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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】腎神経を刺激するシステム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A61N1/36
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018502420
(86)(22)【出願日】2016-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2016066462
(87)【国際公開番号】W WO2017012907
(87)【国際公開日】2017-01-26
【審査請求日】2019-06-27
(31)【優先権主張番号】15177702.6
(32)【優先日】2015-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ウェイス ステッフェン
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0012133(US,A1)
【文献】特表2013-507198(JP,A)
【文献】国際公開第2014/029355(WO,A1)
【文献】特表2009-528911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の腎動脈の腎神経を刺激するためのシステムであって、前記システムは、
-前記腎神経を間質的に刺激する間質装置を有する刺激装置と、
-少なくとも2回、前記被験体の血圧及び/又は心拍数を測定するための測定ユニットであって、これらの回の少なくとも1つが前記腎神経の前記刺激の間又は後である、測定ユニットと、
-前記測定血圧及び/又は前記測定心拍数に基づいて、前記被験体が腎交感神経除神経術プロシージャに適しているかを決定するための被験体適合性決定ユニットと
を有する、システム。
【請求項2】
前記被験体適合性決定ユニットは、前記測定血圧に基づいて血圧の変化を示す血圧変化パラメータを決定し、及び/又は前記測定心拍数に基づいて心拍数の変化を示す心拍数変化パラメータを決定し、前記血圧変化パラメータ及び/又は前記心拍数変化パラメータに各々基づいて、前記被験体が前記腎交感神経除神経術プロシージャに適していることを決定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記被験体適合性決定ユニットは、前記血圧変化パラメータが前記血圧の上昇を示す場合、及び/又は前記心拍数変化パラメータが前記心拍数の増加を示す場合、前記被験体は前記腎交感神経除神経術プロシージャに適していることを決定するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記被験体適合性決定ユニットは、前記血圧変化パラメータが、前記血圧は少なくとも20%増加したことを示す場合、及び/又は前記心拍数変化パラメータが、前記心拍数は少なくとも10%増加したことを示す場合、前記被験体は前記腎交感神経除神経術プロシージャに適していることを決定するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、前記腎交感神経除神経術プロシージャを実行する腎交感神経除神経術装置を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、前記腎交感神経除神経術装置を制御するための制御ユニットを有し、前記制御ユニットは、前記被験体適合性決定ユニットが、前記被験体は前記腎交感神経除神経術プロシージャに適していることを決定した場合にのみ、前記腎交感神経除神経術プロシージャが実行されるように前記腎交感神経除神経術装置を制御するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記腎交感神経除神経術装置は、前記腎交感神経除神経術プロシージャを間質的に実行するための間質装置を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記腎交感神経除神経術装置は、前記刺激装置と一体化される、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記刺激装置は、前記腎交感神経除神経術プロシージャを実行しながら前記腎神経を刺激するように構成され、前記測定ユニットは、少なくとも2回前記血圧及び/又は前記心拍数を測定するように構成され、これらの回の少なくとも1つは、前記腎交感神経除神経術プロシージャが実行される間に実行される、前記腎神経の前記刺激の間又は後になる、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、少なくとも2回測定された前記血圧及び/又は前記心拍数に基づいて、前記腎交感神経除神経術プロシージャがいつ終了されるべきかを決定するための終了決定ユニットを有し、これらの回の少なくとも1つは、前記腎交感神経除神経術プロシージャが実行される間に実行される、前記腎神経の前記刺激の間又は後になる、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記間質装置が、間質針装置である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
請求項1に記載の被験体の腎動脈の腎神経を刺激するシステムを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータプログラムが前記システム上で実行されるとき、前記システムに、
腎動脈の周囲空間において、電源から2つの電極に電流パルスを供給させ、
少なくとも2回前記被験体の血圧及び/又は心拍数を測定させ、これらの回の少なくとも1つが前記電流パルスの供給の間又は後であり、
前記測定血圧及び/又は前記測定心拍数に基づいて、前記被験体が腎交感神経除神経術プロシージャに適しているかを決定させる、
プログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験体の腎動脈の腎神経を刺激するためのシステム及び方法に関する。本発明はさらに、システムを制御するためのコンピュータプログラム、及び腎神経を刺激するための針装置に関する。本発明はまた、腎神経を刺激するための方法を実行するための針装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
H.Krumら、ザ・ランセット(The Lancet)、第373巻、1275乃至1281ページ(2009年)の論文「抵抗性高血圧症に対するカテーテルベースの腎交感神経除神経術:多施設安全性及び原理証明コホート研究」は、高血圧を治療するための腎神経交感神経(RDN)プロシージャを開示する。RDNプロシージャは、血管内高周波(RF)アブレーションを使用することによってのみ実行される。
RDNプロシージャは、RDNプロシージャを受ける患者の約20%のみが、血圧の有意な低下に応答するという欠点を有する。従って、多くの患者は、高血圧の問題を有意に改善することなく、経血管RFアブレーションプロシージャを使用することによって治療される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、被験者の腎動脈の腎神経を刺激するシステム及び方法、腎神経を刺激するためのシステムを制御するためのコンピュータプログラム、腎神経を刺激するための針装置、及び腎神経を刺激するための方法を実行するための針装置の使用を提供することにあり、被験者が、血圧に有意な影響を及ぼすことなく、RDNプロシージャを受ける可能性の低減を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様では、被験体の腎動脈の腎神経を刺激するためのシステムであって、前記システムが、
-腎神経を刺激するための刺激装置と、
-少なくとも2回、被験者の血圧及び/又は心拍数を測定するための測定ユニットであって、これらの回のうちの少なくとも1つが腎神経の刺激中又は腎神経の後である、測定ユニットと、
-測定された血圧及び/又は測定された心拍数に基づいて、被験者がRDNプロシージャに適しているかを決定するための被験体適合性決定ユニットと
を有する、システムが提供される。
【0005】
少なくとも2回の血圧及び/又は心拍数の測定であって、これらの回の少なくとも1つが腎神経の刺激の間又は腎神経の後である、測定に基づいて、被験体がRDNプロシージャに適しているかが決定されるため、被験者の事前選択は提供されることができ、RDNプロシージャは、事前選択された被験者にのみ適用され得る。これは、被験者が、血圧に顕著な影響を及ぼすことなく、RDNプロシージャを受ける可能性の有意な低下をもたらし得る。
好ましくは、刺激装置は、腎神経を刺激するための少なくとも2つの電極を有し、少なくとも2つの電極はリング電極を含むことができる。さらに、刺激装置は、パルスモードで腎神経を刺激するように優先的に構成される。刺激装置は、例えば1分間、腎神経を刺激するように構成されてもよい。さらに、刺激装置は、5ms未満のパルス持続時間を有する電気パルスで腎神経を刺激するように構成されてもよい。電気パルスの供給の周波数は20Hzより小さくてもよく、電気パルスの電流の振幅は15mAより小さくてもよい。
被験者適合性決定ユニットは、測定された血圧に基づいて血圧の変化を示す血圧変化パラメータ及び/又は測定された心拍数に基づいて心拍数の変化を示す心拍数変化パラメータを決定し、血圧変化パラメータ及び/又は心拍数変化パラメータに各々基づいて、被験者がRDNプロシージャに適していることを決定するように構成されることは好ましい。被験者適合性決定ユニットは、血圧変化パラメータが血圧の上昇を示す場合、及び/又は心拍数変化パラメータが心拍数の増加を示す場合、被験者がRDNプロシージャに適していることを決定するように構成されることはさらに好ましい。特に、被験者適合性決定ユニットは、血圧変化パラメータが、血圧は少なくとも20%増加したことを示す場合、及び/又は心拍数変化パラメータが、心拍数は少なくとも10%増加したことを示す場合、被験者がRDNプロシージャに適していることを決定するように構成される。これらのパーセンテージ値は、刺激プロセスの開始前又は開始時に測定された基準値と、刺激プロセス中又はその後に測定された値との比較を優先的に参照する。被験体がこのようにRDNプロシージャに適していることを決定することにより、RDNプロシージャにおける血圧の有意な低下に応答する被験者の事前選択はさらに改善されることができる。
【0006】
被験体適合性決定ユニットは、a)測定された血圧の勾配及び/又は異なる時間に測定された血圧値の間の差及び/又は異なる時間に測定された血圧値の間の比に依存する血圧変化パラメータ、及び/又はb)測定された心拍数の勾配及び/又は異なる時間に測定された心拍数値の差及び/又は異なる時間に測定された心拍値の間の比に依存する心拍数変化パラメータを決定するように構成されることができる。特に、時間依存血圧変化パラメータは、a)腎神経を刺激する前又は開始時になり得る基準時間に測定された血圧値、及びb)刺激プロセスの間及び/又はその後のさらなる時間に測定された血圧値に依存して決定されることができる。これに対応して、時間依存心拍数変化パラメータは、a)腎神経を刺激する前又は開始時になり得る基準時間で測定された心拍数、及びb)刺激プロセスの間及び/又はその後のさらなる時間で測定された心拍数値に依存して決定されることができる。決定された時間依存血圧変化パラメータ及び時間依存心拍数変化パラメータは、刺激プロセスによって引き起こされる血圧及び心拍数の変化を測定するために使用され得る。
刺激装置は、優先的に間質装置を含む。したがって、刺激装置は、腎神経を間質的に刺激するように優先的に構成される。特に、刺激装置は、間質針装置を含むことができる。針装置は、好ましくは、被験者への導入を容易にするために鋭利な先端部を有するマンドリンのような針状要素を有するか又は使用することができる装置である。刺激装置が間質刺激に構成される場合、血管ツリーを介して腎動脈にアクセスする必要がないため、腎神経を刺激するためのプロシージャは単純化され得る。筋肉と脂肪組織とを横切ることが必要である。それから、狭窄、アテローム性動脈硬化、又は本来的に小さく又は強く湾曲した動脈を有する被験体において、刺激プロシージャが行われることもできる。したがって、より多くの被験者に刺激プロシージャを簡略化して適用することが可能である。
【0007】
このシステムは、RDNプロシージャを実行するためのRDN装置を優先的に有する。さらに、システムは、RDN装置を制御するための制御ユニットを有していてもよく、制御ユニットは、被験体適合性決定ユニットが、被験体はRDNプロシージャに適していると決定した場合、RDNプロシージャのみが実行されるようにRDN装置を制御するように構成される。これは、被験者が実際にRDNプロシージャの血圧の著しい低下に応答する場合にのみ、RDNプロシージャが行われることを保証する。
RDN装置は、RDNプロシージャを間質的に実行するために、間質装置、特に間質針装置を含む。これは、例えばRDN装置の要素を脈管ツリーを通じて腎動脈に進めることを必要とせずに、RDNプロシージャを実行することを可能にする。狭窄、アテローム性動脈硬化、又は本来的に小さく又は強く湾曲した動脈を有する被験体において、RDNプロシージャが行われることもできる。筋肉と脂肪組織とを横切ることが必要である。したがって、より多くの被験者にRDNプロシージャが簡略化して実行されることが可能である。
【0008】
RDN装置は、RDNプロシージャを実行するために腎動脈の周囲空間に神経液を注入するように優先して構成される。神経液は優先的にはエタノールである。しかしながら、それはグリセロールのような他の神経液にもなり得る。神経液を注入することは、たとえそれが単一の点にのみ送達されたとしても、周囲の除神経を引き起こす。これは、神経液が一般に動脈全体に広がるという事実によって引き起こされる。
RDN装置は、優先的に刺激装置と一体化される。例えば、刺激装置及びRDN装置は、刺激用及びRDNプロシージャ用に同じコンポーネントを使用することによって統合されてもよい。この同じコンポーネントは、腎神経を刺激するための少なくとも2つの電極と、腎動脈の周囲空間に神経液を注入するための注入ユニットとを含むことができる。これは、被験体がRDNプロシージャに適しているかを試験し、被験体に導入されるべき単一のコンポーネントを使用することによって、被験体が適切であると決定された場合、RDNプロシージャを実行することを可能にする。これは、適合性決定及びRDNプロシージャを含む単純化された全プロシージャをもたらすことができる。コンポーネントは、優先的に、腎神経を刺激し、間質的に、すなわち例えば大腿動脈を介して腎動脈にコンポーネントを導入しないで、RNDプロシージャを実行するように構成される。特に、コンポーネントは、腎動脈に到達するために、筋肉及び脂肪組織を通じて体内に導入される針装置であってもよい。
【0009】
刺激装置は、RDNプロシージャを実行しながら腎神経を刺激するように構成されており、測定ユニットは、少なくとも2回血圧及び/又は心拍数を測定するように構成されており、これらの回の少なくとも1つは、RDNプロシージャが実行される間に実行される、腎神経の刺激の間又はその後になることは好ましい。システムが、少なくとも2回測定された血圧及び/又は心拍数に基づいて、RDNプロシージャがいつ終了されるべきかを決定するための終了決定ユニットを有し、これらの回の少なくとも1つは、 RDNプロシージャを実行する間に行われる腎神経の刺激の間又はその後になることは好ましい。さらに、システムは、終了決定ユニットがRDNプロシージャは停止されるべきであると決定した場合、RDNプロシージャが停止されるようにRDN装置を制御する制御ユニットを有することが好ましい。これにより、RDNプロシージャが不必要に長く実行されることなく、被験者の血圧が実質的に低下するようにRDNプロシージャは行われることが保障され得る。したがって、RDNプロシージャは、実際に血圧に影響を及ぼす間のみ実行される。
【0010】
RDNプロシージャは、連続的又は段階的に行われることができる。すなわち、RDNプロシージャは、例えば、神経液を連続的に注入するステップ又は神経液をいくつかの段階で注入するステップを含むことができ、除神経ステップともみなされる2つの注入ステップの間、神経液は注入されない。したがって、RDNプロシージャは、除神経ステップ及び中間非除神経期間をカバーし得る。また、腎神経の刺激は、連続的又は段階的に行われることができる。一実施形態では、RDNプロシージャ及び腎神経の刺激の両方は連続的に行われることができ、RDNプロシージャ及び刺激は同じ開始時間に開始されることができる。この開始時に、基準血圧及び/又は基準心拍数も測定されることができる。 RDNプロシージャの間及び腎神経を刺激している間、血圧及び/又は心拍数は、異なる時間、特に連続的にさらに測定され、対応する時間依存血圧変化パラメータ及び/又は対応する時間依存心拍数変化パラメータはそれぞれ、基準血圧及び/又は基準心拍数並びに更なる測定血圧及び/又は心拍数にそれぞれ基づいて決定されてもよい。この時間依存血圧変化パラメータ及び/又はこの時間依存心拍数変化パラメータに基づいて、終了決定ユニットは、RDNプロシージャがいつ終了されるべきかを決定することができる。
【0011】
一実施形態において、RDNプロシージャが連続的に実行され、刺激が段階的に実行される場合、RDNプロシージャの開始時又はRDNプロシージャの開始前に、基準血圧及び/又は基準心拍数が測定されることができる。 RDNプロシージャを連続的に実行しながら、腎神経はいくつかの刺激ステップで刺激されることができ、各刺激ステップの間及び/又はその後に、血圧及び/又は心拍数は少なくとも1回測定されることができる。これらの血圧及び/又は心拍数の測定値は、それぞれの刺激ステップに対して、少なくとも1つの血圧変化パラメータ及び/又は心拍数変化パラメータを各々決定するために、基準心拍数及び/又は基準血圧と共に使用されてもよい。異なる刺激ステップに対して決定されたこれらの血圧変化パラメータ及び/又は心拍数変化パラメータに基づいて、終了決定ユニットは、RDNプロシージャがいつ終了されるべきかを決定することができる。
さらに、一実施形態では、RDNプロシージャは段階的に実行されてもよく、刺激は連続的に実行されてもよい。この場合、刺激は、第1のRDNプロシージャステップの前又は開始時に開始することができる。基準血圧及び/又は基準心拍数は、第1のRDNプロシージャステップの開始時又はその前に測定されることができる。血圧及び/又は心拍数は、RDNプロシージャのステップ中及び/又はステップ間の異なる時間にさらに測定されることができ、時間依存血圧変化パラメータ及び/又は時間依存心拍数変化パラメータはそれぞれ、これらの測定値並びに基準血圧及び/又は基準心拍数に基づいて決定されてもよい。終了決定ユニットは、時間依存血圧変化パラメータ及び/又は時間依存心拍数変化パラメータに基づいて、RDNプロシージャがいつ終了されるべきかを決定することができる。
【0012】
さらなる実施形態では、RDNプロシージャは段階的に実行されることができ、腎神経の刺激は段階的に行われることもできる。RDNプロシージャが段階的に実行される場合、RDNプロシージャは、除神経ステップ及び中間非除神経期間をカバーする。この場合、腎神経の刺激が、RNDプロシージャを実行しながら行われる場合、腎神経の刺激は、除神経ステップを実行しながら、及び/又は中間非除神経期間に実行されることができる。一実施形態では、RDNプロシージャステップ及び刺激ステップは、交互に実行されてもよく、刺激ステップの開始時に基準血圧及び/又は基準心拍数が測定されてもよく、刺激ステップの間及び/又は終了時に、1つ又はいくつかのさらなる血圧及び/又は心拍数測定が実行されることができる。これらの測定値並びに基準血圧及び/又は基準心拍数にそれぞれ基づいて、血圧変化パラメータ及び/又は心拍数変化パラメータが各々決定され、次のRDNプロシージャが実行されるべきか否か、すなわちRDNプロシージャが終了されるべきかを決定するための終了決定ユニットによって使用され得る。さらなる実施形態では、RDNプロシージャを実行する間の腎神経の刺激に対する心拍数の応答を監視するために、RDNプロシージャ及び腎神経の刺激は別の方法で組み合わされることができ、血圧及び/又は心拍数がもはや刺激に応答しない場合、RDNプロシージャは停止され得る。
本発明のさらなる態様では、被験者の腎動脈の腎神経を刺激するための針装置が提示され、針装置は、腎神経を刺激し、RDNプロシージャを間質的に行うように構成される。被験者がRDNプロシージャに適しているかどうかを決定するために、針装置は、被験者の血圧及び/又は心拍数を測定するための測定ユニットとともに使用されることができる。特に、針装置は、腎神経を刺激するために使用されることができ、血圧及び/又は心拍数は少なくとも2回測定されることができ、これらの回の少なくとも1つは、腎神経の刺激の間又はその後であり、測定された血圧及び/又は心拍数に基づいて、被験体がRDNプロシージャに適しているかが決定されることができる。被験体がRDNプロシージャに適している場合、同じ針装置が、RDNプロシージャを実行するために使用されることができる。したがって、被験者が血圧の顕著な低下を伴って応答する場合、すなわち、針装置が、被験体は血圧に顕著な影響を及ぼさずにRDNプロシージャを受ける可能性の有意な低下を可能にする場合にのみ、針装置はRDNプロシージャのみを実行することを可能にする。
【0013】
本発明のさらなる態様では、被験体の腎動脈の腎神経を刺激する方法であって、該方法は、
-刺激装置によって腎神経を刺激するステップと、
-測定ユニットによって少なくとも2回被験体の血圧及び/又は心拍数を測定するステップであって、これらの回のうちの少なくとも1つが腎神経の刺激の間又はその後である、ステップと、
-測定された血圧及び/又は測定された心拍数に基づいて、被験者がRDNプロシージャに適しているかを決定するステップと
を有する、方法が提供される。
本発明のさらなる態様では、請求項13に記載の方法を実行するための請求項12に記載の針装置の使用が提供される。
さらに、本発明の一態様では、請求項1に記載の被験者の腎動脈の腎神経を刺激するためのシステムを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムがシステム上で実行されるとき、前記システムに、請求項13に記載の被験体の腎動脈の腎神経を刺激するための方法を実行させるためのプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラムが提供される。
請求項1のシステム、請求項12に記載の針装置、請求項13に記載の方法、請求項14に記載の針装置の使用及び請求項15に記載のコンピュータプログラムの使用が、特に、従属請求項に規定されるように、類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有することは理解されるべきである。
本発明の好ましい実施形態は、それぞれの独立請求項との、従属請求項又は上記実施形態の何れかの組合せであってもよいことを理解されたい。
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】被験体の腎動脈の腎神経を刺激するためのシステムの実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図2図1に示されるシステムの針装置の先端部及び腎動脈を模式的かつ例示的に示す。
図3】被験者の腎動脈の腎神経を刺激するための方法の実施形態を例示するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、テーブル4のような支持手段上に配置された被験者3の腎動脈の腎神経を刺激するためのシステム1の実施形態を概略的かつ例示的に示す。システム1は、被験体3の内部、特に被験体3の腎動脈を示す画像を生成するためのイメージング装置2を有する。示された例では、被験体は人であるが、このようなプロシージャは動物に対しても行われ得る。
この実施形態では、イメージング装置2は、被験体3を横切る放射線7を生成する放射線源5と、被験体3を横切った後の放射線7を検出する検出器6とを有するコンピュータ断層撮影装置である。放射線源5及び検出器6は、放射線7が被験体3を異なる方向に横切ることができるように、回転可能なガントリ8に取り付けられている。検出器6は、検出された放射線に基づいて投影データ値を生成し、投影データ値を再構成及び制御ユニット15に供給する。再構成及び制御ユニット15は、ディスプレイ19に示され得る、被験体3のコンピュータ断層撮影画像を再構成するように構成される。さらに、再構成及び制御ユニット15は、ガントリ8、放射線源5、及び検出器6の回転を制御するように構成される。他の実施形態では、磁気共鳴イメージングシステム又は超音波イメージングシステムのような他のイメージング装置が、被験体3の内部、特に被験体3の腎動脈の画像を生成するために使用される。
システム1は、針装置17の先端部9が被験体3の腎動脈に隣接するように、筋肉及び脂肪組織を通じて被験体3に導入されるように構成される、間質針装置17をさらに有する。針装置17の導入を計画するために、イメージング装置2で生成されるコンピュータ断層画像が使用される。
【0016】
針装置17は、その先端部9に被験者3の腎動脈の腎神経を刺激するための2つの電極を有する。腎神経刺激用の2つの電極は、接続要素28を介して、電流パルスを供給するように構成される電源12に結合される。したがって、電源12、接続要素28及び針装置17の先端部9の電極を用いて、被験者3の腎動脈の腎神経は電流パルスを用いることによって刺激されることができる。したがって、電源12、接続要素28及び針装置17は、刺激装置を形成するものとみなされることができる。電流パルスは、優先的には、20Hzより小さい周波数、及び15mAより小さい振幅を備える。パルスの持続時間は、約5msになり得る。
針装置17は、RDNプロシージャを実行するための手段をさらに有する。この実施形態では、この手段は、腎動脈の周囲空間に神経液を注入するための注入手段である。特に、針装置17は、接続要素28内の対応する管腔に接続される管腔を有し、接続要素28内の管腔は、神経液を提供するための神経液供給装置13に接続される。神経液供給ユニット13は、好ましくは、神経液のリザーバと、接続要素28の管腔及び針装置17を通じて針装置の先端部9に圧送するためのポンプとを有し、針装置の先端部9において、神経液が腎動脈の周囲空間に注入される。したがって、神経液供給ユニット13、接続要素28及び針装置17は、RDN装置を形成するものとみなされることができる。
【0017】
図2は、針装置17の先端部9を概略的かつ例示的により詳細に示す。この実施形態では、腎神経32を刺激するための2つの電極は、針装置17の管腔34を囲む壁35に埋め込まれたリング電極33,34である。リング電極33,34は、電気的接続部、特に電気的ワイヤ39,40を介して電源12に接続される。針装置17、特に針装置17の先端部9を挿入するために、鋭利な端部36を有するマンドリンのような支持構造体37が針装置17の管腔34に導入される。支持構造体37の鋭利な端部36は、先端部9が腎動脈30の周囲空間に達するように、筋組織及び脂肪組織を通じた針装置17の先端部9の挿入を可能にする。針装置17の先端部9の挿入は、画像ガイダンス下で医師のようなユーザによって手動で行われることができる。すなわち、イメージング装置2は、被験者3内の針装置17の先端部9のそれぞれの現在の位置を示すために異なる時点で画像を生成するために使用される。更に又は代わりに、電磁定位システム、光学形状検出等に基づく定位システムを使用する他の既知の技術が、被験者3内の針装置17の先端部9の位置を監視するために使用され得る。実施形態では、針装置17の先端部9は、イメージング装置2を用いて生成された画像及び/又は定位システムによって提供される、針装置17の先端部9の現在の位置を知らせる位置情報に基づいて、被験者3に自動的に挿入されてもよい。
針装置17の先端部9が被験者3に挿入され、腎動脈30の周囲空間に到達した後、支持構造体37は、腎動脈30の周囲空間に神経液を注入するために管腔34を使用するため、針装置17の管腔34から外されることができる。
腎動脈30は、血液を運ぶための内腔31と、壁38と、外腎神経32とを有する。腎動脈30は、腎神経32が埋め込まれている結合組織41によって囲まれている。リング電極33,34と腎神経30とが直接接触していなくても、リング電極33,34によって生成された電界は、結合組織41を通じて腎動脈30の腎神経32に到達する。
したがって、この実施形態では、刺激装置及びRDN装置は、単一の間質針装置17とともに一体型デバイスを形成する。他の実施形態では、RDN装置及び刺激装置は、別々の装置になり得る。さらに、刺激装置及び/又はRDN装置は、間質プロシージャを行うように構成されなくてもよい。すなわち、これらの装置のうちの少なくとも1つは、刺激要素又はRDN要素をそれぞれ、脈管ツリーを通じて被験体の腎動脈に送るように構成される。さらに、RDN装置は、他の方法で、すなわち神経液を使用することによってではなく、RDNプロシージャを実行するように構成されることができる。例えば、RFアブレーション技術が、RDNプロシージャを実行するために使用されることができる。
【0018】
システム1はさらに、腎神経を刺激しながら被験体3の血圧及び心拍数を測定するための測定ユニット20を有する。測定ユニット20は、血圧及び心拍数を測定するための既知の技術を用いることができる。例えば、測定ユニット20は、血圧及び心拍数の両方を測定するための自動エアポンプを備えた圧力カフを含んでもよく、圧力カフは上腕又は手首に装着されてもよい。測定ユニット20は、心拍数を測定するために指先に単純なパルスオキシメータを含むこともできる。
このシステムはさらに、腎神経を刺激しながら測定された血圧及び心拍数に基づいて被験者3がRDNプロシージャに適しているかを決定する被験者適合性決定ユニット14を有する。
この実施形態では、被験体適合性決定ユニット14は、測定された血圧に基づいて血圧の変化を示す血圧変化パラメータ及び/又は測定された心拍数に基づいて心拍数の変化を示す心拍数変化パラメータを決定し、血圧変化パラメータ及び/又は心拍数変化パラメータに各々基づいて、被験者がRDNプロシージャに適していることを決定するように構成される。好ましくは、被験体適合性決定ユニット14は、腎神経を刺激するときに血圧及び心拍数が増加することを血圧変化パラメータ及び心拍数変化パラメータが示す場合、被験者はRDNプロシージャに適していることを決定するように構成される。特に、被験者適合性決定ユニットは、腎神経を刺激する間に、血圧変化パラメータが、血圧は少なくとも20%増加したことを示す場合、及び心拍数変化パラメータが、心拍数は少なくとも10%増加したことを示す場合、被験者がRDNプロシージャに適していることを決定するように構成される。
【0019】
被験体適合性決定ユニットは、a)測定された血圧の勾配及び/又は異なる時間に測定された血圧値の差及び/又は異なる時間に測定された血圧値の間の比に依存する血圧変化パラメータ、及びb)測定された心拍数の勾配及び/又は異なる時間に測定された心拍数値の差及び/又は異なる時間に測定された心拍値間の比に依存する心拍数変化パラメータを決定するように構成されることができる。特に、時間依存血圧変化パラメータは、a)腎神経を刺激する前又は開始時になり得る基準時間に測定された血圧値、及びb)刺激プロセスの間及び/又はその後のさらなる時間に測定された血圧値に依存して決定されることができる。これに対応して、時間依存心拍数変化パラメータは、a)腎神経を刺激する前又は開始時になり得る基準時間で測定された心拍数、及びb)刺激プロセスの間及び/又はその後のさらなる時間で測定された心拍数値に依存して決定されることができる。決定された時間依存血圧変化パラメータ及び時間依存心拍数変化パラメータは、刺激プロセスによって引き起こされる血圧及び心拍数の変化を監視するために使用され得る。
被験体適合性決定ユニット14が、被験体3はRDNプロシージャに適していると決定した場合、RDNプロシージャのみが実行されるように、システム1は、RDN装置、特に神経液供給装置13を制御する制御ユニット16を更に有する。これにより、RDNプロシージャが不必要に実行されないことが保証される。
刺激装置は、RDNプロシージャを実行する間にも腎神経を刺激するように構成されており、測定ユニット20は、少なくとも2回、血圧及び心拍数を測定するように構成されており、これらの回の少なくとも1つは、 RDNプロシージャを実行する間に実行される腎神経の刺激の間又はその後である。システム1は、RDNプロシージャが少なくとも2回測定された血圧及び心拍数に基づいていつ終了されるべきかを決定するための終了決定ユニット21をさらに有し、これらの回の少なくとも1つは、 RDNプロシージャを実行している間に実行される腎神経の刺激の間又はその後である。特に、終了決定ユニット21は、腎神経を刺激している間、血圧及び心拍数が刺激に反応しなくなった場合、すなわち、血圧の上昇及び心拍数の上昇が観測され得なくなった場合、RDNプロシージャは停止されるべきと決定するように構成される。従って、終了決定ユニット21は、RDNプロシージャの終点を決定する。制御ユニット16は、終了決定ユニット21がRDNプロシージャの終点を決定した場合、RDNプロシージャが停止されるように、RDN装置、特に神経供給ユニット13を制御するように構成される。
【0020】
システム1はさらに、ユーザが制御パラメータのようなパラメータをシステム1に入力することを可能にする入力ユニット18を有する。例えば、ユーザは、腎神経の刺激が開始されるべきか又は停止されるべきかを示すパラメータ又は RDNプロシージャが開始されるべきか又は停止されるべきかを示すパラメータを入力することができる。
以下では、被験者の腎動脈の腎神経を刺激し、RDNプロシージャを実行する方法の実施形態が、図2に示されるフローチャートを参照して例示的に説明される。
ステップ101では、イメージング装置2を用いて、被験体3の少なくとも1つの腎動脈を示す、被験体3の前胸部3次元画像を生成される。ステップ102において、針装置17を導入するための導入経路が、針装置17の先端部9は3次元画像に示される腎動脈に到達するように、生成された3次元画像に基づいて計画される。三次元画像がいくつかの腎動脈を示す場合、腎動脈は選択されることができ、最も容易にアクセス可能であり、この選択プロセスの基準は、腎動脈の直線度及び直径になり得る。最も容易にアクセス可能な腎動脈を選択するためのさらなる基準は、静脈を回避する導入経路が容易に見いだされるように、それぞれの動脈が相対的に隔離されるかになり得る。さらなる基準は、それぞれの腎動脈が胸郭を妨害することなく容易にアクセスされることができるかである。
ステップ103において、針装置17は、計画された導入経路に沿って、選択された腎動脈の周囲空間に挿入される。この挿入プロシージャは、リアルタイム画像ガイダンス下で優先的に実行され、計画された導入経路に沿って移動されながら針装置17を示すイメージング装置2によって、異なる時点、特に連続的に、画像が生成される。ステップ104において、選択された腎動脈、すなわち腎臓求心性神経の腎神経は、針装置17及び電源12を使用して刺激される。特に、腎神経は、約5msのパルス持続時間及び15mAより小さい振幅を有する電流パルスを用いて1分間刺激される。パルス周波数は優先的に20Hzより小さい。腎神経を刺激しながら、血圧及び心拍数は、測定ユニット20を用いることによってステップ104において測定される。
ステップ105では、腎神経を刺激しながら、ステップ104で測定された血圧及び心拍数に基づいて、被験体がRDNプロシージャに適しているかが決定される。特に、測定された血圧及び心拍数が刺激により増加するかが決定され、そうでない場合には、被験者はRDNプロシージャに適していないと決定され、方法はステップ106において停止する。そうでなければ、ステップ107において、RDNプロシージャが実行される。
【0021】
ステップ107でRDNプロシージャを実行する間、腎神経が刺激され、血圧及び心拍数が測定され、測定された血圧及び心拍数に基づいて、RDNプロシージャが停止されるべきかが決定される。特に、ステップ107において、刺激による血圧及び心拍数の上昇が継続的に測定され、刺激により血圧及び心拍数が上昇しない場合、終点は、選択された腎動脈に対して到達され、RDNプロシージャはステップ108で停止することが決定される。ステップ102から108は、さらに腎動脈、特に対側腎動脈で繰り返され得る。
既知のRDNプロシージャの主な問題は、多くの治療を受けた患者が、RDNプロシージャの血圧の著しい低下に応答しないことである。重要な理由の1つは、高血圧がしばしば、交感神経活動だけでなく、多くの要因によって引き起こされることにある。したがって、実際には血圧の著しい低下に応答するRDNプロシージャのための患者のみを選択することが重要である。被験者の腎動脈の腎神経を刺激するための上記のシステムは、腎神経を刺激しながら、それぞれの被験者の血圧及び心拍数を監視することによってそのような選択を可能にする。既知のRDNプロシージャにおける他の重要な問題は、RDNプロシージャ中の臨床終点の欠如である。どの時点で除神経が正常に完了されるかは一般に知られていない。このような情報の欠如はしばしば、過度に長いRDNプロシージャ又は不十分なRDNプロシージャをもたらし、不十分なRDNプロシージャは過度に早く停止される。したがって、治療の完全性及び長期有効性は、RDNプロシージャ中に決定されることができない。腎神経活動は手技内検出には小さすぎるため、伝導ブロック又は信号電圧低下のような心臓アブレーションプロシージャで使用される終点は使用され得ない。上記のシステムは、RDNプロシージャ中に腎神経を刺激することによってこの問題を解決し、刺激時の血圧及び心拍数における応答が監視される。腎神経の刺激が血圧及び心拍数の応答をもはやもたらさない場合、終点が検出され、RDNプロシージャは停止されることができる。
経血管アクセスへの労力は一般に比較的高いので、上記の実施形態では、RDN治療に応答する患者を選択するために使用され得る刺激電極を含むエタノール注入によって間質RDNプロシージャを行うために針装置が使用される。間質性エタノール注入RDNプロシージャが行われる場合、静脈及び動脈は損傷を受けていない状態のままになり得る。さらに、人がRDNプロシージャに適しているかを決定するための全プロシージャは非常に高速になり得る。例えば、導入経路を計画するための計画時間は約5分であり、導入経路に沿って針装置を挿入する時間は約2分であり、そのから腎神経は約2分間刺激され、刺激、すなわち、血圧及び心拍数の可能な増加は、刺激の開始後、約12分間測定され、約20分の全体的なプロシージャ時間がもたらされる。人がRDNプロシージャに適していると決定された後、RDNプロシージャ、すなわち腎神経の除神経術は、特に神経液を注入することによって行われることができる。
【0022】
上述した実施形態では、コンピュータ断層撮影法が被験者への針装置の挿入をガイドするために使用されたが、他の実施形態では、導入プロセスを誘導するために他のイメージング技術は使用されることができる。例えば、磁気共鳴イメージング装置又は超音波イメージング装置はこの誘導目的のために使用されることができる。
上述の実施形態では、心拍数及び血圧に基づいてRDNプロシージャに対するそれぞれの被験体の適合性が決定されるが、他の実施形態では、RDNプロシージャに対する各被験体の適合性は、測定された心拍数又は測定された血圧のみに基づいて決定される。それに対応して、RDNプロシージャの終点は、少なくとも2回測定された、測定心拍数のみに基づいて、又は測定血圧のみに基づいて決定されてもよく、これらの時間の少なくとも1つは、腎神経の刺激中又は刺激後であり、この場合、腎神経は、RDNプロシージャを実行する間に刺激される。
上述の実施形態では、リング電極が、腎神経を刺激するために使用されるが、他の実施形態では、点電極のような他の電極が腎神経を刺激するために使用されてもよい。
開示された実施形態に対する他の変更は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求された発明を実施する際、当業者によって理解され得、達成され得る。
特許請求の範囲において、「有する(comprising)」という単語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。
単一のユニット又はデバイスは、特許請求の範囲に記載されたいくつかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
1つ又は複数の装置又は装置によって実行されることができる、被験者がRNDプロシージャに適しているかを決定すること、RNDプロシージャがいつ終了されるべきかを決定することなどのプロシージャは、何れかの数のユニット又は装置によって実行されることができる。上述の方法に従って被験体の腎動脈の腎神経を刺激するための上記のプロシージャ及び/又は上記システムの制御は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段及び/又は専用ハードウェアとして実施されることができる。
【0023】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として供給される、光記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体上に記憶/配信され得るが、インターネット又は他の有線又は無線電気通信システムを介して他の形態で配信されてもよい。
特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
本発明は、被験体の腎動脈の腎神経を刺激するためのシステムに関する。このシステムは、腎神経を刺激するための刺激装置と、少なくとも2回の被験者の血圧及び/又は心拍数を測定するための測定ユニットであって、これらの時間の少なくとも1つは、腎神経の刺激中又は刺激後である、測定ユニットと、測定された血圧及び/又は測定された心拍数に基づいて被験体がRDNプロシージャに適しているかを決定するための被験体適合性決定ユニットとを含む。従って、本発明は、腎交感神経除神経術プロシージャに適した被験者の事前選択を可能にする。
図1
図2
図3