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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】フィルタ試験装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 15/10 20060101AFI20220111BHJP
   G01M 15/02 20060101ALI20220111BHJP
   F01N 3/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G01M15/10
G01M15/02
F01N3/00 G
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018005930
(22)【出願日】2018-01-17
(65)【公開番号】P2019124606
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大塚 貴康
(72)【発明者】
【氏名】川原 武義
(72)【発明者】
【氏名】福海 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】玉井 裕二
(72)【発明者】
【氏名】後藤 優喜
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-523396(JP,A)
【文献】特開2016-188633(JP,A)
【文献】特開2012-189454(JP,A)
【文献】特開2010-223882(JP,A)
【文献】特開2005-214742(JP,A)
【文献】特開2001-012733(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0252130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 15/00 -15/14
F01N 3/00 - 3/38
F23D 11/00 -11/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼用空気の入口、煤発生用メインバーナ、パイロットバーナ、及び燃焼ガスの生成空間を備えた燃焼部と、
アッシュを模擬した不燃性粒子を供給可能なフィーダと、
フィーダから供給される不燃性粒子を空気輸送するための装置と、
燃焼部で生成した燃焼ガスの流路内に設けられた、前記空気輸送するための装置からの不燃性粒子を同伴する空気の入口、及び前記燃焼ガスと前記空気を混合して混合ガスを生成するための混合空間を備えた混合部と、
混合部で生成した混合ガスの流路内に設けられた、混合ガス中の煤及び不燃性粒子を捕集するフィルタを設置するための空間、及びフィルタからの浄化されたガスの出口を備えたフィルタ設置部と、
を具備するフィルタ試験装置。
【請求項2】
燃焼部はフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナを備える請求項1に記載のフィルタ試験装置。
【請求項3】
フィーダは不燃性粒子を定量供給可能に構成されている請求項1又は2に記載のフィルタ試験装置。
【請求項4】
アッシュを模擬した不燃性粒子はCa、P、Zn、Mg及びSよりなる群から選択される一種以上の元素を含有する化合物を含む請求項1~3の何れか一項に記載のフィルタ試験装置。
【請求項5】
フィルタの入口側及び出口側の間の圧力損失を測定するための圧力計測器を具備する請求項1~4の何れか一項に記載のフィルタ試験装置。
【請求項6】
燃焼部に供給される燃焼用空気の流量制御装置を具備する請求項1~5の何れか一項に記載のフィルタ試験装置。
【請求項7】
煤発生用メインバーナに供給される燃料の流量制御装置を具備する請求項1~6の何れか一項に記載のフィルタ試験装置。
【請求項8】
空気輸送するための装置は、フィーダから供給される不燃性粒子を輸送するための配管及び空気を輸送するための配管を備え、
前記不燃性粒子を輸送するための配管は、空気を輸送するための配管の途中に設けられたベンチュリ部に連結されており、
空気を輸送するための配管は、ベンチュリ部の下流側で、混合部における前記不燃性粒子を同伴する空気の入口に連結されている、
請求項1~7の何れか一項に記載のフィルタ試験装置。
【請求項9】
混合部は冷却用空気の入口を備える請求項1~8の何れか一項に記載のフィルタ試験装置。
【請求項10】
フィルタ設置部にフィルタを設置した上でフィルタ試験装置を稼働させて混合ガスを生成し、混合ガス中の煤及び不燃性粒子をフィルタで捕集することを含む請求項1~9の何れか一項に記載のフィルタ試験装置の使用方法。
【請求項11】
燃焼部での煤の発生量がフィルタの体積1L当たり0.02g/min以上となるように燃焼用空気の流量及び煤発生用メインバーナへ供給する燃料の流量を制御し、且つ、フィーダからの不燃性粒子の供給量がフィルタの体積1L当たり0.05g/min以上となるように制御することを含む請求項10に記載の使用方法。
【請求項12】
燃焼部での煤の発生量(g/min)に対するフィーダからの不燃性粒子の供給量(g/min)の比を0.5~40の範囲に制御することを含む請求項10又は11に記載の使用方法。
【請求項13】
フィルタの入口における混合ガスの温度を100~1100℃の範囲に制御することを含む請求項10~12の何れか一項に記載の使用方法。
【請求項14】
燃焼部はフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナを備えており、フィーダの運転を停止した状態で、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナを用いてフィルタ再生用高熱ガスを発生させ、フィルタに捕集された煤を燃焼することを含む請求項10~13の何れか一項に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルタ試験装置に関する。また、本発明はフィルタ試験装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジン及びディーゼルエンジン等の内燃機関を搭載した自動車から排出される排ガスには、炭素を主成分とする煤(PM:Particulate Matter)の他、エンジンオイル由来の未燃成分(Ca、P、Mg等の化合物)を主成分とするアッシュが含まれる。煤やアッシュは環境汚染の原因となるため、従来、これらの内燃機関の排ガスラインには煤及びアッシュを捕集するGPFやDPF等のフィルタが装着されている。
【0003】
フィルタに捕集された煤及びアッシュはフィルタの圧力損失を増加させたり捕集機能を劣化させたりする原因となる。このため、煤及びアッシュがフィルタに堆積したときのフィルタの経時的な性能変化を把握することは、フィルタの性能評価及び研究開発において重要である。
【0004】
従来、煤及びアッシュの堆積による影響を検討するために、フィルタを装着したガソリン車若しくはディーゼル車を走行させる、又は、長期間エンジンを回すといった方法で、フィルタを試験することが行われていた。しかしながら、実車輌でのアッシュ堆積速度は非常に緩やかであるため、アッシュを堆積させるのに半年以上もの長時間を要し、試験に要する費用も多大となっていた。
【0005】
そこで、実際の自動車から排出される排気ガスを模擬したガスを供給することで、短時間で効率よく試験を行うための装置が従来提案されてきた。
【0006】
例えば、特開2012-189454号公報(特許文献1)では、ディーゼルエンジより排出される粒子状物質と同等の燃焼温度を有する粒子状物質を多量に発生させることができ、かつ、所定圧損までのPM堆積量のバラツキが小さい粒子状物質発生装置であると同時に、フィルタ再生用高熱ガス発生装置でもある装置が提案されている。具体的には、気体燃料を内部で燃焼させて粒子状物質含有ガスまたはフィルタ再生用高熱ガスを発生させる燃焼室であって、前記燃焼室に燃焼用空気を供給する空気入口と、前記燃焼室で発生した粒子状物質含有ガスまたはフィルタ再生用高熱ガスを前記燃焼室から排出するガス出口とを備えた燃焼室、前記燃焼室内に挿入され気体燃料を前記燃焼室内に連続的に供給するメインバーナ、および、前記燃焼室内に取り付けられ前記燃焼室に供給された気体燃料と燃焼用空気の混合ガスに着火するパイロットバーナを備えた粒子状物質含有ガスまたはフィルタ再生用高熱ガス発生装置が記載されている。
【0007】
特開2016-188633号公報(特許文献2)では、DPFの固体成分(PMやアッシュ)の捕集効率を、エンジンやバーナ装置を用いることなく、迅速かつ簡便に測定することができる測定装置が提案されている。具体的には、ディーゼルパティキュレートフィルタに空気を送り込む送気装置と、前記送気装置から前記ディーゼルパティキュレートフィルタに送り込まれた空気を、前記ディーゼルパティキュレートフィルタから引き抜き、外部に排出する排気装置と、前記送気装置から前記ディーゼルパティキュレートフィルタに送り込まれる空気中に、ディーゼルエンジンから排出される排ガスに含まれる固体成分を模擬した粒子状の模擬固体成分を、一定の周期で断続的に供給する模擬固体成分供給装置とを備えた、ディーゼルパティキュレートフィルタの固体成分捕集効率を測定するための測定装置が記載されている。また、特許文献2には、模擬固体成分として、パティキュレートマターを模擬したカーボンブラック(人工煤)及びアッシュを模擬した不燃性粒子を使用することも記載されている。
【0008】
また、オイル中のアッシュの添加量を増加させたり、火炎にオイルを注入したりして、オイルを燃焼させたときのアッシュの発生量を増加させて、アッシュをフィルタに加速堆積させる方法も知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2012-189454号公報
【文献】特開2016-188633号公報
【非特許文献】
【0010】
【文献】Fabian Sonntag, Peter Eilts, “Evaluation of Accelerated Ash Loading Procedures for Diesel Particulate Filters”, SAE International, 2016-01-0939, 04/05/2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載の装置は煤の発生に焦点を当てており、アッシュを発生させることは念頭においていない。
【0012】
特許文献2によれば、模擬固体成分を空気と混合させてフィルタ試験を行うため、エンジンやバーナ装置を用いることなく安全に試験を行うことができるものの、実車輌では数百℃の高温ガスがフィルタを通過するため、実車輌を使用するときの条件との乖離が大きい。また、模擬固体成分として使用する人工煤は一般には燃焼温度が290~520℃程度であり、実車輌で生成する煤の燃焼温度に比べて低温側にシフトしている。このため、特許文献2に記載の方法で模擬固体成分をフィルタに堆積させ、実車輌のように高温条件下でフィルタの圧力損失を計測すると、大部分の人工煤が燃焼してしまい、高温条件下でのフィルタの圧力損失の挙動を実車輌に近い条件で分析することができない。
【0013】
非特許文献1ではオイルの燃焼によりアッシュの発生量を制御しているため、アッシュの発生量の制御が難しい。また、アッシュの発生量にも限度があり、より迅速に加速試験を行うことができることが望まれる。更に、実車輌では、煤とアッシュが排ガス成分として一緒になり混合された状態でフィルタへ堆積するが、非特許文献1ではアッシュを加速堆積させることに力点を置いており、煤の堆積についての検討が不足している。
【0014】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであり、実車輌に近似した条件下で、煤とアッシュが一緒になり混合された状態でフィルタへ堆積する状況を短時間に模擬することを可能とするフィルタ試験装置を提供することを課題の一つとする。また、本発明はそのようなフィルタ試験装置の使用方法を提供することを課題の別の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、煤をバーナで発生させると共に、バーナからの燃焼ガス中にアッシュを模擬した不燃性粒子をフィーダから供給することが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
【0016】
本発明は一側面において、
燃焼用空気の入口、煤発生用メインバーナ、パイロットバーナ、及び燃焼ガスの生成空間を備えた燃焼部と、
アッシュを模擬した不燃性粒子を供給可能なフィーダと、
フィーダから供給される不燃性粒子を空気輸送するための装置と、
燃焼部で生成した燃焼ガスの流路内に設けられた、前記空気輸送するための装置からの不燃性粒子を同伴する空気の入口、及び前記燃焼ガスと前記空気を混合して混合ガスを生成するための混合空間を備えた混合部と、
混合部で生成した混合ガスの流路内に設けられた、混合ガス中の煤及び不燃性粒子を捕集するフィルタを設置するための空間、及びフィルタからの浄化されたガスの出口を備えたフィルタ設置部と、
を具備するフィルタ試験装置である。
【0017】
本発明に係るフィルタ試験装置の一実施形態においては、燃焼部はフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナを備える。
【0018】
本発明に係るフィルタ試験装置の別の一実施形態においては、フィーダは不燃性粒子を定量供給可能に構成されている。
【0019】
本発明に係るフィルタ試験装置の更に別の一実施形態においては、アッシュを模擬した不燃性粒子はCa、P、Zn、Mg及びSよりなる群から選択される一種以上の元素を含有する化合物を含む。
【0020】
本発明に係るフィルタ試験装置の更に別の一実施形態においては、フィルタ試験装置はフィルタの入口側及び出口側の間の圧力損失を測定するための圧力計測器を具備する。
【0021】
本発明に係るフィルタ試験装置の更に別の一実施形態においては、フィルタ試験装置は燃焼部に供給される燃焼用空気の流量制御装置を具備する。
【0022】
本発明に係るフィルタ試験装置の更に別の一実施形態においては、フィルタ試験装置は煤発生用メインバーナに供給される燃料の流量制御装置を具備する。
【0023】
本発明に係るフィルタ試験装置の更に別の一実施形態においては、
空気輸送するための装置は、フィーダから供給される不燃性粒子を輸送するための配管及び空気を輸送するための配管を備え、
前記不燃性粒子を輸送するための配管は、空気を輸送するための配管の途中に設けられたベンチュリ部に連結されており、
空気を輸送するための配管は、ベンチュリ部の下流側で、混合部における前記不燃性粒子を同伴する空気の入口に連結されている。
【0024】
本発明に係るフィルタ試験装置の更に別の一実施形態においては、混合部は冷却用空気の入口を備える。
【0025】
本発明は別の一側面において、フィルタ設置部にフィルタを設置した上でフィルタ試験装置を稼働させて混合ガスを生成し、混合ガス中の煤及び不燃性粒子をフィルタで捕集することを含む本発明に係るフィルタ試験装置の使用方法である。
【0026】
本発明に係るフィルタ試験装置の使用方法の一実施形態においては、燃焼部での煤の発生量がフィルタの体積1L当たり0.02g/min以上となるように燃焼用空気の流量及び煤発生用メインバーナへ供給する燃料の流量を制御し、且つ、フィーダからの不燃性粒子の供給量がフィルタの体積1L当たり0.05g/min以上となるように制御することを含む。
【0027】
本発明に係るフィルタ試験装置の使用方法の別の一実施形態においては、燃焼部での煤の発生量(g/min)に対するフィーダからの不燃性粒子の供給量(g/min)の比を0.5~40の範囲に制御することを含む。
【0028】
本発明に係るフィルタ試験装置の使用方法の更に別の一実施形態においては、フィルタの入口における混合ガスの温度を100~1100℃の範囲に制御することを含む。
【0029】
本発明に係るフィルタ試験装置の使用方法の更に別の一実施形態においては、燃焼部はフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナを備えており、フィーダの運転を停止した状態で、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナを用いてフィルタ再生用高熱ガスを発生させ、フィルタに捕集された煤を燃焼することを含む。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一実施形態によれば、実車輌により近似した条件下で、煤とアッシュが一緒になり混合された状態でフィルタへ堆積する状況を短時間に模擬することを可能とするフィルタ試験装置が提供される。
本発明の一実施形態によれば、フィルタ特性として重要な煤とアッシュが同時に堆積した時の圧力損失を実車輌に近似した条件下(例えば500℃以上の温度)で測定可能である。
本発明の一実施形態によれば、バーナでの煤発生量及びフィーダからの不燃粒子供給量をそれぞれ独立して制御できるので、燃焼ガスに含まれる煤とアッシュの割合を任意に設定できる。このため、実車輌に近似した煤及びアッシュのフィルタへの堆積状態を容易に達成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係るフィルタ試験装置の模式的な側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るフィルタ試験装置の燃焼部の模式的な側面図である。
図3】アッシュを模擬した不燃性粒子を供給可能なフィーダの構造例を模式的に示す斜視図である。
図4】フィーダから供給される不燃性粒子を空気輸送するための装置の構造例を示す模式的な側面図である。
図5】DPFの一例を模式的に示す斜視図である。
図6】DPFの一例をセルの延びる方向に直交する方向から観察したときの模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0033】
(1.試験装置)
図1には、本発明の一実施形態に係るフィルタ試験装置の模式的な側面図が記載されている。
本実施形態に係るフィルタ試験装置100は、
燃焼用空気の入口112、煤発生用メインバーナ114、パイロットバーナ116、及び燃焼ガスの生成空間115を備えた燃焼部110と、
アッシュを模擬した不燃性粒子を供給可能なフィーダ120と、
フィーダ120から供給される不燃性粒子を空気輸送するための装置130と、
燃焼部110で生成した燃焼ガスの流路内に設けられた、前記空気輸送するための装置130からの不燃性粒子を同伴する空気の入口142、及び前記燃焼ガスと前記空気を混合して混合ガスを生成するための混合空間144を備えた混合部140と、
混合部140で生成した混合ガスの流路内に設けられた、混合ガス中の煤及び不燃性粒子を捕集するフィルタ152を設置するための空間154、及びフィルタ152からの浄化されたガスの出口156を備えたフィルタ設置部150と、
を具備する。
【0034】
(1.1 燃焼部)
一実施形態において、燃焼部110は、燃焼用空気の入口112、煤発生用メインバーナ114、パイロットバーナ116、及び燃焼ガスの生成空間115を備える。燃焼部110を区画する壁の材質としては、限定的ではないが、ステンレス鋼、ニッケル合金等を挙げることができる。煤発生用メインバーナ114に燃料が供給され、また、燃焼用空気が燃焼用空気の入口112から燃焼部110内に供給される。パイロットバーナ116には、燃料及び空気を供給することができる。燃焼ガスの生成空間115では、煤発生用メインバーナ114に供給される燃料が燃焼して燃焼ガスが発生する。燃焼ガスは煤を含有することができる。
【0035】
パイロットバーナ116は煤発生用メインバーナ114に点火する目的で主に使用される。煤発生用メインバーナ114に着火後にパイロットバーナの運転を停止してもよいが、煤発生用メインバーナ着火後もパイロットバーナの運転を継続してもよい。煤発生用メインバーナ114に着火後にパイロットバーナの運転を停止する場合、煤発生用メインバーナ114に着火してから、10秒以上経過後、例えば10~20秒経過後に、パイロットバーナ116を消火することが好ましい。これによって、安定した燃焼状態で煤を効率よく発生することができる。10秒以上経過前にパイロットバーナ116を消火すると、煤発生用メインバーナ114がその後消えることがある。
【0036】
一実施形態において、燃焼部110は、全体形状を筒状とすることができ、典型的には円筒状とすることができる。燃焼用空気の入口112を筒状燃焼部の一端に設け、筒状燃焼部110内で発生した燃焼ガスの出口113を筒状燃焼部の他端に設けることができる。燃焼部を筒状(典型的には円筒状)とする場合、図1に示すように、両端がテーパー状に縮径していることが好ましい。両端をテーパー状に縮径させることで、燃焼用空気及び燃焼ガスの流れがスムーズとなり、煤の発生量を多くすることができ、且つ、圧損を低く抑えることができる。また、燃焼用空気の入口112と燃焼ガスの出口113には、図1に示すように、他の部材や配管との接合のために、フランジ部(鍔部)119が形成されていることが好ましい。
【0037】
燃焼部110の大きさは、特に限定されないが、燃焼用空気により、燃料を燃焼させ、フィルタ試験を短時間で行うのに適当な煤を生成させることができる大きさであることが好ましい。例えば、GPF及びDPFの一般的な大きさの範囲からみて、燃焼部が円筒状であり、燃焼用空気の流量が0.04Nm3/分~0.25Nm3/分であり、煤の発生量(濃度)が0.25~0.75g/Nm3必要となる場合、燃焼部の内径(直径)は130~250mmであることが好ましく、150~200mmであることがより好ましい。また、燃焼部の容積は、6,000~35,000cm3であることが好ましく、6,000~30,000cm3であることがより好ましい。燃焼部の内径が130mmより小さいと、煤の生成量が少なくなることがある。また、燃焼部の内径が250mmより大きいと燃焼部内に均一な分布で燃焼用空気を流すための最小流量が制限されることがある。燃焼部の容積が、6,000cm3より小さいと燃焼部の壁が高温となり、燃焼部が酸化劣化したり、周辺への熱遮蔽が必要となったりすることがある。また、燃焼部の容積が、35,000cm3より大きいと、フィルタ試験装置が大きくなるため、試験装置の製作コストや運転コストが大きくなり、また、設置スペースを大きくする必要が生じることがある。
【0038】
(1.2 煤発生用メインバーナ)
煤発生用メインバーナ114により、煤を含有する燃焼ガスを生成することができる。煤発生用メインバーナ114の形状には特に制約はないが、例えば筒状にすることができ、典型的には円筒状にすることができる。
【0039】
燃焼ガス中の煤の含有量は、例えば、燃焼部110に供給される燃焼用空気の流量及び煤発生用メインバーナ114に供給される燃料の流量を調整することで制御可能である。従って、本発明の一実施形態においては、フィルタ試験装置100は燃焼部110に供給される燃焼用空気の流量制御装置103を備えることができる。また、本発明の一実施形態においては、フィルタ試験装置は煤発生用メインバーナ114に供給される燃料の流量制御装置106を備えることができる。燃焼用空気の流量制御装置103又は燃料の流量制御装置106としては、空気又は燃料の流量を制御するというそれぞれの目的が達成できれば特段の制限はないが、例えば、減圧弁及び流量制御バルブが挙げられる。流量制御バルブの開閉は手動で行ってもよいし、空気式、電気式、油圧式、ソレノイド式等の電磁バルブ及び電動バルブ等のバルブアクチュエータを介して行ってもよい。流量制御バルブの制御はマスフローコントローラを使用して行ってもよい。燃焼用空気の流量制御装置103及び燃料の流量制御装置106は、それぞれ一つを使用してもよいし、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
煤発生用メインバーナ114による燃焼部での煤の発生量は、短時間で実車輌の寿命走行距離に相当する分のアッシュ堆積を模擬するという観点から、フィルタの体積1L当たり0.02g/min以上となるように燃焼用空気の流量及び煤発生用メインバーナへ供給する燃料の流量を制御することが好ましい。煤の発生量は、フィルタの体積1L当たり0.02g/min以上となるように燃焼用空気の流量及び煤発生用メインバーナへ供給する燃料の流量を制御することがより好ましく、フィルタの体積1L当たり0.05g/min以上となるように燃焼用空気の流量及び煤発生用メインバーナへ供給する燃料の流量を制御することが更により好ましい。煤の発生量の上限には特に制約はないが、過度に大きくするとフィルタの入口が煤で閉塞してしまい、フィルタ内部に煤が堆積しにくくなるので、フィルタの体積1L当たり1g/min以下であることが好ましく、フィルタの体積1L当たり0.5g/min以下であることがより好ましい。ここで、フィルタの体積とはフィルタの外形寸法から測定した値を指し、フィルタ内部の空間部分は考慮しない。
【0041】
燃焼ガス中の煤の含有量は、煤発生用メインバーナ114の燃料供給孔117aの開口径の大きさによっても変化させることができる。具体的には、煤発生用メインバーナ114に、開口径の大きさ燃料供給孔117aを使用すると燃焼ガス中の煤の量が増加しやすく、開口径の小さな燃料供給孔117aを使用すると燃焼ガス中の煤の量が減少しやすい。燃焼ガス中の煤の含有量を高めるという点から、燃料供給孔117aの開口径は、4mm以上であることが好ましく、6mm以上であることがより好ましい。但し、燃料供給孔117aの開口径が大きすぎても煤の発生量が低下する場合があるため、燃料供給孔117aの開口径は、14mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましい。ここで、燃料供給孔117aの開口径は円相当径を指す。
【0042】
燃焼ガス中の煤の含有量は、燃料供給孔117aの個数によっても変化させることができる。燃料供給孔117aの個数は少なくし、燃料を分散させずに集中して燃焼部110内に供給したほうが、煤の発生量が多くなる傾向にある。従って、燃焼ガス中の煤の含有量を増加させるという観点からは、一つの煤発生用メインバーナ114に当たりに設置される燃料供給孔117aの個数は2つ以下であるのが好ましく、1つであるのがより好ましい。
【0043】
一般には、燃焼ガス中の煤の含有量を多くするには燃料が不完全燃焼しやすいように空気過剰率を低く設定すればよい。しかしながら、実車輌の排ガス中に含まれる煤は燃焼温度が500℃以上と比較的高温であることが多い。そこで、実車輌に近似した燃焼温度の高い煤を発生させるという観点からは、煤発生用メインバーナ114を運転中、燃焼部110内での平均空気過剰率を0.9~2.0、好ましくは1.0~1.5の範囲で燃焼させることにより、燃焼温度の高い煤を生成させることができる。例示的には、燃焼温度が500~560℃の煤を生成させることができる。一実施形態において、煤は炭素を90質量%以上含有することができる。煤は炭素以外にSOF(Soluble Organic Fraction:可溶性有機成分)分等を含有することがある。
【0044】
燃焼部110内での平均空気過剰率は、燃焼用空気の入口112から供給される燃焼用空気全体の流量(Nm3/分)と煤発生用メインバーナ114に供給している燃料の流量(Nm3/分)と、を用いて算出する。
【0045】
また、煤発生用メインバーナ114が配置されている位置は、パイロットバーナ116が配置されている位置から下流側(燃焼用空気の流れ方向における下流側)に向かって100mmの位置から、パイロットバーナ116が配置されている位置から上流側(燃焼用空気の流れ方向における上流側)に向かって200mmの位置までの範囲内にあることが好ましい。煤発生用メインバーナ114が配置されている位置が、パイロットバーナ116が配置されている位置から下流側に向かって100mmの位置から、パイロットバーナ116が配置されている位置から上流側に向かって100mmの位置までの範囲内にあることがより好ましい。
【0046】
煤発生用メインバーナ114を運転させる際に燃焼部110に供給する燃焼用空気は、送気装置101から空気配管102を通して供給することができる。送気装置101としては、限定的ではないが、ドライエアー供給装置、送風機、コンプレッサ等が好適に使用できる。コンプレッサによって空気を加圧して生成させることが好ましい。そして、流量制御装置103によって流量制御された燃焼用空気(圧縮空気)が、燃焼用空気の入口112に供給されることが好ましい。これにより、燃焼用空気の流速が高くなり、燃焼温度の高い煤を生成しやすくなる。具体的には、燃焼用空気の入口112における燃焼用空気の平均流速が0.1m/秒以上であることが好ましく、0.5m/秒以上であることがより好ましい。また、煤の発生量を多くするという観点からは、燃焼用空気の入口112における燃焼用空気の平均流速が4.0m/秒以下であることが好ましく、2.0m/秒以下であることがより好ましい。平均流速は、空気の供給流量(Nm3/秒)÷入口の断面積(m2)により算出される。
【0047】
図2を参照すると、図2には本発明の一実施形態に係るフィルタ試験装置の燃焼部の模式的な側面図が記載されている。好ましい一実施形態において、煤発生用メインバーナ114は筒状(典型的には円筒状)であり、その中心軸が燃焼用空気の流れる方向に直交するように、燃焼部110内部に挿入される。煤発生用メインバーナ114の挿入方向は特に制限はないが、例えば燃焼部110の横側面から水平に挿入することができる。図2中、煤発生用メインバーナ114の中心軸を起点とした矢印は、燃料供給孔の向き、すなわち燃料の噴射方向を示している。燃料供給孔の向きは、燃焼用空気の流れ方向に逆らう向きに設定するほうが、燃焼温度の高い煤を多量に発生することができる。具体的には、燃焼温度の高い煤を多量に発生させるには、燃料供給孔の向きと、燃焼用空気の流れ方向のなす角度Q1が、90°~180°であることが好ましく、135°~180°であることがより好ましい。
【0048】
(1.3 フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ)
図1を参照すると、燃焼部110は更に、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118を備えてもよい。フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118により高温の燃焼ガスを発生させ、高温の燃焼ガスを利用してフィルタ内部に蓄積した煤を燃焼除去することができる。従って、フィルタ試験装置100の使用方法の一実施形態においては、フィーダの運転を停止した状態で、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナを用いてフィルタ再生用高熱ガスを発生させ、フィルタに捕集された煤を燃焼することを含む。フィルタ再生用高熱ガス発生用バーナの形状には特に制約はないが、例えば筒状にすることができ、典型的には円筒状にすることができる。
【0049】
先述した煤発生用メインバーナ114では、燃焼ガス温度は100~300℃程度とすることができ、典型的には180~250℃程度とすることができる。一方、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118では、生成する燃焼ガス温度を500℃以上とすることができる。フィルタに蓄積された煤を除去するという観点からは、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118で生成する燃焼ガス温度は600℃以上とすることがより好ましい。フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118の燃焼ガス温度の上限は特に設定されないが、安全上の理由から、1000℃以下とすることが好ましい。
【0050】
燃焼ガスの温度は、例えば、燃焼部110に供給される燃焼用空気の流量及びフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118に供給される燃料の流量を調整することで制御可能である。例えば燃焼用空気の流量を増やしたり、燃料の流量を増やしたりすることで燃焼ガスの温度を高くすることができる。従って、本発明の一実施形態においては、フィルタ試験装置100は燃焼部110に供給される燃焼用空気の流量制御装置103を備えることができる。また、本発明の一実施形態においては、フィルタ試験装置100はフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118に供給される燃料の流量制御装置106を備えることができる。燃焼用空気の流量制御装置103又は燃料の流量制御装置106としては、空気又は燃料の流量を制御するという目的が達成できれば特段の制限はないが、例えば、減圧弁及び流量制御バルブが挙げられる。流量制御バルブの開閉は手動で行ってもよいし、空気式、電気式、油圧式、ソレノイド式等の電磁バルブ及び電動バルブ等のバルブアクチュエータを介して行ってもよい。流量制御バルブの制御はマスフローコントローラを使用して行ってもよい。燃焼用空気の流量制御装置103は、一つの流量制御装置を使用してもよいし、二つ以上の流量制御装置を組み合わせて使用してもよい。同様に、燃料の流量制御装置106も、一つの流量制御装置を使用してもよいし、二つ以上の流量制御装置を組み合わせて使用してもよい。
【0051】
フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118では、煤発生用メインバーナ114と異なり、燃焼ガス中の煤の含有量が少ないほうが望ましい。煤の含有量はフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118の燃料供給孔117bの開口径によって変化させることができる。具体的には、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118に、開口径の小さな燃料供給孔117bを形成すると燃焼ガス中の煤の量が減少しやすい。燃焼ガス中の煤の含有量を低減するという観点から、燃料供給孔117bの開口径は、6mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることが更により好ましい。ここで、燃料供給孔117bの開口径は円相当径を指す。
【0052】
燃焼ガス中の煤の含有量は、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118の燃料供給孔117bの個数によっても変化させることができる。燃料供給孔117bの個数を多くし、燃料を分散させて燃焼部110内に供給したほうが、煤の発生量が少なくなる傾向にある。従って、燃焼ガス中の煤の含有量を減少させるという観点からは、一つのフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118に当たりに設置される燃料供給孔117bの個数は5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上が更により好ましい。また、燃料供給孔(燃料噴射口)117bを複数設置するときは、一列に並べる方が、燃焼安定性、煤の抑制の観点から、好ましい。
【0053】
燃焼ガス中の煤の含有量を少なくするという観点では、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118を運転中、燃焼部110内での平均空気過剰率は好ましくは2~10であり、より好ましくは3~8である。燃焼部110内での平均空気過剰率は、燃焼用空気の入口112から供給される燃焼用空気全体の流量(Nm3/分)とフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118に供給している燃料の流量(Nm3/分)と、を用いて算出する。
【0054】
また、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118が配置されている位置は、パイロットバーナ116が配置されている位置から下流側(燃焼用空気の流れ方向における下流側)に向かって100mmの位置から、パイロットバーナ116が配置されている位置から上流側(燃焼用空気の流れ方向における上流側)に向かって200mmの位置までの範囲内にあることが好ましい。フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118が配置されている位置が、パイロットバーナ116が配置されている位置から下流側に向かって100mmの位置から、パイロットバーナ116が配置されている位置から上流側に向かって100mmの位置までの範囲内にあることがより好ましい。
【0055】
フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118を運転させる際に燃焼部110に供給する燃焼用空気も、コンプレッサによって空気を加圧して生成させることが好ましい。そして、流量制御装置103によって調整された燃焼用空気(圧縮空気)が、燃焼用空気の入口112に供給されることが好ましい。煤の発生量を少なくするという観点からは、燃焼用空気の入口112における燃焼用空気の平均流速が1.0m/秒以上であることが好ましく、4.0m/秒以上であることがより好ましい。また、安定した燃焼を確保するという観点からは、燃焼用空気の入口112における燃焼用空気の平均流速が40.0m/秒以下であることが好ましく、20.0m/秒以下であることがより好ましい。平均流速は、空気の供給流量(Nm3/秒)÷入口の断面積(m2)により算出される。
【0056】
図2を参照すると、図2には本発明の一実施形態に係るフィルタ試験装置の燃焼部の模式的な側面図が記載されている。好ましい一実施形態において、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118は筒状(典型的には円筒状)であり、その中心軸が燃焼用空気の流れる方向に直交するように、燃焼部110内部に挿入される。フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118の挿入方向は特に制限はないが、例えば燃焼部110の横側面から水平に挿入することができる。図2中、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118の中心軸を起点とした矢印は、燃料供給孔の向き、すなわち燃料の噴射方向を示している。燃料供給孔の向きは、燃焼用空気の流れ方向と同じ方向に設定するほうが、煤の発生を抑制することができる。具体的には、煤の発生を抑制するには、燃料供給孔の向きと、燃焼用空気の流れ方向(図示の態様では筒状燃焼部の中心軸方向)のなす角度Q2が、0°~90°であることが好ましく、0°~45°であることがより好ましい。
【0057】
燃焼部110は、煤発生用メインバーナ114及びフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118をそれぞれ少なくとも一つ設けるのが好ましい。しかしながら、煤発生用メインバーナ114及びフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118の何れか又は双方を複数設けることも可能である。さらに、煤発生用メインバーナ114とフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118とを1つのメインバーナで共用することも可能である。この場合、燃料供給孔の向きを、煤を発生させるときと、高熱ガスを発生させるときとの間で、切り替え可能に構成することもできる。さらに、メインバーナの燃料供給孔の開口径を、煤を発生させるときと、フィルタ再生用高熱ガスを発生させるときとの間で、切り替え可能に構成することもできる。
【0058】
煤発生用メインバーナ114、パイロットバーナ116及びフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118の燃料としては、液体燃料及び気体燃料が使用できるが、取り扱い易さ及び安全面から、気体燃料が好ましい。気体燃料としては、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、ブタンガス等が挙げられる。燃料は一種類を単独使用してもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。煤発生用メインバーナ114、パイロットバーナ116及びフィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ118を運転させる際に燃焼部110に供給する燃料は、燃料供給装置104から燃料配管105を通して供給することができる。燃料供給装置104としては、限定的ではないが、燃料ボンベ、燃料供給ポンプ等が好適に使用できる。
【0059】
(1.4 フィーダ)
図1を参照すると、フィーダ120は一実施形態において、アッシュを模擬した不燃性粒子を供給可能である。実車輌において、エンジンオイル由来のアッシュがフィルタに堆積する速度は非常に緩やかであるため、フィーダ120を用いて予め用意したアッシュを模擬した不燃性粒子を供給することが、実車輌に近似したアッシュの堆積状態を短時間で模擬するのに有効である。
【0060】
アッシュを模擬した不燃性粒子は一実施形態において、Ca、P、Zn、Mg及びSよりなる群から選択される一種以上の元素を含有する化合物を含む。アッシュを模擬した不燃性粒子の具体例としては、限定的ではないが、硫酸カルシウム粒子、炭酸カルシウム粒子、リン酸塩、硫酸亜鉛が挙げられる。これらの中でも、実際にエンジンから排出される排ガスに含まれるアッシュの成分に類似しているという理由から、硫酸カルシウム、炭酸カルシウムが好ましい。不燃性粒子は一種類を単独使用してもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0061】
フィーダ120によって供給される不燃性粒子には、実際にエンジンから排出される排ガスに含まれる固体成分の粒径と同程度の粒径を有するものを用いることが好ましい。従って、不燃性粒子の平均粒径は、100~100000nmであることが好ましく、100~1000nmがより好ましい。このような不燃性粒子を用いることにより、実際にエンジンから排出される排ガスの状態をより正確に模擬することが可能となる。ここで、不燃性粒子の平均粒径は、光散乱法を測定原理とするレーザー回折/散乱式粒度測定装置により体積基準の累積粒度分布を測定したときの50%粒子径のことである。
【0062】
アッシュを模擬した不燃性粒子を供給可能である限り、フィーダ120の構成に特に制限はないが、フィーダ120は不燃性粒子を定量供給可能に構成されていることが、アッシュの堆積速度を管理するという点で好ましい。フィーダ120は一実施形態において、不燃性粒子を保持するための収容部121と、収容部121内の不燃性粒子の排出機構122とを備える。排出機構122はモータ等の駆動装置によって作動させることができる。フィーダ120からの不燃性粒子の排出速度は例えばモータ等の駆動装置をインバータ制御することにより制御することができる。
【0063】
短時間でフィルタにアッシュを堆積させるという観点からは、フィーダからの不燃性粒子の供給量を、フィルタの体積1L当たり0.05g/min以上となるように、好ましくは1g/min以上となるように、制御することが有利である。また、フィーダからの不燃性粒子の供給量の上限には特に制約はないが、過度に大きくするとフィルタの入口が不燃性粒子で閉塞してしまい、フィルタ内部に不燃性粒子が堆積しにくくなるのでフィーダからの不燃性粒子の供給量を、フィルタの体積1L当たり30g/min以下となるように、好ましくは15g/min以下となるように、制御することが有利である。
【0064】
そして、フィルタに堆積する煤及びアッシュの堆積状態を、実車輌に近似した煤及びアッシュの堆積状態に近づけるという観点からは、燃焼部での煤の発生量(g/min)に対するフィーダからの不燃性粒子の供給量(g/min)の比を0.5~40の範囲に制御することが好ましく、5~15の範囲に制御することがより好ましい。
【0065】
図3には、アッシュを模擬した不燃性粒子を供給可能なフィーダ300の構造例を模式的に示す斜視図が記載されている。フィーダ300は、収容容器311と、収容容器311の下方に設置され、鉛直方向に延びる回転軸を中心にして一定方向に回転可能な羽根車312とを備える。収容容器311は、アッシュを模擬した不燃性粒子305を収容するためのものであり、底部に孔315を設けることができる。収容容器311の底部には鉛直方向に延びる回転軸を中心にして一定方向に回転可能なすり切り羽根303が設置されている。羽根車312は、孔315の下方に配置され、モータ等の駆動装置(図示せず)によって、一定方向(例えば、時計回り)に回転することができる。フィーダ300は、羽根車312の回転速度を制御可能なコントローラを有することが好ましい。羽根車312の回転速度を変化させることにより、不燃性粒子305のフィーダ300からの供給速度を変化させることが可能である。
【0066】
羽根車312には、隣接する羽根313同士の間に、平面視略U字状の受容空間314を形成することができる。羽根車312が回転する過程において、受容空間314が、収容容器311の孔315の直下の位置Aにあるときに、収容容器311に収容されている不燃性粒子305が、底部の孔315を通じて重力により落下し、この受容空間314に収まる。この際、すり切り羽根303が、受容空間314の上を回転しながら通過することで、不燃性粒子305のオーバーフロー分がすり切られる。その後、羽根車312の回転により、この受容空間314が、出口306の位置Cに到達したときに、受容空間314に収まっていた不燃性粒子305が、重力により下方に落下し、フィーダ300から流出し、後述する空気輸送するための装置130に供給される。
【0067】
受容空間314に収まっていた不燃性粒子305が落下してから、次の受容空間314に収まっていた不燃性粒子305が落下するまでには、一定の時間を要する。つまり、ある一つの受容空間314が出口306の位置Cに到達した時点から、当該一つの受容空間314の1つ手前の位置Bにある受容空間314が上記位置Cに到達し、その後、受容空間314に収まっていた不燃性粒子305が落下する時点までには、一定の時間を要する。このため、図3に示すフィーダ300からの不燃性粒子305の供給が、一定の周期で断続的に行われることになる。なお、位置Bは、羽根車312の回転方向において、位置Cの1つ手前の位置である。
【0068】
(1.5 フィーダから供給される不燃性粒子を空気輸送するための装置)
図1を参照すると、フィルタ試験装置100は一実施形態において、フィーダ120から供給される不燃性粒子を空気輸送するための装置130を具備する。空気輸送するための装置130としては、フィーダ120から供給される不燃性粒子を、混合部140へ空気輸送することができれば特に制限はなく、圧送式及び吸引式の何れを採用してもよいが、エンジンからの排ガスを模擬するという観点から、送気装置134を用いた圧送式により空気輸送可能な装置とすることが好ましい。
【0069】
空気輸送するための装置130は一実施形態において、空気の流量制御装置135を備えることができる。空気の流量制御装置135としては、空気の流量を制御するという目的が達成できれば特段の制限はないが、例えば、減圧弁及び流量制御バルブが挙げられる。流量制御バルブの開閉は手動で行ってもよいし、空気式、電気式、油圧式、ソレノイド式等の電磁バルブ及び電動バルブ等のバルブアクチュエータを介して行ってもよい。流量制御バルブの制御はマスフローコントローラを使用して行ってもよい。空気の流量制御装置135は、それぞれ一つを使用してもよいし、二つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0070】
空気輸送するための装置130から供給する空気の圧力は、不燃性粒子を円滑に空気輸送するという観点から、0.05MPaG以上とすることが好ましく、0.1MPaG以上とすることがより好ましい。空気輸送するための装置130から供給する空気の圧力は、過度に大きくする必要はないことから、0.5MPaG以下とすることが好ましく、0.3MPaG以下とすることがより好ましい。
【0071】
図4には、フィーダから供給される不燃性粒子を空気輸送するための装置400の構造例が模式的に記載されている。空気輸送するための装置400は、フィーダから供給される不燃性粒子を輸送するための配管402、空気を輸送するための配管404、空気を輸送するための配管404を流れる空気の流量制御装置407及び空気を配管404に送り込むための送気装置408を備える。送気装置408としては、限定的ではないが、ドライエアー供給装置、送風機、コンプレッサ等が好適に使用できる。
【0072】
不燃性粒子を輸送するための配管402は、空気を輸送するための配管404の途中に設けられたベンチュリ部406に連結されている。ベンチュリ部406では空気を輸送するための配管404が縮径しており、ベンチュリ効果によって空気の流速が増加し、低圧が発生する。これにより、不燃性粒子を輸送するための配管402を流れる不燃性粒子が空気を輸送するための配管404に吸引導入される。空気を輸送するための配管404は、ベンチュリ部406の下流側で、混合部140における不燃性粒子を同伴する空気の入口142に連結している。よって、ベンチュリ部406で空気と不燃性粒子が混合することで生成した不燃性粒子を同伴する空気は、配管404内を下流側に進み、空気の入口142から混合部140内に供給される。
【0073】
(1.6 混合部)
図1を参照すると、フィルタ試験装置100は一実施形態において、空気輸送するための装置130からの不燃性粒子を同伴する空気の入口142、及び前記燃焼ガスと前記空気を混合して混合ガスを生成するための混合空間144を備えた混合部140を具備する。混合部140を区画する壁の材質としては、限定的ではないが、ステンレス鋼、ニッケル合金等を挙げることができる。一実施形態において、混合部140は、全体形状を筒状とすることができ、典型的には円筒状とすることができる。この場合、燃焼部で生成した燃焼ガスの入口146を筒状混合部の一端(一方の底面側)に設け、筒状混合部140内で発生した混合ガスの出口148を筒状混合部の他端(他方の底面側)に設けることができる。また、不燃性粒子を同伴する空気の入口142は筒状混合部の側面に設けることができる。
【0074】
また、燃焼ガスの入口146と混合ガスの出口148には、図1に示すように、他の部材や配管との接合のために、フランジ部(鍔部)147が形成されていることが好ましい。
【0075】
一実施形態において、混合部140は冷却用空気の入口149を備えることができる。冷却用空気を混合部140に供給することで、混合部140の温度を低下させることができる。また、冷却用空気の入口149に供給する冷却用空気の流量を調整することで、混合部140内の温度を調整することもできる。また、フィルタへ送り込むガスの総流量を調整することもできる。混合部140が筒状である場合、冷却用空気の入口149は混合部140の側面に設けることができる。冷却用空気の入口149は、空気輸送するための装置130からの不燃性粒子を同伴する空気の入口142よりも、燃焼ガスの流れ方向を基準に上流側又は下流側にずらして設置することが、不燃性粒子の流れの乱れを防止するという理由により好ましい。
【0076】
混合部140に供給する冷却用空気は、送気装置101から空気配管102を通して供給することができる。送気装置101としては、限定的ではないが、ドライエアー供給装置、送風機、コンプレッサ等が好適に使用できる。冷却用空気のために個別に送気装置101を設置して独立した配管系を形成してもよいが、燃焼用空気と共通の送気装置101を利用し、空気配管102を分岐することで冷却用空気のための配管系を形成するのが経済的である。冷却用空気の配管途中には流量制御装置103を設置することができる。冷却用空気の流量制御装置103は、燃焼用空気の説明の中で述べた流量制御装置103と同様であるため、詳細な説明を割愛する。
【0077】
(1.7 フィルタ設置部)
図1を参照すると、フィルタ試験装置100は一実施形態において、混合ガス中の煤及び不燃性粒子を捕集するフィルタ152を設置するための空間154、及びフィルタ152からの浄化されたガスの出口156を備えたフィルタ設置部150を具備する。フィルタ設置部150は混合部140で生成した混合ガスの流路内に設けることができる。フィルタ設置部150を区画する壁の材質としては、限定的ではないが、ステンレス鋼、ニッケル合金等を挙げることができる。フィルタ設置部150にフィルタ152を設置した上でフィルタ試験装置100を稼働させて混合ガスを生成させると、混合部140からの煤及びアッシュを含む混合ガスは、フィルタ設置部150に設置されたフィルタ152を通過する。混合ガス中の煤及び不燃性粒子はフィルタ152で捕集されるので、フィルタ152の出口からは、フィルタの性能に応じて浄化されたガスが排出される。浄化されたガスは、ダクト等の排気系統に流すことができる。
【0078】
フィルタ設置部150は一実施形態において、全体形状を筒状とすることができ、典型的には円筒状とすることができる。この場合、混合部140で生成した混合ガスの入口155を筒状フィルタ設置部の一端(一方の底面側)に設け、フィルタを通過した後の浄化されたガスの出口156を筒状混合部の他端(他方の底面側)に設けることができる。燃焼部110、混合部140及びフィルタ設置部150が共に筒状である場合、これらを同軸上に配列することができる。
【0079】
一実施形態において、フィルタ設置部150には、フィルタ152の入口側及び出口側の間の圧力損失を測定するための圧力計測器158を設置してもよい。圧力損失を測定することは、例えばフィルタの経時的な性能変化を評価及び分析するのに有用である。
【0080】
フィルタ152の入口における混合ガスの温度は、燃焼部で生成した燃焼ガスの温度に依存するところ、フィルタ152の入口における混合ガスの温度は、例えば100~1100℃の範囲に制御することができる。本発明に係るフィルタ試験装置の一実施形態においては、先述したように燃焼温度が500℃以上の煤を生成することが可能である。実車輌においても同様の燃焼温度をもつ煤が生成する。このため、燃焼温度が500℃以上の煤を生成することで、実車輌に近似した状態でフィルタの圧力損失を測定することも可能である。
【0081】
また、混合ガスの入口155と浄化されたガスの出口156には、図1に示すように、他の部材や配管との接合のために、フランジ部(鍔部)157が形成されていることが好ましい。
【0082】
(1.8 フィルタ)
本発明に係るフィルタ試験装置の試験対象となるフィルタ152としては、ガス中の煤及びアッシュを捕集可能な構造を有することができれば特に制限はない。典型的なフィルタとして、燃焼装置の排ガスラインに装着される煤及びアッシュを捕集するGPF(Gasoline Particulate Filter)及びDPF(Diesel Particulate Filter)が挙げられる。GPF及びDPFは一実施形態において、第一底面から第二底面まで延び、第一底面が開口して第二底面が目封止された複数の第1セルと、第一底面から第二底面まで延び、第二底面が目封止されて第一底面が開口する複数の第2セルと、第1セル及び第2セルを区画形成する多孔質の隔壁とを有する柱状のハニカム構造部を備える。
【0083】
図5には、DPFの一例を模式的に示す斜視図が記載されている。図6には、DPFの一例をセルの延びる方向に直交する方向から観察したときの模式的な断面図が記載されている。図示のフィルタ500は外周側壁502と、外周側壁502の内側に配設され、第一底面504から第二底面506まで延び、第一底面504が開口して第二底面506が目封止された複数の第1セル508と、外周側壁502の内側に配設され、第一底面504から第二底面506まで延び、第一底面504が目封止されて第二底面506が開口する複数の第2セル510とを備える。また、図示のフィルタ500においては、第1セル508及び第2セル510を区画形成する多孔質の隔壁512を備えており、第1セル508及び第2セル510が隔壁512を挟んで交互に隣接配置されている。
【0084】
フィルタ500の上流側の第一底面504に煤及びアッシュを含む燃焼ガスが供給されると、燃焼ガスは第1セル508に導入されて第1セル508内を下流に向かって進む。第1セル508は下流側の第二底面506が目封止されているため、燃焼ガスは第1セル508と第2セル510を区画する多孔質の隔壁512を透過して第2セル510に流入する。煤及びアッシュは隔壁512を通過できないため、第1セル508内に捕集され、堆積する。煤及びアッシュが除去された後、第2セル510に流入した清浄な排ガスは第2セル510内を下流に向かって進み、下流側の第二底面506から流出する。
【0085】
フィルタ152の材質としては、限定的ではないが、多孔質セラミックスを挙げることができる。セラミックスとしては、コージェライト、ムライト、ジルコン、チタン酸アルミニウム、炭化珪素、ジルコニア、スピネル、インディアライト、サフィリン、コランダム、チタニア等が挙げられる。そして、これらのセラミックスは、1種を単独で含有するものでもよいし、2種以上を同時に含有するものであってもよい。
【0086】
フィルタ152の外周側壁502とフィルタ設置部150の内壁の間に隙間が生じないように、フィルタ152の外周側壁502をキャニングすることが好ましい。
【実施例
【0087】
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0088】
(1.フィルタの用意)
試験用に以下の仕様のDPFを用意した。
材質:コージェライト製
形状:円柱状
寸法:直径118.4mm×高さ127.0mm(体積:1397439mm3
セル密度:34セル/cm2
隔壁の厚さ:150μm
セル形状(セルの長さ方向に垂直な断面におけるセルの断面形状):正方形
隔壁の気孔率:48%
隔壁の平均細孔径:12μm
構造:第一底面から第二底面まで延び、第一底面が開口して第二底面が目封止された複数の第1セルと、第一底面から第二底面まで延び、第二底面が目封止されて第一底面が開口する複数の第2セルと、第1セル及び第2セルを区画形成する多孔質の隔壁とを有する柱状のハニカム構造部を有する。第1セル及び第2セルは隔壁を挟んで交互に隣接配置されており、各底面は市松模様状を呈する。
【0089】
(2.試験装置の構成)
図1に示す構造のフィルタ試験装置を作製した。各部の仕様は以下の通りである。燃焼部、混合部及びフィルタ設置部は略円筒状であり、これらを同軸上に配列した。
【0090】
(3.フィルタへの煤及び不燃性粒子の蓄積)
フィルタ設置部にフィルタを設置した上でフィルタ試験装置の煤発生用メインバーナ、フィーダ、及び不燃性粒子を空気輸送するための装置を以下の条件で稼働させて混合ガスを生成し、混合ガス中の煤及び不燃性粒子をフィルタで捕集した。
<煤発生用メインバーナ>
燃焼用空気:コンプレッサからの圧縮空気をマスフローコントローラを用いて1.5Nm3/分の流量で供給、平均流速1.6m/秒
燃料:ボンベからのプロパンガスをマスフローコントローラを用いて0.01Nm3/分の流量で供給
平均空気過剰率:0.9
フィルタ入口における燃焼ガス温度:200℃
<フィーダ>
構造:粉体定量供給装置(株式会社アイシンナノテクノロジーズ社製マイクロンフィーダー TF-70-CT)
不燃性粒子の種類:Ca化合物
不燃性粒子の平均粒径:40μm
不燃性粒子の供給量:0.5g/min
不燃性粒子の供給量制御方法:粉体を供給する歯車の回転数をモータでインバータ制御(不燃性粒子を空気輸送するための装置)
方式:圧送式(ベンチュリ効果を利用して不燃性粒子を空気を輸送するための配管に導入)
空気圧力:0.1MPaG
試験時間は1Hrとした。試験終了後、フィルタに蓄積した煤及び不燃性粒子の重量を、試験前後のフィルタの重量差から求めたところ、30gであった。このうち、不燃性粒子の重量は、29gであった。不燃性粒子の重量はガソリン車の走行寿命時の不燃性粒子の堆積量に相当する。また、不燃性粒子の供給量に基づいて算出した不燃性粒子の重量を差し引き、煤の重量を求めた。その結果、フィルタの体積1L当たり平均して0.02g/minの煤が蓄積したことが確認された。
【0091】
(4.圧力損失測定)
上記の試験によりフィルタへ煤及び不燃性粒子を蓄積後、フィーダの運転を停止した状態で、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナを、平均空気過剰率=2、フィルタ入口における燃焼ガス温度=500℃、フィルタ1L当たりの高熱ガス=1Nm3/minの条件で1Hr稼働させたときの、フィルタの入口側及び出口側の間の圧力損失を測定した。試験後にフィルタ内を観察したところ、煤は実質的に全量残存しており、煤をほとんど燃焼させることなく圧力損失の測定が可能であったことが確認した。
【0092】
(5.フィルタ再生)
上記の試験によりフィルタへの煤及び不燃性粒子を蓄積後、フィーダの運転を停止した状態で、フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナを平均空気過剰率=5、フィルタ入口における燃焼ガス温度=650℃、フィルタ1L当たりの高熱ガス=1Nm3/minの条件で稼働させながらフィルタ再生用高熱ガスを発生させ、フィルタに捕集された煤を燃焼させた。その結果、フィルタ内の煤が除去され、アッシュのみが残存したことが確認された。
【符号の説明】
【0093】
100 フィルタ試験装置
101 送気装置
102 空気配管
103 空気の流量制御装置
104 燃料供給装置
105 燃料配管
106 燃料の流量制御装置
110 燃焼部
112 燃焼用空気の入口
113 燃焼ガスの出口
114 煤発生用メインバーナ
115 燃焼ガスの生成空間
116 パイロットバーナ
117a 煤発生用メインバーナの燃料供給孔
117b フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナの燃料供給孔
118 フィルタ再生用高熱ガス発生用メインバーナ
119 フランジ部(鍔部)
120 フィーダ
121 収容部
122 不燃性粒子の排出機構
130 不燃性粒子を空気輸送するための装置
134 送気装置
135 空気の流量制御装置
140 混合部
142 不燃性粒子を同伴する空気の入口
144 混合空間
146 燃焼ガスの入口
148 混合ガスの出口
147 フランジ部(鍔部)
148 混合ガスの出口
149 冷却用空気の入口
150 フィルタ設置部
152 フィルタ
154 フィルタを設置するための空間
156 浄化されたガスの出口
157 フランジ部(鍔部)
158 圧力計測器
300 フィーダ
303 すり切り羽根
305 不燃性粒子
306 出口
311 収容容器
312 羽根車
313 羽根
314 受容空間
315 孔
400 不燃性粒子を空気輸送するための装置
402 不燃性粒子を輸送するための配管
404 空気を輸送するための配管
406 ベンチュリ部
407 空気の流量制御装置
408 送気装置
500 フィルタ
502 外周側壁
504 第一底面
506 第二底面
508 第1セル
510 第2セル
512 隔壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6