(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】スピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/40 20060101AFI20220111BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20220111BHJP
H04R 3/12 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H04R1/40 310
H04R1/02 101Z
H04R3/12 Z
(21)【出願番号】P 2018001866
(22)【出願日】2018-01-10
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】392000040
【氏名又は名称】有限会社ゾルゾ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲平
【審査官】辻 勇貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-182387(JP,A)
【文献】特表2016-516351(JP,A)
【文献】特開2010-063078(JP,A)
【文献】特開平10-178693(JP,A)
【文献】特開昭59-221099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/40
H04R 1/02
H04R 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三つ以上のスピーカユニット対と、
二つ以上の密閉空間を内部に画定する空間画定部と
を備え、
それぞれの前記スピーカユニット対は、二つのスピーカユニットを有し、
それぞれの前記スピーカユニットは、
二つの面を有する振動板と、
電気信号を入力して前記振動板を駆動するドライバユニットと
を有し、
すべての前記ドライバユニットは、同位相又は逆位相の同一の電気信号を入力し、
それぞれの前記スピーカユニット対において、二つの前記ドライバユニットが互いに背中合わせに配置され、同位相の同一の電気信号を入力することにより、二つの前記振動板の駆動によって発生する反力が打ち消し合い、
前記密閉空間のうち少なくとも二つは、それぞれ、二つ以上の境界振動板を有し、
それぞれの前記境界振動板は、前記振動板のいずれかであり、一方の面が前記密閉空間の内側に面し、他方の面が前記密閉空間の外側に面して配置され、
いずれかの境界振動板が前記密閉空間の外側へ向けて駆動されたとき、前記密閉空間の外側へ向けて駆動される境界振動板と、前記密閉空間の内側へ向けて駆動される境界振動板とが同数であり、これにより、前記振動板が駆動されても、前記密閉空間の体積が変化しない、
スピーカ。
【請求項2】
前記スピーカユニット対のうちの二つは、露出スピーカユニット対であり、
それ以外のスピーカユニット対は、密閉スピーカユニット対であり、
それぞれの前記露出スピーカユニット対は、二つのスピーカユニットのうち少なくとも一つが、露出スピーカユニットであり、
前記密閉スピーカユニット対は、二つの前記スピーカユニットが、密閉スピーカユニットであり、
前記露出スピーカユニットは、前記振動板の少なくともいずれかの面が外部に露出し、
前記密閉スピーカユニットは、前記振動板の二つの面が、同一の又は異なる前記密閉空間の内側に面している、
請求項1のスピーカ。
【請求項3】
二つの前記露出スピーカユニット対は、前記スピーカユニット対のうち最も離れて配置されている、
請求項2のスピーカ。
【請求項4】
隣接する二つの前記スピーカユニット対は、逆位相の同一の電気信号を入力する、
請求項1乃至3いずれかのスピーカ。
【請求項5】
前記スピーカユニット対は、一列に並べて配置されている、
請求項1乃至4いずれかのスピーカ。
【請求項6】
前記スピーカユニット対は、前記ドライバユニットが前記振動板を駆動する方向とは異なる方向に並べて配置されている、
請求項1乃至5いずれかのスピーカ。
【請求項7】
三つ以上のスピーカユニットと、
二つ以上の密閉空間を内部に画定する空間画定部と
を備え、
それぞれの前記スピーカユニットは、
二つの面を有する振動板と、
電気信号を入力して前記振動板を駆動するドライバユニットと
を有し、
すべての前記ドライバユニットは、同一の電気信号を入力し、
前記スピーカユニットは、前記ドライバユニットが前記振動板を駆動する方向に一列に並べて配置され、
前記密閉空間のうち少なくとも二つは、それぞれ、二つの境界振動板を有し、
二つの前記境界振動板は、前記振動板のうち、隣接して配置された二つの振動板であり、
それぞれの前記境界振動板は、互いに対向する内側の面が前記密閉空間の内側に面し、他方の面が前記密閉空間の外側に面して配置され、これにより、前記振動板が駆動されても、前記密閉空間の体積が変化せず、
前記振動板のうち、一番外側に配置された二つの振動板は、外側の面が外部に露出し、
それ以外の前記振動板は、二つの面が、異なる前記密閉空間の内側に面している、
スピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2は、複数のスピーカユニットを組み合わせることにより、低音特性を向上したスピーカを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5719718号
【文献】特許第5719958号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、スピーカの低音特性を更に向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
スピーカは、三つ以上のスピーカユニット対と、二つ以上の密閉空間を内部に画定する空間画定部とを備える。それぞれの前記スピーカユニット対は、二つのスピーカユニットを有する。それぞれの前記スピーカユニットは、二つの面を有する振動板と、電気信号を入力して前記振動板を駆動するドライバユニットとを有する。すべての前記ドライバユニットは、同位相又は逆位相の同一の電気信号を入力する。それぞれの前記スピーカユニット対において、二つの前記ドライバユニットが互いに背中合わせに配置され、同位相の同一の電気信号を入力することにより、二つの前記振動板の駆動によって発生する反力が打ち消し合う。前記密閉空間のうち少なくとも二つは、それぞれ、二つ以上の境界振動板を有する。それぞれの前記境界振動板は、前記振動板のいずれかであり、一方の面が前記密閉空間の内側に面し、他方の面が前記密閉空間の外側に面して配置されている。いずれかの境界振動板が前記密閉空間の外側へ向けて駆動されたとき、前記密閉空間の外側へ向けて駆動される境界振動板と、前記密閉空間の内側へ向けて駆動される境界振動板とが同数であり、これにより、前記振動板が駆動されても、前記密閉空間の体積が変化しない。
前記スピーカユニット対のうちの二つは、露出スピーカユニット対であってもよい。それ以外のスピーカユニット対は、密閉スピーカユニット対であってもよい。それぞれの前記露出スピーカユニット対は、二つのスピーカユニットのうち少なくとも一つが、露出スピーカユニットであってもよい。前記密閉スピーカユニット対は、二つの前記スピーカユニットが、密閉スピーカユニットであってもよい。前記露出スピーカユニットは、前記振動板の少なくともいずれかの面が外部に露出してもよい。前記密閉スピーカユニットは、前記振動板の二つの面が、同一の又は異なる前記密閉空間の内側に面していてもよい。
二つの前記露出スピーカユニット対は、前記スピーカユニット対のうち最も離れて配置されていてもよい。
隣接する二つの前記スピーカユニット対は、逆位相の同一の電気信号を入力してもよい。
前記スピーカユニット対は、一列に並べて配置されていてもよい。
前記スピーカユニット対は、前記ドライバユニットが前記振動板を駆動する方向とは異なる方向に並べて配置されていてもよい。
スピーカは、三つ以上のスピーカユニットと、二つ以上の密閉空間を内部に画定する空間画定部とを備えてもよい。それぞれの前記スピーカユニットは、振動板と、電気信号を入力して前記振動板を駆動するドライバユニットとを有してもよい。すべての前記ドライバユニットは、同一の電気信号を入力してもよい。前記スピーカユニットは、前記ドライバユニットが前記振動板を駆動する方向に一列に並べて配置されてもよい。前記密閉空間のうち少なくとも二つは、それぞれ、二つの境界振動板を有してもよい。二つの前記境界振動板は、前記振動板のうち、隣接して配置された二つの振動板であってもよい。それぞれの前記境界振動板は、互いに対向する内側の面が前記密閉空間の内側に面していてもよい。他方の面が前記密閉空間の外側に面して配置され、これにより、前記振動板が駆動されても、前記密閉空間の体積が変化しなくてもよい。前記振動板のうち、一番外側に配置された二つの振動板は、外側の面が外部に露出してもよい。それ以外の前記振動板は、二つの面が、異なる前記密閉空間の内側に面していてもよい。
【発明の効果】
【0006】
前記スピーカによれば、密閉空間の体積が変化しないので、振動板の背圧が打ち消される。これにより、最低共振周波数が低くなるので、低音特性が改善される。
また、ドライバユニットの反力が打ち消されるので、低音特性が更に改善される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】前記第一のスピーカを示すII-II端面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
同一又は類似の要素が複数ある場合、数字からなる符号でそれらを総称するとともに、数字の後ろにアルファベット小文字を付して区別する。
【0009】
<実施形態1>
図1及び2に示すように、スピーカ10Eは、本体12と、十二個のスピーカユニット13とを備える。
前記本体12は、空間画定部の一例であり、内部に五つの内部空間22を画定する。前記本体12は、例えば、長方形の板を組み合わせて形成されている。
十二個の前記スピーカユニット13は、すべて同一である。
それぞれの前記スピーカユニット13は、振動板31と、ドライバユニット32とを有する。
前記振動板31は、表側の面と、裏側の面とを有する。
前記ドライバユニット32は、前記振動板31の裏側にあり、電気信号を入力して、前記振動板31を、表裏方向へ向けて駆動する。
【0010】
十二個の前記スピーカユニット13は、二つずつ対をなし、六つのスピーカユニット対を形成している。それぞれの前記スピーカユニット対において、二つの前記ドライバユニット32は、常に同位相で同一の電気信号を入力するよう配線されている。これにより、一方の前記スピーカユニット13において、前記ドライバユニット32が前記振動板31を表側へ向けて駆動するときは、他方の前記スピーカユニット13でも、前記ドライバユニット32が前記振動板31を表側へ向けて駆動し、一方の前記スピーカユニット13において、前記ドライバユニット32が前記振動板31を裏側へ向けて駆動するときは、他方の前記スピーカユニット13でも、前記ドライバユニット32が前記振動板31を裏側へ向けて駆動する。
また、二つの前記スピーカユニット13は、前記ドライバユニット32が互いに背中合わせになるように配置されている。これにより、前記ドライバユニット32が前記振動板31を駆動することによって発生する反力が、互いに打ち消し合い、反力の影響を除去することができる。
【0011】
前記本体12には、外部と内部空間22との間を接続する二つの穴と、二つの内部空間22の間を接続する四つの穴とが設けられている。
前記スピーカユニット13aの前記振動板31aは、境界振動板及び露出振動板の一例であり、前記内部空間22aと前記本体12の外部との間の境界に配置されている。すなわち、前記振動板31aは、前記内部空間22aと前記本体12の外部との間を接続する前記穴のなかに固定され、前記穴を塞いでいる。前記振動板31aは、裏側の面が内部空間22aに面し、表側の面が前記本体12の外部に露出している。
前記スピーカユニット13bの前記振動板31bは、境界振動板及び密閉振動板の一例であり、二つの前記内部空間22a,22bの間の境界に配置されている。すなわち、前記振動板31bは、二つの前記内部空間22a,22bの間を接続する前記穴のなかに固定され、前記穴を塞いでいる。前記振動板31bは、表側の面が内部空間22bに面し、裏側の面が内部空間22aに面している。
これにより、内部空間22aは、内側と外側とを接続する穴がすべて塞がれ、密閉されている。
前記スピーカユニット13cの前記振動板31cは、境界振動板及び密閉振動板の一例であり、二つの前記内部空間22b,22cの間の境界に配置されている。すなわち、前記振動板31cは、二つの前記内部空間22b,22cの間を接続する前記穴のなかに固定され、前記穴を塞いでいる。前記振動板31cは、表側の面が内部空間22bに面し、裏側の面が内部空間22cに面している。
これにより、内部空間22bは、内側と外側とを接続する穴がすべて塞がれ、密閉されている。
前記スピーカユニット13dの前記振動板31dは、境界振動板及び密閉振動板の一例であり、二つの前記内部空間22c,22dの間の境界に配置されている。すなわち、前記振動板31dは、二つの前記内部空間22c,22dの間を接続する前記穴のなかに固定され、前記穴を塞いでいる。前記振動板31dは、表側の面が内部空間22dに面し、裏側の面が内部空間22cに面している。
これにより、内部空間22cは、内側と外側とを接続する穴がすべて塞がれ、密閉されている。
前記スピーカユニット13eの前記振動板31eは、境界振動板及び密閉振動板の一例であり、二つの前記内部空間22d,22eの間の境界に配置されている。すなわち、前記振動板31eは、二つの前記内部空間22d,22eの間を接続する前記穴のなかに固定され、前記穴を塞いでいる。前記振動板31eは、表側の面が内部空間22dに面し、裏側の面が内部空間22eに面している。
これにより、内部空間22dは、内側と外側とを接続する穴がすべて塞がれ、密閉されている。
前記スピーカユニット13fの前記振動板31fは、境界振動板及び露出振動板の一例であり、前記内部空間22eと前記本体12の外部との間の境界に配置されている。すなわち、前記振動板31fは、前記内部空間22eと前記本体12の外部との間を接続する前記穴のなかに固定され、前記穴を塞いでいる。前記振動板31fは、裏側の面が内部空間22eに面し、表側の面が前記本体12の外部に露出している。
これにより、内部空間22eは、内側と外側とを接続する穴がすべて塞がれ、密閉されている。
【0012】
前記スピーカユニット13pの前記振動板31p、及び、前記スピーカユニット13qの前記振動板31qは、密閉振動板の一例であり、前記内部空間22aのなかに配置されている。
前記スピーカユニット13rの前記振動板31r、及び、前記スピーカユニット13sの前記振動板31sは、密閉振動板の一例であり、前記内部空間22cのなかに配置されている。
前記スピーカユニット13tの前記振動板31t、及び、前記スピーカユニット13uの前記振動板31uは、密閉振動板の一例であり、前記内部空間22eのなかに配置されている。
【0013】
前記本体12の外部の空気は、二つの前記露出振動板31a,31fによって振動させられる。前記スピーカ10Eの使用者は、前記振動板31aの左側で、前記振動板31aで発生した音を聴く。前記振動板31fは、前記スピーカ10Eの反対側にあり、前記振動板31aから最も離れているので、前記振動板31aで発生した音が、前記振動板31fで発生した音によって打ち消されることはない。なお、前記振動板31aで発生した音が、使用者のほうへ向かうよう、前記振動板31aの正面に反射板を設けてもよい。
【0014】
前記スピーカユニット13aの前記ドライバユニット32a、前記スピーカユニット13cの前記ドライバユニット32c、及び、前記スピーカユニット13eの前記ドライバユニット32eは、常に同位相で同一の電気信号が入力されるよう配線されている。
また、前記スピーカユニット13bの前記ドライバユニット32b、前記スピーカユニット13dの前記ドライバユニット32d、及び、前記スピーカユニット13fの前記ドライバユニット32fにも、常に同位相で同一の電気信号が入力されるよう配線されている。
そして、前記ドライバユニット32a,32c,32eに入力される電気信号と、前記ドライバユニット32b,32d,32fに入力される電気信号とは、同一であるが逆位相になるよう配線されている。
例えば、前記ドライバユニット32a,32b,32c,32d,32e,32fは、直列に配線する。ただし、前記ドライバユニット32b,32d,32fについては、前記ドライバユニット32a,32c,32eとは逆極性に配線する。
【0015】
これにより、前記ドライバユニット32aが前記振動板31aを表側へ向けて駆動するときは、前記ドライバユニット32bが前記振動板31bを裏側へ向けて駆動し、前記ドライバユニット32aが前記振動板31aを裏側へ向けて駆動するときは、前記ドライバユニット32bが前記振動板31bを表側へ向けて駆動する。したがって、前記内部空間22aの体積は、常に一定に保たれる。前記内部空間22aの体積が常に一定なので、内部空間22aのなかの空気が圧縮したり膨張したりせず、前記振動板31aは、前記内部空間22aのなかの空気の抵抗を受けることなく、移動することができる。
内部空間22b,22c,22d,22eについても同様である。したがって、前記振動板31b,31c,31d,31eも、同様に、前記内部空間22b,22c,22d,22eのなかの空気の抵抗を受けることなく、移動することができる。
【0016】
別の言い方をすると、内部空間を細かく分割して、それぞれの内部空間の体積を小さくし、内部空間の間の境界部分に振動板を設けて、内部空間内における空気の移動を助けている。
これにより、スピーカ10Eの最低共振周波数を大幅に小さくすることができる。
それに加えて、ドライバユニット32の反力を相殺してその影響を除去しているので、音の再現性が非常に高くなる。
【0017】
また、逆位相の電気信号を入力する二つのドライバユニット32で発生する誘導起電力が互いに相殺されるので、スピーカ10E全体での誘導起電力の合計がほぼゼロになり、音の再現性が高くなる。
【0018】
<実施形態2>
スピーカ10Fは、前記スピーカ10Eと類似しているので、重複する説明は省略する。
図3に示すように、前記スピーカ10Fは、本体12と、十個のスピーカユニット13とを備える。このように、このように、前記スピーカユニット13の数は、十二個に限らず、十個でもよい。
前記本体12は、内部に九つの内部空間22を画定する。
前記スピーカ10Eと比較すると、三つの前記内部空間22a,22p,22qが、前記スピーカ10Eにおける前記内部空間22aに相当する。
前記スピーカユニット13pは、前記内部空間22pのなかに配置されている。前記スピーカユニット13pの前記ドライバユニット32pは、前記内部空間22a,22pの間を隔てる隔壁を挟んで、前記スピーカユニット13aの前記ドライバユニット32aと背中合わせに配置されている。このように、二つの前記ドライバユニット32a,32pの間に隔壁が存在しても、前記ドライバユニット32a,32pの反力を相殺することができる。
同様に、前記スピーカユニット13qは、前記内部空間22qのなかに配置されている。前記スピーカユニット13qの前記ドライバユニット32qは、前記内部空間22a,22qの間を隔てる隔壁を挟んで、前記スピーカユニット13bの前記ドライバユニット32bと背中合わせに配置されている。
【0019】
同様に、三つの内部空間22c,22r,22sが、前記スピーカ10Eにおける前記内部空間22cに相当し、前記スピーカユニット13rは、前記内部空間22rのなかに配置され、前記スピーカユニット13sは、前記内部空間22sのなかに配置されている。
【0020】
前記スピーカ10Eと比較すると、前記内部空間22a,22cの体積が小さくなっているので、前記内部空間22a,22cの内部で過渡的な圧力のムラが生じるのを抑えることができ、振動板31a,31b,31c,31dに対する空気抵抗を更に小さくすることができる。
【0021】
前記スピーカユニット13tは、前記内部空間22tのなかに配置されている。
前記内部空間22p,22q,22r,22s,22tは、境界振動板を持たず、常に一定の体積を有する。
【0022】
前記本体12の外部の空気は、二つの前記露出振動板31a,31eによって振動させられる。前記スピーカ10Fの使用者は、前記振動板31aの正面で、前記振動板31aで発生した音を聴く。前記振動板31eは、前記スピーカ10Fの反対側にあり、前記振動板31aから最も離れているので、前記振動板31aで発生した音が、前記振動板31eで発生した音によって打ち消されることはない。
【0023】
<実施形態3>
スピーカ10Gは、前記スピーカ10Fに類似しているので、重複する説明は省略する。
図4及び5に示すように、前記スピーカ10Gは、本体12と、十個のスピーカユニット13とを備える。
前記本体12は、内部に五つの内部空間22を画定する。
前記スピーカ10Fto比較すると、前記内部空間22pが、前記スピーカ10Fにおける五つの前記内部空間22p,22q,22r,22s,22tに相当する。
また、前記内部空間22aは、体積がなるべく小さくなるように、円筒形状や円錐形状を組み合わせて、スピーカユニット13a,13bに沿った形状に形成されている。
前記内部空間22b,22c,22dについても、同様である。
【0024】
このように、前記内部空間22a,22b,22c,22dの体積を更に小さくすることにより、振動板31a,31b,31c,31dに対する空気抵抗を更に小さくすることができる。
【0025】
<実施形態4>
スピーカ10Hは、前記スピーカ10Eに類似しているので、重複する説明は省略する。
図6に示すように、前記スピーカ10Hは、本体12と、八つのスピーカユニット13とを備える。このように、前記スピーカユニット13の数は、八つでもよい。
前記本体12は、内部に三つの内部空間22を画定する。
前記スピーカユニット13dの振動板31dは、境界振動板及び露出振動板の一例であり、前記内部空間22cと前記本体12の外部との間の境界に配置され、裏側の面が内部空間22cに面し、裏側の面が前記本体12の後側で外部に露出している。
【0026】
前記スピーカ10Jの使用者は、前記振動板31aの正面で、前記振動板31aで発生した音を聴いてもよいし、前記振動板31dの正面で、前記振動板31dで発生した音を聴いてもよい。すなわち、前記スピーカ10Jは、前後両方向へ向けて音を発することができる。
【0027】
<実施形態5>
スピーカ10Jは、前記スピーカ10Fに類似しているので、重複する説明は省略する。
図7に示すように、前記スピーカ10Jは、本体12と、十個のスピーカユニット13とを備える。
前記本体12は、内部に八つの内部空間22を画定する。
前記スピーカ10Jと異なり、後側の前記スピーカユニット13p,13q,13r,13s,13tについても、前側の前記スピーカユニット13a,13b,13c,13d,13eと同様の構成としている。
すなわち、前記スピーカユニット13pの前記振動板31pは、前記内部空間22pと前記本体12の外部との間の境界に配置されて、裏側の面が内部空間22pに面し、表側の面が前記本体12の外部に露出している。
前記スピーカユニット13qの前記振動板31qは、二つの前記内部空間22p,22qの間の境界に配置され、表側の面が内部空間22qに面し、裏側の面が内部空間22pに面している。
前記スピーカユニット13rの前記振動板31rは、二つの前記内部空間22q,22rの間の境界に配置され、表側の面が内部空間22qに面し、裏側の面が内部空間22rに面している。
前記スピーカユニット13sの前記振動板31sは、二つの前記内部空間22r,22sの間の境界に配置され、表側の面が内部空間22sに面し、裏側の面が内部空間22rに面している。
前記スピーカユニット13tの前記振動板31tは、前記内部空間22sと前記本体12の外部との間の境界に配置され、表側の面が内部空間22sに面し、裏側の面が前記本体12の外部に露出している。
【0028】
前記スピーカ10Jの使用者は、前記振動板31a,31pの左側で、前記振動板31a,31pで発生した音を聴く。前記振動板31e,31tは、前記スピーカ10Jの反対側にあり、前記振動板31a,31pから最も離れているので、前記振動板31a,31pで発生した音が、前記振動板31e,31tで発生した音によって打ち消されることはない。
このように、後側のスピーカユニット13を、単に反力の相殺用として使用するだけではなく、音の再生用としても使用してもよい。
【0029】
<実施形態6>
スピーカ10Kは、前記スピーカ10Eと類似しているので、重複する説明は省略する。
図8に示すように、前記スピーカ10Kは、本体12と、十二個のスピーカユニット13とを備える。このように、前記スピーカユニット13の数は、十個に限らず、十二個でもよい。
前記スピーカユニット13a,13q,13c,13s,13e,13uは、左方向へ向いている。前記スピーカユニット13p,13b,13r,13d,13t,13fは、右方向へ向いている。すなわち、前記スピーカユニット13は、横方向ではなく、縦方向に並べて配置されている。
前記スピーカユニット対のなかで反力が相殺されているので、前記スピーカユニット対を配置する向きを変えても、その影響が出ることはない。
【0030】
<実施形態7>
スピーカ10Lは、前記スピーカ10Kと類似しているので、重複する説明は省略する。
図9に示すように、前記スピーカ10Lは、本体12と、十個のスピーカユニット13とを備える。
前記スピーカユニット13a,13b,13c,13d,13eは、左方向へ向いている。前記スピーカユニット13p,13q,13r,13s,13tは、右方向へ向いている。
前記スピーカユニット13bの振動板31bは、表側の面が内部空間22aに面し、裏側の面が内部空間22bに面している。
前記スピーカユニット13dの振動板31dは、表側の面が内部空間22cに面し、裏側の面が内部空間22dに面している。
すべてのスピーカユニット13は、常に同位相で同一の電気信号を入力するよう配線されている。これにより、前記内部空間22a,22b,22c,22dの体積は、常に一定に保たれる。
【0031】
<実施形態8>
スピーカ10Mは、前記スピーカ10Lと類似しているので、重複する説明は省略する。
図10に示すように、前記スピーカ10Mは、本体12と、八つのスピーカユニット13とを備える。
前記本体12は、内部に五つの内部空間22を画定する。
前記スピーカユニット13p,13rは、前記内部空間22pのなかに配置されている。前記スピーカユニット13q,13sは、前記内部空間22qのなかに配置されている。
また、スピーカユニット13を配置する向きをバラバラにしている。
これにより、前記内部空間22a,22b,22cの体積が更に小さくなる。
【0032】
<実施形態9>
スピーカ10Nは、前記スピーカ10Jと類似しているので、重複する説明は省略する。
図11に示すように、前記スピーカ10Hは、本体12と、八つのスピーカユニット13とを備える。
前記本体12は、内部に七つの内部空間22を画定する。
なお、
図11では、内部空間22dが左右に分かれて描かれているが、この二つは、背後で連通して、一つの内部空間22dを形成している。
このように、後側のスピーカユニット13を、音の再生用とし、一系統に結合してもよい。
【0033】
<実施形態10>
スピーカ10Pは、前記スピーカ10Lと類似しているので、重複する説明は省略する。
前記本体12は、内部に五つの内部空間22を画定する。
スピーカユニット13は、スピーカユニット対を形成していない。
このように、反力相殺用のスピーカユニット13を省略することにより、内部空間22の体積を更に小さくすることができる。
【0034】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。
【符号の説明】
【0035】
10E~10P スピーカ、12 本体、13 スピーカユニット、22 内部空間、31 振動板、32 ドライバユニット。