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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】ミクロトームのための回転方向変更装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/06 20060101AFI20220111BHJP
   F16H 1/02 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G01N1/06 E
F16H1/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020516453
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 CN2017104211
(87)【国際公開番号】W WO2019061225
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】514210304
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ リミテッド シャンハイ
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems Ltd. Shanghai
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ、ガン
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-038478(JP,A)
【文献】特開2002-276771(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0047464(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
F16H 1/00 -37/16
F16D 11/00 -23/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロトームのための回転方向変更装置であって、
第1の固定位置に配置された第1のシャフトと、
前記第1のシャフトに回転不能に取り付けられた第1のギヤホイールと、
第1の方向で移動できる第2のシャフトと、
前記第2のシャフトに回転不能に取り付けられた第2のギヤホイールと、
前記第1の方向とは異なる第2の方向で移動できる第3のシャフトと、
前記第3のシャフトに回転不能に取り付けられた第3のギヤホイールと、
前記第2のギヤホイールが前記第3のギヤホイールとたえずかみ合っているように、前記第2のシャフト及び前記第3のシャフトを接続する第1の接続部材と、
を備え、
前記第2のギヤホイールが、前記第1のギヤホイールにより直接的にまたは間接的に駆動され
前記第1のシャフトは入力シャフトとしての役割を果たし、前記第2のシャフトは出力シャフトとしての役割を果たすとともに前記第1の方向に直線的に移動でき、前記第3のシャフトは前記第2の方向に直線的に移動できる
回転方向変更装置。
【請求項2】
前記回転方向変更装置が第1のかみ合い位置及び第2のかみ合い位置を有し、前記第1のかみ合い位置にあるときには、前記第3のギヤホイールが前記第1のギヤホイールと直接的にかみ合い、前記第2のギヤホイールが前記第3のギヤホイールを介して前記第1のギヤホイールと間接的にかみ合い、前記第2のかみ合い位置にあるときには、前記第3のギヤホイールが前記第1のギヤホイールから分離され、前記第2のギヤホイールが前記第1のギヤホイールと直接的にかみ合う、請求項1に記載の回転方向変更装置。
【請求項3】
前記第1の方向及び前記第2の方向が特定の角度にある、請求項1に記載の回転方向変更装置。
【請求項4】
前記第1の方向が前記第2の方向に対して垂直である、請求項3に記載の回転方向変更装置。
【請求項5】
前記第1の接続部材がストリッププレートとして構成され、2つのスルーホールが前記第1の接続部材の内に画成され、それぞれ前記第2のシャフト及び前記第3のシャフトと篏合され、前記2つのスルーホールが、前記第2のギヤホイールが前記第3のギヤホイールとたえずかみ合っているように事前に設定された距離にある、請求項1に記載の回転方向変更装置。
【請求項6】
第1の穴、第1のスロット、及び第2のスロットが画成された基部をさらに備え、前記第1のシャフトが前記第1の穴に篏合され、前記第1のスロットが前記第1の方向で延在し、前記第2のシャフトが前記第1のスロットの中で移動可能なように篏合され、前記第2のスロットが前記第2の方向で延在し、前記第3のシャフトが前記第2のスロットの中で移動可能なように篏合される、請求項1~5のいずれか1項に記載の回転方向変更装置。
【請求項7】
ベアリングをさらに備え、前記第1のシャフトが前記ベアリングを通して前記基部の第1の穴に篏合される、請求項6に記載の回転方向変更装置。
【請求項8】
前記第2のシャフトの上に固定して取り付けられたシャフトスリーブをさらに備え、前記第2のギヤホイールが前記シャフトスリーブを介して前記第2のシャフトに回転不能に取り付けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の回転方向変更装置。
【請求項9】
前記第1のシャフトに接続されたハンドホイールをさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の回転方向変更装置。
【請求項10】
第2の固定位置に配置されたカムシャフトと、
前記カムシャフトに回転不能に取り付けられ、中心が前記カムシャフトの軸から偏位しているカムと、
前記第3のシャフトに接続された第1端、及び前記カムと係合した第2端を有する第2の接続部材と、
をさらに備え、
前記カムが、前記第2の接続部材を介して前記第3のシャフトを駆動して前記第2の方向で移動させる、請求項1~5のいずれか1項に記載の回転方向変更装置。
【請求項11】
前記カムが円形プレートとして構成され、半径方向で互いに向かい合った(半径方向の両サイドに)第1の係合面及び第2の係合面を有し、前記第1の係合面と前記カムシャフトの前記軸の間の距離が、前記第2の係合面と前記カムシャフトの前記軸の間の距離よりも小さい、請求項10に記載の回転方向変更装置。
【請求項12】
前記第2の接続部材がストリッププレートとして構成され、その第1端に画成された取り付け穴と、その第2端に形成されたフランジと、前記取り付け穴と前記フランジとの間に画成され、前記第2の接続部材の長さ方向で延在する収容スロットとを有し、前記フランジの上面が、前記カムの前記第1の係合面または前記第2の係合面と係合するように構成され、前記取り付け穴が前記第3のシャフトと篏合され、前記カムシャフトが前記収容スロットを通過する、請求項11に記載の回転方向変更装置。
【請求項13】
内部に第2の穴を有する基部をさらに備え、前記カムシャフトが前記第2の穴に篏合される、請求項10~12のいずれか1項に記載の回転方向変更装置。
【請求項14】
第3の固定位置に配置された第1端、及び前記第3のシャフトに接続された、または前記第2の接続部材の前記第1端に接続された第2端を有する弾性部材をさらに備える、請求項10に記載の回転方向変更装置。
【請求項15】
前記第3の固定位置に配置されたピンをさらに備え、前記弾性部材の前記第1端が前記ピンに固定される、請求項14に記載の回転方向変更装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ミクロトームの技術分野に関し、特に、ミクロトームのための回転方向変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の回転式ミクロトームでは、切断ユニットは、少なくとも1つのハンドホイールを回転させることによって駆動される。一部のオペレータは、ハンドホイールを右回りに回転させることをより心地よく感じる。一方、一部の他のオペレータは、ハンドホイールを左回りに回転させることをより心地よく感じる。したがって、市場には2種類のミクロトームがあり、一方のハンドホイールは右回りに回転させる必要があるが、他方のハンドホイールは左回りに回転させる必要がある。消費者は、購入時に2つのオプションのうちの1つを選ばなければならない。技術者は、大がかりで退屈な修理を通してしか、購入後に回転方向を変更することができない。
【0003】
米国特許出願公報第2012/060664号は、回転の方向を逆転するための手段を有するミクロトームを開示する。ミクロトームは、固定位置に取り付けられ、ハンドホイールにより駆動可能な第1のシャフトを有し、当該第1のシャフト上には回転不能に取り付けられた第1のギヤホイールを有する。ミクロトームは、固定位置に取り付けられる第2のシャフトも有し、当該第2のシャフト上には回転不能に取り付けられた第2のギヤホイールを有する。第1のギヤホイール及び第2のギヤホイールは、第2のシャフトが第1のシャフトによって駆動され得るように、伝達ユニットを介して互いにカップル化される。伝達ユニットの第1の位置では、2本のシャフトは同一方向で回転可能である。一方、第2の変速機位置では、2本のシャフトは反対方向で回転可能である。
【0004】
中国特許出願公報第104416609号は、逆転装置付きのミクロトームを開示する。当該開示は、第1のシャフト、第1のギヤホイール、第2のシャフト、第2のギヤホイール、駆動ユニット、及び切り替えユニットを含むミクロトームを提供する。第1のシャフトは、固定位置に取り付けられ、ハンドホイールにより駆動できる。第1のギヤホイールは、第1のシャフトに回転不能に取り付けられる。第2のシャフトは、別の固定位置に取り付けられる。第2のギヤホイールは第2のシャフトに回転不能に取り付けられ、第1のギヤホイール及び第2のギヤホイールは、第2のシャフトが第1のシャフトによって駆動され得るように駆動ユニットを通して互いに接続される。切り替えユニットは、駆動ユニットを第1の位置と第2の位置の間で旋回式に切り替えるように構成される。駆動ユニットが第1の位置にあるとき、第1のシャフト及び第2のシャフトは同一方向で回転し、駆動ユニットが第2の位置にあるとき、第1のシャフト及び第2のシャフトは反対方向で回転する。駆動ユニットは、互いに係合する第1の中間ギヤ及び第2の中間ギヤを含む。第1の位置では、2本のシャフトは2つの中間ギヤの内の1つで接続され、第2の位置では、2本のシャフトは2つの中間ギヤで接続される。
【0005】
米国特許第7900545号は、ミクロトームシャフトのシャフトのクランク駆動システムを開示し、クランク駆動システムは、第1のシャフト及び第2のシャフトを含む。第1のシャフトはクランクと一緒に回転可能であり、第1のトランスファギヤホイールを含む。第2のシャフトは、第2のトランスファギヤホイールを含む。第1のシャフトの回転は、第2のシャフトを回転させるために第1のトランスファギヤホイールから第2のトランスファギヤホイールに伝達可能である。ミクロトームにより、同じクランク駆動システムを用いて2つのそれぞれ反対に向けられた回転方向で試料を前進させるまたは下げることを可能にするために、クランク駆動システムは、第3のトランスファギヤホイールが設けられ、第1のトランスファギヤホイールが、第2のトランスファギヤホイールまたは第3のトランスファギヤホイールと選択自在に係合可能であることを特徴とする。したがって、結果として、第2のシャフトの回転方向が維持されると、第1のシャフトの回転方向は逆転できる。
【0006】
米国特許第7966917号は、レバー装置を有するミクロトームを説明し、ミクロトーム用のレバー装置は、第1のレバー及び第2のレバーを含む。第1のレバーは、第1の軸の回りに回転可能に取り付けられる。第2のレバーは、第2の軸の回りに回転可能に取り付けられる。一方のレバーは2つの誘導面を含み、他方のレバーは1つの誘導セグメントを含む。誘導セグメントは、第1の方向での第1のレバーの回転により第2のレバーがターゲット方向で回転し、第1の方向に対して反対方向での第1のレバーの回転により第2のレバーがターゲット方向で回転するように2つの誘導面と協働する。
【0007】
米国特許出願公報第2012/060664号及び中国特許出願公報第104446609号の技術的な解決策は、伝達するために少なくとも4つのギヤホイールを必要とし、結果として高い摩擦を生じさせ、ユーザーは変速機システムを駆動するために大きなトルクを必要とする。米国特許第7900545号のクランク駆動システムは、複雑な構造を有する。米国特許第7966917号は、レバーの回転方向を変更するためにしか使用できず、シャフトの回転方向を変更するためには使用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公報第2012/060664号
【文献】中国特許出願公報第104416609号
【文献】米国特許第7900545号
【文献】米国特許第7966917号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、関連技術における技術的な問題の少なくとも1つをある程度まで解決することを意図する。したがって、本開示の目的は、簡略な構造及び低い摩擦の利点を有するミクロトームのための回転方向変更装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置は、第1の固定位置に配置された第1のシャフト、第1のシャフトに回転不能に取り付けられた第1のギヤホイール、第1の方向で移動できる第2のシャフト、第2のシャフトに回転不能に取り付けられた第2のギヤホイール、第2の方向で移動できる第3のシャフト、第3のシャフトに回転不能に取り付けられた第3のギヤホイール、及び第2のギヤホイールが第3のギヤホイールとたえずかみ合っているように第2のシャフト及び第3のシャフトを接続する第1の接続部材を含み、第2のギヤホイールは、第1のギヤホイールにより直接的にまたは間接的に駆動できる。
【0011】
本開示の一実施形態に係る回転方向変更装置では、第2のシャフト及び第3のシャフトを第1の接続部材を通して接続することによってだけではなく、第2のシャフトを第1の方向に沿って移動できるように配置し、第3のシャフトを第2の方向に沿って移動できるように配置することによって、回転方向変更装置は2つのかみ合い位置を実現し、それによって回転方向を変更する。したがって、回転方向変更装置は、簡略な構造及び低い摩擦の利点を有する。
【0012】
さらに、本開示の上記実施形態に係る回転方向変更装置は、以下の追加の技術的特徴を含んでもよい。
【0013】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置は第1のかみ合い位置及び第2のかみ合い位置を有し、第1のかみ合い位置にあるとき、第3のギヤホイールは第1のギヤホイールと直接的にかみ合い、第2のギヤホイールは第3のギヤホイールを通して第1のギヤホイールと間接的にかみ合う。第2のかみ合い位置にあるとき、第3のギヤホイールは第1のギヤホイールから分離され、第2のギヤホイールは第1のギヤホイールと直接的にかみ合う。
【0014】
本開示の一実施形態によれば、第1の方向及び第2の方向は特定の角度にある。
【0015】
本開示の一実施形態によれば、第1の方向は第2の方向に対して垂直である。したがって、第2のシャフトの移動と第3のシャフトの移動との間の干渉が回避される。
【0016】
本開示の一実施形態によれば、第1の接続部材はストリッププレートとして構成され、2つのスルーホールが第1の接続部材の内に画成され、それぞれ第2のシャフト及び第3のシャフトと篏合される。2つのスルーホールは、第2のギヤホイールが第3のギヤホイールとたえずかみ合っているように事前に設定された距離にある。したがって、第1の接続部材は簡略な構造を有し、加工しやすい。
【0017】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置は、第1の穴、第1のスロット、及び第2のスロットが画成された基部をさらに含み、第1のシャフトは第1の穴に篏合され、第1のスロットは第1の方向で延在し、第2のシャフトは第1のスロットの中で移動可能なように篏合され、第2のスロットは第2の方向で延在し、第3のシャフトは第2のスロットの中で移動可能なように篏合され、このことにより、各構成要素の取り付けが容易になる。
【0018】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置はベアリングをさらに含み、第1のシャフトがベアリングを通して基部の第1の穴に篏合される。したがって、第1のシャフトの回転精度が保証される。
【0019】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置は、第2のシャフトの上に固定して取り付けられたシャフトスリーブをさらに含み、第2のギヤホイールはシャフトスリーブを通して第2のシャフトに回転不能に取り付けられる。したがって、第2のシャフトの強度を強化しつつ、第1の接続部材を通る第2のシャフトと第3のシャフトとの間の接続を容易にすることができる。
【0020】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置は、第1のシャフトに接続されたハンドホイールをさらに含む。したがって、第2のシャフトを同一方向に回転させるために、ユーザーは、ハンドホイールを操作して第1のシャフトを異なる方向で駆動することができ、これにより、操作は柔軟になり、使用の快適さが改善する。
【0021】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置は、第2の固定位置に配置されたカムシャフトと、カムシャフトに回転不能に取り付けられ、中心がカムシャフトの軸から偏位しているカムと、第3のシャフトに接続された第1端及びカムと係合した第2端を有する第2の接続部材とをさらに含み、カムは第2の接続部材を介して第3のシャフトを駆動して第2の方向で移動させる。したがって、回転方向変更装置は、カムを操作することによって第1のかみ合い位置と第2のかみ合い位置の間で切り替えることができ、ユーザーの操作トルクは小さい。
【0022】
本開示の一実施形態によれば、カムは円形プレートとして構成され、半径方向で互いに向かい合った(半径方向の両サイドに)第1の係合面及び第2の係合面を有し、第1の係合面とカムシャフトの軸の間の距離は、第2の係合面とカムシャフトの軸の間の距離よりも小さい。したがって、カムは、第1のカム位置及び第2のカム位置を画定し、それによって回転方向変更装置の第1のかみ合い位置及び第2のかみ合い位置をさらに画定できる。
【0023】
本開示の一実施形態によれば、第2の接続部材はストリッププレートとして構成され、その第1端に画成された取り付け穴、その第2端に形成されたフランジ、及び取り付け穴とフランジとの間に画成され、第2の接続部材の長さ方向で延在する収容スロットを有し、フランジの上面は、カムの第1の係合面または第2の係合面と係合するように構成され、取り付け穴は第3のシャフトと篏合され、カムシャフトは収容スロットを通過する。したがって、第2の接続部材は簡略な構造を有し、加工しやすい。
【0024】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置は、内部にカムシャフトが第2の穴に篏合される第2の穴を有する基部をさらに含む。
【0025】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置は、第3の固定位置に配置された第1端、及び第3のシャフトに接続された、または第2の接続部材の第1端に接続された第2端を有する弾性部材をさらに含む。したがって、弾性部材は第2の接続部材に作用し、これにより第2の接続部材の第2端はカムとたえずかみ合っている。したがって、カムが誤って移動するのを防ぎ、また第2のシャフト及び第3のシャフトが誤って移動するのを防ぐように、カムを第1のカム位置または第2のカム位置に維持することができる。
【0026】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置は、弾性部材の第1端がピンに固定される第3の固定位置に配置されたピンも含み、このことにより弾性部材の固定が容易になる。
【0027】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置は、直線的に移動できる回転シャフトと、第1の固定位置に配置されたカムシャフトと、カムシャフトに回転不能に取り付けられたカムであって、カムの中心がカムシャフトの軸から偏位しているカムと、回転シャフトに接続された第1端、及びカムと係合した第2端を有する伝達部材とを含み、カムは伝達部材を通して直線的に移動するために回転シャフトを駆動できる。
【0028】
本開示の一実施形態に係る回転方向変更装置では、カムシャフト及び回転シャフトは伝達部材を使用することによって接続され、これによりカムは伝達部材を通して直線的に移動するために回転シャフトを駆動できる。 このようにしてユーザーは、カムを通して回転方向変更装置を操作し得、ユーザーの操作トルクは小さい。
【0029】
本開示の一実施形態によれば、カムは円形プレートとして構成され、半径方向で互いに向かい合った第1の係合面及び第2の係合面を有する。第1の係合面とカムシャフトの軸の間の距離は、第2の係合面とカムシャフトの軸の間の距離よりも小さい。したがって、カムは、第1のカム位置または第2のカム位置を定義できる。
【0030】
本開示の一実施形態によれば、伝達部材はストリッププレートとして構成され、その第1端に画成された取り付け穴、その第2端に形成されたフランジ、及び取り付け穴とフランジとの間に画成され、伝達部材の長さ方向で延在する収容スロットを有する。フランジの上面は、カムの第1の係合面または第2の係合面と係合するように構成され、取り付け穴は回転シャフトと篏合され、カムシャフトは収容スロットを通過する。したがって、第2の接続部材は簡略な構造を有し、加工しやすい。
【0031】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置は、第2の固定位置に配置された第1端、及び回転シャフトに接続された、または伝達部材の第1端に接続された第2端を有する弾性部材も含む。したがって、弾性部材は第2の接続部材に作用し、これにより第2の接続部材の第2端はカムとたえずかみ合っている。したがって、カムが誤って移動するのを防ぎ、また第2のシャフト及び第3のシャフトが誤って移動するのを防ぐように、カムを第1のカム位置または第2のカム位置に維持することができる。
【0032】
本開示の一実施形態によれば、回転方向変更装置は、弾性部材の第1端がピンに固定される第2の固定位置に配置されたピンも含み、このことにより弾性部材の固定が容易になる。
【0033】
本開示のさらなる態様及び利点は、以下の説明に部分的に示すとともに、その説明から一部が明らかになるか、または本開示の実施形態を実施することによって認識することができる。
【0034】
本開示の他の態様及び利点が以下に記載され、実施形態に基づいて添付の図面を参照しつつより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本開示の一実施形態に係る第1のかみ合い位置にある回転方向変更装置の斜視図である。
図2】本開示の一実施形態に係る第2のかみ合い位置にある回転方向変更装置の斜視図である。
図3】本開示の一実施形態に係る回転方向変更装置の分解図を示す。
図4】基部が取り除かれている、本開示の一実施形態に係る第1のかみ合い位置にある回転方向変更装置の斜視図である。
図5】基部、弾性部材、及びピン部材が取り除かれている、本開示の一実施形態に係る第1のかみ合い位置にある回転方向変更装置の斜視図である。
図6】基部が取り除かれている、本開示の一実施形態に係る第2のかみ合い位置にある回転方向変更装置の斜視図である。
図7】基部、弾性部材、及びピン部材が取り除かれている、本開示の一実施形態に係る第2のかみ合い位置にある回転方向変更装置の斜視図である。
図8】本開示の別の実施形態に係る第1の休止位置にある回転方向変更装置の斜視図である。
図9】本開示の別の実施形態に係る第2の休止位置にある回転方向変更装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の好ましい実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。本明細書で使用する用語「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」及び類似表現が、本開示の制限のためではなく、説明のためだけに使用されることに留意されたい。
【0037】
図1図9では、直交XYZ軸は説明の便宜のため、及び方向を決定するために示されている。X軸の正の方向は前方方向であり、X軸の負の方向は後方方向である。Y軸の正の方向は右方向であり、Y軸の負の方向は左方向である(左右方向は、第1の方向の例である)。Z軸の正の方向は上方向であり、Z軸の負の方向は下方向である(上下方向は第2の方向の例である)。
【0038】
本開示は、第1の固定位置に配置された第1のシャフト、第1のシャフトに回転不能に取り付けられた第1のギヤホイール、第1の方向で移動できる第2のシャフト、第2のシャフトに回転不能に取り付けられた第2のギヤホイール、第2の方向で移動できる第3のシャフト、第3のシャフトに回転不能に取り付けられた第3のギヤホイール、及び第1の接続部材を含む、ミクロトームのための回転方向変更装置に関する。第1の接続部材は、第2のギヤホイールは第3のギヤホイールとたえずかみ合うように第2のシャフト及び第3のシャフトを接続する。第2のギヤホイールは、第1のギヤホイールにより直接的にまたは間接的に駆動できる。
【0039】
本開示の実施形態に係る回転方向変更装置100は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【0040】
図1は、本開示の一実施形態に係る第1のかみ合い位置にある回転方向変更装置100の斜視図を示す。回転方向変更装置100は、(第1のシャフトの例としての)入力シャフト110、(第2のシャフトの例としての)出力シャフト120、(第3のシャフトの例としての)中間シャフト130、及び第1の接続部材140を含む。入力シャフト110は、入力シャフト110に回転不能に取り付けられた第1のギヤホイール112を有し、出力シャフト120は、出力シャフト120に回転不能に取り付けられた第2のギヤホイール122を有する。中間シャフト130は、中間シャフト130に回転不能に取り付けられた第3のギヤホイール132を有する。入力シャフト110の位置は固定され、出力シャフト120は左右方向で移動でき、中間シャフト130は上下方向で移動できる。第1の接続部材140は、出力シャフト120及び中間シャフト130を接続するために使用される。第1の接続部材140は、第2のギヤホイール122及び第3のギヤホイール132がたえずかみ合うように、出力シャフト120及び中間シャフト130のそれぞれに対して回転可能である。そのため、第2のギヤホイール122は、第1のギヤホイール112により直接的にまたは間接的に駆動できる。
【0041】
本明細書では、用語「位置が固定される」とは、部材が固定位置に配置され、移動することができないことを言及することに留意されたい。さらに、必要に応じて、本明細書中の異なる部材の固定位置は同じである場合もあれば、異なる場合もあり得る。
【0042】
図1に示すように第1の方向は第2の方向に垂直であるが、必ずしも第1の方向が第2の方向に垂直である必要はなく、つまり第1の方向と第2の方向との間に所定の角度が存在することが関連技術分野の当業者により理解されるべきである。
【0043】
また、回転方向変更装置100は、カムシャフト150及び第2の接続部材160を含んでもよい。カムシャフト150は、カムシャフト150に回転不能に取り付けられたカム152を有し、カム152の中心は、カムシャフト150の軸から偏位している。カムシャフト150の位置は固定されている。第2の接続部材160の第1端は中間シャフト130に接続され、カムシャフト150のカム152が第2の接続部材160を介して中間シャフト130を駆動して左右方向[sic, 上下方向]に移動させ得るように、第2の接続部材160の第2端はカムシャフト150上のカム152と係合している。カム152は、第1のカム位置または第2のカム位置を有する。回転方向変更装置100が第1のかみ合い位置と第2のかみ合い位置との間で切り替わるように、第1のカム位置及び第2のカム位置は、カム152を所定の角度回転させることにより互いに切り替えられ得る。図1に示すように、カム152は第1のカム位置にあり、回転方向変更装置100は対応して第1のかみ合い位置にある。
【0044】
また、回転方向変更装置100は、弾性部材170を含んでもよい。弾性部材170が第2の接続部材160に作用して第2の接続部材160の第2端がカム152とたえず係合するように、弾性部材170の第1端の位置は固定され、その第2端は中間シャフト130に接続される。つまり、カム152が誤って移動するのを防ぐため、また第2の出力シャフト120及び第3の中間シャフト130が誤って移動するのを防ぐために、カム152は第1のカム位置または第2のカム位置に維持される。図1に示す弾性部材170の第2端は中間シャフト130に接続されているが、弾性部材170の第2端は他の位置にも接続され得ることが関連技術分野の当業者により理解されるべきである。例えば、弾性部材170の第2端は、第2の接続部材160の第1端に接続されてもよい。
【0045】
また、回転方向変更装置100は、基部180を含んでもよい。入力シャフト110は基部180に取り付けられ、その位置は固定される。出力シャフト120は基部180に取り付けられ、基部180に対して左右方向で移動できる。中間シャフト130は基部180に取り付けられ、基部180に対して上下方向で移動できる。カムシャフト150は基部180に取り付けられ、その位置は固定され、弾性部材170の第1端は基部180に固定して接続される。
【0046】
図2は、本開示の一実施形態に係る第2のかみ合い位置にある回転方向変更装置100の斜視図を示す。カム152は第2のカム位置にあり、回転方向変更装置100は対応して第2のかみ合い位置にある。
【0047】
図3は、本開示の一実施形態に係る回転方向変更装置100の分解図を示す。第1の接続部材140はストリッププレートとして構成され、2つのスルーホール142が画成される。第1の接続部材140が出力シャフト120及び中間シャフト130の各々に対して回転可能なように、2つのスルーホール142がそれぞれ出力シャフト120及び中間シャフト130と篏合される。第2のギヤホイール122及び第3のギヤホイール132はたえずかみ合うように、2つのスルーホール142は事前に設定された距離にある。
【0048】
カム152は、実質的に円形プレートとして構成され、半径方向で互いに向かい合った(半径方向の両サイドに)第1の係合面1521及び第2の係合面1522を有する。第1の係合面1521とカムシャフト150の軸の間の距離は、第2の係合面1522とカムシャフト150の軸の間の距離よりも小さい。第2の接続部材160はストリッププレートとして構成され、その第1端に画成された取り付け穴162、その第2端に形成されたフランジ166、及び取り付け穴162とフランジ166との間に画成され、第2の接続部材160の長さ方向で延在する収容スロット164を有する。フランジ166の上面は、カム152の第1の係合面1521または第2の係合面1522と係合するために使用され、それによりそれぞれカム152の第1のカム位置及び第2のカム位置を規定する。カム152が中間シャフト130を駆動して移動させることができるように、取り付け穴162は中間シャフト130と篏合される。カム152が第1のカム位置と第2のカム位置の間で変位した時に、第2の接続部材160がカムシャフト150に対して移動可能なように、カムシャフト150は収容スロット164を通過している。
【0049】
基部180は、第1の穴182、第1のスロット184、第2のスロット186、及び第2の穴188を有する。入力シャフト110は、入力シャフト110を基部180に取り付けた際にその位置が固定されるように、第1の穴182に篏合される。第1のスロット184は左右方向で延在し、出力シャフト120は、基部180に取り付けた際に第1のスロット184内を基部180に対して左右方向で移動できるように篏合される。第2のスロット186は上下方向で延在し、中間シャフト130は、基部180に取り付けた際に第2のスロット186内を基部180に対して上下方向で移動できるように篏合される。カムシャフト150は、カムシャフト150を基部180に取り付けた際にその位置が固定されるように、第2の穴188に篏合される。さらに、第1の穴182、第2のスロット186、及び第2の穴188は上下方向で整列し、第2のスロット186は第1の穴182と第2の穴188の間に位置する。第1の穴182、第2のスロット186、及び第2の穴188が上下方向で整列しなくても良いことが関連技術分野の当業者により理解されるべきである。例えば、第2の穴188が上下方向で第1の穴182及び第2のスロット186と整列しない場合には、第2の接続部材160の長さ方向及び上下方向が所定の角度になる。
【0050】
また、回転方向変更装置100はピン172を含んでもよく、ピン172の位置は固定される。弾性部材170の第1端は、ピン172に固定して接続される。基部180は、止め穴189を有する。弾性部材170の第1端がピン172を介して基部180に固定して接続されるように、ピン172は止め穴189に固定して篏合される。一部の実施形態では、ピン172は基部180と一体的に形成されてよい。
【0051】
ある実施形態では、回転方向変更装置100は、ベアリング114を含んでもよい。入力シャフト110は、入力シャフト110の回転精度を保証するためにベアリング114を通して第1の穴182に篏合される。
【0052】
ある実施形態では、回転方向変更装置100は、シャフトスリーブ124を含んでもよい。シャフトスリーブ124は、出力シャフト120の上に固定して取り付けられ、第2のギヤホイール122はシャフトスリーブ124を介して出力シャフト120に回転不能に取り付けられる。このようにして、第2のシャフト120の強度を強化しつつ、第1の接続部材140と中間シャフト130の間の接続を容易にすることができる。
【0053】
本開示の一実施形態に係る回転方向変更装置100の作動プロセスを、図4図7を参照して以下に説明する。
【0054】
図4は、基部180が取り除かれている、本開示の一実施形態に係る第1のかみ合い位置にある回転方向変更装置100の斜視図を示す。図5は、基部180、弾性部材170、及びピン172が取り除かれている、本開示の一実施形態に係る第1のかみ合い位置にある回転方向変更装置100の斜視図である。回転方向変更装置100が第1のかみ合い位置にあるとき、弾性部材170の作用の下で、カム152の第1の係合面1521は、第2の接続部材160のフランジ166の上面と係合する。つまり、カム152は、第1のカム位置にある。第3のギヤホイール132は第1のギヤホイール112と直接的にかみ合い、第2のギヤホイール122は第1のギヤホイール112から分離される。第2のギヤホイール122は第3のギヤホイール132とたえずかみ合っているので、第2のギヤホイール122は第3のギヤホイール132を通して第1のギヤホイール112と間接的にかみ合う。したがって、入力シャフト110が図5に示す方向で右回りに回転するとき、出力シャフト120は同じ方向で回転する。
【0055】
カム152が第1のカム位置から第2のカム位置へとある角度回転すると、カム152の周面は第2の接続部材160のフランジ166の上面と係合し、第2の接続部材160のフランジ166の上面とカムシャフト150の軸の間の距離は徐々に増加し、これにより第2の接続部材160はカムシャフト150に対し相対的に下方に移動する。カム152の第2の係合面1522が第2の接続部材160のフランジ166の上面と係合するまで、中間シャフト130は第2の接続部材160により駆動されて第2のスロット186に沿って下方に移動して、第3のギヤホイール132を第1のギヤホイール112から徐々に分離させ、そして(同時に)中間シャフト130は、第1の接続部材140を介して出力シャフト120を第1のスロット184に沿って右方向に移動させて、第2のギヤホイール122を第1のギヤホイール112に徐々に近づける。つまり、カム152が第2のカム位置になると、第2のギヤホイール122は第1のギヤホイール112とかみ合う。つまり、回転方向変更装置100は第2のかみ合い位置になる。
【0056】
図6は、基部180が取り除かれている、本開示の一実施形態に係る第2のかみ合い位置にある回転方向変更装置100の斜視図を示す。図7は、基部180、弾性部材170、及びピン172が取り除かれている、本開示の一実施形態に係る第2のかみ合い位置にある回転方向変更装置100の斜視図である。回転方向変更装置100が第2のかみ合い位置にあるとき、弾性部材170の作用の下で、カム152の第2の係合面1522は、第2の接続部材160のフランジ166の上面と係合する。第2のギヤホイール122は第1のギヤホイール112と直接的にかみ合い、第3のギヤホイール132は第1のギヤホイール112から分離される。したがって、入力シャフト110が図7に示す方向で右回りに回転するとき、出力シャフト120は反対方向で回転する。
【0057】
カム152が第2のカム位置から第1のカム位置へとある角度回転すると、カム152の周面は第2の接続部材160のフランジ166の上面と係合し、第2の接続部材160のフランジ166の上面とカムシャフト150の軸の間の距離は徐々に減少し、これにより第2の接続部材160は、弾性部材170の作用を受けてカムシャフト150に対し相対的に上方に移動する。カム152の第1の係合面1521が第2の接続部材160のフランジ166の上面と係合するまで、中間シャフト130は、第2の接続部材160により駆動されて第2のスロット186に沿って上方に移動し、第3のギヤホイール132を第1のギヤホイール112に徐々に近づけ、そして中間シャフト130は、第1の接続部材140を介して出力シャフト120を第1のスロット184に沿って左方向に移動させて、第2のギヤホイール122を第1のギヤホイール112から徐々に分離させる。つまり、カム152が第1のカム位置になると、第3のギヤホイール132は第1のギヤホイール112と直接的にかみ合い、第2のギヤホイール122は第3のギヤホイール132を介して第1のギヤホイール112と間接的にかみあう。つまり、回転方向変更装置100は、再び第1のかみ合い位置になる。
【0058】
さらに、本開示の上記実施形態に係る回転方向変更装置100は、入力シャフト110に接続されたハンドホイールを含んでもよい。つまり、入力シャフト110は、ハンドホイールによりユーザーによって直接的にまたは間接的に駆動されることができ、出力シャフト120は、直接的にまたは間接的に切断送り動作を生じさせるために使用される。したがって、入力シャフト110が駆動される際に、回転方向変更装置100が第1のかみ合い位置にありかつ入力シャフト110が右回りに回転する場合と、回転方向変更装置100が第2のかみ合い位置にありかつ入力シャフト110が左回りに回転する場合とで、出力シャフト120は同じ方向で回転する。したがって、ユーザーは、出力シャフト120を同じ方向で回転させるために、異なる方向にハンドホイールを操作して入力シャフト110を駆動させることができる。これにより、操作は柔軟になり、使用の快適さが改善する。
【0059】
したがって、本開示の一実施形態に係る回転方向変更装置100は、回転方向変更装置100が2つのかみ合い位置を有し、それによって回転方向を変更することが可能である。さらに、回転方向変更装置100は、簡略な構造、低い摩擦、及びユーザーの小さい操作トルクの利点を有する。
【0060】
本開示の別の実施形態に係る回転方向変更装置200を以下に説明する。
【0061】
図8に示すように、本開示の別の実施形態に係る回転方向変更装置200は、回転シャフト230、カムシャフト250、カム252、及び伝達部材260を含む。回転シャフト230は、直線的に移動してよい。図8に示すように、回転シャフト230は、上下方向で直線的に移動してよい。カムシャフト250の位置は固定され、カム252はカムシャフト250に回転不能に取り付けられる。カム252の中心は、カムシャフト250の軸から偏位している。伝達部材260の第1端は回転シャフト230に接続され、伝達部材260の第2端はカム252と係合する。つまり、カム252は、伝達部材260を介して回転シャフト230を駆動して直線的に移動させることができる。カム252は、第1のカム位置及び第2のカム位置を有する。回転方向変更装置200が第1の休止位置と第2の休止位置の間で切り替わるように、第1のカム位置及び第2のカム位置は、所定の角度だけカム252を回転させることにより互いに切り替えられ得る。図8に示すように、カム252は第1のカム位置にあり、回転方向変更装置200は対応して第1の休止位置にある。図9に示すように、カム252は第2のカム位置にあり、回転方向変更装置200は対応して第2の休止位置にある。
【0062】
カム252は円形プレートとして構成され、半径方向で互いに向かい合った(半径方向の両サイドに)第1の係合面2521及び第2の係合面2522を有し、第1の係合面2521とカムシャフト250の軸との間の距離は、第2の係合面2522とカムシャフト250の軸との間の距離よりも小さい。伝達部材260はストリッププレートとして構成され、その第1端に画成された取り付け穴262、その第2端に画成されたフランジ266、及び取り付け穴262とフランジ266との間に画成され、伝達部材260の長さ方向で延在する収容スロット264を有する。フランジ266の上面は、カム252の第1の係合面2521または第2の係合面2522と係合するために使用され、それによりそれぞれカム252の第1のカム位置及び第2のカム位置を規定する。取り付け穴262は回転シャフト230と篏合され、カムシャフト250は収容スロット264を通過する。つまり、カム252が第1のカム位置と第2のカム位置の間で変位した時に、伝達部材260はカムシャフト250に対し相対的に移動できる。
【0063】
また、回転方向変更装置200は、弾性部材270を含んでもよい。弾性部材270の第1端の位置は固定され、弾性部材270の第2端は弾性部材270が伝達部材260に作用するように回転シャフト230に接続され、伝達部材260の第2端がカム252とたえず係合できるようにする。つまり、カム252が誤って移動するのを防ぎ、また回転シャフト230が誤って移動するのを防ぐように、カム252は第1のカム位置または第2のカム位置に維持される。図8に示す弾性部材270の第2端は回転シャフト230に接続されているが、弾性部材270の第2端は他の位置にも接続され得ることが関連技術分野の当業者により理解されるべきである。例えば、弾性部材270の第2端は、伝達部材260の第1端に接続されてもよい。
【0064】
また、回転方向変更装置200はピン272を含んでもよく、ピン272の位置は固定され、弾性部材270の第1端はピン272に固定して取り付けられる。
【0065】
本開示の別の実施形態に係る回転方向変更装置200の作動プロセスを、図8及び図9を参照して以下に説明する。
【0066】
図8は、本開示の別の実施形態に係る第1の休止位置にある回転方向変更装置200の斜視図を示す。回転方向変更装置200が第1の休止位置にあるとき、弾性部材270の作用の下で、カム252の第1の係合面2521は、伝達部材260のフランジ266の上面と係合する。つまり、カム252は第1のカム位置にある。
【0067】
カム252が第1のカム位置から第2のカム位置にとある角度回転すると、カム252の周面は伝達部材260のフランジ266の上面と係合し、伝達部材260のフランジ266の上面とカムシャフト250の軸との間の距離は徐々に増加し、これにより伝達部材260はカムシャフト250に対し相対的に下方に移動する。カム252の第2の係合面2522が伝達部材260のフランジ266の上面と係合するまで、回転シャフト230は伝達部材260により駆動されて下方に移動し、回転シャフト230をカムシャフト250に徐々に近ける。つまり、カム252は第2のカム位置になると、回転方向変更装置200は第2の休止位置になる。
【0068】
図9は、本開示の別の実施形態に係る第2の休止位置にある回転方向変更装置200の斜視図を示す。回転方向変更装置200が第1のかみ合い位置にあるとき、弾性部材270の作用の下で、カム252の第2の係合面2522は、伝達部材260のフランジ266の上面と係合する。
【0069】
カム252が第2のカム位置から第1のカム位置にとある角度で回転すると、カム252の周面は伝達部材260のフランジ266の上面と係合し、伝達部材260のフランジ266の上面とカムシャフト250の軸の間の距離は徐々に減少する。弾性部材270の作用の下で、伝達部材260はカムシャフト250に対し相対的に上方に移動する。カム252の第1の係合面2521が伝達部材260のフランジ266の上面と係合するまで、回転シャフト230は伝達部材260により駆動されて上方に移動し
、回転シャフト230をカムシャフト250から徐々に離す。つまり、カム252は第1のカム位置になると、回転方向変更装置200は再び第1の休止位置になる。
【0070】
図8及び図9に示すように、回転シャフト230、カムシャフト250、及び伝達部材260は上下方向で整列し、これにより構成要素の間の応力を簡略化し得る。ある実施形態では、回転シャフト230は、本開示の上記実施形態に係る回転方向変更装置100の中間シャフト130として構成され得る。回転シャフト230、カムシャフト250、及び伝達部材260は上下方向で整列しなくても良いことが関連技術分野の当業者により理解されるべきである。
【0071】
さらに、回転シャフト230は、本開示の実施形態に係る回転方向変更装置100の出力シャフト120として構成されてよいことも関連技術分野の当業者により理解されるべきである。つまり、回転シャフト230、カムシャフト250、及び伝達部材260は左右方向に配置されてもよい。
【0072】
本開示の別の実施形態に係る回転方向変更装置200の他の構造及び原理は、本開示の上記実施形態に係る回転方向変更装置100を参照することができ、本明細書には説明していない。
【0073】
本開示の一実施形態に係る回転方向変更装置200では、カムシャフト250及び回転シャフト230は伝達部材260を使用することによって接続され、これによりカム252は伝達部材260を介して回転シャフト230を駆動して直線的に移動させることができる。つまり、ユーザーは、カム252を介して回転方向変更装置200を操作することができ、ユーザーの操作トルクは小さい。
【0074】
さらに、「第1の」及び「第2の」等の用語は、説明の目的で本明細書で使用され、相対的な重要性もしくは顕著さを示すこともしくは暗示すること、または示された技術的特徴の数を暗示することを意図するものではない。したがって、「第1の」及び「第2の」で定義された特徴は、この特徴の1つ以上を含み得る。本開示の記載では、用語「複数の」は、特に明記しない限り、2つまたは3つ以上を意味する。
【0075】
本開示では、他に特定または限定されない限り、用語「設置」、「接続」、「結合」、「固定」等は広義に使用される。用語は、例えば、固定接続、着脱可能接続、または一体接続を示してよく、機械的接続または電気的接続または相互通信も示してよく、中間媒体を介した直接接続または間接接続を示してもよく、2つの要素の内部連絡または2つの要素間の相互作用を示してもよい。本開示の実施形態の用語の具体的な意味は、特定の状況に応じて当業者により理解され得る。
【0076】
本開示の説明では、特に特定または限定されない限り、第2の特徴の「上」または「下」の第1の特徴とは、第1の特徴及び第2の特徴が直接的に接触している場合もあれば、第1の特徴及び第2の特徴が中間媒体を通して間接的に接触している場合もあることに留意されたい。さらに、第2の特徴の「上へ」、「上方」、及び「上」の第1の特徴は、第1の特徴が第2の特徴の直接の上方にある、または斜め上方にあることである場合もあれば、単に第1の特徴が第2の特徴よりも高い位置にある場合もある。第2の特徴の「下へ」、「下方」、及び「下」の第1の特徴は、第1の特徴が第2の特徴の直接の下方にある、または斜め下方にあることである場合もあれば、単に第1の特徴が第2の特徴に満たない高さにあることである場合もある。
【0077】
本明細書を通して、用語「一実施形態」、「ある実施形態」、「一例」、「特定の例」、または「ある実施例」への言及は、実施形態または実施例に関連して説明されている特定の特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態または実施例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の例示的な説明は、必ずしも同じ実施形態または実施例を指さない。さらに、記載の特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態または実施例においていずれかの適切な様式で組み合わされてもよい。さらに、矛盾がない場合、当業者は、本明細書に説明する異なる実施形態または実施例及び異なる実施形態または実施例の特徴を組み合わせ、グループ化してよい。
【0078】
本開示の実施形態を上記に示し説明してきたが、上記実施形態は例示的であり、本開示を限定すると解釈されるものではなく、当業者は本開示の範囲内で上記実施形態を変更、修正、代替、及び変化し得ることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9