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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】防火建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20220111BHJP
   E06B 7/14 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B7/14
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018083518
(22)【出願日】2018-04-24
(65)【公開番号】P2019190116
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】山口 一儀
(72)【発明者】
【氏名】永田 孫史
(72)【発明者】
【氏名】三室 智史
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-256485(JP,A)
【文献】特開2016-169600(JP,A)
【文献】特開2014-198959(JP,A)
【文献】特開2014-118748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00 - 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竪框に横框がいんろう接合されており、
竪框は、パネル間口の底壁に横框のパネル間口に浸入した水が排水される排水孔を有するとともに、パネル間口の底壁の外周側で排水孔の下端もしくは下端近傍に膨張材配置部を備える膨張材取付部材を有しており、膨張材配置部の上面に火災時に膨張して排水孔を塞ぐ膨張材が配置されている防火建具。
【請求項2】
竪框に横框がいんろう接合されており、
竪框は、パネル間口の底壁に横框のパネル間口に浸入した水が排水される排水孔を有しており、
いんろう接合部には、パネル間口の底壁の外周側で排水孔の下端もしくは下端近傍に膨張材配置部を備える膨張材取付部材を有しており、膨張材配置部の上面に火災時に膨張して排水孔を塞ぐ膨張材が配置されている防火建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に配置される防火建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物開口部に配置される防火建具として、火災時に加熱膨張材によって下框に形成された水抜孔を塞ぐ防火建具が公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6253883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の防火建具は、膨張材を配置したアタッチメントを、下框に形成した通孔に対してネジ等により固定しており、下框に形成された排水孔については考慮されているが、竪框に形成された排水孔については考慮されてはいなかった。また、アタッチメントを固定するために通孔を形成する必要があった。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑み、竪框に形成された排水孔を塞ぐための加熱膨張材を容易に配置することができる防火建具を提供することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、竪框に横框がいんろう接合されており、
竪框は、パネル間口の底壁に横框のパネル間口に浸入した水が排水される排水孔を有するとともに、パネル間口の底壁の外周側で排水孔の下端もしくは下端近傍に膨張材配置部を備える膨張材取付部材を有しており、膨張材配置部の上面に火災時に膨張して排水孔を塞ぐ膨張材が配置されている防火建具である。
また、本発明の一実施形態は、竪框に横框がいんろう接合されており、竪框は、パネル間口の底壁に横框のパネル間口に浸入した水が排水される排水孔を有しており、いんろう接合部には、パネル間口の底壁の外周側で排水孔の下端もしくは下端近傍に膨張材配置部を備える膨張材取付部材を有しており、膨張材配置部の上面に火災時に膨張して排水孔を塞ぐ膨張材が配置されている防火建具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態の防火建具により、竪框に形成された排水孔を塞ぐための加熱膨張材を、容易に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る防火建具の外観図である。
図2】本発明の一実施形態に係る防火建具の竪断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る防火建具の横断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る防火建具の下框と左竪框の連結部の分解斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る防火建具の左竪框付近の下框部分の竪断面図であり、(a)は、加熱膨張材を配置していない状態、(b)は加熱膨張材を配置している状態の図である。
図6】本発明の一実施形態に係る防火建具に用いられる膨張材取付部材の図であり、(a)(b)は斜視図、(c)は正面図、(d)は下方から見た図、(e)は側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る防火建具の下框と左竪框の連結部の斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る防火建具の下框と右竪框の連結部の分解斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係る防火建具の右竪框付近の下框部分の竪断面図であり、(a)は、加熱膨張材を配置していない状態、(b)は加熱膨張材を配置している状態の図である。
図10】本発明の一実施形態に係る防火建具に用いられる膨張材取付部材の図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は平面図、(d)は側面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る防火建具の下框と右竪框の連結部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態の防火建具について、図面を参考にして説明する。
(全体の構成)
図1ないし3に示すように、本実施形態の防火建具は、上枠11、下枠12及び左、右竪枠13,14を四周に組んでなる枠体1の内周に上框21、下框22及び左、右竪框23,24を四周に組んで内周にガラス等のパネル体25を嵌め込んでなる障子2を有している。
そして、上枠11と上框21との間及び下枠12と下框22との間に配置したフリクションバー等の機構により外開き自在に配置してなる外開き建具として構成されている。
【0010】
枠体1を構成する上枠11は、建物の躯体開口部の内周に配置される上枠本体部111と、上枠本体部111の室内側より下方に延設される室内側壁部112を有している。
室内側壁部112の室外側面の下端には、障子2の上框21の室内側面に当接もしくは近接する気密材を取り付ける気密材取付部112aが形成されており、気密材取付部112aの上方(外周)位置には、加熱膨張材ホルダー112bが形成されている。
【0011】
また、上枠本体部111の室外側端には、閉鎖時に障子2の上框21の室外側部上端に当接もしくは近接する気密材を取り付ける気密材取付部111aが形成されている。
【0012】
枠体1を構成する下枠12は、建物の躯体開口部の内周に配置される下枠本体部121と、下枠本体部121の室内側より立ち上がる中空部122を有している。
中空部122を構成する室外側壁122aの室外側面の上端には、障子2の下框22の室内側面に当接もしくは近接する気密材を取り付ける気密材取付部122sが形成されており、気密材取付部122sの下方(外周)位置には、加熱膨張材ホルダー122tが形成されている。
【0013】
枠体1を構成する左竪枠13は、建物の躯体開口部の内周に配置される左竪枠本体部131と、左竪枠本体部131の室内側より内周側に延びる室内側壁部132を有している。
室内側壁部132の室外側面の内周端には、障子2の左竪框23の室内側面に当接もしくは近接する気密材を取り付ける気密材取付部132aが形成されているとともに、気密材取付部132aの外周位置には、加熱膨張材ホルダー132bが形成されている。
なお、枠体1を構成する右竪枠14については、その構成は左竪枠13とほぼ同様であるので、その説明は省略する。
【0014】
障子2の上框21は、中空部211aを有する上框本体211と、上框本体211の室内側下面に取り付けられる押縁材212を有しており、上框本体211の中空部211aの室外側下面から下方に延設された室外側間口壁部211bと押縁材212とによりパネル間口が形成されている。
【0015】
障子2の下框22は、中空部221aを有する下框本体221と、下框本体221の室内側上面に取り付けられる押縁材222を有しており、下框本体221の中空部221aの室外側上面から上方に延設された室外側間口壁部221bと押縁材222とによりパネル間口が形成されている。
【0016】
障子2の左竪框23は、中空部231aを有する左竪框本体231と、左竪框本体231の室内側内周面に取り付けられる押縁材232を有しており、左竪框本体231の中空部231aの室外側内周面から内周方向に延設された室外側間口壁部231bと押縁材232とによりパネル間口が形成されている。
左竪框本体231の中空部231aの室外側端から外周方向に向かって室外側壁231cが延設されており、室外側壁231cの端部に左竪枠13との間を気密する気密材が設けられている。
なお、障子2を構成する右竪框24については、その構成は左竪框23とほぼ同様であるので、その説明は省略する。
【0017】
次に、本実施形態の防火建具の下框22のパネル間口に侵入した結露水等を排水するための構成について、図4ないし11を参考にして、説明する。
【0018】
本実施形態の防火建具の障子2は、竪框に横框がいんろう接合されて框組されている。
障子2を構成する吊元側の左竪框23及び戸先側の右竪框24は、図4図8に示すように、下端部内周面に、室外側の高い位置に一つと室内側の低い位置に一つの合計二か所にタッピングホール23a,24aが形成されており、下端部外周面に、タッピングホール23a,24aの位置に対応するように挿入孔23b,24bが形成されている。
【0019】
一方、障子2を構成する下框22の中空部221a内には、左、右竪框23,24のタッピングホール23a,24aに対応するようにタッピングホール22a,22aが形成されている。そして、下框22の左右端面が左、右竪框23,24の室外側間口壁部231b,241bと押縁係止部231d,241dとの間において下端部内周面に当接され、左、右竪框23,24の外周面から挿入孔23b,24bを介して挿入されたタッピングビスb1が下框22のタッピングホール22a,22aに螺合されることで、左竪框23及び右竪框24と、下框22とが連結されている。
【0020】
そして、本実施形態の防火建具の下框22においては、図5(a),図9(a)に示すように、下框22の中空部221aの上壁(パネル間口側壁)に長手方向に沿って凹溝221eが形成されているとともに、下框22の端面が当接する左、右竪框23,24の下端部内周面に凹溝221eに対向するように排水孔23c,24cが形成されている。これらの凹溝221eと排水孔23c,24cとによって下框22のパネル間口から左、右竪框23,24の中空部231a,241aに続く排水経路が形成されており、下框22のパネル間口に浸入した結露等の水を左、右竪框23,24の下端から排水することができる。
【0021】
ここで、左、右竪框23,24の内周面に排水孔23c,24cを形成することによって、火災時には、該排水孔23c,24cを介して煙や可燃性のガス等が室内に浸入する可能性がある。そこで、本実施形態の防火建具においては、左、右竪框23,24の中空部231a,241aに加熱膨張材61,62を配置して、火災時に排水孔23c,24cを塞ぐことで、煙やガス等の侵入を抑制している。
【0022】
左竪框23に配置される加熱膨張材61は、中空部231a内に固定される膨張材取付部材71によって中空部231a内に配置されている。膨張材取付部材71は、図6に示すように、加熱膨張材61が配置される膨張材配置部71aと、中空部231aに固定される固定部71bと、膨張材配置部71aと平行に固定部71bに連続する脚部71cを有しており、全体として断面略U字状の金属製の曲げ部材により形成されている。なお、膨張材取付部材71の形状は、上記実施形態のものに限定されるものではない。
【0023】
膨張材取付部材71の固定部71bには、左竪框23の中空部231aに形成されたタッピングホール23a,23aに対応する二つのネジ孔71d,71dが形成されている。
そして、加熱膨張材61が取り付けられた膨張材取付部材71は、図7に示すように、左竪框23に対して下框22を連結するに際して、左竪框23の中空部231a内のパネル間口側壁面に当接され、タッピングビスb1,b1によって下框22及び左竪框23とともに共締めされることで、中空部231a内に固定されている。
【0024】
左竪框23の中空部231aに共締め固定された膨張材取付部材71の膨張材配置部71aは、図5(b),図7に示すように、左竪框23に形成された排水孔23cの下端もしくは下端近傍に位置しており、膨張材取付部材71の膨張材配置部71aに取付けられた加熱膨張材61を排水孔23cの下方位置に配置している。
【0025】
一方、右竪框24に配置される加熱膨張材62は、中空部241a内に固定される膨張材取付部材72によって中空部241a内に配置されている。膨張材取付部材72は、図10に示すように、加熱膨張材62が配置される膨張材配置部72aと、中空部241aに固定される固定部72bを有しており、全体として断面略L字状の金属製の曲げ部材により形成されている。なお、膨張材取付部材72の形状は、上記実施形態のものに限定されるものではない。
【0026】
膨張材取付部材72の固定部72bには、右竪框24の中空部241aに形成されたタッピングホール24a,24aに対応する二つのネジ孔72d,72dが形成されている。
そして、加熱膨張材62が取り付けられた膨張材取付部材72は、図11に示すように、右竪框24に対して下框22を連結するに際して、右竪框24の中空部241a内のパネル間口側壁面に当接され、タッピングビスb1,b1によって下框22及び右竪框24とともに共締めされることで、中空部241a内に固定されている。
【0027】
右竪框24の中空部241aに共締め固定された膨張材取付部材72の膨張材配置部72aは、図9(b),図11に示すように、右竪框24に形成された排水孔24cの下端もしくは下端近傍に位置しており、膨張材取付部材72の膨張材配置部72aに取付けられた加熱膨張材62を排水孔23cの下方位置に配置している。
【0028】
以上のように、本実施形態の防火建具によれば、左、右竪框23,24に下框22がいんろう接合されており、下框22のパネル間口を構成する中空部221aの上壁には長手方向に沿って凹溝221eが形成されており、下框22の端面が当接する左、右竪框23,24の下端部内周面に凹溝221eに対向するように排水孔23c,24cが形成されているので、下框22のパネル間口に浸入した結露水等の水を左、右竪框23,24の下端からスムーズに排水することができる。
【0029】
そして、左、右竪框23,24内には、火災時に膨張して排水孔23c,23cを塞ぐように加熱膨張材61,62が配置されているので、火災時に排水孔23c,24cを介してガスや煙等が浸入することを防ぐことができ、火災の延焼を抑制することができる。
【0030】
また、左、右竪框23,24内に配置される加熱膨張材61,62は、左、右竪框23,24の中空部231a,241aに固定される膨張材取付部材71,72の上面に配置されているので、膨張する加熱膨張材61,62を下方から支持することができ、排水孔23c,24cの閉塞状態を確実に維持することができる。
【0031】
さらに、加熱膨張材61,62が取り付けられた膨張材取付部材71,72は、左、右竪框23,24と下框22とを連結するタッピングビスb1により固定されているので、膨張材取付部材71,72を固定するための取付部を設ける必要がなく、加熱膨張材61,62の位置決めを容易に行うことができる。
【0032】
なお、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
1 :枠体
2 :障子
22 :下框
22a :タッピングホール
221 :下框本体
221a :中空部
221b :室外側間口壁部
221e :凹溝
222 :押縁材
231 :左竪框本体
23 :左竪框
23a :タッピングホール
23b :挿入孔
23c :排水孔
231a :中空部
231b :室外側間口壁部
231c :室外側壁
231d :押縁係止部
232 :押縁材
24 :右竪框
24a :タッピングホール
24b :挿入孔
24c :排水孔
61 :加熱膨張材
62 :加熱膨張材
71 :膨張材取付部材
72 :膨張材取付部材
b1 :タッピングビス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11