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特許6997981診断支援装置、診断支援方法および診断支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】診断支援装置、診断支援方法および診断支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 30/20 20180101AFI20220111BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G16H30/20
A61B5/00 G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017022515
(22)【出願日】2017-02-09
(65)【公開番号】P2018128933
(43)【公開日】2018-08-16
【審査請求日】2019-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】399085912
【氏名又は名称】株式会社ジェイマックシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100146064
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 玲子
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 司
(72)【発明者】
【氏名】箱石 卓
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-260318(JP,A)
【文献】特開2009-086750(JP,A)
【文献】特開2008-146219(JP,A)
【文献】特開2006-059063(JP,A)
【文献】特開2004-267403(JP,A)
【文献】特開2011-036383(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0324523(US,A1)
【文献】蓮尾 金博,「HISと連携したRIS・PACS・レポーティングシステムの構築」,月刊新医療 ,株式会社エム・イー振興協会 ,2002年08月31日,第29巻第8号 ,86~89ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の患者を対象として作成された複数の医用画像と依頼文とに基づく診断を支援する診断支援装置であって、
前記複数の医用画像の少なくとも1つを診断者に向けて出力する医用画像出力手段、
前記依頼文に対する診断者の見解を前記医用画像出力手段の処理に関連して取得する取得手段、
前記複数の医用画像を含む画像情報に基づいて前記患者の疾患を解析する第1解析処理を解析装置に要求する第1解析要求手段、
前記依頼文と前記取得手段によって取得された見解とを含む文字情報に基づいて前記患者の疾患を解析する第2解析処理を前記第1解析要求手段の処理に関連して前記解析装置に要求する第2解析要求手段、および
前記第1解析処理によって得られた第1解析結果と前記第2解析処理によって得られた第2解析結果とを前記診断者に向けて同時に出力する解析結果出力手段を備える、診断支援装置。
【請求項2】
前記第1解析処理は前記画像情報および前記文字情報のうち前者にのみ基づいて実行され、
前記第2解析処理は前記画像情報および前記文字情報のうち後者にのみ基づいて実行される、請求項1記載の診断支援装置。
【請求項3】
前記医用画像出力手段は更新操作に応答して出力対象を更新する更新手段を含み、
前記解析結果出力手段は前記第1解析結果および前記第2解析結果の出力後に前記更新手段および前記取得手段の少なくとも一方を再起動する、請求項1または2記載の診断支援装置。
【請求項4】
依頼文欄および見解記入欄を有する読影レポートを第1モニタに表示する読影レポート表示手段をさらに備え、
前記取得手段は前記見解を前記見解記入欄に表示する見解表示手段を含む、請求項1ないしのいずれかに記載の診断支援装置。
【請求項5】
前記医用画像出力手段は前記複数の医用画像の少なくとも1つを前記第1モニタに付随する第2モニタに表示する医用画像表示手段を含む、請求項記載の診断支援装置。
【請求項6】
前記解析結果出力手段は前記第1解析結果および前記第2解析結果を前記第1モニタに追加表示する追加表示手段を含む、請求項または記載の診断支援装置。
【請求項7】
前記第1解析要求手段および前記第2解析要求手段の各々は前記患者の属性に応じて異なる態様で解析要求を発行する、請求項1ないしのいずれかに記載の診断支援装置。
【請求項8】
前記第1解析要求手段および前記第2解析要求手段の各々は要求発行操作を受け付けたとき前記解析装置に向けて解析要求を発行する、請求項1ないしのいずれかに記載の診断支援装置。
【請求項9】
前記第1解析結果および前記第2解析結果の各々は複数の候補疾患名と各疾患候補の該当確率とを含む、請求項1ないしのいずれかに記載の診断支援装置。
【請求項10】
前記複数の候補疾患名のうち既定条件を満足する候補疾患名を強調する強調手段をさらに備え、
前記既定条件は前記取得手段によって取得された見解から漏れているという漏れ条件と前記該当確率が基準を上回るという確率条件とを含む、請求項記載の診断支援装置。
【請求項11】
共通の患者を対象として作成された複数の医用画像と依頼文とに基づく診断を支援する診断支援装置のプロセッサによって実行される診断支援方法であって、
前記複数の医用画像の少なくとも1つを診断者に向けて出力する医用画像出力ステップ、
前記依頼文に対する診断者の見解を前記医用画像出力ステップの処理に関連して取得する取得ステップ、
前記複数の医用画像を含む画像情報に基づいて前記患者の疾患を解析する第1解析処理を解析装置に要求する第1解析要求ステップ、
前記依頼文と前記取得ステップによって取得された見解とを含む文字情報に基づいて前記患者の疾患を解析する第2解析処理を前記第1解析要求ステップの処理に関連して前記解析装置に要求する第2解析要求ステップ、および
前記第1解析処理によって得られた第1解析結果と前記第2解析処理によって得られた第2解析結果とを前記診断者に向けて同時に出力する解析結果出力ステップを備える、診断支援方法。
【請求項12】
共通の患者を対象として作成された複数の医用画像と依頼文とに基づく診断を支援する診断支援装置のプロセッサに、
前記複数の医用画像の少なくとも1つを診断者に向けて出力する医用画像出力ステップ、
前記依頼文に対する診断者の見解を前記医用画像出力ステップの処理に関連して取得する取得ステップ、
前記複数の医用画像を含む画像情報に基づいて前記患者の疾患を解析する第1解析処理を解析装置に要求する第1解析要求ステップ、
前記依頼文と前記取得ステップによって取得された見解とを含む文字情報に基づいて前記患者の疾患を解析する第2解析処理を前記第1解析要求ステップの処理に関連して前記解析装置に要求する第2解析要求ステップ、および
前記第1解析処理によって得られた第1解析結果と前記第2解析処理によって得られた第2解析結果とを前記診断者に向けて同時に出力する解析結果出力ステップを実行させるための、診断支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、診断支援装置,診断支援方法および診断支援プログラムに関し、特に、患者の医用画像と診断者の見解とに基づいて患者の疾患を解析する解析システムと連携して患者の診断を支援する、診断支援装置,診断支援方法および診断支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設において、読影医は、患者を撮影するモダリティから出力された複数の医用画像を解析して、読影レポートを作成する。読影レポートには、病変を表す医用画像が添付されるとともに、添付された医用画像から診断された病名や治療方法などが記載される。
【0003】
読影医の診断精度つまり読影レポートの信頼度を高めるには、病変の有無を診断する“存在診断”および病変の性状を診断する“質的診断”の両方を正確に行うことが必要となる。ただし、近年におけるCT装置やMRI装置の性能の向上によって、検査数や画像枚数が増加しており、これによって読影医の負担も重くなっている。このような負担増は、病変の見落とし,入力ミス,書き忘れ等を引き起こすため、読影医の診断を如何に支援するかが注目される。
【0004】
これに関連して、特許文献1は、診断対象の画像データとその病状情報とに基づいて異常陰影の検出と類似症例の検索とを行い、可能性の高い疾患候補名を表示する疾患候補情報出力システムを開示している。
【0005】
また、特許文献2は、複数の病状情報が入力されたときに、ポイントマップを用いて疾患名毎にポイントを算出し、ポイントの高い疾患名の順に該疾患名に対応付けされた代表的な画像を表示する医療診断支援装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4087640号公報
【文献】特開2009-59381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および2のいずれも、診断対象の画像データおよび/病状情報に基づいて患者の疾患を解析する解析システムの連携によって画像診断を行おうとするものである。ここで、画像診断における解析システムの依存度を高めるためには、解析システムによる診断精度の向上が求められる。しかし、診断精度を向上させるための解析システムの設計は、誤診を誘発し、ひいては診断支援性能を低下させるおそれがある。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、支援性能を高めることができる、診断支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る診断支援装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、共通の患者を対象として作成された複数の医用画像と依頼文とに基づく診断を支援する診断支援装置であって、複数の医用画像の少なくとも1つを診断者に向けて出力する医用画像出力手段(S9, S25~S27)、依頼文に対する診断者の見解を医用画像出力手段の処理に関連して取得する取得手段(S11~S17)、複数の医用画像を含む画像情報に基づいて患者の疾患を解析する第1解析処理を解析装置(40)に要求する第1解析要求手段(S41, S45)、依頼文と取得手段によって取得された見解とを含む文字情報に基づいて患者の疾患を解析する第2解析処理を第1解析要求手段の処理に関連して解析装置に要求する第2解析要求手段(S39, S43)、および第1解析処理によって得られた第1解析結果と第2解析処理によって得られた第2解析結果とを出力する解析結果出力手段(S47, S49)を備える。
【0010】
好ましくは、第1解析処理は画像情報および文字情報のうち前者にのみ基づいて実行され、第2解析処理は画像情報および文字情報のうち後者にのみ基づいて実行される。
【0011】
好ましくは、解析結果出力手段は第1解析結果および第2解析結果を診断者に向けて同時に出力する。
【0012】
好ましくは、医用画像出力手段は更新操作に応答して出力対象を更新する更新手段(S25,S27)を含み、解析結果出力手段は第1解析結果および第2解析結果の出力後に更新手段および取得手段の少なくとも一方を再起動する。
【0013】
好ましくは、依頼文欄(REQ)および見解記入欄(RMK, DGN)を有する読影レポートを第1モニタ(12m1)に表示する読影レポート表示手段(S7)がさらに備えられ、取得手段は見解を見解記入欄に表示する見解表示手段(S13, S17)を含む。
【0014】
或る局面では、医用画像出力手段は複数の医用画像の少なくとも1つを第1モニタに付随する第2モニタ(12m2)に表示する医用画像表示手段(S9, S27)を含む。
【0015】
他の局面では、解析結果出力手段は第1解析結果および第2解析結果を第1モニタに追加表示する追加表示手段(S49)を含む。
【0016】
好ましくは、第1解析要求手段および第2解析要求手段の各々は患者の属性に応じて異なる態様で解析要求を発行する。
【0017】
好ましくは、第1解析要求手段および第2解析要求手段の各々は要求発行操作を受け付けたとき解析装置に向けて解析要求を発行する。
【0018】
好ましくは、第1解析結果および第2解析結果の各々は複数の候補疾患名と各疾患候補の該当確率とを含む。
【0019】
さらに好ましくは、複数の候補疾患名のうち既定条件を満足する候補疾患名を強調する強調手段(S57)がさらに備えられ、既定条件は取得手段によって取得された見解から漏れているという漏れ条件と該当確率が基準を上回るという確率条件とを含む。
【0020】
この発明に係る診断支援方法は、共通の患者を対象として作成された複数の医用画像と依頼文とに基づく診断を支援する診断支援装置(10)によって実行される診断支援方法であって、複数の医用画像の少なくとも1つを診断者に向けて出力する医用画像出力ステップ(S9, S25~S27)、依頼文に対する診断者の見解を医用画像出力ステップの処理に関連して取得する取得ステップ(S11~S17)、複数の医用画像を含む画像情報に基づいて患者の疾患を解析する第1解析処理を解析装置(40)に要求する第1解析要求ステップ(S41, S45)、依頼文と取得ステップによって取得された見解とを含む文字情報に基づいて患者の疾患を解析する第2解析処理を第1解析要求ステップの処理に関連して解析装置に要求する第2解析要求ステップ(S39, S43)、および第1解析処理によって得られた第1解析結果と第2解析処理によって得られた第2解析結果とを出力する解析結果出力ステップ(S47, S49)を備える。
【0021】
この発明に係る診断支援プログラムは、共通の患者を対象として作成された複数の医用画像と依頼文とに基づく診断を支援する診断支援装置(10)のプロセッサ(12pr)に、複数の医用画像の少なくとも1つを診断者に向けて出力する医用画像出力ステップ(S9, S25~S27)、依頼文に対する診断者の見解を医用画像出力ステップの処理に関連して取得する取得ステップ(S11~S17)、複数の医用画像を含む画像情報に基づいて患者の疾患を解析する第1解析処理を解析装置(40)に要求する第1解析要求ステップ(S41, S45)、依頼文と取得ステップによって取得された見解とを含む文字情報に基づいて患者の疾患を解析する第2解析処理を第1解析要求ステップの処理に関連して解析装置に要求する第2解析要求ステップ(S39, S43)、および第1解析処理によって得られた第1解析結果と第2解析処理によって得られた第2解析結果とを出力する解析結果出力ステップ(S47, S49)を実行させるための、診断支援プログラムである。
【発明の効果】
【0022】
複数の医用画像を第1解析処理の対象とすることで、病変が表れた医用画像を見落として診断が行われる懸念が軽減される。また、依頼文とこれに対する診断者の見解とを第2解析処理の対象とすることで、一部の疾患に気を配ることなく(つまり、疾患名の一部に気付くことなく)診断が行われる懸念が軽減される。これによって、診断支援性能の向上が図られる。
【0023】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この実施例に適用される医療診断支援システムの構成を示すブロック図である。
図2】機械学習システムによって参照されるテーブルの構成の一例を示す図解図である。
図3】モダリティによって作成されたDICOMファイルの構造の一例を示す図解図である。
図4】画像診断支援装置のメインモニタに表示される診断支援画面の一例を示す図解図である。
図5】画像診断支援装置のメインモニタに表示される診断支援画面の他の一例を示す図解図である。
図6】画像診断支援装置のサブモニタに表示される診断支援画面の一例を示す図解図である。
図7】画像診断支援装置のメインモニタに表示される診断支援画面のその他の一例を示す図解図である。
図8】画像診断支援装置のメインモニタに表示される診断支援画面のさらにその他の一例を示す図解図である。
図9】画像診断支援装置のメインモニタに表示される診断支援画面の他の一例を示す図解図である。
図10】画像診断支援装置のメインモニタに表示される診断支援画面のその他の一例を示す図解図である。
図11】画像診断支援装置のメインモニタに表示される診断支援画面のさらにその他の一例を示す図解図である。
図12】画像診断支援装置に設けられたCPUの動作の一部を示すフロー図である。
図13】画像診断支援装置に設けられたCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
図14】画像診断支援装置に設けられたCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
図15】画像診断支援装置に設けられたCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
図16】画像診断支援装置に設けられたCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照して、この実施例の医療診断支援システムは、院内LAN50を介して互いに接続された画像診断支援装置10,モダリティ20,PACS30および機械学習システム(解析装置)40によって構成される。
【0026】
画像診断支援装置10において、バスBS1には、通信I/F12cm,CPU12pr,キーボード/マウス12km,DRAM12mm,HDD12hd,メインモニタ(第1モニタ)12m1およびサブモニタ(第2モニタ)12m2が接続される。
【0027】
サブモニタ12m2は、メインモニタ12m1に付随する。読影医(診断者)は、メインモニタ12m1およびサブモニタ12m2と向き合い、キーボード/マウス12kmを操作して画像診断を行う。
【0028】
機械学習システム40は、成人用のテキスト専門機械学習システム40at,成人用の画像専門機械学習システム40ai,小児用のテキスト専門機械学習システム40ct,および小児用の画像専門機械学習システム40ciによって構成される。図2に示す疾患候補テーブルは、テキスト専門機械学習システム40at,40ctおよび画像専門機械学習システム40ai,40ciのいずれからもアクセス可能に、機械学習システム40に設けられる。
【0029】
図2によれば、“肺がん”,“転移性肺腫瘍”,“縦隔腫瘍”,“肺動脈血栓症”,“肺水腫”,“胸膜炎”,“膿胸”,“気胸”,“慢性閉塞性肺疾患”,“肺結核”,“間質性肺炎”,“サルコイドーシス”,“じん肺”,“リンパ脈管筋腫症”,“急性呼吸不全”,“気管支拡張症”などの多数の文字列が疾患候補テーブルに登録される。
【0030】
モダリティ20は、たとえば、患者の体軸断面を表す複数の医用画像を収めたDICOMファイルを出力するMRI装置である。モダリティ20を操作する検査技師は、主治医からの依頼コメントを踏まえてモダリティ20を操作する。これによって、所望の位置の断層画像が医用画像として作成され、作成された医用画像がDICOMファイルに収められる。こうして作成されたDICOMファイルは、図3に示すデータ構造を有し、院内LAN50を介してPACS30に保存される。
【0031】
図3を参照して、DICOMファイルには、複数の医用画像に加えて付属情報が収められる。ここで、付属情報は、検査属性を各々が示す複数の項目(検査日付,患者名,患者の検査時年齢,アクセッション番号など)によって構成される。
【0032】
画像診断支援装置10に設けられたCPU12prは、機械学習システム40と連携して読影医による画像診断を支援するべく、図12図16に示す診断支援処理を実行する。なお、このフロー図に相当するプログラムは、診断支援プログラムとしてHDD12hdに記憶される。
【0033】
図12を参照して、ステップS1では、トップ画面をDRAM12mmに展開する。展開されたトップ画面は、メインモニタ12m1によって読み出され、図4に示す要領で表示される。図4によれば、トップ画面は、複数の検査をそれぞれ表す複数の見出しが列挙された見出し欄IDXを有する。また、図4に示すトップ画面においては、いずれも見出しに対応する読影レポートも“保留”とされる。
【0034】
ステップS3では、キーボード/マウス12kmによって見出し選択操作(=見出し欄IDXに列挙された複数の見出しのいずれか1つを選択する操作)が行われたか否かを判別する。また、ステップS5では、キーボード/マウス12kmによって他の操作が行われたか否かを判別する。ステップS3の判別結果およびステップS5の判別結果のいずれもがNOであればステップS3に戻り、ステップS3の判別結果がYESであればステップS7に進み、ステップS5の判別結果がYESであれば他の処理に進む。
【0035】
ステップS7では、見出し選択操作によって選択された見出しに対応する読影レポート画面をDRAM12mmに展開する。DRAM12mm上のトップ画面は、読影レポート画面によって更新される。
【0036】
更新された読影レポート画面はメインモニタ12m1によって読み出され、図5に示す要領で表示される。図5によれば、読影レポート画面には、依頼コメント欄(依頼文欄)REQ,所見欄RMK,診断欄DGNおよび添付画像欄IMGが設けられる。このうち、依頼コメント欄REQにある“胸痛”の文字列は、主治医によって記載されたものである。また、この実施例では、所見欄RMKおよび診断欄DGNを“見解記入欄”と総称し、所見欄RMKに記載される所見および診断欄DGNに記載される診断コメントを“見解”と総称する。
【0037】
ステップS9では、通信I/F12cmを通してPACS30にアクセスし、選択中の見出しに割り当てられたアクセッション番号に対応するDICOMファイルをPACS30から取得する。ステップS9ではまた、取得されたDICOMファイルに収められた複数の医用画像のいずれか1つをDRAM12mmに展開する。展開された医用画像はサブモニタ12m2によって読み出され、図6に示す要領で表示される。
【0038】
ステップS11では、キーボード/マウス12kmによって所見入力操作(所見欄RMKを指定して所望の文字列を入力する操作)が行われたか否かを判別する。判別結果がNOであれば、そのままステップS15に進む。
【0039】
一方、判別結果がYESであればステップS13に進み、所見入力操作によって取得した文字列を図7に示す要領で所見欄RMKに表示する。図7によれば、所見欄RMKには、“冠動脈起始部に石灰化を認める。”の文字列が表示される。文字列の表示が完了すると、ステップS15に進む。
【0040】
ステップS15では、キーボード/マウス12kmによって診断コメント入力操作(診断欄DGNを指定して所望の文字列を入力する操作)が行われたか否かを判別する。判別結果がNOであれば、そのままステップS19に進む。
【0041】
一方、判別結果がYESであればステップS17に進み、診断コメント入力操作によって取得した文字列を図8に示す要領で診断欄DGNに表示する。図8によれば、診断欄DGNには、“1.狭心症の疑い”の文字列が表示される。文字列の表示が完了すると、ステップS19に進む。
【0042】
ステップS19では、キーボード/マウス12kmによって画像添付操作(サブモニタ12m2に表示された医用画像をドラッグ&ドロップ操作によって添付画像欄IMGに移動させる操作)が行われたか否かを判別する。判別結果がNOであればそのままステップS25に進む一方、判別結果がYESであればステップS21およびステップS23で以下の処理を実行してからステップS31に進む。
【0043】
つまり、ステップS21では、サブモニタ12m2に表示された医用画像に基づいてサムネイル画像を作成する。ステップS23では、作成されたサムネイル画像を添付画像欄IMGに表示する(図7図8参照)。
【0044】
ステップS25では、キーボード/マウス12kmによって画像更新操作(サブモニタ12m2上の医用画像を更新する操作)が行われたか否かを判別する。判別結果がNOであれば、そのままステップS29に進む。
【0045】
一方、判別結果がYESであればステップS27に進み、ステップS9で取得されたDICOMファイル内の別の医用画像をDRAM12mmに展開する。この結果、サブモニタ12m2に表示される医用画像が別の医用画像に更新される。ステップS27の処理が完了すると、ステップS29に進む。
【0046】
ステップS29では、添付画像欄IMGの近傍に表示された「確認」ボタン(図7図8参照)がキーボード/マウス12kmによってクリックされたか否か(要求発行操作が行われたか否か)を判別する。ステップS29の判別結果がNOであれば、読影レポート画面の右上に表示された「確定」ボタンがキーボード/マウス12kmによってクリックされたか否かをステップS31で判別し、キーボード/マウス12kmによって他の操作が行われたか否かをステップS35で判別する。
【0047】
ステップS31の判別結果およびステップS35の判別結果のいずれもがNOであればステップS11に戻り、ステップS35の判別結果がYESであれば他の処理に進み、ステップS31の判別結果がYESであればステップS33で確定処理を行ってからステップS1に戻る。
【0048】
この結果、メインモニタ12m1の表示が読影レポート画面からトップ画面に復帰する。ただし、図9に太丸で示すように、確定処理を施された読影レポートに対応する見出しには、“保留”に代えて“確定”の文字列が付される。
【0049】
ステップS29の判別結果がYESであれば、読影レポート画面に記載された患者の検査時年齢が15歳以上であるか否かをステップS37で判別する。判別結果がYESであればステップS39に進む一方、判別結果がNOであればステップS43に進む。
【0050】
ステップS39では、候補疾患提示要求(解析要求)をテキスト専門機械学習システム40atに送信し、続くステップS41では、候補疾患提示要求を画像専門機械学習システム40aiに送信する。また、ステップS43では、候補疾患提示要求をテキスト専門機械学習システム40ctに送信し、続くステップS45では、候補疾患提示要求を画像専門機械学習システム40ciに送信する。候補疾患提示要求は、通信I/F12cmを介し、かつ患者の属性に応じて異なる態様で発行される。
【0051】
ステップS39またはS43で送信される候補疾患提示要求には、依頼コメント欄REQに表示された文字列と同じ文字列が依頼コメントを表す文字情報として付随し、所見欄RMKに表示された文字列と同じ文字列が所見を表す文字情報として付随し、診断欄DGNに表示された文字列と同じ文字列が診断コメントを表す文字情報として付随する。
【0052】
また、ステップS41またはS45で送信される候補疾患提示要求には、ステップS9で取得したDICOMファイル内の全ての医用画像が画像情報として付随する。
【0053】
テキスト専門機械学習システム40atおよび40ctの各々は、依頼コメント,所見および診断コメントに基づいて患者の疾患を診断した経験が豊富な医師の知能と同様の人工知能を有する。また、画像専門機械学習システム40aiおよび40ciの各々は、医用画像に基づいて患者の疾患を診断した経験が豊富な医師の知能と同様の人工知能を有する。
【0054】
テキスト専門機械学習システム40atおよび40ctの各々は、候補疾患提示要求に付随する文字情報に基づいて患者の疾患を解析する。一方、画像専門機械学習システム40aiおよび40ciの各々は、候補疾患提示要求に付随する画像情報に基づいて患者の疾患を解析する。つまり、テキスト専門機械学習システム40atおよび40ctの各々は、文字情報および画像情報のうち前者にのみ基づいて解析処理(第解析処理)を実行し、画像専門機械学習システム40aiおよび40ciの各々は、文字情報および画像情報のうち後者にのみ基づいて解析処理(第解析処理)を実行する。
【0055】
テキスト専門機械学習システム40atおよび40ctの各々は、文字情報に基づく解析処理によって図2に示す候補疾患テーブルから複数の候補疾患を抽出し、抽出した複数の疾患候補と各疾患候補に該当する確率とを含む回答を要求元に返送する。同様に、画像専門機械学習システム40aiおよび40ciの各々も、画像情報に基づく解析処理によって図2に示す候補疾患テーブルから複数の候補疾患を抽出し、抽出した複数の疾患候補と各疾患候補に該当する確率とを含む回答を要求元に返送する。
【0056】
ステップS41またはS45の処理が完了すると、テキスト専門機械学習システム40atおよび画像専門機械学習システム40aiの両方あるいはテキスト専門機械学習システム40ctおよび画像専門機械学習システム40ciの両方から回答があったか否かをステップS47で繰り返し判別する。
【0057】
判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS49に進み、解析結果画面をDRAM12mmに展開する。展開された解析結果画面はメインモニタ12m1によって読み出され、図10に示す要領で読影レポート画面に多重表示(追加表示)される。
【0058】
図10を参照して、画像情報に基づく解析結果を表す候補疾患名および該当確率は解析結果画面の左側に表示され、文字情報に基づく解析結果を表す候補疾患名および該当確率は解析結果画面の右側に表示される。また、画像情報に基づく解析結果および文字情報に基づく解析結果は、同時に表示される。
【0059】
ここでは、画像情報に基づく解析結果は、“胸膜炎80%”,“狭心症50%”,“急性心筋炎15%”,“肺癌10%”の順で並ぶ。また、文字情報に基づく解析結果は、“狭心症80%”,“心筋梗塞40%”,“大動脈弁疾患30%”,“急性心筋炎10%”の順で並ぶ。
【0060】
ステップS51では診断欄DGNから漏れている候補疾患名を解析結果画面から探索し、ステップS53では探索結果が“探知”を示すか否かを判別する。判別結果がNOであれば、漏れ条件は満足されていないとみなしてステップS11に戻る。一方、判別結果がYESであれば、漏れ条件が満足されたとみなしてステップS55に進む。
【0061】
ステップS55では、探知された候補疾患名の該当確率が基準値(=70%)を上回るか否かを判別する。判別結果がNOであれば、確率条件は満足されていないとみなしてステップS11に戻る。一方、判別結果がYESであれば、確率条件が満足されたとみなしてステップS57に進む。ステップS57では、探知した疾患候補名および該当確率をアラートのために太枠で強調する。強調処理が完了すると、ステップS11に戻る。
【0062】
図10によれば、“胸膜炎”は診断欄DGNから漏れている一方、“狭心症”は診断欄DGNに記載されている。したがって、“胸膜炎80%”および“狭心症80%”のうち“胸膜炎80%”のみが太枠で強調される。
【0063】
DICOMファイルに収められた全ての医用画像を画像専門機械学習システム40aiまたは40ciによる解析処理の対象とすることで、病変が表れた医用画像を見落として診断が行われる懸念が軽減される。また、依頼コメント,所見および診断コメントをテキスト専門機械学習システム40atまたは40ctによる解析処理の対象とすることで、一部の疾患に気を配ることなく(つまり、疾患名の一部に気付くことなく)診断が行われる懸念が軽減される。
【0064】
解析結果画面の表示が完了した後にステップS11に戻ることで、ステップS11からステップS27までの処理が再起動され、所見欄RMKおよび診断欄DGNの各々に表示される文字列ならびに添付画像欄IMGに表示されるサムネイル画像の編集が可能となる(図11参照)。
【0065】
図11に示す太枠内の記載によれば、“左胸膜に炎症所見を認める。”の文字列が所見欄RMKに追加され、診断欄DGNの記載が“1.胸膜炎”および“2.狭心症疑い”に改められる。編集の後に“確認”ボタンがクリックされると、ステップS37からステップS57までの処理が再起動され、解析結果画面が更新される。
【0066】
以上の説明から分かるように、画像診断支援装置10は、共通の患者を対象として作成された複数の医用画像と依頼コメントとに基づく診断を支援する装置であり、これを構成するCPU12prによって以下の処理が実行される。
【0067】
まず、複数の医用画像の少なくとも1つが、読影医と向き合うサブモニタ12m2に表示される(S9, S25~S27)。また、依頼コメントに対する読影医の見解(所見および/または診断コメント)は、キーボード/マウス12kmを通して取得され、メインモニタ12m1上の読影レポート画面に表示される(S11~S17)。
【0068】
その後、複数の医用画像が付随する候補疾患提示要求が、画像専門機械学習システム40aiまたは40ciに向けて発行され(S41, S45)、依頼コメントおよび見解が付随する候補疾患提示要求が、テキスト専門機械学習システム40atまたは40ctに向けて発行される(S39, S43)。前者の候補疾患提示要求は画像情報に基づいて患者の疾患の解析を要求するものであり、後者の候補疾患提示要求は文字情報に基づいて患者の疾患の解析を要求するものである。
【0069】
画像専門機械学習システム40aiまたは40ciによる解析結果ならびにテキスト専門機械学習システム40atまたは40ctによる解析結果は、メインモニタ12m1上の読影レポート画面に多重表示される(S47, S49)。
【0070】
複数の医用画像を画像専門機械学習システム40aiまたは40ciによる解析処理の対象とすることで、病変が表れた医用画像を見落として診断が行われる懸念が軽減される。また、依頼コメントとこれに対する読影医の見解とをテキスト専門機械学習システム40atまたは40ctによる解析処理の対象とすることで、一部の疾患に気を配ることなく(つまり、疾患名の一部に気付くことなく)診断が行われる懸念が軽減される。これによって、経験が乏しい読影医でも的確に画像診断を実施することができる。
【0071】
なお、この実施例では、患者の属性を“成人”および“小児”の2つに分類するようにしている。しかし、患者の属性は、“男性”および“女性”の2つに分類し、或いは“成人男性”,“成人女性”,“小児男性”,“小児女性”の4つに分類してもよく、さらには、より多様性を有するように分類してもよい。
【0072】
また、この実施例では、「確認」ボタンがクリックされたときに、画像診断支援装置10が、画像専門機械学習システム40aiまたは40ciに対して候補疾患提示要求を送信する(図15のステップS41,S45参照)。また、画像専門機械学習システム40aiまたは40ciは、送信された候補疾患提示要求に付随する画像情報に基づいて患者の疾患を解析し、解析結果を画像診断支援装置10に返送する。
【0073】
しかし、これに代えて、DICOMファイルがPACS30に保存された時点で、PACS30が、画像専門機械学習システム40aiまたは40ciに対して解析要求(DICOMファイル内の全ての医用画像とDICOMファイル番号とが付随)を送信し、「確認」ボタンがクリックされたときに、画像診断支援装置10が、画像専門機械学習システム40aiまたは40ciに対して候補疾患提示要求(DICOMファイル番号が付随)を送信するようにしてもよい。
【0074】
この場合、画像専門機械学習システム40aiまたは40ciは、解析要求に付随する画像情報に基づいて患者の疾患を解析し、候補疾患提示要求に応答して解析結果を画像診断支援装置10に返送する。
【0075】
これによって、画像専門機械学習システム40aiまたは40ciは、「確認」ボタンがクリックされる前に患者の疾患を解析することができる。この結果、「確認」ボタンのクリックに対する応答特性が向上する。
【0076】
なお、PACS30から画像専門機械学習システム40aiまたは40ciに対して解析要求を送信する場合、画像診断支援装置10およびPACS30によって構成された装置が、この発明の“診断支援装置”に相当する。
【符号の説明】
【0077】
10 …画像診断支援装置
12pr …CPU
12km …キーボード/マウス
12hd …HDD
12m1 …メインモニタ
12m2 …サブモニタ
40 …機械学習システム
40at,40ct …テキスト専門機械学習システム
40ai,40ci …画像専門機械学習システム
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