(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】シールド付ウェアラブルコンピュータ
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20220111BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220111BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
G09F9/00 313
G06F1/16 312F
G06F1/16 313Z
(21)【出願番号】P 2018011022
(22)【出願日】2018-01-26
【審査請求日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】P 2017035499
(32)【優先日】2017-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517067811
【氏名又は名称】株式会社パーシテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】水尾 学
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-220042(JP,A)
【文献】特開2013-076959(JP,A)
【文献】特開2002-116409(JP,A)
【文献】特開2015-177397(JP,A)
【文献】特開2013-214856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64
G09F 9/00
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンの無線通信インターフェイスを通じて送信された映像情報を受信する受信部を備え、左右目用の透明部を使用者が装着した状態で視界を確保できる位置に配置してなり、且つ、前記透明部の左右目が対向する位置には、前記映像情報を表示する表示部となるハーフミラーが配置されているシールド付ウェアラブルコンピュータであって、
前記透明部には、外光を遮蔽する遮光シールドが設けてなり、
前記遮光シールドは、前記表示部の背面側には外光が前記ハーフミラーに入射することを防止する第1の位置と、前記ハーフミラーから透過して外部を視認することを邪魔しない第2の位置に操作可能な操作部を備え、
且つ、前記遮光シールドの大きさがハーフミラーの表示面の外郭を覆う大きさに設定され
、
前記遮光シールドの一端には、弾性を有する断面コ字状の挿入受部を設けてなり、前記透明部の厚み部分に前記挿入受部を嵌入して着脱自在、且つ、前記第1の位置と前記第2の位置に移動自在に構成してなることを特徴とするシールド付ウェアラブルコンピュータ。
【請求項2】
農作物に対して作業指導を行う場合であって、室外においてウェアラブルコンピュータ使用者の手先を使用者自らが視認しつつ、遠隔にて指導するための映像を表示部に表示させて同時視認させて作業を続行するシールド付ウェアラブルコンピュータであって、
外部からの農作物の作業指導を行うための映像を受信する受信部を備え、左右目用の透明部を使用者が装着した状態で視界を確保できる位置に配置してなり、且つ、前記透明部の左右目が対向する位置には、前記指導するための映像を表示する表示部となるハーフミラーが配置され、
前記透明部には、外光を遮蔽する遮光シールドが設けてなり、
前記遮光シールドは、前記表示部の背面側には外光が前記ハーフミラーに入射することを防止する第1の位置と、前記ハーフミラーから透過して外部を視認することを邪魔しない第2の位置に操作可能な操作部を備え、
且つ、前記遮光シールドの大きさがハーフミラーの表示面の外郭を覆う大きさに設定され
、
前記遮光シールドの一端には、弾性を有する断面コ字状の挿入受部を設けてなり、前記透明部の厚み部分に前記挿入受部を嵌入して着脱自在、且つ、前記第1の位置と前記第2の位置に移動自在に構成してなることを特徴とするシールド付ウェアラブルコンピュータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシールド付ウェアラブルコンピュータであって、前記遮光シールドは、光の一部を透過する材料で形成されていることを特徴とするシールド付ウェアラブルコンピュータ。
【請求項4】
請求項3に記載のシールド付ウェアラブルコンピュータであって、前記遮光シールドは、前記透明部及び前記ハーフミラーを合わせた場合の可視光透過率より低い可視光透過率を有することを特徴とするシールド付ウェアラブルコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室外で利用される日光のシールド付ウェアラブルコンピュータに関する。
【0002】
特に、晴天の室外にて、無人飛行機(以下、ドローンという)をコントロールする場合に、ドローンから送信されるカメラ映像を表示しつつ、前方を視認可能な眼鏡形状のシールド付ウェアラブルコンピュータとウェアラブルコンピュータに用いられるシールドに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、カメラを備えたドローンの出現によって、人間が危険な場所や高所に上るなどしなくても、ドローンを遠隔操作して、ドローンが備えたカメラで撮影し、その撮影映像をブルートゥース(登録商標)などの近距離通信などの通信手段を用いてパーソナルコンピュータやタブレット端末に表示することができるようになってきた。このような遠隔地からコントロールするドローンのカメラで撮影した映像を手元の表示手段で表示して確認できるようになったことで、交通が遮断されているような災害地での状況の早急な確認や、広いエリアに植えられている農作物の状況確認が行えたりするなど、その使用用途が広がりつつある。
【0004】
(ウェアラブルコンピュータ)
より具体的には、特許文献1の
図1及び
図2にあるように、ウェアラブルコンピュータの構成とハード構成は、以下のようになっている。以下に説明するウェアラブルコンピュータは、非特許文献1にあるように既に市場に投入されている。その使用範囲が拡大しつつある。
【0005】
ウェアラブルコンピュータは、主として、制御装置と表示装置とを備えている。前記表示装置は、眼鏡型の装置であり、使用者の鼻と耳を支点にして使用者の眼前に配置されて利用される。前記表示装置は全体が透過性の透明樹脂などの透過性素材で構成されており、使用者が装着した状態において左目の眼前に位置する導光部と右目の眼前に位置する導光部とを具備している。前記導光部は可視光を透過する樹脂で形成されており、後述するハーフミラーからなる表示部を具備している。そして、使用者は、使用者から見て表示装置よりも外側に広がる視野から導光部や表示部を介して入力する可視光によって視野内の風景を視認することができる。しかしながら、前記表示装置における前記表示部から視認できる視野内の風景は、前記導光部を透過して視認する風景より不鮮明な視認となる。
【0006】
その理由の一つは、前記表示部が、使用者の左目、右目において正面を見た場合の視線方向に対して傾斜するように配置されているハーフミラーであることである。ハーフミラーであるから、100%近くの透過性が無いため、前記表示装置の他の部分よりも鮮明さが低下する。
【0007】
特許文献1の
図2において破線の矢印で示すように、視野からの可視光が表示部を透過して左目、右目に到達する。また、一点鎖線の矢印で示すように、左目画像投影部、右目画像投影部が出力する可視光が表示部で反射されて左目、右目に到達する。従って、表示部は、使用者の視野から入力する光を透過するとともに画像を表示可能なスクリーンである。当該表示部により、使用者は、表示装置の外部(視野)からの可視光、及び左目画像投影部(上記ハーフミラーで構成される表示部)、右目画像投影部(上記ハーフミラーで構成される表示部)が出力する可視光が重畳されて形成された像と、視野内で表示装置が配置されていない部分の導光部からの可視光による風景の映像とで形成された像を同時に視認することができる。
【0008】
制御装置は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部と記録媒体とインターフェイスと入力手段としてのボタンとディスプレイとを備えており、制御部は、ROMや記録媒体等に記録されたプログラムを実行することができる。
【0009】
ボタンは、直方体の制御装置の表面に押し込み可能に設けられ、制御部は当該ボタンに対する押し込み操作が行われたことを検出することができる。使用者は当該ボタンに対して押し込み操作を行うことで、所定の機能の実行開始指示や所定の機能の中断指示など、各種の指示や選択等の操作を行うことができる。
【0010】
ディスプレイは、任意の画像を表示するディスプレイと、当該ディスプレイ上における任意の複数の位置に対するタッチを検出するセンサーとを備えた装置である。制御部は、当該ディスプレイに対して制御信号を出力することでディスプレイに任意の画像を表示させることができる。また、制御部は、ディスプレイからの出力信号に基づいて、使用者がディスプレイに触れることによる指示等を取得することができる。インターフェイスには表示装置から延びる配線が接続される。
【0011】
そして、前記制御部は、ROMや記録媒体等に記録された各種のプログラムを実行することが可能である。本実施形態においては、これらのプログラムとして、オペレーティングシステムプログラムや動画の再生プログラム等の各種アプリケーションプログラム、センサー出力をコマンドに割り当てるコマンド割当プログラムが含まれている。制御部は、これらのオペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムの処理により、各種の機能を実行することができる。例えば、オペレーティングシステムプログラムにより、前記制御部は、上述のボタンに対する操作や各ボタンによる操作の受付を行うことが可能である。本実施形態においては、制御部がオペレーティングシステムプログラムを実行することにより、使用者はボタンを操作して制御装置および表示装置における機能の一部を停止させるスリープやスリープ状態からの復帰等を実行することができる。
【0012】
また、アプリケーションプログラムにより前記制御部は、各種の機能を実行することができる。例えば、前記ドローンのカメラで撮影された映像を用いて、映像再生手段としての制御部が、フレーム毎の左目用の画像と右目用の画像を生成し、生成された画像を順次インターフェイスを介して左目画像投影部、右目画像投影部に出力する。この結果、表示装置の表示部を介してフレーム毎の画像が表示される。使用者は、視野内のオブジェクトとともに再生された動画を視認することができる。
【0013】
ドローンの操作の法的な規制では、使用者(ドローンの操縦者)の視界が十分にとれていることが要件となっているから、上述したウェアラブルコンピュータは、その法的な規制の要件を満たすことになる。
【0014】
(ドローン)
近年開発されているドローンは、無操作状態においては、静止してホバーリングする姿勢制御手段を具備しているので、ウェアラブルコンピュータの使用者であるドローンの操縦者が操作を放棄した状態であってもドローンが墜落するなどの恐れはない。むしろ、静止状態を保持するので、使用者がドローンを見失うような恐れも低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【非特許文献】
【0016】
【文献】http://www.epson.jp/products/wearable/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
日光などの外光の影響で透過部内のスクリーン(ハーフミラー)の表示映像の視認性が低下するにも関わらず、使用者主導で視界を決定できない環境(例えば、操作中のドローン又は作物を触る手元を、ウェアラブルコンピュータの前記導光部を通じて視認しつつスクリーン上の映像を確認しつつ作業するような場合)にある場合、操作や作業を中断するか、位置を移動して操作や作業を再開する必要があった。
【0018】
室外での農作業の場合には、日除けのつばの大きい麦わら帽子で外光の入射を防止したりすることも可能である。しかし、ドローンの操作の場合には、帽子のつばで視界が狭くなって導光部を通じてドローンを直視できなくなってしまい、肉眼でのドローンの位置を見失うといった問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、ドローンの無線通信インターフェイスを通じて送信された映像情報を受信する受信部を備え、左右目用の透明部を使用者が装着した状態で視界を確保できる位置に配置してなり、且つ、前記透明部の左右目が対向する位置には、前記映像情報を表示する表示部となるハーフミラーが配置されているシールド付ウェアラブルコンピュータであって、前記透明部には、外光を遮蔽する遮光シールドが設けてなり、前記遮光シールドは、前記表示部の背面側には外光が前記ハーフミラーに入射することを防止する第1の位置と、前記ハーフミラーから透過して外部を視認することを邪魔しない第2の位置に操作可能な操作部を備え、且つ、前記遮光シールドの大きさがハーフミラーの表示面の外郭を覆う大きさに設定され、前記遮光シールドの一端には、弾性を有する断面コ字状の挿入受部を設けてなり、前記透明部の厚み部分に前記挿入受部を嵌入して着脱自在、且つ、前記第1の位置と前記第2の位置に移動自在に構成してなることを特徴とする。
【0020】
目視にて前記透明部を通じてドローンを目視で確認しつつ、ドローンから送信される映像を前記ハーフミラーを介して視認する場合、ドローンの位置によっては、日光が透明部やハーフミラーを介して目に入ることがあるが、このような問題を解消することできる。すなわち、日光がウェアラブルコンピュータの透明部から入射しハーフミラーである表示部の背面側に入射した場合、前記表示部の表示面に表示される映像がぼやけたり、映像を視認し難くなる問題が生じやすい。このような問題を、遮光シールドを第1の位置に適宜移動させることで低減することができる。このような問題は、目視でドローンを追いかける際に、太陽と表示部との位置関係から発生する。目視でドローンを見失うと電線などの障害物に衝突するような恐れもあるため、目視によって実際のドローンの位置を確認することは操作のために必要である。本発明によれば、このような状況下であっても、ドローンから受信する映像をより鮮明に視認することが可能となる。
【0021】
また、遮光シールドの大きさが、ドローンから受信する映像の表示面の外郭を覆う大きさに設定されているので、表示映像の全体が明確に見える。このため、直接目視によって得られた像と、表示映像との境界を把握することが容易となる。
【0022】
さらに、第2の発明としては、農作物に対して作業指導を行う場合であって、室外においてウェアラブルコンピュータ使用者の手先を使用者自らが視認しつつ、遠隔にて指導するための映像を表示部に表示させて同時視認させて作業を続行するシールド付ウェアラブルコンピュータであって、
外部からの農作物の作業指導を行うための映像を受信する受信部を備え、左右目用の透明部を使用者が装着した状態で視界を確保できる位置に配置してなり、且つ、前記透明部の左右目が対向する位置には、前記指導するための映像を表示する表示部となるハーフミラーが配置され、
前記透明部には、外光を遮蔽する遮光シールドが設けてなり、
前記遮光シールドは、前記表示部の背面側には外光が前記ハーフミラーに入射することを防止する第1の位置と、前記ハーフミラーから透過して外部を視認することを邪魔しない第2の位置に操作可能な操作部を備え、
且つ、前記遮光シールドの大きさがハーフミラーの表示面の外郭を覆う大きさに設定され、
前記遮光シールドの一端には、弾性を有する断面コ字状の挿入受部を設けてなり、前記透明部の厚み部分に前記挿入受部を嵌入して着脱自在、且つ、前記第1の位置と前記第2の位置に移動自在に構成してなることを特徴とする。
【0023】
例えば、実際に農作業を行う作業者がウェアラブルコンピュータを装着する。この場合、作業者は、左右目用の透明部を介して、摘果すべき果実や選定すべき枝葉といった実際の作業の対象物を視認するとともに、表示部で表示された映像を視認することができる。表示される映像は、例えば、農作業内容を指示する映像である。状況の一例として、リアルタイム遠隔農作業指導がある。例えば、農作物の映像が、作業者に装着されたウェアラブルコンピュータを介して撮影され、この映像が、遠隔地にある装置で受信・表示される。遠隔地にいる指導者が、表示された映像に対しマーク等を付与すると、マーク付きの映像が作業者のウェアラブルコンピュータに送信される。
目視にて前記透明部を通じて農作物を目視で確認しつつ、遠隔地から送信される指示の映像を、前記ハーフミラーを介して視認する場合、視認している農作物の位置によっては、日光が透明部やハーフミラーを介して目に入ることがあるが、このような問題を解消することできる。すなわち、日光がウェアラブルコンピュータの透明部から入射し、ハーフミラーの表示部の背面側に入射した場合、前記表示部の表示面に表示される映像がぼやける、視認難くなる現象を、第1の位置に遮光シールドを適宜移動させることで低減することができる。このような問題は、目視で農作業の対象を順次見る際に、太陽と表示部との位置関係から発生する。作業中は、直接に目視にて農作物の位置を確認することが必要になるが、このような状況下であっても、遠隔装置から受信する指導の映像をより鮮明に視認することが可能となる。
【0024】
加えて、第3の発明としては、遮光シールドが、光の一部を透過する材料で形成されていることを特徴とする。
【0025】
遮光シールドが光の一部を透過する材料で形成されていることによって、例えばドローンや農作業対象物といった対象物を使用者が目で追って頭の向きを変えた場合、日光が直接視野に入っても、眩しさを抑えつつ対象物の位置及び表示部の画像の双方を把握することができる。
【0026】
加えて、第4の発明としては、遮光シールドが、前記透明部及び前記ハーフミラーを合わせた場合の可視光透過率より低い可視光透過率を有することを特徴とする。
【0027】
これにより、遮光シールドが操作され、ハーフミラーから透過して外部を視認することを邪魔しない第2の位置に遮光シールドが位置した場合に、第2の位置を通る視野に入った日光による眩しさを抑えることができる。従って、表示部に表示される情報の視認性が高まる。
【0029】
弾性を有する断面コ字状の挿入受部を遮光シールドの一端に設けて、前記透明部の厚み部分に前記挿入受部を嵌入して着脱自在、且つ、前記第1の位置と第2の位置に移動自在に構成してなるので、必要な時に遮光シールドをハーフミラーへの日光の照射される位置に移動させて、表示部の表示映像を見やすくすることができる。
【0030】
そして、前記遮光シールドには、手で把持して前記遮光シールドを操作移動するための操作部を設けることが好ましい。この場合、ドローンの操作装置から手を放すか操作しない状態となるので、ドローンは操作しない状態になった場合には、そのホバーリング状態を保持する姿勢制御装置が備えられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、目視にて前記透明部を通じてドローンや農作物等の実物の対象を確認しつつ、ドローン等の遠隔地から送信される映像を、前記ハーフミラーを介して視認する場合、視認している実物の位置によっては、日光が透明部やハーフミラーを介して目に入ることがあるが、このような問題を解消することできる。すなわち、日光がウェアラブルコンピュータの透明部から入射し、ハーフミラーである表示部の背面側に入射した場合、前記表示部の表示面に表示される映像がぼやけたり視認難くなる現象を、遮光シールドを第1の位置に適宜移動させることで低減することができる。このような問題は、目視でドローンを追いかける際の、ドローンと太陽と表示部の位置の関係によって発生する。目視にてドローンの位置を見失うと、電線などの障害物に衝突するような恐れもあるので、直接に目視にてドローンの位置を確認することが必要になる。本発明によれば、このような状況下であっても、ドローンから受信する映像をより鮮明に視認することが可能となる。
【0032】
また、ドローンから目が離すことが出来ない状態と同様に、ミカンの木などの農作物に対する作業について、遠隔地から作業指導が行われる場合であって、ウェアラブルコンピュータ使用者の手先を使用者が自ら視認しつつ、指導を受けるための映像を前記表示部に表示させ同時視認させて作業を続行する必要のある場合に、本発明は有用である。本発明によれば、例えば、日光が入らないように動く自由度が制約された状況でも、受信した指導映像を鮮明に視認させつつ、手元にある実際の農作物の像と合成して視認させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】シールド付ウェアラブルコンピュータの概略を示す斜視図である。
【
図2】(A)は遮光シールドの詳細な形状を示す斜視図であり、(B)は側面図である。(C)は、(A)の詳細な形状に関するシールド付ウェアラブルコンピュータの説明図である。
【
図3】遮光シールドを移動させた4タイプを示している。(A)は、遮光シールドの双方を、対応するハーフミラーよりも左右方向中心寄り即ち内側の第2の位置に配置した形態、(B)は、遮光シールドの双方を第1の位置に配置した形態、(C)は、遮光シールドの双方を、対応するハーフミラーよりも外側の第2の位置に配置した形態、(D)は、遮光シールドの一方を外側の第2の位置に配置し他方の遮光シールドを第1の位置に配置した形態を示している。
【
図4】シールド付ウェアラブルコンピュータの遮光シールドの変形例を示す図である。
【
図5】
図4に示す遮光シールド装置の変形例を示す模式図である。(A)は、前述した遮光シールド装置と同様に、把持部をスライド操作すると遮光シールドが同一方向に移動する形態を示し、(B)は遮光シールドが互いに近づくよう互いに異なる方向に移動する形態を示し、(C)は遮光シールドが互いに離れるよう互いに異なる方向に移動する形態を示している。
【
図6】ウェアラブルコンピュータ全体の基本構成を示す使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の一実施例を以下に説明する。ここでウェアラブルコンピュータの構造や、無操作時にドローンが静止状態を保持する静止状態保持手段を備えたドローンシステム(ドローン操作部と、そのドローン操作部と一対で操作されるドローンとからなるシステム)に関しては、背景技術に記載した技術内容、及び、公知の装置を用いたものであるので、敢えて、ここでの詳細な説明は省略する。本発明の課題である、肉眼で視認状態を保持しておく必要があるために姿勢を変更したくない状態で、左右の目用のハーフミラー5、5(表示部)を介して表示される外部からのカメラ映像の視認性を確保するという状況として、一つは、カメラ映像がドローンから送信される映像情報を表示部に表示する構成が上げられる。もう一つは、ミカンの木などの農作物の作業について作業者に遠隔地から作業指導を行う場合であって、作業者であるウェアラブルコンピュータ使用者の手先を使用者自らが視認しつつ、遠隔地からの指導のための映像を前記表示部に表示させて同時視認して作業を続行する必要のあるような状況がある。この場合にも、作業によっては、外光が入らないように使用者が動くための自由度が制約された状況がある。
【0035】
図1は、シールド付ウェアラブルコンピュータ1の概略を示す斜視図である。このシールド付ウェアラブルコンピュータ1は、
図1において図示しないドローンの無線通信インターフェイスを通じて送信された映像情報を受信する受信部J(
図6参照)を備えている。シールド付ウェアラブルコンピュータ1は、制御装置C(
図6参照)及び表示装置D’を備えている。受信部Jは、制御装置Cに設けられている。
図1には、シールド付ウェアラブルコンピュータ1のうち、表示装置D’の部分の構造が模式的に示されている。制御装置Cについては、後述する。なお、本発明のシールド付ウェアラブルコンピュータは、図に示す形態に限られず、例えば、受信部が表示装置に設けられていてもよい。また、制御装置全体が表示装置に一体に設けられていてもよい。
【0036】
シールド付ウェアラブルコンピュータ1の表示装置D’は、左右一対の透明部が並設してなる樹脂製の眼鏡レンズ部2、2と、眼鏡レンズ部2、2の両側から伸長した一対の耳掛けフレーム3、3と、耳掛けフレーム3、3と眼鏡レンズ部2、2の接続部位に設けたヒンジ部4とを有する。耳掛けフレーム3、3は、眼鏡レンズ部2、2にヒンジ部4によって回動自在に支承装着されている。
【0037】
シールド付ウェアラブルコンピュータ1の表示装置D’は、前記耳掛けフレーム3によりドローンの操縦者の耳に掛けた状態(装着状態)で、左右目用の前記一対の透明部を通じて使用者が視界を確保できる位置に配置される。また、前記透明部の左右目が対向する位置には、前記映像情報を表示する表示装置D’を装着時に両目が位置する側の面に形成するハーフミラー5、5が夫々配置(封止されている)されている。使用者は、透明部である眼鏡レンズ部2、2を介し手見える外の風景と、ハーフミラー5、5に表示されるドローンから受信した映像情報を重層した状態で視認可能となる。ハーフミラー5、5は、
図1においては、眼鏡レンズ部2、2と平行に封止しているように図示したが、実際には、ヒンジ部4側から導光される映像を左右目の方向に反射するために、上方視45度の角度に設定されている。より詳細には、ヒンジ部4付近には図示しない映像投影部が設けられている。受信部J(
図6参照)から送られた映像情報に基づく光が、映像投影部からハーフミラー5に向かって出力され、ハーフミラー5で反射された光が映像として操縦者に認識される。
【0038】
眼鏡レンズ部2、2の前方には、外光を遮蔽する樹脂製のフィルムからなる遮光シールド10,10が設けられている。遮光シールド10,10は、映像情報を表示する表示部であるハーフミラー5、5の背面側に配置可能に設けられている。なお、本明細書における前後及び左右は、シールド付ウェアラブルコンピュータ1の表示装置D’を装着した者から見た前後及び左右である。また、表示部の背面とは、表示装置D’を装着した者の前後において前方の面である。即ち、表示部の背面側とは、装着した者とは反対の側である。
この遮光シールド10,10には、使用者が左右方向に操作するための把持部10A,10Aを設けてなる。表示部5、5(ハーフミラー5、5)は、使用者がこの把持部10A、10A左右にスライドさせることにより、第1の位置と、第2の位置に操作可能となっている。第1の位置は、前記表示部5、5(ハーフミラー5、5)の背面側の位置である。第1の位置にある遮光シールド10,10は、外光が前記ハーフミラー5、5に入射することを防止する。第2の位置は、遮光シールド10,10が、前記ハーフミラー5,5から透過して外部を視認することを邪魔しない位置である。なお、後述するように、遮光シールド10,10は、光を完全に防止するのではなく、光の一部の通過を防止する。但し、遮光シールド10,10は、光を完全に防止する材料で形成することも可能である。
【0039】
図1において、左目に対応する遮光シールド10は、ハーフミラー5を透過して外部を視認することを邪魔しない第2の位置に配置されている。また、右目に対応する遮光シールド10は、第1の位置と第2の位置の中間に配置されている。右目に対応する遮光シールド10は、第1の位置から第2の位置に移動する途中の状態にある。本実施形態の例における2つの遮光シールド10は、左右独立に位置を設定することができる。
本実施形態の遮光シールド10,10は、光の一部を透過する材料で形成されている。遮光シールド10,10は、例えば透光性のグレーの樹脂材料で形成されている。従って、遮光シールド10,10は、第1の位置にある場合でも外光がハーフミラー5,5に入射することを完全に防止するのではなく、外光の一部がハーフミラー5,5に入射する。従って、例えば、操縦者が飛行中のドローンを追って動き、ハーフミラー5,5の視野に太陽が入るような場合でも、ハーフミラー5,5を介した映像が視認されると共に、太陽の位置が視認可能となる。また、ハーフミラー5,5の視野に太陽とドローンが入るような場合でも、ハーフミラー5,5を介した映像が視認されると共に、太陽の位置及びドローンの影の位置が視認可能となる。
即ち、遮光シールド10の可視光透過率は、視野に太陽が入るような場合でも遮光シールド10、眼鏡レンズ部2、ハーフミラー5を通して太陽の位置が視認でき、しかも、ハーフミラー5を介して表示映像が視認できる程度である。また、本実施形態の遮光シールド10は、眼鏡レンズ部2及びハーフミラー5を合わせた場合の可視光透過率より低い可視光透過率を有する。遮光シールド10がハーフミラー5からはずれた第2の位置にある場合に、遮光シールド10によって、第2の位置を通る視野に入った日光による眩しさを抑えることができる。例えば、ハーフミラー5,5からずれた位置に太陽が見える場合に、眩しさを抑え、ハーフミラー5を介して表示映像が視認できる。例えば、遮光シールド10は、ISO/DIS8980-3に規定されるレンズの視感透過率に応じたカテゴリーにおける、カテゴリー1以上に該当する透過率を有する。遮光シールド10は、視野に太陽が入るような場合の高い視認性の観点からは、カテゴリー4に該当する透過率を有することが好ましい。
【0040】
図2(A)は、遮光シールド10の詳細な形状を示す斜視図であり、
図2(B)は側面図である。
図2(C)は、
図2(A)の詳細な形状に関するシールド付ウェアラブルコンピュータ1の説明図である。
更に、遮光シールド10について詳述すると、遮光シールド10の一端には、弾性を有する断面コ字状の挿入受部11を設けてなる。挿入受部11は、
図1に示す透明部である眼鏡レンズ部2、2を受け入れる。
図1に示す眼鏡レンズ部2の厚み部分Xに前記挿入受部11を引っ掛けるようにして、眼鏡レンズ部2を挿入受部11に嵌入する。
図1の表示装置D’は、遮光シールド10を眼鏡レンズ部2に対して着脱自在、且つ、前記第1の位置と第2の位置に移動自在に構成してなる。
なお、
図2(C)に示すように、シールド付ウェアラブルコンピュータ1の表示装置Dは、遮光シールド10、10の脱落防止のためのカバー22を備えていてもよい。カバー22は光を透過する材料からなる板状の部材である。カバー22は眼鏡レンズ部2との間に遮光シールド10、10を挟むように配置される。カバー22は、眼鏡レンズ部2に固定されているが、カバー22と眼鏡レンズ部2との間には、遮光シールド10、10が移動するための隙間が設けられている。
図1に示すように遮光シールド10、10の大きさは、ハーフミラー5,5の表示面の外郭を覆う大きさに設定されている。すなわち、遮光シールド10の幅寸法Hは、ハーフミラーの幅hより大であり、且つ、遮光シールド10の高さは、ハーフミラーの幅rより大に構成している。ハーフミラー5の高さは、眼鏡レンズ部2の幅Rよりも大である。
【0041】
ドローンの操縦者は、通常、操縦者と太陽を結ぶ直線上付近でドローンを飛行させる場合に、遮光シールド10、10を、第1の位置に配置させる。これによって、操縦者は、日光の眩しさを抑えながらハーフミラー5を介して表示された映像を視認することができる。また、操縦者は、視野の中で太陽の近くを飛行中のドローンの影の位置を視認することができる。従って、太陽の近くを飛行中のドローンから目を離すことなく表示された映像を視認しながら操縦を継続することができる。
【0042】
これに対し、操縦者と太陽を結ぶ直線上から離れた位置でドローンを飛行させる場合に、ドローンの操縦者は、通常、2つの遮光シールド10、10を第2の位置に配置させる。遮光シールド10、10のそれぞれについて、第2の位置は第1の位置の左右両側に設けられている。ドローンが視野の中心にあり、太陽が視野に入る場合、遮光シールド10、10の位置は、中心に対する左右のうちの太陽のある側に移動される。例えば、太陽が右に見える場合、遮光シールド10、10は、通常、第1の位置よりも右の第2の位置へ移動される。また、太陽が左に見える場合、遮光シールド10、10は、通常、第1の位置よりも左の第2の位置へ移動される。これによって、日光の眩しさを抑えながらハーフミラー5を介して表示された映像を視認することができる。また、遮光シールド10、10が第2の位置で日光の光を抑える場合、遮光シールド10、10がない位置でドローンを視認するので、ドローンの位置及びドローンの詳細な状態を視認しながら操縦を継続することができる。
【0043】
ただし、2つの遮光シールド10、10の双方が左右の一方に移動する必要はない。2つの遮光シールド10、10のそれぞれの位置は、ドローンの飛行形態、そして、太陽等の位置に応じて設定可能である。例えば、2つの遮光シールド10、10のそれぞれの位置は、太陽光の反射物、例えば高層の建物や海・湖の存在に応じて設定可能である。
【0044】
図3の(A),(B),(C),(D)に示すのは、遮光シールド10、10を移動させた4タイプを示している。(A)は、遮光シールド10、10の双方を、対応するハーフミラー5,5よりも左右方向中心寄り即ち内側の第2の位置に配置した形態、(B)は、遮光シールド10、10の双方を第1の位置に配置した形態、(C)は、遮光シールド10、10の双方を、対応するハーフミラー5,5よりも外側の第2の位置に配置した形態、(D)は、遮光シールド10の一方を外側の第2の位置に配置し他方の遮光シールド10を第1の位置に配置した形態を示している。
なお、第1の位置及び第2の位置は、装着者である操縦者の個人差や、ハーフミラー5,5の調整位置、及び入射光を遮光可能な角度の影響で
図3に示す位置からずれる場合もある。
【0045】
図4は、シールド付ウェアラブルコンピュータの遮光シールド10、10の変形例を示す図である。遮光シールド10、10は、移動ベルトA1に固定されており、移動ベルトA1は一対の支承軸ピンA2に張設されている。支承軸ピンA2及び移動ベルトA1は、遮光シールド装置Aを構成している。支承軸ピンA2は、例えば、耳掛けフレーム3と眼鏡レンズ部2を接続するヒンジ部4(
図1参照)の付近に設けられる。移動ベルトA1に固定された遮光シールド10、10は、把持部10A、10Aの一方を左右にスライドさせることによって、他方の把持部10Aを操作することなく一挙に第1の位置と第2の位置の間で移動操作可能となっている。例えば、支承軸ピンA2は、耳掛けフレーム3と眼鏡レンズ部2を接続するヒンジ部4の回転軸の延長として構成されてもよい。前記支承軸ピンA2をヒンジ部4の回転軸と一体にすることによって、遮光シールド装置Aが、シールド付ウェアラブルコンピュータ1の表示装置D’と一体的に構成することが可能となる。
【0046】
図5は、
図4に示す遮光シールド装置Aの変形例を示す模式図である。
図5には、遮光シールド装置を上から見た構造が示されている。
図5(A)は、前述した遮光シールド装置Aと同様に、把持部10Aをスライド操作すると遮光シールド10、10が同一方向に移動する形態を示し、
図5(B)は遮光シールド10、10が互いに近づくよう互いに異なる方向に移動する形態を示し、
図5(C)は遮光シールド10、10が互いに離れるよう互いに異なる方向に移動する形態を示している。
【0047】
図6は、ウェアラブルコンピュータ全体の基本構成を示す使用状態説明図である。
図6に示すウェアラブルコンピュータ1’は、遮光シールドを備えていない。
図6は、ウェアラブルコンピュータとしての基本形態を説明するための図である。
図6に示すウェアラブルコンピュータ1’は、制御装置Cと表示装置Dとを備えている。表示装置Dは、
図1に模式的に示された表示装置Dに相当する。表示装置Dは、眼鏡型の装置であり、使用者の鼻と耳を支点にして使用者の眼前に配置されて利用される。前記表示装置Dは全体が光透過性の透明樹脂などの透過性素材で構成されており、使用者が装着した状態において左目の眼前に位置する導光部D2と右目の眼前に位置する導光部D2とを具備している。導光部D2,D2は、
図1に示す眼鏡レンズ部(透明部)2、2に相当する。
図6で示すウェアラブルコンピュータ1では、左右の導光部D2が一体に設けられている。前記導光部D2は可視光を透過する樹脂で形成されている。導光部D2は透明であってもよく、また、光の一部を遮る材料で形成されていてもよい。導光部D2には、ハーフミラーからなる表示部D1が設けられている。表示部D1は
図1に示すハーフミラー5に相当する。使用者は、導光部D2や表示部D1を介して入力する可視光によって視野内の風景を視認することができる。しかしながら、前記表示装置Dにおける前記表示部D1から視認できる視野内の風景は、前記導光部D2のみを直接に透過して視認する風景より不鮮明な視認となる。
その理由の一つは、前記表示部D1は、使用者の左目、右目において正面を見た場合の視線方向に対して傾斜するように配置されているハーフミラーであることである。ハーフミラーは、100%近くの透過性が無いため、前記表示装置Dの他の部分よりも鮮明さが低下する。
ウェアラブルコンピュータ1の外部の視野からの可視光が表示部D1,D1を透過して左目、右目に到達する。また、表示部D1,D1の目に対向する側の面に、左目画像投影部及び右目画像投影部のそれぞれから出力される可視光が反射されて左目、右目に到達する。従って、表示部D1は、使用者の視野から入力する光を透過するとともに画像を表示可能なスクリーンのように機能する。当該表示部D1により、使用者は、表示装置の外部(視野)からの可視光と、左目画像投影部、右目画像投影部が出力する可視光とが重畳されることによって形成される映像を視認することができる。またさらに、使用者は、視野内における表示部D1と重ならない導光部D2から見える風景の像を同時に視認することができる。
【0048】
制御装置Cは、図示しないCPU、RAM、ROM等を備える制御部と記録媒体とインターフェイスと入力手段としてのボタンEとディスプレイFとを備えており、制御部は、ROMや記録媒体等に記録されたプログラムを実行することができる。インターフェイスは、内部装置及び外部装置との通信を行う。ボタンEは、直方体の制御装置の表面に押し込み可能に設けられ、制御部は当該ボタンEに対する押し込み操作が行われたことを検出することができる。使用者は当該ボタンEに対して押し込み操作を行うことで、所定の機能の実行開始指示や所定の機能の中断指示など、各種の指示や選択等の操作を行うことができる。例えば、使用者はボタンEを操作することによって、表示部D1を介して映像を表示する。
制御装置Cは、映像情報を受信する受信部Jを備えている。受信部Jは、図示しないドローン又は遠隔装置の無線通信インターフェイスを通じて送信された映像情報を受信する。受信部Jは、受信した映像情報を、表示装置Dに送信する。表示装置Dは、受信部Jが受信した映像情報に基づいて、映像を表示する。
ディスプレイFは、任意の画像を表示する。ディスプレイFは、当該ディスプレイF上における任意の複数の位置に対するタッチを検出するセンサーを備えた装置である。制御部は、当該ディスプレイFに対して制御信号を出力することでディスプレイFに任意の画像を表示させることができる。また、制御部は、ディスプレイFからの出力信号に基づいて、使用者がディスプレイFに触れることによる指示等を取得することができる。インターフェイスには表示装置から延びる配線Gが接続される。
そして、前記制御部は、ROMや記録媒体等に記録された各種のプログラムを実行することが可能である。本実施形態においては、これらのプログラムとして、オペレーティングシステムプログラムや動画の再生プログラム等の各種アプリケーションプログラム、センサー出力をコマンドに割り当てるコマンド割当プログラムが含まれている。制御部は、これらのオペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムの処理により、各種の機能を実行することができる。例えば、オペレーティングシステムプログラムにより、前記制御部は、上述のボタンに対する操作や各ボタンによる操作の受付を行うことが可能である。
【0049】
また、アプリケーションプログラムにより前記制御部は、各種の機能を実行することができる。例えば、前記ドローンのカメラで撮影された映像を再生する手段としての制御部が、フレーム毎の左目用の画像と右目用の画像を生成し、生成された画像を順次インターフェイスを介しての左目画像投影部、右目画像投影部に出力する。この結果、表示装置Dの表示部D1においてはフレーム毎の画像が表示され、使用者は、視野内のオブジェクトとともに再生された動画を視認することができる。
なお、サングラスなどの眼鏡の分野では、透明なレンズの前に紫外線や日光を遮光する色付きレンズを跳ね上げ自在に構成したものも存在するが、第1に本実施例のようにフィルム状の遮光フィルムを遮光シールドとして用いたものでないので、軽量化が図れていないという問題や、本発明のようにハーフミラーの外形を多い、他の透明部は透光性を阻害しないようにできるものとなっていない。本発明の場合には、ハーフミラーの投影面以外で直接目視できる領域を確保していることに意味がある。作業頻度が多い仕事場では、提案のシート利用は、”軽量で、疲れない”効果が得られる。
【0050】
以上、ドローンの操作についてしたが、本実施形態のウェアラブルコンピュータ1は、農作物の作業に対して遠隔地から作業指導を行う状況にも適用可能である。ウェアラブルコンピュータ1の受信部Jは、外部からの農作物の作業に対し作業指導を行うための映像の情報を受信する。作業指導のための映像が
図1に示すハーフミラー5(表示部)を介して表示される。
【0051】
ウェアラブルコンピュータ1の使用者は、作業指導のための映像と、実際の作業対象の農作物とを同時に視認する。この場合、上述したドローンに関する説明の「ドローン」が「実際の農作物」に置き換えられ、「ドローンからの映像」が「遠隔地から送信された作業指導のための映像」に置き換えられる。果樹の摘果や剪定の際に、太陽が視界に入る場合でも、指導のための映像が視認可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、シールド付ウェアラブルコンピュータ及びウェアラブルコンピュータに用いられるシールドに関しており、例えば、ウェアラブルコンピュータでドローンからの映像を得つつ操作するので、直接的に目視しつつドローン映像を視認することから生じる制約を解消するために有用である。
また、農業分野(緊急性を要しないケース)でも、特定の方向から作業の必要のある農作物への作業を遠隔指導するような場合にも、作業中は一移動できないことから、本発明は有用になる。
【0053】
農業以外に例えば工業分野が想定できる。屋外工事現場などでも、上述した効果と同じ効果が得られる可能性がある。直接肉眼で視認する必要があり、且つ、映像を重層して視認する必要がある場合であり、且つ、日光の下で作業が必要となる場合には、本発明は有用である。
【0054】
すなわち、ウェアブルコンピュータの構造は、メーカー各社に応じて違いを有するが”、外部光の遮断を行うことが必要な共通課題を有する作業に対しては、本発明を利用することよって、屋外作業を効率良く出来る。
【符号の説明】
【0055】
1はシールド付ウェアラブルコンピュータ、10は遮光シールドである。