(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 77/20 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
B65D77/20 J
B65D77/20 G
(21)【出願番号】P 2017181226
(22)【出願日】2017-09-21
【審査請求日】2020-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2016202861
(32)【優先日】2016-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】昭和電工パッケージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】苗村 正
(72)【発明者】
【氏名】古谷 篤
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-043964(JP,A)
【文献】特開2010-200713(JP,A)
【文献】特開2001-315835(JP,A)
【文献】特開2004-268321(JP,A)
【文献】特開平02-258578(JP,A)
【文献】特開2006-123971(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00549965(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口周縁にフランジを有している容器と、内容物が充填された容器の開口を塞ぐようにフランジに剥離可能に熱融着されている蓋とを備えており、容器のフランジの上面が熱融着性樹脂層によって構成されているとともに、蓋の下面が容器のフランジの熱融着性樹脂層と熱融着可能な熱融着性樹脂層によって構成されており、蓋が、熱融着性樹脂層の裏面側に積層された再封用粘着層を備えており、容器のフランジと蓋との熱融着部には、その周方向の一部分または周方向に間隔をおいた複数の部分に、他の部分よりも開封強度が高められた難開封部が設けられており、
蓋が、再封用粘着層を挟んで熱融着性樹脂層と反対側に積層された難開封部形成用熱融着性樹脂層をさらに備えており、難開封部が、蓋の難開封部形成用熱融着性樹脂層と、容器のフランジの熱融着性樹脂層とを部分的に熱融着することにより形成されており、
蓋の難開封部形成用熱融着性樹脂層と、容器のフランジの熱融着性樹脂層とが、同一の樹脂材料からなる、再封可能な包装体。
【請求項2】
全ての難開封部が、容器のフランジと蓋との熱融着部を周方向にほぼ2等分した2つの半部のうちいずれか一方に偏って設けられており、蓋における全ての難開封部から最も離れた縁部に、開封用タブが設けられている、請求項1記載の再封可能な包装体。
【請求項3】
難開封部が、容器のフランジと蓋との熱融着部における周方向に間隔をおいた2つの箇所に、それぞれ点状に設けられている、請求項1または2記載の再封可能な包装体。
【請求項4】
開口周縁にフランジを有している容器と、内容物が充填された容器の開口を塞ぐようにフランジに剥離可能に熱融着されている蓋とを備えており、容器のフランジの上面が熱融着性樹脂層によって構成されているとともに、蓋の下面が容器のフランジの熱融着性樹脂層と熱融着可能な熱融着性樹脂層によって構成されており、蓋が、熱融着性樹脂層の裏面側に積層された再封用粘着層を備えており、容器のフランジと蓋との熱融着部には、同熱融着部を周方向にほぼ2等分する箇所に、他の部分よりも開封強度が高められた2つの難開封部が点状に設けられており、
2つの難開封部を結ぶ直線によってほぼ2等分された蓋の2つの半部それぞれにおいて、2つの難開封部から最も離れた縁部に、開封用タブが設けられている、再封可能な包装体。
【請求項5】
開封時に、蓋の熱融着性樹脂層と再封用粘着層との界面で剥離するようになされている、請求項1~4のいずれか1つに記載の再封可能な包装体。
【請求項6】
開口周縁にフランジを有している容器と、内容物が充填された容器の開口を塞ぐようにフランジに剥離可能に熱融着されている蓋とを備えており、容器のフランジの上面が熱融着性樹脂層によって構成されているとともに、蓋の下面が容器のフランジの熱融着性樹脂層と熱融着可能な熱融着性樹脂層によって構成されており、容器のフランジが、熱融着性樹脂層の裏面側に積層された再封用粘着層を備えており、容器のフランジと蓋との熱融着部には、その周方向の一部分または周方向に間隔をおいた複数の部分に、他の部分よりも開封強度が高められた難開封部が設けられており、
容器のフランジが、再封用粘着層を挟んで熱融着性樹脂層と反対側に積層された難開封部形成用熱融着性樹脂層をさらに備えており、難開封部が、容器のフランジの難開封部形成用熱融着性樹脂層と、蓋の熱融着性樹脂層とを部分的に熱融着することにより形成されており、
容器のフランジの難開封部形成用熱融着性樹脂層と、蓋の熱融着性樹脂層とが、同一の樹脂材料からなる、再封可能な包装体。
【請求項7】
全ての難開封部が、容器のフランジと蓋との熱融着部を周方向にほぼ2等分した2つの半部のうちいずれか一方に偏って設けられており、蓋における全ての難開封部から最も離れた縁部に、開封用タブが設けられている、請求項6記載の再封可能な包装体。
【請求項8】
難開封部が、容器のフランジと蓋との熱融着部における周方向に間隔をおいた2つの箇所に、それぞれ点状に設けられている、請求項6または7記載の再封可能な包装体。
【請求項9】
開封時に、容器のフランジの熱融着性樹脂層と再封用粘着層との界面で剥離するようになされている、請求項6~
8のいずれか1つに記載の再封可能な包装体。
【請求項10】
容器および蓋のそれぞれが、金属箔層をさらに備えている、請求項1~
9のいずれか1つに記載の再封可能な包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品、フィルム、薬品、化粧品、ウェットティッシュ等の内容物が充填された容器のフランジに蓋をシールしてなる包装体に関し、より詳細には、未開封時には内容物を密封状態で包装することができるとともに、開封後に蓋を再シールすることができる、再封可能な包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばバター、ジャム、味噌、佃煮といった食品等を内容物とする再封可能な包装体として、下記の特許文献1,2に記載の通り、アルミニウム箔層とその片面に積層された熱融着性樹脂フィルム層とを有する複合シートを成形してなりかつ開口周縁にフランジが設けられている容器と、アルミニウム箔層とその片面に積層された熱融着性樹脂フィルム層とを有する複合シートから形成されかつ内容物が充填された容器のフランジに剥離可能に熱融着されている内蓋(シール材)と、合成樹脂成形品よりなりかつ内蓋を覆うように容器のフランジに着脱自在に嵌め被せられている外蓋(オーバーキャップ)を備えたものが知られている。上記の容器によれば、内蓋を開封する前は、容器および内蓋のバリア層ならびにシール部によって優れたバリア性および密封性が得られ、内蓋を剥離して開封した後は、容器のフランジに外蓋を嵌め被せて再封することができる。
【0003】
また、その他の再封可能な包装体として、下記の特許文献3に記載の通り、ポケットに電子部品が収容されたキャリアテープ(容器)のフランジに、下面にシーラント層を有するカバーテープ(蓋)をシールしてなり、カバーテープのシーラント層は、それ自身の凝集破壊により、キャリアテープのフランジから剥離された後でも、再シール可能となされているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-152157号公報
【文献】特開2014-122064号公報
【文献】特開2015-166253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2記載の包装体の場合、内蓋を剥離除去して開封した後は、合成樹脂製の外蓋を容器のフランジに嵌め被せて再封するため、再封後の密封性は十分とはいえなかった。
また、特許文献3記載の包装体では、シール部の開封強度が均一であるため、開封時にカバーテープ全体が一気に剥離しやすく、そのため一旦全て剥離してしまうと、元の正確な位置でカバーテープを再シールすることが難しく、位置がずれると十分な密封性が得られないおそれがあった。
【0006】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、容器のフランジへの蓋の再シールを簡単にかつ確実に行うことができ、再封後も優れた密封性が得られる再封可能な包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0008】
1)開口周縁にフランジを有している容器と、内容物が充填された容器の開口を塞ぐようにフランジに剥離可能に熱融着されている蓋とを備えており、容器のフランジの上面が熱融着性樹脂層によって構成されているとともに、蓋の下面が容器のフランジの熱融着性樹脂層と熱融着可能な熱融着性樹脂層によって構成されており、蓋が、熱融着性樹脂層の裏面側に積層された再封用粘着層を備えており、容器のフランジと蓋との熱融着部には、その周方向の一部分または周方向に間隔をおいた複数の部分に、他の部分よりも開封強度が高められた難開封部が設けられている、再封可能な包装体。
【0009】
2)開封時に、蓋の熱融着性樹脂層と再封用粘着層との界面で剥離するようになされている、上記1)の再封可能な包装体。
【0010】
3)蓋が、再封用粘着層を挟んで熱融着性樹脂層と反対側に積層された難開封部形成用熱融着性樹脂層をさらに備えており、難開封部が、蓋の難開封部形成用熱融着性樹脂層と、容器のフランジの熱融着性樹脂層とを部分的に熱融着することにより形成されている、上記1)または2)の再封可能な包装体。
【0011】
4)蓋の難開封部形成用熱融着性樹脂層と、容器のフランジの熱融着性樹脂層とが、同一の樹脂材料からなる、上記3)の再封可能な包装体。
【0012】
5)開口周縁にフランジを有している容器と、内容物が充填された容器の開口を塞ぐようにフランジに剥離可能に熱融着されている蓋とを備えており、容器のフランジの上面が熱融着性樹脂層によって構成されているとともに、蓋の下面が容器のフランジの熱融着性樹脂層と熱融着可能な熱融着性樹脂層によって構成されており、容器のフランジが、熱融着性樹脂層の裏面側に積層された再封用粘着層を備えており、容器のフランジと蓋との熱融着部には、その周方向の一部分または周方向に間隔をおいた複数の部分に、他の部分よりも開封強度が高められた難開封部が設けられている、再封可能な包装体。
【0013】
6)開封時に、容器のフランジの熱融着性樹脂層と再封用粘着層との界面で剥離するようになされている、上記5)の再封可能な包装体。
【0014】
7)容器のフランジが、再封用粘着層を挟んで熱融着性樹脂層と反対側に積層された難開封部形成用熱融着性樹脂層をさらに備えており、難開封部が、容器のフランジの難開封部形成用熱融着性樹脂層と、蓋の熱融着性樹脂層とを部分的に熱融着することにより形成されている、上記5)または6)の再封可能な包装体。
【0015】
8)容器のフランジの難開封部形成用熱融着性樹脂層と、蓋の熱融着性樹脂層とが、同一の樹脂材料からなる、上記7)の再封可能な包装体。
【0016】
9)全ての難開封部が、容器のフランジと蓋との熱融着部を周方向にほぼ2等分した2つの半部のうちいずれか一方に偏って設けられており、蓋における全ての難開封部から最も離れた縁部に、開封用タブが設けられている、上記1)~8)のいずれか1つの再封可能な包装体。
【0017】
10)難開封部が、容器のフランジと蓋との熱融着部における周方向に間隔をおいた2つの箇所に、それぞれ点状に設けられている、上記1)~9)のいずれか1つの記載の再封可能な包装体。
【0018】
11)2つの難開封部が、容器のフランジと蓋との熱融着部を周方向にほぼ2等分する箇所に点状に設けられており、2つの難開封部を結ぶ直線によってほぼ2等分された蓋の2つの半部それぞれにおいて、2つの難開封部から最も離れた縁部に、開封用タブが設けられている、上記10)の再封可能な包装体。
【0019】
12)容器および蓋のそれぞれが、金属箔層をさらに備えている、上記1)~11)のいずれか1つの再封可能な包装体。
【発明の効果】
【0020】
上記1)または5)の包装体にあっては、未開封時には、容器のフランジに蓋が熱融着されているため、高い密封性が得られる。そして、開封時には、蓋を容器のフランジから剥離するが、フランジと蓋との熱融着部には開封強度が高められた難開封部が部分的に設けられているため、蓋の一部がフランジから剥離されずに残りやすくなる。つまり、開封操作により、蓋は、その全部が剥がれてフランジから外れるのではなく、その一部がフランジに残り、部分開封状態で内容物の取り出しが行われる。また、開封時の蓋の剥離に伴い、蓋および容器のフランジのうち一方に設けられた再封用粘着部が露出する。そして、部分的に開封した蓋を再びフランジに重ねていくと、再封用粘着部がこれと重なる相手方の部分に貼り付けられ、それによって蓋の再封が行われる。内容物を使い切った後は、例えば蓋を強い力で引っ張ることにより、難開封部においても蓋が容器のフランジから剥離されるので、容器と蓋とを分離して処分することができる。
以上の通り、上記1)または5)の再封可能な包装体によれば、容器のフランジへの蓋の再シールを簡単にかつ確実に行うことができ、再封後においても優れた密封性が得られる。
【0021】
上記2)または6)の包装体によれば、開封時に、蓋または容器のフランジの熱融着性樹脂層とこれの裏面側に積層された再封用粘着層との界面で剥離するため、蓋の剥離が容易であり、また、剥離強度の設計も容易に行いうる。
【0022】
上記3)または7)の包装体によれば、難開封部が、蓋および容器のフランジのうちいずれか一方に備えられた難開封部形成用熱融着性樹脂層と、同他方の熱融着性樹脂層とを部分的に熱融着することにより形成されているので、難開封部の形成工程を、例えば包装体の製造ラインにおいて行うことが可能となり、それによって製造効率が向上し、コストも抑えられる。
【0023】
上記4)または8)の包装体によれば、蓋および容器のフランジのうちいずれか一方に備えられた難開封部形成用熱融着性樹脂層と、同他方の熱融着性樹脂層とが、同一の樹脂材料からなるので、両者のシール強度が高くなり、したがって、難開封部の開封強度が高くなるので、蓋の部分開封操作をより確実に行うことができる。
【0024】
上記9)の包装体によれば、全ての難開封部が、容器のフランジと蓋との熱融着部を周方向にほぼ2等分した2つの半部のうちいずれか一方に偏って設けられているので、蓋の開封の度合いを比較的大きくとることができ、固形物等の内容物の取り出しが容易となる。また、上記9)の包装体によれば、蓋における全ての難開封部から最も離れた縁部に開封用タブが設けられているので、蓋の開封方向を容易に把握することができ、また、蓋の開封時に加えられる外力が1つの難開封部に集中しにくくなり、不用意に難開封部が剥離開封されることが回避される。
【0025】
上記10)の包装体によれば、難開封部が、容器のフランジと蓋との熱融着部に周方向に間隔をおいて設けられた2つの点状のものであるので、難開封部の形成が比較的容易である上、2つの難開封部の位置を適宜変更するだけで、蓋の開封の度合いを容易に調整することができる。
【0026】
上記11)の包装体によれば、蓋をほぼ半分ずつ開封することができるので、例えば一方の半部を開封して再封を繰り返すことにより再封用粘着層の粘着力が低下してきた時点で、一方の半部の代わりに他方の半部を開封して再封を行うという使い方が可能となり、より長期に亘って再封可能な蓋として利用できることから包装体としての密封性を保持することができる。
【0027】
上記12)の包装体によれば、容器および蓋のそれぞれに金属箔層が設けられているので、未開封時はもとより、再封時にも優れたバリア性が得られ、内容物の劣化等を効果的に抑止して長期保存することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】この発明の第1の実施形態に係る包装体を示すものであって、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿う包装体の部分拡大垂直断面図であって、(a)は未開封時の状態を示す図であり、(b)は開封後の状態を示す図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿う包装体の部分拡大垂直断面図である。
【
図4】この発明の第2の実施形態に係る包装体を示す平面図である。
【
図5】この発明の第3の実施形態に係る包装体を示す平面図である。
【
図6】この発明の第4の実施形態に係る包装体を示すものであって、(a)は平面図であり、(b)は正面図である。
【
図7】この発明の第5の実施形態を示すものであって、
図2に相当する図である。
【
図8】この発明の第5の実施形態を示すものであって、
図3に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明の実施形態を、
図1~
図8を参照して説明する。
【0030】
<第1の実施形態>
図1~
図3は、この発明による第1の実施形態の包装体を示したものである。
図示の包装体(11)は、バター、ジャム、味噌といった食品等の内容物(C)を、容器(2)および蓋(3)を用いて密封包装してなるものである。
容器(2)は、複合シート(20)を深絞り成形してなるカップ状のものである。より具体的には、容器(2)は、底壁(2a)と、底壁(2a)の周縁から立ち上がった周壁(2b)とを備えている。また、容器(2)は、その上方開口周縁にフランジ(2c)を有している。フランジ(2c)は、周壁(2b)の上端縁から径方向外方に向かって水平に張り出したフラットな形状のものである。なお、容器の形状は、フランジを有するカップ状のものであればよく、図示のものに限定されない。
蓋(3)は、所定の寸法および形状にカットされた複合シート(30)からなり、内容物(C)が充填された容器(2)の上方開口を塞ぐように、その下面の周縁部が容器(2)のフランジ(2c)の上面に剥離可能に熱融着されている。
容器(2)のフランジ(2c)と蓋(3)との熱融着部(4)には、その周方向に間隔をおいた2つの部分に、その他の部分よりも開封強度が高められた難開封部(41)が設けられている。2つの難開封部(41)は、それぞれ点状のものであって、熱融着部(4)を周方向にほぼ2等分した2つの半部のうち一方(
図1でいうと、左下半部および右上半部のうち右上半部)に偏って設けられている。
蓋(3)には、その周縁部の所要箇所、より詳細には、2つの難開封部(41)から最も離れ
た縁部(
図1の左下の縁部)に、開封用タブ(3a)が設けられている。開
封用タブ(3a)は、蓋(3)の上記箇所から径方向外方に向かって張り出すように形成された平面より見て略三角形状のものであって、蓋(3)の開封時に手指で摘めるようになっている。
【0031】
図2および
図3に示すように、容器(2)を構成している複合シート(20)は、金属箔層(21)と、金属箔層(21)の内面に積層された熱融着性樹脂層(22)と、金属箔層(21)の外面に積層された外側樹脂層(23)とを備えている。
金属箔層(21)は、容器(2)に対してガス・水蒸気等に対するバリア性を付与するバリア層として機能するものであって、例えばアルミニウム箔、鉄箔、ステンレス鋼箔、銅箔が用いられるが、好適にはアルミニウム箔が用いられる。アルミニウム箔の場合、純アルミニウム箔、アルミニウム合金箔のいずれでもよく、また、軟質、硬質のいずれでもよいが、例えば、鉄の含有量が0.3~1.5wt%であるJIS H4160で分類されるA8000系(特に、A8079HやA8021H)の焼鈍処理済の軟質材(O材)であれば、成形性に優れているので、好適に用いることができる。金属箔層(21)の片面または両面には、必要に応じて、クロメート処理などの下地処理を行うことができる。金属箔層(21)の厚みは、20~200μmとするのが好ましく、40~120μmがより好ましい。上記厚みを20μm以上とすることで、ピンホールの発生確率が少なくなってバリア性を確保することができ、深絞り性を得ることができる。上記厚みを200μm以下とすることで、成形時の力が掛かって複合シートが破れるのが防止され、また、軽い容器を得ることができる。
熱融着性樹脂層(22)は、容器(2)の最内層、換言すれば、底壁(2a)の上面、周壁(2b)の内面、およびフランジ(2c)の上面を構成するものであって、金属箔層(21)を内容物(C)から保護するとともに、容器(2)のフランジ(2c)に熱融着(ヒートシール)性を付与する役割を担っている。この熱融着性樹脂層(22)は、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)フィルム、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルム等の汎用性フィルム、または、これらの複合フィルムによって構成される。熱融着性樹脂層(22)の厚さは、20~500μmとするのが好ましく、40~300μmがより好ましい。金属箔層(21)と熱融着性樹脂層(22)との接合は、例えば二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤やポリエーテル-ポリウレタン樹脂系接着剤等の接着剤を用いて行われる。
容器(2)の外面を構成する外側樹脂層(23)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)フィルム、ポリアミド樹脂(PA)フィルム、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)フィルム、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)フィルム、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルム等の汎用性の高いフィルムや、これらの複合材料が用いられる。外側樹脂層(23)の厚みは、3~300μmとするのが好ましく、20~100μmとするのがより好ましい。上記厚みを3μm以上とすることで、金属箔層(21)の腐食や汚れを防止することができる。金属箔層(21)と外側樹脂層(23)との接合は、例えば二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤やポリエーテル-ポリウレタン樹脂系接着剤等の接着剤層(図示略)を介して行われる。
【0032】
蓋(3)を構成する複合シート(30)は、
図2および
図3に示すように、金属箔層(31)と、金属箔層(31)の下面側(包装体(11)の内面側)に順次積層された難開封部形成用熱融着性樹脂層(34)、再
封用粘着層(33)、および熱融着性樹脂層(32)と、金属箔層(31)の上面側(包装体(11)の外面側)に積層された外側樹脂層(35)とよりなる。
金属箔層(31)は、蓋(3)にバリア性を付与するバリア層として機能するものであり、例えばアルミニウム箔、ステンレス鋼箔、銅箔、ニッケル箔等によって構成されるが、好適には、アルミニウム箔が用いられる。アルミニウム箔の場合、純アルミニウム箔、アルミニウム合金箔のいずれでもよく、また、軟質、硬質のいずれでもよいが、例えば、JISH4160で分類されるA8021の焼鈍済の軟質材(O材)が、好適に用いられる。
蓋(3)の最下層(最内層)を構成する熱融着性樹脂層(32)は、蓋(3)に熱融着(ヒートシ
ール)性を付与するとともに、金属箔(31)を内容物(C)から保護する役割を担うものである。熱融着性樹脂層(32)は、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)フィルム、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルム等の汎用性フィルム、または、これらの複合フィルムによって構成されるが、好適には、容器(2)の熱融着性樹脂層(22)と同一の材料によって構成される。熱融着性樹脂層(32)の厚さは、15~200μmとするのが好ましく、30~60μmがより好ましい。熱融着性樹脂層(32)には、必要に応じて、酸化チタン等の着色顔料、酸化防止剤、スリップ剤、耐電防止剤、安定剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤を添加してもよい。
熱融着性樹脂層(32)の上面側(裏面側)に積層される
再封用粘着層(33)は、開封後の蓋(3)に再シール性を付与するためのものである。
再封用粘着層(33)を構成する粘着剤としては、再シール時に要求される粘着強度等に応じて、アクリル樹脂系、ゴム系、シリコン系、またはウレタン系の粘着剤の中から適宜のものが用いられる。
金属箔層(31)と
再封用粘着層(33)との間に積層される難開封部形成用熱融着性樹脂層(34)は、熱融着部(4)に難開封部(41)を形成するためのものであって、好適には、容器(2)のフランジ(2c)の熱融着性樹脂層(22)と同一の材料、すなわち、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)フィルム、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルム等の汎用性フィルム、または、これらの複合フィルムによって構成される。難開封部形成用熱融着性樹脂層(34)の厚さは、5~60μmとするのが好ましく、20~40μmがより好ましい。上記厚さが5μm未満であれば膜厚が安定した難開封部形成用熱融着性樹脂層(34)が作りにくく、上記厚さが60μmより大きくなるとコストが高くなるからである。なお、難開封部形成用熱融着性樹脂層(34)は、必ずしも蓋(3)にその全面に亘るように形成することを要せず、少なくとも蓋(3)のうち平面より見て容器(2)のフランジ(2c)と重なる周縁部分に形成すれば足りる。
蓋(3)の最上層(最外層)を構成する外側樹脂層(35)は、加飾層や保護層として機能するものであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムや延伸ナイロン樹脂(ONy)フィルム等の耐熱性樹脂フィルムを、二液硬化型のポリエステル-ウレタン樹脂系接着剤やポリエーテル-ウレタン樹脂系接着剤等の接着剤層(図示略)を介して、金属箔層(31)の上面(外面)にドライラミネートすることにより形成されている。また、外側樹脂層(35)は、表面コート層により形成されていてもよい。表面コート層は、例えば、エポキシ樹脂、硝化綿系樹脂、エポキシメラミン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂等のコート用樹脂を溶媒に溶解または分散してなる塗布剤を、金属箔の表面に塗布して乾燥することにより形成される。
【0033】
図3に示すように、容器(2)のフランジ(2c)と蓋(3)との熱融着部(4)に設けられている難開封部(41)は、蓋(3)の難開封部形成用熱融着性樹脂層(34)と容器(2)のフランジ(2c)の熱融着性樹脂層(22)とを部分的に熱融着することにより形成されている。
より具体的にいうと、例えば、包装体(11)の製造ラインにおいて、容器(2)のフランジ(2c)および蓋(3)の重合面の熱融着性樹脂層(22)(32)どうしを熱融着させる第1シール工程の後に、蓋(3)の難開封部形成用熱融着性樹脂層(34)と容器(2)のフランジ(2c)の熱融着性樹脂層(22)とをスポット的に熱融着させる第2シール工程を設けることにより、容器(2)のフランジ(2c)と蓋(3)との熱融着部(4)に難開封部(41)が形成される。第2シール工程では、例えば、フランジ(2
c)の下面側に当て板を配した状態で、所定温度に加熱された加熱ピンを、蓋(3)における難開封部(41)を形成すべき箇所に、上方から所定の加圧力で差し込むことにより、蓋(3)の難開封部形成用熱融着性樹脂層(34)が、再封用粘着層(33)および熱融着性樹脂層(32)を突き抜けて、フランジ(2c)の熱融着性樹脂層(22)と接触し、両者(34)(22)が局所的に熱融着される。
難開封部(41)の形状、大きさおよび数は、要求される開封強度や部分開封の度合い(非剥離部分の割合)等に応じて適宜決定されるが、好ましくは、この実施形態のように、点状の難開封部(41)が周方向に所要間隔をおいて2つ設けられている。ここで、「点状」には、
図1に示すような小さい円形のものの他、三角形、四角形等の多角形も含まれる。また、第2シール工程において、加熱ピンに代えて、垂直な加熱板の直線帯状先端縁を熱融
着部(4)の所要の2箇所に跨るように蓋(3)に押し付けることによって、2つの難開封部を形成してもよく、その場合、難開封部は、加熱板の先端縁の幅に応じた幅を有する短い帯状のものとなされる(
図7参照)。
なお、熱融着部に難開封部を形成する手段は、上記のものに限定されず、その他の手段を用いてもよい。例えば、熱融着された容器(2)のフランジ(2c)と蓋(3)とを、部分的にかしめたり、あるいは留め具で固定したり、または、容器(2)のフランジ(2c)の金属箔層(21)と
蓋(3)の金属箔層(31)とを超音波接合によって部分的に接合することにより、難開封部を形成することも考えられる。
難開封部の配置に関し、この実施形態では、2つの難開封部(41)が、容器(2)のフランジ(2c)と蓋(3)との熱融着部(4)を周方向にほぼ2等分した2つの半部のうちいずれか一方(
図1では、左下側と右上側のうち右上側)に偏って設けられているので、開封用タブ(3a)を引き上げて蓋(3)を開封した際の開封の度合い(開口面積)を比較的大きくとることができ、固形物等の内容物(C)の取り出しが容易となる。もっとも、例えば内容物が液状体や粒、粉などのサイズの小さい固形物である場合、開封用タブを、蓋(3)の中心を挟んで
図1と反対側の位置に設けることにより、開封の度合い(開口面積)を小さくして使用することも可能である。
【0034】
上記第1の実施形態の包装体(11)にあっては、未開封状態では、バリア性に優れた金属箔層(21)(31)を有する容器(2)および蓋(3)によって内容物(C)が密封包装されているので(
図2(a)および
図3参照)、内容物(C)を劣化させることなく長期保存することが可能である。
そして、内容物(C)を必要な数量ずつ取り出して使用する場合、蓋(3)の開封用タブ(3a)を手指で摘んで引き上げると、蓋(3)の熱融着性樹脂層(32)が容器(2)のフランジ(2c)と蓋(3)との熱融着部(4)の外端縁付近で破断し、蓋(3)が熱融着性樹脂層(32)と再封用粘着層(33)との間で熱融着部(4)の幅にほぼ等しい分だけ剥離した後、蓋(3)の熱融着性樹脂層(32)が熱融着部(4)の内端縁付近で再び破断し、蓋(3)が開封する。破断によって蓋(3)から分離した熱融着性樹脂層(32)の部分(32a)は、容器(2)のフランジ(2c)上面に残る。蓋(3)の開封が2つの難開封部(41)の箇所まで達すると、蓋(3)の引き上げを阻止する抵抗力が手指に伝わるので、そこで開封操作をストップする。こうして、蓋(3)は、容器(2)のフランジ(2c)から完全に剥がれることなく、一部がフランジ(2c)から剥離せずに一体化されたままの部分開封状態となる。この状態で、容器(2)の開口を通じて内容物(C)を必要な数量だけ取り出す。
内容物(C)の取り出しが終わったら、蓋(3)の開封部分を元に戻すようにフランジ(2c)上面に重ねていくと、蓋(3)の剥離開封によって形成された再封用粘着層(33)の欠環状の露出部(33a)が、フランジ(2c)上面に貼り付けられ、それによって蓋(3)の再封が行われ、残った内容物(C)を密封状態で保存することが可能となる。
内容物(C)をすべて使い切って包装体(11)を処分する場合は、蓋(3)の開封用タブを上方に強く引っ張ると、難開封部(41)、すなわち、蓋(3)の難開封部形成用熱融着性樹脂層(34)とフランジ(2c)の熱融着性樹脂層(22)との熱融着部が破断するので、蓋(3)全体を容器のフランジから剥離して取り外すことができる。つまり、容器(2)と蓋(3)を分別して処分することができ、リサイクルが容易となる。
【0035】
<第2の実施形態>
図4は、この発明による第2の実施形態の包装体を示したものである。
この実施形態の包装体(12)は、以下の点を除いて、
図1~
図3に示す第1の実施形態の包装体(11)と実質的に同じである。
すなわち、
図4の包装体(12)では、容器(2)のフランジ(2c)と蓋(3)との熱融着部(4)に、その周方向に沿ってのびる曲線状の難開封部(42)が1つ設けられている。難開封部(42)の長さは、熱融着部(4)の円周の約4分の1~5分の1程度となされている。図示のような曲線状の難開封部(42)の場合、熱融着した部分の面積が大きくなり、それによって開封強度が高くなるため、蓋(3)の開封時に必要以上に剥離するおそれがより少なくなる。
【0036】
<第3の実施形態>
図5は、この発明による第3の実施形態の包装体を示したものである。
この実施形態の包装体(13)は、以下の点を除いて、
図1~
図3に示す第1の実施形態の包装体(11)と実質的に同じである。
すなわち、
図5の包装体(13)では、2つの点状の難開封部(41)が、容器(2)のフランジ(2c)と蓋(3)との熱融着部(4)を周方向にほぼ2等分する箇所に設けられている。また、2つの難開封部(41)を結ぶ直線によってほぼ2等分された蓋(3)の2つの半部(
図5では、左下半部と右上半部)のそれぞれにおいて、2つの難開封部(41)から最も離れた縁部(
図5の左下と右上の縁部)に、開封用タブ(3a)が設けられている。つまり、この実施形態の包装体(13)は、蓋(3)を2方向から半分ずつ開封することができるものである。
したがって、この実施形態の包装体(13)によれば、例えば一方の半部を開封して再封を繰り返すことにより再封用粘着層(33)の露出部(33a)の粘着力が低下してきた時点で、一方の半部の代わりに他方の半部を開封して再封を行うという使い方が可能となり、より長期に亘って再封可能な蓋として利用できることから、包装体としての密封性を保持することができる。
【0037】
<第4の実施形態>
図6は、この発明による第4の実施形態の包装体を示したものである。この実施形態の包装体は、内容物として化粧品や薬品等を充填包装し、旅行等の際に携帯する用途において、特に好適に用いられる。
図6に示すように、包装体(14)は、4つの包装体(140)を一体に連結した多連式のものである。より詳しく言うと、図示の多連式包装体(14)は、4つの容器(2)が平面より見て縦横2つずつ並ぶように一体に成形されているとともに、4つの容器(2)の開口を塞ぐ蓋(3)が1枚の連続した複合シート(30)によって構成されているものである。
【0038】
4つの容器(2)は、1枚の複合シート(20)を張出成形してなり、それぞれ同形同大の浅いカップ状または皿状となされている。具体的には、各容器(2)は、平面より見て円形の底壁(2a)と、底壁(2a)の周縁から立ち上がった周壁(2b)とを備えている。また、各容器(2)は、その開口周縁にフランジ(2c)を有している。フランジ(2c)は、4つの容器(2)の連結中心に近い部分が、同中心に向かって張り出した平面より見て略三角形状となされ、残りの部分が、容器(2)の開口周縁に沿う欠環状となされている。そして、前後左右に隣接する容器(2)におけるフランジ(2c)の張出し部分の直線の辺どうしが連結されることにより、4つの容器(2)が一体化されている。容器(2)のフランジ(2c)どうしの連結部分には、容器(2)を単体毎に切り離すための切れ目(24)が形成されている。
蓋(3)を構成する複合シート(30)は、4つの容器(2)の開口を塞ぎうるだけの形状および大きさを有する平面より見て略花弁状のものとなされており、連結された4つの容器(2)のフランジ(2c)の上面にまたがって熱融着されている。また、複合シート(30)には、容器(2)のフランジ(2c)に形成された切れ目(24)に対応する箇所に、複合シート(30)を単体の容器(2)に対応した蓋(3)ごとに切り離すためのミシン目(301)が形成されている。
各蓋(3)には、各容器(2)のフランジ(2c)の張り出し部分の上面に熱融着された開封用タブ(3a)が設けられている。また、図示は省略したが、各容器(2)のフランジ(2c)の張り出し部分の付け根には、同部分をフランジ(2c)の他の部分から切り離すための弧状の切れ目が形成されている。
【0039】
容器(2)の材料となる複合シート(20)および蓋(3)の材料となる複合シート(30)の構成は、第1の実施形態のそれらと実質的に同一であるが、容器(2)の成形のための複合シート(20)については、複数(本件では4つ)の容器(2)を連続して一体に成形する必要があり、前述の単一の容器と比べ、成形時のパワー(成形力)が必要となることからコストが高くなる。このパワーを抑えるために、単一の容器と比べ材料の膜厚を薄くしている。とりわけ、
図6に示す形状とする場合には、外側樹脂層(23)の厚みは、3~300μmとするのが好ましく、10~50μmとするのがより好ましい。
そして、各包装体(140)には、容器(2)のフランジ(2c)と蓋(3)との熱融着部に、2つの点状の難開封部(41)が、周方向に間隔をおいて形成されている。2つの難開封部(41)は、蓋(3)の中心を挟んで、蓋(3)の開封用タブ(3a)と反対側に設けられている。言い換えれば、開封用タブ(3a)は、蓋(3)の周縁部における2つの難開封部(41)から最も離れた縁部に形成されている。難開封部(41)の構成およびその形成手段は、第1の実施形態と実質的に同一である。
【0040】
上記の包装体(14)にあっては、使用に際して、まず、連結一体化された状態から1つの包装体(140)を切り離す。すなわち、切り離したい包装体(140)の容器(2)のフランジ(2c)および蓋(3)を、これと前後左右に隣接する包装体(140)の容器(2)のフランジ(2c)および蓋(3)との間の切れ目(24)およびミシン面(301)の箇所で、引き裂くように手で力を加えることにより、フランジ(2c)および蓋(3)が当該箇所で切断されて、1つの包装体(140)が他の包装体(140)から分離される。
次いで、分離された包装体(140)の蓋(3)の開封用タブ(3a)を、これがシールされている容器(2)のフランジ(2c)の張り出し部分と共に手指で摘んで上方に折り曲げると、フランジ(2c)の張り出し部分が残りの部分から折れて分離される。そして、このまま開封用タブ(3a)を引き上げていくと、蓋(3)が2つの難開封部(41)の箇所まで部分的に開封し、それによって形成された容器(2)の開口を通じて、内容物を取り出すことができる。内容物を取り出した後の蓋(3)の再封、および内容物を使い切った後の容器(2)と蓋(3)の分離については、第1の実施形態の包装体(11)と同様にして行うことができる。
【0041】
<第5の実施形態>
図7および
図8は、この発明による第5の実施形態の包装体を示したものである。
この実施形態の包装体(15)は、以下の点を除いて、
図1~
図3に示す第1の実施形態の包装体(11)と実質的に同じである。
すなわち、
図7に示すように、この実施形態の包装体(15)では、容器(2)を構成している複合シート(20X)が、金属箔層(21)と、金属箔層(21)の内面側に順次積層された難開封部形成用熱融着性樹脂層(25)、再
封用粘着層(26)、および熱融着性樹脂層(22)と、金属箔層(21)の外面に積層された外側樹脂層(23)とよりなる。
一方、蓋(3)を構成する複合シート(30X)は、金属箔層(31)と、金属箔層(31)の下面側(包装体(15)の内面側)に積層された熱融着性樹脂層(32)と、金属箔層(31)の上面側(包装体(15)の外面側)に積層された外側樹脂層(35)とよりなる。
そして、
図8に示すように、容器(2)のフランジ(2c)と蓋(3)との熱融着部(4)に設けられている難開封部(41X)が、容器(2)のフランジ(2c)の難開封部形成用熱融着性樹脂層(25)と、蓋(3)の熱融着性樹脂層(22)とを部分的に熱融着することにより形成されている。
【0042】
上記の包装体(15)にあっては、内容物(C)を必要な数量ずつ取り出して使用する場合、蓋(3)の開封用タブを手指で摘んで引き上げると、容器(2)のフランジ(2c)の熱融着性樹脂層(22)が容器(2)のフランジ(2c)と蓋(3)との熱融着部(4)の外端縁付近で破断し、フランジ(2c)が熱融着性樹脂層(22)と再封用粘着層(26)との間で熱融着部(4)の幅にほぼ等しい分だけ剥離した後、フランジ(2c)の熱融着性樹脂層(22)が熱融着部(4)の内端縁付近で再び破断し、蓋(3)が開封する。破断によってフランジ(2c)から分離した熱融着性樹脂層(22)の部分(22a)は、蓋(3)に付随する。蓋(3)の開封が2つの難開封部(41X)の箇所まで達すると、蓋(3)の引き上げを阻止する抵抗力が手指に伝わるので、そこで開封操作をストップする。こうして、蓋(3)は、容器(2)のフランジ(2c)から完全に剥がれることなく、一部がフランジ(2c)から剥離せずに一体化されたままの部分開封状態となる。
内容物(C)の取り出しが終わったら、蓋(3)の開封部分を元に戻すようにフランジ(2c)上
面に重ねていくと、蓋(3)の剥離開封によって形成された再封用粘着層(26)の欠環状の露出部(26a)が、蓋(3)下面に貼り付けられ、それによって蓋(3)の再封が行われ、残った内容物(C)を密封状態で保存することが可能となる。
内容物(C)をすべて使い切って包装体(11)を処分する場合は、蓋(3)の開封用タブを上方に強く引っ張ると、難開封部(41X)、すなわち、容器(2)のフランジ(2c)の難開封部形成用熱融着性樹脂層(25)と蓋(3)の熱融着性樹脂層(32)との熱融着部が破断するので、蓋(3)全体を容器のフランジから剥離して取り外すことができる。
【実施例】
【0043】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、この発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
<容器の作製>
JIS H4160で分類されるA8021H-Oよりなる厚さ120μmのアルミニウム箔を用意した。アルミニウム箔の表面には、クロメート処理を行うことにより、化成皮膜を形成した。そして、アルミニウム箔の片面に、熱融着性樹脂層として、厚さ300μmのポリエチレン樹脂(PE)フィルムを、ポリエステル系ウレタン接着剤を用いてドライラミネートするとともに、アルミニウム箔の他面に、外側樹脂層として、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)フィルムを、ポリエステル系ウレタン接着剤を用いてドライラミネートすることにより、容器用複合シートを作製した。
次に、得られた複合シートを所定のサイズおよび形状にカットしてブランクを形成し、同ブランクをカップ状に深絞り成形して、フランジ(2c)を有する容器(2)を作製した(
図9参照)。
【0045】
<蓋の作製>
JIS H4160で分類されるA1N30H-Oよりなる厚さ20μmのアルミニウム箔を用意した。アルミニウム箔の表面には、クロメート処理を行うことにより、化成皮膜を形成した。そして、アルミニウム箔の片面に、難開封部形成用熱融着性樹脂層として、厚さ35μmのポリエチレン樹脂(PE)フィルムを、ポリエステル系ウレタン接着剤を用いてドライラミネートするとともに、アルミニウム箔の他面に、外側樹脂層として、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムを、ポリエステル系ウレタン接着剤を用いてドライラミネートした。また、ポリエチレン樹脂(PE)フィルムの表面に、再
封用粘着層として、ゴム系粘着剤を10μmの厚みでグラビアコーティングし、さらにその上に、熱融着性樹脂層として、厚さ20μmのポリエチレン樹脂(PE)フィルムを貼り付けた。こうして、蓋の材料となる複合シートを得た。
得られた複合シートを所定のサイズおよび形状にカットして、
図9に示すような開封用タブ(3a)を有する蓋(3)を作製した。
【0046】
<実施例1>
上記のようにして得られた容器(2)のフランジ(2c)上面に蓋(3)を重ねて、第1シール工程として、加熱温度160℃、加圧力120kgf、加熱加圧時間2秒の条件で、両者(2c)(3)の重合面のヒートシール(熱融着)を行った後、さらに第2シール工程として、熱融着部のうち
図7に示す2箇所において、加熱温度170℃、加圧力80kgf、加熱加圧時間10秒の条件で、シール幅(W)5mmのヒートシール(熱融着)を行うことにより、容器(2)のフランジ(2c)のポリエチレン樹脂(PE)フィルム(熱融着性樹脂層)と蓋(3)のポリエチレン樹脂(PE)フィルム(難開封部形成用熱融着性樹脂層)とを熱融着させて2つの難開封部(41)を形成した。こうして、実施例1の包装体(11)を得た。
【0047】
<比較例1>
第2シール工程を行わず、その他は実施例1と同様にして包装体を作製し、これを比較例1とした。
【0048】
<再シール後の開封強度・密封性の試験>
実施例1の包装体(11)を5個用意し、それぞれの包装体(11)について、最初に蓋(3)のタブ(3a)を引き上げて、2つの難開封部(41)の箇所まで部分開封した後、蓋(3)を元に戻すようにフランジ(2c)に重ね、上から指でフランジ(2c)を1周なぞるように軽く押えた。この状態で再封後の蓋(3)の開封強度を測定した。開封強度は、引張試験機(テンシロン社製万能材料試験機)にて蓋(3)のタブ(3a)を掴んで45°の角度で100mm/分で引張り、難開封部(41)の手前まで開封した時の最大強度を引張強度として測定したものである(以下同様)。2回目以降も同様にして、蓋(3)の再封を計10回行い、各回について開封強度を測定した。10回目の再封後に、蓋(3)を開封して容器(2)に50ccの水を入れた後に再封し、この状態で包装体(11)を約90°傾け、水漏れの有無を目視で確認した。
同様に、比較例1の包装体を5個用意し、それぞれの包装体について、最初に蓋のタブを引き上げて、蓋を全開封した後、蓋を元に戻すようにフランジに重ね、上から指でフランジを1周なぞるように軽く押えた。この状態で再封後の蓋の開封強度を測定した。2回目以降も同様にして、蓋の再封を計10回行い、各回について開封強度を測定した。10回目の再封後に、蓋を開封して容器に50ccの水を入れた後に再封し、この状態で包装体を約90°傾け、水漏れの有無を目視で確認した。
結果を表1に示す。なお、「水漏れ」の項目中、「○」は漏れがなかったことを示し、「×」は漏れがあったことを示している。
【0049】
【0050】
表1から明らかなように、実施例1の包装体(11)では、再封回数が10回の時点でも開封強度が低下せず、水漏れも起こらなかった。
【0051】
<実施例2>
第2シール工程として、熱融着部のうち図9に示す2箇所において、シール幅(W)3mmのヒートシール(熱融着)を行うことにより、2つの難開封部(41)を形成した点を除いて、実施例1と同じ要領で包装体を作製し、これを実施例2とした。
【0052】
<実施例3>
第2シール工程として、熱融着部のうち図9に示す2箇所において、シール幅(W)1mmのヒートシール(熱融着)を行うことにより、2つの難開封部(41)を形成した点を除いて、実施例1と同じ要領で包装体を作製し、これを実施例3とした。
【0053】
<難開封部のサイズによる開封強度の試験>
実施例1~3の包装体を3個ずつ用意し、それぞれの包装体について、開封初期の開封用タブ(3a)の付け根における開封強度、開封途中の開封強度、難開封部(41)(線シール部)における開封強度を測定した。結果を表2に示す。
【0054】
【0055】
表2に示す通り、線シール部(難開封部(41))の幅(W)が5mm、3mmである実施例1、実施例2では、線シール部の開封強度が、途中の開封強度の約2~3倍であるため、蓋を誤って完全に剥離することなく、確実に部分開封状態にすることが可能である。一方、線シール部の幅(W)が1mmある実施例3の場合、線シール部の開封強度が、途中の開封強度よりも若干大きい程度にすぎないので、不用意に蓋の開封を行うと完全に剥離してしまうおそれがある。
【産業上の利用可能性】
【0056】
この発明は、長期保存が必要であって一度に使い切らない食品、化粧品等の内容物を、容器および蓋を用いて再封可能に密封包装する包装体として、好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0057】
(11)(12)(13)(14)(15):包装体
(2):容器
(2c):フランジ部
(20)(20X):複合シート
(21):金属箔層
(22):熱融着性樹脂層
(25):難開封部形成用熱融着性樹脂層
(26):再封用粘着層
(3):蓋
(3a):開封用タブ
(30)(30X):複合シート
(31):金属箔層
(32):熱融着性樹脂層
(33):再封用粘着層
(34):難開封部形成用熱融着性樹脂層
(4):熱融着部
(41)(41X)(42):難開封部
(C):内容物