(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】樹脂積層体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220128BHJP
B32B 3/18 20060101ALI20220128BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220128BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
G06F3/041 490
B32B3/18
B32B27/00 Z
G06F3/041 430
G06F3/041 450
G06F3/044 129
(21)【出願番号】P 2018042262
(22)【出願日】2018-03-08
【審査請求日】2020-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】礒田 丈司
(72)【発明者】
【氏名】志賀 直樹
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-106240(JP,A)
【文献】特開2015-069525(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0212537(US,A1)
【文献】特開2016-004345(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0059837(US,A1)
【文献】特開2014-081754(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084725(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
B32B 3/18
B32B 7/025
B32B 27/00
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の層であって、樹脂で構成されており且つ第1面及びその反対側の第2面を有する第1層、及び前記第1層の前記第2面に直接的又は間接的に固定された第2層を有する、前記複数の層と、
前記第2層上に設けられた電極、表示部、アンテナ又はセンサである
複数の第1機能部と、
前記第2層上に設けられた複数の第1導電ラインであって
、前記複数の第1機能部に各々接続されている、前記複数の第1導電ラインと、
少なくとも一つの第1ダミー導体とを備えており、
前記複数の第1導電ラインは、当該第1導電ラインの少なくとも一部であって、互いに間隔をあけて並列配置された並列部を各々有しており、
前記複数の第1導電ラインは、当該第1導電ラインのうちの最も端に位置する最端の第1導電ラインを含み、
前記少なくとも一つの第1ダミー導体は、前記複数の層のうちの何れかの層上に、前記
複数の第1機能部及び前記複数の第1導電ラインの周りに位置するように設けられており、
第1距離及び第2距離は、500μm以下であり、
前記第1距離は、前記複数の第1導電ラインの前記並列部の間の並び方向の距離であり、前記並び方向は、前記並列部の並列配置の方向であり、
前記第2距離は、前記最端の第1導電ラインと前記少なくとも一つの第1ダミー導体の間の面方向の距離であり、前記面方向は前記第2層の面に沿う方向である樹脂積層体。
【請求項2】
積層された複数の層であって、樹脂で構成されており且つ第1面及びその反対側の第2面を有する第1層、及び前記第1層の前記第2面に直接的又は間接的に固定された第2層を有する、前記複数の層と、
前記第2層上に設けられた電極、表示部、アンテナ又はセンサである
複数の第1機能部と、
前記第2層上に設けられた複数の第1導電ラインであって
、前記複数の第1機能部に各々接続されている、前記複数の第1導電ラインと、
少なくとも一つの第1ダミー導体と、
少なくとも一つの第2ダミー導体とを備えており、
前記複数の第1導電ラインは、当該第1導電ラインのうちの最も端に位置する最端の第1導電ラインを含み、
前記少なくとも一つの第1ダミー導体は、前記複数の層のうちの何れかの層上に、前記
複数の第1機能部及び前記複数の第1導電ラインの周りに位置するように設けられており、
前記少なくとも一つの第2ダミー導体は、前記複数の層のうちの何れかの層上に、前記複数の第1導電ラインの少なくとも一部の間に位置するように設けられており、
第3距離及び第2距離は、500μm以下であり、
前記第3距離は、隣り合う前記第1導電ラインと前記少なくとも一つの第2ダミー導体との間の面方向の距離であり、前記面方向は前記第2層の面に沿う方向であり、
前記第2距離は、前記最端の第1導電ラインと前記少なくとも一つの第1ダミー導体の間の前記面方向の距離である樹脂積層体。
【請求項3】
積層された複数の層であって、樹脂で構成されており且つ第1面及びその反対側の第2面を有する第1層、及び前記第1層の前記第2面に直接的又は間接的に固定された第2層を有する、前記複数の層と、
前記第2層上に設けられた電極、表示部、アンテナ又はセンサである少なくとも一つの第1機能部と、
前記第2層上に設けられた複数の第1導電ラインであって、そのうちの少なくとも一つが前記少なくとも一つの第1機能部に接続されている、前記複数の第1導電ラインと、
少なくとも一つの第1ダミー導体とを備えており、
前記複数の第1導電ラインは、当該第1導電ラインの少なくとも一部であって、互いに間隔をあけて並列配置された並列部を各々有しており、
前記複数の第1導電ラインは、当該第1導電ラインのうちの最も端に位置する最端の第1導電ラインを含み、
前記少なくとも一つの第1ダミー導体は、前記複数の層のうちの何れかの層上に、前記少なくとも一つの第1機能部及び前記複数の第1導電ラインの周りに位置するように設けられており、
第1距離及び第2距離は、500μm以下であり、
前記第1距離は、前記複数の第1導電ラインの前記並列部の間の並び方向の距離であり、前記並び方向は、前記並列部の並列配置の方向であり、
前記第2距離は、前記最端の第1導電ラインと前記少なくとも一つの第1ダミー導体の間の面方向の距離であり、前記面方向は前記第2層の面に沿う方向であり、
前記少なくとも一つの第1ダミー導体は、本体部と、前記本体部と前記少なくとも一つの第1機能部又は前記第1導電ラインとの間に配置された複数の小導体とを有しており、
前記複数の小導体は、その密度が前記本体部から前記少なくとも一つの第1機能部又は前記第1導電ラインにいくに従って低下するように配置又は構成されており、前記複数の小導体のうち前記本体部の近傍に位置する複数の小導体は、前記本体部に一体化されている樹脂積層体。
【請求項4】
積層された複数の層であって、樹脂で構成されており且つ第1面及びその反対側の第2面を有する第1層、及び前記第1層の前記第2面に直接的又は間接的に固定された第2層を有する、前記複数の層と、
前記第2層上に設けられた電極、表示部、アンテナ又はセンサである少なくとも一つの第1機能部と、
前記第2層上に設けられた複数の第1導電ラインであって、そのうちの少なくとも一つが前記少なくとも一つの第1機能部に接続されている、前記複数の第1導電ラインと、
少なくとも一つの第1ダミー導体と、
少なくとも一つの第2ダミー導体とを備えており、
前記複数の第1導電ラインは、当該第1導電ラインのうちの最も端に位置する最端の第1導電ラインを含み、
前記少なくとも一つの第1ダミー導体は、前記複数の層のうちの何れかの層上に、前記少なくとも一つの第1機能部及び前記複数の第1導電ラインの周りに位置するように設けられており、
前記少なくとも一つの第2ダミー導体は、前記複数の層のうちの何れかの層上に、前記複数の第1導電ラインの少なくとも一部の間に位置するように設けられており、
第3距離及び第2距離は、500μm以下であり、
前記第3距離は、隣り合う前記第1導電ラインと前記少なくとも一つの第2ダミー導体との間の面方向の距離であり、前記面方向は前記第2層の面に沿う方向であり、
前記第2距離は、前記最端の第1導電ラインと前記少なくとも一つの第1ダミー導体の間の前記面方向の距離であり、
前記少なくとも一つの第1ダミー導体は、本体部と、前記本体部と前記少なくとも一つの第1機能部又は前記第1導電ラインとの間に配置された複数の小導体とを有しており、
前記複数の小導体は、その密度が前記本体部から前記少なくとも一つの第1機能部又は前記第1導電ラインにいくに従って低下するように配置又は構成されており、前記複数の小導体のうち前記本体部の近傍に位置する複数の小導体は、前記本体部に一体化されている樹脂積層体。
【請求項5】
請求項
1~4の何れかに記載の樹脂積層体において、
前記少なくとも一つの第1ダミー導体は複数であって、前記何れかの層上に互いに間隔をあけて設けられており、
第4距離は、500μm以下であり、
前記第4距離は、前記複数の第1ダミー導体間の距離である樹脂積層体。
【請求項6】
請求項
1~4の何れかに樹脂積層体において、
前記少なくとも一つの第1ダミー導体は、複数であって、そのうちの少なくとも一つが第2層上に設けられ、別の少なくとも一つが前記複数の層の第2層以外の層上に設けられている樹脂積層体。
【請求項7】
請求項
2又は4記載の樹脂積層体において、
前記複数の第1導電ラインは、隣り合う一方の第1導電ラインと他方の第1導電ラインを含み、
前記少なくとも一つの第2ダミー導体は複数であって、前記一方の第1導電ラインと前記他方の第1導電ラインとの間に間隔をあけて配置されており、
第5距離は、500μm以下であり、
前記第5距離は、前記複数の第2ダミー導体間の距離である樹脂積層体。
【請求項8】
請求項
3、4又は7記載の樹脂積層体において、
前記第1層は、前記第1面及び前記第2面のうちの何れかに形成された加飾部をさらに有しており、
前記加飾部は、開口部と、その周縁部を有しており、
前記小導体は、前記周縁部下に配置されている樹脂積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ入力装置などの樹脂積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、従来のタッチ入力装置が記載されている。このタッチ入力装置は、透光性基板と、加飾層と、複数の電極と、複数の導電ラインと、ダミー導体とを有している。加飾層は透光性基板上の表示用領域を除く部分に形成されている。電極は、透光性基板上の表示用領域に間隔をあけて設けられている。導電ラインは、前記加飾層上に設けられており且つ前記電極に各々接続されている。ダミー導体は、加飾層上の前記導電ラインを除く部分に当該導電ラインに対して間隙を有して設けられている。導電ラインとダミー導体との間の距離は50μm以下となっており、これにより導電ラインが加飾層及び透光性基板を介して視認され難くなっている。すなわち、導電ラインとダミー導体との間の距離は、あくまで導電ラインを視認し難くするためのものに過ぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のタッチ入力装置では、透光性基板がポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ABS樹脂やPET樹脂等の樹脂で構成されている場合、導電ラインのごく僅かな厚みが段差となり、この導電ラインの形状が透光性基板の表面に転写され、浮き出すことがある(以下、浮き出し現象と称する。)。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、導電ラインの浮き出し現象を抑制することができる樹脂積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様の樹脂積層体は、積層された複数の層と、少なくとも一つの第1機能部と、複数の第1導電ラインと、少なくとも一つの第1ダミー導体とを備えている。複数の層は、樹脂で構成された第1層と、第2層とを有している。第1層は、第1面及びその反対側の第2面を有している。第2層は第1層の第2面に直接的又は間接的に固定されている。少なくとも一つの第1機能部は、例えば、電極、表示部、アンテナ又はセンサであって、第2層上に設けられている。第1導電ラインは、第2層上内に設けられており、そのうちの少なくとも一つが少なくとも一つの第1機能部に接続されている。複数の第1導電ラインは、当該第1導電ラインのうちの最も端に位置する最端の第1導電ラインを含む。少なくとも一つの第1ダミー導体は、複数の層のうちの何れかの層上に、少なくとも一つの第1機能部及び複数の第1導電ラインの周りに位置するように設けられている。
【0007】
複数の第1導電ラインは、当該第1導電ラインの少なくとも一部であって、互いに間隔をあけて並列配置された並列部を各々有する構成とすることが可能である。
【0008】
上記樹脂積層体は、少なくとも一つの第2ダミー導体をさらに備えていても良い。少なくとも一つの第2ダミー導体は、複数の層のうちの何れかの層上に、複数の第1導電ラインの少なくとも一部の間に位置するように設けられていると良い。
【0009】
下記1)~3)の何れかとすることが可能である。1)第1距離及び第2距離は500μm以下である。2)第3距離及び第2距離は500μm以下である。3)第1距離、第2距離及び第3距離は500μm以下である。
第1距離は、第1導電ラインの並列部の間の並び方向の距離とすることが可能であり、並び方向は、並列部の並列配置の方向とすることが可能である。
第2距離は、最外の第1導電ラインと少なくとも一つの第1ダミー導体の間の面方向の距離とすることが可能であり、面方向は第2層の面に沿う方向とすることが可能である。
第3距離は、隣り合う第1導電ラインと少なくとも一つの第2ダミー導体の間の面方向の距離である。なお、2)の場合、第1導電ラインは、並列部を有しない構成とすることが可能である。
【0010】
1)~3)の何れかのとおりに構成することによって、第1導電ラインの形状が第1層の第1面に転写され、浮き出す現象が抑制される。
【0011】
少なくとも一つの第1ダミー導体は複数とすることが可能である。複数の第1ダミー導体は複数の層のうちの何れかの層上に間隔をあけて設けられた構成とすることが可能である。このような態様の樹脂積層体による場合、第1ダミー導体と第1導電ラインが意図しない電気的結合をし難くなり、仮に第1ダミー導体と第1導電ラインが電気的結合しても、その結合容量を小さくすることができる。
【0012】
第4距離は500μm以下とすることが可能である。第4距離は、複数の第1ダミー導体間の距離とすることが可能である。このような態様の樹脂積層体による場合、第1ダミー導体の形状が第1層の第1面に転写され、浮き出す現象が抑制される。
【0013】
複数の第1導電ラインは、隣り合う一方の第1導電ラインと他方の第1導電ラインを含んでいても良い。少なくとも一つの第2ダミー導体は複数とすることが可能である。複数の第2ダミー導体は、一方の第1導電ラインと他方の第1導電ラインとの間に間隔をあけて配置された態様とすることが可能である。このような態様の樹脂積層体による場合、第2ダミー導体と第1導電ラインが意図しない電気的結合をし難くなり、仮に第2ダミー導体と第1導電ラインが電気的結合しても、その結合容量を小さくすることができる。
【0014】
第5距離は500μm以下とすることが可能である。第5距離は複数の第2ダミー導体間の距離とすることが可能である。このような態様の樹脂積層体による場合、第2ダミー導体の形状が第1層の第1面に転写され、浮き出す現象が抑制される。
【0015】
第1ダミー導体は、本体部と、この本体部と少なくとも一つの第1機能部又は第1導電ラインとの間に配置された複数の小導体とを有する構成とすることが可能である。この場合、複数の小導体は、その密度が本体部から少なくとも一つの第1機能部又は第1導電ラインにいくに従って低下するように配置又は構成されていても良い。複数の小導体のうち本体部の近傍に位置する複数の小導体(一部の小導体)は、本体部に一体化されていると良い。例えば、第1ダミー導体は、下記の1)~3)の何れかの態様とすることが可能である。1)複数の小導体は、本体部と少なくとも一つの第1機能部又は第1導電ラインとの間にドット状に配置された構成とすることが可能である。小導体の外形寸法は、少なくとも一つの第1機能部又は第1導電ラインから離れるに従って漸次大きくなり、小導体のうち本体部の近傍に位置する複数の小導体は本体部に一体化された構成とすることが可能である。2)小導体は、本体部と少なくとも一つの第1機能部又は第1導電ラインとの間に間隔をあけて配置されており、且つ当該小導体の配列方向に直交する方向に延びた長尺状とすることが可能である。小導体の配列方向の寸法は少なくとも一つの第1機能部又は第1導電ラインから離れるに従って漸次大きくなるようにしても良い。又は、小導体の配列方向の間隔は、少なくとも一つの第1機能部又は第1導電ラインから離れるに従って漸次小さくなるようにしても良い。小導体のうち本体部の近傍に位置する一又は複数の小導体は本体部に一体化された構成とすることが可能である。3)小導体は、本体部から少なくとも一つの第1機能部又は第1導電ラインへ櫛歯状に延びた構成とすることが可能である。小導体の櫛歯方向の寸法は、本体部から少なくとも一つの第1機能部又は第1導電ラインへ漸次先鋭化されていても良い。
【0016】
これらの態様の樹脂積層体による場合、第1導電ラインの形状が第1層の第1面に転写され、浮き出す現象が抑制又は抑止される。
【0017】
第1層は、第1面及び第2面のうちの何れかに形成された加飾部をさらに有する構成とすることが可能である。加飾部は、開口部と、この開口部の周縁部を有する構成とすることが可能である。小導体は加飾部の周縁部下に配置されていると良い。このような態様の樹脂積層体による場合、上記した1)~3)の何れかの小導体の構成によって、加飾部の開口部と周縁部の境界が第1層の第1面に転写され、浮き出す現象が抑制される。
【0018】
第2ダミー導体は、本体部と、複数の小導体とを有する構成とすることが可能である。小導体は、第1導電ラインのうち隣り合う二つの第1導電ラインの少なくとも一部の近傍に設けられた構成とすることが可能である。本体部は、二つの第1導電ラインのうちの一方の第1導電ラインの近傍に位置する小導体と他方の第1導電ラインの近傍に位置する小導体との間に設けられた構成とすることが可能である。この場合、第2ダミー導体は、下記の1)~3)の何れかの態様とすることが可能である。1)小導体は、本体部と第1導電ラインとの間にドット状に配置された構成とすることが可能である。小導体の外形寸法は、第1導電ラインから離れるに従って漸次大きくなるようにしても良い。小導体のうち本体部の近傍に位置する複数の小導体は本体部に一体化された構成とすることが可能である。2)小導体は、本体部と第1導電ラインとの間に間隔をあけて配置されており、且つ当該小導体の配列方向に直交する方向に延びた長尺状とすることが可能である。小導体の配列方向の寸法は第1導電ラインから離れるに従って漸次大きくなるようにしても良い。又は、小導体の配列方向の間隔は、第1導電ラインから離れるに従って漸次小さくなるようにしても良い。小導体のうち本体部の近傍に位置する一又は複数の小導体は本体部に一体化された構成とすることが可能である。3)小導体は、本体部から第1導電ラインへ櫛歯状に延びた構成とすることが可能である。小導体の櫛歯方向の寸法は、本体部から第1導電ラインへ漸次先鋭化されていても良い。
【0019】
これらの態様の樹脂積層体による場合、第1導電ラインの形状が第1層の第1面に転写され、浮き出す現象が抑制又は抑止される。
【0020】
第1機能部は複数とすることが可能である。この場合、第1導電ラインは、第1機能部に各々接続された構成とすることが可能である。
【0021】
第2層は、第1面及び第2面を有する構成とすることが可能である。第2層の第1面は、第1層の第2面に直接的又は間接的に固定された構成とすることが可能である。第2層の第2面は、第1面の反対側の面とすることが可能である。
【0022】
複数の層は、第2層の第2面に直接的又は間接的に固定される第3層をさらに有する構成とすることが可能である。
【0023】
上記した何れかの態様の樹脂積層体は、少なくとも一つの第2機能部及び複数の第2導電ラインをさらに備えた構成とすることが可能である。この場合、少なくとも一つの第2機能部は、例えば、電極、表示部、アンテナ又はセンサであって、複数の層のうちの何れかの一つの層上に設けられた構成とすることが可能である。第2導電ラインは、第2機能部に接続されており且つ一つの層上に設けられた構成とすることが可能である。例えば、一つの層は第2層又は第3層とすることが可能である。前者の場合、少なくとも一つの第1機能部及び第1導電ラインが第2層の第1面及び第2面のうちの一方の面に設けられ、少なくとも一つの第2機能部及び第2導電ラインが第2層の他方の面に設けられていると良い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】本発明の実施例1に係る樹脂積層体の模式的平面図である。
【
図1B】前記樹脂積層体の
図1A中の1B-1B拡大断面図である。
【
図1C】前記樹脂積層体の
図1A中の1C-1C拡大断面図である。
【
図1D】前記樹脂積層体の
図1A中の1D-1D拡大断面図である。
【
図2A】前記樹脂積層体の第1層の模式的平面図である。
【
図2B】前記樹脂積層体の第2層の模式的平面図である。
【
図2C】前記樹脂積層体の第3層の模式的平面図である。
【
図3】実施例1の前記樹脂積層体の第1設計変形例に係る第2層の模式的平面図である。
【
図4】本発明の実施例2に係る樹脂積層体の第2層の模式的平面図である。
【
図5】実施例2の前記樹脂積層体の第2層の設計変更例を示す模式的平面図である。
【
図6】本発明の実施例3に係る樹脂積層体の第2層の模式的平面図である。
【
図7A】実施例1の樹脂積層体の第2設計変形例に係る第1ダミー導体の
図2B又は図
3中のα1及び/又はα2の部分の模式的拡大図である。
【
図7B】実施例1の樹脂積層体の第3設計変形例に係る第1ダミー導体の
図2B又は図
3中のα1及び/又はα2の部分の模式的拡大図である。
【
図7C】実施例1の樹脂積層体の第4設計変形例に係る第1ダミー導体の
図2B又は図
3中のα1及び/又はα2の部分の模式的拡大図である。
【
図7D】実施例1の樹脂積層体の第5設計変形例に係る第1ダミー導体の
図2B又は図
3中のα1及び/又はα2の部分の模式的拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例1~3について説明する。
【実施例1】
【0026】
以下、本発明の実施例1を含む複数の実施例に係る樹脂積層体L1について
図1A~
図3を参照しつつ説明する。
図1A~
図2Cには、実施例1に係る樹脂積層体L1が示されている。
図3には、実施例1に係る樹脂積層体L1の設計変更例が示されている。樹脂積層体L1は、静電容量方式のタッチ入力装置である。
【0027】
樹脂積層体L1は、積層された複数の層を備えている。複数の層は第1層100及び第2層200を有している。
図1B~
図1Dでは、複数の層が積層された方向(積層方向)がZ-Z’方向として示されている。Z-Z’方向のうち、Z方向側はタッチ入力装置の外部に露出する側(表層側)に相当し、Z’方向側は表層側の反対側(深層側)に相当する。
図1A及び
図1Bには、Z-Z’方向に直交するY-Y’方向が示されており、
図1A、
図1C及び
図1Dには、Z-Z’方向及びY-Y’方向に直交するX-X’方向が示されている。
【0028】
第1層100は、樹脂(例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂やデュラビオ(DURABIO(登録商標))樹脂など)で構成されたプレート又はフィルムである。第1層100は、少なくとも部分的に透光性を有していれば良い。例えば、第1層100は、一部又は全部が透明であっても良い。第1層100は、タッチ入力装置の最表層であるカバーパネルであっても良いが、これに限定されるものではない。第1層100の厚みは、例えば10μm~1mmであると良い。第1層100は、第1面101及びその反対側の第2面102を有する。第1層100がカバーパネルである場合、第1面101は、タッチ入力装置の最表面であって、指やタッチペンなどの検出対象が接触可能なタッチ領域を含む。第1層100の第1面101には、アクリル層、ハードコート層、アンチグレア層、アンチニュートン層、低反射層、保護層、防指紋層、自己修復層、抗菌層、帯電防止層、強度保持層、及び/又は防汚層などとしての機能を付与するための処理(例えば、コーティング処理等)がされていても良いが、これに限定されるものではない。
【0029】
第1層100は、
図2Aに示されるように、加飾部110を有していても良い。加飾部110は、第1層100の第1面101及び第2面102のうちの何れか一方の面上に加飾印刷によって形成されている。加飾部110は、開口部111とその周縁部112を有している。開口部111は、使用時に樹脂積層体L1のZ’方向側に配置される表示装置の表示を外部から可視可能にするための領域(Viewing Area(VA))に相当する。なお、
図2Aでは、加飾部110は視認し易くするために、ドット柄を付しているが、現実に付されているわけではないので、留意されたい。
図1Aでは、加飾部110は図示省略されている。加飾部110は省略可能である。
【0030】
第2層200は、第1層100を構成する樹脂と同様の樹脂で構成されたプレート又はフィルムである。第2層200は、少なくとも部分的に透光性を有していれば良い。例えば、第2層200は、一部又は全部が透明であっても良い。第2層200は、第1面201及びその反対側の第2面202を有する。第2層200の第1面201は、第1層100の第2面102に直接的又は間接的に固定されている。例えば、次の1)又は2)のとおりである。
1)第2層200の第1面201は、
図1B~
図1Dに示されているように、粘着剤又はOptical Clear Adhesive(OCA(登録商標))フィルムOなどで第1層100の第2面102に直接接着されている。
2)第2層200の第1面201と第1層100の第2面102との間に一の層又はZ-Z’方向に積層された複数の層が介在した状態で、第2層200の第1面201が第1層100の第2面102に間接的に固定されている。この場合の層間も、粘着剤又はOCAフィルムOなどで接着すると良い。なお、第2層200の第1面201と第1層100の第2面102との間の一又は複数の層を纏めて、少なくとも一つの他の層とも称する。
【0031】
樹脂積層体L1は、複数の第1電極210(第1機能部)と、複数の第1導電ライン220をさらに備えている。なお、
図2Bでは、視認し易くするために、第1電極210及び第1導電ライン220にドット柄を付しているが、現実に付されているわけではないので、留意されたい。
【0032】
複数の第1電極210は、第2層200の第1面201及び第2面202のうちの一方の面上に間隔をあけて設けられた透明導電膜又は導体である。例えば、複数の第1電極210は、
図1A~
図1D及び
図2Bに示されるようにY-Y’方向に各々延びており且つ一方の面上にX-X’方向に間隔をあけて配置されていると良い。別の態様では、複数の第1電極210は、図示しない多角形状又は円形状であって、前記一方の面上にマトリックス状に配置されていても良い。
【0033】
透明導電膜は、例えば、ITO(酸化インジウム+酸化錫)、CNT(カーボンナノチューブ)、IZO(酸化インジウム+酸化亜鉛)、AZO(Alドープ酸化亜鉛)又は導
電性高分子(PEDOT又はPSS)等で構成可能である。導体は、例えば、感光性銀、銀ナノインク、銀ナノワイヤ、蒸着銅、圧延銅又は銅ナノインク等とすることが可能である。
【0034】
複数の第1導電ライン220は、透明導電膜、金属、合金又はメタルワイヤーであって、第2層200の上記一方の面上に設けられている。透明
導電膜は第1電極210と同様の素材で構成することが可能である。金属は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)などである。合金は、例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)及び銅(Cu)の合金などである。複数の第1導電ライン220は、複数の第1電極210の端(
図1A及び
図2Bでは、Y’方向の端)に各々接続されており、且つ複数の第1電極210から第2層200の一方の面の端へ各々延びている。なお、複数の第1導電ライン220は、当該第1導電ライン220のうちの最も端に位置する最端の第1導電ライン220を含む。
【0035】
複数の第1導電ライン220は、並列部221を各々有していても良い。並列部221は、当該第1導電ライン220の少なくとも一部であって、互いに間隔をあけて並列配置されている。
図2Bでは、複数の第1導電ライン220は、並列部221a、221b、221cを各々有している。並列部221aは第1電極210から各々Y’方向に延びており且つX-X’方向に間隔をあけて並列配置されている。並列部221bは並列部221aからX方向、X’方向に延びており且つY-Y’方向に間隔をあけて並列配置されている。並列部221cは並列部221bからY’方向に各々延びており且つX-X’方向に間隔をあけて並列配置されている。
【0036】
樹脂積層体L1は、第1ダミー導体300aをさらに備えている。第1ダミー導体300aは、第1導電ライン220と同様の素材で構成されており且つ複数の層のうちの何れかの層上にZ方向側から見て第1電極210及び第1導電ライン220の周りに位置するように設けられたベタ導体である。例えば、第1ダミー導体300aは、
図2Bに示されるように、第2層200の上記一方の面上の第1電極210及び第1導電ライン220の周りに間隙を有して設けられた構成とすることが可能である。又は、第1ダミー導体300aは、複数の層のうちの第2層以外の層の面上にZ方向側から見て第1電極210及び第1導電ライン220の周りに位置するように設けられた構成とすることが可能である。この場合、第1ダミー導体300aは
、第2層以外の層の面上に設けられている以外、第2層上に設けられた場合と同様の構成とすることが可能である。なお、
図2Bでは、視認し易くするために、第1ダミー導体300aにドット柄を付しているが、現実に付されているわけではないので、留意されたい。第1ダミー導体300aと第1導電ライン220とが必ずしも同一素材で構成されている必要はなく、異なる素材で構成されていても良い。
【0037】
第1ダミー導体300aの外形寸法は、タッチ入力装置の意匠領域に対応していると良いが、これに限定されるものではない。例えば、第1ダミー導体300aの外形寸法は、意匠領域の一部に対応していても良いし、複数の層のうちの何れかの層の外形寸法と同じであっても良い。タッチ入力装置の意匠領域とは、タッチ入力装置のうち外部に露出するため意匠が施された領域のことである。なお、
図2Bでは、第1ダミー導体300aは、第2層200の第1面201上に設けられており且つその外形寸法がタッチ入力装置の意匠領域に対応している。
【0038】
第1ダミー導体300aは、当該第1ダミー導体300aが設けられていない第1空き領域301a及び第2空き領域302aを有している。Z方向側から見て第1空き領域301a内に複数の第1電極210が上記何れかの態様で配置されている。第1空き領域301aは、第1層100の開口部111(VA)に対応した外形寸法を有しており且つ開口部111に対応した位置に配置されている。第2空き領域302aは第1空き領域301aから第1ダミー導体300aの端へ延び、当該端の外側に開放されている。第2空き領域302aは第1空き領域301aに連通している。Z方向側から見て第2空き領域302a内に複数の第1導電ライン220が上記何れかの態様で配置されている。なお、表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ (LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ (OLED)、又はDLPプロジェクタ (DLP)等である。
【0039】
樹脂積層体L1は、複数の第2ダミー導体300bをさらに備えていても良い。複数の第2ダミー導体300bは、第1ダミー導体300aと同じ素材で構成可能である。複数の第2ダミー導体300bは、複数の層のうちの何れかの層上に、第1導電ライン220のうちの隣り合う第1導電ライン220の少なくとも一部の間に位置するように各々設けられている。例えば、複数の第2ダミー導体300bは、以下1)~4)の何れかの構成とすることが可能である。
1)複数の第2ダミー導体300bは、
図2Bに示されるように、第2層200の上記一方の面上の隣り合う第1導電ライン220の並列部221aの間に各々間隙を有して設けられている。
2)複数の第2ダミー導体300bは、第2層200の上記一方の面上の隣り合う第1導電ライン220の間の全て
の領域に各々間隙を有して設けられている。
3)複数の第2ダミー導体300bは、第2層200以外の層の面上にZ方向側から見て隣り合う第1導電ライン220の並列部221aの間に各々位置するように設けられている。この場合、複数の第2ダミー導体300bは、第2層200以外の層の面上に設けられている以外、上記1)と同様の構成とすることが可能である。
4)複数の第2ダミー導体300bは、第2層200以外の層の面上にZ方向側から見て隣り合う第1導電ライン220の間の全て
の領域に各々位置するように設けられている。この場合、複数の第2ダミー導体300bは、第2層200以外の層の面上に設けられている以外、上記2)と同様の構成とすることが可能である。
なお、
図2Bでは、視認し易くするために、第2ダミー導体300bにドット柄を付しているが、現実に付されているわけではないので、留意されたい。
【0040】
ここで、第1導電ライン220の並列部221の間(
図2Bでは、並列部221b間及び並列部221cの間)の間の並び方向の距離(最短距離)を距離D1とする。並び方向は、並列部221b、221cの各々の並列配置の方向である。
図2Bでは、並列部221bの並び方向はY-Y’方向であり、並列部221cの並び方向はX-X’方向である。
最端の第1導電ライン220と第1ダミー導体300aの間の面方向の距離(最短距離)を距離D2とする。面方向は第2層200の一方の面に沿う方向である。
隣り合う第1導電ライン220と第2ダミー導体300bとの間の面方向の距離(最短距離)を距離D3とする。
第1層100の第1面101から第1導電ライン220までのZ-Z’方向の距離を距離D4とする。
【0041】
樹脂積層体L1は、下記A)~C)の何れかの構成を有していると良い。
A)距離D1(第1距離)及び距離D2(第2距離)は、500μm以下とすると良く、より好ましくは300μm以下とすると良い。なお、A)の場合、第2ダミー導体300bは省略可能である。
B)距離D3(第3距離)及び距離D2は、500μm以下とすると良く、より好ましくは300μm以下とすると良い。なお、B)の場合、第1導電ライン220の並列部221は省略可能である。
C)距離D1、距離D2及び距離D3は、500μm以下とすると良く、より好ましくは300μm以下とすると良い。
なお、A)距離D1及び距離D2、B)距離D3及び距離D2、又はC)距離D1、距離D2及び距離D3は、距離D4よりも小さくすることが可能である。
距離D4は、概ね500μm以下である。
【0042】
複数の層は、第3層400をさらに有していても良い。第3層400は、第2層200と同様の構成とすることが可能である。第3層400の第1面401は、第2層200と同様に第2層200の第2面202に直接的又は間接的に固定されている。なお、第3層400の第2面402は、第1面401の反対側の面である。
【0043】
樹脂積層体L1は、複数の第2電極410(第2機能部)と、複数の第2導電ライン420をさらに備えた構成とすることが可能である。なお、
図2Cでは、視認し易くするために、第2電極410及び第2導電ライン420にドット柄を付しているが、現実に付されているわけではないので、留意されたい。
【0044】
複数の第2電極410は、第1電極210と同様の透明導電膜又は導体である。複数の第2電極410は、以下の1)~3)の何れかの構成とすることが可能である。
1)複数の第2電極410は、
図1A~
図1D及び
図2Cに示されるように、X-X’方向に各々延びており且つ複数の第1電極210に交差するように第3層400の第1面401及び第2面402の何れか一方の面上にY-Y’方向に間隔をあけて設けられている。
2)複数の第2電極410は、X-X’方向に各々延びており且つ複数の第1電極210に交差するように第2層200の第1面201及び第2面202の他方の面上にY-Y’方向に間隔をあけて設けられている。
3)複数の第2電極410は、X-X’方向に各々延びており且つ複数の第1電極210に交差するように第2層200の上記一方の面上にY-Y’方向に間隔をあけて設けられている。この場合、複数の第1電極210と複数の第2電極410との間には図示しない絶縁層が直接介在していると良い。なお、2)及び3)の場合、第3層400は省略可能である。
【0045】
複数の第2導電ライン420は、第1導電ライン220と同様の透明導電膜、金属、合金又はメタルワイヤーであって、複数の第2電極410の端(
図1A及び
図2Cでは、X方向の端)に各々接続されている。
複数の第2電極410が上記1)の構成の場合、複数の第2導電ライン420は、第3層400の一方の面上に設けられており且つ複数の第2電極410から第3層400の一方の面の端へ各々延びている。
複数の第2電極410が上記2)の構成の場合、複数の第2導電ライン420は、第2層200の他方の面上に設けられており、且つ複数の第2電極410から第2層200の他方の面の端へ各々延びている。
複数の第2電極410が上記3)の構成の場合、複数の第2導電ライン420は、第2層200の一方の面上に設けられており、且つ複数の第2電極410から第2層200の一方の面の端へ各々延びている。
なお、第2ダミー導体300bと第2導電ライン420とが必ずしも同一素材で構成されている必要はなく、異なる素材で構成されていても良い。
【0046】
樹脂積層体L1が、複数の第1電極210を備えている一方、複数の第2電極410を備えていない場合、第1電極210はさらに以下のア)又はイ)の構成とすることが可能である。なお、この場合、複数の第2導電ライン420も省略される。
ア)第1電極210の何れか一つに検出対象が接近したときに、第1電極210と検出対象との間に発生する静電容量が変化し、第1電極210の出力信号が変化する構成(自己容量型)である。
イ)第1電極210は、複数の組を含んでおり、各組が隣り合う二つの第1電極210を含んでいる。各組において、隣り合う二つの第1電極210の一方の第1電極210が駆動電極であり、他方の第1電極210が検出電極であり、両者は静電結合している。前述の組の何れか一つに検出対象が接近したときに、当該組の隣り合う二つの第1電極210間の静電容量が変化し、検出電極の出力信号が変化する構成(相互容量型)である。
【0047】
樹脂積層体L1が、複数の第1電極210及び第2電極410を備えている場合、第1電極210及び第2電極410はさらに以下のウ)又はエ)の構成とすることが可能である。
ウ)第1電極210及び第2電極410の何れか一つの電極に検出対象が接近したときに、一つの電極と検出対象との間に発生する静電容量が変化し、一つの電極の出力信号が変化する構成(自己容量型)である。
エ)第1電極210及び第2電極410の何れか一方が駆動電極であり、他方が検出電極である。第1電極210及び第2電極410は、互いに交差する箇所で静電結合されている。この結合箇所の何れか一つに検出対象が接近したときに、当該結合箇所の静電容量が変化し、当該結合箇所の検出電極の出力信号が変化する構成(相互容量型)である。
【0048】
樹脂積層体L1は、第1接地導体300cをさらに備えていても良い。この場合、第1ダミー導体300aは、当該第1ダミー導体300aが設けられていない第3空き領域303aをさらに有している。第1接地導体300cは、第1ダミー導体300aが設けられた層の同じ面上の第3空き領域303a内に設けられており、複数の第2導電ライン420のZ方向側に位置していると良い。すなわち、第1接地導体300cは、Z方向側から見て複数の第2導電ライン420を覆っている。なお、
図1A~
図1C及び
図2Bでは、第1接地導体300cは、第2層200の第1面201上の第3空き領域303a内に設けられている。第1接地導体300cは、第1ダミー導体300aと同じ素材で構成可能であって、グランド接続される。なお、
図3に示すように、第3空き領域303a及び第1接地導体300cは省略可能である。この場合、第3空き領域303aにも第1ダミー導体300aが設けられていると良い。
【0049】
樹脂積層体L1は、第2接地導体300dをさらに備えていても良い。第2接地導体300dは、複数の第1導電ライン220のZ方向側又はZ’方向側に位置するように第2層200の他方の面に設けられていても良いし、複数の第1導電ライン220のZ’方向側に位置するように第3層400の一方の面上に設けられていても良い。すなわち、第2接地導体300dは、Z方向側又はZ’方向側から見て複数の第1導電ライン220を覆っている。なお、
図1A~
図1C及び
図2Cでは、第2接地導体300dは、第3層400の第1面401上に設けられている。この第2接地導体300dは、第1ダミー導体300aと同じ素材で構成可能であって、グランド接続される。なお、第2接地導体300dは省略可能である。
【0050】
以上のような樹脂積層体L1による場合、樹脂積層体L1の第1導電ライン220の形状が第1層100の第1面101に転写され、浮き出す現象が抑制又は抑止される。その理由は以下のとおりである。第1導電ライン220及び第1電極210の周りには、第1ダミー導体300aが配置されている。これに加えて、A)距離D1及び距離D2、B)距離D3及び距離D2、又はC)距離D1、距離D2及び距離D3が500μm以下と非常に小さい。なお、A)距離D1及び距離D2、B)距離D3及び距離D2、又はC)距離D1、距離D2及び距離D3を300μm以下とすることによって、樹脂積層体L1の第1導電ライン220の形状が第1層100の第1面101に転写され、浮き出す現象がほぼ抑止される。
【実施例2】
【0051】
以下、本発明の実施例2を含む複数の実施例に係る樹脂積層体L2について
図4を参照しつつ説明する。
図4には、実施例2に係る樹脂積層体L2が示されている。この樹脂積層体L2は、第1ダミー導体300a’が複数である点で相違する以外、樹脂積層体L1と同じ構成である。よって、この相違点について詳しく説明し、樹脂積層体L2の説明のうち、樹脂積層体L1の説明と重複する説明は省略する。
【0052】
複数の第1ダミー導体300a’は、第1ダミー導体300aと同じ素材で構成されている。第1ダミー導体300a’は、多角形状又は円形状であって、複数の層のうちの何れかの層上に、互いに間隔をあけて設けられている。
図4では、四角形状の第1ダミー導体300a’が第2層200の第1面201上に互いに間隔をあけて設けられている。第1ダミー導体300a’は、第1空き領域301a’及び第2空き領域302a’を区画するように配置されている。第1空き領域301a’及び第2空き領域302a’は、樹脂積層体L1の第1空き領域301a及び第2空き領域302aと同じである。
図5では、複数の第1ダミー導体300a’は、第1空き領域301a’及び第2空き領域302a’に加えて、
第3空き領域303a’を区画するように配置されていても良い。この第3空き領域内には、上記した通り、第1接地導体300cが設けられていると良い。
【0053】
樹脂積層体L2についても、樹脂積層体L1の上記A)~C)の何れかの構成することが可能である。これに加えて、距離D5(第4距離)は、500μm以下とすると良く、より好ましくは300μm以下とすると良い。距離D5は第1ダミー導体300a’間の距離(最短距離)である。距離D5は距離D4よりも小さくすると良い。
【0054】
このような態様の樹脂積層体L2による場合、樹脂積層体L1と同様の技術的特徴及び効果を奏する。加えて、樹脂積層体L2は、一又は複数の第1ダミー導体300a’とその隣の第1導電ライン220及び/又は第1電極210との意図しない電気的結合を抑制又は抑止することができる。仮に、一又は複数の第1ダミー導体300a’とその隣の第1導電ライン220及び/又は第1電極210とが電気的結合したとしても、その結合容量を小さくすることができる。
【0055】
さらに、距離D5が500μm以下と非常に小さいので、複数の第1ダミー導体300a’の形状が第1層100の第1面101に転写され、浮き出す現象が抑制又は抑止される。距離D5を300μm以下とすることによって、複数の第1ダミー導体300a’の形状が第1層100の第1面101に転写され、浮き出す現象がほぼ抑制又は抑止される。
【実施例3】
【0056】
以下、本発明の実施例3を含む複数の実施例に係る樹脂積層体L3について
図6を参照しつつ説明する。
図6には、実施例
3に係る樹脂積層体L3が示されている。この樹脂積層体L3は、複数の第2ダミー導体300bのうちの少なくとも一つに代えて、複数の第2ダミー導体300b’が設けられている点で相違する以外、樹脂積層体L1と同じ構成である。よって、この相違点について詳しく説明し、樹脂積層体L3の説明のうち、樹脂積層体L1の説明と重複する説明は省略する。
【0057】
第1導電ライン220は、隣り合う一方の第1導電ライン220と他方の第1導電ライン220を含んでいる。一方の第1導電ライン220はグランドに接続されていると良いが、これに限定されるものではない。
【0058】
複数の第2ダミー導体300b’は、第1ダミー導体300aと同じ素材で構成可能である。複数の第2ダミー導体300b’は、複数の層の何れかの層上(
図6では第2層200の第1面201上)に、一方の第1導電ライン220と他方の第1導電ライン220の間に位置するように設けられている。複数の第2ダミー導体300b’は、一方の第1導電ライン220の一部と他方の第1導電ライン220の一部の間、又は、一方の第1導電ライン220の全部と他方の第1導電ライン220の全部の間に間隔をあけて配置されている。複数の第2ダミー導体300b’は、第1導電ライン220の一部(
図6参照)又は全部に沿って各々延びる長尺状であって、その長尺方向に直交する方向に間隔をあけて配置されていても良いし、図示しない多角形状又は円形状であって、マトリックス状に配置されていても良い。複数の第2ダミー導体300b’は、第2ダミー導体300b’のうちの最も端に位置する最端の第2ダミー導体300b’を含む。
【0059】
樹脂積層体L3についても、樹脂積層体L1の上記A)~C)の何れかの構成することが可能である。ただし、距離D3は、第1導電ライン220と第2ダミー導体300bとの間の面方向の距離(最短距離)であると共に、第1導電ライン220と最端の第2ダミー導体300b’との間の面方向の距離(最短距離)である。これに加えて、距離D6(第5距離)は、500μm以下とすると良く、より好ましくは300μm以下とすると良い。距離D6は、隣り合う第2ダミー導体300b’間の距離(最短距離)である。距離D3及び距離D6は、距離D4よりも小さくすると良い。
【0060】
このような態様の樹脂積層体L3による場合、樹脂積層体L1と同様の技術的特徴及び効果を奏する。加えて、樹脂積層体L3は、第2ダミー導体300b’とその隣の第1導電ライン220との意図しない電気的結合を抑制又は抑止することができる。仮に、第2ダミー導体300b’とその隣の第1導電ライン220とが電気的結合したとしても、その結合容量を小さくすることができる。特に、一方の第1導電ライン220がグランドラインであり、且つその隣に第2ダミー導体300bがある場合、他方の第1導電ライン220が第2ダミー導体300bを介して一方の第1導電ライン220に電気的結合し、マイグレーションが発生することがある。距離D3が、上記したように500μm以下と非常に狭いためである。しかし、樹脂積層体L3では、一方の第1導電ライン220と他方の第1導電ライン220との間に複数の第2ダミー導体300b’が間隔をあけて配置されているので、他方の第1導電ライン220が第2ダミー導体300b’を介して一方の第1導電ライン220に電気的結合することが抑制又は抑止される。その結果、前述のマイグレーションの発生も抑制又は抑止される。
【0061】
さらに、距離D3及び距離D6が500μm以下と非常に小さいので、複数の第2ダミー導体300b’の形状が第1層100の第1面101に転写され、浮き出す現象が抑制又は抑止される。距離D3及び距離D6を300μm以下とすることによって、複数の第2ダミー導体300b’の形状が第1層100の第1面101に転写され、浮き出す現象がほぼ抑制又は抑止される。
【0062】
なお、樹脂積層体L2は、樹脂積層体L3と同様に、第2ダミー導体300bのうちの少なくとも一つに代えて、複数の第2ダミー導体300b’を設けることが可能である。この場合、距離D3及び距離D6も適用される。
【0063】
なお、上記した樹脂積層体は、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。
【0064】
本発明の樹脂積層体は、静電容量方式のタッチ入力装置に限定されない。例えば、本発明の樹脂積層体は、抵抗膜方式のタッチ入力装置、表示装置、発電装置、通信モジュール又はセンサモジュールなどとすることが可能である。
【0065】
本発明の樹脂積層体が抵抗膜方式のタッチ入力装置である場合、上記した何れかの態様の複数の第1電極210及び第2電極410を抵抗方式の電極(第1機能部)とし、第2層200と第3層400との間にドットスペーサを介在させると良い。これ以外については、樹脂積層体は上記実施例に記載したとおりとすることが可能である。
【0066】
本発明の樹脂積層体が表示装置(液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ (OLED))である場合、上記した何れかの態様の複数の第1電極210及び第2電極410を表示装置の表示部の電極とすると良い。液晶ディスプレイの場合、第1電極210及び第2電極410の間の第2層200を液晶層とすると良い。有機ELディスプレイの場合、第2層200、第3層400を電子輸送層、正孔輸送層とし、両者間に発光層を介在させると良い。これ以外については、樹脂積層体は上記実施例に記載したとおりとすることが可能である。
【0067】
本発明の樹脂積層体が発電装置(太陽電池)である場合、第2層200の第1面201上の複数の第1電極210及び第3層400の第2面402上の第2電極410を太陽電池の電極とし、第2層200、第3層400をN型シリコン半導体、P型シリコン半導体とすると良い。これ以外については、樹脂積層体は上記実施例に記載したとおりとすることが可能である。
【0068】
本発明の樹脂積層体は、通信モジュールである場合、上記した複数の第1電極210の代りに、少なくとも一つのアンテナが設けられていると良い。この場合、少なくとも一つのアンテナに一又は複数の第1導電ライン220が接続されていると良い。この場合、第3層400、第2電極410及び第2導電ライン420は省略する構成、又は、上記した複数の第2電極410の代りに、少なくとも一つの別のアンテナが設けられた構成とすることが可能である。後者の場合、別のアンテナに一又は複数の第2導電ライン420が接続されていると良い。これ以外については、樹脂積層体は上記実施例に記載したとおりとすることが可能である。
【0069】
本発明の樹脂積層体が、センサモジュールである場合、上記した複数の第1電極210の代りに、少なくとも一つのセンサ(例えば、発光素子及び受光素子、ジャイロセンサや加速度センサ(第1機能部))が設けられていると良い。少なくとも一つのセンサに一又は複数の第1導電ライン220が接続されていると良い。この場合、第3層400、第2電極410及び第2導電ライン420は省略される。これ以外については、樹脂積層体は上記実施例に記載したとおりとすることが可能である。
【0070】
以上のとおり、本発明の第1機能部は、少なくとも一つあれば良く、電極、表示部、アンテナ又はセンサとすることが可能であるが、少なくとも一つの第1導電ラインに電気的に接続されており且つ通電により機能を発揮する又は外部からの影響を受けて電気的に機能するものである限りどのようなものであっても構わない。
【0071】
本発明の第1ダミー導体300aは、本体部310aと、複数の小導体320aとを有する構成とすることが可能である。複数の小導体320aは、本体部310aと、上記した何れかの態様の少なくとも一つの第1機能部又は第1導電ラインとの間に配置されている。複数の小導体320aは、その密度が本体部310aから少なくとも一つの第1機能部又は第1導電ラインにいくに従って低下するように配置又は構成されている。複数の小導体320aのうち本体部310aの近傍に位置する複数の小導体320a(一部の小導体320a)は、本体部310aに一体化されている。
【0072】
この構成の第1ダミー導体300aは、以下の通り、上記樹脂積層体L1~L3に適用される。なお、この第1ダミー導体300aの構成は、本発明の樹脂積層体が上記A)~C)の何れかの構成を備えていない場合でも適用可能である。
【0073】
複数の小導体320aは、第1空き領域301a(第1電極210)及び第2空き領域302a(第1導電ライン220)の少なくとも一方の領域の周りに設けられている。換言すると、複数の小導体320aは、前記少なくとも一方の領域を区画する当該領域の縁部を構成しており、当該領域と本体部310aとの間に位置している。本体部310aは第1ダミー導体300aの複数の小導体320a以外の部分である。第1層100の第2面102上に加飾部110が設けられている場合、第1空き領域301aを区画する複数の小導体320aは加飾部110の周縁部112下(すなわち、周縁部112のZ’方向側)に配置されていると良い。複数の小導体320aは、以下のような構成とすることが可能である。
【0074】
図7Aでは、複数の小導体320aは、本体部310aと少なくとも一方の領域(すなわち、第1電極210及び第1導電ライン220の少なくとも一方)との間にドット状に配置されている。この場合、複数の小導体320aの外形寸法は、少なくとも一方の領域から離れるに従って漸次大きくなっている(すなわち、複数の小導体320aの密度は、本体部310aから少なくとも一方の領域側(第1電極210及び第1導電ライン220の少なくとも一方側)にいくに従って低下する)。複数の小導体320aのうち、本体部310aの近傍に位置する複数の小導体320aは、本体部310aに一体化されている。
【0075】
図7Bでは、複数の小導体320aは、本体部310aと少なくとも一方の領域(すなわち、第1電極210及び第1導電ライン220の少なくとも一方)との間に間隔をあけて配置されている。複数の小導体320aは、当該小導体320aの配列方向に直交する方向に各々延びた長尺状である。複数の小導体320aの配列方向の寸法は少なくとも一方の領域(すなわち、第1電極210及び第1導電ライン220の少なくとも一方)から離れるに従って漸次大きくなる(すなわち、複数の小導体320aの密度は、本体部310aから少なくとも一方の領域側(第1電極210及び第1導電ライン220の少なくとも一方側)にいくに従って低下する)。複数の小導体320aのうち、本体部310aの近傍に位置する一又は複数の小導体320aは、本体部310aに一体化されている。
【0076】
図7Cに示される複数の小導体320aは、
図7Bに示される複数の小導体320aと以下の点で相違している以外、両者は同様の構成である。複数の小導体320aの配列方向の寸法は同じであり、その代わりに、複数の小導体320aの配列方向の間隔が、少なくとも一方の領域(すなわち、第1電極210及び第1導電ライン220の少なくとも一方)から離れるに従って漸次小さくなっている(すなわち、複数の小導体320aの密度は、本体部310aから少なくとも一方の領域側(第1電極210及び第1導電ライン220の少なくとも一方側)にいくに従って低下する)。
【0077】
図7A~
図7Cに示される第1ダミー導体300aによる場合、第1導電ライン220の形状が第1層100の第1面101に転写され、浮き出す現象が抑制又は抑止されると共に、第1ダミー導体300aの少なくとも一方の領域側の端の形状が第1層100の第1面101に転写され、浮き出す現象が抑制又は抑止される。複数の小導体320aのうちの最も第1空き領域301a側に位置する最端の小導体320aの第1空き領域301a側の端が、加飾部110の開口部111と周縁部112との境界(上記Viewing AREA(VA)の縁)とZ-Z’方向においてほぼ一致していても良いが、これに限定されるものではない。なぜなら、前述の通り、複数の小導体320aの密度は、本体部310aから第1空き領域301a側にいくに従って低下するため、最端の小導体320aの第1空き領域301a側の端とVAの縁とが一致していなくても(多少ズレていても)、VAの縁からはみ出た小導体320aの存在が視認され難い。よって、加飾部110を有する第1層100と、第1ダミー導体300aを有する層とを貼り合わせる又は上記少なくとも一つの他の層を介して積層する際に、VAの縁と第1空き領域301aを区画する複数の小導体320aの端との位置合わせが容易になる。
【0078】
図7Dでは、複数の小導体320aは、本体部310aから少なくとも一方の領域(すなわち、第1電極210及び第1導電ライン220の少なくとも一方)へ櫛歯状に各々延びている。複数の小導体320aの櫛歯方向の寸法は本体部310aから少なくとも一方の領域に向けて漸次先鋭化さされている(すなわち、複数の小導体320aの密度は、本体部310aから少なくとも一方の領域側(第1電極210及び第1導電ライン220の少なくとも一方側)にいくに従って低下する)。このようにすると、第1導電ライン220の形状が第1層100の第1面101に転写され、浮き出す現象が抑制又は抑止されると共に、第1ダミー導体300aの少なくとも一方の領域側の端の形状が第1層100の第1面101に転写され、浮き出す現象が抑制又は抑止される。複数の小導体320aの先端(少なくとも一方の領域側の端)は、加飾部110の開口部111と周縁部112との境界(上記VAの縁)とZ-Z’方向においてほぼ一致していても良いが、これに限定されるものではない。前述の通り、小導体320aの密度は、本体部310aから第1空き領域301a側にいくに従って低下するため、小導体320aの第1空き領域301a側の先端とVAの縁とが一致していなくても(多少ズレていても)、VAの縁からはみ出た小導体320aの先端部分の存在が視認され難い。よって、加飾部110を有する第1層100と、第1ダミー導体300aを有する層とを貼り合わせる又は上記少なくとも一つの他の層を介して積層する際に、VAの縁と第1空き領域301aを区画する複数の小導体320aの端との位置合わせが容易になる。
【0079】
本発明の第1ダミー導体300a’のうち、第1空き領域301a’及び第2空き領域302a’の少なくとも一方の領域に最も近い第1ダミー導体300a’は、上記何れかの態様の本体部310a及び複数の小導体320aを有する構成とすることが可能である。
【0080】
本発明の第2ダミー導体300bについても、上記何れかの態様の本体部310a及び複数の小導体320aを有する構成とすることが可能である。第2ダミー導体300bの本体部310a及び複数の小導体320aと、第1ダミー導体300aの本体部310a及び複数の小導体320aとの相違点についてのみ詳しく説明する。これ以外については、両者は同様の構成である。
【0081】
第2ダミー導体300bの複数の小導体320aは、第1導電ライン220のうち隣り合う二つの第1導電ライン220の少なくとも一部の近傍に各々設けられている。一方の第1導電ライン220の近傍の複数の小導体320aと、他方の第1導電ライン220の近傍の複数の小導体320aとの間に本体部310aが設けられている。
図7Aに示される小導体320aの場合、小導体320aの外形寸法は、第1導電ライン220から離れるに従って漸次大きくすると良い。
図7Bに示される小導体320aの場合、小導体320aの配列方向の寸法は第1導電ライン220から離れるに従って漸次大きくすると良い。
図7Cに示される小導体320aの場合、小導体320aは配列方向の間隔は、第1導電ライン220から離れるに従って漸次小さくすると良い。
図7Dに示される小導体320aの場合、小導体320aは本体部310aから第1導電ライン220へ櫛歯状に延びている。小導体320aの櫛歯方向の寸法は本体部310aから第1導電ライン220に向けて漸次先鋭化されている。これらのようにした場合、第1導電ライン220の形状が第1層100の第1面101に転写され、浮き出す現象が抑制又は抑止されると共に、第2ダミー導体300bの第1導電ライン220側の端の形状が第1層100の第1面101に転写され、浮き出す現象が抑制又は抑止される。なお、この第2ダミー導体300bの構成は、樹脂積層体が上記A)~C)の構成を備えていない場合でも適用可能である。
【0082】
本発明の第1ダミー導体及び/又は第2ダミー導体は、第1電極及び第1導電ラインに対して絶縁されていても良い。本発明の第1ダミー導体及び/又は第2ダミー導体は、GNDに接続されていても良い。又は、本発明の第1ダミー導体及び/又は第2ダミー導体は、一定の電圧又は何らかの動的電圧が印加される構成となっていても良い。本発明の第1ダミー導体及び/又は第2ダミー導体は、複数の層のうちの何れかの一つの層(第2層を含む)上に形成されているのに限定されない。例えば、本発明の第1ダミー導体及び/又は第2ダミー導体は複数であって、そのうちの少なくとも一つが複数の層のうちの何れかの一つの層上に形成され、別の少なくとも一つが複数の層のうちの別の一つの層上に形成されていても良い。なお、本発明の第1ダミー導体及び/又は第2ダミー導体は、少なくとも一つあれば良い。
【0083】
本発明の第1導電ラインの少なくとも一部の外形寸法を大きくすることによって、第1距離を500μm以下とすることができる。また、本発明の第1導電ラインの少なくとも一部の外形寸法を大きくすることによって、タッチ入力装置の意匠領域を埋めることも可能である。この場合、第1導電ラインが第1ダミー導体の代りになるため、第1ダミー導体は省略可能である。
【0084】
本発明の複数の層のうち、第1層100及び第2層200以外の層については、機能層(例えば、アンチグレア層、アンチニュートン層、低反射層、自己修復層、抗菌層及び/又は帯電防止層など)であっても良いし、ダミー層であっても良い。
【0085】
本発明の樹脂積層体は、実施例の如く、フラットの形状に限定されない。例えば、樹脂積層体は、その全部又は一部が曲面状に湾曲していても良い。
【0086】
なお、上記実施例の各態様及び設計変形例における樹脂積層体の各構成要素を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。上記した実施例の各態様及び設計変更例は、互いに矛盾しない限り、相互に組み合わせることが可能である。なお、本発明の積層方向(Z-Z’方向)は、本発明の複数の層の積層方向である限り任意に設定可能である。本発明のX-X’方向は、積層方向に交差する限り任意に設定可能である。本発明のY-Y’方向は、積層方向及びX-X’方向に交差しており且つ積層方向及びX-X’方向が位置する平面上に位置しない限り任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0087】
L1~L3:樹脂積層体
100:第1層
101:第1面
102:第2面
110:加飾部
111:開口部
200:第2層
201:第1面
202:第2面
210:第1電極(第1機能部)
220:第1導電ライン
221(221a~221c):並列部
300a、300a’:第1ダミー導体
301a、301a’:第1空き領域
302a、302a’:第2空き領域
300b、300b’:第2ダミー導体
300c:第1接地導体
300d:第2接地導体
400:第3層
401:第1面
402:第2面
410:第2電極(第2機能部)
420:第2導電ライン
D1:距離(第1距離)
D2:距離(第2距離)
D3:距離(第3距離)
D4:距離
D5:距離(第4距離)
D6:距離(第5距離)
O:OCAフィルム