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  • 特許-空間管理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】空間管理装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20220111BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220111BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G08B25/04 F
G06Q50/10
G08B25/04 H
G08B21/24
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018231465
(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公開番号】P2020095371
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 進
(72)【発明者】
【氏名】菊原 啓明
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 友子
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 政希
(72)【発明者】
【氏名】桝 泰将
(72)【発明者】
【氏名】小野 勝男
(72)【発明者】
【氏名】笈田 幹弘
(72)【発明者】
【氏名】本村 雅洋
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-242514(JP,A)
【文献】特開2004-240839(JP,A)
【文献】特開2013-077258(JP,A)
【文献】特開2010-117889(JP,A)
【文献】特開2010-170281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F19/00
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08B19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が居住、宿泊、又は滞在するための建築物又は敷地を含む居住空間に関する情報を保持する空間情報保持部と、
前記居住空間における人又は移動体の位置に関する条件を保持する条件保持部と、
前記条件を設定し、前記条件保持部に格納する条件設定部と、
前記居住空間に存在する人又は移動体の識別情報及び位置情報を検知する検知装置から前記識別情報及び位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部により取得された前記識別情報及び位置情報に基づいて、前記条件保持部に保持された条件を参照し、前記居住空間に存在する人又は移動体のその位置での滞在又は別の位置への移動の許否を判定する判定部と、
を備え、
前記空間情報保持部は、前記居住空間において区画された複数の領域に関する情報を保持し、
前記条件保持部は、前記領域での滞在、前記領域への進入、前記領域の通過、及び前記領域からの退出のうち少なくとも1つに関する条件を領域ごとに保持し、
前記条件設定部は、前記条件保持部に保持された条件に、時刻、曜日、又は天候に関する停止条件又は解除条件が付されている場合、前記停止条件又は解除条件が成就したか否かを判定し、成就されていた場合は、前記条件保持部に格納されている条件を有効若しくは無効にし、又は条件を変更し、
前記判定部は、前記位置情報取得部により取得された識別情報により識別される人又は移動体の前記領域での滞在、前記領域への進入、前記領域の通過、及び前記領域からの退出のうち少なくとも1つの許否を判定する
ことを特徴とする空間管理装置。
【請求項2】
前記条件保持部は、前記居住空間において前記居住空間に居住、宿泊、又は滞在する人に対するサービスを提供するサービス提供者に関する条件を保持することを特徴とする請求項1に記載の空間管理装置。
【請求項3】
前記条件保持部は、前記居住空間において前記居住空間に居住、宿泊、又は滞在する人からサービスを享受するサービス享受者に関する条件を保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の空間管理装置。
【請求項4】
前記サービス提供者から、前記居住空間の建材又は設備の不具合に関する情報を取得する居住空間情報取得部を更に備えることを特徴とする請求項に記載の空間管理装置。
【請求項5】
前記サービス享受者から、前記居住空間の建材又は設備の不具合に関する情報を取得する居住空間情報取得部を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の空間管理装置。
【請求項6】
前記居住空間情報取得部により取得された情報に基づいて、前記居住空間のリフォームに関する情報を前記居住空間の管理者に提供する情報提供部を更に備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の空間管理装置。
【請求項7】
前記空間管理装置は、前記領域の管理者から、前記領域に関する条件を受け付け、前記条件保持部に格納する条件受付部を更に備えることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の空間管理装置。
【請求項8】
前記判定部により前記滞在又は移動が許可されないと判定された場合、その旨をその人又は移動体が認識可能に提示する提示部を更に備えることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の空間管理装置。
【請求項9】
前記条件に反して前記領域での滞在、前記領域への進入、前記領域の通過、又は前記領域からの退出が行われたことが検知された場合、違反者に対して警告を発し、又は、前記領域の管理者にその旨を通知する通知部を更に備えることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の空間管理装置。
【請求項10】
前記領域の出入口に設けられた開閉部の施解錠を制御する施解錠制御部を更に備え、
前記施解錠制御部は、前記判定部により前記領域への進入、前記領域の通過、又は前記領域からの退出が許可された場合に、前記開閉部を解錠することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の空間管理装置。
【請求項11】
コンピュータを、
人が居住、宿泊、又は滞在するための建築物又は敷地を含む居住空間に関する情報を保持する空間情報保持部、
前記居住空間における人又は移動体の位置に関する条件を保持する条件保持部、
前記条件を設定し、前記条件保持部に格納する条件設定部、
前記居住空間に存在する人又は移動体の識別情報及び位置情報を検知する検知装置から前記識別情報及び位置情報を取得する位置情報取得部、
前記位置情報取得部により取得された前記識別情報及び位置情報に基づいて、前記条件保持部に保持された条件を参照し、前記居住空間に存在する人又は移動体のその位置での滞在又は別の位置への移動の許否を判定する判定部、
として機能させ、
前記空間情報保持部は、前記居住空間において区画された複数の領域に関する情報を保持し、
前記条件保持部は、前記領域での滞在、前記領域への進入、前記領域の通過、及び前記領域からの退出のうち少なくとも1つに関する条件を領域ごとに保持し、
前記条件設定部は、前記条件保持部に保持された条件に、時刻、曜日、又は天候に関する停止条件又は解除条件が付されている場合、前記停止条件又は解除条件が成就したか否かを判定し、成就されていた場合は、前記条件保持部に格納されている条件を有効若しくは無効にし、又は条件を変更し、
前記判定部は、前記位置情報取得部により取得された識別情報により識別される人又は移動体の前記領域での滞在、前記領域への進入、前記領域の通過、及び前記領域からの退出のうち少なくとも1つの許否を判定する
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間管理技術に関し、とくに、人又は移動体が存在する空間を管理する空間管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅は、人が生活するための重要な基盤である。安全で快適な生活を守るために、住宅のセキュリティ性を向上させるための様々な技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ユーザが携帯している携帯情報端末と、携帯情報端末を携帯している人物、動物、もしくは人工物が部屋、もしくは建物を通過したことを検知し、前記ユーザの携帯情報端末に送信することを特徴とする入退室監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-329277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の住宅では、居住者の安全やプライバシーなどを保護するために、住宅内の生活を外部の社会から遮断するセキュリティ技術が重視されてきたが、未来の住宅では、より利便性の高い豊かな生活を実現するために、住宅内の生活と外部の社会とを連携する機能が求められるであろう。例えば、家事代行、介護、宅配などのサービスを居住者に提供するサービス提供者が住宅内に入室してサービスを提供したり、民泊、貸駐車場などのサービスを居住者から享受するサービス享受者が住宅内に入室してサービスを享受したりすることが想定される。
【0006】
このような新しい住宅の在り方を実現するためには、居住者以外の人や移動体が存在しうる住空間を適切に管理する技術が求められる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、空間を適切に管理する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の空間管理装置は、人が居住、宿泊、又は滞在するための建築物又は敷地を含む居住空間に関する情報を保持する空間情報保持部と、居住空間における人又は移動体の位置に関する条件を保持する条件保持部と、居住空間に存在する人又は移動体の識別情報及び位置情報を検知する検知装置から識別情報及び位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報取得部により取得された識別情報及び位置情報に基づいて、条件保持部に保持された条件を参照し、居住空間に存在する人又は移動体のその位置での滞在又は別の位置への移動の許否を判定する判定部と、を備え、空間情報保持部は、居住空間において区画された複数の領域に関する情報を保持し、条件保持部は、領域での滞在、領域への進入、領域の通過、領域からの退出に関する条件を領域ごとに保持し、判定部は、位置情報取得部により取得された識別情報により識別される人又は移動体の領域での滞在、領域への進入、領域の通過、領域からの退出の許否を判定する。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、空間を適切に管理する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る空間管理システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る空間管理装置の構成を示す図である。
図3】条件保持部の内部データの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述したように、これからの住宅では、外部のサービス提供者からサービスの提供を受けたり、外部のサービス享受者へサービスを提供したりするために、居住者以外の人や移動体などを住宅の内部へ進入させることが想定される。しかし、住宅内に進入する全ての人や移動体に、住宅内の全ての領域を自由に使用させる必要はないので、人又は移動体ごとに滞在又は移動可能な領域を管理する必要がある。
【0013】
そこで、本発明の実施の形態として、住宅内に進入する人や移動体ごとに滞在又は移動の許否を判定し、判定結果に基づいて物理的又は心理的に滞在又は移動を制限することが可能な空間管理システムを提案する。このような新しいセキュリティ技術を導入することにより、第三者や移動体が住宅内に進入したときにも、生活の安全やプライバシーを適切に保護することができる。これにより、居住者は安心して第三者や移動体を住宅内に受け入れることができるので、居住者の利便性を向上させ、豊かな暮らしを実現することができる。
【0014】
このような空間管理技術は、住宅に限らず、宿泊施設、住宅や宿泊施設などに併設された駐車場や庭などの敷地、乳幼児や高齢者などを滞在させる施設など、人が居住、宿泊、又は滞在するための建築物又は敷地を含む任意の居住空間に適用することができるが、本実施の形態では、主に、住宅内の空間を管理する技術について説明する。
【0015】
図1は、実施の形態に係る空間管理システムの構成を示す。空間管理システム1は、管理対象の空間の一例である住宅2と、住宅2に存在する人又は移動体の滞在又は移動を管理する空間管理装置50とを備える。住宅2は、玄関3、洋室4、居室(LDK)5、和室6、寝室7、トイレ8、浴室9、洗面室10などの屋内の複数の領域と、駐車スペース16などの屋外の複数の領域とを含む。
【0016】
住宅2内には、居住者20の家族、親族、知人などの訪問者の他に、例えば、家事代行、介護、宅配などのサービスを居住者20に提供するサービス提供者21、民泊、貸駐車場などのサービスを居住者20から享受するサービス享受者22、住宅2内で清掃などの作業を実行するためのロボットや居住者に配送物を配送するための無人航空機や自動運転車などの移動体23、居住者20に賃借料を支払って和室6を賃借している賃借人24、居住者20に駐車スペース16の賃借料を支払って駐車スペース16に車両17を駐車する車両17の所有者25などが進入しうる。空間管理装置50は、住宅2内に進入しうる人及び移動体ごとに、各領域での滞在、各領域への進入、各領域の通過、各領域からの退出の許否に関する条件を保持する。
【0017】
住宅2には、住宅2に存在する人又は移動体の識別情報及び位置情報を検知する検知装置として、撮像装置30及び人感センサ31が設置される。撮像装置30は、住宅2内の画像を撮像する。撮像装置30により撮像された画像は、空間管理装置50により解析され、人又は移動体の識別情報及び位置情報が検知される。人感センサ31は、人が人感センサ31に接近したことを検知する。検知装置として、その他の任意の形式の検知装置が住宅2に設置されてもよい。例えば、指紋、静脈、顔などの生体情報を認証する認証装置が設置されてもよいし、住宅2内に存在する人が携帯する携帯端末装置43との間の通信により、その携帯端末装置43を携帯する人の識別情報及び位置情報を取得してもよい。撮像装置30により撮像された画像や、人感センサ31により検知された情報は、無線通信によりホームサーバ41に送信される。ホームサーバ41は、収集された情報を、インターネット40を介して空間管理装置50に送信する。
【0018】
玄関3に設置されたドア11には、空間管理装置50により施解錠を制御可能な錠前12が設置されており、空間管理装置50により入退室が管理される。住宅2内の各部屋の出入口のドア13にも、空間管理装置50により施解錠を制御可能な錠前14が設置されており、空間管理装置50により入退室が管理される。空間管理装置50は、住宅2に存在する人及び移動体の識別情報に基づいて、人及び移動体の入退室の許否を判定し、判定結果に応じて錠前12又は錠前14の施解錠を制御する。
【0019】
和室6の出入口に設置された襖15には、錠前が設置されていないので、和室6への進入を物理的に制限することはできないが、襖15の近傍には、入退室の許否などの情報を提示したり、条件に反して進入しようとする人に警告を発したりするための提示装置32及びスピーカー33が設置されている。空間管理装置50は、例えば、襖15の近傍に存在する人又は移動体の識別情報に基づいて、人又は移動体の和室6への進入の許否を判定し、判定結果を提示装置32及びスピーカー33により提示する。
【0020】
このように、空間管理システム1は、住宅2の内部を複数の領域に区分して、領域ごとに、物理的又は心理的に進入を制限するなどして、進入者の行動範囲を管理する。これにより、居住者の安全やプライバシーを適切に保護することができる。
【0021】
管理の単位となる領域は、壁や襖などにより物理的な区画に仕切られていなくてもよく、任意の面積及び形状の領域にアクセスレベルが設定されてもよい。例えば、高価な美術品などに近づかないように制限したり、貴重品が収納された棚の近傍に所定時間以上滞在しないように制限したりしてもよい。このように、本実施の形態の空間管理システム1は、空間内に無段階のセキュリティーレイヤーを構築し、人や移動体のアクセスレベルを個別に制御することができる。これにより、より適切に空間を管理することができるので、居住者の安全性や利便性を向上させることができるとともに、進入者の利便性も向上させることができる。
【0022】
図2は、実施の形態に係る空間管理装置の構成を示す。空間管理装置50は、通信装置51、表示装置52、入力装置53、制御装置60、及び記憶装置70を備える。空間管理装置50は、サーバ装置であってもよいし、パーソナルコンピューターなどの装置であってもよいし、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。
【0023】
通信装置51は、インターネット40などの通信網を介した他の装置との通信を制御する。通信装置51は、有線又は無線の任意の通信方式により通信を行ってもよい。表示装置52は、制御装置60により生成される画面を表示する。表示装置52は、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。入力装置53は、空間管理装置50の使用者又は管理者による指示入力を制御装置60に伝達する。入力装置53は、マウス、キーボード、タッチパッドなどであってもよい。表示装置52及び入力装置53は、タッチパネルとして実装されてもよい。
【0024】
記憶装置70は、制御装置60により使用されるプログラム、データなどを記憶する。記憶装置70は、半導体メモリ、ハードディスクなどであってもよい。記憶装置70は、ユーザデータベース71、空間情報保持部72、条件保持部73、履歴情報保持部74、及びリフォーム情報保持部75を備える。
【0025】
ユーザデータベース71は、空間管理装置50を使用する居住者20などのユーザの情報を格納する。空間情報保持部72は、ユーザの住宅に関する情報を格納する。空間情報保持部72は、例えば、住宅2の間取りなど、住宅2において区画された複数の領域の形状を表すデータや、住宅2に設置された家具、設備、錠前14、撮像装置30、人感センサ31、提示装置32、スピーカー33などの種類及び設置位置などの情報を格納する。
【0026】
条件保持部73は、住宅における人又は移動体の位置に関する条件を格納する。図3は、条件保持部73の内部データの例を示す。条件保持部73は、住宅2の各領域での滞在、領域への進入、領域の通過、領域からの退出に関する条件を、人及び移動体ごとに、かつ領域ごとに保持する。
【0027】
例えば、家事代行業者であるサービス提供者21は、業務時間である「9時~17時」まで住宅2の屋内及び敷地内の屋外に進入することができ、その間、LDK5、トイレ8、浴室9、洗面室10、及び駐車スペース16に進入及び滞在することが許される。洋室4には、宿泊者がいない11時~15時の時間帯に進入及び滞在することが許され、その間に洋室4の清掃を行う。和室6には、60分間だけ進入及び滞在することが許され、その間に和室6の清掃を行う。
【0028】
洋室4に宿泊するサービス享受者22は、チェックイン時刻である15時からチェックアウト時刻である翌日11時まで住宅2の屋内に進入することができ、その間、洋室4、LDK5、トイレ8、及び洗面室10に進入及び滞在することが許されるが、駐車スペース16への進入は許されない。浴室9には60分間だけ進入及び滞在することが許され、その間に入浴を行う。
【0029】
配送物を配送する移動体23は、任意の時刻に住宅2の屋内に進入し、玄関3内に配送物を配送することができるが、許される滞在時間は10分間であり、洋室4、LDK5、和室6、寝室7、トイレ8、浴室9、洗面室10、及び駐車スペース16への進入は許されない。
【0030】
和室6を賃借している賃借人24は、任意の時刻に住宅2の屋内に進入することができ、LDK5、和室6、トイレ8、浴室9、及び洗面室10を自由に使用することができるが、洋室4、寝室7、及び駐車スペース16への進入は許されない。
【0031】
駐車スペース16を賃借している車両17の所有者25は、駐車スペース16を賃借している時間内に駐車スペース16に進入することができるが、屋内への進入は許されない。駐車スペース16は、一時的に車両を駐車するための時間貸し駐車場として使用されてもよいし、駐車スペース16の所有者との間で駐車スペース16を所定期間賃貸借する旨の賃貸借契約を締結した賃借人が車両を駐車するための月極駐車場として使用されてもよい。前者の場合、サービス提供者21やサービス享受者22などに駐車スペース16が賃貸されてもよいし、その他の第三者に駐車スペース16が賃貸されてもよい。後者の場合、和室6の賃借人24に駐車スペース16が賃貸されてもよいし、その他の第三者に駐車スペース16が賃貸されてもよい。
【0032】
履歴情報保持部74は、位置情報取得部61により取得された情報、判定部62による判定結果、提示部63により提示された情報、条件受付部64により受け付けられた条件、通知部66により通知された情報、施解錠制御部67による制御情報などの履歴を格納する。リフォーム情報保持部75は、住宅のリフォームに関する情報を格納する。例えば、リフォーム情報保持部75は、現状住宅内に設置されている設備・建材の品番等の情報や、それらの設備・建材とリフォーム・置き換え可能な設備・建材の情報や、リフォームの履歴を示す家歴情報などを格納する。
【0033】
制御装置60は、位置情報取得部61、判定部62、提示部63、条件受付部64、条件設定部65、通知部66、施解錠制御部67、住宅情報取得部68、及び情報提供部69を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0034】
位置情報取得部61は、住宅2に存在する人又は移動体の識別情報及び位置情報を検知する検知装置から識別情報及び位置情報を取得する。位置情報取得部61は、ホームサーバ41から識別情報及び位置情報を取得してもよいし、住宅2に設置された各検知装置から直接、識別情報及び位置情報を取得してもよい。
【0035】
判定部62は、位置情報取得部61により取得された識別情報及び位置情報に基づいて、条件保持部73に保持された条件を参照し、住宅2に存在する人又は移動体のその位置での滞在又は別の位置への移動の許否を判定する。判定部62は、位置情報取得部61により取得された識別情報により識別される人又は移動体の、各領域での滞在、各領域への進入、各領域の通過、各領域からの退出の許否を判定してもよい。
【0036】
提示部63は、判定部62により滞在又は移動が許可されないと判定された場合、その旨をその人が認識可能に提示する。提示部63は、住宅2に設置された提示装置32又はスピーカー33により、滞在又は移動の許否に関する情報を提示してもよい。提示部63は、提示の対象者の近傍にある提示装置32又はスピーカー33により情報を提示してもよい。これにより、不知、不注意、又は故意により、許可されない滞在又は移動をしようとする人に対して注意を喚起し、心理的に制限することができる。
【0037】
条件受付部64は、住宅2の管理者から、各領域の滞在、進入、通過、退出に関する条件を受け付け、条件保持部73に格納する。条件受付部64は、居住者20の携帯端末装置42から条件を受け付けてもよい。
【0038】
条件設定部65は、各領域の滞在、進入、通過、退出に関する条件を設定し、条件保持部73に格納する。条件設定部65は、条件保持73に保持された条件に、時刻、曜日、天候などに関する停止条件又は解除条件が付されている場合、停止条件又は解除条件が成就したか否かを判定し、成就されていた場合は、条件保持73に格納されている条件を有効若しくは無効にし、又は条件を変更する。例えば、民泊の予約が入っておらず、サービス享受者22が洋室4に宿泊していない場合には、サービス提供者21が業務時間中いつでも洋室4に進入及び滞在することができるように条件を変更してもよい。条件設定部65は、予め定められた停止条件又は解除条件などにしたがって自動的に条件を有効若しくは無効にし、又は条件を変更してもよいし、住宅2の管理者から受け付けた指示にしたがって条件を有効若しくは無効にし、又は条件を変更してもよい。
【0039】
通知部66は、条件保持部73に保持された条件に反して、領域での滞在、領域への進入、領域の通過、又は領域からの退出が行われたことが検知された場合、提示装置32又はスピーカー33により違反者に対して警告を発し、又は、領域の管理者である居住者20の携帯端末装置42にその旨を通知する。これにより、不知、不注意、又は故意により、許可されない滞在又は移動をした人に対して適切に対処することにより、更なる違反を抑制することができる。また、適切に対処する体制を整備しておくことにより、違反を未然に防止することができる。
【0040】
施解錠制御部67は、各領域の出入口に設けられたドアの錠前の施解錠を制御する。施解錠制御部67は、判定部62により領域への進入、領域の通過、又は領域からの退出が許可された場合に、ドアの錠前を解錠し、許可されない場合は、ドアの錠前を施錠する。
【0041】
住宅情報取得部68は、住宅2に進入したサービス提供者21の携帯端末装置43又はサービス享受者22の携帯端末装置から、住宅2の建材又は設備の不具合に関する情報を取得する。これにより、住宅2の建材又は設備の不具合を迅速に発見し、適切に対処することができるので、居住者20の利便性を向上させることができる。
【0042】
情報提供部69は、住宅情報取得部68により取得された情報に基づいて、住宅2のリフォームに関する情報をリフォーム情報保持部75から読み出し、住宅2の居住者20の携帯端末装置42に提供する。これにより、サービス提供者21が住宅2に進入する機会を活用して、居住者20に適切なリフォームの提案をすることができるので、居住者20の利便性を向上させることができる。
【0043】
本実施の形態では、複数の住宅を統括的に管理する空間管理装置50を設ける例を説明したが、住宅ごとに空間管理装置50が設けられてもよい。この場合、例えば、ホームサーバ41が空間管理装置50の機能を備えてもよい。ホームサーバ41と空間管理装置50とで機能を分担してもよい。例えば、住宅2の居住者又は管理者の個人情報などの公開すべきでない情報はホームサーバ41が管理し、サービス提供者21やサービス享受者22が入出力する情報は空間管理装置50が管理してもよい。これにより、情報のセキュリティ性も向上させることができる。別の例では、ホームサーバ41が設けられなくてもよい。この場合、撮像装置30、人感センサ31、提示装置32、スピーカー33などの装置は、直接、空間管理装置50との間で通信を行う。
【0044】
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。
【0045】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の空間管理装置は、人が居住、宿泊、又は滞在するための建築物又は敷地を含む居住空間に関する情報を保持する空間情報保持部と、居住空間における人又は移動体の位置に関する条件を保持する条件保持部と、居住空間に存在する人又は移動体の識別情報及び位置情報を検知する検知装置から識別情報及び位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報取得部により取得された識別情報及び位置情報に基づいて、条件保持部に保持された条件を参照し、居住空間に存在する人又は移動体のその位置での滞在又は別の位置への移動の許否を判定する判定部と、を備え、空間情報保持部は、居住空間において区画された複数の領域に関する情報を保持し、条件保持部は、領域での滞在、領域への進入、領域の通過、領域からの退出に関する条件を領域ごとに保持し、判定部は、位置情報取得部により取得された識別情報により識別される人又は移動体の領域での滞在、領域への進入、領域の通過、領域からの退出の許否を判定する。この態様によると、居住空間に存在する人又は移動体の滞在や移動の許否を自動的に判定し、適切に管理することができる。
【0046】
条件保持部は、居住空間において居住空間に居住、宿泊、又は滞在する人に対するサービスを提供するサービス提供者に関する条件を保持してもよい。この態様によると、居住者が不在であるときに、宅配業者、介護業者、清掃業者、家事代行業者などを住宅内に進入させる場合であっても、サービス提供者の滞在や移動の許否を自動的に制御し、居住空間を適切に管理することができる。
【0047】
条件保持部は、居住空間において居住空間に居住、宿泊、又は滞在する人からサービスを享受するサービス享受者に関する条件を保持してもよい。この態様によると、居住者が、住宅、部屋、駐車場、設備などの賃貸などのサービスを提供する場合に、居住者が不在であるときにサービスの享受者を進入させる場合であっても、サービス享受者の滞在や移動の許否を自動的に制御し、居住空間を適切に管理することができる。
【0048】
サービス提供者又はサービス享受者から、居住空間の建材又は設備の不具合に関する情報を取得する居住空間情報取得部を更に備えてもよい。この態様によると、居住空間の建材又は設備の不具合を迅速に把握し、適切な対策を講じることができるので、居住者の利便性を向上させることができる。
【0049】
居住空間情報取得部により取得された情報に基づいて、居住空間のリフォームに関する情報を居住空間の管理者に提供する情報提供部を更に備えてもよい。この態様によると、居住空間の建材又は設備の不具合を迅速に把握し、リフォームに関する情報を管理者に提供することができるので、管理者の利便性を向上させることができる。
【0050】
空間管理装置は、領域の管理者から、領域に関する条件を受け付け、条件保持部に格納する条件受付部を更に備えてもよい。この態様によると、管理者が所望の条件を任意に設定し、居住空間に存在する人又は移動体の滞在や移動の許否を管理することができる。
【0051】
判定部により滞在又は移動が許可されないと判定された場合、その旨をその人又は移動体が認識可能に提示する提示部を更に備えてもよい。この態様によると、不知、不注意、又は故意により、許可されない滞在又は移動をしようとする人に対して注意を喚起し、心理的に制限することができる。
【0052】
条件に反して領域での滞在、領域への進入、領域の通過、又は領域からの退出が行われたことが検知された場合、違反者に対して警告を発し、又は、領域の管理者にその旨を通知する通知部を更に備えてもよい。この態様によると、不知、不注意、又は故意により、許可されない滞在又は移動をした人に対して適切に対処することにより、更なる違反を抑制することができる。
【0053】
領域の出入口に設けられた開閉部の施解錠を制御する施解錠制御部を更に備えてもよい。施解錠制御部は、判定部により領域への進入、領域の通過、又は領域からの退出が許可された場合に、開閉部を解錠してもよい。この態様によると、許可されない進入、通過、又は退出を物理的に制限することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 空間管理システム、2 住宅、20 居住者、21 サービス提供者、22 サービス享受者、23 移動体、24 賃借人、25 車両の所有者、30 撮像装置、31 人感センサ、32 提示装置、33 スピーカー、50 空間管理装置、61 位置情報取得部、62 判定部、63 提示部、64 条件受付部、65 条件設定部、66 通知部、67 施解錠制御部、68 住宅情報取得部、69 情報提供部、72 空間情報保持部、73 条件保持部。
図1
図2
図3