(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】蒸着マスク
(51)【国際特許分類】
C23C 14/04 20060101AFI20220111BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220111BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H05B33/10
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2017126165
(22)【出願日】2017-06-28
【審査請求日】2020-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】觀田 康克
(72)【発明者】
【氏名】大河原 健
(72)【発明者】
【氏名】為川 貢
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-293798(JP,A)
【文献】特開2006-152396(JP,A)
【文献】特許第6120039(JP,B1)
【文献】特開2006-241547(JP,A)
【文献】特開2009-221535(JP,A)
【文献】特開2017-014582(JP,A)
【文献】特表2012-522891(JP,A)
【文献】特開2002-060927(JP,A)
【文献】特開2016-009673(JP,A)
【文献】特開2012-134043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
H01L 27/32
51/00
H01B 33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに保持された金属膜と、
を含み、
前記金属膜は、表示装置の表示領域に対応する複数の画素用開口部が設けられたマスク領域と、前記マスク領域の周辺に設けられたアライメントマーク領域と、を有し、
前記アライメントマーク領域は、第1開口部と、前記第1開口部の周囲に配置された複数の第2開口部を有し、
前記第2開口部の最大幅は、前記第1開口部の最大幅よりも小さ
く、
前記複数の第2開口部は、前記第1開口部の輪郭に沿って配置される、蒸着マスク。
【請求項2】
前記第1開口部に対し前記複数の第2開口部より外側に配置された複数の第3開口部をさらに有する、請求項
1に記載の蒸着マスク。
【請求項3】
前記複数の第3開口部は、前記複数の第1開口部の輪郭に沿って配置される、請求項
2に記載の蒸着マスク。
【請求項4】
前記複数の第2開口部と前記複数の第3開口部は、前記第1開口部の輪郭に沿って時計回りまたは反時計回りに、互い違いに配置される、請求項
2又は
3に記載の蒸着マスク。
【請求項5】
前記複数の第2開口部は、前記第1開口部の縁から、前記第1開口部の最大幅よりも大きい距離だけ離れた位置に配置される、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項6】
前記第1開口部の輪郭は、円形である、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項7】
前記金属膜の膜厚は、5~20μmである、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項8】
前記第1開口部は、アライメントマークである、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【請求項9】
前記第1開口部の最大幅は0.5mm以上である、請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着マスクに関する。特に、電鋳で形成された金属膜に複数の開口部を備えた蒸着マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機EL(エレクトロルミネセンス)材料を用いた表示装置(以下「有機EL表示装置」という。)の製造プロセスにおいては、有機EL材料で構成される薄膜の形成技術として蒸着法が用いられている。蒸着法を用いて有機EL材料で構成される薄膜を形成する場合、複数の微細な開口部を有する金属膜で構成された蒸着マスク(メタルマスクとも呼ばれる。)を用いる。具体的には、複数の画素(すなわち、有機EL材料を蒸着する領域)に対応して複数の開口部が形成された蒸着マスクを用いることにより、複数の画素に対して選択的に有機EL材料を蒸着することができる。
【0003】
蒸着マスクは、金属板をエッチングして作製したり電鋳を用いて作製したりすることができる。特に、電鋳を用いて作製した蒸着マスクは、寸法精度に優れるため、高精度な薄膜形成には適している。そのため、例えば特許文献1では、有機EL表示装置の発光層等を構成する有機EL材料の蒸着に、電鋳を用いた蒸着マスクを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蒸着マスクを用いた蒸着を行う際、蒸着マスクの位置とアレイ基板(複数の画素回路が形成された基板)の位置とを高精度に合わせる必要がある。このような位置合わせは、通常、アライメントマークを用いて行う。アライメントマークは、蒸着マスクとアレイ基板の両方に形成される。例えば、蒸着マスクには、アライメントマークとして開口部を形成し、アレイ基板には蒸着マスクと同じ形状のアライメントマークを形成しておく。そして、蒸着マスクの開口部の輪郭とアレイ基板のアライメントマークの輪郭とを合わせることにより、蒸着マスクとアレイ基板の位置合わせを行う。
【0006】
この場合、電鋳を用いて作製された蒸着マスクにアライメントマークとして開口部を形成することになるが、電鋳を用いて作製された蒸着マスクは、金属膜で構成されているため、非常に薄い。したがって、アライメントマークとして形成された開口部の近傍に応力が集中し、金属膜が反ってしまう場合がある。
【0007】
蒸着マスクのアライメントマークとアレイ基板のアライメントマークとの位置合わせは、カメラのオートフォーカス機構を利用して行われる。その際、アライメントマークの近傍が反っていると、オートフォーカス機構による焦点合わせが困難となり、アライメントマークを用いた位置合わせが出来なくなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、蒸着マスクを構成する金属膜に配置されたアライメントマークの近傍に生じる応力を緩和することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態における蒸着マスクは、フレームと、前記フレームに保持された金属膜と、を含み、前記金属膜は、第1開口部と、前記第1開口部の周囲に配置された複数の第2開口部を有し、前記第2開口部の径は、前記第1開口部の径よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の蒸着マスクの構成を示す平面図である。
【
図2】第1実施形態の蒸着マスクにおけるマスク領域の一部を拡大した平面図である。
【
図3】第1実施形態の蒸着マスクにおけるマスク領域の外側の一部を拡大した平面図である。
【
図4】第1実施形態の蒸着マスクにおける第1開口部並びに複数の第2開口部及び第3開口部の一部を拡大した平面図である。
【
図5】第2実施形態においてアライメントマークとして機能する第1開口部の近傍を拡大した平面図である。
【
図6】第3実施形態においてアライメントマークとして機能する第1開口部の近傍を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0012】
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0013】
(第1実施形態)
<蒸着マスクの構成>
図1は、第1実施形態の蒸着マスク100の構成を示す平面図である。蒸着マスク100は、インバー等の金属部材で構成されたフレーム102と、フレーム102に設けられた複数の開口部102aに保持された複数の金属膜104とを備える。
【0014】
複数の金属膜104は、それぞれ個別の有機EL表示装置に対応して配置され、蒸着材料を遮るマスクとして機能する。金属膜104は、電鋳(Electroforming)を用いて作製された金属膜であり、例えばニッケル、ニッケル-コバルト合金、鉄-ニッケル合金、銅などの金属材料を用いたメッキ技術により作製することができる。金属膜の膜厚は、例えば5~20μmの範囲とすればよい。
【0015】
金属膜104は、マスク領域104aを有する。マスク領域104aは、蒸着対象となる有機EL表示装置の表示領域に対応した領域である。マスク領域104aには、有機EL表示装置の表示領域に配置された各画素に対応した位置に複数の画素用開口部を有する。これら複数の画素用開口部は、各画素に対して選択的に有機EL材料を蒸着するための開口部である。ここで、マスク領域104aの内側の一部(枠線106で囲まれた領域)を拡大した様子を
図2に示す。
【0016】
図2は、第1実施形態の蒸着マスク100におけるマスク領域104aの内側の一部を拡大した平面図である。
図2に示されるように、枠線106で囲まれた領域において、金属膜104には、複数の画素用開口部107が設けられている。
【0017】
画素用開口部107は、それぞれが個別の画素(有機EL表示装置の画素)の位置に対応して設けられる。なお、
図2に示した金属膜104は、赤色、緑色又は青色のいずれかに発光するサブ画素の位置に対応した画素用開口部107を有しているが、他の色に発光するサブ画素に対応する場合は、画素用開口部107の位置が一列又は二列分ずれたものとなる。
【0018】
また、
図1において、金属膜104のうちマスク領域104aの外側の領域には、アライメントマークが配置される。アライメントマークは、蒸着マスク100と、複数の有機EL表示装置が形成されたマザーガラス(図示せず)との位置合わせを行うためのマークである。ここで、マスク領域104aの外側の一部(枠線108で囲まれた領域)を拡大した様子を
図3に示す。
【0019】
図3は、第1実施形態の蒸着マスク100におけるマスク領域104aの外側の一部を拡大した平面図である。
図3に示されるように、枠線108で囲まれた領域において、金属膜104には、第1開口部110が設けられている。本実施形態において、第1開口部110は、アライメントマークとして機能する開口部である。
【0020】
本実施形態では、第1開口部110の輪郭が円形である場合を例示しているが、これに限らず、多角形、矩形、楕円形等であってもよい。ただし、第1開口部110の縁に生じる応力を極力抑えるためには、第1開口部110の輪郭は円形であることが望ましい。
【0021】
さらに、本実施形態では、第1開口部110の周囲に複数の第2開口部112及び第3開口部114が配置されている。具体的には、第1開口部110の輪郭に沿って複数の第2開口部112が環状に配置される。
【0022】
また、第1開口部110に対し第2開口部112より外側に、複数の第3開口部114が配置される。この場合、複数の第3開口部114についても、第1開口部110の輪郭に沿って環状に配置される。このとき、
図3に示されるように、複数の第2開口部112と複数の第3開口部114は、第1開口部110の輪郭に沿って時計回り又は半時計回りに、互い違いに配置される。
【0023】
複数の第2開口部112及び第3開口部114は、それぞれ第1開口部110の周囲に生じる応力を緩和する応力緩和部として機能する開口部である。
【0024】
なお、本実施形態では、第1開口部110の輪郭が円形であるため、複数の第2開口部112及び第3開口部114の配列は環状となるが、例えば第1開口部110の輪郭が矩形であれば、複数の第2開口部112及び第3開口部114は、矩形に沿って配置すればよい。ただし、これは一例であって、第1開口部110の輪郭に沿わないように複数の第2開口部112及び第3開口部114を配置することも可能である。
【0025】
図4は、第1実施形態の蒸着マスク100における第1開口部110並びに複数の第2開口部112及び第3開口部114の一部を拡大した平面図である。
図4に示されるように、第1開口部110の直径をR1、第2開口部112の直径をR2、第3開口部114の直径をR3としたとき、R1に比べてR2及びR3は小さい。具体的には、R2及びR3は、R1の半分以下の直径とすることが好ましい。
【0026】
例えば、R1は、0.5mm以上1.5mm以下(好ましくは0.8mm以上1.2mm以下)とし、R2及びR3は、150μm以上250μm以下(好ましくは180μm以上220μm以下)とすることができる。本実施形態では、R1を1.0mmとし、R2及びR3を200μmとする。なお、本実施形態では、R2とR3を同じ長さとしているが、これに限られるものではなく、R2とR3が異なる長さであってもよい。
【0027】
なお、本実施形態では、第1開口部110、第2開口部112及び第3開口部114が円形であるため、これらの大きさを示すために「直径」という表現を用いたが、これは大きさを示す指標の一例に過ぎない。本明細書中では、各開口部の大きさを示す指標として「最大幅」という表現を用いる。ここで「最大幅」とは、開口部の輪郭上の2点を直線で結んだ際における最大の幅(最大の距離)である。つまり、第1開口部110、第2開口部112及び第3開口部114が円形である場合、その最大幅は直径に等しい。この例に従えば、第1開口部110、第2開口部112及び第3開口部114が、矩形、多角形、楕円形など、中心から輪郭までの距離が変化する図形であっても、大きさの指標として最大幅を用いれば相対的な比較が可能である。
【0028】
また、
図4に示されるように、複数の第2開口部112は、第1開口部110の縁から所定の距離L1だけ離れて配置される。所定の距離L1は、アライメント作業時において、オートフォーカス機構が、第1開口部110の周囲に配置された複数の第2開口部112及び第3開口部114を、第1開口部110として誤認識しないようにするために設けられている。所定の距離L1は、第1開口部110の直径(すなわち最大幅)以上の距離(本実施形態では、1.0mm以上)とすることが好ましいが、前述の誤認識を避けることができれば、特に制限はない。
【0029】
複数の第2開口部112のうち隣接する第2開口部112の間の距離(具体的には、隣接する第2開口部112の中心間の距離)をP1とした場合、P1は、300μm以上500μm以下(好ましくは350μm以上450μm以下)の範囲で設定すればよい。また、第3開口部114のうち隣接する開口部の間の距離についても同様の範囲で設定すればよい。
【0030】
以上のように、本実施形態では、金属膜104を蒸着用のマスクとして利用する蒸着マスク100において、金属膜104に、アライメントマークとしての第1開口部110を設ける。その際、第1開口部110の周囲を囲むように、第1開口部110よりも径の小さい複数の開口部を設け、第1開口部110の近傍に生じる応力を緩和する。
【0031】
金属膜104に発生する応力は、
図1におけるフレーム102と金属膜104との境界付近から第1開口部110に近づくにつれて蓄積される。従来は、
図3に示した第2開口部112及び第3開口部114に相当する開口部が存在しないため、第1開口部110の縁が応力によって反ってしまうという問題があった。特に、第1開口部110の径が0.5mm以上となる場合に、反りの問題が顕著であった。
【0032】
しかしながら、本実施形態では、
図3に示されるように第1開口部110の周囲に第2開口部112及び第3開口部114を設けることにより、フレーム102と金属膜104との境界から徐々に蓄積された応力が第2開口部112及び第3開口部114の配置された領域で緩和され、第1開口部110の縁まで伝達しない。つまり、金属膜104に対する垂線方向の撓みが解消され、第1開口部110の縁が反ってしまうという問題が発生しない。そのため、本実施形態によれば、第1開口部110をアライメントマークとして用いた正確な位置合わせが可能である。特に、本実施形態は、第1開口部110の直径が0.5mm以上である場合に有効である。
【0033】
さらに、本実施形態のように、第1開口部110の周囲を第2開口部112及び第3開口部114で二重に囲み、第2開口部112及び第3開口部114を、第1開口部110の輪郭に沿って時計回り又は半時計回りに、互い違いに配置することが好ましい。このような構成とした場合、第1開口部110に向かって応力が伝達する経路を第2開口部112及び第3開口部114によって効率良く塞ぐことができるため、より応力緩和の効果が高まるからである。
【0034】
なお、本実施形態では、第2開口部112及び第3開口部114を設け、第1開口部110の周囲を複数の開口部で二重に囲む構成とする例を示したが、第2開口部112及び第3開口部114のいずれか一方のみを設けた構成としてもよい。また、第1開口部110の周囲を複数の開口部で三重以上に囲む構成とすることも可能である。
【0035】
(第2実施形態)
第2実施形態では、金属膜104に形成される開口部の形状を第1実施形態とは異なる形状とした例について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態の蒸着マスク100との構成上の差異に注目して説明を行い、同じ構成については同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0036】
図5は、第2実施形態においてアライメントマークとして機能する第1開口部110の近傍を拡大した平面図である。本実施形態では、第1開口部110の周囲に、円弧に沿った形状の複数の第2開口部112a及び第3開口部114aが配置されている。
【0037】
このとき、第3開口部114aは、隣接する第2開口部112aの間隙に対応する位置に配置されている。すなわち、第3開口部114aは、第1開口部110から見て、隣接する第2開口部112aの間隙に重なる位置に配置されている。これにより、本実施形態の金属膜104は、第1開口部110に向かう応力の伝達経路が第2開口部112a及び第3開口部114aによって塞がれた構成となっている。
【0038】
以上の構成により、本実施形態では、フレーム102と金属膜104との境界から徐々に蓄積された応力が第2開口部112a及び第3開口部114aの配置された領域でリセットされ、第1開口部110の縁まで伝達しない。したがって、第1開口部110の縁が反ってしまうという問題が発生しないため、第1開口部110をアライメントマークとして用いた正確な位置合わせが可能である。
【0039】
(第3実施形態)
第3実施形態では、金属膜104に形成される開口部の形状を第1実施形態とは異なる形状とした例について説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態の蒸着マスク100との構成上の差異に注目して説明を行い、同じ構成については同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0040】
図6は、第3実施形態においてアライメントマークとして機能する第1開口部110の近傍を拡大した平面図である。本実施形態では、第1開口部110aの輪郭が矩形であり、第1開口部110の周囲に、各辺に沿って複数の第2開口部112b及び第3開口部114bが配置されている。本実施形態において、第2開口部112b及び第3開口部114bは、長方形もしくはL字形の例を示しているが、正方形であってもよい。
【0041】
第3開口部114bは、隣接する第2開口部112bの間隙に対応する位置に配置されている。すなわち、第3開口部114bは、第1開口部110aから見て、隣接する第2開口部112bの間隙に重なる位置に配置されている。これにより、本実施形態の金属膜104は、第1開口部110aに向かう応力の伝達経路が第2開口部112b及び第3開口部114bによって塞がれた構成となっている。
【0042】
以上の構成により、本実施形態では、フレーム102と金属膜104との境界から徐々に蓄積された応力が第2開口部112b及び第3開口部114bの配置された領域でリセットされ、第1開口部110aの縁まで伝達しない。したがって、第1開口部110aの縁が反ってしまうという問題が発生しないため、第1開口部110aをアライメントマークとして用いた正確な位置合わせが可能である。
【0043】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の蒸着マスクを基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0044】
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0045】
100…蒸着マスク、102…フレーム、102a…開口部、104…金属膜、104a…マスク領域、107…画素用開口部、110、110a…第1開口部、112、112a、112b…第2開口部、114、114a、114b…第3開口部