(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】容器、選択的に形成されたシェル、これらを提供するツーリング、及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
B21D 22/22 20060101AFI20220128BHJP
B21D 24/00 20060101ALI20220128BHJP
B21D 51/44 20060101ALI20220128BHJP
B65D 6/30 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
B21D22/22
B21D24/00 Z
B21D51/44 C
B65D6/30
(21)【出願番号】P 2017561255
(86)(22)【出願日】2016-04-07
(86)【国際出願番号】 US2016026312
(87)【国際公開番号】W WO2016190969
(87)【国際公開日】2016-12-01
【審査請求日】2018-02-27
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-17
(32)【優先日】2015-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505257497
【氏名又は名称】ストール マシーナリ カンパニー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Stolle Machinery Company,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カーステンズ,アーロン イー.
(72)【発明者】
【氏名】マクラング,ジェームズ エイ.
(72)【発明者】
【氏名】リップル,ポール エル.
(72)【発明者】
【氏名】ブッチャー,グレゴリー エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】マッカーティー,パトリック ケイ.
【合議体】
【審判長】見目 省二
【審判官】大山 健
【審判官】河端 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-505082(JP,A)
【文献】特開2002-172432(JP,A)
【文献】特開平3-114620(JP,A)
【文献】特開2002-336915(JP,A)
【文献】特開2006-281287(JP,A)
【文献】特開平8-174093(JP,A)
【文献】米国特許第3537291(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 22/22
B21D 24/00
B21D 51/44
B65D 6/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶エンド用のシェル(4)を形成するためのツーリング(200A)において、
前記ツーリング(200A)は、
上側加圧スリーブ(218)を含む上側ツールアセンブリ(202)であって、前記上側加圧スリーブ(218)は、圧力集中成形面(600)を規定する下側端部(227)を含んでいる、上側ツールアセンブリ(202)と、
前記上側ツールアセンブリ(202)と協働する下側ツールアセンブリ(204)であって、それらの間に配置された材料を、センターパネル(6)と、周方向チャック壁(12)と、前記センターパネル(6)と前記周方向チャック壁(12)の間にある環状カウンターシンク(10)と、前記周方向チャック壁(12)から径方向外側に延びるカール(16)とを含むように成形する下側ツールアセンブリ(204)と、
を備えており、
前記下側ツールアセンブリ(204)は、ダイコアリング(250)を含んでおり、
前記ダイコアリング(250)は上側端部(252)を含んでおり、前記ダイコアリングの上側端部(252)は、前記上側加圧スリーブ(218)の下側端部(227)に対向して配置されており、
前記ダイコアリングの上側端部(252)は、内側のテーパー状の面(254)と、丸みのある内側表面(256)と、略水平な表面(257)と、丸みのある外側表面(258)とを含んでおり、
前記圧力集中成形面(600)は、クランプ領域を含んでおり、
前記クランプ領域は、前記ダイコアリング(250)の上側端部(252)の略水平な表面(257)の一部にわたって延びる径方向に連続した環状領域であるが、前記ダイコアリング(250)の上側端部(252)の丸みのある内側表面(256)には延びておらず、
前記上側ツールアセンブリ(202)が前記下側ツールアセンブリ(204)から離間している分離された第1の配置と、前記シェル(4)の少なくとも1つの所定の部分の材料を前記シェル(4)の少なくとも1つの他の部分に対して選択的に引き伸ばして、対応する薄肉部をもたらすために、前記上側ツールアセンブリ(202)が前記下側ツールアセンブリ(204)に直接隣接する成形配置との間で、前記上側ツールアセンブリ(202)及び前記下側ツールアセンブリ(204)が移動し、
前記上側ツールアセンブリ(202)は、上側ダイシュー(206)、ライザ本体(214)、及びハイブリッドバイアス生成アセンブリ(500)を含んでおり、
前記ライザ本体(214)は、前記上側ダイシュー(206)に結合して、圧力チャンバ(516)を規定しており、
前記上側加圧スリーブ(218)は、前記ライザ本体の圧力チャンバ(516)内に移動可能に配置されており、
前記上側加圧スリーブの下側端部(227)が前記上側ダイシュー(206)からより離間している、伸長した第1の位置と、前記上側加圧スリーブの下側端部(227)が、前記上側ダイシュー(206)により近づいている、格納された第2の位置との間で、前記上側加圧スリーブ(218)は移動可能であり、
前記ハイブリッドバイアス生成アセンブリ(500)は、前記上側加圧スリーブ(218)に動作可能に結合しており、
前記ハイブリッドバイアス生成アセンブリ(500)は、少なくとも2つの異なる方法でバイアスを生成し、前記上側ツールアセンブリ(202)及び前記下側ツールアセンブリ(204)が前記第1の配置と前記成形配置の間で移動する際に、前記上側加圧スリーブ(218)の動きを制御し、
前記ハイブリッドバイアス生成アセンブリ(500)は、加圧流体を用いた圧力生成アセンブリ(510)と、機械的バイアスアセンブリ(550)と、幾つかのハイブリッド構成要素(570)とを含んでおり、
前記圧力生成アセンブリ(510)は、前記圧力チャンバ(516)を加圧するように構成されており、
前記機械的バイアスアセンブリ(550)は、幾つかのばね(552)を含んでおり、
前記幾つかのばね(552)は、前記圧力チャンバ(516)内に配置される、
ツーリング。
【請求項2】
前記クランプ領域は、前記ダイコアリング(250)の上側端部(252)の略水平な表面(257)の約25乃至75%にわたって延びる径方向に連続した環状領域であるが、前記ダイコアリング(250)の上側端部(252)の丸みのある内側表面(256)には延びていない、請求項1に記載のツーリング。
【請求項3】
缶エンド用のシェル(4)を形成するためのツーリング(200A)において、
前記ツーリング(200A)は、
上側加圧スリーブ(218)を含む上側ツールアセンブリ(202)であって、前記上側加圧スリーブ(218)は、圧力集中成形面(600)を規定する下側端部(227)を含んでいる、上側ツールアセンブリ(202)と、
前記上側ツールアセンブリ(202)と協働する下側ツールアセンブリ(204)であって、それらの間に配置された材料を、センターパネル(6)と、周方向チャック壁(12)と、前記センターパネル(6)と前記周方向チャック壁(12)の間にある環状カウンターシンク(10)と、前記周方向チャック壁(12)から径方向外側に延びるカール(16)とを含むように成形する下側ツールアセンブリ(204)と、
を備えており、
前記下側ツールアセンブリ(204)は、ダイコアリング(250)を含んでおり、
前記ダイコアリング(250)は上側端部(252)を含んでおり、前記ダイコアリングの上側端部(252)は、前記上側加圧スリーブ(218)の下側端部(227)に対向して配置されており、
前記ダイコアリングの上側端部(252)は、内側のテーパー状の面(254)と、丸みのある内側表面(256)と、略水平な表面(257)と、丸みのある外側表面(258)とを含んでおり、
前記圧力集中成形面(600)は、クランプ領域を含んでおり、
前記圧力集中成形面(600)は、同心状に配置された複数のランディング部(610)を含んでおり、
前記複数のランディング部(610)の間には、実質的に同心状の溝(612)が形成されており、
前記上側ツールアセンブリ(202)が前記下側ツールアセンブリ(204)から離間している分離された第1の配置と、前記シェル(4)の少なくとも1つの所定の部分の材料を前記シェル(4)の少なくとも1つの他の部分に対して選択的に引き伸ばして、対応する薄肉部をもたらすために、前記上側ツールアセンブリ(202)が前記下側ツールアセンブリ(204)に直接隣接する成形配置との間で、前記上側ツールアセンブリ(202)及び前記下側ツールアセンブリ(204)が移動する、ツーリング。
【請求項4】
前記圧力集中成形面の複数のランディング部(610)は、2つ乃至5つの実質的に同心状のランディング部(610A-610E)を含む、請求項3に記載のツーリング。
【請求項5】
前記上側ツールアセンブリ(202)及び前記下側ツールアセンブリ(204)が前記成形配置にある場合、前記圧力集中成形面(600)は、前記ダイコアリングの略水平な面(257)のみに対向して配置される、請求項1に記載のツーリング。
【請求項6】
前記圧力生成アセンブリ(510)は、前記上側ツールアセンブリ(202)及び前記下側ツールアセンブリ(204)が前記分離された第1の配置と前記成形配置の間で移動する際に、前記圧力チャンバ(516)をほぼ一定の圧力で加圧するように構成されている、請求項1に記載のツーリング。
【請求項7】
前記ハイブリッドバイアス生成アセンブリ(500)は、前記上側ツールアセンブリ(202)及び前記下側ツールアセンブリ(204)が前記分離された第1の配置と前記成形配置の間で移動する際に総バイアス力を生成し、
前記圧力生成アセンブリ(510)は、前記総バイアス力の約20%乃至30%を生成し、
前記機械的バイアスアセンブリ(550)は、前記総バイアス力の約70%乃至80%を生成する、請求項1に記載のツーリング。
【請求項8】
前記圧力生成アセンブリ(510)は、前記総バイアス力の約25%を生成し、前記機械的バイアスアセンブリ(550)は、前記総バイアス力の約75%を生成する、請求項7に記載のツーリング。
【請求項9】
前記ハイブリッドバイアス生成アセンブリ(500)は、前記上側ツールアセンブリ(202)及び前記下側ツールアセンブリ(204)が、前記分離された第1の配置と前記成形配置との間で移動する際に総バイアス力を生成し、
前記総バイアス力は、前記上側加圧スリーブ(218)を介して前記圧力集中成形面(600)に伝達され、
前記圧力集中成形面(600)は、ワークピースにクランプ力を加えるように構成されており、
前記クランプ力に対する前記総バイアス力の比は、約20:1乃至40:1の間である、請求項1に記載のツーリング。
【請求項10】
前記クランプ力に対する前記総バイアス力の比は、約30:1である、請求項9に記載のツーリング。
【請求項11】
前記上側ツールアセンブリ(202)は、前記上側ツールアセンブリ(202)及び前記下側ツールアセンブリ(204)が前記第1の配置と前記成形配置の間を移動する際に総バイアス力を生成し、
前記総バイアス力は、前記上側加圧スリーブ(218)を介して前記圧力集中成形面(600)に伝達され、
前記圧力集中成形面(600)は、ワークピースにクランプ力を加えるように構成されており、
前記クランプ力に対する前記総バイアス力の比は、約20:1乃至40:1である、請求項1に記載のツーリング。
【請求項12】
前記クランプ力に対する前記総バイアス力の比は、約30:1である、請求項11に記載のツーリング。
【請求項13】
缶エンド用のシェル(4)を形成する方法であって、
請求項1乃至12の何れかに記載のツーリング(200A)の間に材料を導入する工程(1000)と、
前記ツーリング(200A)内で総バイアス力を生成する工程(1002)と、
上側ツールアセンブリ(202)と下側ツールアセンブリ(204)の間で前記材料をクランプする工程であって、クランプ力に対する前記総バイアス力の比が約20:1乃至40:1である、工程(1004)と、
センターパネル(6)と、周方向チャック壁(12)と、前記センターパネル(6)と前記周方向チャック壁(12)の間のカウンターシンク(10)と、前記周方向チャック壁(12)から径方向外向きに延びるカール(16)とを含むように前記材料を成形する工程(1006)と、
前記シェル(4)の少なくとも1つの所定の部分を前記シェル(4)の少なくとも1つの他の部分に対して選択的に引き伸ばして、前記シェル(4)の対応する薄肉部をもたらす工程(1008)と、
を含む方法。
【請求項14】
前記上側ツールアセンブリ(202)と前記下側ツールアセンブリ(204)の間で前記材料をクランプする工程では、前記クランプ力に対する前記総バイアス力の比が約30:1である、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2015年5月27日に出願された米国特許出願第14/722,187号の利益を主張し、当該米国特許出願は、引用を以て本明細書の一部となる。当該米国特許出願は、2013年5月14日に出願された米国特許出願第13/894,017号の一部継続出願であり、この米国特許出願は、「CONTAINER, AND SELECTIVELY FORMED SHELL, AND TOOLING AND ASSOCIATED METHOD FOR PROVIDING SAME」の名称を有する、2012年5月18日に出願された米国仮特許出願第61/648,698号の利益を主張する。
【0002】
開示されている発明は、概して容器に関しており、より詳細には、金属容器、例えばビール又は飲料用缶及び食品用缶の缶エンド又はシェルに関する。開示されている発明はまた、缶エンド又はシェルを、そこで用いられる材料の量を少なくして選択的に(selectively)形成する方法及びツーリングに関する。
【背景技術】
【0003】
食物や飲料などの製品を収容する金属容器(例えば缶)には、通常、イージーオープン缶エンドが設けられており、この缶エンドには、プルタブが開封帯(tear strip)又は分離可能パネル(severable panel)に取り付けられている(例えば、リベット留めされているが、これに限定されない)。分離可能パネルは、缶エンドの外面(例えば、表側(public side))にあるスコアラインによって規定される。プルタブは、持ち上げられる及び/又は引っ張られると、スコアラインが切断されて、分離可能パネルを曲げる及び/又は取り外すように構成されており、これによって、缶の中身を出す開口を生じさせる。
【0004】
缶エンドが製造される際、缶エンドは缶エンドシェルとして始まり、缶エンドシェルは、シート状金属製品(例えば、限定されないが、シート状アルミニウム、シート状鋼)から切り取られた(例えば、打ち抜かれた)ブランクから形成される。シェルは続いて、コンバージョンプレス(conversion press)に運ばれる。コンバージョンプレスは、連続した幾つかのツールステーションを備えている。シェルが、あるツールステーションから次のツールステーションへと進むにつれて、変換工程、例えば、これら限定されないが、リベット形成、パネリング(paneling)、スコアリング(scoring)、エンボス加工(embossing)、タブ固定(tab securing)及びタブステーキング(tab staking)などが実行されて、シェルは所望の缶エンドに完全に変換され、プレスから出される。
【0005】
缶製造業界では、大量の金属が、相当数の缶を製造するのに必要とされる。このため、業界における絶え間ない目的は、消費される金属の量を少なくすることである。従って、缶エンド及び缶ボディが製造されるストック材料の厚さ又はゲージを低減する(「ダウンゲージング」と呼ぶことがある)努力が絶えずなされている。しかしながら、用いる材料を少なく(例えば、ゲージを薄く)するには、独自の解決策の開発が必要となるという問題が生じる。従って、ゲージを低減することによって、容器を形成するのに用いられる材料の量を少なくしたいという要望は、業界内に絶えず存在している。しかしながら、比較的薄いゲージ材料からの缶エンドの形成に関連した不利益の中でも特に、例えばシェルの形成中に缶エンドがしわになる傾向がある。
【0006】
用いられる金属の量を少なくするための従来の提案は、缶エンドのブランク寸法を低減するものであるが、エンドパネルの領域を犠牲とする。これによって、例えばスコアライン、分離可能パネル及び/又はプルタブのために利用可能なスペースが不所望に制限されてしまう。
【0007】
従って、ビール/飲料用缶及び食品用缶などの容器、選択的に形成された缶エンド又はシェル、並びに、このような缶エンド又はシェルを提供するツーリング及び方法には、改善の余地がある。
【発明の概要】
【0008】
これらの及びその他のニーズは、開示されている発明によって満たされる。本発明は、選択的に形成されたシェル、選択的に形成されたシェルを用いる容器、並びにシェルを製造するツーリング及び関連した方法に関している。利点の中でも特に、シェルは選択的に引き伸ばされて薄くされて、必要とされる金属の量が少なくなると同時に、所望の強度が維持されることが挙げられる。
【0009】
開示された発明の一態様では、シェルは容器に付けられるように構成される。シェルは、センターパネルと、周方向チャック壁(circumferential chuck wall)と、センターパネルと周方向チャック壁との間の環状カウンターシンク(countersink)と、周方向チャック壁から径方向外側へ向けて延びるカールとを備える。シェルにおける少なくとも1つの予め定めた部分の材料は、シェルおける少なくとも1つの他の部分に対して選択的に引き伸ばされて、それに対応する薄肉部がもたらされる。
【0010】
シェルは、材料のブランクから形成されてよく、材料のブランクは、成形される前のベースゲージを有し、成形された後、シェルの材料は、薄肉部又は薄肉部の周囲にて厚さを有する。薄肉部又は薄肉部の周囲での材料の厚さは、ベースゲージ未満である。薄肉部は、チャック壁を含んでよい。
【0011】
開示された発明の別の態様では、シェルを形成する方法が提供される。当該方法は、ツーリング間に材料を導入する工程と、センターパネル、周方向チャック壁、センターパネルと周方向チャック壁の間の環状カウンターシンク、及び、チャック壁から径方向外側へ向けて延びるカールを備えるように材料を成形する工程と、シェルにおける少なくとも1つの予め定めた部分を、シェルにおける少なくとも1つの他の部分に対して選択的に引き伸ばして、それに対応する薄肉部をもたらす工程とを含んでいる。
【0012】
本発明の方法は、シェルを最終の缶エンドに変換する工程を含んでよい。当該方法は更に、最終の缶エンドを容器本体に継ぎ合わせる(seaming)ステップを含んでよい。
【0013】
開示された発明のさらなる態様では、シェルを形成するツーリングが提供される。当該ツーリングは、上側ツールアセンブリと、上側ツールアセンブリと協動する下側ツールアセンブリとを備え、これらは、これらの間に配置された材料を、センターパネル、周方向チャック壁、センターパネルと周方向チャック壁の間の環状カウンターシンク、及びチャック壁から径方向外側へ向けて延びるカールを備えるように成形する。上側ツールアセンブリ及び下側ツールアセンブリは、シェルにおける少なくとも1つの予め定めた部分の材料を、シェルにおける少なくとも1つの他の部分に対して選択的に引き伸ばすことによって、対応する薄肉部をもたらすように協働する。
【0014】
シェルの所定の部分をシェルの少なくとも1つの他の部分に対して選択的に薄くして、シェルの対応する薄肉部分を設けることは、ツーリング及び/又はプレスの過負荷状態のような幾つかの複雑な問題を生じることが判明している。更に、選択的な薄肉化は、過度に不均一に薄くなり得る。即ち、薄化における多少のばらつきは許容されるもの、不均一な過剰な薄化は好ましくない。選択的な薄肉化は、既存のプレスを用いて達成されることが望ましい。従って、ツーリングには改善の余地がある。
【0015】
これらの要求及び他の要求は、開示された発明によって満たされる。本発明は、力及び/又は圧力集中成形面と、及び/又は、ハイブリッドバイアス生成アセンブリとを含むツーリングに関する。例示的な実施形態では、ハイブリッドバイアス生成アセンブリは、以下に定義されるアクティブハイブリッドバイアス生成アセンブリ又は選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリの一方である。既存の技術では、シェルに作用する圧力を増加させるために、製造業者は単にツーリングに作用する圧力を増加させていただけであることが理解されている。この圧力の増加は、プレスに加えられた反対荷重(counter load)を作り出していた。本明細書で開示されているように、成形面に力/圧力を集中させることにより、プレスに加えられる反対荷重を低減することが可能になる。上側ツールアセンブリの上側表面の圧力面領域の増加と、ブランクをクランプする成形面領域の減少とは、上記の問題を解決する。例示的な実施形態では、集中成形面は、バイアス圧力対クランプ圧力の比を、約1:10乃至1:50、又は約1:20乃至1:40、又は約1:30とする。即ち、総バイアス圧力が加圧面に加えられて、その結果として生じるクランプ面の圧力は、約10乃至50倍、約20乃至40倍、又は約30倍大きくなる。クランプ圧力に対する総バイアス圧力のこのような比は、ツーリング及び/又はプレスの負荷条件を減少させることを可能にし、故に上記の問題を解決する。更に、ハイブリッドバイアス生成アセンブリの使用は、不均一な過剰な薄化を防止して、前記の問題を解決する。
【0016】
例示的な実施形態では、上側ツールアセンブリのピストンは、上側加圧スリーブに結合されたピストンを含んでいる。ピストンの上側は、圧力にさらされる。上側加圧スリーブは、下側成形面を含む。上側ツールアセンブリにおけるピストン上側対上側加圧スリーブの下側成形面の面積比は、約10:1乃至50:1,約20:1乃至40:1、又は約30:1である。この面積比を有するツールアセンブリは、上述の問題を解決する。即ち、
図12A及び
図12Bに示すように、従来技術では、上側ツールアセンブリのピストン上側対上側加圧スリーブの下側成形面の面積比は約4:1である。開示された発明と比較して、この比は、より小さい上側ツールアセンブリのピストン上側と、より大きい上側加圧スリーブの下側成形面とを含んでいる。この構成では、上述したように、金属は薄くされてないことに留意のこと。
図13A及び
図13Bに示されているように、例示的な実施形態では、上側ツールアセンブリのピストン上側対上側加圧スリーブの下側成形面の面積の比は約30:1である。開示されている発明の構成を有する上側ツールアセンブリは、上述の問題を解決する力集中及び/又は圧力集中成形面である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
開示された発明は、添付の図面と併せて読めば、以下の好ましい実施形態の説明から十分に理解できる。
【
図1】
図1は、飲料用缶エンドのシェルの側断面図であって、飲料用缶の一部が、簡略した形態で仮想線で示されている。
【
図2】
図2は、
図1のシェルの側断面図であって、開示された発明の非限定的な一態様に基づいた、種々の薄肉化(thinning)箇所を示す。
【
図3】
図3は、開示された発明の実施形態に基づくツーリングの側断面図である。
【
図5】
図5は、
図4のツーリングの一部の側断面図であって、開示された発明の非限定的な例の形成方法に基づいて、配置が異なるツーリングを示すように変更されている。
【
図6】
図6A乃至
図6Eは、開示された発明の非限定的な例の実施形態に基づいた、シェルを形成する連続的な形成ステージを示す側面図である。
【
図7】
図7は、開示された発明の代替的な実施形態に基づくツーリングの側面図である。
【
図8】
図8は、面を形成する従来技術を破線で示す圧力集中成形面(pressure concentrating forming surface)の詳細な側断面図である。
【
図9】
図9は、3つのランディング部(landing)を有する圧力集中成形面の詳細な側断面図である。
【
図10】
図10は、5つのランディング部を有する圧力集中成形面の詳細な側断面図である。
【
図11】
図11は、開示されている方法のフローチャートである。
【
図12】
図12Aは、従来技術に関連する力、圧力、及び選択された構成要素領域の概略図であって、材料上のクランプ面圧を下げるために上側ピストンに1:4の圧力比が存在している。
図12Bは、1:4の圧力比を可能とする従来技術のツーリングの部分側断面図である。
【
図13】
図13Aは、本発明に関連する力、圧力、及び選択された構成要素領域の概略図であって、材料上のクランプ面圧を下げるために上側ピストンに1:30の圧力比が存在している。
図13Bは、1:30の圧力比を可能とするツーリングの部分側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
説明のために、開示された発明の実施形態は、業界において「B64」エンドとして知られている缶エンド用のシェルに適用されるものとして説明される。しかしながら、それらは、勿論、B64エンド以外の既知の又は適切な代替的な任意の種類(例えば、限定されないが、飲料/ビール用缶エンド、食品用缶エンド)及び/又は構成における予め定めた部分又は領域を、適切に選択的に引き伸ばして薄くするのに用いられてもよい。
【0019】
本願の図において示されており、本明細書で説明される具体的な要素は単に、開示された発明の例示的な実施形態でしかなく、単に説明のためだけの非限定的な例として与えられるものであることは勿論である。従って、本明細書で開示された実施形態に関する具体的な寸法、方向、組合せ、使用される構成要素の数、実施形態の外形、及び他の物理的特性は、開示された発明の範囲に対する限定とみなされるべきではない。
【0020】
本明細書で用いられる方向のフレーズ、例えば、時計回り、反時計回り、左、右、上、下、上向き、下向き及びその派生語等は、図面に示される要素の方向に関するものであって、明示的に記載されない限り、特許請求の範囲に対する限定ではない。
【0021】
本明細書において使用されるように、「1つの」及び「その」などの単数形は、文脈が明瞭に別様に定めていない限り、複数への言及を含んでいる。
【0022】
本明細書において使用されるように、2つ以上の部品又は構成要素が「結合」されているという記載は、連結が行われている限り、それらの部品が直接的に又は間接的に、即ち、1又は複数の中間部品又は構成要素を通じて接合されている、又は共に動作することを意味するものとする。本明細書において使用されるように、「直接的に結合」されているとは、2つの要素が互いに直に接していることを意味する。可動部品は、例えば、これに限定されないが例えば回路遮断器であって、ある位置、例えば閉じた第2位置にある場合には「直接的に結合」されてもよいが、別の位置、例えば開いた第1位置にあると、「直接的に結合」されないことがあり得ることに留意のこと。本明細書において使用されるように、「固定して結合」されている、又は「固定」されているとは、2つの構成要素が、互いに対して一定の向きを維持しながら1つとなって動くように結合されていることを意味する。故に、2つの要素が結合されると、それらの要素の全ての部分が結合される。しかしながら、例えば、第1の要素の特定の部分が第2の要素に結合されているという記載、例えば、第1のホイールに結合された車軸の第1の端部という記載は、第1の要素の特定の部分は、その他の部分よりも第2の要素により近くに配置されることを意味する。
【0023】
本明細書で使用されているように、「着脱自在に結合」という語句は、1つの構成要素が本質的に一時的な態様で別の構成要素と結合されることを意味する。つまり、2つの構成要素は、それら構成要素の結合又は分離が容易であって、構成要素を損傷させないように結合される。例えば、容易にアクセス可能な有限数のファスナを用いて互いに固定される2つの構成要素は、「着脱自在に結合」されているが、互いに溶接によって、又はファスナにアクセスするのが困難なように連結された2つの構成要素は、「着脱自在に結合」されていない。「アクセス困難なファスナ」とは、ファスナにアクセスする前に1又は複数の他の構成要素の除去を必要とするものであって、「他の構成用途」とは、限定ではないがドアのようなアクセス手段ではない。
【0024】
本明細書で使用されているように、「動作可能に結合」は、複数の要素又はアセンブリは、各々が第1の位置と第2の位置との間で又は第1の構成と第2の構成との間で移動可能であって、第1の要素が一方の位置/構成から他方の位置/構成に移動すると、第2の要素も位置/構成間を移動することを意味する。第1の要素は、別の要素に「動作可能に結合」されてもよいが、逆が真ではないことに留意のこと。
【0025】
本明細書において使用されるように、「カップリングアセンブリ」は、2つ以上のカップリング又はカップリング構成要素を含んでいる。カップリング又はカップリングアセンブリの構成要素は一般的に、同じ要素又は他の構成要素の一部ではない。そのため、「カップリングアセンブリ」の構成要素は、以下の説明において同時に記載されていない場合がある。
【0026】
本明細書において使用されるように、「カップリング」又は「カップリング構成要素」は、カップリングアセンブリの1つの要素である。即ち、カップリングアセンブリは、共に結合されるように構成されている少なくとも2つの構成要素又はカップリング構成要素を含んでいる。カップリングアセンブリの要素は互いに適合することは理解される。例えば、カップリングアセンブリにおいて、一方の結合要素がスナップソケットである場合、他方の結合要素はスナッププラグであり、一方の結合要素がボルトである場合、他方の結合要素はナットである。
【0027】
本明細書で使用されているように、「対応する」は、2つの構造要素が互いに類似するようなサイズと形状を有しており、最低限度の摩擦で結合できることを示している。故に、部材に「対応する」開口は、部材が開口を最低限度の摩擦で通過できるように、部材よりも僅かに大きいサイズにされている。2つの構成要素が「ぴったり」と互いに嵌まる場合には、この定義は修正される。この状況では、構成要素のサイズの差は更に小さくなって、摩擦の量は増加する。開口を規定する要素及び/又は開口に挿入される構成要素が、変形可能な又は圧縮可能な材料から作られる場合、開口は、開口に挿入される構成要素よりも僅かに小さくできる。表面、外形、及び線に関して、2つ以上の「対応する」表面、外形、又は線は、ほぼ同じ大きさ、形状、及び輪郭を有している。
【0028】
本明細書で使用されるように、「[x]が、[y]の第1及び第2の位置に対応する第1の位置と第2の位置との間を移動する」という表現では、[x]及び[y]は要素又はアセンブリであって、用語「対応する」は、要素[x]が第1の位置にあると、要素[y]が第1の位置にあり、要素[x]が第2の位置にあると、要素[y]が第2の位置にあることを意味する。「対応する」は、最終位置に関するものであって、要素が同じ速度で又は同時に移動しなければならないことを意味しないことに留意のこと。即ち、例えば、ハブキャップとそれが取り付けられた車輪とは、対応している方式で回転する。逆に、ばね付勢のラッチ部材とラッチリリースとは異なる速度で動く。つまり、「対応する」位置は、特定された第1の位置に同時にあって、特定された第2の位置に同時にあることを意味している。
【0029】
本明細書において使用されるように、2つ以上の部品又は構成要素が互いに「係合」しているという記述は、それらの部品が、直接的に、或いは1又は複数の中間部品又は構成要素を介して、互いに対して力を与えていることを意味している。更に、可動部品に関して本明細書で使用されているように、可動部品は、ある位置から別の位置へと動く間に別の要素と「係合」し、及び/又は、記載された位置に至ると他の要素と「係合」してよい。故に、「要素Aが要素Aの第1の位置に移動すると、要素Aは要素Bと係合する」という記載と、「要素Aが要素Aの第1の位置にあると、要素Aは要素Bと係合する」という記載とは、同じ記載であって、要素Aが要素Aの第1位置に移動している間に要素Bと係合する、及び/又は、要素Aが要素Aの第1の位置にある間は要素Bと係合していることを意味する。
【0030】
本明細書で使用されているように、「動作可能に係合する」とは、「係合及び移動」を意味する。つまり、「動作可能に係合する」とは、移動可能又は回転可能な第2の構成要素を移動させるように構成された第1の構成要素に関して使用される場合、第1の構成要素が第2の構成要素を移動させるのに十分な力を与えることを意味する。例えば、ねじ回しは、ねじに接触させて配置できる。ねじ回しに力が加えられていない場合、ねじ回しは単にねじに「結合」されているだけである。ねじ回しに軸方向の力が加えられると、ねじ回しは、ねじに押し付けられて、ねじと「係合」する。しかしながら、ねじ回しに回転力が加えられると、ねじ回しはねじと「動作可能に係合し」て、ねじを回転させる。
【0031】
本明細書において使用されるように、「一体の(unitary)」という単語は、構成要素が単一ピース又は単一ユニットとして作製されることを意味する。即ち、別個に作製されて、その後、ユニットとして共に結合されているピースを含む構成要素は、「一体の」構成要素又はボディではない。
【0032】
「(動詞)するように構成されている」とは、特定の要素又はアセンブリが、特定の動詞を実施するような形状にされ、サイズにされ、そのように配置され、結合され、及び/又は設定されているような構造を有することを意味する。例えば、「動くように構成されている」部材は、別の要素に対して可動に結合されており、部材が動くようにする要素を含んでいる。さもなければ、その部材は、他の要素又はアセンブリに応答して動くように構成されている。本明細書で使用されているように、このように、本明細書で使用されているように、「(動詞)するように構成されている」は、機能ではなく、構造を述べている。更に、本明細書で使用されているように、「[動詞]するように構成されている」は、特定された要素又はアセンブリが、特定された動詞を実行することを意図されており、そして、そのように設計されていることを意味する。従って、特定された動詞を単に実行できるだけで、そのように意図されていない、そして設計されていない要素は、「[動詞]するように構成されて」いない。本明細書で使用しているように、「関連する」とは、要素が同じアセンブリの一部であること、及び/又は一緒に動作すること、又は何らかの方法でお互いに又は共に作用することを意味する。例えば、自動車には4つのタイヤと4つのハブキャップがある。全ての要素が自動車の一部として結合されているが、各ハブキャップは特定のタイヤと「関連している」ことは理解されるであろう。
【0033】
本明細書で使用されているように、「[x]は、その第1の位置と第2の位置との間を移動する」又は「[y]は、[x]をその第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成されている」という表現では、[x]は、要素又はアセンブリの名前である。更に、[x]が、複数の位置の間で移動する要素又はアセンブリである場合、代名詞「その」は、[x]を、即ち、「その」に先行する名前付き要素又はアセンブリを意味する。
【0034】
本明細書で用いられる用語「缶」及び「容器」は、任意の既知の、又は適切な容器を指すために実質的に互換的に用いられる。容器は、物質(例えば、限定されないが、液体、食物、任意の他の適切な物質)を含むように構成されており、飲料用缶(ビール用缶及びソーダ用缶等)及び食品用缶が明示されるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書で用いられる用語「缶エンド」は、缶と結合して缶を密閉するように構成された蓋又はクロージャ(closure)を指す。
【0036】
本明細書で用いられる用語「缶エンドシェル」は、用語「缶エンド」と実質的に互換的に用いられる。「缶エンドシェル」又は単に「シェル」は、所望の缶エンドをもたらすために、本開示のツーリングによって作用及び変換される部材である。
【0037】
本明細書で用いられる用語「ツーリング」、「ツーリングアセンブリ」及び「ツールアセンブリ」は、任意の既知の、若しくは適切なツール又は構成要素であって、開示された発明に従ってシェルを形成する(例えば、限定されないが、引き伸ばす)のに用いられるツール又は構成要素を指すために実質的に互換的に用いられる。
【0038】
本明細書で用いられる用語「ファスナ」は、任意の適切な連結機構又は固定機構を指し、ねじと、ボルトと、ボルト及びナット(例えば、限定されないが、ロックナット)の組合せと、ボルト、ワッシャ及びナットの組合せとが明示されるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で用いられる用語「幾つか」は、1又は1よりも大きい整数(即ち、複数)を意味するものとする。
【0040】
図1及び
図2は、開示された発明における非限定的な例である1つの実施形態に従って選択的に形成された缶エンドシェル4を示している。具体的には、以下に詳細に説明されるように、シェル4の予め定めた領域の材料が、引き伸ばされることによって薄くされる一方で、シェル4の他の領域は、好ましくはベース金属厚さを維持している。本明細書に示されており、且つ説明されている例は、飲料用缶ボディ100(
図1にて、仮想線で簡略形で部分的に示されている)用のシェル(例えば、限定されないが、
図1乃至
図3、
図5及び
図6Eのシェル4を参照)に関しているが、勿論、開示された発明が使用されて、既知の又は適切な代替的な任意のタイプの容器(例えば、限定されないが、食品用缶(図示せず))について、既知の又は適切な任意の缶エンドシェルの種類及び/又は構成を、引き伸ばして薄くして、更に、引き続いて、このような容器用の最終的な缶エンドを形成して(例えば、変換して)よい。
【0041】
本明細書に示されており、且つ説明される非限定的な例のシェル4は、円形のセンターパネル6を含んでいる。センターパネル6は、ほぼ円筒形のパネル壁8によって、環状カウンターシンク10と連結している。例示の環状カウンターシンク10は、略U字形の断面形状を有している。テーパー状のチャック壁12が、カウンターシンク10を頂部(crown)14と連結させており、周辺カール又は外側リップ16は、
図1、
図2及び
図6Eにおいて示されているように、頂部14から径方向外側へ向かって延びている。
【0042】
図2の非限定的な例では、シェル4のベース金属厚さは、約0.0082インチである。このベース金属厚さは、センターパネル6や外側リップ又はカール16などの領域において、ほぼ維持されるのが好ましい。センターパネル6をベース金属厚さに保つことは、リベット、スコア及びタブが、変換されたエンド(明示せず)において機能するのに役立つ。例えば、これらに限定されないが、しわの形成や、(金属を薄くすることに付随した強度の低下に起因し得る)スコアライン及び/又はリベット若しくはタブの不所望の不良などの不所望の問題は、パネル6においてベース厚さをほぼ維持することによって、ほとんど排除される。同様に、外側リップ16をベースゲージにほとんど維持することは、蓋又は缶エンド4を缶ボディ100(
図1にて、仮想線で簡略形で部分的に示されている)に継ぎ合わせる継合せ能力の助けになる。この領域では、最小限の薄肉化しか起こらない、又は薄肉化が起こらないのが好ましい。当該領域は、
図2において符号18によって全般的に示されている。
【0043】
従って、薄肉化(例えば、限定されないが、5乃至20%又は約10%の薄肉化)の大半は、チャック壁12において起こるのが好ましい。より具体的には、薄肉化は、頂部14とカウンターシンク10の間の領域で起こるのが好ましい。当該領域は、
図2において、領域20として全般的に示されている。従って、例示として、
図2の非限定的な例では、チャック壁12における材料厚さは、約0.0074インチに低減されてよい。これがかなりの低減であって、従来の缶エンドに対して著しい重量低減及びコスト節約となることは、理解されるであろう。
【0044】
更に、
図2(及び本願に添付の全ての図)に示された特定のシェルのタイプ及び/又は構成及び/又は寸法は、単に説明のためだけに与えられており、開示された発明の範囲に対する限定でないことは勿論である。即ち、開示された発明の範囲から逸脱することなく、既知の又は適切なシェル又はエッジの任意のタイプ及び/又は構成について、ベースゲージの既知の又は適切な代替的な任意の薄肉化が、シェル(例えば、限定されないが、符号4)の付加的な及び/又は代替的な領域において実施されてよい。
【0045】
更に、開示された発明は、材料の薄肉化と、それに付随した、材料の全体の量及び重量の低減とを達成するが、エッジ製品を形成するために供給されるストック材料に関連した材料処理費用の増加を招かない。例えば、限定されないが、材料のベースゲージ(即ち厚さ)を低減するためにストック材料の処理(例えば、ローリング)を増やすと、不所望なことに、材料の初期費用が相対的にかなり増大する。開示された発明は、所望の薄肉化及び低減を達成する上に、更に、より一般的な、従ってあまり高価でないベースゲージを有するストック材料を用いるものである。
【0046】
図3乃至
図5は、開示された発明における非限定的な例示である1つの実施形態に基づいた、シェル材料を引き伸ばして薄くする種々のツーリングアセンブリ200(又は、「ツーリング200」)を示す。具体的には、選択的な成形(例えば、引伸し及び薄肉化)は、ツーリングの正確な幾何形状、配置及び相互作用によって達成される。非限定的な一実施形態によれば、プロセスは、ベース金属厚さ又はゲージを有する材料のブランク(例えば、限定されないが、
図6Aのブランク2参照)を、ツーリングアセンブリ200の構成要素間に導入することから始まる。
【0047】
図3は、「ポケット」300としても知られており、プレス400と結合した、複数ステーションツーリングアセンブリ200における単一のステーション300を示している。例えば、限定されないが、開示された発明の複数ステーションツーリングアセンブリ200は、従来の高速シングルアクション又はダブルアクション機械プレス400に結合しており、当該プレス400の各ストローク中に、各ステーション300にて、通常1つのシェル4が製造される。ツーリングアセンブリ200は、対向する上側ツールアセンブリ202及び下側ツールアセンブリ204を含んでおり、これらは協動して金属(例えば、限定されないが、
図6Aの金属ブランク2を参照)を成形し(例えば、限定されないが、引き伸ばし、薄くし、曲げて)、開示された発明に基づいた所望のシェル(例えば、限定されないが、
図1乃至
図3、
図5及び
図6Eのシェル4を参照)が得られる。
【0048】
より具体的には、上側ツールアセンブリ202及び下側ツールアセンブリ204は、上側ダイシュー206及び下側ダイシュー208と夫々結合しており、これらは、プレス400の内部で、プレスベッド及び/又はボルスタープレート(bolster plate)と、ラムとによって、一般に知られた方法で支持されている。環状の抜き絞りダイ(blank and draw die)210は、上側フランジ部212を含んでおり、これは、リテーナ又はライザ(riser)本体214と幾つかのファスナ216とによって結合されている。抜き絞りダイ210は、上側加圧スリーブ218を囲んでいる。即ち、抜き絞りダイ210は、上側加圧スリーブ218に近く、そして上側加圧スリーブ218から径方向外側に位置している。内側ダイ部材又はダイセンター220は、上側加圧スリーブ218内で、ダイセンターライザ222によって支持されている。抜き絞りダイ210は、内側に湾曲した成形面224(
図4及び
図5)を含んでいる。上側加圧スリーブ218の下側端部227は、輪郭をなぞる(contoured)環状の成形面226(
図4及び
図5)を含んでいる。
【0049】
図3を参照し続けると、環状のダイリテーナ230は、下側ダイシュー208にカウンターボア232内で結合している。環状のカットエッジダイ234は、適切なファスナ236によってダイリテーナ230と結合している。環状の下側加圧スリーブ240は、ダイリテーナ230内に、移動用の下側ピストン部242を含んでいる。下側加圧スリーブ240は更に、ほぼ平坦な表面を有する上側端部244を含んでおり、これは、前述した抜き絞りダイ210の下側端部に対向する。カットエッジダイ234は、図示されたように、下側加圧スリーブ240の近くに、そして下側加圧スリーブ240の上側端部244から径方向外側に位置する。ダイコアリング250は、下側加圧スリーブ240内に配置されており、
図4及び
図5において最も良く示されているように、上側加圧スリーブ218の下側端部又は成形面226と対向する上側端部252を含んでいる。上側端部252は、テーパー状の表面254と、丸みのある又は曲線を成す内側表面256と、丸みのある外側表面258とを含んでいる(全て
図4及び
図5において示される)。円形のパネルパンチ260は、ダイコアリング250内にて、前述したダイセンター220と対向して配置される。パネルパンチ260は、円形のほぼ平坦な上側表面262を含んでおり、周縁に丸みのある表面264を有している。
図4及び
図5において最も良く示されているように、周縁の窪み部266は、丸みのある表面264から下向きに延びている。
【0050】
従って、前述した、上側ツールアセンブリ202及び下側ツールアセンブリ204のツールは協動して、シェル4における予め定められた、選択された領域を形成し、特に引き伸ばして薄くする。これは、
図6A乃至
図6Eに関連して、より詳細に説明されている。これらの図は、開示された発明の非限定的な一実施形態に基づいて、引き伸ばされて薄くされたシェル4を形成するための方法とそれに関連した形成ステージとを示している。
【0051】
図6Aは、前述のツーリングアセンブリ200(
図3乃至
図5)を用いてブランク2が与えられる第1形成ステップを示す。より具体的には、抜き絞りダイ210と環状カットエッジダイ234の個々のカットエッジが協動して、例えば材料のウェブ又はシートから、ブランク2を切り取る(例えば、打ち抜く)。
図6Bに示す第2ステップでは、ツーリング200は、協動して第1曲げを行う、つまり、図示したように、ブランク2の周縁端部を下向きに曲げる。次に、
図6Cに示す形成ステップにおいて、ブランク2の外側部分は更に、図示したように成形される。これは、抜き絞りダイ210の曲った内側表面224が、ダイコアリング250の上側端部252と協動することによって、更には、上側加圧スリーブ218の成形面226がダイコアリング250の上側端部252と協動することによって、達成される。
【0052】
開示された発明における前述した非限定的な実施形態に基づいた、引伸ばし及び薄肉化は更に、
図4及び
図6Dにおいて示された第4形成ステップで説明且つ理解されるであろう。具体的には、
図4は、ダウンストローク後のツーリングアセンブリ200を示しており、図示されたツールの全ては、矢印410の方向に、図示した位置へと下向きに移動している。即ち、抜き絞りダイ210と下側加圧スリーブ240は、矢印410の方向に下向きに移動しており、外側リップ又はカール16が更に形成されている。また、上側加圧スリーブ218は、矢印410の方向に下向きに移動しており、図示したように、上側加圧スリーブ218の成形面226は、ダイコアリング250の上側端部252と協動して、頂部14を更に形成している。ダイセンター220は、これもまた矢印410の方向に下向きに移動して、ブランク2の金属をチャック壁12の領域において引き伸ばす。これは、ダイセンター220の下方端部のほぼ平坦な表面が、ダイセンター220と、パネルパンチ260のほぼ平坦な上側表面262との間にて材料をクランプするからである。ダイセンター220及びパネルパンチ260は双方とも、矢印410の方向に下向きに移動して、チャック壁12の領域において金属を引き伸ばして薄くする。これは、それが、ダイコアリング250のテーパー状の表面254と協動するからである。従って、第4形成ステップでは、ブランク2の材料は、チャック壁12となる領域においては引き伸ばされて薄くなるが、外側リップ又はカール領域16、後にパネル6に成形される領域(
図5及び
図6E)、或いは、後に環状カウンターシンク10に成形される下側領域(
図5及び
図6E)が、引き伸ばされて薄くなることはほとんどない。これらの領域は、先に上で説明したように、ほぼベースゲージ金属厚さのままである。
【0053】
第5及び最終シェル形成ステップでは、シェル4の形成が完了する。具体的には、(
図4のダウンストロークに関して先に図示且つ説明された同じツーリングアセンブリ200を示している)
図5に図示されているように、ツーリングアセンブリ200の一部は、
図5において矢印420の方向に上向きに移動して、シェル4のパネル6が形成される。具体的には、抜き絞りダイ210、ダイセンター220、下側加圧スリーブ240、並びにパネルパンチ260は全て、矢印420の方向に上向きに移動する一方で、上側加圧スリーブ218は、この時点で矢印410の方向に下向きに移動するのを止めており、シェル4にする圧力が保持されている。これにより、外側リップ又はカール16が、ダイコアリング250の丸みのある外側表面258にて更に形成されるだけでなく、頂部14が、上側加圧スリーブ218の成形面226とダイコアリング250の上側端部252との間にて更に形成される。チャック壁12の所望の最終形状は、上側加圧スリーブ218と、ダイコアリング250の表面254、256との相互作用によってもたらされる。パネル6は、パネルパンチ260のほぼ平坦な上側表面262と、ダイセンター220との相互作用によって形成される。これは、これらの構成要素の双方が、これらの間に、パネル6となるブランク2の金属が配置された(例えば、クランプされた)状態で、矢印420の方向に上向きに移動するからである。この移動により、円筒状のパネル壁8とカウンターシンク10の形成も促進される。具体的には、パネルパンチ260が上向きに移動し、そして上側加圧スリーブ218が下向きに移動すると、環状のカウンターシンク10は、パネルパンチ260の周縁の窪み部266内にて形成される。従って、パネルパンチ260の辺縁の丸みのある表面264と金属とが協動することで、円筒状のパネル壁8が形成される。
【0054】
従って、開示された発明は、ブランク2又はシェル4の材料が具体的に引き伸ばされることも薄くされることもない従来のシェル形成方法及びツーリングと著しく異なっていることは理解されるであろう。即ち、例示したシェル4のパネル6、カウンターシンク10及び外側リップ又はカール16部(
図1乃至
図3、
図5及び
図6E)が引き伸ばされない、又はごく僅かしか引き伸ばされない一方で、カウンターシンク10と頂部14との間の領域20(
図2)は、形成プロセス中に、特に
図5及び
図6Dに図示した第4形成ステップにおいて、引き伸ばされて薄くされる。
【0055】
5つの形成ステージが
図6A乃至
図6Eにおいて図示されているが、任意の数及び/又は順序で既知の又は適切な代替的な形成ステージが実行されて、開示された発明に従って材料を適切に選択的に引き伸ばして薄くしてよいことは勿論である。更に、材料の移動(例えば滑動)、流れ又は薄肉化に逆らう程十分に、材料における幾つかの領域を固定するが、材料のその他の予め定めた領域を引き伸ばして薄くする既知の又は適切な任意の機構が用いられてよいが、開示された発明の範囲から逸脱しないこととすることは勿論である。そして、本明細書に示され、且つ説明されたシェル4(例えば、限定されないが、符号4)の領域以外のシェルの代替的又は付加的な領域が、適切に引き伸ばされて薄くされてよく、開示された発明は、全く異なるタイプ及び/又は構成であるシェル(図示せず)を引き伸ばすのに適用されてよい。
【0056】
このように、開示された発明は、シェル4(
図1乃至
図3、
図5及び
図6E)の予め定めた領域(例えば、限定されないが、
図2の領域20参照)を選択的に引き伸ばして薄くするためのツーリングアセンブリ200(
図3乃至
図5)及び方法を提供することによって、材料及びコストの相対的に顕著な節約を実現することは理解されるであろう。
【0057】
開示された発明の別の実施形態を
図7に示す。以下に説明する要素以外は、ツーリング200Aは、上述したツーリングアセンブリ200と実質的に同じであって、同様な要素は同じ参照番号を使用する。上述したように、例示的な実施形態では、ダイコアリングの上側端部252は、上側加圧スリーブ218の下側端部又は成形面226に対向する。更に上述したように、ブランク2の外側部分は、ダイコアリング250の上側端部252と協働する上側加圧スリーブ218の成形面226によって形成される。即ち、ダイコアリングの上側端部252と上側加圧スリーブの成形面226の両方がブランク2に係合する。本明細書で使用されているように、互いに対向して配置された要素による同時係合は、「クランプ」として特定される。
【0058】
上述したように、ダイコアリングの上側端部252は、テーパー状の面254と、丸みのある内側表面256と、丸みのある外側表面258とを含んでいる。例示的な実施形態では、ダイコアリングの上側端部252は、略水平な表面257を更に含んでいる。本明細書で使用されているように、「略水平な表面」257は、上側ツールアセンブリ202及び下側ツールアセンブリ204の運動軸に略垂直な平面内で延びるダイコアリングの上端の部分である。本明細書で使用されているように、「略垂直」とは、約+/-約10度の範囲での垂直を意味する。
【0059】
この例示的な実施形態では、上側ツールアセンブリ202及び下側ツールアセンブリ204は、上側ツールアセンブリ202が下側ツールアセンブリ204から離間している分離された第1の配置と、シェル4の少なくとも1つの所定の部分の材料をシェルの少なくとも1つの他の部分に対して選択的に引き伸ばすために、上側ツールアセンブリ202が下側ツールアセンブリ204に直に隣接する成形配置との間で移動する。上側ツールアセンブリ202及び下側ツールアセンブリ204が成形配置にある場合、上側加圧スリーブ218及びダイコアリング250は、上述したようにシェル4をクランプする。ブランク2に作用する力は、本明細書で使用されているように「クランプ力(clamping force)」である。
【0060】
この例示的な実施形態では、上側ツールアセンブリ202はまた、ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500を含んでおり、上側加圧スリーブの成形面226は、力集中成形面(force concentrating forming surface)600となっている。本明細書で使用されているように、「ハイブリッドバイアス生成アセンブリ」は、少なくとも2つの異なる方法でバイアスを生成するアセンブリであって、そのバイアスは同じ構成要素に適用される。即ち、本明細書で使用する「ハイブリッドバイアス生成アセンブリ」は、同じ構成要素に加えて幾つかのハイブリッド構成要素にバイアスを印加する少なくとも2つのバイアス生成アセンブリを含んでいる。従って、圧縮流体(圧力バイアス)及びばね(機械的バイアス)を介してバイアスを生成する本明細書に記載のハイブリッドバイアス生成アセンブリ500などのアセンブリは、アクティブハイブリッド生成アセンブリであるという第1の要件を満たしている。逆に、高圧コンプレッサ及び低圧コンプレッサ(両方とも圧力バイアスを生成する)を有する装置は、バイアスを生成する方法が同じであるため、「ハイブリッドバイアス生成アセンブリ」ではない。更に、1つのタイプのバイアスが1つの構成要素に適用され、別のタイプのバイアスが異なる構成要素に適用されるアセンブリは、バイアスが同じ構成要素に適用されないことから、「ハイブリッドバイアス生成アセンブリ」ではない。
【0061】
更に、本明細書で使用されているように、「アクティブハイブリッドバイアス生成アセンブリ」は、同じ構成要素に同時にバイアスを印加する少なくとも2つのバイアス生成アセンブリを含むアセンブリである。更に、本明細書で使用されているように、「選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリ」は、少なくとも2つのバイアス生成アセンブリを含むアセンブリであって、バイアスは同じ構成要素に選択的に適用される。即ち、「選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリ」は、少なくとも2つの異なる方法でバイアスを印加することが可能であり、使用者は、どのバイアス生成アセンブリが構成要素にバイアスを印加するか、又はその両方で構成要素にバイアスを印加するか否かを決定する。故に、使用者がバイアスを印加する2つの方法を選択すると、「選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリ」は、「アクティブハイブリッドバイアス生成アセンブリ」として動作する。言い換えると、「アクティブハイブリッドバイアス生成アセンブリ」は、「選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリ」の一種であるが、その反対は常に真ではない。即ち、全ての「選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリ」が「アクティブハイブリッドバイアス生成アセンブリ」であるとは限らない。幾つかの利用可能な方法のうちの1つのみでバイアスを適用する「選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリ」は、「選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリ」であるが、「アクティブハイブリッドバイアス生成アセンブリ」ではない。例示的な実施形態では、ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500は、アクティブハイブリッドバイアス生成アセンブリ502又は選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリ504のうちの1つである。
【0062】
ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500は、圧力生成アセンブリ510と、機械的バイアスアセンブリ550と、幾つかのハイブリッド構成要素570とを含んでいる。本明細書で使用されているように、「ハイブリッド構成要素」570は、バイアス生成アセンブリ、例示的な実施形態では、圧力生成アセンブリ510及び機械的バイアスアセンブリ550の両方によって利用されるように構成された構成要素である。圧力生成アセンブリ510は、圧力生成装置512(概略的に示されている)、圧力伝達アセンブリ514(概略的に示されている)、圧力チャンバ516、及びピストンアセンブリ518を含む。圧力生成装置512は、限定するものではないが、流体ポンプ又はコンプレッサのような、増大した圧力で流体を圧縮する、又は圧縮された流体を貯蔵するように構成された公知の装置である。圧力伝達アセンブリ514は、加圧流体を伝達できる任意の数のホース、導管、通路、又はその他の構造物を含んでいる。圧力伝達アセンブリ514はまた、加圧流体の連通を制御するために必要とされるシール、弁、又は他の構成要素を含んでよいことは理解される。
【0063】
例示的な実施形態では、ライザ本体214は、上側ダイシュー206に密封結合され、直接結合され、又は固定されている。この構成では、ライザ本体214が圧力チャンバ516を規定している。圧力チャンバ516は、特定していないが、流体が逃げるのを防止するために必要とされる多数のシールを含むことは理解される。ピストンアセンブリ518は、トーラス形状の本体520と、例示的な実施形態では、後述するように、ばね座554とを含んでいる。別の実施形態では、図示していないが、ピストン本体及びばね座は単一の物体である。ばね座554に適用可能なピストン本体520の記載は、ばね座554を含む実施形態であることは理解される。例えば、ピストン本体520は、圧力チャンバ516及びダイセンターライザ222に対応しており、ばね座554を有する実施形態では、ばね座554は、圧力チャンバ516及びダイセンターライザ222に対応していることは理解される。従って、ピストン本体520又はばね座554の外側径方向表面は、圧力チャンバ516の内側表面に密封結合され、 ピストンアセンブリ518は、特定されていないが、流体が圧力チャンバ516を逃げるのを防止するために必要とされる幾つかのシールを含むことは理解される。ピストンアセンブリ518は、圧力チャンバ516に移動自在に配置される。
【0064】
圧力生成装置512は、圧力伝達アセンブリ514を介して圧力チャンバ516と流体連通している。流体、ひいてはその圧力は、以後「圧力面」521と称するピストン本体520の上側に伝達される。ばね座554を有する実施形態では、圧力面521がばね座554の上面であってもよいことは理解される。例示的な実施形態では、総バイアス力は、面積が約3.46in2乃至17.3in2、又は約10.38in2である圧力面521に加えられる。従って、圧力生成装置512は、圧力チャンバ516内のピストンアセンブリ518の位置を制御するように構成されており、圧力チャンバ516内でピストンアセンブリ518を動かすように構成されている。ピストンアセンブリ518は、上側加圧スリーブ218に結合されている。即ち、上側加圧スリーブ218は、成形面226の反対側にある上側端部225を含んでいる。ピストンアセンブリ518は、上側加圧スリーブの上側端部225に結合されている。故に、ピストンアセンブリ518が圧力チャンバ516内を移動すると、上側加圧スリーブ218は、上側加圧スリーブの下側端部227が、上側ダイシュー206からより離間している、第1の伸長位置と、上側加圧スリーブの下側端部227と上側ダイシュー206の間隔がより小さい、第2の格納位置との間で移動する。
【0065】
この構成では、ピストンアセンブリ518及びピストン本体520は、本明細書で定義されている「ハイブリッド構成要素」570である。即ち、ピストンアセンブリ518及びピストン本体520は、圧力生成アセンブリ510及び機械的バイアスアセンブリ550の両方によって利用されるように構成されている。圧力生成アセンブリ510のみに関連するピストン又は機械的バイアスアセンブリ550のみに関連するピストンは、本明細書で定義される「ハイブリッド構成要素」とはならないことに留意のこと。即ち、定義上、圧力生成アセンブリ510のみに関連するピストンアセンブリ518は、両方のバイアス生成アセンブリによって利用されるように「構成」できない。同様に、定義上、機械的バイアスアセンブリ550のみに関連するピストンアセンブリ518は、両方のバイアス生成アセンブリによって利用されるように「構成」できない。従って、圧力生成アセンブリ510のみに関連するピストン又は機械的バイアスアセンブリ550のみに関連するピストンは、本明細書で使用される「ハイブリッド構成要素」ではない。
【0066】
例示的な実施形態では、機械的バイアスアセンブリ550は、幾つかのばねアセンブリ552と幾つかのばね座554を含んでいる。ばねアセンブリ552は、各ばね座554に関連する幾つかのばね560を含んでいる。ある実施形態では、各ばねアセンブリ552は、単一の線形ばね定数圧縮ばね(linear spring rate compression spring)560を含んでいる。この実施形態では、機械的バイアスアセンブリ550は、ばねアセンブリ552の圧縮の間に、ほぼ線形のばね定数でバイアスを印加するように構成されており、そのバイアスを印加する。
【0067】
別の例示的な実施形態では、各ばねアセンブリ552は、可変ばね定数を有する幾つかのばね560を含んでいる。(符号560は、特定の種類のばねではなく、「ばね」を表すことは理解される)。可変ばね定数は、プログレッシブばね定数(progressive spring rate)、デグレッシブばね定数(degressive spring rate)、又はデュアルレート(時には「プログレッシブ・ウィズ・ニー(progressive with knee)」と呼ばれる)ばね定数の何れかとすることができる。本明細書で使用されているように、「プログレッシブばね定数」は、非線形に加圧が増加するばね定数である。本明細書で使用されるように、「デグレッシブばね定数」は、非線形に加圧が減少するばね定数である。本明細書で使用されているように、「デュアルレート」ばね定数は、選択された加圧が達成されるまで、線形又は略線形の第1のばね定数で増加するばね定数であり、その後、ばね定数は、異なる第2の線形又は略線形の第2のばね定数で増加する。即ち、第1及び第2のばね定数は、実質的に異なっている。可変定数ばねとしては、可変ピッチレートの円柱ばね、円錐ばね、及びミニブロックばねが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
例示的なある実施形態では、全てのばねアセンブリ552は、実質的に同じ種類のばね560を含んでいる。即ち、例えば、各ばねアセンブリ552は、実質的に同じである幾つかの線形ばね定数圧縮ばね560、又は実質的に同じである幾つかのデュアルレート圧縮ばね560を含んでいる。別の例示的な実施形態では、ばねアセンブリ552は、種類が異なるばねを含んでいる。例えば、機械的バイアスアセンブリ550内で、一組のばねアセンブリ552は、実質的に同じである幾つかの線形ばね定数圧縮ばねを含み、第2の組は、実質的に同じである幾つかのデュアルレート圧縮ばね560を含んでいる。別の例示的な実施形態では、可変定数ばねアセンブリ552は、複数のデュアルレートばね、異なる圧縮率を有する複数のばね、幾つかのプログレッシブばね、幾つかのデグレッシブばね、又はこれらの任意の組合せとを含んでいてよい。
【0069】
例示的な実施形態では、圧縮ばね560は、圧力チャンバ516内に配置される。この実施形態では、少なくとも下側ばね座554’は、圧力チャンバ516及びダイセンターライザ222に対応するトーラス形状の物体562である。下側ばね座554’は、圧力チャンバ516内に配置されると圧縮されるように、ピストン本体520の上側と結合しており、直接的に結合しており、固定されており、又は一体にされている。圧縮ばね560は、圧力チャンバ516に配置されると圧縮するような大きさにされている。この構成では、機械的バイアスアセンブリ550は、ピストンアセンブリ518、ひいては上側加圧スリーブ218を付勢可能、即ち作動可能に係合している。即ち、上側加圧スリーブ218は、その第1の位置に付勢されている。
【0070】
後述する圧力集中成形面600が約0.346in2の面積を有する、ある例示的な実施形態では、総バイアス圧力は、約3.46in2乃至17.3in2、約6.92in2乃至13.84in2、又は約10.38in2の範囲の圧力面521に作用する約7,000lbf乃至9,000lbf、又は約8,000lbfの力である。代替的に、圧力面521が約10.38in2の面積を有する実施形態では、後述する圧力集中成形面600は、約1.038in2乃至0.208in2、約0.519in2乃至0.2595in2、又は約0.346in2である範囲を有する。即ち、力/圧力は、約1:10乃至1:50、又は約1:20乃至1:40、又は約1:30の比で集中する。
【0071】
例示的な実施形態では、上述したように、複数ステーションツーリングアセンブリ200がプレス400、即ち100トンプレスに結合する。複数ステーションツーリングアセンブリ200は、24個のステーション又はポケット300を含んでいる。約8000lbfが各圧力面521、即ち24個の圧力面521に作用する実施形態では、総荷重は、約8000lbf*24(ポケット)=192,000lbfとなる。約192,000lbfは、約96トン(192,000lbf/2000)である。故に、本明細書に記載の構成でハイブリッドバイアス生成アセンブリ500を有する上側ツールアセンブリ202は、既存のプレスで使用可能であるという上記の問題を解決し、既存の100トンプレスで動作するように構成された力集中成形面600を含んでいる。
【0072】
ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500によって生成される総バイアス/力は、「総バイアス圧力」として表されてもよい。本明細書で使用されているように、「総バイアス圧力」は、ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500、従って、上側ツールアセンブリ202によって生成される総バイアス/圧力を意味する。更に、機械的バイアスアセンブリ550は、本明細書で使用されているように、圧力面521にわたって均等に分布すると考えられる力を生成する。即ち、機械的な力は、構成要素に作用する力及び圧力を計算するための圧力として扱うことができる。例示的な実施形態では、機械的バイアスアセンブリ550は、総バイアス圧力の約70%乃至80%、又は約75%を生成する。逆に、圧力生成アセンブリ510は、総バイアス圧力の約20%乃至30%又は約25%を生成する。圧力生成装置512によって生成される力/圧力は、圧力面521に作用する。圧力面521が約10.38in2の面積を有する例示的な実施形態では、ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500は、約674.4psi乃至約867.1psi、又は約770.7psiの圧力を発生する。更に、機械的バイアスアセンブリ550が総バイアス圧力の約75%を生成し、圧力生成アセンブリ510が総バイアス圧力の約25%を生成する例示的な実施形態では、機械的バイアスアセンブリ550は、約505.8乃至約650.3psi、又は約578.0psiの圧力を生成し、圧力生成アセンブリ510は、約168.6psi乃至約216.8psi、又は約192.7psiの圧力を生成する。更に、圧力生成アセンブリ510は、圧力チャンバ516をほぼ一定の圧力で加圧するように構成されている。
【0073】
別の例示的な実施形態では、ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500は、機械的バイアスアセンブリ550によって生成された総バイアス圧力の実質的に全て又は全てを有するように構成されており、圧力生成アセンブリ510は、ほぼ一定の、しかしほぼ最小限の圧力を生成する。即ち、この実施形態では、機械的バイアスアセンブリ550は、総バイアス圧力の約90%乃至99%又は約95%を生成する。逆に、圧力生成アセンブリ510は、総バイアス圧力の約1%乃至10%又は約5%を生成する。更に、圧力生成アセンブリ510は、圧力チャンバ516をほぼ一定の圧力で加圧するように構成されている。この実施形態では、ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500は、アクティブハイブリッドバイアス生成アセンブリ502である。
【0074】
更に、この実施形態では、ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500は、機械的バイアスアセンブリ550及び圧力生成アセンブリ510によって生成される力の比を変更するように構成されている。つまり、例えば、最初のクランプ動作中、総バイアス圧力は、機械的バイアスアセンブリ550によって実質的に生成される。即ち、機械的バイアスアセンブリ550は、総バイアスの約90%乃至100%、又は約99%を生成し、圧力生成アセンブリ510は、総バイアス圧力の約0%乃至10%又は約5%を生成する。最初のクランプ動作の後、即ち2回目のクランプ動作の間、機械的バイアスアセンブリ550によって生成される総バイアス圧力は、総バイアス圧力の75%以上に低減され、圧力生成アセンブリ510は、総バイアス圧力の25%までを生成する。
【0075】
代替的な実施形態では、ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500は、選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリ504であって、使用者は、圧力を生成するソースを、即ち機械的バイアスアセンブリ550又は圧力生成アセンブリ510の何れかを選択する。この実施形態では、機械的バイアスアセンブリ550は、総バイアス圧力の約99%乃至100%、又は実質的に全てを生成する。逆に、圧力生成アセンブリ510は、総バイアス圧力の約0%乃至1%又は無視できる割合を生成する。即ち、例えば、圧力生成アセンブリ510は、上り行程中に、総バイアス圧力の無視できる割合を生成する一方で、上側ツールアセンブリ202の構成要素を下向きにバイアスするのに十分な圧力を生成する。前述のように、圧力生成アセンブリ510は、例示的な実施形態では、圧力チャンバ516をほぼ一定の圧力で加圧するように構成されている。
【0076】
別の実施形態では、ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500は再度、選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリ504であって、使用者は、圧力を生成するソースを、即ち機械的バイアスアセンブリ550又は圧力生成アセンブリ510の何れかを選択する。この実施形態では、しかしながら、圧力生成アセンブリ510は、総バイアス圧力の約99%乃至100%又は実質的に全てを生成する。逆に、機械的バイアスアセンブリ550は、総バイアス圧力の約0%乃至1%又は無視できる割合を生成する。即ち、例えば、機械的バイアスアセンブリ550は、上り行程中に、総バイアス圧力の無視できる割合を生成する一方で、上側ツールアセンブリ202の構成要素を下向きに付勢するのに十分な圧力を生成する。前述のように、圧力生成アセンブリ510は、例示的な実施形態では、圧力チャンバ516をほぼ一定の圧力で加圧するように構成されている。
【0077】
この実施形態では、圧力生成アセンブリ510は、可変圧力を印加するように構成されている。即ち、圧力生成アセンブリ510は、圧力チャンバ516内の圧力を変化させるように構成された圧力制御アセンブリ530(概略的に示されている)を含んでいる。例示的な実施形態における圧力制御アセンブリ530は、圧力チャンバ516内にある幾つかの圧力センサ(図示せず)と、ピストンアセンブリ518の位置を決定するように構成された位置センサ(図示せず)とを含んでいる。圧力制御アセンブリ530は、圧力プロファイルに従って圧力チャンバ516内の圧力を変更するように構成されている。即ち、圧力制御アセンブリ530は、ピストンアセンブリ518の位置に応じて圧力チャンバ516内の圧力を増減するように構成されている。例示的な実施形態では、圧力制御アセンブリ530は、プログラマブルロジック回路(PLC)(図示せず)と、複数の電子圧力レギュレータとを含んでいる。センサ及び電子圧力レギュレータは、PLCに結合されており、PLCと電子的に通信する。PLCは、電子圧力レギュレータに加えて圧力プロファイルを表すデータを操作するための命令を更に含んでいる。
【0078】
例示的な実施形態では、ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500は、着脱自在なばね552によって、アクティブハイブリッドバイアス生成アセンブリ502又は選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリ504の間で切り替え可能に構成されており、或いは、アクティブハイブリッドバイアス生成アセンブリ502又は選択可能ハイブリッドバイアス生成アセンブリ504の何れかの異なる構成の間で切り替え可能である。即ち、ばね552は、圧力チャンバ516内のばね座554に着脱自在に結合されている。
【0079】
別の実施形態では、上側ツールアセンブリ202は、ハイブリッドバイアス生成アセンブリ500を含んでおらず、むしろ、機械的バイアスアセンブリ550又は圧力生成アセンブリ510のうちの1つを含んでおり、選択されたアセンブリは、総バイアス圧力の100%を提供する。機械的バイアスアセンブリ550又は圧力生成アセンブリ510は、以下に説明するように、「圧力集中成形面」600に結合される。即ち、機械的バイアスアセンブリ550又は圧力生成アセンブリ510は、本明細書で説明される他の構成要素に結合される。
【0080】
上述したように、上側加圧スリーブの成形面226は、圧力集中成形面600である。本明細書で使用されているように、「圧力集中成形面」600は、従来技術の成形面に対して、ブランク2における縮小された領域と係合する成形面である。即ち、従来技術の成形面は、ダイコアリングの上側端部252の丸い内側表面256、略水平な表面257、及び、幾つかの構成では、丸い外側表面258にわたって配置されたブランク2をクランプした。本明細書で使用されているように、「圧力集中成形面」600は、ダイコアリングの上側端部252の表面の限られた部分と、或いは、圧力集中成形面600とダイコアリングの上側端部252との間に配置された頂部14の限られた部分と係合する成形面である。即ち、ブランクを「クランプ」しない表面は、「圧力集中成形面」600の一部ではない。限られた領域は、ブランクが略円形である例示的な実施形態では、径方向に連続した環状の減少クランプ領域である。本明細書で使用されているように、「減少クランプ領域」は、ダイコアリングの上側端部252の略水平な表面257の一部にわたって延びる径方向に連続した環状領域であるが、ダイコアリングの上側端部252の丸みのある内側表面256には延びない。更に、本明細書で使用されるように、「縮小クランプ領域」は、ダイコアリングの上側端部252の略水平な表面257の約25乃至75%にわたって延びる径方向に連続した環状領域であるが、ダイコアリングの上側端部252の丸みのある内側表面256には延びない。即ち、公知技術では、成形面はほぼ平坦であり、全面即ち100%がダイコアリングの上側端部252に係合し、クランプ領域として作用しているが、本明細書に開示されている力集中成形面600では、クランプ領域が小さくなっている。
【0081】
図9及び
図10に示す別の例示的な実施形態では、圧力集中成形面600は、複数の「ランディング部(landing)」610を含んでいる。本明細書で使用されているように、「ランディング部」は、上側加圧スリーブの成形面226の限られた領域である。例示的な実施形態では、複数のランディング部610を形成する圧力集中面は、2乃至5つの実質的に同心のランディング部610A,610B,610C,610D,610Eを含む。即ち、例示的な実施形態では、上側加圧スリーブ218の下側端部は、環状の、即ち略円状の成形面226を含んでいる。複数のランディング部610は、ブランク2をクランプする環状成形面226の同心部分である。即ち、ランディング部610のみがブランク2に係合する。ランディング部610の間の領域は、ランディング部610に対して上向きにオフセットされているので、これらの領域はブランク2と係合しない。言い換えると、例示的な実施形態では、ランディング部610の間に同心状の溝612がある。
【0082】
図7に示すように、上側加圧スリーブの成形面226は、ピストンアセンブリ518及び/又は下側ばね座554’の断面積よりも遥かに小さい断面積を有する。この構成では、上側加圧スリーブの成形面226によってブランク2に加えられる圧力/面積は、ピストンアセンブリ518及び/又は下側ばね座554’に作用する圧力/面積よりも大きい。即ち、バイアス/力が一定のままである一方で、バイアス/力が作用する領域は、上側加圧スリーブの成形面226の領域と比較して、ピストンアセンブリ518及び/又は下側ばね座554’にてより大きくなる。従って、上側加圧スリーブの成形面226での面積が小さくなるほど、単位面積当たりの圧力は大きくなる。
【0083】
単位面積当たりの圧力上昇は、圧力集中成形面600の方が大きい。即ち、本明細書で定義されているように、圧力集中成形面600の面積は、上側加圧スリーブの成形面226の面積よりも更に小さい。例示的な実施形態では、圧力集中成形面600を使用すると、総バイアス圧力対クランプ圧力の比は、約1:10乃至1:50、約1:20乃至1:40、又は約1:30となっている。
【0084】
この構成だと、クランプ圧力は、例示的な実施形態では、変形する材料の弾性限界付近である。更に、例示的な実施形態では、変形する材料は「薄化限界(thinning limit)」を有する。即ち、本明細書で使用されているように、「薄化限界」は、加圧下での材料の弾性限界である。即ち、加圧されている材料は、材料を引き裂くことなく材料の弾性限界を超える張力下に置くことができる。故に、本明細書で使用される場合、「薄化限界」は、材料を引き裂くことなく約10%だけ薄くできる圧力である。上記の例示的な測定値、例えば、圧力面521の面積は、最初は約0.0082インチの厚さであるアルミニウムに作用するツーリングアセンブリ200用である。圧力集中成形面600は、アルミニウムの薄化限界付近のクランプ圧力を生成して、アルミニウムを薄くするように構成されており、チャック壁12内の材料の厚さを約0.0074インチの厚さに減少させることができる。
【0085】
従って、
図11に示すように、上述したツーリングアセンブリ200Aの使用は、ツーリングアセンブリ200Aの間に材料を導入する工程1000と、ツーリングアセンブリ200A内にて総バイアス力を生成する工程1002と、上側ツールアセンブリ202と下側ツールアセンブリ204の間で材料をクランプする工程1004と、センターパネルと、周方向チャック壁と、センターパネルと周方向チャック壁の間にある環状カウンターシンクと、チャック壁から径方向外側に延びるカールとを含むように材料を成形する工程1006と、シェルの少なくとも1つの他の部分に対してシェルの少なくとも1つの所定の部分を選択的に引き伸ばして、シェルの対応する薄肉部をもたらす工程1008とを含んでいる。
【0086】
本明細書で開示されるシェルを薄くする方法及びアセンブリは、缶ボディ、缶エンド及び/又はドーム、ならびにカップで、即ち缶ボディ用の前駆構造物で金属厚さを薄くするためにも使用できることに留意のこと。
【0087】
開示された発明の特定の実施形態が詳細に記載されたが、当業者であれば、これらの詳細に対する種々の改良及び変形が、本開示の全体の教示を考慮して開発され得ることは理解されるであろう。従って、本開示の特定の配置は、単に説明のためのものであって、添付の特許請求の範囲の完全な広さとその任意の及び全ての等価物とで与えられ得る開示された発明の範囲に関する限定ではない。