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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】犠牲陽極を使用する腐食防止
(51)【国際特許分類】
   C23F 13/08 20060101AFI20220111BHJP
   C23F 13/02 20060101ALI20220111BHJP
   C23F 13/20 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C23F13/08
C23F13/02 A
C23F13/02 B
C23F13/20 Z
C23F13/02 L
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019168770
(22)【出願日】2019-09-17
(62)【分割の表示】P 2017244445の分割
【原出願日】2013-07-18
(65)【公開番号】P2020015984
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2019-10-01
(31)【優先権主張番号】13/553,514
(32)【優先日】2012-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/553,498
(32)【優先日】2012-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/553,489
(32)【優先日】2012-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515015919
【氏名又は名称】ベクター コロージョン テクノロジーズ エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】サージ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】セネヴィラトニ,アッタナヤケ,ムディヤンセラゲ,ガミニ
(72)【発明者】
【氏名】ウィットモアー,デイビッド
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-090317(JP,U)
【文献】特開昭62-054090(JP,A)
【文献】特開昭62-116790(JP,A)
【文献】特開平02-200787(JP,A)
【文献】特開2011-127157(JP,A)
【文献】特開昭50-143739(JP,A)
【文献】特表2007-534847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23F 13/00-13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン導電性のコンクリート又はモルタル材料の中の金属部分を陰極保護するための陽極装置であって、該陽極装置は:
金属部分ほど貴なものでない材料からなる犠牲陽極
印加電流陽極
直流電源と;
を含み、
前記犠牲陽極、前記印加電流陽極および前記直流電源を含む前記陽極装置は、組立ユニットとして提供され、
前記犠牲陽極及び前記印加電流陽極は、前記陽極装置の構成要素を含み、ここで、前記陽極装置の構成要素がイオン導電性のコンクリート又はモルタル材料と接触して位置付けられ、および、前記犠牲陽極及び前記印加電流陽極の各々は、お互いにイオン導電性伝達下にあり;さらに、前記犠牲陽極及び前記印加電流陽極の各々は、金属部分とイオン導電性伝達下にあり;
前記印加電流陽極及び前記犠牲陽極は、その間の電気伝達を防ぐために電気的に分離され、
前記陽極装置はさらに、
前記犠牲陽極への電気的接続部であって、リード、コネクタ、ワイヤからなる群から選択される1種以上である電気的接続部と;
前記印加電流陽極への電気的接続部であって、リード、コネクタ、ワイヤからなる群から選択される1種以上である電気的接続部と;
を含み、
前記陽極装置はイオン導電性フィラー材のカプセル化構成要素に囲まれ、
前記イオン導電性フィラー材は、前記犠牲陽極から腐食生成物を吸収する多孔性又は変形可能な材料であり、
前記イオン導電性フィラー材は、前記犠牲陽極の継続的な腐食を確実にするために、少なくとも1つの活性体を包含する、
ことを特徴とする、陽極装置。
【請求項2】
前記直流電源は光電池又はバッテリーを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の陽極装置。
【請求項3】
前記印加電流陽極は、イオン電流が前記印加電流陽極を通過することを可能にするように穿孔された孔を有する、ことを特徴とする請求項1または2の何れかに記載の陽極装置。
【請求項4】
前記印加電流陽極は、前記犠牲陽極の少なくとも一部を囲む、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の陽極装置。
【請求項5】
前記イオン導電性フィラー材は、前記犠牲陽極の腐食が発生し、及び、前記犠牲陽極上の不動態膜形成が回避されるほど十分に高いpHを備える、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の陽極装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犠牲材料を使用する腐食防止に関する。
【背景技術】
【0002】
ENSER Corporationに譲渡され、且つ2002年2月12日に発行された米国特許第6,346,188号(Shuster)は、水位で杭を囲むジャケット内に陽極が位置し、且つ、印加電流をジャケットの陽極と杭の鋼の間に提供するために水位の上にある杭にバッテリーが取り付けられる、海洋杭(marine pile)の腐食防止のための方法を開示する。陽極は好ましくは、チタン、又は雄大な規模で高い他の非腐食性材料から作られる。しかし、前記特許は、亜鉛などの他の材料が使用され得るが、それらは腐食する傾向があるため、不都合なものでもあると、言及している。その目的は、バッテリーが長寿命を有し、且つ効果的に維持され、その結果、海洋環境中の塩水が特に腐食性であることを念頭に入れた海洋杭の寿命の間、印加電流が適所に残るということである。
【0003】
そのような印加電流システムは、適切なソースから陽極と鋼の間の印加電流に必要な直流電圧へと交流電圧を整流する、一般的な整流器を含む、他のタイプの電源を使用することができる。それはまた、この種のシステムで使用される電池を充電するためのソーラーパネルを設けるとも知られている。
【0004】
全ての場合に、そのような印加電流システムは、電源が、保護される構造内にある鋼の予期しない且つ受け入れがたい腐食に繋がることはないことを確認するために、規則的な維持及び電源の状態の確認を必要とする。そのような維持が実行され、故に電源が確認され得る一方で、これは比較的高価なプロセスである。
【0005】
腐食防止を提供するために電流が生成されることを確認するほど十分に電気陰性である陽極に、適切な材料を選択することにより、鋼と陽極の間に電圧が提供されるため、代替的に、任意の電源の必要性を回避するガルバニックシステムが、使用され得る。これらシステムは、相当な結果を得ており、広く使用されている。
【0006】
鉄筋コンクリート中で使用されるような通常の流電陽極には、2つの主な制限が存在する。1つ目は、必要な電流出力に依存して、陽極の有効寿命を制限する陽極ごとの亜鉛の質量に関係する。2つ目は、鋼の腐食を止めるのに十分であり得る、又は十分でない、陽極の実電流出力である。電流出力は、根本的に固定された特性であり、且つ露出条件、陽極の材令(age)、及び経時的な腐食生成物の積み重ねによって異なる、駆動電圧によって制限される。
【発明の概要】
【0007】
本発明の1つの目的は、腐食防止のための改善された方法を提供することである。
【0008】
本発明の1つの態様に従い、イオン導電性被覆材料中の金属部分の腐食防止における使用方法が提供され、該方法は:
イオン導電性材料とのイオン接触状態で犠牲材料の犠牲陽極を位置付ける工程;
犠牲材料のイオンが犠牲陽極から生成され、故に犠牲陽極が腐食するにつれて犠牲陽極を消耗させるように、金属部分に対して優先的に犠牲陽極を腐食させる工程;
及び、犠牲陽極材料のイオンで犠牲陽極を再充電する工程、を含む。
【0009】
好ましくは、犠牲陽極は、イオン導電性材料とのイオン接触状態で印加電流陽極を位置付けることにより、且つ、犠牲陽極イオンを犠牲陽極に堆積させるための材料にイオン電流を流すために直流電源の第1端子を印加電圧陽極に接続することにより、再充電される。
【0010】
好ましくは、犠牲陽極イオンは、イオン導電性材料に存在する。
【0011】
好ましくは、再充電は、水酸化物イオンを犠牲陽極の表面で生成する。
【0012】
好ましくは、再充電は、アルカリ環境を犠牲陽極の近くで再生成する。
【0013】
好ましくは、第1工程において、犠牲陽極の腐食生成物の組成を結果としてもたらす犠牲陽極の腐食によって、金属部分の腐食防止を提供するために、犠牲陽極は金属部分に接続され、及び犠牲陽極の腐食が生じた後の第2工程において、直流電源によって供給される電流は、犠牲陽極の腐食生成物からの犠牲材料のイオンを、犠牲陽極に再堆積させる。
【0014】
好ましくは、直流電源は一時的に適用される。
【0015】
好ましくは、堆積されるのに利用可能な犠牲材料のイオンが存在する。
【0016】
好ましくは、犠牲材料のイオンは可溶性である。
【0017】
好ましくは、犠牲材料のイオンは電気化学的に可動性である。
【0018】
好ましくは、金属部分は鋼であり、イオン導電性材料はコンクリート又はモルタルである。
【0019】
本発明の第2の態様に従い、イオン導電性被覆材料中の金属部分の腐食防止における使用方法が提供され、該方法は:
イオン導電性材料とのイオン接触状態で印加電流陽極を位置付ける工程;
イオン導電性材料とのイオン接触状態で犠牲陽極を位置付ける工程;
直流電源を提供する工程;
印加電流陽極に直流電源の第1端子を接続する工程;
犠牲陽極に犠牲陽極イオンを堆積させる材料にイオン電流を流すために、犠牲陽極に直流電源の第2端子を接続する工程、を含む。
【0020】
好ましくは、犠牲陽極が腐食防止を提供するように、犠牲陽極と金属部分の間に接続が提供される。
【0021】
好ましくは、直流電源が作動中である場合、犠牲陽極と金属部分の間の接続は、適所に残る。
【0022】
1つの配置において、犠牲陽極の少なくとも一部は、犠牲材料のイオンの堆積により、イオン導電性材料中に作り上げられる。
【0023】
この場合、前記方法は、イオン導電性材料中に犠牲材料のイオンを組み込む工程を含み、そこでは、犠牲陽極上に犠牲材料の組み込まれたイオンを堆積させることにより、犠牲陽極がイオン導電性材料中に生成される。
【0024】
好ましくは、直流電源の第2端子は、犠牲陽極及び金属部分に接続される。
【0025】
好ましくは、印加電流陽極及び金属部分をわたる直流電源の接続は、金属部分と、金属部分を受動性にするために使用される印加電流陽極との間に電流を作成する。
【0026】
好ましくは、印加電流陽極及び金属部分をわたる直流電源の接続は、金属部分と、金属部分に腐食防止を提供する一方で犠牲金属のイオンが犠牲陽極に堆積される印加電流陽極との間に、電流を作成する。
【0027】
好ましくは、犠牲陽極及び印加電流陽極は、陽極装置の一般的な構成要素を含み、その結果、陽極装置の一般的な構成要素がイオン導電性材料に位置付けられる場合、犠牲陽極及び印加電流陽極の各々は、互いとの、及び金属部分とのイオン導電性伝達下にある。
【0028】
好ましくは、印加電流陽極及び犠牲陽極は、その間での電気伝達を防ぐために電気的に分離される。
【0029】
好ましくは、印加電流陽極は、イオン導電性材料中のイオン電流が印加電流陽極を通過することを可能にするように、穿孔される。
【0030】
好ましくは、犠牲陽極はロッドを形成し、印加電流陽極は、ロッドを囲むスリーブを形成する。
【0031】
好ましくは、印加電流陽極及び犠牲陽極は、隣り合うプレートを含む。
【0032】
好ましくは、印加電流陽極と犠牲陽極の間に、イオン導電性フィラー材が提供される。
【0033】
好ましくは、イオン導電性フィラー材は、イオン導電性材料とは異なる。
【0034】
好ましくは、イオン導電性フィラー材は、犠牲陽極イオンを包含する。
【0035】
好ましくは、イオン導電性フィラー材は多孔性である。
【0036】
好ましくは、イオン導電性フィラー材は変形可能である。
【0037】
好ましくは、イオン導電性フィラー材は、犠牲陽極の継続的な腐食を確実にするために、少なくとも1つの活性体を包含する。
【0038】
好ましくは、イオン導電性フィラー材は吸湿性である。
【0039】
好ましくは、イオン導電性フィラー材は、生じる犠牲陽極の腐食、及び、回避される犠牲陽極上の不動態膜形成のための、十分に高いpHを備える。
【0040】
好ましくは、複数の犠牲陽極が提供され、ここで、印加電流陽極は、前記犠牲陽極から分離される。
【0041】
好ましくは、複数の印加電流陽極が提供され、ここで、犠牲陽極は、前記印加電流陽極から分離される。
【0042】
好ましくは、印加電流陽極は、イオン導電性材料の表面を通って電流を提供するために一時的に取り付けられるように、配置される。
【0043】
好ましくは、堆積されるのに利用可能な犠牲陽極イオンが存在する。
【0044】
好ましくは、犠牲陽極イオンは可溶性である。
【0045】
好ましくは、犠牲陽極イオンは電気化学的に可動性である。
【0046】
必須ではないが、典型的にこの配置は、金属部分が鋼であり、且つイオン導電性材料がコンクリート又はモルタルである場合の使用のために設計される。
【0047】
幾つかの場合において、構造又は犠牲陽極の一部は湿らされる。
【0048】
幾つかの場合において、印加電流陽極は、犠牲材料のイオンを堆積させる目的で一時的に取り付けられる。
【0049】
上記の方法は、イオン導電性材料中の金属部分を陰極保護するために、陽極装置を使用して実行され得、該陽極装置は:
金属部分ほどでない材料の犠牲陽極;
印加電流陽極;
犠牲陽極への接続のために配置される第1電気コネクタ;
及び、印加電流陽極への接続のために配置される第2電気コネクタ、を含み、
前記犠牲陽極及び前記印加電流陽極は、陽極装置の構成要素を含み、その結果、陽極装置の構成要素がイオン導電性材料と接触して位置付けられる場合、前記犠牲陽極及び前記印加電流陽極の各々は、他方との、及び金属部分とのイオン導電性伝達下にあり;
前記印加電流陽極及び前記犠牲陽極は、その間での電気伝達を防ぐために電気的に分離される。
【0050】
この陽極装置は、イオン導電性被覆材料中の金属部分の腐食防止の方法において使用され得、そこでは、印加電流陽極と犠牲陽極の両方は、イオン導電性材料に接触した状態で位置付けられ、直流電源は、金属部分と、金属部分を受動性にするために使用される印加電流陽極との間に電流を作成するように、印加電流陽極と金属部分の間に接続され、及び、第1工程が終了する一方で、犠牲陽極と金属部分の間に接続が存在し、その結果、犠牲陽極は腐食防止を提供し続ける。
【0051】
好ましくは、第1工程において、イオン導電性材料中の犠牲陽極材料の腐食生成物を生成する犠牲陽極の腐食により金属部分の腐食防止を提供することによって、犠牲陽極が金属部分に接続され、及び、犠牲陽極の腐食が生じた後の第2工程において、イオン導電性材料を通る直流電源によって適用される電流が、犠牲陽極材料の腐食生成物からの犠牲陽極イオンを犠牲陽極に再堆積させる場合に、前記陽極装置が使用される。同様の方式において、犠牲陽極イオンは、犠牲陽極を作成するため、又は既存の犠牲陽極のサイズを増加させるために、堆積され得る。
【0052】
この方法において、充電又は堆積のプロセスは、陽極中の一定量の亜鉛、又はアルミニウム、マグネシウム、或いは他の材料(保護される金属部分ほどではない)などの他のガルバニック材料により可能なものよりも遥かに長い期間にわたり、陽極装置の継続的な操作を確保するために、繰り返し且つ定期的に使用され得る。これは、例えば、再充電が毎日生じる太陽電池を使用して行われ得る。代替的且つより典型的に、これは、作業者が定期的に現場を訪れて、再充電を達成するのに必要な期間、電源を適用する、定期メンテナンスによって行われる。
【0053】
独立して特許性のある本発明の1つの特定の態様において、印加電流陽極と、結果的に犠牲陽極を形成することができるコンダクタを含む、イオン導電性材料中の金属部分を陰極保護するための装置が提供され、そこでは、犠牲陽極及び印加電流陽極は、陽極装置の構成要素を含み、その結果、陽極装置の構成要素がイオン導電性材料に接触した状態で位置付けられると、犠牲陽極及び印加電流陽極の各々は、互いとの、及び金属部分とのイオン導電性伝達下にある。このように、上述の犠牲陽極の充電は、イオンがイオン導電性材料からの堆積によってコンダクタ上に適用されるように、全体的に原位置で起こり得る。上述のように、印加電流陽極及び犠牲陽極は、その間での電気伝達を防ぐために電気的に分離されなければならない。
【0054】
1つの構成において、イオンを提供するために、印加電流陽極は、亜鉛などの犠牲陽極材料で形成され得、その結果、直流電源の適用は、印加電流陽極の腐食を引き起こし、犠牲陽極に堆積されるのに後に利用可能となる犠牲陽極イオンを生成する。しかし、犠牲材料のイオンは、イオン導電性材料自体において、又は、犠牲陽極にある又はそれに隣接する追加のフィラー材において提供され得る。
【0055】
好ましくは、犠牲陽極への直流電源の第2端子の接続と同時に、直流電源の第2端子はまた、電源の第1端子が印加電流陽極に接続され、且つ電源の第2端子が犠牲陽極及び金属部分に接続されるよう、金属部分に接続される。この構成は、再充電作用を引き起こすためだけでなく、鋼(金属部分)の不動態化を達成するためのガルバーニ電流単独よりも大きな保護電流を生成し、その一方で同時に犠牲陽極を再充電する選択肢を提供することにより、金属部分の保護の増強を提供するための作用を引き起こすために、使用され得る。
【0056】
金属部分への犠牲陽極の接続は、直流電源又は印加電流陽極システムが機能的でない場合、金属部分に腐食防止を提供するためにガルバニック腐食防止のバックアップを提供し得る。万が一、印加電流陽極が動作しなくなると、金属部分に犠牲陽極を接続することにより、単純で自動的な腐食防止バックアップシステムが提供される。
【0057】
本明細書で使用される用語「印加電流陽極」は、犠牲陽極と区別するために意図されるものであり、ここで、犠牲陽極は、保護される金属部分に対して優先的に腐食するように金属部分ほどではない材料(典型的に亜鉛)で形成される。印加電流陽極は、外部電源と共に使用され、金属部分ほどである必要はない。典型的に、そのような印加電流陽極は、チタン、炭素、及び他の貴金属、並びに容易に腐食しない酸化物から作られ、又はそれらは、鋼、或いは亜鉛などのあまりでない材料から作られ得る。
【0058】
犠牲陽極及び印加電流陽極は、好ましくは、陽極装置の一般的な構成要素を形成する。即ち、使用のために供給されるような装置は、一般的なシステムとして両方の構成要素を含む。しかし、それらは、材料に挿入され、又は一般的な組立体として表面上に適用され得る、一般的な付属の構造に組み立てられる場合もあれば、組み立てられない場合もある。一般的な組立体はもちろん、便宜上好まれるが、構成要素は、例えば、コンクリート構造における1つの又は別々のドリルで空けた穴又はスロットにおいて別々に挿入され、新しいコンクリートに設置され、又はコンクリート表面或いは他の場所に別々に適用され得る。印加電流陽極は、例えば、コンクリートの本体内の犠牲陽極を充電するために、コンクリートの外表面に付けられたプレートなどのイオン導電性材料の外部表面に、一時的に適用され得る。
【0059】
装置は、好ましくは、装置の部品として、正端子及び負端子を備えた直流電源を含む。これは、バッテリー、ソーラーセルなどの、必要な電圧で直流出力を提供することができるデバイスの任意の形態であり、或いは整流器であり得る。電源はまた、装置の一体構成要素自体とならないように、別々に及び/又は一時的に供給され得る。しかし、システムの使用方法において、直流電力の適切なソースは、少なくとも一部の時間、使用されねばならない。
【0060】
装置の更なる構成要素として、好ましくは、電源の正端子及び負端子への、第1及び第2電気コネクタへの、並びに金属部分への接続のためのコネクタを備える、切り替え可能な接続箱が提供される。しかし、これは、分離した構成要素として提供され得、再度、システムの必須部分とはならない。接続はまた、特定の切り替え可能な接続箱がない場所で、行われ得る。
【0061】
好ましくは、印加電流陽極は、イオン電流が印加電流陽極を通過することを可能にするように、穿孔される。しかし、これは、印加電流陽極及び犠牲陽極が、材料において隣接した共同関係で単に位置付けられる別個の要素を含み得るため、不可欠ではない。イオン電流は、犠牲陽極から金属部分まで通過しなければならないが、これは、印加電流陽極を通過し、又は、印加電流陽極の周囲、或いは印加電流陽極の一部の周囲に留まることができる。しかし、犠牲陽極及び印加電流陽極が一般的な組立体として形成される場合、イオン電流は、印加電流陽極を通過、又はその周りに留まることが好ましい。それ故、印加電流陽極は、別個の断片として形成されるか、又は、電流が金属部分を通過するのを可能にするために間隔を置かれる場合がある。故に、例えば、印加電流陽極は、陽極を通って形成される、或いは陽極に切り込みを入れて形成される巨視的な穴によって、穿孔され得る。
【0062】
別の好ましい例において、印加電流陽極は、マトリックス中の電気導電性構成要素から形成され、イオン電流がマトリックスを通り抜けることを可能にする導電性構成要素の間のマトリックス中に、空間が提供される。これは、例えば、陽極材料及び/又は他の材料を焼結することにより、或いは、電気導電性マトリックスを形成するために酸化物を少なくすることにより、達成され得る。
【0063】
再充電中に犠牲陽極上での陽極材料の均一の、対称的な堆積を得るために、該プロセスが使用されると、印加電流陽極が犠牲陽極を囲むこと、即ち、印加電流電極が、犠牲陽極を完全に、ほぼ完全に、部分的に、又は別個に囲むために犠牲陽極を包含している平面に配列されることが好ましく、その結果、平面において360度回転して(around)犠牲陽極を通るイオン電流は、印加電流陽極を通過する。印加電流陽極が全体的又は部分的に片側に配置される場合、堆積はその側面に優先的に生じ、従って、あまり効果的に堆積されない場合がある。それ故、好ましくは、同軸配列において、犠牲陽極はロッドを形成し、印加電流陽極は、ロッドを囲むスリーブを形成する。代替的に、犠牲陽極は、プレート、ロッド、リボン、又は他の同様の要素の形態であり、印加電流陽極はプレートの片側に配置され、その結果、印加電流陽極が配置される犠牲陽極の片側で最初に、堆積が生じ得る。
【0064】
好ましくは、印加電流陽極と犠牲陽極の間に位置するイオン導電性材料自体ではない、イオン導電性フィラー材が提供され、故に、好ましくは同軸配列において、フィラー材は、ロッドを囲むシリンダーを形成する。好ましくは、イオン導電性フィラー材は、犠牲陽極の表面の少なくとも一部とのイオン接触の状態にある。
【0065】
上記の方法の操作の犠牲又はガルバニックの相中の使用のために、イオン導電性フィラー材は、好ましくは、犠牲陽極の継続的な腐食を確実するために少なくとも1つの活性体を包含する。しかし、活性体もシステム中の他の位置に位置付けられ得る。適切なフィラー材は、固体、ゲル、又は液体の形態であり得る。適切な活性体は、アルカリ水酸化物、湿潤剤、触媒材料、及び、犠牲陽極金属に対し腐食性である他の材料を含む。活性体は、単独で又は組み合わせて使用され得る。
【0066】
上記の方法の操作の犠牲又はガルバニックの相中の使用のために、イオン導電性フィラー材は、好ましくは、生じる犠牲陽極の腐食、及び、回避される犠牲陽極上の不動態膜形成のための、十分に高いpHを備える。代替的に、フィラー材は、生じる犠牲陽極の腐食、及び、回避される犠牲陽極上の不動態膜形成のための、低いpH及び/又は活性体を備え得る。
【0067】
本明細書の陽極及び方法は、好ましくは、金属部分が鋼であり、且つイオン導電性材料がコンクリート又はモルタルである場合の使用のために設計される。
【0068】
印加電流と犠牲構成要素を含む陽極装置は、コンクリートによって完全に覆われるように、コンクリート又は他の固形材料中に典型的に埋められるが、これは必須なものではなく、陽極は、部分的に埋められるだけか、又は、コンクリートとの物理的又はイオンの接触状態にあり得る。
【0069】
印加電流陽極と犠牲構成要素を含む陽極装置は、多孔性材料又は多孔性モルタル材料であり得る、カプセル化材料或いはイオン導電性フィラー材に囲まれ得る。適切なカプセル化材料は、無機又は有機でもよく、任意のセメント質、ポリマー、又は、ジオポリマー又は修正済のポルトランドセメントを含む非セメント質材料若しくはモルタルであり得る。カプセル化材料は、固体、ゲル、又は液体でもよく、変形可能でもよい。
【0070】
目的はそれ故、印加電流及び/又は再充電可能な流電陽極システムとの使用のために印加電流陽極に流電陽極を結合させるために、以下により詳しく記載される構成にある。その構成により、印加電流陽極は、鉄筋又は流電陽極の何れかに、或いは、鉄筋及び流電陽極の両方に同時に、電流を送達することが可能となる。陽極組立体は、3つの異なる方法、即ち、a)正常な流電陽極として、b)印加電流陽極として、及びc)重要なことに再充電可能な流電陽極として、使用され得る。組立体は、好ましくは、適切な活性化電解質に囲まれる、流電陽極として作用する内部亜鉛コアを含む。亜鉛及び活性体は、好ましくは、多孔性又はメッシュ型の印加電流電極内で覆われる。
【0071】
それ故、本明細書で提供される流電陽極は、連続的な保護が、印加電流腐食防止システムに適合する期間にわたり、構造又は構造の構成要素に提供され得るように、操作において柔軟性であり得る。
【0072】
その構成により、印加電流陽極は、鉄筋又は流電陽極の何れかに、又は共に鉄筋及び流電陽極に、カソード電流を送達することが可能となり得る。陽極組立体は、3つの異なる方法、即ち、正常な流電陽極として、印加電流陽極として、及び最も重要なことに再充電可能な流電陽極として、使用されねばならない。活性化電解質にリサイクルされ、且つ充電プロセスにおいて電解質から戻るため、後者の能力は、亜鉛の同じ質量の亜鉛の多重使用を可能にし、長期保護のためにより大量の陽極の使用の必要性を排除する。
【0073】
アルカリ性活性体中の好ましい配置において、亜鉛の腐食生成物は最終的に、主として酸化亜鉛であると考えられる。それ故、腐食プロセスを逆にし、亜鉛金属を陽極組立体へと再堆積することが、可能である。本明細書に記載される構成は、保護している構造から陽極組立体を取り除くことなく、亜鉛金属を再堆積する方法を提供する。亜鉛を再充電するための陽極として使用され得る、カウンタ又は印加電流陽極が、提供される。このカウンタ電極は、好ましくは陽極組立体の一部である。その後、同じ電極は、設定を印加電流システムに変更する必要がある場合、利用され得る。
【0074】
犠牲陽極は、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、又はそれらの合金など、より多くの電気陰性材料の何れかであり得る。
【0075】
直流電源はバッテリーであり得る。電源は、交流印加電圧から直流電力を生成する整流器でもよい。好ましくは、直流電源は1.5Vより大きな電位を備える。電源がバッテリーである場合、再充電可能であり得る。電源がバッテリーである場合、組立体において交換可能であり得る。これは、充電を行うための、及び/又は、新しいバッテリーを挿入して消耗されるまで単に残すことにより、鋼への印加電流の追加工程を提供するための、定期的に都合のよい方法であり、その後すぐに、消耗した電池が取り除かれて別のものが挿入される時まで、システムは直流的に(galvanically)作動する。バッテリーは、接続箱、モニタリングユニット、或いは都合のよい場所などの、任意の都合の良い位置に取り付けられ得る。単一バッテリーは、陽極の群に電力を供給することができる。
【0076】
電源は、ソーラーパワーがオンオフされる時に長期保護を提供するように、印加電流陽極及び再充電可能な流電陽極を駆動するソーラーパネルを含み得る。
【0077】
本発明の別の態様に従い、イオン導電性被覆材料中の金属部分の腐食防止の方法が提供され、該方法は:
イオン導電性材料との接触状態で印加電流陽極を位置付ける工程;
イオン導電性材料との接触状態で、金属部分ほどでない材料の犠牲陽極を位置付ける工程;
直流電源を提供する工程;
金属部分の腐食防止を提供するために金属部分と印加電流陽極との間に電流を作成するように、印加電流陽極及び金属部分をわたる直流電源の接続を提供する工程;
及び、犠牲陽極が金属部分の腐食防止を提供するように、犠牲陽極と金属部分の間に接続を提供する工程、を含む。
【0078】
印加電流陽極を渡る接続、及び犠牲陽極への接続は、同時に適所にあるか、又は何れかが必要とされる時に接続され得る。何れかの接続は、単純なコネクタを使用して、又はスイッチボックスを使用して手動で、或いは自動制御システムによって実行され得る。
【0079】
上記の方法の1つの構成において、印加電流陽極をわたる直流電源の接続は、初期の印加電流を提供し、且つ、初期の印加電流が終了する場合、犠牲陽極と金属部分の間の接続は、腐食防止を提供し続ける。
【0080】
上記の方法の別の構成において、犠牲陽極と金属部分の間の接続は腐食防止を提供し、及び、犠牲陽極によって提供される腐食防止の時間の後、直流電源は、金属部分が更に保護される印加電流陽極をわたって接続される。これは、犠牲陽極の操作中に定期的に実行され得る。初期設定の後、防止における最初の作用は、設定の状態に従って当業者によって選択されるような、犠牲陽極又は印加電流陽極の何れかであり得る。
【0081】
両方の場合、犠牲陽極の接続は、印加電流が接続される間は適所にあり、又は、印加電流が終了する場合は接続され得る。
【0082】
好ましくは、印加電流陽極によって提供される初期電流は、金属部分を不動態化するのに十分である。しかし、第1工程で得られる具体的な効果は、必須のものではなく、他の効果が、この方法を使用して有利に得られ得る。
【0083】
好ましくは、犠牲陽極及び印加電流陽極は、陽極装置の一般的な構成要素を含み、その結果、陽極装置の一般的な構成要素がイオン導電性材料に位置付けられる場合、犠牲陽極及び印加電流陽極の各々は、互いとの、及び金属部分とのイオン導電性伝達下にある。しかし、別個の陽極要素も提供され得る。
【0084】
好ましくは、印加電流陽極及び犠牲陽極は、その間の電気伝達を防ぐために電気的に分離される。
【0085】
好ましくは、電源の正端子及び負端子への接続のためのコネクタが提供され、第1電気コネクタは印加電流陽極に接続され、第2電気コネクタは犠牲陽極及び/又は金属部分に接続される。
【0086】
好ましくは、印加電流陽極は、イオン導電性材料中のイオン電流が印加電流陽極を通過することを可能にするように、穿孔される。イオン電流が通過することができるように、穿孔の効果を得るために多くの異なる技術が、提供され得る。
【0087】
好ましくは、犠牲陽極はロッドを形成し、印加電流陽極は、ロッドを囲むスリーブを形成する。しかし、平行な又は隣り合うプレートなどの他の構成が、提供され得る。
【0088】
好ましくは、犠牲陽極に隣接する、イオン導電性フィラー材が提供され、イオン導電性フィラー材は、前記イオン導電性材料と異なる。
【0089】
好ましくは、イオン導電性フィラー材は、犠牲陽極の継続的な腐食を確実にするために、少なくとも1つの活性体を包含する。様々なタイプの活性体が利用可能であり、使用され得る。
【0090】
好ましくは、イオン導電性フィラー材は、生じる犠牲陽極の腐食、及び、回避される犠牲陽極上の不動態膜形成のための、十分に高いpHを備える。
【0091】
1つの例において、複数の別個の犠牲陽極が提供され、印加電流陽極は、前記犠牲陽極から分離される。
【0092】
別の例において、複数の印加電流陽極が提供され、ここで、犠牲陽極は、前記印加電流陽極から分離される。しかし、典型的に、犠牲陽極及び印加電流陽極は、一般的な構造の一部である。
【0093】
使用され得る別の配置において、印加電流陽極は、イオン導電性材料の表面を通って電流を提供するために一時的に取り付けられる。即ち、印加電流陽極は、犠牲陽極の充電中に、一時的に取り付けられる(利用される/設置される及び操作される)ように配列される。
【0094】
本明細書で提唱される構造及び方法は、特に金属部分が鋼であり、且つイオン導電性材料がコンクリート又はモルタルである場合に、設計される。しかし、同じ構成は、土壌中のパイプ又は他の構造物などの他の腐食防止システムにおいて、及び前記陽極が使用され得る多くの他のシステムにおいて、使用され得る。
【0095】
好ましくは、犠牲陽極から腐食生成物を吸収するための多孔性又は変形可能な材料が提供される。これは、カプセル化構成要素であるか、又は犠牲陽極自体に存在し得る。
【0096】
好ましくは、組立体は、更なる詳細のために引用が行われ得る、Whitmoreに与えられた2007年6月5日発行の米国特許第7,226,532号に開示されるものなどの、陽極の腐食、犠牲陽極イオンの堆積、及び、凍結、解凍、湿潤、乾燥、及び熱拡張/収縮などの他の物理的/環境の力によって引き起こされ得る、膨張、収縮、及び変形の力などの力を抑制且つ抵抗するための強化層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0097】
本発明の1つの実施形態はここで、添付図面と組み合わせて記載される。
図1】陽極装置の第1配置を使用する、本発明に従った腐食防止方法の概略図である。
図2】犠牲保護モードでの操作のための構成要素の接続を示す、図1の概略図である。
図3】印加電流保護モードでの操作のための構成要素の接続を示す、図1の概略図である。
図4】再充電モードでの操作のための構成要素の接続を示す、図1の概略図である。
図5】再充電及び印加電流のモードの組み合わせでの操作のための構成要素の接続を示す、図1の概略図である。
図6】陽極装置の第2配置を使用する、本発明に従った腐食防止方法の概略図である。
図7】既存の犠牲陽極が、コンクリートのイオン導電性材料の外表面上に取り付けられる一時的プレート電極によって再充電される場合、陽極装置の更なる配置を使用する、本発明に従った更なる腐食防止方法の概略図である。
図8】本発明に従った陽極装置の第1例を介する、横断面図である。
図9】a)もともと作られるような陽極を備え、b)多孔性の導電性印加電流陽極を介する充電期間後の陽極を備える鋼への、図8の陽極の電流出力のグラフである。
図10】a)もともと作られるような陽極を備え、b)多孔性の導電性印加電流陽極を介する充電期間後の鋼への、図8の陽極の蓄積した充電出力のグラフである。
図11】本発明に従った装置の第2例の横断面図である。
図12図11の実施形態のための試験配置の平面図である。
【0098】
図面において、参照の同様の文字は、異なる図面において対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0099】
図1において、被覆材料(10)、その中に埋め込まれた鋼鉄材(11)及び陽極体(12)が示される。
【0100】
被覆材料(10)は、陽極体(12)と鋼(11)の間の被覆材料を通じてイオンの伝達を可能にする、適切な材料である。被覆材料は一般的にコンクリートであるが、モルタル又は石工材料、又は土壌、水、或いは他のイオン導電性材料も含み得、ここで、腐食を防ぐ又は阻害するための腐食防止を要求する鉄骨構造が存在する。鋼鉄材(11)は鉄筋配置であると示されるが、他の鋼要素は、本明細書に示される配置の様式で保護され得、まぐさ、鋼梁及び柱、パイプ、タンク、又は、コンクリート或いは他の被覆材料に接する他の要素などの、鋼の構造部材を含む。
【0101】
陽極部材は、2000年2月22日発行の米国特許第6,027,633号;2000年12月26日発行の第6,165,346号;2003年6月3日発行の第6,572,760号、2004年9月21日発行の第6,793,800号、2007年6月5日発行の第7,226,532号、2011年3月29日発行の第7,914,661号、本発明の2011年6月14日発行の第7,959,786号、Vector Corrosion Technologiesに譲渡された2000年2月8日発行の第6,022,469号(Page)及び2001年10月16日発行の第6,303,017号(PageとSergi)、Vector Corrosion Tech.に譲渡された2001年2月27日発行の第6,193,857号(Davison)、2001年4月17日発行のBennettの第6,217,742号、2007年1月9日発行の第7,160,433号、Vector Corrosion Technologiesに譲渡された2012年4月17日発行の第8,157,983号及び2002年10月29日発行の第6,471,851号、2011年8月16日発行のGiorginiの第7,998,321号、2010年12月14日発行のSchwarzの第7,851,022号、2012年7月3日発行のGlassらの第8,211,289号、2011年8月23日発行の第8,002,964号、2010年7月6日発行の第7,749,362号、2011年3月22日発行の第7,909,982号、及びVector Corrosion Technologiesに譲渡された2010年4月27日発行の第7,704,372号に示される構成を含むか、又は該構成として部分的に構築され得、それらに対する引用は、必要とされるように更なる詳細のために行われねばならない。
【0102】
電源の端子(15)及び(16)にて電圧を生成する、直流電源(14)が提供される。
【0103】
示される実施形態において、6又は12ボルトの出力及び1乃至20週の寿命を備えた鉛酸蓄電池、或いは、およそ1.5ボルト程度の出力電圧を提供し且つおよそ3乃至5年程度の寿命を備える、周知であり市販で入手可能な亜鉛空気電池であり得る、バッテリーにより、電源が形成される。電圧は、操作における電流の流れの間、1.5ボルトの公称値から、可能な限り低い1.0ボルトまで落ち込み得る。このタイプの前記バッテリーは、ENSER Corporation又はその他から市販で入手可能である。適切なバッテリーは、1200アンペア時間までの静電容量を備え得る。
【0104】
代替的な電源は、外部の交流印加電圧を必要とし、且つ、端子(15)及び(16)にて交流供給を直流電圧に変える、ソーラーパネル及び従来の整流器を含んで、使用され得る。
【0105】
陽極装置(12)は、印加電流陽極(21)と共に、亜鉛、又は金属部分ほどでない他の材料の犠牲陽極(20)を含む。犠牲陽極(20)はロッドの形態であり、印加電流陽極(21)は、一般的に印加電流陽極(21)と犠牲陽極(20)の間のシリンダーとして位置付けられるイオン導電性材料(10)ではない、イオン導電性フィラー材(22)でロッドを囲むスリーブの形態である。この同軸で組み合わせた構造において、印加電流陽極は、犠牲陽極の周囲を完全に囲むためにロッドの重心軸のラジアル平面に配置され、その結果、平面において360度回転して犠牲陽極を通るイオン電流は一般的に、鋼(11)までの経路上で、印加電流陽極を通過する。
【0106】
故に、犠牲陽極(20)及び印加電流陽極(21)は、陽極装置(12)の一般的な構成要素を形成し、その結果、犠牲陽極(20)及び印加電流陽極(21)の各々は、互いとの、及び金属部分とのイオン導電性伝達下にある。印加電流陽極及び犠牲陽極が、その間の電気伝達を防ぐために電気的に分離されるように、フィラー材は電気的に導電性ではない。
【0107】
電源の正端子及び負端子への接続のためのコネクタ(231)及び(232)を備える、切り替え可能な接続箱(23)が提供される。接続箱は更に、印加電流陽極(21)へのリード(236)に対するコネクタ(233)、犠牲陽極(20)へのリード(237)に対するコネクタ(234)、及び金属部分(11)へのリード(238)に対するコネクタ(235)を含む。リード(236)、(237)、及び(238)は、好ましくはワイヤーであり、好ましくは腐食耐性がある。操作中に印加電流陽極に接続されるため、リード(236)は耐食性の最も大きな必要性を備える。印加電流接続のための耐食材料の例は、チタン、ニオブ、ニッケル、白金めっきしたワイヤー、及び絶縁電線を含む。
【0108】
印加電流陽極は、陽極(20)からのイオン電流が印加電流陽極を通過するのを可能にするために、巨視的な穴(211)又は巨視的な構造の何れかにより穿孔される。巨視的な穴は、分離した断片における印加電流陽極の形成により、提供され得る。
【0109】
陽極(21)が巨視的に穿孔される構成において、印加電流陽極は、イオン電流が印加電流陽極を通過するのを可能にするために印加電流陽極材料間の空間内に、十分な多孔度及びイオン導電性材料を備える。
【0110】
イオン導電性フィラー材(22)は、好ましくは、犠牲陽極の継続的な腐食を確実にするために、少なくとも1つの活性体を包含する。イオン導電性フィラー材は、好ましくは、生じる犠牲陽極の腐食、及び、回避される又は最小化される犠牲陽極上の不動態膜形成のための、十分に高いpHを備える。亜鉛に関して、このpHは典型的に12より大きく、13、13.3、又は13.4より大きい場合もある。亜鉛腐食生成物が、部分的又は実質的に可溶性のままであることが好ましい。これは、犠牲陽極材料に対し腐食性であり及び/又は不動態化から犠牲陽極材料の表面を保護する、イオン又は他の化学物質を組み込むことにより、達成され得る。可溶性の腐食生成物を生成し、及び/又は不動態化を防ぐのを支援する材料の例は、上記の引用特許文献に開示される。
【0111】
イオン導電性材料(22)はまた、好ましくは、非常に高いイオン導電性、吸湿性であり、及び、犠牲陽極が充電され且つ放出されるにつれて、体積変化を適応する。イオン導電性フィラー材はまた、これら変化を適応させるために多孔性であり、又は変形可能であり得る。
【0112】
図6において、間にフィラー材(22A)を備える、2つの平行なプレート、メッシュ、リボン、又はワイヤーとして、犠牲陽極(20A)及び印加電流陽極(21A)が形成される、陽極装置の第2構成を使用する方法の概略図が示される。この場合、犠牲陽極の再充電が主として片側で生じ得る。代替構造において、プレート又はメッシュの2つの並列層は、被覆材料の表面に適用され得る。
【0113】
図7において、既存の犠牲陽極(40)が、イオン導電性材料を形成するコンクリート(10)の外表面上の電極(印加電流陽極)(41)に適用される一時的表面によって再充電される、更なる構成を使用する方法の概略図が示される。この場合、コンダクタ(42)は、電源(14)の1つの端子に印加電流陽極を接続し、コンダクタ(43)は、直流電源の他の端子に、埋められた犠牲陽極(40)を接続する。同時に、鋼の保護が再充電プロセスの間に続くように意図される場合、第2端子は鋼に接続され得る。表面適用電極は、既存の犠牲陽極を充電するための好ましい実施形態であるが、埋め込まれた印加電流陽極などの他の印加電流陽極が、使用され得る。
【0114】
接続箱によって提供される4つの別個の機能は、単に以下のように行なわれ得る。これらの機能はまた、接続箱を必要とすることなく、適切なコネクタの直接接続によって手動で行なわれ得る。
【0115】
a)図2に示されるような正常な流電陽極:亜鉛コアは、接続箱を介して鋼に接続される。印加電流陽極はオフポジションに設置される。これにより、陽極が、単純な流電陽極として働くことが可能となる。
【0116】
b)図3に示されるような印加電流陽極:亜鉛陽極はオフポジションに設置され、印加電流陽極は、直流電源を介して鋼に接続される。電流出力は、印加電圧の制御により調節され得る。
【0117】
c)図4に示されるような流電陽極の再充電:印加電流陽極は、直流電源を介して亜鉛陽極に接続される。鋼はオフポジションに設置される。これにより、電解質に存在する亜鉛イオン又は亜鉛腐食生成物が、亜鉛陽極の厚みを構築する亜鉛金属として亜鉛コア上に堆積されることが可能となる。酸化亜鉛と水酸化亜鉛は、亜鉛陽極が作動中である間に生成される、2つの一般的な腐食生成物である。
【0118】
d)図5に示されるような流電陽極及び印加電流の再充電:印加電流陽極は、直流電源を介して、亜鉛陽極及び鋼の両方に接続される。これにより、c)に記載される再充電プロセス、及びb)に記載される印加電流が、同時に進行することが可能となる。
【0119】
最初の2つの機能はよく理解され、更なる説明を必要としない。しかし、両方の選択が同時に利用可能(且つ操作可能)である構成が、新規である。
【0120】
第3の機能は、鉄筋保護のための流電陽極の使用に関して新規であり、亜鉛の堆積を可能にする亜鉛陽極を陰極にする工程を含む。亜鉛は、多くの亜鉛化合物から様々な反応を通じて堆積され得、亜鉛がアルカリ性環境にある場合、おそらく反応1、2、及び3を含む。
ZnO+2OH+HO→Zn(OH) 2- (1)
Zn(OH) 2-→Zn2++4OH (2)
Zn2++2e→Zn (3)
【0121】
理論上、すべての酸化亜鉛及び他の亜鉛イオン並びに亜鉛腐食生成物は、後の消費のために使用可能な亜鉛として、コア上に再堆積され得る。実際、再充電可能なアルカリ電池によるように、各々の後の充電のレベルは、おそらく低下する。
【0122】
印加電流陽極での典型的な反応は、おそらく以下の通りである:
2OH→1/2O+HO+2e (4)又は
O→1/2O+2H+2e (5)
【0123】
それ故、組立体内のアルカリ度における総合損失が無いことを意味する、水酸化物イオンのネットバランスが存在する。鉄筋を保護するために、ガルバニックモードにおいて、一旦陽極が再び使用されると大量の可溶性の亜鉛酸塩イオンを適応することにおいて最初に有益である、亜鉛陽極の表面に水酸化物イオンにおいて純増加が存在する。印加電流陽極(Eq 4又は5)での反応は、組立体からコンクリートポア構造へと外れる(escape)必要がある酸素ガスの産生を含む。印加電流陽極はそれ故、多孔性であり、ネットの形態であり、或いは通気式でなければならない。
【0124】
本明細書における陽極配置を使用する好ましい方法は、正常な流電陽極として最初にそれを設置することであり、露出条件に従い約(say)10-20年の期間、進む(run)ことを可能にする。時折のモニタリングは、陽極の充電がいつ必要とされるかを決定する。その後、外部電源供給は、比較的短い期間、好ましくは14-60日未満にわたり陽極を充電するために使用される。その後、陽極は、更なる期間、約5-20年間、適切な電流を生成することができる。充電が本質的に無効となるまで、プロセスは数回繰り返され得る。必要とされると、陽極の印加電流部分はその後、印加電流腐食防止システムの一部として単に使用され得る。それ故、鉄筋の保護が、構造の寿命全体にわたって達成され得る。
【0125】
組立体は、可変性のアプリケーション種別を可能にする、大きな柔軟性を備える。例えば、陽極の印加電流部分の予備的な使用は、任意の進行する腐食を実質的に止めるよう鋼を不動態化するために、制限された時間にわたり、初期の高レベルの充電を伝達することができる。代替的に、陽極の印加電流部分は、鋼を囲むコンクリートのアルカリ度を増加し、且つ、更なる腐食及びガルバニック陽極からの要求電流(current demand)を減少するために、蓄積した充電を伝達するように操作され得る。鋼1平方メートル当たり20,000乃至150,000、及びより典型的には70,000乃至100,000クーロンの適用した充電は、鋼を不動態化するのに十分であることを示した。約700,000クーロン/m2の適用した充電は、炭酸コンクリートの再アルカリ化(pHを増加させる)にて、効果的であった。非炭酸のコンクリートのpHを増加させるのに必要な充電は、700,000クーロン/m2未満である。その後、これは、鋼の受動性を維持するために、ガルバーニ電流の下位レベルに従う。高い初期充電を伝達するために印加電流陽極を使用することは、これが犠牲陽極の不必要な消費及び劣化を防ぎ、より小さな犠牲陽極が使用されることを可能にし、且つ、印加電流陽極により鋼に高い初期充電を通した後に犠牲陽極がより高い電流を提供することを可能にするため、有益である。必要な場合、陽極の充電が未だに実行され得る。更に、鋼受動性が失われ、犠牲陽極からの電流が鋼を極性化するのに十分でなく、又は、鋼の腐食電位或いは腐食速度の何れかが上記所望のレベルを増加する場合、更なる外部に適用した電流は、組立体の印加電流陽極を介して伝達され得る。組立体はまた、印加電流陽極がオフラインである又は他に機能的でない期間、再充電可能な流電陽極バックアップを備えた印加電流陽極として主に作動する性能を備える。同様に、印加電流陽極は、万が一、犠牲陽極が機能的でなくなると、犠牲陽極に対するバックアップとして作動するのに利用可能であり得る。
【0126】
好ましい構成において、不溶性陽極は、可能な限り1mA/cm2の、高レベルの電流を送達することができる。それ故、電解質の抵抗は好ましくは、ゲルが固体より適切となり得るように、可能な限り低い。相当なレベルの酸素ガスは、陽極壁及び周囲のコンクリートを通って適当に分散する必要のある充電中に、生成され得る。
【0127】
陽極が再充電可能となるために、電解質は、好ましくは非常にアルカリ性である。これにより、過飽和によりZnOとして凝結すると考えられる、亜鉛の溶解後に、溶液中のZn(OH) 2-の高濃度を可能にする。これら反応は、本質的に反応1及び2の逆である、以下の方程式6及び7に述べられる通りであると考えられる。
Zn+4OH→Zn(OH) 2-+2e (6)
Zn(OH) 2-→ZnO+2OH+HO (7)
【0128】
あまりアルカリ性でない、他の電解液も、可溶性又は電気化学的に可動性の亜鉛イオンが存在する限り、適切である。
【0129】
好ましくは、組立体は、非常にイオン導電性であり、且つ犠牲陽極イオンが充電又は再充電中に可動性となるのを可能にするほど、十分な湿気を含む。湿潤剤、ゲル、及び他の吸湿性の材料は、この点に関して有益であり得る。代替的な配置において、犠牲陽極の充電又は再充電は、構造の少なくとも一部及び/又は具体的には充電又は再充電プロセス中に十分な導電性を保つ犠牲陽極に、水又は別の湿潤性溶液を適用することにより、改善され得る。
【0130】
試験は、亜鉛、チタン、銅、鋼、及びステンレス鋼を含む多くの基板上に、亜鉛が堆積され得ることを示してきた。そのため、部分的に放出され、且つ完全に消費された犠牲陽極は、再生成され得る。
【実施例
【0131】
<実施例1>
1つの例において、0.7cmの最小直径を伴う8cmの長さの、鋳造亜鉛陽極を、導電性セラミックの印加電流陽極管の内部でパックされる、ZnO/チキソトロピックのペーストに位置付けた。亜鉛ペーストを、カルボキシメチルセルロースナトリウムの増粘剤と共に、2M KOH及び20%ZnOを備えたLiOHで飽和させた溶液から作成した。亜鉛陽極と28mmチューブの内側との間の空間において、ペーストをパックした。イオンが多孔性の管壁を通過することができ、その結果、たとえ印加電流陽極の内部に位置つけられたとしても、亜鉛陽極は外部鋼鉄筋上に電流を通すことができることが、試験によって示された。続いて、亜鉛の充電は、印加電流陽極と犠牲陽極の間に外部電圧を適用することにより、印加電流の多孔性管状陽極を通るイオンの流れを逆にすることによって、達成され得る。約6-8ボルトの印加電圧は、ちょうど40,000クーロン未満の合計の充電/再充電を達成する内部亜鉛陽極に送達される、1.6Aまでの電流を、結果としてもたらした。驚くことに、亜鉛陽極は、元のものよりも、再充電後に行われた方が優れていた。亜鉛陽極の充電後、亜鉛陽極が鋼に再度接続された時、鋼へと通じる多孔性の管状の印加電流陽極により充電した亜鉛陽極の電流出力及び蓄積した充電出力は、本来の亜鉛陽極と比較して、増大した。性能におけるこの改善の正確な理由は知られていないが、充電後の陽極の電流出力は増大する。
【0132】
図8において、前に記載したような犠牲装置(30)の例が示され、ここで、該装置は、28mmの直径の多孔性の導電性印加電流陽極(32)の内部に、鋳造亜鉛コア(31)を含む。上端部は、多孔状を形成する付属のディスク(33)によって閉じられ、下端部は、多孔性ファブリックキャップ(36)によって閉じられる。コア(31)と円筒状陽極(32)に、LiOH+2M KOH+20%ZnO+カルボキシメチルセルロースナトリウムのフィラー材(35)が提供される。上述のような接続のために、コアを鋼線(34)に付ける。
【0133】
図9は、a)もともと作られるような陽極を備え、b)多孔性の導電性印加電流陽極を介する充電期間後の陽極を備える鋼への、図8の陽極の電流出力のグラフである。
【0134】
図10は、a)もともと作られるような陽極を備え、b)多孔性の導電性印加電流陽極を介する充電期間後の鋼への、陽極の蓄積した充電出力のグラフである。
【0135】
<実施例2>
原位置で陽極を充電/再充電する能力を実証するための組立体(49)を、図11に示されるように構築した。それは、非常にアルカリ性の(7モーラー OH-)ゲル(51)に部分的に浸された、亜鉛ワイヤー(50)から成る。原位置で形成される犠牲陽極のための銅線コネクタ(53)も、同じゲルに浸した。繊維織物(55)及びイオン導電性膜(56)の層によって、内面的及び外面的の両方で並べられる、穿孔したプラスチックチューブ(54)内にゲルが包含された。外部織物とチューブの間で、混合金属酸化物(MMO)でコーティングしたチタンメッシュ(57)が周辺に固定され、それは、片側に取り付けられるチタン接続ワイヤー(58)を備えた。全体の組立体を、LiOHが豊富なモルタル(59)で覆った。
【0136】
全体の組立体がセメントモルタル(59)内に覆われることを確実にする、80mm×50mm×40mmの高さのセメントモルタルプリズムにおいて中心的に、陽極組立体(49)を鋳造した。図12に示されるように、その後、アルカリ性溶液(60)でほぼプリズムの高さまで満たされる、より大きな容器(61)にプリズムを入れた。MMOでコーティングしたチタンの外部メッシュ(62)を、金属部分として作用するために容器の周囲に沿って配置した。亜鉛ワイヤー(50)を、外部チタンメッシュ(62)に電気的に接続した。その後、組立体(49)は、外部チタンメッシュ(金属部分)に電流を通し、且つ利用可能な亜鉛が全て消費されるまで亜鉛腐食生成物を生成する、流電陽極として作用すると見なされた。
【0137】
その後、外部電源(図示せず)を、銅が陰極であることを確実にする陽極組立体(49)及び銅線(53)の中の、内部のMMOでコーティングしたチタンメッシュ陽極(57)に接続した。この充電工程中に犠牲陽極を形成するために、消費された(腐食した)亜鉛ワイヤー(50)からの亜鉛腐食生成物は、銅線(53)に堆積した。銅線(53)の接続後、現在、堆積した亜鉛及び外部のMMOでコーティングしたチタンメッシュ(金属部分)を運ぶことで、充電した陽極(53)と金属部分(62)の間に電流が通ることが可能となった。充電した陽極(堆積した亜鉛を備えた銅線)によって生じた電流は、本来の亜鉛ワイヤーによって生成された電流に匹敵した。亜鉛ワイヤー、及び銅線上に堆積し亜鉛の元の「放電」によって生じた電流の比較を、表1に示す。
【0138】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12