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  • 特許-サージ式高効率の新規浮遊式防波堤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】サージ式高効率の新規浮遊式防波堤
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/06 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
E02B3/06 302
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020080970
(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公開番号】P2021008806
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-05-01
(31)【優先権主張番号】201910588923.6
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520154254
【氏名又は名称】江蘇科技大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.2 Mengxi Road,Zhenjiang,Jiangsu 212003,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ジ▼ 春艶
(72)【発明者】
【氏名】霍 発力
(72)【発明者】
【氏名】崔 杰
(72)【発明者】
【氏名】郭 建挺
(72)【発明者】
【氏名】荊 豊梅
【審査官】山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-092939(JP,A)
【文献】特開平06-146234(JP,A)
【文献】特開平05-280020(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0139963(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第110172950(CN,A)
【文献】実開平05-038022(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サージ式高効率の新規浮遊式防波堤であって、浮力タンク(1)、クロスブレース(2)、散水装置(3)および給水孔(4)を含み、
前記浮力タンク(1)の数は2つであり、かつ、それらの間はクロスブレース(2)を介して固定接続され、前記浮力タンク(1)の内部は、第一貯水タンク(6)、ガス圧縮タンク(7)および第二貯水タンク(8)に分けられ、前記給水孔(4)は前記浮力タンク(1)の波向き面にあり、かつ、第一貯水タンク(6)に接続され、前記第一貯水タンク(6)の底部はパイプライン(11)を介して前記第二貯水タンク(8)と連通し、前記ガス圧縮タンク(7)の下端は開いており、前記ガス圧縮タンク(7)と前記第二貯水タンク(8)の上端にそれぞれ一方向空気入口バルブ(10)と一方向空気出口バルブ(5)が配置され、前記ガス圧縮タンク(7)はまた、一方向換気バルブ(9)を介して前記第二貯水タンク(8)に連通し、前記散水装置(3)は前記第二貯水タンク(8)の上部にある、ことを特徴とする、
サージ式高効率の新規浮遊式防波堤。
【請求項2】
前記散水装置(3)は、ウォータースクリーンノズルヘッド(301)、ノズル(302)およびバルブ(303)で構成され、前記ノズル(302)は前記第二貯水タンク(8)の内側に配置され、前記ウォータースクリーンノズルヘッド(301)および前記バルブ(303)は前記第二貯水タンク(8)の上部外側に配置される、ことを特徴とする、
請求項1に記載のサージ式高効率の新規浮遊式防波堤。
【請求項3】
前記浮力タンク(1)は、波対向浮力タンクおよび波向き浮力タンクに分けられており、かつ、2つの前記浮力タンク(1)の構造は同じであり、前記浮力タンク(1)の4つの角は面取りされている、ことを特徴とする、
請求項1に記載のサージ式高効率の新規浮遊式防波堤。
【請求項4】
前記一方向空気入口バルブ(10)および前記一方向空気出口バルブ(5)の上部には円錐形の上部カバーが固定設置され、前記第一貯水タンク(6)と前記第二貯水タンク(8)との間に流体一方向バルブが設けられる、ことを特徴とする、
請求項1に記載のサージ式高効率の新規浮遊式防波堤。
【請求項5】
前記給水孔(4)の断面は、海洋波の方向に沿って徐々に減少するホーン口の形状をとり、かつ、高さが徐々に増加する、ことを特徴とする、
請求項1に記載のサージ式高効率の新規浮遊式防波堤。
【請求項6】
前記散水装置(3)、前記一方向空気出口バルブ(5)および前記一方向空気入口バルブ(10)は異なる挿入深さを有し、前記散水装置(3)は最も深い挿入深さを有し、前記一方向空気入口バルブ(10)が2番目であり、前記一方向空気出口バルブ(5)の挿入深さは最も浅い、ことを特徴とする、
請求項1に記載のサージ式高効率の新規浮遊式防波堤。
【請求項7】
2つの前記浮力タンク(1)の間は、複数のクロスブレース(2)によって固定接続され、複数の前記クロスブレース(2)は直線状に配列され、隣接する2つの前記クロスブレース(2)の間に含まれる給水孔(4)の数は3つ以上である、ことを特徴とする、
請求項1に記載のサージ式高効率の新規浮遊式防波堤。
【請求項8】
前記浮力タンク(1)は直方体形状であり、その長手方向の中心線に垂直な断面は正方形構造である、ことを特徴とする、
請求項1に記載のサージ式高効率の新規浮遊式防波堤。
【請求項9】
前記給水孔(4)の開口部は、浮力タンク(1)の波向き面の中心に位置する、ことを特徴とする、
請求項1に記載のサージ式高効率の新規浮遊式防波堤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋工事の技術分野に関し、特に、サージ式高効率新規浮遊式防波堤に関する。
【背景技術】
【0002】
中国は地理的に恵まれた場所であり、ユーラシア大陸に寄りかかって太平洋に面し、6,500を超える島があり、島々の面積は大きく、海岸線は広く、海の地理的優位性を占め、利用可能な海洋資源と海洋空間が非常に豊富である。中国の海洋探査への継続的な深化により、安定した海洋作業環境が海洋の謎を探求するために必要な条件になりつつ、また、中国のほとんどの島とサンゴ礁のインフラストラクチャは不十分であり、かつ、海域の海洋環境は貧弱であり、変化する海の状態は、島民の日常生活と島の建設中の作業安全性に影響を与える。したがって、浮遊式防波堤は、中国における島の建設と海洋開発のプロセスで解決すべき重要な技術である。
【0003】
波消し装置の主な機能は、波と海流が港または海上プラットフォームの動作に与える影響を軽減または排除し、動作時間と効率を向上させ、船舶が正常に港に出入りすることを保証することである。浮遊式防波堤は、優れた波消し性能のため、国内外の学者に好まれる。浮遊式防波堤は、水質汚染を防止できる強力な水質交換能力を備え、そのコストは固定防波堤よりも安く、かつ、水深の変化によりよく適応でき、建設費は水深の増加に伴って急激に増加することはなく、さまざまな地質条件に適用でき、サンゴ礁に損傷を与えず、地元の海洋自然環境と天然漁業資源の保護にとって非常に重要であり、建設期間が短く、速度が速く、設置と分解がしやすく、固定防波堤に比べて、浮遊式防波堤は後の段階で維持しやすく、コストが低い。
【0004】
ウォータースクリーンジェネレータは、水を下から上に高速で噴霧し、水を扇形に噴霧させ、すなわち、“ウォータースクリーン”になり、ウォータースクリーンと映写装置を組み合わせてウォータースクリーンフィルムを形成し、ウォータースクリーンフィルムは、壮大で壮観なシーンがあり、色がカラフルであり、画像が鮮明であるという特徴を持ち、伝統的な映画を開発し、商業広告の効果を大幅に向上させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記背景技術で提案された問題を解決するために、サージ式高効率の新規浮遊式防波堤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明は、以下の技術的解決手段を提供し、
サージ式高効率の新規浮遊式防波堤であって、浮力タンク、クロスブレース、散水装置および給水孔を含み、前記浮力タンクの数は2つであり、かつ、それらの間はクロスブレースを介して固定接続され、前記浮力タンクの内部は、第一貯水タンク、ガス圧縮タンクおよび第二貯水タンクに分けられ、前記給水孔は浮力タンクの波受け面にあり、かつ、第一貯水タンクに接続され、前記第一貯水タンクの底部はパイプラインを介して第二貯水タンクと連通し、前記ガス圧縮タンクの下端は開いており、前記ガス圧縮タンクと第二貯水タンクの上端にそれぞれ一方向空気入口バルブと一方向空気出口バルブが配置され、前記ガス圧縮タンクは、一方向換気バルブを介して第二貯水タンクに連通し、前記散水装置は第二貯水タンクの上部にある。
【0007】
好ましくは、前記散水装置は、ウォータースクリーンノズルヘッド、ノズルおよびバルブで構成され、ノズルは第二貯水タンクの内側に配置され、前記ウォータースクリーンノズルヘッドおよびバルブは第二貯水タンクの上部外側に配置される。
【0008】
好ましくは、前記浮力タンクは、波向き浮力タンクおよび波対向浮力タンクに分けられてもよく、かつ、2つの前記浮力タンクの構造は同じであり、前記浮力タンクの4つの角は面取りされている。
【0009】
好ましくは、前記一方向空気入口バルブおよび一方向空気出口バルブの上部には円錐形の上部カバーが固定設置され、前記第一貯水タンクと第二貯水タンクとの間に流体一方向換気バルブが設けられる。
【0010】
好ましくは、前記給水孔の断面は、海洋波の方向に沿って徐々に減少するホーン口の形状をとり、かつ、高さが徐々に増加する。
【0011】
好ましくは、前記散水装置(3)、一方向空気出口バルブ(5)および一方向空気入口バルブ(10)は異なる挿入深さを有し、前記散水装置(3)は最も深い挿入深さを有し、一方向空気入口バルブ(10)が2番目であり、一方向空気出口バルブ(5)の挿入深さは最も浅い。
【0012】
好ましくは、2つの前記浮力タンク(1)の間には、複数のクロスブレース(2)によって固定接続され、複数の前記クロスブレース(2)は直線状に配列され、隣接する2つの前記クロスブレース(2)の間に含まれる給水孔(4)の数は3つ以上である。
【0013】
好ましくは、前記浮力タンク(1)の断面は正方形構造である。
【0014】
好ましくは、前記給水孔(4)の開口部は、浮力タンク(1)の波向き面の中心に位置する。前記浮力タンク(1)とクロスブレース(2)は、それぞれ防波堤の3分の1を占める。
【発明の効果】
【0015】
従来技術と比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
本発明のサージ式高効率の新規浮遊式防波堤は、波消し装置とウォータースクリーン装置を巧みに統合させ、防波堤のスロッシング動作の特性により、観光客が見るべき自動散水の目的を実現する。本発明のサージ式高効率の新規浮遊式防波堤は、モジュール式の特性を持ち、設置と更新ならびに保守しやすく、大量生産に適し、さらに、その散水原理は、他のタイプの浮遊式防波堤に広く適用でき、高度に複製可能である。
【0016】
本発明のサージ式高効率の新規浮遊式防波堤について、ホーン形の給水孔と散水装置によって噴霧された水流は、入射波を混乱させる機能を持ち、かつ、2つの浮力タンクの間にはムーンプール効果があり、これは良好な波消し効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は本発明の構造概略図である。
図2図2は本発明における浮力タンクの内部構造図である。
図3図3は本発明の新規構造の平面図である。
図4図4は本発明における散水装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明された実施例は、本発明の実施例の一部にすぎず、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、創造的な仕事をすることなく当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0019】
図1~4を参照し、本発明は技術的解決手段を提供する。
【0020】
サージ式高効率の新規浮遊式防波堤であって、浮力タンク1、クロスブレース2、散水装置3および給水孔4を含み、前記散水装置3は、ウォータースクリーンノズルヘッド301、ノズル302、およびバルブ303から構成される。ここで、ノズル302は、第二貯水タンクの内部に位置し、前記ウォータースクリーンノズルヘッド301およびバルブ303は、第二貯水タンク8の上部外側に位置し、前記浮力タンク1の数は2つであり、かつ、それらの間はクロスブレース2を介して固定接続され、前記浮力タンク1の内部は第一貯水タンク6、ガス圧縮タンク7および第二貯水タンク8に分けられ、前記給水孔4は浮力タンク1の波向き面にあり、かつ、第一貯水タンク6に接続され、前記第一貯水タンク6の底部はパイプライン11を介して第二貯水タンク8と連通し、前記ガス圧縮タンク7の下端は開いており、前記ガス圧縮タンク7と第二貯水タンク8の上端にそれぞれ一方向空気入口バルブ10と一方向空気出口バルブ5が配置され、前記一方向空気入口バルブ10および一方向空気出口バルブ5の上部には円錐形の上部カバーが固定設置され、前記第一貯水タンク6と第二貯水タンク8との間に流体一方向バルブが設けられ、前記流体一方向バルブの流れ方向は、第一貯水タンク6から第二貯水タンク8までであり、前記ガス圧縮タンク7は、一方向換気バルブ9を介して第二貯水タンク8に連通し、前記散水装置3は第二貯水タンク8の上部にある。
【0021】
前記散水装置3は、ウォータースクリーンノズルヘッド301、ノズル302、およびバルブ303から構成される。ここで、ノズル302は、第二貯水タンク8の内側に配置され、前記ウォータースクリーンノズルヘッド301およびバルブ303は、第二貯水タンク8の上部外側に配置される。ここで、ノズル302の浮力タンク1の内部への挿入深さが最も深く、前記ガス圧縮タンク7の上部の一方向空気入口バルブ10の挿入深さは2番目であり、前記第二貯水タンク8の上部の一方向空気出口バルブ5の挿入深さは最も浅く、2つの前記浮力タンク(1)の間は、複数のクロスブレース(2)によって固定接続され、複数の前記クロスブレース(2)は直線状に配列され、任意の隣接する2つの前記クロスブレース(2)の間に含まれる給水孔(4)の数は3つ以上である。
【0022】
給水孔4の断面は、波の方向に沿って徐々に減少するホーン口の形になり、かつ、高さが徐々に増加する。この設計の利点は、波と海流の作用下で、海水がホーン形の給水孔4を介して第一貯水タンク6の内部に入りやすくなり、入りやすくて排出しにくい効果が得られる。
【0023】
浮力タンク1は、具体的には、波対向浮力タンクと波受け浮力タンクに分けることができ、かつ、2つの前記浮力タンク1の構造は同じであり、複数の前記クロスブレース2があり、前記浮力タンク1の4つの角は面取りされている。この設計の利点は、浮力タンク1とクロスブレース2の間にムーンプールを形成できることであり、ムーンプール効果により、ムーンプール内の水が激しく振動し、波消しに役立ち、さらに、ムーンプール効果により、ムーンプール内の液面が上昇し、海水がホーン形の給水孔4から第一貯水タンク6に入るのを助ける。
【0024】
動作原理:
まず、波と水流の作用により、水粒子はホーン形の給水孔4から第一貯水タンク6に入り、前記第一貯水タンク6内の水はパイプライン11を通って第二貯水タンク8に入り、続いて、第二貯水タンク8内の水は上昇し続け、最終的な液面は、散水装置3の底部のノズル303の高さよりも高い。
【0025】
ガス圧縮タンク7内の海水液面が防波堤に対して下向きに移動すると、ガス圧縮タンク7の上部にある一方向空気入口バルブ10が開き、空気がガス圧縮タンク7に入り、このとき一方向換気バルブ9は閉じられる。
【0026】
ガス圧縮タンク7内の海水液面が防波堤に対して上向きに移動すると、ガス圧縮タンク7の上部にある一方向空気入口バルブ10が閉じ、このとき一方向換気バルブ9が開き、ガス圧縮タンク7の上部のガスが一方向換気バルブ9を通って第二貯水タンク8に入る。
【0027】
第二貯水タンク8の上部の空気圧が徐々に増加すると、圧力がバルブ303の所定の圧力値に達すると、バルブ303が開き、圧力下で、水がノズル302およびウォータースクリーンノズルヘッド301を通って噴霧される。ノズル302の設置位置は、水が防波堤の上部に溜まらないようにするために、浮力タンク本体の後ろ側の面取りにある。一定量の水が噴霧された後、第二貯水タンク8の圧力が低下し、キャビン内の水面が特定の位置まで低下した後、第二貯水タンク8の上部にある一方向空気出口バルブ5が開き、第二貯水タンク8の上部空気室から排気し、第一貯水タンク6の海水が再び第二貯水タンク8に流入し、そして、一方向空気出口バルブ5が閉じてサージが完了する。
【0028】
本発明の実施例を示して説明したが、当業者にとって、本発明の原理および精神から逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、修正、置換、および変形を行うことができ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義されることを理解することができる。
【符号の説明】
【0029】
1-浮力タンク、2-クロスブレース、3-散水装置、301-ウォータースクリーンノズルヘッド、302-ノズル、303-バルブ、4-給水孔、5-一方向空気出口バルブ、6-第一貯水タンク、7-ガス圧縮タンク、8-第二貯水タンク、9-一方向換気バルブ、10-一方向空気入口バルブ、11-パイプライン
図1
図2
図3
図4