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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】車両の前部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
B62D25/08 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018138390
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020015370
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 健二
(72)【発明者】
【氏名】後田 尚希
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 尚史
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-199075(JP,A)
【文献】特開2009-286322(JP,A)
【文献】特開2005-225388(JP,A)
【文献】特開2009-023657(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0252103(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102004041269(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンネットフードと、前記ボンネットフードとウィンドシールドとの間に設けられたカウルルーバとを備える車両の前部構造において、
車両前後方向を前後方向とするとき、
前記カウルルーバは、車幅方向に延在するベース部と、前記ベース部から上方に突出されるとともに車幅方向に延在する縦壁部とを有しており、
前記縦壁部のうちワイパーの回動軸部が挿通される挿通孔の前方に位置する部位には、前方に向かって張り出しており、前記ボンネットフードの後端部の直下に位置する張出部が設けられており、
前記張出部には、前記縦壁部における周囲の部位よりも圧縮荷重に対して脆弱な変形促進部が設けられており
前記縦壁部における前記変形促進部の車幅方向内側には、前記縦壁部から前方に向かって突出するとともに前記ベース部から上方に向かって突出するリブが設けられており、
前記リブには、前記リブよりも圧縮荷重に対して脆弱な材料により形成され、車幅方向外側から内側への空気の流入を規制する板状の規制部材が嵌合されている、
車両の前部構造。
【請求項2】
前記張出部は、山形状の縦断面構造を有しており、
前記変形促進部は、前記張出部における頂部を含む山形状の縦断面構造を有している、
請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記周囲の部位は、硬質樹脂材料により形成されており、
前記変形促進部は、エラストマにより形成されている、
請求項1または請求項2に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記縦壁部における前記変形促進部の車幅方向外側には、前記硬質樹脂材料により形成され、前記カウルルーバを車体に組み付ける際に作業者の手指で押圧される押圧部が隣接して設けられている、
請求項3に記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記縦壁部における前記変形促進部の下側には、前記硬質樹脂材料により形成され、前記カウルルーバを車体に組み付ける際に作業者の手指で押圧される押圧部が隣接して設けられている、
請求項3または請求項4に記載の車両の前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンネットフードと、ボンネットフードとウィンドシールドとの間に設けられたカウルルーバとを備える車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のボンネットフードの後端とフロンウィンドシールドの下端との間には、硬質樹脂材料によって形成されたカウルルーバが設けられている(例えば特許文献1参照)。カウルルーバは、車幅方向に延在するベース部と、ベース部から上方に突出されるとともに車幅方向に延在する縦壁部とを有している。カウルルーバの下端は、下方に設けられたカウルに組み付けられている。また、カウルルーバの後端は、ウィンドシールドに組み付けられている。また、カウルルーバにおける縦壁部の後側の部位には、ワイパーの回動軸部が挿通される挿通孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-112985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カウルルーバにおいては、縦壁部のうち上記挿通孔の前方に位置する部位が同挿通孔と干渉しないように前方に向かって張り出した張出部を有しているものがある。こうしたカウルルーバを備えた車両の場合、縦壁部の張出部がボンネットフードの後端部の直下に位置していると、例えば歩行者の頭部がボンネットフードの後端部を介して縦壁部の張出部に衝突した際に、衝突に伴う衝撃力が好適に吸収されないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、衝撃吸収性能を向上させることのできる車両の前部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための車両の前部構造は、ボンネットフードと、前記ボンネットフードとウィンドシールドとの間に設けられたカウルルーバとを備える車両の前部構造において、車両前後方向を前後方向とするとき、前記カウルルーバは、車幅方向に延在するベース部と、前記ベース部から上方に突出されるとともに車幅方向に延在する縦壁部とを有しており、前記縦壁部のうちワイパーの回動軸部が挿通される挿通孔の前方に位置する部位には、前方に向かって張り出しており、前記ボンネットフードの後端部の直下に位置する張出部が設けられており、前記張出部には、前記縦壁部における周囲の部位よりも圧縮荷重に対して脆弱な変形促進部が設けられている。
【0007】
同構成によれば、ボンネットフードの後端部のうちカウルルーバの縦壁部の張出部の直上の部位に衝突体が衝突すると、周囲の部位よりも圧縮荷重に対して脆弱な変形促進部が変形されることにより張出部の変形が促進されることで、当該頭部が急激に減速されることを抑制できる。これにより、衝突体に作用する衝撃力を好適に吸収することができる。
【0008】
上記車両の前部構造において、前記張出部は、山形状の縦断面構造を有しており、前記変形促進部は、前記張出部における頂部を含む山形状の縦断面構造を有していることが好ましい。
【0009】
同構成によれば、張出部のうち前後方向の広い範囲に変形促進部が設けられるため、変形促進部により張出部の変形が一層促進されるようになる。したがって、衝突体に作用する衝撃力を一層好適に吸収することができる。
【0010】
上記車両の前部構造において、前記周囲の部位は、硬質樹脂材料により形成されており、前記変形促進部は、エラストマにより形成されていることが好ましい。
同構成によれば、変形促進部をエラストマにより形成する一方、変形促進部の周囲の部位を硬質樹脂材料により形成することで、変形促進部を、その周囲の部位よりも脆弱にすることが容易にできる。
【0011】
上記車両の前部構造において、前記縦壁部における前記変形促進部の車幅方向外側には、前記硬質樹脂材料により形成され、前記カウルルーバを車体に組み付ける際に作業者の手指で押圧される押圧部が隣接して設けられていることが好ましい。
【0012】
カウルルーバを車体に組み付ける際、作業者は張出部またはその周囲の部位を手指で押圧することとなる。このとき、手指で押圧される部位全体がエラストマなどの軟質な材料により形成されていると、撓みやすくなることでカウルルーバの組み付け作業性が低下するおそれがある。
【0013】
この点、上記構成によれば、縦壁部のうち変形促進部の車幅方向外側に隣接する押圧部が、硬質樹脂材料により形成されているため、押圧部の剛性が確保されるようになる。したがって、カウルルーバの組み付け作業性の低下を抑制できる。
【0014】
上記車両の前部構造において、前記縦壁部における前記変形促進部の下側には、前記硬質樹脂材料により形成され、前記カウルルーバを車体に組み付ける際に作業者の手指で押圧される押圧部が隣接して設けられていることが好ましい。
【0015】
カウルルーバを車体に組み付ける際、作業者は張出部またはその周囲の部位を手指で押圧することとなる。このとき、手指で押圧される部位全体がエラストマなどの軟質な材料により形成されていると、撓みやすくなることでカウルルーバの組み付け作業性が低下するおそれがある。
【0016】
この点、上記構成によれば、縦壁部のうち変形促進部の下側に隣接する押圧部が、硬質樹脂材料により形成されているため、押圧部の剛性が確保されるようになる。したがって、カウルルーバの組み付け作業性の低下を抑制できる。
【0017】
上記車両の前部構造において、前記縦壁部における前記変形促進部の車幅方向内側には、前記縦壁部から前方に向かって突出するとともに前記ベース部から上方に向かって突出するリブが設けられており、前記リブには、前記リブよりも脆弱な材料により形成され、車幅方向外側から内側への空気の流入を規制する板状の規制部材が嵌合されていることが好ましい。
【0018】
同構成によれば、リブによってカウルルーバの剛性が高められる。また、リブには、板状の規制部材が嵌合されている。このため、規制部材によって車幅方向外側から内側への空気の流入が規制される。これにより、エンジンルーム内の高温の空気がカウルルーバの外気取入口を通じて取り入れられることを抑制できる。したがって、空調装置による車室内の冷却性能を向上させることができる。
【0019】
また、上記構成によれば、リブのみによって空気の流入を規制する規制部を構成する場合に比べてリブの板厚を薄くすることができる。また、規制部材はリブよりも脆弱な材料により形成されている。これにより、規制部材に衝突体が衝突すると、規制部材及びリブの変形が促進されることで、当該衝突体が急激に減速されることを抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、衝撃吸収性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】車両の前部構造の一実施形態について、ボンネットフードを中心とした車両前部の平面図。
図2図1のA部を拡大して示す拡大平面図。
図3】同実施形態におけるカウルルーバの縦壁部の張出部を中心に示す斜視図。
図4図3に対応する斜視図であって、規制部材をリブから上方に離間して示す分解斜視図。
図5図2の5-5線に沿った断面図であって、(a)は、ボンネットフードの後端部に衝突体が衝突する直前の状態を示す図、(b)は、ボンネットフードの後端部に衝突体が衝突した後の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図5を参照して、一実施形態について説明する。なお、以降において、車両前後方向を単に前後方向Lとして説明する。
図1に示すように、自動車の前部には、エンジンルームの上部開口を開閉するボンネットフード20が設けられている。
【0023】
図5(a)に示すように、ボンネットフード20は、意匠面をなすフードアウタパネル21と、フードアウタパネル21の裏側に設けられたフードインナパネル22とを有している。フードアウタパネル21及びフードインナパネル22の外縁同士は、ヘミング加工によって互いに連結されている。なお、フードアウタパネル21及びフードインナパネル22は、例えば鋼板などの金属板材によって形成されている。
【0024】
図1図5(a)に示すように、ボンネットフード20の後方には、ウィンドシールド30(フロントガラスとも称する)が設けられている。なお、図2図4では、ボンネットフード20が取り外された状態を示している。また、図2においては、ボンネットフード20の外形線を二点鎖線にて示している。
【0025】
図1に示すように、ウィンドシールド30の前方には、ウィンドシールド30の表面の雨滴などを拭き取る一対のワイパー40が車幅方向Wに並んで設けられている。各ワイパー40は、図示しないモータにより正逆回転可能に回転駆動される回動軸部41と、回動軸部41から延在するアーム部42と、アーム部42の先端にて傾動可能に支持されたブレード部43とを備えている。
【0026】
ボンネットフード20とウィンドシールド30との間には、カウルルーバ10が設けられている。
図2図5(a)に示すように、カウルルーバ10は、車幅方向Wに沿って延在するベース部11と、ベース部11の後側から上方に突出されるとともに車幅方向Wに延在する縦壁部15とを有している。
【0027】
図1に示すように、カウルルーバ10における縦壁部15の後側の部位には、ワイパー40の回動軸部41が挿通される一対の挿通孔14A,14Bが車幅方向Wに間隔をおいて設けられている。一方の挿通孔14Aは、車幅方向Wの一端側(同図の左側)に設けられている。また、他方の挿通孔14Bは、車幅方向Wの略中央に設けられている。
【0028】
図5(a)に示すように、カウルルーバ10の下方には、車幅方向Wに沿って延在するカウル50が設けられている。ベース部11の下面は、カウル50の前端部によって下方から支持されている。カウルルーバ10における縦壁部15の後側の部位は、ウィンドシールド30の下端に組み付けられている。
【0029】
図2図5(a)に示すように、縦壁部15のうち車幅方向Wの一端側に位置する挿通孔14Aの前方に位置する部位には、前方に向かって張り出しており、ボンネットフード20の後端部20aの直下に位置する張出部16が設けられている。張出部16は、山形状の縦断面構造を有している(図5(a)参照)。
【0030】
張出部16には、縦壁部15における周囲の部位よりも圧縮荷重に対して脆弱な材料により形成された変形促進部17が設けられている。変形促進部17は、張出部16における頂部17aを含む山形状の縦断面構造を有している。すなわち、変形促進部17は、頂部17a、頂部17aから前側に連なる前側傾斜部17b、及び頂部17aから後側に連なる後側傾斜部17cを有している。
【0031】
本実施形態では、カウルルーバ10における変形促進部17以外の部位が、硬質樹脂材料により形成されている。また、変形促進部17は、エラストマにより形成されている。
図2図4に示すように、縦壁部15における変形促進部17の車幅方向W外側には、カウルルーバ10を車体90に組み付ける際に作業者の手指で押圧される外側押圧部18が隣接して設けられている。また、縦壁部15における変形促進部17の下側には、カウルルーバ10を車体90に組み付ける際に作業者の手指で押圧される下側押圧部19が隣接して設けられている。なお、外側押圧部18及び下側押圧部19は、上述したように硬質樹脂材料により形成されている。
【0032】
縦壁部15における変形促進部17の車幅方向W内側には、縦壁部15から前方に向かって突出するとともにベース部11から上方に向かって突出する側面視L字状のリブ12が設けられている。
【0033】
リブ12には、エラストマにより形成され、車幅方向W外側から内側への空気の流入を規制する板状の規制部材13が嵌合されている。
本実施形態の作用について説明する。
【0034】
図5(a)及び図5(b)に示すように、ボンネットフード20の後端部20aのうち張出部16の直上部位に衝突体Hが衝突すると、周囲の部位よりも圧縮荷重に対して脆弱な変形促進部17が変形されることにより張出部16の変形が促進されることで、当該衝突体Hが急激に減速されることを抑制できる。これにより、衝突体Hに作用する衝撃力を好適に吸収することができる(以上、作用1)。
【0035】
本実施形態によれば、リブ12によってカウルルーバ10の剛性が高められる(以上、作用2)。
また、リブ12には、板状の規制部材13が嵌合されている。このため、規制部材13によって車幅方向W外側から内側への空気の流入が規制される。これにより、エンジンルーム内の高温の空気がカウルルーバ10の外気取入口10aを通じて取り入れられることを抑制できる(以上、作用3)。
【0036】
また、本実施形態によれば、リブのみによって空気の流入を規制する規制部を構成する場合に比べてリブ12の板厚を薄くすることができる。また、規制部材13はリブ12よりも圧縮荷重に対して脆弱な材料であるエラストマにより形成されている。これにより、規制部材13に衝突体Hが衝突すると、規制部材13及びリブ12の変形が促進されることで、当該衝突体Hが急激に減速されることを抑制できる(以上、作用4)。
【0037】
本実施形態の効果について説明する。
(1)カウルルーバ10の縦壁部15のうちワイパー40の回動軸部41が挿通される挿通孔14Aの前方に位置する部位には、前方に向かって張り出しており、ボンネットフード20の後端部20aの直下に位置する張出部16が設けられている。張出部16には、縦壁部15における周囲の部位よりも圧縮荷重に対して脆弱な変形促進部17が設けられている。
【0038】
こうした構成によれば、上記作用1を奏することができるため、衝撃吸収性能を向上させることができる。
(2)張出部16は、山形状の縦断面構造を有している。変形促進部17は、張出部16における頂部17aを含む山形状の縦断面構造を有している。
【0039】
こうした構成によれば、張出部16のうち前後方向の広い範囲に変形促進部17が設けられるため、変形促進部17により張出部16の変形が一層促進されるようになる。したがって、衝突体Hに作用する衝撃力を一層好適に吸収することができる。
【0040】
(3)カウルルーバ10における変形促進部17以外の部位は、硬質樹脂材料により形成されている。変形促進部17は、エラストマにより形成されている。
こうした構成によれば、変形促進部17をエラストマにより形成する一方、変形促進部17以外の部位を硬質樹脂材料により形成することで、変形促進部17を、その周囲の部位よりも脆弱にすることが容易にできる。
【0041】
(4)縦壁部15における変形促進部17の車幅方向W外側には、硬質樹脂材料により形成され、カウルルーバ10を車体90に組み付ける際に作業者の手指で押圧される外側押圧部18が隣接して設けられている。また、縦壁部15における変形促進部17の下側には、硬質樹脂材料により形成され、カウルルーバ10を車体90に組み付ける際に作業者の手指で押圧される下側押圧部19が隣接して設けられている。
【0042】
カウルルーバ10を車体90に組み付ける際、作業者は張出部16またはその周囲の部位を手指で押圧することとなる。このとき、手指で押圧される部位全体がエラストマなどの軟質な材料により形成されていると、撓みやすくなることでカウルルーバ10の組み付け作業性が低下するおそれがある。
【0043】
この点、上記構成によれば、縦壁部15のうち変形促進部17の車幅方向W外側に隣接する外側押圧部18及び変形促進部17の下側に隣接する下側押圧部19が、硬質樹脂材料により形成されている。このため、押圧部18,19の剛性が確保されるようになる。したがって、カウルルーバ10の組み付け作業性の低下を抑制できる。
【0044】
(5)縦壁部15における変形促進部17の車幅方向W内側には、縦壁部15から前方に向かって突出するとともにベース部11から上方に向かって突出するリブ12が設けられている。リブ12には、エラストマにより形成され、車幅方向W外側から内側への空気の流入を規制する板状の規制部材13が嵌合されている。
【0045】
こうした構成によれば、上記作用3を奏することができるため、空調装置による車室内の冷却性能を向上させることができる。
また、上記作用4を奏することができるため、衝撃吸収性能を向上させることができる。
【0046】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・規制部材13を省略することもできる。この場合、リブ12を規制部材13と同様な形状にすることで車幅方向W外側から内側への空気の流入を規制することができる。
【0047】
・例えば外側押圧部18に対応する部位についてもエラストマによって形成することで変形促進部17の形成範囲を拡大してもよい。
・例えば下側押圧部19に対応する部位についてもエラストマによって形成することで変形促進部17の形成範囲を拡大してもよい。
【0048】
・変形促進部17はエラストマにより形成されるものに限定されない。他に例えば、変形促進部を、縦壁部15における周囲の部位よりも圧縮荷重に対して脆弱な樹脂材料によって形成することもできる。
【0049】
・変形促進部17は山形状の縦断面構造を有するものに限定されない。例えば頂部17a及び前側傾斜部17bのみによって変形促進部を構成してもよいし、頂部17a及び後側傾斜部17cのみによって変形促進部を構成してもよい。また、頂部17aのみを変形促進部とすることもできるし、前側傾斜部17bのみを変形促進部とすることもできる。また、後側傾斜部17cのみを変形促進部とすることもできる。
【符号の説明】
【0050】
10…カウルルーバ、10a…外気取入口、11…ベース部、12…リブ、13…規制部材、14A,14B…挿通孔、15…縦壁部、16…張出部、17…変形促進部、17a…頂部、17b…前側傾斜部、17c…後側傾斜部、18…外側押圧部、19…下側押圧部、20…ボンネットフード、20a…後端部、21…フードアウタパネル、22…フードインナパネル、30…ウィンドシールド、40…ワイパー、41…回動軸部、42…アーム部、43…ブレード部、50…カウル、90…車体、H…衝突体。
図1
図2
図3
図4
図5