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特許6997885交換可能なモジュールのピーク電流除去のための放電回路設計
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  • 特許-交換可能なモジュールのピーク電流除去のための放電回路設計 図1
  • 特許-交換可能なモジュールのピーク電流除去のための放電回路設計 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-21
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】交換可能なモジュールのピーク電流除去のための放電回路設計
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/25 20200101AFI20220128BHJP
   H05B 47/195 20200101ALI20220128BHJP
   H05B 45/54 20200101ALI20220128BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220128BHJP
   F21V 25/00 20060101ALI20220128BHJP
   H02H 9/02 20060101ALI20220128BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20220128BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220128BHJP
【FI】
H05B47/25
H05B47/195
H05B45/54
F21V19/00 510
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V25/00
H02H9/02 H
H02H9/02 A
H02J1/00 309R
F21Y115:10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020564409
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2019062139
(87)【国際公開番号】W WO2019219566
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】18173081.3
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】デューレンベルグ ペーター フーベルトゥス フランシスクス
(72)【発明者】
【氏名】ヒーレン ヘルマン ヨハンネス ヘルトルーディス
(72)【発明者】
【氏名】レールマーカース レムコ クリスティアヌス ヴィルヘルムス
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-204866(JP,A)
【文献】特開2011-244141(JP,A)
【文献】特表2014-514686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/25
H05B 47/195
H05B 45/54
F21V 19/00
F21V 25/00
H02H 9/02
H02J 1/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブなLEDドライバに結合されるよう構成される交換可能なLED回路であって、前記交換可能なLED回路が、
前記LEDドライバによって供給される電力を受け取るための対の入力ピンと、
前記電力を受け取るために前記対の入力ピンの間に結合されるLEDストリングと、
前記LEDストリングに並列に結合されるサージ保護回路とを有し、前記サージ保護回路が、
前記LEDストリングに前記電力が供給されるときに充電するよう構成されるコンデンサ、及び
前記コンデンサと直列に結合される電流調整器であって、前記コンデンサが充電することを可能にすると共に、前記コンデンサが前記LEDストリングへ放電することを防止するように構成される電流調整器を有する交換可能なLED回路。
【請求項2】
前記サージ保護回路が、前記コンデンサを放電するための放電回路を更に有する請求項1に記載の交換可能なLED回路。
【請求項3】
前記電流調整器がダイオードである請求項1乃至2のいずれか一項に記載の交換可能なLED回路。
【請求項4】
前記電流調整器が半導体スイッチである請求項1乃至2のいずれか一項に記載の交換可能なLED回路。
【請求項5】
前記交換可能なLED回路が前記ドライバに接続されるときに、前記交換可能なLED回路を通る突入電流が前記交換可能なLED回路の安全動作領域内にとどまるように、前記半導体スイッチが閉じられる請求項4に記載の交換可能なLED回路。
【請求項6】
前記LEDストリングが、ライファイ又は可視光通信プロトコルを使用して動作するよう構成される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の交換可能なLED回路。
【請求項7】
前記LEDストリングと前記サージ保護回路とが同じプリント回路基板に配置される請求項1乃至6のいずれか一項に記載の交換可能なLED回路。
【請求項8】
前記コンデンサが多層セラミックコンデンサタイプのものである請求項1乃至7のいずれか一項に記載の交換可能なLED回路。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の交換可能なLED回路と、
前記交換可能なLED回路に電力を供給するためのLEDドライバとを有する照明器具。
【請求項10】
前記LEDドライバが定電流ドライバである請求項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能なLED回路に関する。本発明は、更に、交換可能なLED回路を有する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
将来的には、LEDモジュールは現場で交換可能になるだろう。このことは、法律(循環経済)、及び現場で偶発的に故障したモジュールを交換する必要性によって促されている。これらのモジュールを交換する際には、システムに給電しているLEDドライバは、全ての場合に、LEDモジュールを交換する前に、オフに切り替えられるとは限らないことが予想される。その場合には、新しいLEDモジュールとLEDドライバとの間の電気的接続がなされるときに、LEDドライバの出力段によってモジュールへピーク電流が出力される可能性があり、これは、LEDに損傷を与える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書に記載されている発明は、LEDドライバをオフに切り替えずにLEDモジュールが交換される場合に、LEDドライバの出力段によって出力されるピーク電流が、LEDに到達し、LEDに可能性のある損傷を与える前に、減少されるようにする。このピーク電流は、LEDドライバの出力に起因するピーク電流であることから、アウトラッシュ電流(outrush current)とも呼ばれている。LEDモジュールが別のLEDモジュールに交換され、新しいLEDモジュールをLEDドライバに接続すると、LEDドライバによってピーク電流が出力される場合、LEDは損傷を受け、結果的に期待寿命が低下するというのが、本発明者の洞察である。それ故、この単一のピーク電流がLEDを流れることを防止することが重要である。
【0004】
本発明の目的は、ピーク電流によってLEDが損傷を受けないように、前記LEDを通る前記ピーク電流を減少させる交換可能なLED回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明の第1態様においては、交換可能なLED回路が、
- 電源によって供給される電力を受け取るための対の入力ピンと、
- 前記電力を受け取るために前記対の入力ピンの間に結合されるLEDストリングと、
- 前記LEDストリングに並列に結合されるサージ保護回路とを有し、前記サージ保護回路が、
- 前記LEDストリングに前記電力が供給されるときに充電するよう構成されるコンデンサ、及び
- 前記コンデンサと直列に結合される電流調整器であって、前記コンデンサが充電することを可能にすると共に、前記コンデンサが前記LEDストリングへ放電することを防止するように構成される電流調整器を有する。
【0006】
前記交換可能なLED回路がアクティブなLEDドライバに結合されるとき、前記サージ保護回路は、前記LEDストリングを通る突入電流が減少されるように前記LEDドライバの出力段を放電し、前記突入電流が前記LEDストリングの寿命に与える影響を減少させる。前記電流調整器は、電流が、前記LEDストリングへ流れるよう前記コンデンサから流れることを防止する。このような電流の流れは、前記LEDドライバの動作に悪影響を及ぼし得る。
【0007】
他の例においては、前記サージ保護回路は、前記コンデンサを放電するための放電回路を更に有する。
【0008】
これは、前記LEDドライバが前記交換可能なLED回路への電流の供給を停止した後に、前記コンデンサが放電することを可能にする。前記交換可能なLED回路の、別のLEDドライバとの別の再接続の場合には、前記コンデンサは、放電され、別の突入電流を吸収することを可能にする。
【0009】
他の例においては、前記電流調整器はダイオードである。
【0010】
これは、前記突入電流が前記コンデンサによって吸収されることを可能にすると共に、前記コンデンサが前記LEDストリングを介して放電することを防止するための簡単で安価な実施形態を提供する。
【0011】
他の例においては、前記電流調整器は半導体スイッチである。
【0012】
これは、前記突入電流が前記コンデンサによって吸収されることを可能にすると共に、前記コンデンサが前記LEDストリングを介して放電することを防止するためのより汎用性の高い実施形態を提供する。
【0013】
他の例においては、前記交換可能なLED回路基板が前記LEDドライバに接続されるときに、前記交換可能なLED回路基板を通る突入電流が前記交換可能なLED回路基板の安全動作領域内にとどまるように、前記半導体スイッチが閉じられる。
【0014】
前記交換可能なLED回路がアクティブなLEDドライバに結合されるとき、前記サージ保護回路は、前記LEDストリングを通る突入電流が前記LEDストリングの安全動作領域内におさまるように前記LEDドライバの出力段を放電する。前記突入電流が前記LEDストリングの前記安全動作領域内にとどまる場合には、前記LEDストリングの寿命への悪影響はない。
【0015】
他の例においては、前記LEDストリングは、ライファイ(light fidelity)又は可視光通信プロトコルを使用して動作するよう構成される。
【0016】
この状況においては、前記LEDストリングと並列にキャパシタンスが生じることはないかもしれない。これは、前記通信プロトコルを妨害する可能性がある。通常動作モードにおいては、前記電流調整器が、前記コンデンサが前記LEDストリングの電流に如何なる影響を及ぼすことも防止する。
【0017】
他の例においては、前記コンデンサの充電中、前記LEDストリングを通る電流は、前記LEDストリングの公称電流の4倍を超えない。
【0018】
前記LEDストリングを通る突入電流が前記公称電流の4倍未満のままである限り、前記LEDストリングの寿命は少なくとも20,0000時間であることが保証され得る。
【0019】
他の例においては、前記LEDストリングと前記サージ保護回路とが同じプリント回路基板に配置される。
【0020】
前記サージ保護回路を前記LEDストリングと同じプリント回路基板に有することは、前記保護回路が少なくとも1回は前記LEDストリングを保護することを保証する。
【0021】
他の例においては、前記コンデンサは多層セラミックコンデンサタイプのものである。
【0022】
このタイプのコンデンサは、突入電流を吸収するのに最も適している。
【0023】
別の例においては、照明器具が、
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の交換可能なLED回路と、
- 前記交換可能なLED回路基板に電力を供給するためのLEDドライバとを有する。
【0024】
前記照明器具は、前記照明器具をオフにすることなく、LEDストリングを安全に交換することを可能にする交換可能なLED回路を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
ここで、添付図面を参照して本発明の例について説明する。
図1】アクティブなLEDドライバに接続されるときにLEDを通るピーク電流を減少させるよう構成される交換可能なLED回路の例を示す。
図2】アクティブなLEDドライバに接続されるときにLEDを通るピーク電流を減少させるよう構成される交換可能なLED回路の他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、交換可能なLED回路1の例を示している。交換可能なLED回路1は、LEDドライバによって供給される電力を受け取るための入力ピンInを有する。交換可能なLED回路1は、LEDドライバによって電流が供給されるときに光を発するLEDストリング3を更に有する。サージ保護回路2は、LEDストリング3と並列に結合される。サージ保護回路2は、コンデンサC1、C2、C3と直列に電流調整器D1を有する。この例においては、電流調整器D1は、コンデンサC1、C2、C3が、LEDドライバの電流によって充電されることはできるが、前記LEDストリング3を介して放電されることはできないように配置されるダイオードである。
【0027】
大きすぎる電流がサージ保護回路2を流れることを防止するよう、抵抗器R1が導入されることができ、さもなければ、前記大きすぎる電流がダイオードD1及びコンデンサC1、C2、C3のうちの1つに損傷を与えるだろう。
【0028】
交換可能なLED回路1が電流を全く受け取っていないときにコンデンサC1、C2、C3を放電するための放電回路R2が導入され得る。この例においては、放電回路R2は抵抗器として実施されている。放電回路R2はまた、LEDドライバが交換可能なLED回路1に電流を全く供給していないときにしかコンデンサC1、C2、C3を放電しない能動回路であってもよい。
【0029】
コンデンサC1、C2、C3は、任意の値を有してもよく、主に、LEDストリング3及びLEDドライバの電流能力に依存する。コンデンサC1、C2、C3の値は、ピーク電流が、LEDストリング3がもはや損傷を受けないようなレベルに減少されるように、調整され得る。
【0030】
LEDストリング3に電力を供給するLEDドライバは、定電流源であってもよい。LEDドライバは、LEDストリング3が光を発するための電流を供給する。ストリング内のLEDが故障する場合、LEDストリング3の光出力は低下する。それ故、LEDは、故障したLEDが交換され得るように交換可能なLED回路1に取り付けられる。LEDドライバが、オフにされていない場合、又はオフにされることができない場合がある。交換可能なLED回路1がLEDドライバから切り離されるときには、LEDドライバの出力における電圧はLEDドライバの最大許容電圧まで急増する。これは通常、LEDドライバの過電圧保護機能によって調整される。新しい交換可能なLED回路1がLEDドライバの出力に結合されるときには、LEDドライバの出力電圧がLEDストリング3の順方向電圧よりもはるかに大きいことから、ピーク電流がLEDストリング3を流れる。この電圧差が、LEDドライバからLEDストリング3に向かって流れるピーク電流をもたらす。サージ保護回路2は、LEDストリング3と同じプリント回路基板(PCB)に配置され得る。このサージ保護回路2は、残りの電流によってLEDストリング3が損傷を受けないように、ピーク電流の大部分を吸収する。電流調整器D1は、ピーク電流に対して低いインピーダンスを有し、電流がサージ保護回路2を容易に流れることを可能にし、ピーク電流のエネルギをコンデンサC1、C2、C3に蓄積する。
【0031】
コンデンサC1、C2、C3は、ピーク電流の吸収後には、(部分的に)充電されていることから、サージ保護回路2は、ピーク電流に対する更なる保護を提供することができなくなる。場合によっては、複数のピーク電流に対する、例えば、LEDドライバが起動するたびの、更なる保護を提供することが望まれることがある。その場合、コンデンサC1、C2、C3と並列接続の放電回路R2が、交換可能なLED回路1に電流が供給されないときにコンデンサを放電するために使用され得る。図1において示されている放電回路R2は、抵抗器として実施されている。これは、交換可能なLED回路1に電流が供給されていないときだけでなく、LEDストリング3の動作中にも、コンデンサC1、C2、C3の放電を提供し、交換可能なLED回路1において追加の損失を発生させる。放電回路R2の別の実施形態は、LEDドライバによって供給されている電流がないときにしかコンデンサC1、C2、C3を放電しないスマート回路を導入するものである。電流が供給されていないかどうかを検出する方法は、入力ピンにおける高周波信号を感知することによるものである。高周波信号は、LEDドライバのスイッチング動作から来ており、三角電流波形としてLEDストリング3の方へ運ばれ、LEDの順方向電圧において電圧リップルをもたらす。
【0032】
図2は、交換可能なLED回路1の例を示している。交換可能なLED回路1は、LEDドライバによって供給される電力を受け取るための入力ピンInを有する。交換可能なLED回路1は、LEDドライバによって電流が供給されるときに光を発するLEDストリング3を更に有する。サージ保護回路2は、LEDストリング3と並列に結合される。サージ保護回路2は、コンデンサC1、C2、C3と直列に電流調整器Q1を有する。この例においては、電流調整器Q1はスイッチング要素であり、前記スイッチング要素は、この例においては、更に、トランジスタとして実施されている。トランジスタは、入力電圧がトランジスタのベース・ソースノードの順方向電圧を超えるときに、導通を開始する。コンデンサC1、C2、C3は、LEDストリングの順方向電圧からトランジスタにわたる電圧降下を差し引いた値まで充電する。トランジスタはまた、外部制御信号を介して制御されてもよい。その場合、トランジスタはまた、制御可能に、電流がコンデンサC1、C2、C3に流れ込むことを可能にするために使用され得る。例えば、LEDストリング3が標準的な定電流源によって駆動される場合には、追加のキャパシタンスは、電流の安定性を向上させるのに役立ち得る。この場合には、トランジスタは、コンデンサC1、C2、C3がLEDストリング3を介して放電することができるように、閉じたままにしておくことができる。LEDストリング3がパルス幅変調電流で駆動される場合、例えば、調光中、又は符号化光若しくはLiFiのためにLEDストリング3を動作させる間には、LEDストリング3と並列接続の追加のキャパシタンスは望ましくない。その場合、トランジスタは、コンデンサC1、C2、C3がLEDストリング3を介して放電することができないように、開いたままにしておくことができる。
【0033】
全ての例において、LEDストリング3とサージ保護回路2とが同じプリント回路基板に配置されてもよい。
【0034】
全ての例において、コンデンサC1、C2、C3は、多層セラミックタイプ、フィルムコンデンサ、タンタルコンデンサ、電解コンデンサのうちの1つであり得る。
図1
図2