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  • 特許-釣り用ルアー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】釣り用ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/14 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A01K85/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017117598
(22)【出願日】2017-06-15
(65)【公開番号】P2019000039
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】501109769
【氏名又は名称】青森宝栄工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】柳 賢太郎
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-216921(JP,A)
【文献】特開2005-192512(JP,A)
【文献】特開平09-023788(JP,A)
【文献】特開2003-000105(JP,A)
【文献】特開2011-130676(JP,A)
【文献】米国特許第04499682(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00-85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材となるメインプレートの各側面に、それぞれ厚さの異なるウィングプレートを固着し、側面視において流線形とした釣り用ルアーにおいて、
前記メインプレートの一方の側面に固着した薄肉側の前記ウィングプレートと前記メインプレートの他方の側面に固着した厚肉側の前記ウィングプレートとを互いに同じ素材として、薄肉側の前記ウィングプレートの外側角部の面取り曲率半径R1を、厚肉側の前記ウィングプレートの外側角部の面取り曲率半径R2より大としたことを特徴とする釣り用ルアー。
【請求項2】
1.0mm≦R1≦2.0mm、かつ0mm≦R2≦0.5mmとした請求項1記載の釣り用ルアー。
【請求項3】
前記メインプレートおよび両ウィングプレートをスチール製とした請求項1または2記載の釣り用ルアー。
【請求項4】
前記両ウィングプレートの少なくともいずれか一方の外側面に、ホログラムシートを貼着した請求項1~3のいずれかに記載の釣り用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルジグタイプの釣り用ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
メタルジグタイプの釣り用ルアーには、例えば3層構造としたもの(例えば、特許文献1または2参照)、アイの取り付けを容易としたもの(例えば、特許文献3参照)、表面に微細光学フィルムを貼着したもの(例えば、特許文献4参照)等、多種多様なものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-192512号公報
【文献】特開2010-094103号公報
【文献】特開2011-130676号公報
【文献】特開2016-086808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、メタルジグタイプの釣り用ルアーは、材質が金属製で、比重が大であり、水中での沈降速度が速いという特徴を有しており、それ故に、水中での動きを、生き餌の動きに似させて、釣ろうとする魚に興味を持たせるということが困難である。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、水中での沈降時に、フラッピング動作を繰り返すことができ、釣ろうとする魚に興味を持たせ、集魚効果を高めることができるようにした釣り用ルアーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)芯材となるメインプレートの各側面に、それぞれ厚さの異なるウィングプレートを固着し、側面視において流線形とした釣り用ルアーにおいて、前記メインプレートの一方の側面に固着した薄肉側の前記ウィングプレートと前記メインプレートの他方の側面に固着した厚肉側の前記ウィングプレートとを互いに同じ素材として、薄肉側の前記ウィングプレートの外側角部の面取り曲率半径R1を、厚肉側の前記ウィングプレートの外側角部の面取り曲率半径R2より大とする。
【0007】
このような構成によると、この釣り用ルアーを、メインプレートの中心軸線Cをほぼ水平として、水中に落下させると、厚肉側のウィングプレートが下位となり、全体が中心軸線Cを中心として、往復揺動運動するフラッピング動作を繰り返しつつ下降する。
このフラッピング動作により、釣ろうとする魚が興味を抱くようになり、集魚効果を高めることができる。
【0008】
(2)上記(1)項において、1.0mm≦R1≦2.0mm、かつ0mm≦R2≦0.5mmとする。
【0009】
このような構成によると、釣り用ルアーを水中に落下させたとき、確実にフラッピング動作を起こさせることができることが実験により確かめられている。
【0010】
(3)上記(1)または(2)項において、前記メインプレートおよび両ウィングプレートをスチール製とする。
【0011】
このような構成によると、耐久性のよい釣り用ルアーを提供することができる。
【0012】
(4)上記(1)~(3)項のいずれかにおいて、両ウィングプレートの少なくともいずれか一方の外側面に、ホログラムシートを貼着する。
【0013】
このような構成によると、ホログラムシートが、釣り用ルアーのフラッピング動作により、ひらひらと移動させられ、釣ろうとする魚に、より大きな注意を喚起し、集魚効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、水中での沈降時に、フラッピング動作を繰り返し、釣ろうとする魚に興味を持たせるようにした釣り用ルアーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の釣り用ルアーの一実施形態の正面図である。
図2】同じく、平面図である。
図3図1のIII-III線に沿う拡大縦断側面図である。
図4図1に示すルアーを水中に入れたときの状態を示す正面図である。
図5図4のV-V線より見たときの側面図である。
図6図5に示すルアーの水中での沈下の状況を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の釣り用ルアーの一実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0017】
図1図3に示すように、この釣り用ルアー1(以下、単にルアーという)は、芯材となるメインプレート2の各側面に、それぞれ厚さの異なるウィングプレート3、4を固着し、側面視において流線形としたものよりなっている。
【0018】
メインプレート2の厚さt1=2.5mm、厚肉のウィングプレート3の厚さt2=3.2mm、薄肉のウィングプレート4の厚さt3=2.3mm、ルアー1全体の厚さT=8.0mmとしてある。
【0019】
メインプレート2およびウィングプレート3、4は、いずれもスチール製(炭素鋼およびステンレス鋼を含む)とするのが好ましい。
ここでは、メインプレート2はステンレス鋼、ウィングプレート3、4は炭素鋼としてある。
このように、メインプレート2およびウィングプレート3、4をスチール製とすることにより、耐久性のよい釣り用ルアーを提供することができるが、スチール以外の金属製とすることもできる。
また、これらの材質を互いに異ならせることもできる。
例えば、水中に入れたとき、厚肉のウィングプレート3が下位となるように、ウィングプレート3の材質を、他のウィングプレート4やメインプレート2の材質よりも比重の大きいものとすることも好ましい。
【0020】
ルアー1全体の質量は150g、全長L=187mm、上下幅W=19mmである。
ウィングプレート3、4の全長は、メインプレート2の全長Lより小とし、メインプレート2の両端部における両ウィングプレート3、4の両端から外れた部分には、釣り糸やフック(いずれも図示略)を挿通させたり、係止させたりするための通し孔5、6が設けられている。
【0021】
両ウィングプレート3、4の両端部の15mmの範囲には、厚さを両端に向かって漸次小とした傾斜面3a、3b、4a、4bが形成されている。
ルアー1全体の外表面は、コーティング材(図示略)によりコーティングされている。
また、両ウィングプレート3、4の外側面には、ホログラムシート7が貼着されており、さらにそのホログラムシート7の一方の端部寄りには、魚の目を模倣した模様8が貼着されている。
【0022】
図3に示すように、薄肉側のウィングプレート4における上下の外側角部には、面取り曲率半径R1=1.5mmとした面取りが施されている。
厚肉側のウィングプレート3における上下の外側角部には、特別な面取り加工は施していないが、ルアー1全体の外表面をコーティング材によりコーティングした結果、面取り加工したのと同様の曲面が形成されているので、これを面取りしたものと見做して、この面取り曲率半径R2=0.5mm以下としてある。
【0023】
このルアー1を、図4および図5に示すように、メインプレート2の中心軸線Cをほぼ水平として、水中に落下させると、厚肉側のウィングプレート3が下位となり、図6に示すように、全体が中心軸線Cを中心として、ひらひらと落葉状に往復揺動運動するフラッピング動作を繰り返しつつ下降する。
このフラッピング動作により、釣ろうとする魚に興味を持たせ、集魚効果を高めることができる。
【0024】
また、両ウィングプレート3、4の外側面には、ホログラムシート7や模様8が貼着されているので、ルアー1がフラッピング動作するとき、ホログラムシート7や模様8がひらひらと移動させられ、フラッピング動作が強調され、釣ろうとする魚により大きな注意を喚起し、集魚効果を高めることができる。
【0025】
このようなフラッピング動作を生じさせる要因を解明するため、ルアー1の全長L、上下幅W、厚さT、面取りRの有無、面取りRの大きさを変化させて、フラッピング動作が生じるか否かを調べた結果を表1に示す。
表1において、面取りRの有無の欄の「無」とは、面取り曲率半径が、0.5mm以下、すなわち0~0.5mmの範囲にあることを意味する。
【0026】
評価の○は、フラッピング動作が確認されたもの、△は、フラッピング動作がわずかだけ確認されたもの、×は、フラッピング動作が全く確認できなかったものを示す。試作番号PR30-031-Aが、上記実施形態のルアー1である。
【0027】
この表1から、薄肉側のウィングプレート4の外側角部の面取り曲率半径R1を、厚肉側のウィングプレート3の外側角部の面取り曲率半径R2より大とすることにより、フラッピング動作が生じる可能性が大であることがわかる。
また、厚肉側のウィングプレート3の外側角部には、面取りを行わないか、または0mm≦R2≦0.5mmとし、薄肉側のウィングプレート4の外側角部の面取り曲率半径R1を、1.0mm≦R1≦2.0mmとすることにより、フラッピング動作が生じることがわかる。
【0028】
【表1】
【0029】
以上から明らかなように、本発明の釣り用ルアーによると、水中での沈降時に、フラッピング動作を繰り返すことができ、釣ろうとする魚に興味を持たせ、集魚効果を高めることができる。
【0030】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、例えば、次のような幾多の変形した態様での実施が可能である。
(1) ホログラムシート7や魚の目を模倣した模様8を削除する。
(2) ホログラムシート7や魚の目を模倣した模様8を、両ウィングプレート3、4のいずれか一方の外側面のみに設ける。
(3) ルアー1の一方の側面を平滑面とし、かつ他方の側面を粗面とする。
【符号の説明】
【0031】
1 釣り用ルアー
2 メインプレート
3 ウィングプレート
3a、3b 傾斜面
4 ウィングプレート
4a、4b 傾斜面
5、6 通し孔
7 ホログラムシート
8 模様
L 全長
R 面取り
R1、R2 面取り曲率半径
T、t1、t2、t3 厚さ
W 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6