの手の指からの触覚入力を受けていることに応答してセンサ信号404を生成する。容量性タッチパッド124は、タッチ面128に接触した際のユーザの指の電流を検出することによって、センサ信号404を生成するようにしてもよい。一実施形態において、センサ信号404は、容量性タッチパッド124から中央演算処理装置408に送信されるようになっていてもよい。
【0032】
ハンドコントローラ100は、容量性タッチパッド124から受けた触覚入力416を示す無線信号428を送信する無線通信インターフェース412を具備していてもよい(デジタル、アナログ、または混合信号回路であってもよい)。無線通信インターフェース412は、ケーブルをハンドコントローラ100に接続する必要なく、無線ネットワークを介してデータを送受信可能である。一実施形態において、無線通信インターフェース412は、最大11Mbpsのデータ転送速度のUSB1.1および802.11b無線ネットワーク規格をサポートしていてもよい。一実施形態において、無線通信インターフェース412は、最大54Mbpsのデータ転送速度のUSB2.0および802.11g規格をサポートしていてもよい。一実施形態において、無線通信インターフェース412は、ハンドコントローラ100とコンピュータ等との間のデータ交換のためのコンパクトフラッシュ(CF)無線ネットワークアダプタ使用赤外線技術であってもよい。無線信号428は、ヘッドマウントディスプレイ、コンピュータ、VRシステム等に送信されるようになっていてもよい。無線通信インターフェース412および中央演算処理装置408は、バス424を介して通信可能である。
【0033】
実施形態に関する上記説明は、例示を目的として提示しており、何ら包括的でもなければ、実施形態を開示の詳細な形態に限定するものでもない。当業者には当然のことながら、上記開示内容に照らして、多くの改良および変形が可能である。
【0034】
最後に、本明細書において使用する表現は主として、読みやすさおよび教示の目的で選択したものであり、本発明に係る主題の規定または制限のために選択したものではない。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明ではなく、それに基づく出願に由来する任意の請求項によって限定されることになる。以上から、実施形態の開示は、以下の特許請求の範囲に記載の範囲を示すものであって、何ら限定的なものではない。