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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】エレベータのドア装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/26 20060101AFI20220111BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B66B13/26 H
B66B13/14 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018202694
(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公開番号】P2020070113
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2019-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】野坂 茂行
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-132015(JP,A)
【文献】特開2010-083650(JP,A)
【文献】特開2014-094803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0248850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/26
B66B 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かご或いは乗場の出入口を開閉可能なドアと、
対象領域を検出する検出部と、
を備え、
前記ドアは、上部が吊り下げられた状態で前記かご或いは乗場の出入口を開閉可能であり、
前記対象領域及び前記検出部のうち少なくとも一方は、前記ドアの開閉に伴って移動し、
前記検出部が前記ドアの下部において前記対象領域を検出することにより前記ドアが全閉した状態である全閉状態を検出する一方、前記検出部が前記対象領域を検出しないことにより前記ドアが開いた状態である開状態を検出する、或いは、前記検出部が前記対象領域を検出しないことにより前記全閉状態を検出する一方、前記検出部が前記ドアの下部において前記対象領域を検出することにより前記開状態を検出する、エレベータのドア装置。
【請求項2】
前記ドアは、前記かごの出入口を開閉可能なかごドアであり、
前記全閉状態は、前記かごドアが全閉した状態であり、
前記開状態は、前記かごドアが開いた状態である、請求項1に記載のエレベータのドア装置。
【請求項3】
前記検出部は光を出射し、
前記対象領域の検出は、前記検出部から出射された光が前記対象領域に当たるときに行われる一方、前記検出部から出射された光が前記対象領域に当たらないときに行われない、請求項1又は請求項2に記載のエレベータのドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかごや乗場に設けられ、ドアに挟まれた異物を検出可能なエレベータのドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かごの出入口を開閉するかごドアに異物が挟み込まれた場合に、この異物を検出可能なエレベータが知られている(特許文献1参照)。このエレベータは、図20に示すように、出入口が設けられたかご101と、かご101の出入口を開閉するかごドア103と、かごドア103に取り付けられたマルチビームドアセンサ109と、を備える。マルチビームドアセンサ109は、異物の有無を非接触で検出するセンサである。具体的に、マルチビームドアセンサ109は、発光素子と受光素子とを含む。発光素子は、受光素子に向けて検出ビームを放射する。検出ビームは、かごドア103を構成する一対のドアの間に延びる平行線状に複数放射される。このエレベータでは、検出ビームが遮られていないときには異物を検出せず、かごドア103を全閉可能とする。また、このエレベータでは、検出ビームが遮られたときに異物を検出し、かごドア103を開状態とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-252930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記エレベータでは、例えば、杖のような径の細い異物、即ち、小さな異物がかごドア103に挟まれたとしても、この異物が平行な検出ビームの隣り合う検出ビーム間に位置している場合、マルチビームドアセンサ109がこの異物を検出できない。これにより、かごドア103に異物が挟まった状態のままかご101が昇降するおそれがあった。
【0005】
本発明は、ドアに挟まれた異物を精度良く検出可能なエレベータのドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータのドア装置は、かご或いは乗場の出入口を開閉可能なドアと、対象領域を検出する検出部と、を備え、前記対象領域及び前記検出部のうち少なくとも一方は、前記ドアの開閉に伴って移動し、前記検出部が前記対象領域を検出することにより前記ドアが全閉した状態である全閉状態を検出する一方、前記検出部が前記対象領域を検出しないことにより前記ドアが開いた状態である開状態を検出する、或いは、前記検出部が前記対象領域を検出しないことにより前記全閉状態を検出する一方、前記検出部が前記対象領域を検出することにより前記開状態を検出する。
【0007】
かかる構成によれば、ドアの全閉状態と開状態との位置ずれにより、検出部が対象領域を検出するか否かが変化するため、対象領域の検出や非検出に応じてドアが開いていることを検出し、これにより、異物を精度良く検出できる。
【0008】
また、前記エレベータのドア装置では、前記検出部は光を出射し、前記対象領域の検出は、前記検出部から出射された光が前記対象領域に当たるときに行われる一方、前記検出部から出射された光が前記対象領域に当たらないときに行われなくてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、直進性が高い光を用いて対象領域を検出することにより、異物検出の精度をさらに向上できる。
【0010】
さらに、前記エレベータのドア装置は、前記ドアを吊り下げた状態で前記ドアの開閉方向に移動可能なドアハンガを備え、前記ドアの上部は、前記ドアハンガに接続されていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、上部が吊り下げられたドアが異物を挟むと、ドアの全閉状態からの位置ずれはドアの下部において最大となるため、ドアの下部において対象領域を検出することにより、小さな異物であっても精度良く検出できる。
【発明の効果】
【0012】
以上より、本発明によれば、ドアに挟まれた異物を精度良く検出可能なエレベータのドア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態に係るエレベータのかごの構成を示す斜視図である。
図2図2は、前記エレベータのかごの出入口及びその周辺を説明するための図であって、かご側ドアパネルの全閉状態における構成を説明するための図である。
図3図3は、前記エレベータにおけるかごの出入口及びその周辺と、乗場及びその周辺の図であって、前記全閉状態における構成を説明するための図である。
図4図4は、前記エレベータにおけるかご側ドアパネル及びその周辺の平面図であって、前記全閉状態における構成を説明するための図である。
図5図5は、前記かご側ドアパネルに取り付けられたセンサ周辺の部分拡大図であって、前記全閉状態における構成を説明するための図である。
図6図6は、前記センサ周辺の部分拡大図であって、かご側ドアパネルの開状態における構成を説明するための図である。
図7図7は、前記かごの出入口及びその周辺の図であって、前記開状態における構成を説明するための図である。
図8図8は、変形例に係るかご側ドアパネルに取り付けられたセンサ周辺の部分拡大図であって、前記全閉状態における構成を説明するための図である。
図9図9は、前記センサ周辺の部分拡大図であって、前記開状態における構成を説明するための図である。
図10図10は、変形例に係るエレベータにおけるかご側ドアパネル及びその周辺の平面図であって、前記全閉状態における構成を説明するための図である。
図11図11は、前記かご側ドアパネルに取り付けられたセンサ周辺の部分拡大図であって、前記全閉状態における構成を説明するための図である。
図12図12は、前記センサ周辺の部分拡大図であって、前記開状態における構成を説明するための図である。
図13図13は、変形例に係るかご側ドアパネルに取り付けられたセンサ周辺の部分拡大図であって、前記全閉状態における構成を説明するための図である。
図14図14は、前記センサ周辺の部分拡大図であって、前記開状態における構成を説明するための図である。
図15図15は、変形例にかご側ドアパネルに取り付けられたセンサ周辺の部分拡大図であって、前記全閉状態における構成を説明するための図である。
図16図16は、変形例に係るドアレールに取り付けられたセンサ周辺の部分拡大図であって、前記全閉状態における構成を説明するための図である。
図17図17は、前記センサ周辺の部分拡大図であって、前記開状態における構成を説明するための図である。
図18図18は、変形例に係るかご側ドアパネルに取り付けられたセンサ周辺の部分拡大図であって、前記全閉状態における構成を説明するための図である。
図19図19は、変形例に係るかご側ドアパネルに取り付けられたセンサ周辺の部分拡大図であって、前記全閉状態における構成を説明するための図である。
図20図20は、従来のエレベータの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図1図7を参照しつつ説明する。本実施形態のエレベータは、かごや乗場の出入口を開閉するドアを備え、このドアに挟まれた異物を非接触で検出可能なドア装置を備えている。
【0015】
エレベータは、図1に示すように、昇降(上下動)可能なかご1を備える。かご1は、昇降路を昇降し、建物の各階に設けられる乗場に停止できる。また、かご1は、図2に示すように、かご出入口20が設けられたかご本体2と、かご出入口20を開閉可能なかご側ドアパネル(以下、単に「かごドア」とも称する。)3を含むドア装置8と、を備える。乗場5は、図3に示すように、乗場5の出入口を開閉可能な乗場側ドアパネル(以下、単に「乗場ドア」とも称する。)6と、乗場ドア6を吊り下げる乗場側ドア開閉装置7と、を有する。尚、本実施形態のかごドア3及び乗場ドア6は、いずれも、いわゆる両開きタイプのドアである。以下、かご1への出入方向を直交座標系におけるX軸方向とし、かごドア3の開閉方向や乗場ドア6の開閉方向を直交座標系におけるY軸方向とし、垂直方向(上下方向)を直交座標系におけるZ軸方向とする(図2参照)。
【0016】
本実施形態のドア装置8は、かごドア3に加えて、かごドア3を吊り下げるかご側ドア開閉装置4を含む(図3参照)。また、このドア装置8は、図4に示すように、対象領域26を検出する検出部9も含む。検出部9及び対象領域26のうち少なくとも一方は、かごドア3の開閉に伴って移動する。
【0017】
かご本体2には、内部空間が形成されている。また、かご本体2には、人や物が乗降するかご出入口20が設けられている。かご本体2は、かご出入口(開口)20を規定する枠部材21と敷居24とを含む(図2参照)。
【0018】
枠部材21は、Z軸方向に延び且つかご出入口20の側部を規定(画定)する一対の縦枠部材22と、Y軸方向に延びて一対の縦枠部材22の上端同士を接続し、且つ、かご出入口20の上部を規定する横枠部材23と、を有する。本実施形態の枠部材21は、例えば、金属製の部材である。尚、この金属製の部材の意匠面に、樹脂層や木材製の層が貼り付けられていてもよい。
【0019】
本実施形態の縦枠部材22は、水平方向の断面において、Y軸方向に延びる第一部位221と、第一部位221のY軸方向におけるかご出入口20側に位置する端部からX軸方向において乗場5に近づく側に延びる第二部位222と、を有する(図4参照)。さらに、縦枠部材22は、第二部位222の乗場5側に位置する端部からY軸方向におけるかご出入口20側と反対側に延びる第三部位223と、第三部位223のY軸方向におけるかご出入口20側と反対側に位置する端部からX軸方向において乗場5から遠ざかる側に延びる第四部位224と、を有する。各部位221、222、223、224のそれぞれは、かご出入口20の上端位置から下端位置まで上下方向に延びる略平板状の部位である。尚、図4図6は、いずれも、各部位221、222、223、224の下方に位置する部位を表している。また、本実施形態では、各部位221、222、223、224の境界部は、湾曲面となっている。
【0020】
敷居24は、Y軸方向においてに延び且つかご出入口20の下部を規定する(図3参照)。このように枠部材21と敷居24とによって囲まれることで、本実施形態のかご本体2において矩形のかご出入口(開口)20が規定される。また、本実施形態の敷居24には、Y軸方向において延びる案内溝240が設けられている。
【0021】
かごドア3は、かご出入口20を開閉可能な矩形若しくは略矩形の板状部材である。本実施形態のかごドア3は、吊り下げられた状態でかご側ドア開閉装置4によって駆動されることにより、かご出入口20を開閉する。具体的に、かごドア3は、Y軸方向において並んだ一対のドア30を含む二枚扉の両開きタイプのドアである(図4参照)。より具体的に、各ドア30が、Y軸方向において互いに近づくように移動することによりかご出入口20を閉める一方、各ドア30は、Y軸方向において互いに離れるように移動することによりかご出入口20を開ける。本実施形態の一対のドア30の構成は、それぞれ同じである。
【0022】
本実施形態のドア30は、矩形の板状部材のY軸方向における両端を折り曲げた形状をしている。具体的に、ドア30は、Y軸方向における中央に位置する中央部位と、Y軸方向における両端に位置し且つ乗場5側に折り曲げられた折り返し部位を有する。より具体的に、ドア30は、ドア30のY軸方向における中央に位置し且つY軸方向に延びる中央部位300と、中央部位300のY軸方向における開方向側の端部からX軸方向において乗場5側(かご本体2と反対側)に延びる外側第一延出部301と、外側第一延出部301のX軸方向における乗場5側に位置する端部からY軸方向における閉方向側に延びる外側第二延出部302と、を有する。また、ドア30は、中央部位300のY軸方向における閉方向側の端部からX軸方向において乗場5側に延びる内側第一延出部303と、内側第一延出部303のX軸方向における乗場5側に位置する端部からY軸方向における開方向側に延びる内側第二延出部304と、を有する。尚、外側第一延出部301及び外側第二延出部302は、各かごドア3全体を視たとき、Y軸方向において中央部位300の外側に配置されている。また、内側第一延出部303及び内側第二延出部304は、かごドア3全体を視たとき、Y軸方向において中央部位300よりも内側に配置されている。さらに、中央部位300、及び、各延出部301、302、303、304は、いずれも、平板状である。
【0023】
本実施形態のかごドア3の下部32の下端には、下方に延びるガイドシュー33が接続されている(図3参照)。ガイドシュー33は、下部32の下端の少なくとも一部から延び、敷居24の案内溝240内に配置される。本実施形態のガイドシュー33は、下部32の下端における複数の箇所から延びている。
【0024】
かご側ドア開閉装置4は、かご本体2の上部からかご本体2の側壁に沿って下方に延びる上部フレーム40と、かごドア3を案内するためのドアレール41であって、かご出入口20の上部でY軸方向において延び且つ上部フレーム40に取り付けられるドアレール41と、を備える。また、かご側ドア開閉装置4は、かごドア3を吊り下げた状態でかごドア3のY軸方向に移動可能なドアハンガ42と、ドアハンガ42をY軸方向に移動させる駆動装置と、を備える。
【0025】
ドアハンガ42は、ドアレール41に係合する複数のローラ43を有する。また、ドアハンガ42は、ドアレール41上をY軸方向において移動可能に該ドアレール41に支持され、且つ、かごドア3の上部31に接続される。駆動装置は、駆動モータ、駆動モータのトルクを検出可能なセンサ等を備える。
【0026】
以上のように構成されるかご側ドア開閉装置4は、かごドア3の上部31に接続されたドアハンガ42(各ローラ43)をドアレール41に係合させた状態、すなわち、かごドア3がドアハンガ42を介してドアレール41に吊り下げられた状態で、該かごドア3を駆動装置によってY軸方向(ドアレール41の延びる方向)に移動させる。これにより、かごドア3の上部31は、かご1に吊り下げられた状態で開閉可能である。また、かごドア3の下部32は、かごドア3の上部31が開閉することにより開閉する。
【0027】
本実施形態の検出部9は、かごドア3に接続されているため、かごドア3の開閉に伴って移動する(図4参照)。具体的に、検出部9は、かごドア3に間接に接続されており、例えば、一対のドア30にそれぞれ一つずつ間接に接続されている。この二つの検出部9は、一対のドア30の中心(内側第一延出部303同士が突き合わされている位置)を境に対称に配置されていると共に、同一の構成を有する。以下、一方の検出部9(図4における上側に位置する検出部9、即ち、図5図6で拡大表示されている検出部9)を挙げて、検出部9の詳細な構成について説明する。
【0028】
検出部9は、例えば、対象領域26を検出することにより、かごドア3が全閉した状態である全閉状態を検出する。一方、検出部9は、対象領域26を検出しないことにより、かごドア3の少なくとも一部が開いた状態である開状態を検出する。検出部9により検出される対象領域26は、例えば、かごや乗場を構成する部材、その他の部材、空間等である。本実施形態の検出部9は、対象領域26である部材の一部を検出することにより、全閉状態を検出する一方、対象領域26である部材の一部を検出しないことにより、開状態を検出する。本実施形態の対象領域26は、かご本体2の縦枠部材22の一部である。具体的に、対象領域26は、第三部位223のY軸方向におけるかご出入口20側と反対側に位置する端縁である。より具体的に、対象領域26は、第三部位223のこの端縁のうち下方に位置する部位である。尚、この端縁は、第三部位223と第四部位224との境界部である湾曲面と隣り合っている。
【0029】
本実施形態の検出部9は、光を出射する発光部位91と、発光部位91から出射された光を受光部位92と、を備える光電センサである(図5図6参照)。具体的に、検出部9は、発光部位91から出射された光を用いて、対象領域26の有無を検出できる光電センサである。より具体的に、検出部9は、光を出射して、対象物からの反射光の角度の違いにより検出部9から所定距離だけ離れた位置に対象物が有るか否かを検出可能な反射型の光電センサである。この検出部9では、発光部位91及び受光部位92は、一つの投受光器内に含まれている。本実施形態の発光部位91の光の出射方向は、水平方向である。
【0030】
検出部9は、例えば、ブラケット90を介してかごドア3の折り返し部(例えば、外側第二延出部302)に接続されている。また、検出部9は、かごドア3の全閉状態において、X軸方向において対象領域26に対向する(図5参照)。一方、検出部9は、かごドア3の開状態において、X軸方向において対象領域26に対向しない(図6参照)。
【0031】
本実施形態の検出部9は、検出部9から出射された光Lが所定距離だけ離れた対象領域26に当たるときに、対象領域26を検出する(図5参照)。具体的に、検出部9は、発光部位91から出射された対象物に光Lが当たり、その反射光が受光部位92に入射したときに対象領域26を検出する。このとき、本実施形態の検出部9は、対象領域26を検出することによりかごドア3の全閉状態を検出する。
【0032】
一方、検出部9は、検出部9から出射された光Lが対象領域26に当たらないときに、対象領域26を検出しない(図6参照)。具体的に、検出部9は、発光部位91から出射された対象物に光Lが当たり、その反射光が受光部位92に入射しないときには対象領域26を検出しない。このとき、検出部9は、対象領域26を検出しないことによりかごドア3の開状態を検出する。
【0033】
尚、本実施形態の検出部9は、対象領域26が縦枠部材22の下方に位置する部位であるため、かごドア3の下部において対象領域26を検出する。
【0034】
以上のエレベータでは、検出部9がかごドア3の全閉状態を検出する、即ち、かごドア3が異物を挟んでいない場合に、かご1の昇降が可能となる。一方、検出部9がかごドア3の開状態を検出している、即ち、かごドア3が異物を挟んでいる可能性がある場合に、かご1の昇降が規制される。尚、検出部9が開状態を検出した場合、「ドアに物が挟まっています」といったアナウンスにより異物の存在を報知してもよい。
【0035】
以上のドア装置8によれば、かごドア3の全閉状態と開状態との位置ずれにより、検出部9が対象領域26を検出するか否かが変化するため、対象領域26の非検出に応じてかごドア3が開いていることを検出し、これにより、異物を精度良く検出できる。
【0036】
本実施形態のドア装置8によれば、検出部9が光電センサであるため、直進性が高い光を用いて対象領域26を検出することにより、異物検出の精度をさらに向上できる。
【0037】
また、本実施形態のドア装置8によれば、かごドア3の上部31が吊り下げられた状態でかご出入口20を開閉する。そのため、図7に示すように、かごドア3が異物Oを挟むと、かごドア3の全閉状態からの位置ずれは、かごドア3のZ軸方向の各部のうち、かごドア3の下部32において最大となる。従って、検出部9は、かごドア3の下部32において対象領域26を検出することにより、小さな異物であっても精度良く検出できる。
【0038】
さらに、本実施形態のドア装置8によれば、検出部9は、対象領域26を非接触で検出可能であるため、検出部9がかごドア3の開閉を妨げることを防止できる。
【0039】
本実施形態のドア装置8によれば、対象領域26が、第三部位223のY軸方向におけるかご出入口20側と反対側に位置する端縁であり、かごドア3の開方向はY軸方向におけるかご出入口20側と反対側の方向である。そのため、検出部9はかごドア3の全閉時からの位置ずれが小さくても対象領域26を検出しなくなり、これにより、異物検出の精度をさらに向上できる。
【0040】
また、本実施形態のドア装置8によれば、検出部9は、対象領域26として、かご本体2の一部(例えば、縦枠部材22の第三部位223のY軸方向の開方向側に位置する端部)を検出するため、対象領域26として別途部材等を設ける必要が無い。
【0041】
尚、本発明のエレベータのドア装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0042】
上記実施形態の検出部9は、水平方向に光を出射するが、例えば、検出部9は、上下方向に光を出射し、この光を用いて対象領域26を検出してもよい。具体的に、検出部9は、図8図9に示すように、下方に光を出射して対象領域26を検出してもよい。検出部9は、かごドア3の下部32のY軸方向における閉方向(図8図9の右側)の端部に接続されていてもよい。具体的に、検出部9は、ドア30の中央部位300の下方に設けられ且つX軸方向における乗場5側に突出した補強部36に接続されていてもよい。敷居24の案内溝240を規定する底面241には、案内溝240に溜まったごみを除去するべく案内溝240内と外部とを連通する連通部242が設けられていてもよい。この場合、対象領域26は、敷居24の底面241のY軸方向における開方向側の端縁である。また、この場合、検出部9は、底面241のこの端縁である対象領域26を検出することで全閉状態を検出する一方(図8参照)、対象領域26を検出しないことで開状態を検出する(図9参照)。この場合、検出部9は、対象領域26として、敷居24の底面241の端縁を検出するため、対象領域26として別途部材等を設ける必要が無い。
【0043】
かごドア3は、四枚以上の扉を含む両開きタイプのドアであってもよい。また、かごドア3は、Y軸方向における一方側に移動することによりかご出入口20を閉める一方、Y軸方向における他方側に移動することによりかご出入口20を開ける、いわゆる片開きタイプのドアであってもよい。具体的に、かごドア3は、一枚扉の片開きタイプのドア、二枚扉の片開きタイプのドア、三枚以上の扉の片開きタイプのドアであってもよい。
【0044】
より具体的に、図10図11に示すように、かごドア3は、全閉状態において、Y軸方向における閉方向側(図10図11図12における右側)に位置するファストドア34と、ファストドア34よりもX軸方向におけるかご本体2側に位置し且つY軸方向における開方向側(図10図11図12における左側)に位置するスロードア35と、を含む二枚扉の片開きタイプのドアであってもよい。ファストドア34及びスロードア35は、それぞれ上述したドア30と同じ構成であってもよい。対象領域26は、スロードア35の内側第二延出部304のY軸方向における開方向側の端縁であってもよい。検出部9は、ファストドア34のY軸方向における開方向側に位置する端部に設けられていてもよく、例えば、ファストドア34の内側第二延出部304にブラケット90を介して接続されていてもよい。この場合、検出部9及び対象領域26の両方が、かごドア3の開閉に伴って移動する。また、この場合、検出部9は、内側第二延出部304の前記端縁である対象領域26を検出することで全閉状態を検出する一方(図11参照)、対象領域26を検出しないことで開状態を検出する(図12参照)。このように片開きタイプのドアにおいても、かごドア3の全閉状態と開状態との位置ずれにより、検出部9が対象領域26を検出するか否かが変化するため、対象領域26の非検出に応じてかごドア3が開いていることを検出し、これにより、異物を精度良く検出できる。
【0045】
上記実施形態の検出部9は、対象領域26である部材の一部を検出することにより、かごドア3の全閉状態を検出する一方、対象領域26である部材の一部を検出しないことにより、かごドア3の開状態を検出するが、例えば、対象領域26である部材の一部を検出しないことにより、かごドア3の全閉状態を検出する一方、対象領域26である部材の一部を検出することにより、かごドア3の開状態を検出してもよい。例えば、図13図14に示すように、対象領域26が、ファストドア34の中央部位300のY軸方向における開方向側の端縁であってもよい。この場合、検出部9は、ファストドア34の中央部位300の前記端縁である対象領域26を検出しないことでかごドア3の全閉状態を検出する一方(図13参照)、対象領域26を検出することでかごドア3の開状態を検出してもよい(図14参照)。検出部9はスロードア35に間接に接続されてもよい、具体的に、検出部9はブラケット90を介してスロードア35の中央領域に接続されてもよい。
【0046】
尚、検出部9は、かごドア3等に直接に接続されてもよい。具体的に、図15に示すように、検出部9は、スロードア35に直接に接続されてもよい。この場合、ドア装置8が検出部9をかごドア3等に接続するための部材を備えていなくてもよいため、ドア装置8における部品点数を少なくすることができる。
【0047】
このような場合においても、かごドア3の全閉状態と開状態との位置ずれにより、検出部9が対象領域26を検出するか否かが変化するため、対象領域26の検出に応じてかごドア3が開いていることを検出し、これにより、異物を精度良く検出できる。
【0048】
また、検出部9は、対象領域26である空間を検出しないことにより、かごドア3の全閉状態を検出する一方、対象領域26である空間を検出することにより、かごドア3の開状態を検出してもよい。例えば、図16図17に示すように、対象領域26は、ドアハンガ42の開方向(図16図17における右側)における端部と開方向において隣接する空間である隣接空間であってもよい。この場合、ドアハンガ42がドアレール41に沿ってY軸方向に移動することにより、対象領域26は、かごドア3の開閉に伴って移動する。検出部9は、ドアレール41やドアハンガ42といったかご側ドア開閉装置4を構成する部材等に接続されていてもよい。具体的に、検出部9は、ドアレール41に直接接続されていてもよい。この検出部9は、かごドア3の開閉に伴って移動しない。この場合、検出部9は、対象領域26として、隣接空間を検出するため、対象領域26として別途部材等を設ける必要が無い。
【0049】
さらに、検出部9は、対象領域26である空間を検出することにより、かごドア3の全閉状態を検出する一方、対象領域26である空間を検出しないことにより、かごドア3の開状態を検出してもよい。例えば、図13及び図14の構成において、対象領域26が、ファストドア34の中央部位300のY軸方向における開方向側の端縁の代わりに、この端縁よりも開方向側に広がる空間であると捉えて、検出部9は、この空間を検出することにより、全閉状態を検出する一方(図13参照)、この空間を検出しないことにより、開状態を検出してもよい(図14参照)。
【0050】
対象領域26は、検出部9と対向する部材の一部であり、且つ、この部材の対向面の反射特性を異ならせた部位の一部であってもよい。例えば、図18に示すように、縦枠部材22が折り返し部を有してなくてもよく、検出部9の出射方向において縦枠部材22の検出部9と対向する対向面220のうち、X軸方向において検出部9と重なる第一領域225と第一領域225以外の第二領域226とにおいて反射特性を異ならせてもよい。縦枠部材22の対向面220のうち第一領域225の光反射性が高い一方、縦枠部材22の対向面220のうち第二領域226の光反射性は低くてもよい。具体的に、第一領域225は鏡面加工され、第二領域226は粗面加工されていてもよい。この場合、検出部9から出射された光Lが縦枠部材22の対向面220のうち第一領域225で反射されて、反射光が検出部9に入射することで、検出部9における受光量が大きくなったとき、検出部9が対象領域26を検出することにより、かごドア3の全閉状態を検出してもよい。一方、検出部9から出射された光Lが第二領域226で反射されて、反射光が検出部9に入射したとしても、上記第一領域225で反射された場合の受光量と比べて、検出部9における受光量は小さいため、検出部9が対象領域26を検出しないことにより、かごドア3の開状態を検出してもよい。
【0051】
尚、縦枠部材22の対向面220のうち第一領域225の光反射性が低い一方、縦枠部材22の対向面220のうち第二領域226の光反射性が高くてもよい。この場合、検出部9は、検出部9から出射された光Lが縦枠部材22の対向面220のうち第一領域225で反射されず、その結果、反射光が検出部9に入射しないとき、対象領域26を検出することにより、かごドア3の全閉状態を検出してもよい。
【0052】
検出部9は、上記実施形態のような構造に限られない。例えば、検出部9における発光部位91と受光部位92とは、別体に分かれていてもよく、発光部位91と受光部位92とがそれぞれ別の容器に内蔵されていてもよい。この場合、発光部位91及び受光部位92のうち一方がかごドア3に接続され、発光部及び受光部のうち他方がかごドア3以外の部材(例えば、かご本体2の枠部材21等)に接続されていてもよい。具体的に、図19に示すように、発光部位91は、ブラケット90を介してドア30の外側第二延出部302の開方向側(図19における右側)に位置する端部に接続されてもよい。この場合、対象領域26はかご本体2の縦枠部材22の第三部位223の開方向における端部であってもよく、この対象領域26に受光部位92が直接接続されてもよい。この場合、検出部9は、発光部位91から出射された光Lが受光部位92に入射したとき、対象領域26である第三部位223の開方向に位置する端縁を検出してもよい。
【0053】
検出部9は、光を出射して、対象物からの反射光の角度の違いにより検出部9から所定距離だけ離れた位置に対象物が有るか否かを検出可能な反射型の光電センサであってもよい。
【0054】
また、検出部9は、光電センサ以外の光を出射するセンサであってもよい。例えば、検出部9は、レーザ光を出射し且つこの光が当たる対象物との距離を検出するレーザセンサと、検出部9と検出部9から出射された光Lが当たる対象物との距離が、対象物が対象領域26であるときであるか否かを判定する判定部と、を含んでもよい。また、検出部9は、対象領域26の有無を検出する赤外線センサ等であってもよい。
【0055】
さらに、検出部9は、高周波発振型の近接センサ、静電誘導型の近接センサ等の対象領域26の有無を検出する可能なセンサであってもよい。また、検出部9は、超音波を発信し且つこの超音波が当たる対象物との距離を検出する超音波センサであってもよい。
【0056】
また、検出部9は、カメラで撮影した画像を用いて対象領域26を検出可能な画像判別センサ等であってもよい。検出部9は、画像判別センサである場合、対象領域26として、かご本体2の枠部材21等に記載された文字、模様、マーク等の有無を検出してもよい。
【0057】
このような場合であっても、検出部9は、対象領域26を非接触で検出可能であるため、検出部9がかごドア3の開閉を妨げることを防止できる。
【0058】
ドア装置8は、乗場5のみに設けられていてもよい。具体的に、ドア装置8は、乗場5の出入口を開閉可能な乗場ドア6と、乗場側ドア開閉装置7と、対象領域26を検出する検出部9と、を備えていてもよい。この場合、検出部9は、乗場ドア6や乗場側ドア開閉装置7に直接又は間接に接続されていてもよい。また、この場合、乗場ドア6の全閉状態と開状態との位置ずれにより、検出部9が対象領域26を検出するか否かが変化するため、対象領域26の検出や非検出に応じて乗場ドア6が開いていることを検出し、これにより、異物を精度良く検出できる。
【0059】
また、ドア装置8は、かご1及び乗場5の両方に設けられていてもよい。この場合、対象領域26の検出や非検出に応じて、かごドア3が開いていることを検出可能であると共に、乗場ドア6が開いていることも検出可能であるため、これにより、かごドア3及び乗場ドア6のいずれに異物が挟まっても、異物を精度良く検出できる。
【符号の説明】
【0060】
1…かご、2…かご本体、20…かご出入口、21…枠部材、22…縦枠部材、220…対向面、221…第一部位(部位)、222…第二部位(部位)、223…第三部位(部位)、224…第四部位(部位)、225…第一領域、226…第二領域、23…横枠部材、24…敷居、240…案内溝、241…底面、242…連通部、26…対象領域、3…かごドア(かご側ドアパネル)、30…ドア、300…中央部位、301…外側第一延出部(延出部)、302…外側第二延出部(延出部)、303…内側第一延出部(延出部)、304…内側第二延出部(延出部)、31…上部、32…下部、33…ガイドシュー、34…ファストドア、35…スロードア、36…補強部、4…かご側ドア開閉装置、40…上部フレーム、41…ドアレール、42…ドアハンガ、43…ローラ、5…乗場、6…乗場ドア(乗場側ドアパネル)、7…乗場側ドア開閉装置、8…ドア装置(かご側ドア装置)、9…検出部、90…ブラケット、91…発光部位、92…受光部位、103…ドア、109…マルチビームドアセンサ、L…光、O…異物
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