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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】分析装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20220111BHJP
【FI】
G06Q30/02 382
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018016156
(22)【出願日】2018-02-01
(65)【公開番号】P2019133482
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】三谷 壮平
【審査官】塩澤 如正
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0068987(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0132658(US,A1)
【文献】特表2012-528394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告バナーが設けられた広告ウェブサイトをユーザ端末で閲覧したときに前記広告バナーが前記ユーザ端末の画面に表示されたか否かを示す情報と、前記広告バナーの広告対象である対象ウェブサイトを前記ユーザ端末で閲覧したか否かを示す情報とを含むログデータを取得するログデータ取得部と、
前記ログデータを分析することにより、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されて前記対象ウェブサイトを閲覧した度合いと、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されずに前記対象ウェブサイトを閲覧した度合いとに基づいて、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されたことによる広告効果を示すリフト係数を算出する係数算出部と、
を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記ログデータを分析することにより、前記対象ウェブサイトを閲覧するまでに前記広告ウェブサイトをいくつ閲覧したかを示すサイト数を算出し、前記サイト数に基づいて前記広告ウェブサイトの一つあたりの広告貢献度を示すスコアを算出し、前記スコアを前記広告ウェブサイトのリフト係数を用いて補正することにより前記広告ウェブサイトの広告貢献度を示す真のスコアを算出するスコア算出部を備える、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
分析装置で実行される分析方法であって、
広告バナーが設けられた広告ウェブサイトをユーザ端末で閲覧したときに前記広告バナーが前記ユーザ端末の画面に表示されたか否かを示す情報と、前記広告バナーの広告対象である対象ウェブサイトを前記ユーザ端末で閲覧したか否かを示す情報とを含むログデータを取得し、
前記ログデータを分析することにより、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されて前記対象ウェブサイトを閲覧した度合いと、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されずに前記対象ウェブサイトを閲覧した度合いとに基づいて、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されたことによる広告効果を示すリフト係数を算出することを特徴とする分析方法。
【請求項4】
前記ログデータを分析することにより、前記対象ウェブサイトを閲覧するまでに前記広告ウェブサイトをいくつ閲覧したかを示すサイト数を算出し、前記サイト数に基づいて前記広告ウェブサイトの一つあたりの広告貢献度を示すスコアを算出し、前記スコアを前記広告ウェブサイトのリフト係数を用いて補正することにより前記広告ウェブサイトの広告貢献度を示す真のスコアを算出する、請求項3に記載の分析方法。
【請求項5】
分析装置で実行される分析プログラムであって、
前記プログラムは、前記分析装置に、
広告バナーが設けられた広告ウェブサイトをユーザ端末で閲覧したときに前記広告バナーが前記ユーザ端末の画面に表示されたか否かを示す情報と、前記広告バナーの広告対象である対象ウェブサイトを前記ユーザ端末で閲覧したか否かを示す情報とを含むログデータを取得する処理と、
前記ログデータを分析することにより、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されて前記対象ウェブサイトを閲覧した度合いと、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されずに前記対象ウェブサイトを閲覧した度合いとに基づいて、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されたことによる広告効果を示すリフト係数を算出する処理と、
を実行させることを特徴とする分析プログラム。
【請求項6】
前記プログラムは、前記分析装置に、
前記ログデータを分析することにより、前記対象ウェブサイトを閲覧するまでに前記広告ウェブサイトをいくつ閲覧したかを示すサイト数を算出し、前記サイト数に基づいて前記広告ウェブサイトの一つあたりの広告貢献度を示すスコアを算出し、前記スコアを前記広告ウェブサイトのリフト係数を用いて補正することにより前記広告ウェブサイトの広告貢献度を示す真のスコアを算出する処理を実行させる、請求項5に記載の分析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブサイトに設けられたバナーの広告効果を分析する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インターネットのウェブサイト上では、様々なバナーが用いられている(例えば特許文献1、2参照)。例えば、ウェブサイトに設けられるバナーとして、ある広告主のウェブサイトへの来訪を促すためのバナー(広告バナー)が用いられている。広告バナーは、その広告バナーが設けられたウェブサイト(広告ウェブサイト)をユーザが閲覧したときにユーザ端末の画面上に表示され、それを見たユーザを広告主のウェブサイト(広告対象のウェブサイト)へ誘導する機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-277297号公報
【文献】特開2011-243125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、広告主のウェブサイトを閲覧したユーザの中には、広告ウェブサイトを閲覧したときにユーザ端末の画面上に表示された広告バナーを見ずに、広告主のウェブサイトに来訪したものも含まれる。したがって、広告ウェブサイトを閲覧したときにユーザ端末の画面上に広告バナーが表示されたユーザ数のみに基づいて、広告バナーの広告効果を把握することは困難であった。
【0005】
そこで従来、広告バナーの広告効果を把握するための手法の一つとして、ダミーバナーが用いられていた。ダミーバナーは、広告主のウェブサイトへの来訪を促す広告バナーとは異なり、例えばチャリティー募金のお願いなどを内容とするものである。
【0006】
ダミーバナーを用いて広告バナーの広告効果を算出する場合には、まず、ある広告ウェブサイトには広告バナーを設ける一方、他の広告ウェブサイトには広告バナーの代わりにダミーバナーを設けておく。そして、広告主のウェブサイトを閲覧したユーザのうち、広告ウェブサイトを閲覧したときにユーザ端末の画面上に広告バナーが表示されたユーザ数から、広告ウェブサイトを閲覧したときにユーザ端末の画面上にダミーが表示されたユーザ数を差し引くことにって、広告バナーの広告効果を算出する。
【0007】
しかしながら、ダミーバナーを設けるためには、広告バナーを設けるのとは別途に費用が必要になるという問題がある。また、ダミーバナーは、そのバナーの内容(例えばチャリティー募金など)に関連するウェブサイトで表示されるように最適化されてしまうことがあり、その場合、広告バナーが表示されるウェブサイトとダミーバナーが表示されるウェブサイトとのターゲット層が異なる、すなわち、広告バナーとダミーバナーの配信対象が異なる結果になり、広告バナーの広告効果を正確に算出することができないおそれがある、という問題もあった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、ダミーバナーを用いることなく、広告バナーの広告効果を把握することのできる分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の分析装置は、広告バナーが設けられた広告ウェブサイトをユーザ端末で閲覧したときに前記広告バナーが前記ユーザ端末の画面に表示されたか否かを示す情報と、前記広告バナーの広告対象である対象ウェブサイトを前記ユーザ端末で閲覧したか否かを示す情報とを含むログデータを取得するログデータ取得部と、前記ログデータを分析することにより、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されて前記対象ウェブサイトを閲覧した度合いと、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されずに前記対象ウェブサイトを閲覧した度合いとに基づいて、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されたことによる広告効果を示すリフト係数を算出する係数算出部と、を備えている。
【0010】
この構成によれば、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されて対象ウェブサイトを閲覧した度合いと、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されずに対象ウェブサイトを閲覧した度合いとを利用することによって、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されたことによる広告効果を示すリフト係数を求めることができる。これにより、ダミーバナーを用いることなく、広告バナーの広告効果を把握することができる。
【0011】
また、本発明の分析装置は、前記ログデータを分析することにより、前記対象ウェブサイトを閲覧するまでに前記広告ウェブサイトをいくつ閲覧したかを示すサイト数を算出し、前記サイト数に基づいて前記広告ウェブサイトの一つあたりの広告貢献度を示すスコアを算出し、前記スコアを前記広告ウェブサイトのリフト係数を用いて補正することにより前記広告ウェブサイトの広告貢献度を示す真のスコアを算出するスコア算出部を備えてもよい。
【0012】
この構成によれば、広告ウェブサイトのリフト係数を利用することによって、広告ウェブサイトの広告貢献度を示す真のスコアを求めることができる。これにより、広告ウェブサイトの広告貢献度を、より正確に把握することが可能になる。
【0013】
本発明の分析方法は、分析装置で実行される分析方法であって、広告バナーが設けられた広告ウェブサイトをユーザ端末で閲覧したときに前記広告バナーが前記ユーザ端末の画面に表示されたか否かを示す情報と、前記広告バナーの広告対象である対象ウェブサイトを前記ユーザ端末で閲覧したか否かを示す情報とを含むログデータを取得し、前記ログデータを分析することにより、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されて前記対象ウェブサイトを閲覧した度合いと、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されずに前記対象ウェブサイトを閲覧した度合いとに基づいて、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されたことによる広告効果を示すリフト係数を算出する。
【0014】
この方法によっても、上記の装置と同様に、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されて対象ウェブサイトを閲覧した度合いと、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されずに対象ウェブサイトを閲覧した度合いとを利用することによって、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されたことによる広告効果を示すリフト係数を求めることができる。これにより、ダミーバナーを用いることなく、広告バナーの広告効果を把握することができる。
【0015】
また、本発明の分析方法では、前記ログデータを分析することにより、前記対象ウェブサイトを閲覧するまでに前記広告ウェブサイトをいくつ閲覧したかを示すサイト数を算出し、前記サイト数に基づいて前記広告ウェブサイトの一つあたりの広告貢献度を示すスコアを算出し、前記スコアを前記広告ウェブサイトのリフト係数を用いて補正することにより前記広告ウェブサイトの広告貢献度を示す真のスコアを算出してもよい。
【0016】
これにより、広告ウェブサイトのリフト係数を利用することによって、広告ウェブサイトの広告貢献度を示す真のスコアを求めることができる。これにより、広告ウェブサイトの広告貢献度を、より正確に把握することが可能になる。
【0017】
本発明の分析プログラムは、分析装置で実行される分析プログラムであって、前記プログラムは、前記分析装置に、広告バナーが設けられた広告ウェブサイトをユーザ端末で閲覧したときに前記広告バナーが前記ユーザ端末の画面に表示されたか否かを示す情報と、前記広告バナーの広告対象である対象ウェブサイトを前記ユーザ端末で閲覧したか否かを示す情報とを含むログデータを取得する処理と、前記ログデータを分析することにより、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されて前記対象ウェブサイトを閲覧した度合いと、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されずに前記対象ウェブサイトを閲覧した度合いとに基づいて、前記広告ウェブサイトで前記広告バナーが表示されたことによる広告効果を示すリフト係数を算出する処理と、を実行させる。
【0018】
このプログラムによっても、上記の装置と同様に、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されて対象ウェブサイトを閲覧した度合いと、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されずに対象ウェブサイトを閲覧した度合いとを利用することによって、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されたことによる広告効果を示すリフト係数を求めることができる。これにより、ダミーバナーを用いることなく、広告バナーの広告効果を把握することができる。
【0019】
また、本発明の分析プログラムは、前記分析装置に、前記ログデータを分析することにより、前記対象ウェブサイトを閲覧するまでに前記広告ウェブサイトをいくつ閲覧したかを示すサイト数を算出し、前記サイト数に基づいて前記広告ウェブサイトの一つあたりの広告貢献度を示すスコアを算出し、前記スコアを前記広告ウェブサイトのリフト係数を用いて補正することにより前記広告ウェブサイトの広告貢献度を示す真のスコアを算出する処理を実行させてもよい。
【0020】
これにより、広告ウェブサイトのリフト係数を利用することによって、広告ウェブサイトの広告貢献度を示す真のスコアを求めることができる。これにより、広告ウェブサイトの広告貢献度を、より正確に把握することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ダミーバナーを用いることなく、広告バナーの広告効果を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態における分析装置が適用されるシステム全体の説明図である。
図2】本発明の実施の形態における分析装置のブロック図である。
図3】本発明の実施の形態におけるログデータの一例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態における広告バナーの表示/非表示の説明図である。
図5】本発明の実施の形態における係数算出用データの一例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態におけるリフト係数の説明図である。
図7】本発明の実施の形態におけるスコア算出用データの一例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態におけるユーザ端末の遷移パスとスコア算出の一例の説明図である。
図9】本発明の実施の形態における各媒体の真のスコアの説明図である。
図10】本発明の実施の形態における分析装置の動作(リフト係数の算出)のフロー図である。
図11】本発明の実施の形態における分析装置の動作(スコアの算出)のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態の分析装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、ウェブサイトに設けられたバナーの広告効果の分析等に用いられる分析装置の場合を例示する。後述するように、この分析装置は、バナーの広告効果の分析機能を備えている。この機能は、分析装置のメモリ等に格納されたプログラムによって実現される。
【0024】
本発明の実施の形態の分析装置の構成を、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の分析装置が適用されるシステム全体の概要を示す説明図である。図1に示すように、分析装置1は、インターネット網などのネットワーク2に接続されており、ネットワーク2には、インターネット上の各ウェブサイトで様々な情報を提供するウェブサーバ3(サイトAのウェブサーバA、サイトBのウェブサーバB、サイトCのウェブサーバC、・・・、サイトXのウェブサーバX)と、ウェブサイトを閲覧するためのブラウザ機能を有するユーザ端末4が接続されている。ユーザ端末4は、例えば、スマートフォンやPCなどである。また、ネットワーク2には、ウェブサイトに設けられるバナーの表示を管理するバナー管理サーバ5が接続されている。バナー管理サーバ5は、例えば、第三者配信(3PAS)サーバなどである。
【0025】
図2は、本実施の形態の分析装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、分析装置1は、バナー管理サーバ5からログデータを取得するログデータ取得部10と、取得したログデータを記憶するログデータ記憶部11と、ログデータを分析してバナー表示の広告効果を示すリフト係数を算出する係数算出部12と、算出したリフト係数を記憶する係数記憶部13と、ログデータを分析してウェブサイトの広告貢献度を示すスコアを算出するスコア算出部14と、算出したスコアを記憶するスコア記憶部15を備えている。
【0026】
ログデータ取得部10は、バナー管理サーバ5から様々なログデータする。ログデータには、ウェブサイトにアクセスしたユーザ端末4のID情報、そのユーザ端末4がウェブサイトにアクセスした日付情報、そのユーザ端末4がアクセスしたウェブサイトのサイト名(媒体名)情報、広告バナーが設けられたウェブサイト(広告ウェブサイト)をユーザ端末4で閲覧したときにその広告バナーがユーザ端末4の画面に表示されたか否かを示す表示フラグ情報、その広告バナーの広告対象であるウェブサイト(対象ウェブサイト)をユーザ端末4で閲覧したか否かを示す訪問フラグ情報が含まれる(図3参照)。
【0027】
図4は、広告ウェブサイトでの広告バナーの表示/非表示の説明図である。図4では、ユーザ端末4の画面に表示される部分が破線で示されている。図4に示すように、例えば、ある広告ウェブサイト(サイトA)には、ウェブサイトのフレーム上部に広告バナー(バナーA)が配置されている。したがって、ユーザ端末4でサイトAを閲覧したときに、ユーザ端末4の画面にバナーAが表示される(表示フラグ:1)。一方、他のウェブサイト(サイトB)には、ウェブサイトのフレーム下部に広告バナー(バナーB)が配置されている。したがって、ユーザ端末4でサイトBを閲覧したときに(ユーザが下方へのスクロール操作を行わないと)、ユーザ端末4の画面にバナーBは表示されない(表示フラグ:0)。
【0028】
係数算出部12は、ログデータから係数算出用データを作成する(図5参照)。係数算出用データは、媒体ごと(広告ウェブサイトごと)に作成される。例えば、係数算出陽データには、図5に示すように、その広告ウェブサイト(例えば、媒体A=サイトA)を閲覧したユーザ端末4のID情報と、その広告ウェブサイトを閲覧したときに広告バナー(例えば、バナーA)が表示されたかを示す表示フラグ情報と、その広告ウェブサイトの広告バナーの広告対象である対象ウェブサイト(例えば、サイトX)をユーザ端末4で閲覧したか否かを示す訪問フラグ情報が含まれる。
【0029】
係数算出部12は、係数算出用データに基づいて、図6に示すように、広告ウェブサイト(媒体A)で広告バナー(バナーA)が表示されて対象ウェブサイト(サイトX)を閲覧した度合い(例えば0.86%)と、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されずに対象ウェブサイトを閲覧した度合い(例えば0.33%)を算出する。そして、係数算出部12は、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されて対象ウェブサイトを閲覧した度合い(例えば0.86%)と、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されずに対象ウェブサイトを閲覧した度合い(例えば0.33%)とに基づいて、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されたことによる広告効果を示すリフト係数(例えば61.4%=(0.53/0.86)×100)を算出する。
【0030】
スコア算出部14は、ログデータからスコア算出用データを作成する(図7参照)。スコア算出用データは、広告対象である対象ウェブサイトが閲覧された媒体(訪問フラグ:1)について、媒体ごと(広告ウェブサイトごと)に作成される。例えば、スコア算出用データには、図7に示すように、その広告ウェブサイト(例えば、媒体A=サイトA)を閲覧したユーザ端末4のID情報と、対象ウェブサイトを閲覧するまでに広告ウェブサイトをいくつ閲覧したかを示すサイト数と、サイト数に基づいて算出される広告ウェブサイトの一つあたりの広告貢献度を示すスコア(補正前のスコア)と、スコアを広告ウェブサイトのリフト係数を用いて補正することにより算出される広告ウェブサイトの広告貢献度を示す真のスコア(補正後のスコア)が含まれる。
【0031】
図8には、ユーザ端末4の遷移パスとスコアの一例が示される。図8の例では、あるユーザ(ユーザ端末ID:0001)は、3つの広告ウェブサイト(媒体Aと媒体Bと媒体C)を閲覧した後に、対象ウェブサイト(サイトX)を訪問している。この場合、対象ウェブサイトを訪問するまでに閲覧した広告ウェブサイトのサイト数は3であり、広告ウェブサイトの一つあたりの広告貢献度を示すスコア(補正前のスコア)は0.33(=1÷3)であると算出される。媒体Aのリフト係数が61.4%であれば、媒体Aの広告貢献度を示す真のスコア(補正後のスコア)は0.175(=0.33×61.4÷100)であると算出される。また、媒体Bのリフト係数が80.5%であれば、媒体Bの広告貢献度を示す真のスコア(補正後のスコア)は0.266(=0.33×80.5÷100)であると算出される。また、媒体Cのリフト係数が51.1%であれば、媒体Cの広告貢献度を示す真のスコア(補正後のスコア)は0.169(=0.33×51.1÷100)であると算出される。
【0032】
図7に戻って、スコア算出の説明を続ける。スコア算出部14は、上述のようにして、あるユーザ(ユーザ端末ID:0001)について、ある媒体(媒体A)の補正後のスコアを算出する。同様にして、スコア算出部14は、広告対象である対象ウェブサイトを閲覧したすべてのユーザ(ユーザ端末ID:0002、0004、・・・)について補正後のスコアを算出する。そして、その合計値(301.2)がその媒体(媒体A)の広告貢献度を示す真のスコアとして算出される。
【0033】
スコア算出部14は、各媒体(媒体A、媒体B、媒体C、媒体D、・・・)について真のスコアを算出する(図9参照)。図9に示すように、補正前のスコアでは、媒体Cが最も値が高い(広告貢献度が高い)ことになるが、リフト係数を考慮した補正後のスコアでは、媒体Dが最も値が高い(広告貢献度が高い)ことがわかる。
【0034】
以上のように構成された分析装置1について、図10および図11のフロー図を参照してその動作を説明する。
【0035】
本実施の形態の分析装置1を用いてリフト係数を算出する場合には、図10に示すように、係数算出部12が、ログデータ記憶部11からログデータ(ログデータ取得部10がバナー管理サーバ5から取得したログデータ)を取得し(S10)、係数算出用データを作成する(S11)。そして、係数算出部12は、係数算出用データに基づいて、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されて対象ウェブサイトを閲覧した度合い(例えば0.86%)と、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されずに対象ウェブサイトを閲覧した度合い(例えば0.33%)を算出し、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されたことによる広告効果を示すリフト係数(例えば61.4%=(0.53/0.86)×100)を算出する(S12)。算出したリフト係数は、係数記憶部13に記憶される(S13)。
【0036】
また、本実施の形態の分析装置1を用いてスコアを算出する場合には、図11に示すように、スコア算出部14が、ログデータ記憶部11からログデータ(ログデータ取得部10がバナー管理サーバ5から取得したログデータ)を取得するとともに(S20)、係数記憶部13からリフト係数(係数算出部12が算出したリフト係数)を取得し(S21)、スコア算出用データを作成する(S22)。そして、スコア算出部14は、各広告ウェブサイト(各媒体)について、対象ウェブサイトを閲覧するまでに広告ウェブサイトをいくつ閲覧したかを示すサイト数を算出し、サイト数に基づいて広告ウェブサイトの一つあたりの広告貢献度を示すスコア(補正前のスコア)を算出し、そのスコアを広告ウェブサイトのリフト係数を用いて補正することにより広告ウェブサイトの広告貢献度を示す真のスコア(補正後のスコア)を算出する(S23)。算出した真のスコアは、スコア記憶部15に記憶される(S24)。
【0037】
このような本実施の形態の分析装置1によれば、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されて対象ウェブサイトを閲覧した度合いと、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されずに対象ウェブサイトを閲覧した度合いとを利用することによって、広告ウェブサイトで広告バナーが表示されたことによる広告効果を示すリフト係数を求めることができる。これにより、ダミーバナーを用いることなく、広告バナーの広告効果を把握することができる。
【0038】
また、本実施の形態では、広告ウェブサイトのリフト係数を利用することによって、広告ウェブサイトの広告貢献度を示す真のスコアを求めることができる。これにより、広告ウェブサイトの広告貢献度を、より正確に把握することが可能になる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0040】
例えば、上記の実施の形態では、1つの媒体(例えば媒体A)に1つの広告バナー(例えば広告バナーA)が表示される例(いわゆる予約型広告の例)について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。本発明は、複数の媒体を束ねたアドネットワークに同一の広告バナーを表示する場合(例えば、広告メニュー経由で広告バナーが表示される場合)にも、同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明にかかる分析装置は、ダミーバナーを用いることなく、広告バナーの広告効果を把握することができるという効果を有し、ウェブサイトに設けられたバナーの広告効果の分析等に用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0042】
1 分析装置
2 ネットワーク
3 ウェブサーバ
4 ユーザ端末
5 バナー管理サーバ
10 ログデータ取得部
11 ログデータ記憶部
12 係数算出部
13 係数記憶部
14 スコア算出部
15 スコア記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11