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  • 特許-フレームロッド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】フレームロッド
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/12 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
F23N5/12 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017136091
(22)【出願日】2017-07-12
(65)【公開番号】P2019019993
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】小代 卓史
(72)【発明者】
【氏名】赤木 万之
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健
(72)【発明者】
【氏名】岩田 佳成
(72)【発明者】
【氏名】宮島 美明
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-253962(JP,A)
【文献】特開2003-232515(JP,A)
【文献】特開平06-101834(JP,A)
【文献】特開2004-271036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/12
G01N 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムを成分として含有する金属材料からなるロッド主体と、
ランタン-ストロンチウム-マンガン酸化物を主成分として含有する材料からなり、ロッド主体の火炎挿入部の表面を被覆する保護被膜とを備え、
保護被膜は、0.002mm以上且つ0.1mm未満の膜厚を有し、
ロッド主体の表面と保護被膜との間に、ロッド主体側から順に、アルミナ層と、アルミナ-マンガン化合物層とを有する、燃焼炎に挿入されるフレームロッド。
【請求項2】
請求項1に記載のフレームロッドにおいて、
ロッド主体は、外側面に沿って火炎挿入部から火炎非挿入部に至る溝部を備えた、燃焼炎に挿入されるフレームロッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームロッド、特に、給湯器や暖房用熱源機などの燃焼機器に用いられるフレームロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器や暖房用熱源機などの燃焼機器に用いられるフレームロッドのロッド主体は、バーナの燃焼炎に晒されて1000℃を超える高温になる。そのため、特にロッド主体がアルミニウムを成分として含有する金属で形成されたものにおいては、使用していくうちに、アルミニウムの酸化反応によって表面に導電性の低いアルミナが析出してくる。そしてこのようにロッド主体の表面がアルミナで覆われると、バーナが点火されても、燃焼炎中を流れる電流がロッド主体に伝達され難くなり、検知不良を招く虞がある。
【0003】
そこで、従来、ロッド主体の燃焼炎に挿入される部位(火炎挿入部)の表面を、アルミナより導電性の高いセラミック系の材料でコーティングしてセラミック被膜を形成することにより、燃焼炎中の電流がセラミック被膜を伝ってロッド主体の燃焼炎に挿入されていない部位(火炎非挿入部)まで伝達されるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-232515号公報
【文献】実開平02-007455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のフレームロッドは、ロッド主体とセラミック被膜との熱膨張率の差により、加熱および冷却が繰り返されることでセラミック被膜にひび割れや剥離が生じ、燃焼炎中の電流がロッド主体に適切に流れなくなる虞がある。そこで、上記特許文献1のフレームロッドでは、セラミック被膜に用いられる材料の熱膨張率を、ロッド主体に用いられる金属の熱膨張率に近くすることで、セラミック被膜のひび割れや剥離の抑制を図っている。また、上記特許文献2のフレームロッドでは、ロッド主体とセラミック被膜との間に中間コーティング層を形成することで、セラミック被膜のひび割れや剥離の抑制を図っている。
【0006】
しかしながら、上記のようにセラミック被膜の熱膨張率をロッド主体の熱膨張率に近くするためには、膜厚の調整が難しく、材料の濃度管理を厳密にする必要もあり、生産性が悪かった。また、ロッド主体とセラミック被膜との間に中間コーティング層を形成する場合は、製造に要する時間や工程数が多くなるから、生産性がより損なわれる。
【0007】
しかも、上記特許文献1のフレームロッドでは、導電性を確保するために、セラミック被膜の膜厚を0.1mm以上に設定するのが望ましいとされているが、セラミック被膜を0.1mm以上の膜厚に均一に形成するためには、より複雑な工程が必要となるため、生産性がより損なわれる虞がある。また、セラミック被膜の膜厚が大きいと、その分、ロッド主体へ熱が伝わり難く、ロッド主体とセラミック被膜との熱膨張の度合に大きな差が生じて、セラミック被膜のひび割れや剥離を適切に防止できない可能性もある。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、給湯器や暖房用熱源機などの燃焼機器に用いられるフレームロッドにおいて、導電性および耐熱性を損なうことなく、生産性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、燃焼炎に挿入されるフレームロッドにおいて、アルミニウムを成分として含有する金属材料からなるロッド主体と、ランタン-ストロンチウム-マンガン酸化物を主成分として含有する材料からなり、ロッド主体の火炎挿入部の表面を被覆する保護被膜とを備え、保護被膜は、0.002mm以上且つ0.1mm未満の膜厚を有し、ロッド主体の表面と保護被膜との間に、ロッド主体側から順に、アルミナ層と、アルミナ-マンガン化合物層とを有するものである。
【0010】
この種のフレームロッドに用いられる保護被膜は、微細な粒子の積層体であり、各粒子間が部分的に接合することで強度を保持し、且つ、各粒子がロッド主体の表面に形成された微小な凹凸に入り込むことによってロッド主体との定着力を保持している。そのため、保護被膜の膜厚が大きければ、熱による膨張収縮が繰り返された際に、粒子間の接合強度が粒子とロッド主体との接合強度に勝り、保護被膜がロッド主体から剥離し易くなる。一方で、保護被膜の膜厚が小さ過ぎると、各粒子間の接合強度が弱くなるため、この場合も膨張収縮が繰り返された際に、ひび割れや剥離が生じ易くなる。
【0011】
しかしながら、本発明によれば、ロッド主体の火炎挿入部の表面を被覆する保護被膜の膜厚を0.002mm以上且つ0.1mm未満の範囲内に設定したことで、熱による膨張収縮が繰り返されても、粒子間の接合強度よりも粒子とロッド主体との接合強度が勝り、保護被膜がロッド主体から剥離し難い。また、保護被膜の膜厚を上記範囲内に設定したことで、ロッド主体へ熱が伝わり易いから、ロッド主体と保護被膜との熱膨張の度合に差が生じ難い。これにより、保護被膜のひび割れや剥離をより効果的に抑制できる。
【0012】
さらに、このものでは、保護被膜の膜厚を上記範囲内に設定すれば足りるから、ロッド主体の熱膨張率を考慮する必要がなく、膜厚の調整が容易であるし、材料の濃度管理の手間も軽減できる。よってその分、ロッド主体の表面に保護被膜を形成する際の時間や工程数を少なくすることができる。
【0013】
ところで、上記のようにロッド主体の表面に析出形成されるアルミナは、ロッド主体の導電性を低下させる反面、耐熱性および耐腐食性を高める働きがある。そのため、上記従来のフレームロッドのように導電性を確保するために保護被膜の膜厚を大きくすれば、空気中の酸素が保護被膜を透過せず、ロッド主体の表面にアルミナが析出し難くなる。しかしながら、本発明では、保護被膜の膜厚を上記範囲内に設定したことで、酸素が保護被膜を透過してロッド主体の表面に到達し易く、使用するに従って、保護被膜とロッド主体の表面との境界面に薄厚のアルミナ層が形成される。これにより、ロッド主体がアルミナ層と保護被膜とで二重に耐熱耐腐食保護される。
【0015】
このものでは、ロッド主体の表面に形成されるアルミナ層に保護被膜中のマンガンが入り込むことで、アルミナ層と保護被膜との境界面に、導電性を有するアルミナとマンガンの化合物の層(アルミナ-マンガン化合物層)が形成されるから、たとえ保護被膜にひび割れや剥離が生じたとしても、導電性を確保できる。
【0016】
好ましくは、上記フレームロッドにおいて、ロッド主体は、外側面に沿って火炎挿入部から火炎非挿入部に至る溝部を備える。
【0017】
このものでは、ロッド主体に保護被膜を被覆させる際に、外側面に形成された溝部に保護被膜を形成する材料が入り込んで定着し易いから、ロッド主体の火炎挿入部から火炎非挿入部に亘って電流の導通経路が安定して確保される。また、溝部に形成された保護被膜は、溝部以外の表面に形成された保護被膜に比べてロッド主体の膨張収縮の影響を受け難いから、長期間使用してもひび割れや剥離が生じ難い。よって、より確実に電流の導通経路を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、保護被膜がロッド主体から剥離し難いから、安定した導電性および耐熱性を維持できる。しかも、このものでは、ロッド主体がアルミナ層と保護被膜とで二重に耐熱耐腐食保護されるから、耐熱性および耐腐食性がより高くなる。また、保護被膜の膜厚の調整が容易であると共に、材料の濃度管理の手間も少ないから、生産性の向上を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施の形態に係るフレームロッドの斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るフレームロッドのロッド主体の表面構造を示す模式図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係るフレームロッドの使用期間毎の火炎電流値の変化度合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るフレームロッド1は、主として給湯器や暖房用熱源機などの燃焼機器に組み込まれ、バーナの燃焼炎の有無を検出するのに用いられるものであり、燃焼炎に挿入されるロッド主体11と、ロッド主体11を支持する絶縁碍子12と、電気配線を接続するための接続端子13とを備えている。
【0022】
尚、図示しないが、燃焼機器内には、フレームロッド1とバーナとの間を流れる電流値(火炎電流値)の大きさに基づいてバーナの燃焼炎の有無を判別する炎検知回路が組み込まれており、接続端子13は、上記炎検知回路に電気配線を通じて接続され、さらに電気配線を通じてバーナ本体に接続されている。即ち、フレームロッド1およびバーナ本体相互は、炎検知回路を介して電気接続されている。
【0023】
炎検知回路は、フレームロッド1とバーナ本体との間に所定電圧を印加する電源部と、燃焼炎を通じてフレームロッド1とバーナ本体との間を流れる火炎電流値を検出する電流検出部とを備えており、フレームロッド1とバーナ本体との間に所定電圧を印加したときの上記火炎電流値の大きさに基づいて、バーナの炎孔外側に適切に燃焼炎が形成されているか否かを判別するように構成されている。
【0024】
絶縁碍子12は、ロッド主体11の先端部111をバーナの炎孔に外側から臨ませた状態で機器内部の所定の取付部に支持固定され、ロッド主体11と上記ロッド支持部との絶縁性を保っている。
【0025】
ロッド主体11は、鉄(Fe)、クロム(Cr)、およびアルミニウム(Al)を成分として含有する金属、所謂SYTT合金で形成された中実略円柱状の線材であり、高い耐熱性および導電性を有している。
【0026】
ロッド主体11は、絶縁碍子12のロッド接続部120から所定方向に延出し、基端部112寄りの位置で鈍角に折曲形成されている。本実施の形態では、ロッド主体11の先端部111から折曲部113に至るまでの所定の先端側領域(例えば、先端部111と折曲部113との間の領域における先端部111から略3/4の領域)11Aが燃焼炎に挿入されるように配置される。即ち、ロッド主体11の先端側領域11Aが火炎挿入部となり、それ以外の基端側領域11Bが火炎非挿入部となる。
【0027】
ロッド主体11の外側面には、先端部111から折曲部113に亘って断面略V字状の溝部110が形成されている。溝部110は、ロッド主体11の外側面に沿ってロッド主体11の軸線と略平行に延設されており、先端側領域11Aから基端側領域11Bに亘って形成されている。
【0028】
ロッド主体11の先端部111から折曲部113までの領域の表面には、酸化ランタン(La)、酸化ストロンチウム(SrO)、および酸化マンガン(MnO)を主成分として含有する塗料、所謂LSM塗料によってランタン-ストロンチウム-マンガン酸化物被膜(以下、「LSM被膜」という)21が形成されている(図2参照)。
【0029】
LSM被膜21は、ロッド主体11の先端部111から折曲部113までの領域をLSM塗料中に浸漬させ、さらに乾燥および焼付けを行なうことにより形成される。このようなディップコーティング法を採用することで、ロッド主体11の所望の領域にムラ無く均一な厚みで且つ容易にLSM被膜21を形成することができる。また、このものでは、ロッド主体11の外側面に沿って溝部110が形成されているため、上記のようにディップコーティングを行なった際に、LSM被膜21の材料が溝部110に円滑に入り込んで定着し易い。
【0030】
LSM被膜21をロッド主体11の表面に形成する際、LSM被膜21の膜厚は、0.002mm以上且つ0.1mm未満の範囲内に調整される。尚、上記ディップコーティング法によれば、ロッド主体11をLSM塗料中に1回浸漬させることでLSM被膜21の膜厚を上記範囲内に調整できる。このように、LSM被膜21の膜厚を上記範囲内に設定したことで、加工時間を短くできるし、LSM塗料の使用量も低減できる。
【0031】
しかも、LSM被膜21の膜厚を上記範囲内に設定したことで、酸素がLSM被膜21を透過してロッド主体11の表面に到達し易い。そのため、上記焼付け時或いはバーナの燃焼炎に晒された際に、LSM被膜21とロッド主体11の表面との境界面にアルミナが析出し、薄厚のアルミナ層22が形成される。また、アルミナ層22にLSM被膜21中のマンガンが入り込むことで、アルミナ層22とLSM被膜21との境界面に、アルミナ(Al)とマンガン(Mn)の化合物が析出し、アルミナ-マンガン化合物層23が形成される(図2参照)。
【0032】
図3は、本発明のフレームロッド1と、ロッド主体11の表面にLSM被膜21を被覆していない比較対象のフレームロッドとを用いて、使用状態毎に火炎電流値の変化を測定したグラフである。詳述すると、グラフA1は、本発明のフレームロッド1の使用開始初期の火炎電流値、グラフA2は、本発明のフレームロッド1において使用期間が連続約1000時間に達した状態の火炎電流値、グラフA3は、本発明のフレームロッド1において所定時間毎(ここでは、1分毎)にバーナのオンオフ(ヒートサイクル)を約20000回繰り返した状態の火炎電流値を示す。グラフB1は、比較対象のフレームロッドの使用開始初期の火炎電流値、グラフB2は、比較対象のフレームロッドにおいて使用期間が連続約100時間に達した状態の火炎電流値、グラフB3は、比較対象のフレームロッドにおいて使用期間が連続約1000時間に達した状態の火炎電流値、グラフB4は、比較対象のフレームロッドにおいて使用期間が連続約2000時間に達した状態の火炎電流値を示す。
【0033】
比較対象のフレームロッドの火炎電流値の変化度合から分かるように、長期間加熱されていない使用開始初期のフレームロッドでは、バーナ点火時の火炎電流値の著しい落ち込みは認められないが(B1)、使用期間が長くなれば、バーナ点火時の火炎電流値の著しい落ち込みが認められ、その結果、燃焼炎の検知不良が生じるものと考えられる(B2~B4)。これに対し、本発明のフレームロッド1では、使用期間が長くなっても、或いは、ヒートサイクルが多数回繰り返された後であっても、使用開始初期と同等の火炎電流値の変化を示しており、バーナ点火時の火炎電流値の著しい落ち込みがないことから、燃焼炎の検知不良は生じないものと考えられる(A1~A3)。
【0034】
このように、本発明のフレームロッド1によれば、ロッド主体11の火炎挿入部(先端側領域11A)の表面を被覆するLSM被膜21の膜厚を0.002mm以上且つ0.1mm未満の範囲内に設定したことで、熱による膨張収縮が繰り返されても、LSM被膜21を形成する材料の各粒子間の接合強度よりも、粒子とロッド主体11との接合強度が勝り、LSM被膜21がロッド主体11から剥離し難いから、安定した導電性および耐熱性を維持できる。
【0035】
また、LSM被膜21の膜厚を上記範囲内に設定したことで、ロッド主体11へ熱が伝わり易く、ロッド主体11とLSM被膜21との熱膨張の差が大きくなり難いから、LSM被膜21のひび割れや剥離をより効果的に抑制できる。よって、より安定した導電性および耐熱性を維持できる。
【0036】
しかも、このものでは、LSM被膜21の膜厚を上記範囲内に設定すれば足りるから、ロッド主体11の熱膨張率を考慮する必要がなく、膜厚の調整が容易であるし、材料の濃度管理の手間も軽減できる。よってその分、ロッド主体11の表面にLSM被膜21を形成する際の時間や工程数を少なくすることができ、生産性も向上する。
【0037】
さらに、このものでは、使用するに従って、LSM被膜21とロッド主体11の表面との境界面に薄厚のアルミナ層22が形成され、ロッド主体11がアルミナ層22とLSM被膜21とで二重に耐熱耐腐食保護されるから、耐熱性および耐腐食性が一層向上する。
【0038】
また、このものでは、アルミナ層22とLSM被膜21との境界面に、導電性を有するアルミナ-マンガン化合物層23が形成されるから、たとえLSM被膜21にひび割れや剥離が生じたとしても、導電性を確保できる。
【0039】
また、このものでは、ロッド主体11の先端側領域11A(火炎挿入部)から基端側領域11B(火炎非挿入部)に亘って溝部110が形成されており、ロッド主体11にLSM被膜21を被覆させる際に、LSM被膜21を形成する材料が溝部110に入り込んで定着するから、ロッド主体11の火炎挿入部から火炎非挿入部に亘って電流の導通経路が安定して確保される。よって、より安定した導電性を維持できる。
【0040】
また、溝部110に形成されたLSM被膜21は、溝部110以外の表面に形成されたLSM被膜21に比べてロッド主体11の膨張収縮の影響を受け難く、長期間使用してもひび割れや剥離が生じ難いから、より確実に電流の導通経路を確保することができる。よって、一層安定した導電性を維持できる。
【0041】
尚、上記実施の形態では、溝部110は、ロッド主体11の外側面に沿ってロッド主体11の軸線と略平行に延設されたものを説明したが、火炎挿入部から火炎非挿入部に亘って連続形成されており、電流の導通経路を安定して確保することが可能な構成であれば、溝部110は、ロッド主体11の外側面に沿って螺旋状や円弧状、波形状に延設されたものとしてもよい。また、溝部110は、単数に限らず、ロッド主体11の外側面に沿って複数延設されたものとしてもよい。
【0042】
上記実施の形態では、ディップコーティング法によりLSM被膜21を形成するものを説明したが、ロッド主体11の所望の領域にムラ無く均一な厚みで且つ容易にLSM被膜21を形成することが可能であれば、スプレーコーティング法など他のコーティング方法によりLSM被膜21を形成するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 フレームロッド
11 ロッド主体
110 溝部
111 先端部
112 基端部
11A 先端側領域(火炎挿入部)
11B 基端側領域(火炎非挿入部)
21 LSM被膜(保護被膜)
図1
図2
図3