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  • 特許-蜂の捕獲用具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】蜂の捕獲用具
(51)【国際特許分類】
   A01M 3/00 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A01M3/00 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021163679
(22)【出願日】2021-10-04
【審査請求日】2021-10-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518081762
【氏名又は名称】有限会社シューテックプロ
(74)【代理人】
【識別番号】100134533
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 夏香
(74)【代理人】
【識別番号】100186451
【弁理士】
【氏名又は名称】梅森 嘉匡
(72)【発明者】
【氏名】浅野 秀吉
(72)【発明者】
【氏名】浅野 辰也
(72)【発明者】
【氏名】浅野 ちあき
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-103572(JP,A)
【文献】実公昭36-14561(JP,Y1)
【文献】特開2001-231424(JP,A)
【文献】特許第4968846(JP,B2)
【文献】実開昭55-117278(JP,U)
【文献】特開2003-33130(JP,A)
【文献】実開平3-677(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0046186(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 - 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にバキューム接続口が設けられ、他端にカップ接続口が設けられる中空の収容体と、
前記収容体の内部に設けられ、前記収容体の内部を前記バキューム接続口側の第1空間と前記カップ接続口側の第2空間とに区画するとともに、前記第1空間と前記第2空間とを連通させる複数の小孔が形成された仕切りと、
前記カップ接続口に接続される尖端部と、紐状部材が架け渡される碗状の拡開部とを備える漏斗状の吸引カップと、
前記紐状部材に吊り下げられる黒色又は暗色の揺動片と、
を有することを特徴とする蜂の捕獲用具。
【請求項2】
前記収容体の内壁面のうち前記カップ接続口近傍に舌状部材が突設されていることを特徴とする請求項1記載の蜂の捕獲用具。
【請求項3】
前記舌状部材がゴム等の可撓性材料により形成され、前記バキューム接続口に接続されるバキューム装置を作動させたとき前記カップ接続口から離隔する方向に吸引されて湾曲することを特徴とする請求項2記載の蜂の捕獲用具。
【請求項4】
前記収容体の側面には前記第2空間に開口する取出し口が形成され、
前記収容体の外側面には前記取出し口を覆う蓋体が着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の蜂の捕獲用具。
【請求項5】
前記収容体が透明又は半透明であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の蜂の捕獲用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外で用いる蜂の捕獲用具に関する。
【背景技術】
【0002】
蜂の巣の除去作業中に蜂が飛来する場合には、適時にこれを捕獲することが作業の安全上重要である。蜂を捕獲するための用具として、例えば、特許文献1に開示される技術が知られている。
【0003】
蜂には黒色で動くものに対して接近する性質があることが知られており、蜂の巣の除去作業時に着用される防護服としてはこれの反対色である白色のものが選好されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-093807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される技術は、蜂の飛行エリアを予測して静置された蜂捕獲具の接着面に蜂が接触するのを待ってこれを捕獲しようとする罠タイプの用具であるが、蜂の巣駆除業者による業務のように蜂の巣の除去作業を所定の時間内に終えることが求められる局面においては、特許文献1に開示される技術のような蜂が接着するのを待ち続けるタイプの用具とは異なり、より効率的に蜂を捕獲することが可能な用具が求められている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、蜂の上記性質を利用し、より効率的に複数の蜂を捕獲することが可能な蜂の捕獲用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蜂の捕獲用具は、
一端にバキューム接続口が設けられ、他端にカップ接続口が設けられる中空の収容体と、
前記収容体の内部に設けられ、前記収容体の内部を前記バキューム接続口側の第1空間と前記カップ接続口側の第2空間とに区画するとともに、前記第1空間と前記第2空間とを連通させる複数の小孔が形成された仕切りと、
前記カップ接続口に接続される尖端部と、紐状部材が架け渡される碗状の拡開部とを備える漏斗状の吸引カップと、
前記紐状部材に吊り下げられる黒色又は暗色の揺動片と、
を有することを特徴とする。
【0008】
前記蜂の捕獲用具は、
前記収容体の内壁面のうち前記カップ接続口近傍に舌状部材が突設されているものであっても良い。
更に、この舌状部材は、ゴム等の可撓性材料により形成され、前記バキューム接続口に接続されるバキューム装置を作動させたとき前記カップ接続口から離隔する方向に吸引されて湾曲するものであっても良い。
【0009】
また、前記蜂の捕獲用具は、
前記収容体の側面には前記第2空間に開口する取出し口が形成され、
前記収容体の外側面には前記取出し口を覆う蓋体が着脱自在に取り付けられるものであっても良い。
【0010】
また、前記蜂の捕獲用具は、
前記収容体が透明又は半透明であることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、吸引カップ内の紐状部材に吊り下げられた黒色又は暗色の揺動片が外風又は吸引による空気の流れにより揺動するため、かかる揺動片の挙動が蜂の関心を強く惹き付け、蜂の方から吸引カップに接近するという効果が期待できる。吸引カップに接近した蜂は、バキューム接続口に接続されたバキューム装置を作動させることにより、カップ接続口から収容体のカップ接続口側の第2空間内に吸い込んで収容することができる。かかる効果を発現する本発明によれば、より効率的に複数の蜂を捕獲することが可能な蜂の捕獲用具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態である蜂の捕獲用具の外観を模式的に示した図であり、ホースを接続する前の状態を示す。
図2図1に示す蜂の捕獲用具の内部構成を模式的に示した図であり、ホースを接続した後の状態を示す。
図3】ペットボトルを材料とする図1に示す蜂の捕獲用具の作製例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明を具体的に説明するが、本発明は図面に示す実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限りにおいて適宜変更可能である。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態である蜂の捕獲用具1の外観を模式的に示した図であり、図2は、図1に示す蜂の捕獲用具1の内部構成を模式的に示した図である。なお、図1は蜂の捕獲用具1にホースHを接続する前の状態を示し、図2はホースHを接続した状態を示している。蜂の捕獲用具1は、一端にバキューム接続口21が設けられ他端にカップ接続口22が設けられる中空の収容体2と、収容体2の内部を区画する仕切り3と、カップ接続口22に接続される吸引カップ4と、吸引カップ4内の紐状部材5に吊り下げられる揺動片7と、を有し、バキューム接続口21にバキューム装置Vを接続して使用される。以下、各構成要素について詳説する。
【0015】
収容体2は、円筒状の胴部23と、胴部23の一端に連設され漏斗状に絞り込まれた先端にバキューム接続口21が形成されたバキューム側接続部24と、胴部23の他端に連設され漏斗状に絞り込まれた先端にカップ接続口22が形成されたカップ側接続部25と、により構成されている。なお、本形態に係る収容体2は横断面が円形の円筒状であるが、これに限られず、角筒状のものであっても良い。
【0016】
収容体2の胴部23には円盤状の仕切り3が設けられており、収容体2の内部がバキューム接続口側の第1空間26とカップ接続口側の第2空間27とに区画されている。仕切り3には各空間26、27を連通させる複数の小孔31が形成されている。各小孔31のサイズは、駆除の対象となる蜂の体長よりも小径に設定される。仕切り3は、フィルターとしての機能を有し、小孔31を介して空間26、27相互の空気の通り抜けが可能であるが、第2空間27内に収容された蜂Bの第1空間26への移動が規制されている。なお、仕切りの全部ないし一部は網状のものでも良く、本発明にいう小孔には網目も含まれる。
【0017】
吸引カップ4は、カップ接続口22に接続される尖端部41と、紐状部材5が架け渡される碗状の拡開部42とを備える漏斗状の部材である。本形態においては、紐状部材5としての針金が拡開部42を横断するように配置され、その両端が拡開部42に貫通して取り付けられている。なお、紐状部材としては、ビニール紐や釣り糸など他の材質のものでも代替可能である。
【0018】
紐状部材5には両面が黒色である短冊状の揺動片7が吊り下げられている。本形態においては、紐状部材5に結び付けられた吊り糸6を介して垂下されているが、揺動片に紐状部材の通し穴を設けて紐状部材に直接吊り下げるようにしても良い。揺動片は紙製でもプラスチック製でもその他の材質でも良い。
【0019】
バキューム接続口21には、ホースHを介してバキューム装置Vが接続されている。バキューム装置Vは、吸引状態と非吸引状態(吸引停止状態)とに切り替えて作動可能な各種の機器(例えば、バッテリーを搭載したポータブル掃除機本体)を利用することができる。ホースHは湾曲自在である。
【0020】
上記構成を有する蜂の捕獲用具1によれば、バキューム装置Vを作動させて収容体2内部の空気を吸引することにより、吸引カップ4内に進入した蜂Bをカップ接続口22から吸い込んで収容体2のカップ接続口側の第2空間27内に収容することができる。収容体2の内部は、仕切り3によりバキューム接続口側の第1空間26とカップ接続口側の第2空間27とに区画されるとともに仕切り3には複数の小孔31が形成されていることから、吸引された蜂Bは第2空間27に収容され、小孔31の一部が蜂等の吸引物により塞がれても目詰まりを起こし難く、連続的(即ち効率的)に多数の蜂を捕獲することができる。なお、揺動片7のカラーは黒色が好ましいが、暗色でも相応の効果が期待できる。
【0021】
上記構成を有する蜂の捕獲用具1は、蜂の巣の除去現場にバキューム装置V及びホースHとともに持ち込んで、飛来する蜂を捕獲するための用具として使用することができる。実際に捕獲する際には、ホースHを介してバキューム装置Vに接続された蜂の捕獲用具1を把持して吸引カップ4の開口部を蜂Bに向けて構え、バキューム装置Vを作動させて捕獲するようにしても良く、また、蜂の捕獲用具1を地面等に設置した状態で、バキューム装置Vを作動させて捕獲するようにしても良い。いずれの使用形態であれ、前述した本発明の効果により、より効率的に複数の蜂を捕獲することができる。
【0022】
以上が蜂の捕獲用具1の基本形態並びに使用方法であるが、次に、その発展形態について説明する。
【0023】
蜂の捕獲用具1は、収容体内壁面のカップ接続口22近傍に突設される舌状部材8を有する。この舌状部材8は、収容体2内部からカップ接続口22に至る進入経路を収容体内壁面に沿って形成する部材であり、いわゆる返し部として作用し、第2空間27からカップ接続口22へと至る進入経路が狭くなるため、収容体2の内部に吸い込まれた蜂Bがカップ接続口22を逆行して逃げ出してしまう事態を抑制することができる。
【0024】
この舌状部材8は、ゴム等の可撓性材料により形成され、バキューム接続口21に接続されるバキューム装置Vを作動させたときカップ接続口22から離隔する方向に吸引されて湾曲するものである。従って、バキューム装置Vの作動中にはその吸引力によりカップ接続口22から離隔する方向(即ちバキューム接続口21側に引き付けられる方向)に湾曲するため進入経路が拡幅して蜂Bを収容体2内へ取り込みやすく、バキューム作動停止中には元の突設位置に復元して蜂の逃避を抑制することができる。かかる舌状部材8の材質、形状及び突設位置としては、非吸引状態において蜂の逃避を抑制する程度にカップ接続口22を塞ぐように取り付けられ(図3参照)、吸引状態においてカップ接続口22からの蜂の吸引を可能にする程度にカップ接続口22を開口する方向に湾曲する(図2参照)ものであることが好ましい。
【0025】
また、収容体2の側面にはカップ接続口側の第2空間27(蜂収容空間)に開口する取出し口28が形成され、収容体2の外側面には取出し口28を覆う蓋体9が着脱自在に取り付けられている。蓋体9を取り外し、第2空間27内に捕獲された蜂を随時取出し口28から回収して廃棄することで(図1参照)、捕獲用具1を繰り返して使用することができる。
【0026】
また、収容体2は、好ましくは、透明又は半透明である。収容体2を透明又は半透明とすることにより、蜂Bの収容状況を外側から容易に視認することができる。
【0027】
バキューム接続口21に接続されるバキューム装置Vとしては、持ち運び可能なサイズのバキューム装置(例えば、バッテリーを搭載したポータブル掃除機本体)が望ましい。
【0028】
図3は、ペットボトルを材料とする蜂の捕獲用具1の作製例を示した図である。蜂の捕獲用具1は、飲料容器として多用されているペットボトルを材料として容易に作製することができる点において、製造コストが低く、かつ、リユース性に富み環境適合性がある。
【0029】
すなわち、1.5リットル又は2リットルサイズの飲用後のペットボトル3本(好ましくは同一形状の透明なもの)のそれぞれを、飲み口側と胴体側とに適宜の位置で切り離し、3つの飲み口側のそれぞれをバキューム側接続部24、カップ側接続部25、及び、吸引カップ4として利用し、胴体側の1つを収容体2の胴部23及び仕切り3として利用することができる。
【0030】
具体的には、ペットボトルの胴体側の底部を仕切り3として利用し、胴体側の底部(仕切り3)に複数の小孔31を穿設するとともに、胴体側の側面に取出し口28を切り込んで形成する。また、カップ側接続部25となる飲み口側の内側に、舌状部材8を取り付ける。その後、ビニールテープを巻き付ける等して、加工後の胴体側の一端にカップ側接続部25に対応する飲み口側を接合し、胴体側の他端にバキューム側接続部24に対応する飲み口側を接合することにより、収容体2、仕切り3、舌状部材8、及び取出し口28のそれぞれを作製することができる。また、吸引カップ4となる飲み口側に針金(紐状部材)を通して、当該針金にペットボトルの切れ端等を黒色に塗色することにより製作された揺動片7を吊り下げることにより、吸引カップ4及び揺動片7を作製することができる。最後に、吸引カップ4となる飲み口側の尖端部41を、カップ側接続部25のカップ接続口22にビニールテープを巻き付ける等して接合することにより、前述の構成を有する蜂の捕獲用具1を作製することができる。なお、蓋体9、揺動片7や舌状部材8は、ペットボトルの余った胴体側から切り出して製作することができる。
【0031】
本発明は、上記実施の形態ないし実施例に限定されず、その発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形実施が可能である。たとえば、収容体2のサイズは任意に設定することができ、図示する場合よりも収容体の長手方向寸法を短く(ショートボトル)、又は、長くしても良く(ロングボトル)、収容体の太さも大、中、小のいずれでも良い。同様に、吸引カップ4のサイズも任意に設定することができ、例えば、収容体の太さよりも大きなもの(拡開部の開口寸法が大きなもの)を用いても良い。収容体の形状は前述のとおり角柱状でも良く、かかる場合には当該形状に合わせて角板状の仕切りが設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、屋外における蜂の捕獲用具として利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 蜂の捕獲用具
2 収容体
21 バキューム接続口
22 カップ接続口
23 胴部
24 バキューム側接続部
25 カップ側接続部
26 第1空間(バキューム接続口側)
27 第2空間(カップ接続口側)
28 取出し口
3 仕切り
31 小孔
4 吸引カップ
41 尖端部
42 拡開部
5 紐状部材
6 吊り糸
7 揺動片
8 舌状部材
9 蓋体
V バキューム装置
H ホース
B 蜂
【要約】
【課題】蜂の性質を利用し、より効率的に複数の蜂を捕獲することが可能な蜂の捕獲用具を提供する。
【解決手段】蜂の捕獲用具1は、一端にバキューム接続口21が設けられ、他端にカップ接続口22が設けられる中空の収容体2と、収容体2の内部に設けられ、収容体2の内部をバキューム接続口21側の第1空間26とカップ接続口22側の第2空間27とに区画するとともに、各空間26、27を連通させる複数の小孔31が形成された仕切り3と、カップ接続口22に接続される尖端部41と、紐状部材5が架け渡される碗状の拡開部42とを備える漏斗状の吸引カップ4と、紐状部材5に吊り下げられる黒色の揺動片7と、を有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3