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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】防火建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20220111BHJP
   E06B 7/06 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B7/06
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018036020
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2019151979
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】矢内 貴之
(72)【発明者】
【氏名】能登谷 肇
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-214474(JP,A)
【文献】特開2001-271569(JP,A)
【文献】特開2018-003392(JP,A)
【文献】特開2003-336457(JP,A)
【文献】特開2015-059320(JP,A)
【文献】米国特許第04467562(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸袋と、障子を、備え、
戸袋は、室外側の見付壁と、室内側の見付壁と、外周側の見込壁を有し、
戸袋の一方側の見付壁の内側に一方側の見付壁の内側面を覆う補強部材が配置されるとともに、補強部材の内周側に障子の煙返し片と協働して煙返しを形成する煙返し片が形成されており、
戸袋の一方側の見付壁に連続して内周側の見込壁が形成されており、補強部材の煙返し片の内周側が内周側の見込壁で覆われている防火建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に配置される防火建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物開口部に配置される建具として、一辺に戸袋を備える枠体に対して、障子を摺動自在に配置してなる建具が公知となっている。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-11335号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の建具は、枠体の室外側に格子等を配置してなるが、火災時には、格子等を構成する枠体の室外側が熱によって溶解して、枠体と障子との間で室内外が連通する危険性があった。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑み、火災時に枠体が火炎に晒されても、枠体と障子との間で室内外が連通することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、戸袋と、障子を、備え、戸袋は、室外側の見付壁と、室内側の見付壁と、外周側の見込壁を有し、戸袋の一方側の見付壁の内側に一方側の見付壁の内側面を覆う補強部材が配置されるとともに、補強部材の内周側に障子の煙返し片と協働して煙返しを形成する煙返し片が形成されており、戸袋の一方側の見付壁に連続して内周側の見込壁が形成されており、補強部材の煙返し片の内周側が内周側の見込壁で覆われている防火建具である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態の建具の構成により、火災時に枠体が火炎に晒されても、戸袋部分及び枠体と障子との間における室内外の連通を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の建具の内観姿図であり、(a)は全体の内観姿図、(b)は採風開口部を開口した状態の内観姿図である。
図2】本発明の一実施形態の建具の竪断面図である。
図3】本発明の一実施形態の建具の横断面図である。
図4】本発明の一実施形態の建具の上辺部分の竪断面図である。
図5】本発明の一実施形態の建具の下辺部分の竪断面図である。
図6】本発明の一実施形態の建具の左辺部分の横断面図である。
図7】本発明の一実施形態の建具の右辺部分の横断面図である。
図8】本発明の一実施形態の建具の右辺部分の一部の横断面図である。
図9】本発明の一実施形態の建具の火災時における右辺部分の一部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態の防火建具について、図面を参考に説明する。
本発明の一実施形態に係る防火建具は、図1(a)に示すように、建物開口部の内周面に配置される枠体1の内側にヒンジ1aにより開閉可能に支持されたドア2と、ドア2に摺動自在に内装された障子3を備える。
ドア2は、右竪ドア枠24にドア2を開閉するためのハンドル24aが設けられ、ハンドル24aの内周側には障子3の右辺部を収容する戸袋6を備えている。
そして、障子3を摺動させて右方へ移動させることで障子3の右辺部分が戸袋6内に収納され、図1(b)に示すように、ドア2の左部分に採風開口部7が形成される。
【0010】
図2及び3に示すように、枠体1は、上,下枠11,12と左,右竪枠13,14を備えており、各枠材は、アルミ合金等の金属材料からなる室外側枠材111,121,131,141と合成樹脂等からなる室内側枠材112,122,132,142を有している。
【0011】
ドア2は、上,下ドア枠21,22と左、右竪ドア枠23,24を備え、各ドア枠の内周が開口部として形成されており、ドア2の各ドア枠の内周に形成された開口部には、障子3が摺動自在に内装されている。
右竪ドア枠24にドア2を開閉する操作するハンドル24aが設けられており、ハンドル24aの内周側に障子3を収容する戸袋6を有している。
また、ドア2の開口部の室外側面には、網戸4が設けられている。
【0012】
障子3は、上,下框31,32と左,右竪框33,34を備え、各框の内周に複層パネル等のパネル35が配置されている。障子3の上框31は、戸車31aを有し上ドア枠21に設けられたレール21a上に走行自在に載置されており、障子3の下框32は、下ドア枠22に配置されたガイドローラ22aによって案内されている。
障子3の右竪框34はドア2の右竪ドア枠24に設けられた戸袋6内に位置しており、左竪框33には、被ロック部33aが設けられ、左竪ドア枠23に配置されたロック部材23aを係合することで、障子3がドア2の採風開口部7を閉鎖した状態でロックされる。(なお、図1においては、ロック部材23a及び被ロック部33aは省略している。)
【0013】
-上辺部分-
本実施形態の建具の上辺部分について、図4を参考に、以下に説明する。
上枠11の室外側枠材111の室外側には、ドア2の上ドア枠21に当接する気密材が取り付けられており、内周面には、加熱膨張材がホルダーによって保持されている。また、上枠11の室内側枠材112の室外側面には、ドア2の上ドア枠21の室内側面に当接する気密材が取り付けられており、気密材の上方位置から室内側部材の内周は、室外側枠材111にビス等で固定されたステンレス等の金属材料からなる補強部材によって覆われている。
【0014】
ドア2の上ドア枠21は、上ドア枠本体211と、上ドア枠本体211の室内側に取り付けられた室内側上ドア枠212と、上ドア枠本体211の室外側に取り付けられた室外側上ドア枠213を備えている。
上ドア枠本体211は、アルミ合金等の金属材料からなり、外周側(上方)に上枠11の室外側枠材111に取り付けられた気密材が当接する突出片を有するとともに、障子3の戸車31aを案内するレール21aを有している。また、上ドア枠本体211の室外側上端には、気密材が配置されている。
【0015】
室内側上ドア枠212は、樹脂材料からなり、上ドア枠本体211の室内側面を覆い、上ドア枠21の室内側壁面を形成している。室内側上ドア枠212の上面は、上ドア枠本体211にビス等で固定されたステンレス等の金属材料からなる補強部材により覆われており、補強部材の上面に加熱により膨張する加熱膨張材が配置されている。
【0016】
室外側上ドア枠213は、アルミ合金等の金属材料からなり、上方部位に上ドア枠本体211と係合する係合部を有し、上ドア枠本体211に係合することで、上ドア枠21の室外側壁面を形成している。室外側上ドア枠213の室内側面には、長手方向に2条のホルダー213a,213bが形成されており、2条のホルダー213a,213b及び両ホルダー間には、加熱により膨張する加熱膨張材が配置されている。
【0017】
上ドア枠21の室外側に、網戸4の網戸上枠41が配置されている。網戸上枠41は、中矩形状を有し、網戸上枠41の室内側面に上ドア枠21の上ドア枠本体211と室外側上ドア枠213との係合部分に対向するように加熱膨張材が配置されている。
【0018】
障子3の上框31は、アルミ合金等の金属材料からなり中空部を有する室外側上框311と、樹脂材料からなり中空部を有する室内側上框312と、アルミ合金等の金属材料からなり室外側上框311の室外側下面に取り付けられる押縁313を有し、室外側上框311の中空部内にはスチール等の金属材料からなる補強部材が配置されている。上框31の内周にパネル35を保持するパネル間口が形成され、パネル間口内に、室内側上框312の内周面を覆うステンレス等の金属材料からなる補強部材が室外側上框311及び室外側上框311内に配置された補強部材にビス等で固定されて配置されている。
【0019】
-下辺部分-
本実施形態の建具の下辺部分について、図5を参考に、以下に説明する。
下枠12の室外側枠材121の室外側には、ドア2の下ドア枠22に当接する気密材が取り付けられている。また、下枠12の室内側枠材122の室外側には、ドア2の下ドア枠22の室内側面に当接する気密材が取り付けられている。
【0020】
ドア2の下ドア枠22は、下ドア枠本体221と、下ドア枠本体221の室内側に取り付けられた室内側下ドア枠222と、下ドア枠本体221の室外側に取り付けられた室外側下ドア枠223を備えている。
下ドア枠本体221は、アルミ合金等の金属材料からなり、中空部を有しており、外周側(下方)に下枠12の室外側枠材121に取り付けられた気密材が当接する突出片を有している。中空部内にスチール等の金属材料からなる補強部材が配置されており、内周側(上方)には、障子3を案内するガイドローラ22aが固定されている。なお、ガイドローラ22aは、中空部内の補強部材に固定することで、さらに強固に固定することができる。
【0021】
室内側下ドア枠222は、樹脂材料からなり、下ドア枠本体221の室内側面を覆い、下ドア枠22の室内側壁面を形成している。室内側下ドア枠222の下面は、下ドア枠本体221にビス等により固定されたステンレス等の金属材料からなる補強部材により覆われている。
【0022】
室外側下ドア枠223は、アルミ合金等の金属材料からなり、下方部位に下ドア枠本体221と係合する係合部を有している。そして、室外側下ドア枠223は、係合部が下ドア枠本体221に係合されるとともに、ビス等により固定され、下ドア枠22の室外側壁面を形成している。なお、室外側下ドア枠223は、下ドア枠本体221の中空部内の補強部材に固定することで、さらに強固に固定することができる。
室外側下ドア枠223の室内側面には、長手方向に2条のホルダー223a,223bが形成されており、2条のホルダー223a,223bには、加熱により膨張する加熱膨張材が配置されている。なお、加熱膨張材は、上ドア枠21と同様に、2条のホルダー223a,223b間にさらに配置してもよい。
【0023】
下ドア枠22の室外側に、網戸4の網戸下枠42が配置されている。網戸下枠42は、中矩形状を有し、室内側面には、下ドア枠本体221の下方室外側面に対向するように加熱膨張材が配置されている。
【0024】
障子3の下框32は、アルミ合金等の金属材料からなり中空部を有する室外側下框321と、樹脂材料からなり中空部を有する室内側下框322と、アルミ合金等の金属材料からなり室外側下框321の室外側上面に取り付けられる押縁323とを有しており、室外側下框321の中空部内にはスチール等の金属材料からなる補強部材が配置されている。
室外側下框321の外周側(下方)には、下ドア枠22に設けられたガイドローラ22aを案内する案内溝が形成されており、下框32の内周にはパネル35を保持するパネル間口が形成されている。
パネル間口内には、室内側下框322の内周面を覆うステンレス等の金属材料からなる補強部材が室外側下框321及び室外側下框321の中空部内に配置された補強部材にビス等により固定されて配置されている。
【0025】
-左辺部分-
本実施形態の建具の左辺部分について、図6を参考に、以下に説明する。
左竪枠13の室外側枠材131の内周面にヒンジ1aが固定されている。また、左竪枠13の室内側枠材132の室外側面には、ドア2の左竪ドア枠23の室内側面に当接する気密材が取り付けられており、気密材の外周側位置から室内側枠材132の内周は、室外側部材に131にビス等で固定されたステンレス等の金属材料からなる補強部材によって覆われている。
【0026】
ドア2の左竪ドア枠23は、アルミ合金等の金属材料からなり中空部を有する左竪ドア枠本体231と、樹脂材料からなり中空部を有し左竪ドア枠本体231の室内側に取り付けられる室内側左竪ドア枠232とを備えており、左竪ドア枠本体231の中空部内には、スチール等の金属材料からなる補強部材が配置されるとともに、補強部材の内周面に加熱膨張材が設けられている。
左竪ドア枠本体231は、外周面に左竪枠13に固定されたヒンジ1aが固定され、枠体1に対してドア2を開閉自在に支持している。
【0027】
左竪ドア枠23の内周面は、障子3の閉鎖時に左竪框33を受け入れる溝部が形成されており、溝部には、引寄片が設けられているとともに、加熱膨張材が配置され、溝部の室内側壁及び室外側壁に障子3の左竪框33に当接する気密材がそれぞれ設けられている。
左竪ドア枠23の室内側面には、障子3の閉鎖状態を維持するロック部材23aが配置されている。
また、左竪ドア枠23の室外側に、網戸4の網戸左竪枠43が配置されている。
【0028】
障子3の左竪框33は、アルミ合金等の金属材料からなり中空部を有する室外側左竪框331と、樹脂材料からなり中空部を有する室内側左竪框332と、アルミ合金等の金属材料からなり室外側左竪框331の室外側内周面に取り付けられる押縁333を有している。
室外側左竪框331の外周には、左竪ドア枠23に設けられた引寄片に当接する引寄部材及び加熱膨張材が配置されており、中空部内には、スチール等の金属材料からなる補強部材が配置されている。
【0029】
室内側左竪框332の室内側面には、左竪ドア枠23の室内側面に配置されたロック部材23aが係合する被ロック部33aが設けられており、被ロック部33a材の内周側に障子3を開閉する際などに把持する把持部33bが設けられている。また、左竪框33の内周にはパネル35を保持するパネル間口が形成されており、パネル間口内には、室内側左竪框332の内周面を覆うステンレス等の金属材料からなる補強部材が室外側左竪框331及び室外側左竪框331の中空部内に配置された補強部材にビス等で固定されて配置されている。
【0030】
-右辺部分-
本実施形態の建具の右辺部分について、図7を参考に、以下に説明する。
右竪枠14の室内側枠材142の室外側面には、ドア2の右竪ドア枠24の室内側面に当接する気密材が取り付けられており、気密材の外周側位置から室内側枠材142の内周は、室外側枠材に141に固定されたステンレス等の金属材料からなる補強部材によって覆われている。
【0031】
ドア2の右竪ドア枠24は、中空部を有する右竪ドア枠本体241と、右竪ドア枠本体241の室内側に取り付けられた室内側右竪ドア枠242と、右竪ドア枠本体241の室外側に取り付けられた室外側右竪ドア枠243を備えている。
右竪ドア枠本体241は、アルミ合金等の金属材料からなり外周端に煙返しが形成され、煙返しの室内側面に加熱膨張材が配置されている。また、右竪ドア枠本体241の中空部内には、スチール等の金属材料からなる補強部材及び加熱膨張材が配置されている。また、右竪ドア枠本体241にハンドル24aが設けられ、右竪ドア枠本体241の外周面に右竪枠14に当接する気密材が取り付けられている。
【0032】
室内側右竪ドア枠242は、合成樹脂等からなり中空部を有しており、右竪ドア枠本体241の室内側面を覆うように配置されている。
そして、室内側右竪ドア枠242の内周側に連続して室内側壁部材62設けられており、室内側壁部材62の外周が右竪ドア枠本体241及び室内側右竪ドア枠242の内周面に固定されている。
また、右竪ドア枠本体241の内周面及び室外側右竪ドア枠243の室内側面にステンレス等の金属材料からなり断面略L字状の取付金具61が固定されており、取付金具61には室外側右竪ドア枠243の内周面に配置された室外側壁補強部材(補強部材)63が固定されている。
右竪ドア枠24の室外側右竪ドア枠243の内周側であって室外側壁補強部材63の室外側に、右竪網戸枠を兼ねる合成樹脂からなる室外側壁部材64が配置されており、右竪ドア枠本体241、室内側右竪ドア枠242、室外側右竪ドア枠243、室内側壁部材62、室外側壁補強部材63及び室外側壁部材64によって戸袋6を有する右竪ドア枠24が形成されている。
【0033】
障子3の右竪框34は、金属材料からなり中空部を有する室外側右竪框341と、樹脂材料からなり中空部を有する室内側右竪框342とを有しており、室外側右竪框341の中空部内には、スチール等の金属材料からなる補強部材が配置されている。
右竪框34の内周にはパネル35を保持するパネル間口が形成されており、パネル間口内には、室内側右竪框342の内周面を覆うステンレス等の金属材料からなる補強部材が室外側右竪框341及び室外側右竪框341の中空部内に配置された補強部材にビス等により固定されて配置されている。
【0034】
-戸袋の構成-
内周に戸袋6を有する右竪ドア枠24について、さらに説明する。
右竪ドア枠24の室内側右竪ドア枠242の内周側に設けられ、戸袋6の室内側の見付壁を構成する室内側壁部材62は、合成樹脂からなる内部材621および外部材622を有している。
室内側壁部材62は、外部材622の外周の固定部が右竪ドア枠本体241にビス等により固定され、室内側右竪ドア枠242に係合することで室内側右竪ドア枠242の内周側に配置される。なお、外部材622の外周の固定部を右竪ドア枠本体241の中空部内に配置された補強部材にネジ等で固定されることにより、さらに強固に固定することができる。
外部材622は、複数の中空部を備えており、内周側に障子3の右竪框34の室内側面に設けられた煙返し片34aと協働して煙返しを形成する煙返し片622aを有している。
【0035】
また、内部材621は、複数の中空部を備えており、外部材622の室内側面を覆うように配置されネジ等により連結されることで、見込み方向に複数の中空部が積層された室内側壁部材62が形成されている。
そして、右竪ドア枠24の室内側の見付壁が、合成樹脂製で複数の中空部を備える室内側壁部材62によって構成されることで、戸袋6からの室内側への冷熱の伝達を抑止して、断熱性を向上させている。
【0036】
一方、戸袋6の室外側の見付壁は、アルミ合金等の金属材料からなる室外側右竪ドア枠243と樹脂材料からなる室外側壁部材64を有しており、室外側壁部材64の室内側面が室外側壁補強部材63によって覆われている。
室外側壁補強部材63は、断面略L字状の複数の取付金具61によって右竪ドア枠24に固定されている。図8に示すように、断面略L字状の取付金具61は、右竪ドア枠本体241の内周面及び室外側右竪ドア枠243の室内側面にネジb1、b2等により固定されており、取付金具61の内周側にネジb3等により室外側壁補強部材63が固定されている。取付金具61は、短尺で右竪ドア枠24の長手方向にそって複数個所に設けられている。なお、取付金具61を右竪ドア枠本体241の中空部内に配置された補強部材にネジ等で固定されることにより、さらに強固に固定することができる。
【0037】
室外側壁補強部材63は、アルミ合金等の金属材料からなり、障子3の右竪框34の室外側面に設けられた煙返し片34bと協働して煙返しを形成する煙返し片63aと、中空部63bと、中空部の外周側に連設された固定部63cと、を有している。
室外側壁補強部材63の室内側面及び室外側面には、ステンレス等の金属材料からなる第1副補強部材631及び第2副補強部材632が配置されており、室外側壁補強部材63の特に煙返し片63a部分の強度を向上させている。
具体的には、第1副補強部材631は室外側壁補強部材63の室内側面及び煙返し片63a部分の一部の内側(外周側)面を覆うように配置され、第2副補強部材632は、室外側壁補強部材63の内周側室外側面、煙返し片63a部分の外側(内周側)面及び室内側面を覆うように配置されている。
【0038】
そして、室内側面に配置された第1副補強部材631に、煙返し片63aに対向するように加熱膨張材f1が配置されているとともに、室外側壁補強部材63の中空部63bの室外側面に加熱膨張材f2が配置されている。
さらに、固定部63cの室外側面に加熱膨張材f3が配置されている。
【0039】
一方、障子3の右竪框34は、室外側の煙返し片34bの室外側面を覆うようにステンレス等の金属材料からなる補強部材が配置されているとともに、補強部材に加熱膨張材f4が配置されている。また、パネル間口の内面にステンレス等の金属材料からなる補強部材が配置されている。
【0040】
以上の本実施形態の建具においては、以下のような効果を奏することができる。
戸袋6を備える右竪ドア枠24は、室内側に合成樹脂製の室内側右竪ドア枠242及び室内側壁部材62を配置することで高い断熱性能を維持するとともに、室外側の室外側壁部材64の室内側を覆うように金属材料からなる室外側壁補強部材63を配置することにより、火災時に戸袋6部分における室内外の連通を抑制して耐火性能を向上させることができる。
【0041】
そして、室外側壁補強部材63は、金属材料からなる取付金具61を介して右竪ドア枠24に固定されているので、奥行きのある戸袋6の外周面に容易かつ強固に固定することができ、取付金具61が右竪ドア枠24の見込壁である右竪ドア枠本体241の内周面に固定されることで、比較的火炎の影響を受け難い部位で室外側壁補強部材63を支持することができ火災時の室外側壁補強部材63の脱落を抑制することができる。なお、取付金具61の右竪ドア枠24への固定は、右竪ドア枠本体241の内周面に対する固定だけでもよいが、取付金具61を右竪ドア枠本体241の内周面及び室外側右竪ドア枠243の室内側面に固定することで、略L字状の取付金具61によって右竪ドア枠本体241と室外側右竪ドア枠243との連結を補強することができ、戸袋6の強度を高めることができる。
【0042】
また、室外側壁補強部材63は、右竪ドア枠24の長手方向ほぼ全長に亘って設けられ、内周に煙返し片63aが一体的に形成されているので、室外側壁補強部材63を設けることで戸袋6の室外側の耐火性能の向上と共に煙返しの形成を容易に行うことができる。さらに、室外側壁補強部材63の室内側および/または室外側を覆うようにステンレス等の金属材料からなる副補強部材を設けることで、比較的熱に強く剛性の高い煙返し片を形成することができる。
【0043】
また、室外側壁補強部材63の室内側面に障子3の煙返し片と協働して形成される煙返しに向かって膨張するように加熱膨張材f1が配置され、また、障子3の右竪框34の煙返し片近傍に加熱膨張材f4が配置されているので、火災時に、膨張材によって煙返し部を覆い火炎や煙の侵入を防止することができる。
【0044】
また、室外側壁補強部材63の中空部63bの室外側及び固定部63cの室外側に加熱膨張材f2,f3が配置されているので、火災時には膨張した加熱膨張材f2によって戸袋6の室外側を覆い、火炎等による戸袋6の室外側壁部の変形を抑制することができるとともに、室外側右竪ドア枠243が変形した場合でも、図9に示すように、加熱膨張材f3によって室外側壁補強部材63と室外側右竪ドア枠243との間を塞ぐことができ、火災の延焼を抑制することができる。
【0045】
なお、上記の実施形態においては、戸袋6の室外側に金属製の補強部材63が取付金具61によって設けられているが、戸袋6の室内側の見付壁である室内側壁部材62の室外側面に金属製の補強部材を配置してもよく、さらには、補強部材を室内側と室外側の両側の見付壁に配置してもよい。また、金属製の室外側壁補強部材63によって覆う戸袋6の部分に限定はなく、見付壁のうち火炎に対して弱い部分を覆うだけでもよいし、全体を覆うように構成してもよい。
なお、本実施形態における金属材料からなる補強部材は、被補強部材よりも火炎や熱に対して耐性が高ければよく、その材料は限定されるものではない。なお、使用者の目につくところに配置される補強部材は、さびにくいステンレス等の金属材料により形成した補強部材を用いることが好ましい。
また、上記実施形態においては、ドア2に設けられた開口部を覆う障子3の一部を収容するように戸袋が形成されているが、上記実施形態に限定されるものではなく、直接建物に戸袋が設けられていても良く、障子の全体を収容する戸袋であってもよい。
すなわち、上記実施形態の建具の例は一例であって、本発明の建具はドアに限るものではなく、建具の種類は何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 :枠体
2 :ドア
3 :障子
6 :戸袋
7 :採風開口部
24 :右竪ドア枠
34 :右竪框
34a :煙返し片
34b :煙返し片
61 :取付金具
62 :室内側壁部材
63 :室外側壁補強部材(補強部材)
63a :煙返し片
63b :中空部
63c :固定部
64 :室外側壁部材
241 :右竪ドア枠本体
242 :室内側右竪ドア枠
243 :室外側右竪ドア枠
341 :室外側右竪框
342 :室内側右竪框
621 :内部材
622 :外部材
622a :煙返し片
631 :第1副補強部材
632 :第2副補強部材
f1 :加熱膨張材
f2 :加熱膨張材
f3 :加熱膨張材
f4 :加熱膨張材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9