(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】力覚センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 5/16 20200101AFI20220111BHJP
G01L 1/22 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G01L5/16
G01L1/22 M
(21)【出願番号】P 2020034607
(22)【出願日】2020-03-02
【審査請求日】2021-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】509006820
【氏名又は名称】株式会社レプトリノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】向井 優
(72)【発明者】
【氏名】由井 夏樹
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-163405(JP,A)
【文献】米国特許第04763531(US,A)
【文献】特開2014-119374(JP,A)
【文献】特開2004-045048(JP,A)
【文献】特開2016-070673(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0045372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/22
G01L 5/16-5/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1歪みゲージが配設された第1主面を有する第1起歪体と、複数の第2歪みゲージが配設された第2主面を有する第2起歪体とを備え、前記第1起歪体と前記第2起歪体とは、前記第1主面と前記第2主面とが互いに外向きまたは互いに内向きで連結固定されて
おり、前記第1起歪体と前記第2起歪体とは、中心軸上に位置する受力部と前記受力部に対して固定される固定部と前記受力部と前記固定部とを連結する3つのビーム部とをそれぞれ有する同一構造で前記中心軸に対して回転対称となる形状の板状体であり、前記第1歪みゲージと前記第2歪みゲージとは、前記ビーム部における互いに対称となる位置の4つによって所定方向の力成分を検出するブリッジ回路が構成されるようにそれぞれ配設されており、前記第1起歪体と前記第2起歪体との間に、X軸方向の力成分、Y軸方向の力成分、Z軸方向の力成分、X軸周りのモーメント成分、Y軸周りのモーメント成分、およびZ軸周りのモーメント成分に応じて変形可能な材質および形状からなる中間体が配設されていること
を特徴とする力覚センサ。
【請求項2】
前記第1起歪体に連結固定されるベースと、前記第2起歪体に連結固定されるテーブルとを備え、前記中間体の厚みは、前記第1起歪体の厚みよりもが大きく、かつ、前記第2起歪体の厚みよりも大きいこと
を特徴とする請求項1に記載の力覚センサ。
【請求項3】
前記第1主面の反対側の第3主面には歪みゲージが配設されておらず、前記第2主面の反対側の第4主面には歪みゲージが配設されておらず、前記中間体は、前記第3主面と前記第4主面との間に配設されていること
を特徴とする請求項1または2に記載の力覚センサ。
【請求項4】
前記第1起歪体と前記第2起歪体とは
、Fe-Co-Si-B-Nb系の金属ガラスからなること
を特徴とする請求項1
~3のいずれか一項に記載の力覚センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歪みゲージ式の力覚センサに関する。
【背景技術】
【0002】
歪みゲージ式の力覚センサは、計測機器や産業用ロボット等の高度な制御に用いられている。既知の6軸力覚センサは、起歪体のアーム部における上面、下面、右側面及び左側面の合計4つの面にそれぞれ複数の歪みゲージを配設していた。そのため、多数の歪みゲージを設けることになり、また、それら歪みゲージの配線が非常に複雑となってしまうため、高価格であった。そこで、起歪体における表面と裏面の合計2つの面に所定配置でそれぞれ複数の歪みゲージを設ける構成の力覚センサが提案されている(特許文献1:特許第6047703号公報参照)。また、起歪体における主面のみに所定配置でそれぞれ複数の歪みゲージを設ける構成の力覚センサが提案されている(特許文献2:特許第6378381号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6047703号公報
【文献】特許第6378381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成は、上面に配設された複数の歪みゲージの配置と下面に配設された複数の歪みゲージの配置とが平面視で一致するように配設されていることが検出精度を確保する上で重要である。しかし、歪みゲージの位置ずれや抵抗値のばらつきが生じ易いという問題がある。一方、特許文献2に記載の構成は、起歪体における歪みゲージが配設された主面と反対側の面との外力による変形の仕方が異なるため、特許文献1に記載の力覚センサに比べて対称性が劣るという問題がある。そのため、歪みゲージのさらなる位置精度の向上による検出精度の向上が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、複数の歪みゲージの位置ずれや抵抗値のばらつきが大幅に改善されたことで、力ならびにモーメントを高精度に検出できる構成の力覚センサを提供することを目的とする。
【0006】
一実施形態として、以下に開示するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0007】
本発明に係る力覚センサは、 複数の第1歪みゲージが配設された第1主面を有する第1起歪体と、複数の第2歪みゲージが配設された第2主面を有する第2起歪体とを備え、前記第1起歪体と前記第2起歪体とは、前記第1主面と前記第2主面とが互いに外向きまたは互いに内向きで連結固定されており、前記第1起歪体と前記第2起歪体とは、中心軸上に位置する受力部と前記受力部に対して固定される固定部と前記受力部と前記固定部とを連結する3つのビーム部とをそれぞれ有する同一構造で前記中心軸に対して回転対称となる形状の板状体であり、前記第1歪みゲージと前記第2歪みゲージとは、前記ビーム部における互いに対称となる位置の4つによって所定方向の力成分を検出するブリッジ回路が構成されるようにそれぞれ配設されており、前記第1起歪体と前記第2起歪体との間に、X軸方向の力成分、Y軸方向の力成分、Z軸方向の力成分、X軸周りのモーメント成分、Y軸周りのモーメント成分、およびZ軸周りのモーメント成分に応じて変形可能な材質および形状からなる中間体が配設されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第1起歪体及び第2起歪体は、第1主面に配設された複数の第1歪みゲージの配置と第2主面に配設された複数の第2歪みゲージの配置とが平面視で一致するように配設された状態で連結固定されるので、位置ずれが大幅に改善されて力ならびにモーメントを高精度に検出できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、位置ずれが大幅に改善されて生産性が向上するとともに力ならびにモーメントを高精度に検出できる力覚センサが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は本発明の第1の実施形態に係る力覚センサの例を示す概略の斜視図である。
【
図2】
図2は
図1に示す力覚センサの概略の構造展開図である。
【
図3】
図3は
図1に示す力覚センサの概略の構造展開図である。
【
図4】
図4Aは
図1に示す力覚センサにおける第1起歪体の概略の斜視図であり、
図4Bは
図1に示す力覚センサにおける第2起歪体の概略の斜視図である。
【
図5】
図5は本発明の第2の実施形態に係る力覚センサの例を示す概略の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。本実施形態の力覚センサ1は、三次元空間の直交座標系(X軸、Y軸、Z軸)の3軸方向の力成分Fx、Fy、Fzと、その3軸回りのモーメント成分Mx、My、Mzの計6成分を同時に検出することができる6軸力覚センサである。本実施形態の力覚センサ1(1A)は、中心軸P1に対して回転対称となる位置に、破線で囲んだ部分で示されるビーム部11eが3つ備わっている場合の例である。
【0012】
図1は、本実施形態に係る力覚センサ1Aの例を示す概略の斜視図であり、
図2は斜め上方から見た力覚センサ1Aの概略の構造展開図であり、
図3は斜め下方から見た力覚センサ1Aの概略の構造展開図である(信号処理部および配線は不図示)。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0013】
図1~
図3に示すように、力覚センサ1Aは、複数の第1歪みゲージ31~34が配設された第1主面11aを有する第1起歪体11と、複数の第2歪みゲージ41~44が配設された第2主面12aを有する第2起歪体12と、第1起歪体11と第2起歪体12との間に配設された中間体13とを備えており、中間体13を挟んで第1起歪体11と第2起歪体12とが固定部材51によって連結固定されている。この例では、テーブル14およびベース15が備わっており、テーブル14と第2起歪体12とがボルトなどの固定部材52によって連結固定されており、第1起歪体11とベース15とがボルトなどの固定部材51によって連結固定されている。なお、固定部材51や固定部材52に代えて、接着剤などで接着固定することも可能である。
【0014】
第1起歪体11と第2起歪体12とは、第1主面11aと第2主面12aとが互いに外向きまたは互いに内向きで連結固定されている構成である。
図1~
図3に示す例では、第1主面11aと第2主面12aとが互いに外向きで連結固定されている。ここでは、第1主面11aは図中のZ軸方向の矢印と同じ向きになっており、第2主面12aは図中のZ軸方向の矢印と反対向きになっている。そして、テーブル14の下側は凹部14aが形成されており、また、ベースの上側は凹部15aが形成されおり、第1起歪体11および第2起歪体12の力による変形を妨げない構成になっている。上記以外の構成として、第1起歪体11と第2起歪体12とは、第1主面11aと第2主面12aとが互いに内向きで連結固定されている場合がある。
【0015】
一例として、第1起歪体11と第2起歪体12とは、NC加工機を用いてアルミニウム合金、合金鋼、ステンレス鋼などバネ性のある材料に貫通孔などを形成することによって得られる。一例として、第1起歪体11および第2起歪体12は、外形が円形の板状体に切削加工、レーザ加工、または放電加工若しくはこれらの複合加工等を施して成形される。
【0016】
一例として、第1起歪体11および第2起歪体12は、金属ガラスからなる。一例として、第1起歪体11と第2起歪体12とは、金型などを用いてアモルファス金属を形成することによって得られた金属ガラスからなる。金属ガラスはナノオーダーで金型の成型面を転写できることから、第1起歪体11の造形と同時に絶縁層を設けるための第1主面11aを鏡面にすることができ、また、第2起歪体12の造形と同時に絶縁層を設けるための第2主面12aを鏡面にすることができる。よって、第1起歪体11および第2起歪体12の加工時間を大幅に短縮することが可能になる。一例として、第1起歪体11と第2起歪体12とは、Fe-Co-Si-B-Nb系金属ガラスからなる。なお、上記の構成に限定されず、既知の材料を用いた既知の製造方法によって第1起歪体11と第2起歪体12とを製造する場合がある。
【0017】
一例として、第1歪みゲージ31~34および第2歪みゲージ41~44は、Cu-Ni系合金やNi-Cr系合金の金属薄膜の配線パターンを、ポリイミドフィルムやエポキシフィルムで覆った構成の場合があり、半導体薄膜を用いた構成の場合がある。一例として、スパッタリング法や真空蒸着法を用いて金属薄膜からなる歪みゲージを直接形成した構成の場合がある。
【0018】
図4Aは第1起歪体11の概略の斜視図であり、
図4Bは第2起歪体12の概略の斜視図である。第1起歪体11と第2起歪体12とは中心軸P1に対して回転対称となる形状の板状体である。第1起歪体11は、中心軸P1上に位置する受力部11cと、受力部11cに対して固定される固定部11dと、受力部11cと固定部11dとを連結するビーム部11eとを有する。同様に、第2起歪体12は、中心軸P1上に位置する受力部12cと、受力部12cに対して固定される固定部12dと、受力部12cと固定部12dとを連結するビーム部12eとを有する。受力部11c、ビーム部11eおよび固定部11dは、一体構造体である。第1起歪体11は、受力部11cおよび固定部11dを剛体とみなしたときにビーム部11eが弾性体とみなせるように各部のサイズが設定される。第2起歪体12についても同様である。
【0019】
本実施形態は、第1起歪体11と第2起歪体12とは同一構造である。これにより、対称性が維持できるとともに、部品の種類を増やすことなく、生産性が向上する。一例として、第1起歪体11と第2起歪体12とは同一構造であるとともに、同一材料からなる。これにより、対称性に優れた起歪体を低コストで製造することが容易にできる。一例として、中間体13を設けたことによって、配線や回路基板の配置に必要なスペース(隙間)を設けることが容易にできる。そして、第1起歪体11の第3主面11bおよび第2起歪体12の第4主面12bを活用してブリッジ回路の配線をすることが容易にできる。
【0020】
一例として、第1歪みゲージ31~34および第2歪みゲージ41~44は、同一材質のスパッタ膜または同一材質の蒸着膜からなる。これにより、対称性が維持できるとともに、生産性が向上し、製造ばらつきを極力抑えた構成にできる。一例として、第1歪みゲージ31~34および第2歪みゲージ41~44は一括同時形成した構成にできる。これにより、第1歪みゲージ31~34および第2歪みゲージ41~44の抵抗値を均一に揃えた構成にできる。なお、上記の構成に限定されず、第1歪みゲージ31~34および第2歪みゲージ41~44を板状、シート状またはフィルム状にしてそれぞれ接着した構成の場合がある。
【0021】
第1歪みゲージ31~34は、各ビーム部11eにおける互いに対称となる位置の4つによって所定方向の力成分を検出するブリッジ回路が構成されるようにそれぞれ配設されている。同様に、第2歪みゲージ41~44は、各ビーム部12eにおける互いに対称となる位置の4つによって所定方向の力成分を検出するブリッジ回路が構成されるようにそれぞれ配設されている。これらブリッジ回路の構成方法としては、上述の特許文献1など既知の技術が適用できる。
【0022】
本実施形態は、第1起歪体11と第2起歪体12との間に、X軸方向の力成分Fx、Y軸方向の力成分Fy、Z軸方向の力成分Fz、X軸周りのモーメント成分Mx、Y軸周りのモーメント成分My、およびZ軸周りのモーメント成分Mzに応じて変形可能な材質および形状からなる中間体13が配設されている。中間体13は、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向の力成分Fx、Fy、Fzと、その3軸回りのモーメント成分Mx、My、Mzの計6成分に応じて線形に変形可能な構造体である。本実施形態によれば、中間体13を配したことで、中間体13の材質、形状、厚み、枚数を任意に設定することによって、所望の定格容量にすることができる。
【0023】
一例として、中間体13と第1起歪体11と第2起歪体12とは平面視で同一形状である。一例として、中間体13と第1起歪体11と第2起歪体12とは同一構造である。これにより、部品の種類を増やすことなく、設計の自由度を高めることができ、生産性が向上する。一例として、中間体13と第1起歪体11と第2起歪体12とは同一材料からなる。これにより、低コストで製造することが容易にできる。中間体13は一つの場合があり、複数の中間体13を積層する場合がある。一例として、中間体13は、第1起歪体11よりも厚みが大きく、第2起歪体よりも厚みが大きい。一例として、中間体13は、第1起歪体11よりも厚みが大きく、第2起歪体よりも厚みが大きな鋳造品である。これにより、力覚センサ1Aが測定出来る力の大きさとしての定格容量を大きくすることができる。一例として、中間体13は、第1起歪体11および第2起歪体12よりも剛性が高い。これにより、力覚センサ1Aが測定出来る力の大きさとしての定格容量を大きくすることができる。一例として、中間体13の枚数を増やすことで力覚センサ1Aが測定出来る力の大きさとしての定格容量を大きくすることができる。上述の構成の一つないし複数を採用することにより、さまざまな仕様に応じた力覚センサ1Aを容易に作製することができる。よって、従来構造よりも設計の自由度が飛躍的に高められる。なお、上記の構成に限定されず、既知の材料を用いて既知の製造方法によって製造する場合がある。
【0024】
続いて、力覚センサ1(1A)の製造方法について、以下に説明する。
【0025】
本実施形態の力覚センサ1Aは、複数の第1歪みゲージ31~34を第1起歪体11の第1主面11aに配設し、且つ、複数の第2歪みゲージ41~44を第2起歪体12の第2主面12aに配設する歪みゲージ配設ステップを有する。また、歪みゲージ配設ステップの後に、第1歪みゲージ31~34が配設された第1起歪体11と、第2歪みゲージ41~44が配設された第2起歪体12とを、第1主面11aと第2主面12aとが互いに外向きまたは互いに内向きになるように連結固定して一体構造にする組立ステップとを有する。組立ステップは、一例として、第1起歪体11と第2起歪体12との間に、第1起歪体11や第2起歪体12よりも剛性が高い中間体13を配設する。
【0026】
歪みゲージ配設ステップの前段階として、第1起歪体11の第1主面11aと第2起歪体12の第2主面12aとに、それぞれ絶縁層を設ける。一例として、板状体の片面に絶縁層を設け、その後、第1起歪体11と第2起歪体12とをそれぞれ切り出す。一例として、第1起歪体11と第2起歪体12とをそれぞれ切り出し、その後、第1主面11aと第2主面12aとにそれぞれ絶縁層を設ける。
【0027】
歪みゲージ配設ステップは、第1歪みゲージ31~34を、各ビーム部11eにおける互いに対称となる位置の4つによって所定方向の力成分を検出するブリッジ回路が構成されるようにそれぞれ配設する。同様に、第2歪みゲージ41~44を、各ビーム部12eにおける互いに対称となる位置の4つによって所定方向の力成分を検出するブリッジ回路が構成されるようにそれぞれ配設する。これらブリッジ回路の構成方法としては、上述の特許文献1の技術が適用できる。
【0028】
歪みゲージ配設ステップは、第1歪みゲージ31~34と第2歪みゲージ41~44とを配設するに際し、一例として、同一材質のスパッタ膜または蒸着膜を同時に形成する。または、第1歪みゲージ31~34と第2歪みゲージ41~44とを配設するに際し、一例として、同一材質のスパッタ膜または蒸着膜を連続して形成する。一例として、板状体の絶縁層を設けた面(片面)に、第1歪みゲージ31~34と第2歪みゲージ41~44とを設け、その後、第1起歪体11と第2起歪体12とをそれぞれ切り出す。一例として、第1起歪体11と第2起歪体12とをそれぞれ切り出し、第1主面11aと第2主面12aとにそれぞれ絶縁層を設け、その後、第1歪みゲージ31~34と第2歪みゲージ41~44とを設ける。
【0029】
一般に、スパッタリング装置や真空蒸着装置は、膜厚の再現性を維持するため加工条件を厳格に管理する必要がある。本実施形態によれば、第1歪みゲージ31~34を配設するときの製造条件と、第2歪みゲージ41~44を配設するときの製造条件とを一致させることが容易にできる。よって、対称性が維持できるとともに、生産性が向上し、製造ばらつきを極力抑えた構成にできる。なお、上記の構成に限定されず、板状、シート状またはフィルム状の第1歪みゲージ31~34および第2歪みゲージ41~44を既知の製造方法によってそれぞれ接着する場合がある。
【0030】
(第2の実施形態)
図5に示す第2の実施形態の力覚センサ1Bは、中間体13を有さない構造の例である。第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0031】
本実施形態は、第1起歪体11と第2起歪体12とは、第1起歪体11における第1主面11aの反対側の第3主面11bと、第2起歪体12における第2主面12aの反対側の第4主面12bとが互いに外向きまたは互いに内向きに合わさっている構成である。この構成によれば、部品点数を少なくするとともに、全体の厚みを薄くした構成にできる。
【0032】
上述の例では、第1起歪体11と第2起歪体12とは、平面視で円形状の構成で説明したが、これに限定されず、平面視で正方形状や多角形状にする場合がある。第1起歪体11と第2起歪体12とは、平面視でいわゆるY字形状の起歪体や平面視でいわゆる十字形状の起歪体など既知の起歪体形状が適用できる。
【0033】
上述の中間体13を設けた例では、中間体13と第1起歪体11と第2起歪体12とが平面視で同一形状の例で説明したが、これに限定されず、仕様等に応じて、中間体13を第1起歪体11や第2起歪体12とは異なる形状にする場合がある。中間体13は、平面視でいわゆるY字形状の起歪体や平面視でいわゆる十字形状の起歪体など既知の起歪体形状が中間体にも適用できる。
【0034】
第1起歪体11、第2起歪体12、中間体13の加工方法は切削加工、レーザ加工、放電加工若しくはこれらの複合加工等に限られず、エッチング法、ダイキャスト法、プレス加工、3Dプリンタ技術等既知の加工技術が適用できる。以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0035】
1、1A、1B 力覚センサ
11 第1起歪体、11a 第1主面、11b 第3主面、11c 受力部、11d 固定部、11e ビーム部、11f アーム部、11g フレクシャ部
12 第2起歪体、12a 第2主面、12b 第4主面、12c 受力部、12d 固定部、12e ビーム部、12f アーム部、12g フレクシャ部
13 中間体
14 テーブル
15 ベース
21 第1ブリッジ回路(Fz、Mx、My検出用ブリッジ回路)
22 第2ブリッジ回路(Fx、Fy、Mz検出用ブリッジ回路)
31~34 第1歪みゲージ
41~44 第2歪みゲージ
P1 中心軸