(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】エアファンの消音器
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20220111BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G10K11/16 100
F04D29/66 G
(21)【出願番号】P 2017200759
(22)【出願日】2017-10-17
【審査請求日】2020-07-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年7月19日から21日まで開催した、「一般社団法人 日本能率協会」主催の「第3回 暑さをひんやりクールダウン! 猛暑対策展」に出展した。
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】石垣 洋二
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-019818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00- 1/24
F01N 5/00- 5/04
F01N 13/00-99/00
F02C 1/00- 9/58
F04D 1/00-13/16
F04D 17/00-19/02
F04D 21/00-25/16
F04D 29/00-35/00
F16K 39/00-51/02
F16L 51/00-55/48
F23R 3/00- 7/00
F24F 3/00-3/167
F24F 6/00- 6/18
F24F 13/00-13/078
G10K 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアファンのサイレンサを囲繞する消音器において、
この消音器は、筐体と、この筐体に設けた前記サイレンサを受入れる入口と、当該筐体に内装した吸音材と、で構成し、
前記吸音材で、前記サイレンサを囲繞し、このサイレンサの消音を助成可能としたことを特徴とするエアファンの消音器。
【請求項2】
前記吸音材は、前記筐体の内壁面に設けた樹脂製の第1吸音材と、この第1吸音材に内設したアルミ製多孔質でなる第2吸音材とで構成したことを特徴とする請求項1に記載のエアファンの消音器。
【請求項3】
前記筐体は、
空気排出口からの排気を抵抗なく受け入れる空間を形成し、この空間の中心に前記サイレンサが位置するとともに、前記第1・第2吸音材を上底でカットして、前記筐体底部の内壁面と同形とした開放空間を設ける構成としたことを特徴とする請求項2に記載のエアファンの消音器。
【請求項4】
前記筐体は、方形形状、円形形状、又は下向き・上向き拡開形状の何れか、一つとしたことを特徴とする請求項1~3に記載のエアファンの消音器。
【請求項5】
前記筐体は、前記エアファンの後部であって、かつ軸心の下方に、吊下げ支持したことを特徴とする請求項1~4に記載のエアファンの消音器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアファンの消音器(コンプレッサ駆動の送風機の消音器)に関し、エアファンの排気音減少を図ることを意図する。
【背景技術】
【0002】
エアファンは、例えば、引火性が危惧される分野での使用がある。このように、必要不可欠な箇所での使用態様であって、特殊な機種である。例えば、この分野における、エアファンの動力として、コンプレッサによる圧縮空気を使用するので、騒音の問題があり、当然に、低騒音が要求される。
【0003】
また、その他として、例えば、鋳物・アルミダイキャスト製品の冷却、塗装の乾燥、洗浄後の部品乾燥、建材・紙製品の乾燥等の如く、冷却・乾燥の分野とか、また、切削工程で発生するオイルミストが漂う作業空間で使用することができるので、工場内の空気を効率よく誘導するオイルミスト対策の分野の如く、工場サイトでの採用である。そして、工場サイト以外では、例えば、作業現場における、暑熱対策分野で、大きな羽根で広範囲に風を送るため効果的な暑熱対策ができ、作業環境の改善とか、或いは、排気ガスの除去分野で、配送センターなどの排気ガスが発生する場所では屋外又は排気装置に排気ガスを誘導し、作業環境の改善を図る。更には、粉塵対策分野で、粉塵が発生する環境下においても、工場の開口部に向けて送風を行うことにより空気の浄化を図る。
【0004】
そして、これに関する先行文献としては、例えば、文献(1)として、特開昭49-116692号公報(空気グラインダーにおける消音装置)であって、エアグラインダーやエアくぎ打ち機などのエア工具(エアツール)の消音装置は昭和49年において公知であり、消音装置と消音機構が解説されている。本体から横に突き出る形の消音筒が記載されている。また、文献(2)としては、特開平07-042699号公報(送風機の消音装置)であって、消音装置として筒状のケースが開示されている。送風機が電動駆動かエア駆動かの記述はない。また,消音材はポリウレタンなどの多孔性合成樹脂である。「単独に又は送風機などに組み込まれ」との記述がある。そして、文献(3)として、特開平07-314316号公報(エアモータの排気機構)であって、エアモータの出力性能及び消音器の消音性能を良好な状態に維持する排気機構に力点が置かれていて,速度調整機構が開示されている。即ち、エアグラインダーであるので筒状の消音器は本体ケースと合体する構造である。また、文献(4)は、特公平04-013142号公報(金属多孔質材およびその製造方法)であって、AI系エクスパンションとAI系金属繊維層との積相体の構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭49-116692号公報
【文献】特開平07-042699号公報
【文献】特開平07-314316号公報
【文献】特公平04-013142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の文献(1)~文献(4)は、基体本体と、この基体本体内に組付けた消音器とかサイレンサを、一体化した構造である。従って、本発明の構造である、「空気排出口に消音器を付設するエアファン」では、このエアファンのサイレンサで発生する騒音低下、即ち、低騒音化を図るものとは、異なる。また、文献(1)~文献(4)には、エアファンの消音器(コンプレッサ駆動のエアファンの消音器)に関しての説明は見当たらない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、サイレンサでは達成できない低騒音化を、消音器で処理し、エアファンの低騒音化を図る。その為に、本発明のエアファンの空気排出口の配管に付設した消音器は、筐体のサイレンサを受入れる入口と、この筐体に内装した吸音材と、この吸音材で、サイレンサを囲繞することを特徴とする。その好ましい構成は、請求項1-5に示している。
【発明の効果】
【0008】
請求項1では、エアファンのサイレンサを囲繞する消音器において、
消音器は、筐体と、筐体に設けたサイレンサを受入れる入口と、筐体に内装した吸音材と、で構成し、
吸音材で、サイレンサを囲繞し、サイレンサの消音を助成可能としたエアファンの消音器である。
【0009】
従って、請求項1は、引火性が危惧される分野での使用ができ、かつ低騒音化が期待できる。同様に、前述の、例えば、鋳物・アルミダイキャスト製品の冷却、塗装の乾燥、洗浄後の部品乾燥、建材・紙製品の乾燥等の如く、冷却・乾燥の分野とか、また、切削工程で発生するオイルミストが漂う作業空間で使用することができるので、工場内の空気を効率よく誘導するオイルミスト対策の分野、更には、例えば、作業現場における、暑熱対策分野、配送センターなどの排気ガスが発生する場所では屋外又は排気装置に排気ガスを誘導する分野、粉塵対策分野で、粉塵が発生する環境分野での使用が図れる有益性と、併せて低騒音化が図れることで、例えば、作業環境の改善に有益性がある。また、サイレンサでは達成できない消音を、消音器で処理し、エアファンの低騒音化を図ることを特徴とする。
【0010】
請求項2では、吸音材は、筐体の内壁面に設けた樹脂製の第1吸音材と、第1吸音材に内設したアルミ製多孔質でなる第2吸音材とで構成したエアファンの消音器である。
【0011】
従って、請求項2は、請求項1の低騒音化と、有益性とが達成でき、かつ請求項1の達成に最適な構造の吸音材を提供できる。
【0012】
請求項3では、筐体は、空気排出口からの排気を抵抗なく受け入れる空間を形成し、空間の中心にサイレンサが位置するとともに、第1・第2吸音材を上底でカットして、筐体底部の内壁面と同形とした開放空間を設ける構成としたエアファンの消音器である。
【0013】
従って、請求項3は、請求項1の低騒音化と、有益性とが達成でき、かつ請求項2の達成に最適な構造の筐体の構造と、筐体にサイレンサを配備する部位、及び第1・第2吸音材吸音材の構造とを提供できる。
【0014】
請求項4では、筐体は、方形形状、円形形状、又は下向き・上向き拡開形状の何れか、一つとしたことを特徴とするエアファンの消音器である。
【0015】
従って、請求項4は、請求項1の低騒音化と、有益性とが達成でき、かつ請求項1の達成に最適な筐体の構造を提供できる。
【0016】
請求項5では、筐体は、エアファンの後部であって、かつ軸心の下方に、吊下げ支持したことを特徴とするエアファンの消音器である。
【0017】
従って、請求項5は、請求項1の低騒音化と、有益性とが達成でき、かつ請求項1の達成に最適な筐体の構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に最適なエアファンの消音器の全体を示した背面図
【
図2】本発明に最適なエアファンの消音器の全体を示した正面図
【
図3】本発明に最適なエアファンの消音器の全体を示した右側面図
【
図4】本発明に最適なエアファンの消音器の空気圧調質器全体を示した拡大側面図
【
図5】本発明に最適な消音器の全体を拡大して示した側面視してなる断面図
【
図6】本発明に最適な消音器の吸音材の要部の拡大断面図
【
図7】本発明に最適な消音器の全体を拡大して示した平面視してなる断面図
【
図8-1】本発明のエアファンを冷却・乾燥に利用した一例を示した正面図
【
図8-2】本発明のエアファンをオイルミスト対策に利用した一例を示した正面図
【
図8-3】本発明のエアファンを排気ガスの除去に利用した一例を示した正面図
【
図8-4】本発明のエアファンを防塵対策に利用した一例を示した正面図
【
図8-5】本発明のエアファンを暑熱対策に利用した一例を示した正面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい、実施例を説明する。
【0020】
図1-
図3に示したエアファンA(コンプレッサのエアで駆動するファン)の全体構造の一例(以下の構成部品の配置箇所)を説明すると、台車1に載架された送風機2と、送風機2の周面2aに配備したコンプレッサ(図示しない)に一端を繋ぐ第1配管B1の他端を繋ぐ空気圧調質器3と、空気圧調質器3の空気吸込口5(空気供給口)と、この空気圧調質器3の混合空気排出口6と、を備えている。尚、前記空気圧調質器3には、例えば、エアフィルタのユニット30と、ルブリケータのユニット31(潤滑油を霧化して添加する機器)と、レギュレータのユニット32とを備えている。これらの複数のユニットが適宜組み合わされ、空気圧用調質器結合ユニットとなっている。
【0021】
そして、空気排出口6に一端を繋いだ第2配管B2の他端はエアモータ7に繋がれている。このエアモータ7の出力軸にはファン8を軸支する。
【0022】
前記エアモータ7に一端を繋いた第3配管B3の他端には、後述する消音器10が支持されている。
【0023】
そこで、消音器10の好ましい一例を説明すると、消音器10は、エアファンAの後部(後方)に設けられた、例えば、方形形状、円形形状、三角形状、楕円形状等の適宜の形状でなる筐体11と、筐体11の天板11aに設けた(差入れた)サイレンサ12と、筐体11に内装した吸音材13と、で構成されている。筐体11の底面11bの内壁面11cと同形状の開放空間1100を形成し、サイレンサ12からの排気を、広い空間に吐き出し、騒音発生の抑止とする。そして、サイレンサ12は、エアモータ7に設けた第3配管B3に繋がれるとともに、例えば、前述の如く、消音器10を支持することとなる。
【0024】
また、吸音材13は、筐体11の内壁面11cに設けた樹脂製の第1吸音材1300と、この第1吸音材1300に内設したアルミ製多孔質でなる第2吸音材1301とで構成してなり、この吸音材13は筐体11の天板11aから、底面11bに対して上底11b1となった位置までとし、上底11b1の下側の底部11b2に開放空間1100の部屋(内壁面で囲繞されたエリアである)を形成し、サイレンサ12からの排気空気の拡散を図ること、及び/又は、消音に役立てること等を意図する。尚、第2吸音材1301の、少なくとも、内壁面に、凹凸、スリット、又は溝等により、変化をもたらすことで、低騒音化に寄与できる。
【0025】
サイレンサ12は、吸音材13で囲われたエリアで、かつこの吸音材13の深さ方向の中間位置まで設けることと、吸音材13との間に緩衝用の空間20を形成する。この空間20は、騒音の共鳴するエリアとして役立つことが考えられる。
【0026】
続いて、空気の流れを説明すると、コンプレッサからの高圧空気は、第1配管B1を流れ、空気圧調質器3に到る。この空気圧調質器3で、オイルが添加されて、混合空気が生成されると、第2配管B2を経由し、エアモータ7に送られる。この混合空気の働きで、エアモータ7が回転して、ファン8が回転する。一方、働きを終えた混合空気は、第3配管B3より消音器10に到る。この消音器10内で消音達成と拡散を助成し、低騒音化に役立てる。
【0027】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。
【符号の説明】
【0028】
A エアファン
B1 第1配管
B2 第2配管
B3 第3配管
1 台車
2 送風機
2a 周面
3 空気圧調質器
30 エアフィルタのユニット
31 ルブリケータのユニット
32 レギュレータのユニット
5 空気吸込口
6 混合空気排出口
7 エアモータ
8 ファン
10 消音器
11 筐体
11a 天板
11b 底面
11b1 上底
11b2 底部
11c 内壁面
1100 開放空間
12 サイレンサ
13 吸音材
1300 第1吸音材
1301 第2吸音材
20 空間