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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】衝撃感知部材および低温液体容器
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/00 20060101AFI20220111BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20220111BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G01P15/00 C
G01L5/00 F
B65D25/20 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020021194
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021128008
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2021-08-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520050473
【氏名又は名称】低温機器販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】原田 順平
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-530160(JP,A)
【文献】特開2019-174355(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0275156(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第1990642(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P15/00-15/18
G01L 5/00- 5/28
B65D25/20-25/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃を受けた履歴の監視が必要な対象物に取り付けられる基体部を備え、
前記基体部に、
衝撃を感知するセンサが配置された、板状に突出したセンサ配置部と、
前記センサ配置部に対して前記センサを視認する側に張り出し、前記センサに他物が当接するのを防止する保護部と、が設けられた衝撃感知部材。
【請求項2】
前記センサ配置部が複数設けられ、夫々のセンサ配置部に配置された前記センサの配置方向が互いに異ならせてある請求項1に記載の衝撃感知部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の衝撃感知部材が取り付けられた低温液体容器。
【請求項4】
前記基体部および前記センサ配置部が樹脂材料で構成されている請求項3に記載の低温液体容器。
【請求項5】
前記センサ配置部が前記基体部から突出した板状に形成され、前記センサ配置部の一方の面に前記センサが取り付けられている請求項3または4に記載の低温液体容器。
【請求項6】
前記基体部が環状であり、当該基体部を、容器本体の頂部に設けられた充填・取出通路の周囲、あるいは、前記容器本体の頂部から突出した状態に設けられた液面計の周囲に外挿させつつ取り付けてある請求項3から5の何れか一項に記載の低温液体容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過去に所定の衝撃が対象物に作用したか否かを監視すべく当該対象物に取り付けられる衝撃感知部材、および、当該衝撃感知部材が取り付けられた特に低温液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、精密機器や陶磁器などが使用中や輸送中において振動や他物との衝突によって衝撃を受けた場合、損傷や機能の損失が生じる可能性がある。例えば、精密機器が衝撃を受けた場合、複数の機能のうち何れかの機能が損なわれたり、また、既に輸送用の梱包を終えた陶磁器が衝撃を受けた場合には、梱包の内部でひび割れが発生したりする場合がある。このような場合、何れの機能が損なわれているかを特定したり、一旦終了している梱包を解いたりするのは非常に煩雑である。
【0003】
そのため従来から、監視対象物に衝撃が作用したか否かを判別するために、例えば以下の特許文献1(〔0005〕乃至〔0007〕、〔0024〕乃至〔0028〕段落など参照)に示すセンサが用いられている。
【0004】
このセンサは、例えば、携帯電話やコンピュータなどの電子デバイスに取り付けられ、力の方向に関係なく著しい衝撃を受けたことをインジケータによって知ることができる。インジケータには、衝撃を受けて構成が変化する固体材料等が内装されている。固体材料は、例えば、トナー粉末粒子、タルク、穀粉、顔料、粘土、セラミックス、アルミナ、金属などが用いられ、衝撃を受ける前には凝集状態に設定される。センサに衝撃力が作用すると、凝集状態にあった粉末等が崩壊し、破損して分散する。この状態の変化がインジケータの外観の変化として現れる。
【0005】
このセンサは、例えば粘着テープなどを用いて精密機械や梱包ケースの表面などに貼り付けて使用する。このようなセンサを用いることで、監視対象物に衝撃が作用したか否かを確実に判別できるとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2005-530160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ただし、衝撃を受けた履歴を監視すべき対象物の中には構造や使用態様が特殊なものがある。例えば極低温の液体窒素や液体アルゴンを充填して搬送する低温液体容器は、保温性を確保するために内側容器と容器本体を備えた二重構造である。特に内側容器は、容器頂部の充填・取出通路を介して容器本体の内部に吊り下げられた構造となっており、容器の転倒に対しては極めて脆弱である。
【0008】
この低温液体容器は運搬中や使用中には他の容器や他物などと接触する機会が多く、上記衝撃監視用のセンサを取り付けるとすれば容器の頂部近傍の位置に限定されると予測される。ただし、頂部近傍には、センサを取り付けるのに適した平面部が存在しない。また、頂部近傍には低温液体の充填・取出通路が設けられており、低温液体の充填・取り出しに際して頂部近傍の部材は極めて低温になることがある。
【0009】
特許文献1のセンサは、センサに所定の衝撃が伝達されることで反応し外観が変化する。ただし、それとは別に他物が直にセンサに当接すると、衝撃値が所定値より小さくてもセンサが反応し或いは損傷することがある。また、センサを何れかの場所に貼付する際に、センサ自体が撓むことでも容易に反応する。よって、上記特許文献1に記載されたセンサをそのまま低温液体容器の外面に適用することは困難である。
【0010】
また、センサのタイプによってはインジケータの内部に流体を充填するものもある。その場合、流体が粘性流体として挙動する必要があるため、インジケータの表示機能が適切に発揮されるためには流体の使用温度が重要となる。(〔0062〕~〔0072〕段落参照)。しかしながら、低温液体容器の頂部近傍の温度はこれら液体の充填・取出作業に際して適正温度範囲から外れてしまうおそれがある。その場合、衝撃作用の履歴を正確に監視することができなくなる。
【0011】
このように、従来の衝撃感知部材にあっては種々の改善すべき点があり、監視すべき対象物に取り付けられた状態で損傷し難く、センサ機能が確実に発揮される衝撃感知部材が求められており、特には、当該衝撃感知部材を備えた低温液体容器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(特徴構成)
本発明に係る衝撃感知部材の特徴構成は、
衝撃を受けた履歴の監視が必要な対象物に取り付けられる基体部を備え、
前記基体部に、
衝撃を感知するセンサが配置された、板状に突出したセンサ配置部と、
前記センサ配置部に対して前記センサを視認する側に張り出し、前記センサに他物が当接するのを防止する保護部と、が設けられた点にある。
【0013】
(効果)
本構成のように基体部から板状に突出したセンサ配置部を備えると共に、センサ配置部に対してセンサを視認する側に張り出した保護部を設けることで、センサの視認性が高まり、対象物に取り付けたセンサに対する他物の当接を防止することができる。よって、センサの不意の破損が防止され、所定の衝撃がセンサに作用するまでセンサの機能を維持することができる。
【0014】
(特徴構成)
本構成の衝撃感知部材においては、前記センサ配置部が複数設けられ、夫々のセンサ配置部に配置された前記センサの配置方向が互いに異ならせてあると好都合である。
【0015】
(効果)
当該衝撃感知部材に用いるセンサの構造によっては、作用する衝撃の方向によって感度が異なる場合がある。そのため、本構成のようにセンサを複数方向に配置することで、対象物に作用する衝撃をより確実に感知することができる。
【0016】
(特徴構成)
本構成の衝撃感知部材は低温液体容器に用いることができる。
【0017】
(効果)
低温液体容器は、保温機能を奏する必要から容器本体と内側容器を備え、内側容器の頂部に設けた充填・取出通路が容器本体に吊り下げられるように接続されている。この接続部位は、仮に低温液体容器が転倒などして強い衝撃を受けると破損して気密性が損なわれる可能性がある。ただし、この部位は外部から視認することができず、破損が生じているか否かは別途気密試験などを行う必要がある。また、仮に気密性が損なわれていた場合でも、当該接続部を溶接修理するなど入熱を伴う修理作業は不可とされており、当該低温液体容器は廃棄処分とされることが多い。
【0018】
よって、衝撃感知部材を用いることで、低温液体容器の破損の可能性を精度よく知ることができ、低温液体容器の保守・管理作業を効率化することができる。
【0019】
(特徴構成)
本構成の低温液体容器においては、前記基体部および前記センサ配置部が樹脂材料で構成されていると好都合である。
【0020】
(効果)
低温液体容器に対して低温液体の充填あるいは取り出しを行う場合、充填・取出通路の近傍の部位が極めて低温状態になることがある。衝撃感知部材は充填・取出通路の近傍に位置するためセンサも低温となる可能性が高い。その場合、センサの構造によってはセンサが正確に機能しなくなるおそれがある。
【0021】
そこで、本構成では衝撃感知部材の基体部およびセンサ配置部を樹脂材料で構成する。樹脂材料は金属部材に比べて熱伝導率が低い。よって、センサの低温化が抑制され、センサの感知機能を適切に維持することができる。
【0022】
(特徴構成)
本構成の低温液体容器においては、前記センサ配置部が前記基体部から突出した板状に形成され、前記センサ配置部の一方の面に前記センサを取り付ける構成とすることができる。
【0023】
(効果)
本構成のようにセンサ配置部の形状を板状とし、その一方面にセンサを取り付けることで、他の反対面が空気に触れる構造となる。このため、仮にセンサ配置部の温度が基体部からの熱伝導によって低下しても上記反対面からの吸熱が可能となる。よってセンサ配置部の温度低下を抑制してセンサの温度を適切に維持し、センサを正常に機能させることができる。
【0024】
(特徴構成)
本構成の低温液体容器においては、前記基体部が環状とし、当該基体部を、容器本体の頂部に設けられた充填・取出通路の周囲、あるいは、前記容器本体の頂部から突出した状態に設けられた液面計の周囲に外挿させつつ取り付けるよう構成することができる。
【0025】
(効果)
通常、低温液体容器の中央部には低温液体の充填・取出通路が設けられ、ここには低温液体の充填量を示す液面計が取り付けられていることが多い。また、これら部材の周辺には、低温液体の充填・取出作業の都合上、および、液面計の視認性確保の都合上、他物が近接配置されていることが少ない。さらに、これら部材は、損傷を防止するためなどの目的から丁寧に取り扱われることが多い。
【0026】
そこで、本構成のように、充填・取出通路や液面計の周囲に環状の基体部を設けることで、衝撃感知部材の視認性を高め、他物との当接などによるセンサの損傷発生のおそれを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態に係る衝撃感知部材の構成を示す説明図
図2】第1実施形態に係る衝撃感知部材の使用例を示す説明図
図3】第1実施形態に係る衝撃感知部材の使用例を示す説明図
図4】第2実施形態に係る衝撃感知部材の構成を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1実施形態〕
(全体概要)
図1に、本発明の第1実施形態に係る衝撃感知部材Uを示す。また、図2及び図3には、当該衝撃感知部材Uを取り付ける対象物Cとして可搬式の低温液体容器Caに取り付けた例を示す。
【0029】
本実施形態の衝撃感知部材Uは、衝撃を受けた履歴の監視が必要な各種の対象物Cに取り付けて用いられる。衝撃感知部材Uは、全体のベースとなる基体部Bを備え、この基体部Bにセンサ配置部Pが設けられている。センサ配置部Pには、衝撃を受けて反応する各種のセンサSを取り付けておく。センサSは、感知すべき衝撃に応じた市販のものを適宜選択すると良い。
【0030】
(基体部)
図1に示す基体部Bは、例えば環状かつ平板状に構成してある。これにより、対象物Cの平面状の表面に対する取り付けや、棒状の部材に外挿した状態での取り付けが可能になる。基体部Bは、図1に示すように、例えば、第1基体部B1と第2基体部B2とで構成する。これらは、複数設けた取付孔1を利用してネジ2により締結することができる。取付孔1は例えば単なる貫通穴に構成してあり、ネジ2の挿通方向は上下何れの方向でもよい。尚、図1では、二つのネジ2を別方向に記してあるが、周囲の取付環境などに応じて夫々任意の方向に固定すればよい。
【0031】
基体部Bは、その他に粘着テープや接着剤を用いて対象物Cに固定することもできる。また、基体部Bは矩形状の平板部材で構成しても良いし、中央に開口を設けなくても良く、各種任意の形状をとることができる。
【0032】
(センサ配置部)
センサ配置部Pは、衝撃感知可能な各種のセンサSを取り付ける部位である。図1に示すように、センサ配置部Pには、平面状のセンサ取付面Fを設けてあり、接着剤や粘着テープを用いたセンサSの取り付けを容易にしている。
【0033】
また、センサ配置部Pも平板状とし、センサ取付面Fが基体部Bの平面に対して直角となるように構成してある。これによりセンサSの視認性を高めることができる。
【0034】
図1に示す例では、センサ配置部Pを三箇所に設け、夫々の対向方向を120度ずつ異ならせてある。センサSは、作用した衝撃の強さを示す値が所定の範囲にある場合に反応するが、その場合でも、センサSの構造によっては、衝撃の作用方向に対して感度が異なる。よって、センサSを複数方向に配置することで、対象物Cに作用する衝撃をより確実に感知することができる。
【0035】
また、衝撃の強さや作用方向によっては全てのセンサSが反応する場合がある。そのような場合には、全てのセンサSを確認するまでもなく何れか一つのセンサSの表示によって衝撃の作用履歴を把握することができる。よって、複数のセンサ配置部Pを設けておくことでセンサSの確認作業が簡略化される。
【0036】
(保護部)
図1の例では、センサ配置部Pが、基体部Bの縁部から所定の距離だけ引退した位置に設けてある。つまり、センサSの表面が基体部Bの縁部から内側に引退した位置となるように設定する。
【0037】
センサSは、通常、感知範囲内にある所定の衝撃を受けて発色状態等を変化させる。よって、想定される強さの衝撃やそれ以上の衝撃に対しても十分な強度を備えているものが多い。ただし、当該所定の強さに達しない衝撃であっても仮に他物がセンサSに直に接触すると、センサSの表面被膜が損傷するなどセンサSが損傷する場合がある。
【0038】
そこで本実施形態では、センサ配置部Pに対してセンサSを視認する側に位置し、センサSに他物が当接するのを防止する保護部Gを設けてある。図1に示す例では、センサ取付面Fの前に存在する基体部Bの張り出し部分が保護部Gとなる。
【0039】
このような保護部Gを設けることで、他物がセンサSに当接し難くなり、センサSの不意の破損が防止される。
【0040】
(実施例)
図2および図3には、図1に示した環状の基体部Bを有する衝撃感知部材Uを可搬式の低温液体容器Caに取り付けた例を示す。低温液体容器Caの上部には取手3が設けられ、その内部に低温液体を取り出す充填・取出通路Rや液面計Lが設けられている。
【0041】
低温液体容器Caのうち低温液体を貯留する部位である容器本体Ca1は、保温機能を奏する必要から内側容器Ca2を備えている。このうち内側容器Ca2の頂部に設けた充填・取出通路Rが容器本体Ca1の外部に通じるよう、内側容器Ca2が容器本体Ca1に吊り下げられた状態で接続されている。
【0042】
内側容器Ca2は、低温液体の充填・取出し時に温度変化するため容器本体Ca1に対して相対位置が変化する。そのため、容器本体Ca1の底部には例えば筒状の凹部4を設け、内側容器Ca2の底部には凸部5を設けて、両者が上下方向にスライド可能に構成してある。
【0043】
充填・取出通路Rにおける容器本体Ca1と内側容器Ca2との接続部位は、低温液体容器Caが転倒などして強い衝撃を受けると、破損して気密性が損なわれる場合がある。ただし、この接続部位は外部から視認することができず、破損が生じているか否かは別途気密試験などを行って確認する必要がある。また、仮に気密性が損なわれていた場合でも、当該接続部位を溶接修理するなど入熱を伴う修理作業は不可とされており、当該低温液体容器Caは廃棄処分とされることが多い。そこで、衝撃感知部材Uを用いることで、低温液体容器Caの破損の可能性を精度よく知ることができ、低温液体容器Caの保守・管理作業を効率化することができる。
【0044】
通常、低温液体の充填・取出通路Rには低温液体の充填量を示す例えば筒状の液面計Lが取り付けられていることが多い。液面計Lは、充填・取出通路Rに接続された液面計アダプターL2に取り付けられている。液面計Lの周辺には、低温液体の充填・取出作業の都合上や液面計Lの視認性確保のため他物が近接配置されていることは少ない。そこで本実施形態では、環状の基体部Bを液面計アダプターL2の根元部に外挿させつつ固定することとした。
【0045】
図3に示すように、液面計Lは、周囲を透明な保護管L1で覆われている。保護管L1は、そのフランジ部L1fが、液面計アダプターL2の上端にあるフランジ部L2fに載置された状態で固定されている。衝撃感知部材Uは、フランジ部L2fの下面に配置され、ネジ2を用いて共締めされている。尚、図2および図3における衝撃感知部材Uの姿勢は、図1に示した状態と上下が逆である。
【0046】
ネジ2は、液面計アダプターL2のフランジ部L2fに螺合する構成であり、保護管L1のフランジ部L1fが、まずネジ2によってフランジ部L2fに固定される。この状態でフランジ部L2fから下方に突出したネジ2に基体部Bを挿通し、ナット6によって固定する。尚、この他の構成として、フランジ部L2fには単なる貫通孔を設けておき、ネジ2とナット6とで、二つのフランジ部L1f・L2fと基体部Bを一度に締結するものであっても良い。
【0047】
基体部Bの外径寸法はフランジ部L2fの外径寸法と略同じである。本実施形態の基体部Bは例えば樹脂材料で構成してあるが、金属製のフランジ部L2fと同径にすることで、仮に他物が当接した場合でも基体部Bの損傷が防止される。
【0048】
尚、このように衝撃感知部材Uをフランジ部L2fの下面に取り付けたことで、衝撃感知部材Uの下方には容器本体Ca1の上面が近接した状態となる。さらに、容器本体Ca1の上面の周囲には環状の取手3が配置されている。よって、他物が衝撃感知部材Uに当接する可能性が低減し、衝撃感知部材Uの耐久性が向上する。
【0049】
基体部Bをフランジ部L2fの下面に取り付ける場合、図1に示すように、基体部Bを例えば二つの半円弧状の第1基体部B1と第2基体部B2とで構成し、これらを合体させる構成にするとよい。これにより取付作業が容易となる。第1基体部B1および第2基体部B2の夫々の両端部には段部Baと取付孔1を形成しておき、第1基体部B1および第2基体部B2の段部Baどうしを重ねた状態で取付孔1が貫通するようにする。その後、これら段部Baのものを含む例えば三つの取付孔1とネジ2によって基体部Bを固定する。本構成であれば、第1基体部B1および第2基体部B2は、液面計アダプターL2の径方向から位置決めすることができ、衝撃感知部材Uの取付作業が簡略化される。
【0050】
尚、図1に示すように、二箇所の段部Baは、基体部Bを二つに分離するラインが同一の直線上に位置するように構成してある。また、段部Baの張り出し形状は、第1基体部B1あるいは第2基体部B2について共に上方あるいは下方になるように構成してある。例えば、図3に示すように上方からネジ2が挿通される場合、フランジ部L2fに段部Baが完全に当接する状態となるように、まず第1基体部B1を配置する。この状態で、段部Baとは異なる位置にある取付孔1のネジ2にナット6を螺合させ、第1基体部B1をフランジ部L2fに仮固定する。続いて第1基体部B1の下方から第2基体部B2を重ね配置し、残りの二つの取付孔1のネジ2にナット6を螺合させることで第1基体部B1および第2基体部B2を簡単に固定することができる。
【0051】
本実施形態の衝撃感知部材Uを低温液体容器Caに装着する場合、基体部Bおよびセンサ配置部Pが樹脂材料で構成されていると好都合である。
【0052】
低温液体容器Caに対して低温液体の充填あるいは取り出しを行う場合、充填・取出通路Rの近傍の部位が極めて低温状態になることがある。衝撃感知部材Uは充填・取出通路Rの近傍に位置するためセンサSも低温となる可能性が高い。その場合、センサSの構造によってはセンサSが正確に機能しなくなるおそれがある。
【0053】
そこで、基体部Bおよびセンサ配置部Pを樹脂材料で構成する。樹脂材料は金属部材等と比べて熱伝導率が低い。よって、センサSの低温化が抑制され、センサSの感知機能を適切に維持することができる。
【0054】
さらに、衝撃感知部材Uを低温液体容器Caに装着する場合、板状のセンサ配置部Pが基体部Bから突出した状態に設けられていると好都合である。
【0055】
センサ配置部Pの形状を板状とし、その一方面にセンサSを取り付けることで、他の反対面が空気に触れる構造となる。このため、仮にセンサ配置部Pの温度が基体部Bからの熱伝導によって低下しても、その反対面からの吸熱が可能となる。よって、センサ配置部Pの温度低下を抑制してセンサSの温度を適正範囲に設定し、センサSの機能を良好に維持することができる。
【0056】
尚、これまで示した基体部Bの形状・材質等については、センサ配置部Pの保護機能および低温化防止機能が得られるものであれば適宜変更することができる。
【0057】
〔第2実施形態〕
衝撃感知部材Uの別実施形態としては、図4に示すように、基体部BにはセンサSを一つだけ備えた構成にすることもできる。即ち、基体部Bおよびセンサ配置部Pともに二つの平板状の部位で構成し、互いに直角となるように設けた点は上記実施形態と同じである。ここでも基体部Bの一部が保護部Gとなる。
【0058】
取付孔1は、基体部Bの両端部に夫々設けてある。ただし、取付孔1は、基体部Bの何れの個所に設けても良いし、設けた取付孔1のうち一つだけを用いるものであっても良い。
【0059】
また、本実施形態では、センサ配置部Pの背面位置を基体部Bの縁部と一致させ、センサ配置部Pの両端にも取付孔1を設けてある。これにより、センサ配置部Pの裏面が対象物Cに対する取付面となる。
【0060】
尚、図4の例では、センサ配置部Pの裏面は曲面に構成してある。これにより、仮に対象物Cの表面が円筒面であってもセンサ配置部Pの取り付けが安定する。また、対象物Cの表面が曲面である場合に、センサ配置部Pの裏面との曲率が一致するとは限らない。よって、センサ配置部Pの長さを基体部Bの長さよりも短く構成し、対象物Cの表面とセンサ配置部Pとの隙間が過大になることを防止している。
【0061】
さらに、対象物Cに対する基体部Bあるいはセンサ配置部Pの取付方法は、ネジ締結の他、粘着テープや接着剤を用いるものなど各種の方法が採用可能である。衝撃感知部材Uを構成する材料は、樹脂材料・金属など各種のものを使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る衝撃感知部材は、衝撃の作用履歴の把握が求められる対象物に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
B 基体部
C 対象物
Ca 低温液体容器
Ca1 容器本体
G 保護部
L 液面計
P センサ配置部
R 充填・取出通路
S センサ
U 衝撃感知部材
図1
図2
図3
図4