(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】光ファイバシステム
(51)【国際特許分類】
H01S 3/10 20060101AFI20220128BHJP
H01S 3/067 20060101ALI20220128BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20220128BHJP
G02B 6/036 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
H01S3/10 Z
H01S3/067
H01S3/10 D
G02B6/02 401
G02B6/02 411
G02B6/036
G02B6/02 B
G02B6/02 376B
(21)【出願番号】P 2018540836
(86)(22)【出願日】2017-02-06
(86)【国際出願番号】 US2017016718
(87)【国際公開番号】W WO2017136831
(87)【国際公開日】2017-08-10
【審査請求日】2020-02-05
(32)【優先日】2016-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518049072
【氏名又は名称】ニューファーン
【氏名又は名称原語表記】Nufern
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス・ジョリベット
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ファーリー
(72)【発明者】
【氏名】ヤロスラフ・アブラムチク
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・コンロイ
(72)【発明者】
【氏名】カニシュカ・タンカラ
(72)【発明者】
【氏名】ペイマン・アフマディ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・リム
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-035012(JP,A)
【文献】特表2008-532072(JP,A)
【文献】特表2015-513119(JP,A)
【文献】特開2005-084107(JP,A)
【文献】特表2009-543366(JP,A)
【文献】特表2002-524766(JP,A)
【文献】国際公開第2012/053045(WO,A1)
【文献】特表2009-512208(JP,A)
【文献】特開2007-310187(JP,A)
【文献】特開2009-168914(JP,A)
【文献】特開2014-170850(JP,A)
【文献】特開2009-145892(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0204190(US,A1)
【文献】特開2014-029537(JP,A)
【文献】米国特許第04372645(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
G02B 6/02-6/036
G02B 6/10
G02B 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長を有する光放射を伝送するためのモード混合光ファイバを備える光ファイバシステムであって、
前記モード混合光ファイバは、入力端と、出力端と、中心線と、屈折率プロファイルとを有し、
前記モード混合光ファイバは、
前記波長の光放射のためのコアであって、屈折率プロファイル及び中心線を有する
最も内側のコアであるコアと、
前記コアの周りに配置されたクラッディングとを備え、
前記最も内側のコアの屈折率プロファイルは、前記コアの中心線の周りに非対称に配置された1つ又は複数のドープされた領域を含み、前記ドープされた領域のそれぞれはアップドープ又はダウンドープされ、
前記モード混合光ファイバのコアは、前記波長において少なくとも20個の導波モードをサポートし、
前記モード混合光ファイバのコアの屈折率プロファイルは、前記光放射の少なくとも
50%が基本モード以外のモード
、第1の高次モード、又は、基本モードに比較して次に高い高次モードで導波されるように、低次導波モードから高次導波モードへ当該モード混合光ファイバで導波する波長を有する光放射の一部を分配するように構成され、
前記光ファイバシステムは、
1つ又は複数のポンプ入力ポートと出力ポートを備えたポンプカプラ又はコンバイナと、
ポンプ波長及び増幅波長を有する能動型光ファイバとを備え、
前記ポンプ波長は前記光放射の波長であり
、
前記能動型光ファイバは前記ポンプカプラ又は前記コンバイナの出力ポートに動作可能に結合された第1の端部を有し、
前記光ファイバシステムは、
前記ポンプ波長を有する1つ又は複数のポンプ光源を備え、
前記モード混合光ファイバの入力端は前記1つ又は複数のポンプ光源の1つに動作可能に結合され、前記モード混合光ファイバの出力端は前記ポンプカプラ又は前記コンバイナの各入力ポートの1つに動作可能に結合され
る、
光ファイバシステム。
【請求項2】
所定の波長を有する光放射を伝送するためのモード混合光ファイバを備える光ファイバシステムであって、
前記モード混合光ファイバは、入力端と、出力端と、中心線と、屈折率プロファイルとを有し、
前記モード混合光ファイバは、
前記波長の光放射のためのコアであって、屈折率プロファイル及び中心線を有する
最も内側のコアであるコアと、
前記コアの周りに配置されたクラッディングとを備え、
前記最も内側のコアの屈折率プロファイルは、前記コアの中心線の周りに非対称に配置された1つ又は複数のドープされた領域を含み、前記ドープされた領域のそれぞれはアップドープ又はダウンドープされ、
前記モード混合光ファイバのコアは、前記波長において少なくとも20個の導波モードをサポートし、
前記モード混合光ファイバのコアの屈折率プロファイルは、前記光放射の少なくとも
50%が基本モード以外のモード
、第1の高次モード、又は、基本モードに比較して次に高い高次モードで導波されるように、低次導波モードから高次導波モードへ当該モード混合光ファイバで導波する波長を有する光放射の一部を分配するように構成され、
前記光ファイバシステムは、
前記光放射の波長であるポンプ波長及び増幅波長を有する能動型光ファイバ(1884)と、
前記ポンプ波長を有する1つ又は複数のポンプ光源(1888)と、
前記モード混合光ファイバ(1800)とを備え、
前記モード混合光ファイバの入力端はポンプカプラ又はコンバイナ(1882)を介して前記1つ又は複数のポンプ光源の1つに動作可能に結合され、前記モード混合光ファイバの出力端は前記能動型光ファイバに動作可能に結合される、
光ファイバシステム。
【請求項3】
前記モード混合光ファイバのコアはポンプコアであり、
前記モード混合光ファイバは前記ポンプコア内に配置された第2のコアをさらに備え、
前記第2のコアは前記能動型光ファイバの能動波長を導波するように構成された受動型コアである、
請求項2に記載の光ファイバシステム。
【請求項4】
光ファイバシステムは、
前記モード混合光ファイバの第2のコアを介して前記能動型光ファイバの能動型コアに動作可能に結合された能動波長のための光源をさらに備える、
請求項3に記載の光ファイバシステム。
【請求項5】
所定の波長を有する光放射を伝送するためのモード混合光ファイバを備える光ファイバシステムであって、
前記モード混合光ファイバは、入力端と、出力端と、中心線と、屈折率プロファイルとを有し、
前記モード混合光ファイバは、
前記波長の光放射のためのコアであって、屈折率プロファイル及び中心線を有する
最も内側のコアであるコアと、
前記コアの周りに配置されたクラッディングとを備え、
前記最も内側のコアの屈折率プロファイルは、前記コアの中心線の周りに非対称に配置された1つ又は複数のドープされた領域を含み、前記ドープされた領域のそれぞれはアップドープ又はダウンドープされ、
前記モード混合光ファイバのコアは、前記波長において少なくとも20個の導波モードをサポートし、
前記モード混合光ファイバのコアの屈折率プロファイルは、前記光放射の少なくとも
50%が基本モード以外のモード
、第1の高次モード、又は、基本モードに比較して次に高い高次モードで導波されるように、低次導波モードから高次導波モードへ当該モード混合光ファイバで導波する波長を有する光放射の一部を分配するように構成され、
前記光ファイバシステムは、
ポンプ波長と、前記光放射の波長である
能動波長とを有するマルチモード能動型光ファイバと、
前記能動波長のためのシード光源(1991)と、
前記モード混合光ファイバ(1900)とを備え、
前記モード混合光ファイバのコアは受動型の最も内側のコアであり、
前記モード混合光ファイバの入力端はポンプカプラ又はコンバイナを介して前記シード光源に動作可能に結合され、
前記モード混合光ファイバの出力端は前記能動型光ファイバに動作可能に結合され、
前記モード混合光ファイバは前記受動型の最も内側のコアを囲むポンプコアをさらに備え、
前記光ファイバシステムは、ポンプカプラ又はコンバイナを介して前記モード混合光ファイバのポンプコアに動作可能に結合された1つ又は複数のポンプ光源をさらに備える、
光ファイバシステム。
【請求項6】
所定の波長を有する光放射を伝送するためのモード混合光ファイバを含む光ファイバシステムであって、
前記モード混合光ファイバは、入力端と、出力端と、中心線と、屈折率プロファイルとを有し、
前記モード混合光ファイバは、
前記波長の光放射のためのコアであって、屈折率プロファイル及び中心線を有する
最も内側のコアであるコアと、
前記コアの周りに配置されたクラッディングとを備え、
前記最も内側のコアの屈折率プロファイルは、前記コアの中心線の周りに非対称に配置された1つ又は複数のドープされた領域を含み、前記ドープされた領域のそれぞれはアップドープ又はダウンドープされ、
前記モード混合光ファイバのコアは、前記波長において少なくとも20個の導波モードをサポートし、
前記モード混合光ファイバのコアの屈折率プロファイルは、前記光放射の少なくとも
50%が基本モード以外のモード
、第1の高次モード、又は、基本モードに比較して次に高い高次モードで導波されるように、低次導波モードから高次導波モードへ当該モード混合光ファイバで導波する波長を有する光放射の一部を分配するように構成され、
前記光ファイバシステムは、
前記モード混合光ファイバ(2100)を備え、
前記モード混合光ファイバのコアは能動型の最も内側のコアであり、
前記能動型の最も内側のコアは、ポンプ波長と、前記光放射の波長である能動波長とを有し、
前記光ファイバシステムは、
前記モード混合光ファイバの能動型の最も内側のコアに動作可能に結合された1つ又は複数のポンプ光源(2188)を備える、
光ファイバシステム。
【請求項7】
前記モード混合光ファイバは、前記光放射の50%以下が任意の2つの導波モードで導波されるように、実質的に前記光放射を分配するように構成される、
請求項1~
6のいずれかに記載の光ファイバシステム。
【請求項8】
前記1つ又は複数のダウンドープされた領域は、前記コアの中心線の周りに非対称に配置された1つ又は複数
のダウンドープされた領域を含む、
請求項1~
7のいずれかに記載の光ファイバシステム。
【請求項9】
前記1つ又は複数
のドープされた領域のそれぞれは、円形と、多角形と、環形状とから選択された形状を有する、
請求項
8に記載の光ファイバシステム。
【請求項10】
前記モード混合光ファイバの最も内側のコアは、前記モード混合光ファイバの中心線と実質的に同一直線上にない中心線を有する、
請求項1~
9のいずれかに記載の光ファイバシステム。
【請求項11】
前記最も内側のコアは、円形の断面形状を有する、
請求項1~10のうちのいずれか1つに記載の光ファイバシステム。
【請求項12】
前記コアは、長方形又は多角形の形状であって、実質的に非円形の断面形状を有する、
請求項1~
10のいずれかに記載の光ファイバシステム。
【請求項13】
前記モード混合光ファイバは所定の強度プロファイルを前記波長において導波された放射を提供するように構成され、
前記強度プロファイルは、ピーク強度の5%における外側縁端部により定義され、
前記強度プロファイルは、その平均強度
の15%
以内において
、少なくとも80%の断面積を有する、
請求項1~
12のいずれかに記載の光ファイバシステム。
【請求項14】
前記1つ又は複数のドープ領域は、前記最も内側のコアの中心線に対して非対称に配置された単一の環形状のダウンドープされた領域を含む、
請求項1~13のいずれかに記載の光ファイバシステム。
【請求項15】
前記モード混合光ファイバの屈折率プロファイルは、前記モード混合光ファイバの長さ方向に沿って螺旋状に形成される、
請求項1~14のいずれかに記載の光ファイバシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年2月5日に出願された米国仮特許出願第62/291,953号及び2016年2月15日に出願された米国仮特許出願第62/295437号の利益及び優先権を主張するものであり、それらの各々はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、光ファイバ及び光ファイバレーザならびに増幅器に関する。本開示は、より詳細には、例えば、所望のビーム積(beam product)パラメータ及びビームプロファイルを有する光ファイバレーザ及び増幅器出力を提供する際に、ならびにレーザ及び増幅器システムの構築の際に有用なモード混合光ファイバに関する。
【背景技術】
【0003】
高出力の光学式レーザ及び光学式増幅器は、様々な材料のレーザ切断、溶接及び機械加工などの様々な目的で様々な産業で広く使用されている。希土類ドープ型光ファイバの研究開発は、大モード面積(LMA)ファイバのような特殊ファイバ設計の発見により、様々な高出力ファイバレーザ及び増幅器モジュールの導入を誘発した。マルチkWファイバレーザ及び増幅器は、非常に高い効率で実現され、レーザ材料処理の成長を促進している。言うまでもなく、固体レーザのような他のタイプの高出力レーザも、材料処理用途に一般的に使用されている。
【0004】
材料加工の分野で使用されるレーザ及び増幅器は、望ましくは出力パワー及びビームプロファイルに関して特有の要件を満たす。パワーに関して、レーザまたは増幅器システムは、望ましくは、典型的にはキロワットオーダーの所望の材料を処理するのに十分高い波長及びエネルギーを有する放射を送達する。マルチモードとシングルモードの2種類のkWレベルのファイバレーザを区別することができる。シングルモードファイバレーザは、典型的には1~3kWの光パワーをし、マルチモードファイバレーザは、典型的には数十kWの出力パワーの範囲で動作する。材料加工用途では、シングルモードファイバとマルチモードファイバレーザの両方が使用される。マルチモードレーザは、例えば、マルチモードアクティブファイバを使用することによって、またはいくつかのシングルモードファイバレーザの出力をマルチモードの送達ファイバに組み合わせてワークピースに送達することによって構成することができる。同様に、マルチモード送達ファイバは、固体レーザからワークピースにパワーを送達するためにしばしば使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ビームプロファイルの観点から、ユーザは、通常、送達されたビームが所望のビームパラメータ積(BPP)を有することを望む。本明細書で使用されるBPPは、ビーム半径Rとビームの発散角との積として定義され、mm・mrad単位で表される。ビーム半径R(mm単位)は、最大強度の13.5%で測定されたビーム径の半分である。mrad単位での発散角θは、ビームがビーム送達光ファイバの端部から伝播するときに光軸に形成される半角として定義される。所望のBPP値は用途によって異なるが、ファイバ結合レーザのBPP値の3つの典型的な範囲を以下に示す。
●50μmコア直径のビーム送達ケーブルの場合、1.5~2mm・mrad
●100μmコア直径のビーム送達ケーブルの場合、3~4mm・mrad
●200μmコア直径のビーム送達ケーブルの場合、6~8mm・mrad
【0006】
さらに、多くの用途において、送達されるビームは、ビームに沿って実質的に均等に分配される強度プロファイルを有する。このような「フラットトップ(flat-top)」プロファイルは、最大強度が中心のみにある、ガウスプロファイルとは異なる。「フラットトップ」プロファイルは、制御された正確な切断、溶接または機械加工プロセスを可能にするのに役立つ。
【0007】
多くの用途において、実質的に円形のプロファイルを有するビームもまた(または代替的に)所望される。
【0008】
必要なビームパラメータ積(BPP)を満足させながら材料加工用途にこのようなレーザを使用するために、従来の光ファイバレーザ及び増幅器システムは、出力をワークピースに送信するためのビーム送達ケーブルに結合されたシングルモードもしくはマルチモードレーザまたは増幅器出力を有する。同様に、従来の固体レーザは、レーザ出力をワークピースに送達するためのビーム送達ケーブルに結合されている。一般に使用されるビーム供給ケーブルは、50、100、200、400及び600ミクロンの典型的なコア直径及び0.1~0.4(及びしばしば0.4より大きい)の開口数(NA)を有する高度にマルチモードステップインデックスファイバで作製される。シングルモードレーザ出力(発射ファイバ)とビーム送達ケーブルとの間のオフセット接続、成形コアを有するビーム送達光ファイバ、外部ビーム成形技術、機械的なファイバのマイクロベンディング、ファイバテーパ(断熱的及び/または急な)、長周期グレーティング及びマルチモードファイバにおけるマルチモード干渉のような所望のBPP及びフラットトッププロファイルの両方を提供するため、多数の技術が試みられてきた。しかしながら、これらの各々には多くの欠点がある。
【0009】
したがって、例えば、所望のBPP値、所望の強度プロファイル(例えば、「フラットトップ」強度プロファイル)及び円形ビームプロファイルを1つ以上提供することができる改良された光ファイバ、システム及び方法の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、本開示は、波長を有する光放射を送達するためのモード混合光ファイバを提供し、モード混合光ファイバは、入力端、出力端、中心線及び屈折率プロファイルを有する。モード混合光ファイバは、
波長を有する光放射のための屈折率プロファイルを有するコア(例えば、最内コアまたはポンプコア)と、
内側コアの周りに配置されたクラッドと、を備え、
モード混合光ファイバのコアは、波長において少なくとも2つの(例えば、少なくとも5つの)誘導モードをサポートし、
モード混合光ファイバが、複数の誘導モードの間で、その内部を伝播する波長を有する(例えば、その入力端で入力された、またはコア内で発生または増幅された)光放射を実質的に分配する(例えば低次の誘導モードからその高次の誘導モードへその内部で伝播する前記波長を有する光放射(例えば、その入力端で入力された、またはコア内で発生または増幅された)ように)
【0011】
別の態様では、本開示は、光学システムであって、
本明細書に記載のモード混合光ファイバと、
モード混合光ファイバの入力端に直接光学的に結合された出力端を有する第1の光ファイバであって、波長を有する光放射を伝播するように構成された第1の光ファイバと、を備える、光学システムを提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、光学システムを提供し、
本明細書に記載のモード混合光ファイバと、
第1のモード混合光ファイバの前記入力端に光学的に結合された光源(例えば、固体レーザ)と、を備える。
【0013】
別の態様では、本開示は、自由空間伝播光ビームを提供する方法を提供し、
先の2つのパラグラフに記載されているような光学システムを提供することと、
モード混合光ファイバに波長の放射を伝播させることと、
自由空間伝播光ビームをモード混合光ファイバの出力端から伝播させることと、を含む。
【0014】
別の態様では、本開示は、誘導された光放射を提供するための方法を提供し、方法は、
本明細書に記載のモード混合光ファイバを提供することと、
モード混合光ファイバ内の波長の放射を、その内部を伝播する波長を有する光放射の一部(例えば、その入力端で入力された、またはコア内で生成または増幅された)をその低次モードからその高次モード分配するために十分な距離だけ伝播させることと、を含む。
【0015】
別の態様において、本開示は、波長を有する誘導された光放射を提供するための方法を提供し、
本明細書に記載のモード混合光ファイバを提供することであって、モード混合光ファイバが、波長を有する放射のためのアクティブモード混合光ファイバである、提供することと、
アクティブモード混合光ファイバにおける波長の光放射を生成または増幅することと、
アクティブモード混合光ファイバの複数の誘導モードの間で波長を有する光放射を実質的に分配する(例えば、波長を有する光放射のかなりの部分をその低次モードからその高次モードへ分配する)ために十分な距離だけ、アクティブモード混合光ファイバ内の波長の放射を伝播させることを含む。
【0016】
別の態様では、本開示は、ポンプ波長を有するポンプ放射をアクティブ光ファイバに提供する方法であって、
本明細書に記載のモード混合光ファイバを提供することであって、モード混合光ファイバが、モード混合ポンプファイバである、提供することと、
モード混合ポンプファイバの複数の誘導モードの間でその内部で伝播する波長を有する光放射を実質的に分配する(例えば、その内部(例えば、その入力端で入力される)でその低次モードからその高次モードへ伝播するポンプ波長を有する光放射の一部の実質的分配を分配する)ために十分な距離だけモード混合ポンプファイバ内でポンプ波長の放射を伝播させることと、を含む、方法を提供する。
【0017】
別の態様では、本開示は、アクティブ波長を有するマルチモードアクティブ光ファイバにアクティブ波長を有するシード放射を提供する方法を提供し、方法は、
本明細書に記載のモード混合光ファイバを提供することと、
モード混合ポンプファイバの複数の誘導モードの間でその内部で伝播する波長を有する光放射を実質的に分配する(例えば、その内部(例えば、その入力端で入力される)でその低次モードからその高次モードへ伝播するポンプ波長を有する光放射の一部の実質的分配を分配する)ために十分な距離だけモード混合ファイバ内でアクティブ波長のシード放射を伝播させることと、を含む。
【0018】
これらの、ならびに他の態様、実施形態、利点、及び代替は、添付の図面を適宜参照して、以下の詳細な説明を読むことによって、当業者には明らかになるであろう。本明細書に記載された光ファイバ、システム及び方法の種々の実施形態は、レーザ加工用途ならびに例えばファイバビーム制御技術の恩恵を受ける様々な追加の用途において有用であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本発明の一実施形態によるモード混合光ファイバの概略側面図である。
【
図3】本発明の別の実施形態によるモード混合光ファイバの断面概略図である。
【
図4】本発明の別の実施形態によるモード混合光ファイバの断面概略図である。
【
図5】本発明の別の実施形態によるモード混合光ファイバの断面概略図である。
【
図6】本発明の別の実施形態によるモード混合光ファイバの断面概略図である。
【
図7】本発明の別の実施形態によるモード混合光ファイバの断面概略図である。
【
図8】本発明の別の実施形態によるモード混合光ファイバの断面概略図である。
【
図9】本発明の別の実施形態によるモード混合光ファイバの概略断面図である。
【
図10】本発明の別の実施形態によるモード混合光ファイバの概略断面図である。
【
図11】本発明の別の実施形態によるモード混合光ファイバの概略断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態によるモード混合光ファイバの概略側面図及び一組の概略断面図
の組である。
【
図13】本開示の一実施形態による光学システムの概略図である。
【
図14】本開示の別の実施形態による光学システムの概略図である。
【
図15】本開示の別の実施形態による光学システムの概略図である。
【
図16】本開示の別の実施形態による光学システムの概略図である。
【
図17】本開示の別の実施形態による光学システムの概略図である。
【
図18】本開示の別の実施形態による光学システムの概略図である。
【
図19】本開示の別の実施形態による光学システムの概略図である。
【
図20】このようなモード混合光ファイバを持たないシステムに対して、シード放射をマルチモード増幅器に送達する際にモード混合光ファイバを使用するシステムと比較した一組の計算強度プロットである。
【
図21】本開示の別の実施形態による光学システムの概略図である。
【
図22】本開示の別の実施形態による光学システムの概略図である。
【
図23】本開示の別の実施形態による光学システムの概略図である。
【
図24】実施例1の実験で用いたモード混合光ファイバの断面概略図である。
【
図25】実施例1の実験で用いたモード混合光ファイバの劈開されたファイバ端面の写真である。
【
図26】実施例1の実験において、モード混合ビーム送達ケーブルで励起されたモードのうち、計算されたパワー分布を示すグラフである。
【
図27】実施例1の実験におけるモード混合ビーム送達ケーブルによって送達された計算された全出力強度の2Dプロットである。
【
図28】実施例1の実験におけるモード混合ビーム送達ケーブルによって送達されたビームの計算されたプロファイルのプロットである。
【
図29】実施例1の実験における従来のビーム送達ケーブルで励起されたモード間のパワー分布の計算結果を示すグラフである。
【
図30】実施例1の実験において、従来のビーム送達ケーブルによって送達された計算された全出力強度の2Dプロットである。
【
図31】実施例1の実験における従来のビーム送達ケーブルによって送達されたビームの計算されたプロファイルのプロットである。
【
図32】実施例1の実験で説明したように、従来のシステムの概略図であり、これにより送達された全出力強度の2Dグラフである。
【
図33】実施例1の実験で説明したように、オフセットコアモード混合ファイバとそれによって送達される全出力強度の2Dグラフとを含む光学システムの概略図である。
【
図34】実施例2の実験で用いたモード混合光ファイバの設計を示す断面概略図である。
【
図35】実施例2の実験で用いたモード混合光ファイバの劈開されたファイバ端面の写真である。
【
図36】実施例2の実験において、モード混合ビーム送達ケーブルで励起されたモード間の計算されたパワー分布を示すグラフである。
【
図37】実施例2の実験におけるモード混合ビーム送達ケーブルによって送達された計算された全出力強度の計算値の2Dプロットである。
【
図38】実施例2の実験におけるモード混合ビーム送達ケーブルによって送達されたビームの計算されたプロファイルのプロットである。
【
図39】実施例2の実験で説明したように、オフセットコアモード混合ファイバとそれによって送達される全出力強度の2Dグラフとを含む光学システムの概略図である。
【
図40】実施例3の実験で用いたモード混合光ファイバの劈開されたファイバ端面の写真である。
【
図41】実施例3に記載の複数の組の実験の2D及び1D強度グラフである。
【
図42】実施例3に記載の複数の組の実験の2D及び1D強度グラフである。
【
図43】実施例4の実験で用いた光ファイバのプロファイルの断面概略図である。
【
図44】実施例4に記載の一組の実験の2D及び1D強度グラフである。
【
図45】実施例5の実験シミュレーション結果を示すグラフである。
【
図46】実施例5のモード混合ファイバと従来のファイバの様々なモードの計算されたモードパワーのグラフである。
【
図47】実施例6で説明した従来のピッグテールポンプダイオードの出力を示すグラフである。
【
図48】実施例6の実験で用いた光ファイバの劈開されたファイバ端面の写真である。
【
図49】実施例6に記載したように、例示的なモード混合光ファイバを有するピッグテールされたポンプダイオードの出力のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
当業者であれば理解するであろうように、図面は必ずしも縮尺通りに描かれておらず、図面の明瞭化のためにシステムの様々な要素が省略されている場合がある。
【0021】
以下の説明では、読者が当業者によく知られている光ファイバの構造の基本的な知識を有すると仮定する。したがって、ファイバコア、クラッド、及びコーティングの概念は詳細には論じられていない。当業者にはよく知られているように、波長を有する放射は、一般にファイバのコア内を伝播し、その直径は、典型的には数ミクロンから数百ミクロンの範囲にあり、いくつかの実施形態では、さらには最大1500ミクロンである。コアとクラッドとの間の屈折率差は、一般にファイバのコア内の1つ以上の伝播モードで光を閉じ込めるように作用する(ただし、当業者は、コア付近の領域のクラッドに実際にあるエネルギーが存在することを理解するであろう)。
【0022】
「光(light)」または「光学的(optical)」という用語は、光導波管の当業者によって理解されるように広く使用され、波長の可視範囲のみに限定されるものではない。本明細書に記載される屈折率は、放射の波長を参照して記載される。本明細書に記載の光ファイバ、システム及び方法の特定の実施形態では、波長は、可視または近赤外(例えば、約0.5μm~約3μmの範囲内)である。
【0023】
本発明者らは、マルチモードファイバ(マルチモードビーム送達ファイバ、マルチモードポンプファイバもしくはマルチモードアクティブ光ファイバなどのような)において、光放射が全ての利用可能なモード(すなわち利用可能な全ての横断モード)のかなりの部分の間で均一に分配されている場合、放射は、比較的フラットトップ強度プロファイルを示し得ることを明示してきた(例えば、それが、光ファイバから現出する際、またはそれが、光ファイバ内を伝播する際に。高次モードを設定することは出力ビームの発散角にも影響し(高次モードはより大きな発散角で伝播するため)、BPPが増加する。全てのモードが均等に設定されると、ビーム発散は、ファイバコアの開口数に等しい。しかしながら、マルチモードビームファイバで励起されるモードの数及び各々のモード内に結合される相対的なパワーの量は、例えば、入射レーザ放射(例えば、アクティブ光ファイバのような入力ファイバからの)とビームファイバのコアのモードとの間の空間的重複によって大部分が決定される。横断モードは直交しているので、(例えば、アクティブファイバからの)入力放射と非ゼロ空間的重複を有するモードのみが設定され得る。各々のモードによって運ばれるパワー量は、空間的重複の割合によって決定される。結果として、マルチモード光ファイバの出力で利用可能な強度プロファイル及びBPPは、使用される特定のタイプのレーザまたは増幅器(すなわち、レーザ/増幅器出力のプロファイルに依存する)に基づいて変化する。例えば、シングルモードレーザまたは増幅器源を使用する場合、従来のビーム送達ケーブルにおけるマルチモードステップインデックスファイバとのサイズ及び形状係数の著しい違いは、モード混合のレベルの低下をもたらす(すなわち、通常はわずかな低次モードが設定される)。マルチモードレーザまたは増幅器ファイバの使用は、多少問題を助長する可能性があるが、そのようなマルチモードレーザまたは増幅器ファイバは、典型的には少数しかモード化されないという事実のため、ビーム送達ファイバは、典型的にその低次モードのみで放射を伝播する。より低次のモードのみが設定されている場合、送達されるビームの強度は、通常、中心部の強度が周辺部よりもはるかに高い。例えば、自由空間光学系を介して固体レーザをビーム送達ファイバに結合する場合、ビーム送達ファイバは同様に、主にその低次モードで放射を送信することができ、同様に、より強い中心を有する送達ビームに誘導する。
【0024】
本発明者らは、例えば、レーザ/増幅器放射(例えば、シングルモードもしくは少数モードのファイバから、または固体レーザから結合された)入力をその入力端でその高次モードに結合するように構成された光ファイバを提供することによって、先行技術の欠点に対処してきた。このような光ファイバは、光ファイバレーザまたは増幅器システムにおけるモード変換ファイバまたはビーム送達ファイバとして使用される場合、所望のBPP値、所望の強度プロファイル(例えば、「フラットトップ」強度プロファイル)、及び円形ビーム形状のうちの1つ以上を有する出力を提供することができる。特定の実施形態では、このようなモード混合光ファイバは、入力光ファイバとモード混合光ファイバとの間のモード重複を撹乱し、それによってモード混合を増加させるために、コア内に非対称性または他の非均一性を導入することによって提供することができる。後述するように、本開示のモード混合光ファイバは、ビーム送達またはモード変換ファイバとしてだけでなく、特定の実施形態では、ポンプ放射を所望の強度プロファイル(例えば、「フラットトップ」強度プロファイル)でアクティブ光ファイバに連結するために使用されるモード混合ポンプファイバ、ポンプコンバイナ光学装置及び他の光学装置、または所望の強度プロファイル(例えば、「フラットトップ」強度プロファイル)を有する増幅されたまたは生成された放射を提供するためのアクティブ光ファイバを混合するモードとして使用される。
【0025】
当業者であれば理解するであろうように、本明細書に記載のモード混合光ファイバ設計はスケーラブルであり、所望の強度プロファイル(例えば「フラットトップ」及び/または円形ビーム)を維持しながらBPPに関してエンドユーザのニーズを満たす多くの自由度を提供する。本開示に基づいて、当業者は、従来の光学シミュレーション技術を使用して、本開示の範囲内でさらなる設計を提供することができる。
【0026】
有利に、このようなシステムは、標準的な融着接続手順及び従来の商業的接続機器を使用して全ファイバモノリシック構成で提供することができる。このような全ファイバ方式は、簡単で単純なハンドリング、実装、及びメンテナンスを提供することができる。当業者であれば分かるように、本明細書に記載された光ファイバ、方法及びシステムは、外部要素、空間フィルタリング、または特別な処理を必要とせず、モードアップコンバージョンを遂行することができる。本明細書に記載される光ファイバは、ビーム送達ケーブルにパッケージングされ、単にレーザの出力に接続されることができ、したがって既存の光ファイバレーザ及び増幅器システムと互換性がある。同様に、本明細書に記載の光ファイバは、光放射を使用する任意のシステム、例えば自由空間光学系を介して、固体レーザのような他のタイプのレーザの出力に結合することができる。また、モード混合ポンプファイバまたはモード混合アクティブ光ファイバとして使用される場合、本明細書に記載のファイバは、融着接続及び自由空間光学系などの従来の方法を使用して増幅器及びレーザシステムに結合することができる。
【0027】
本開示の実施形態は、
図1の断面概略図及び
図2の概略側面図に示されている。モード混合光ファイバ100は、入力端102と出力端103とを有する。モード混合光ファイバ100はまた、中心線104(光ファイバの断面の幾何学的中心における点として定義される)及び屈折率プロファイル(屈折率として定義される光ファイバの断面の位置)を有する。モード混合光ファイバ100は、コア、ここでは、最内コア110(光ファイバのコアの断面の位置の関数としての屈折率として定義されるそれ自体の屈折率プロファイルを有する)と、コアの周りに配置されたクラッド120と、を含む。モード混合光ファイバは、波長(すなわち、その入力端からその出力端まで)を有する光放射を送達するように構成される。モード混合光ファイバのコアは、波長において少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つまたは少なくとも5つ)の誘導モード(例えば、コアによって実質的に閉じ込められたモード)をサポートする。例えば、特定の実施形態において、モード混合光ファイバのコアは、波長において少なくとも7つの誘導モード、または波長において少なくとも10のモードをサポートする。他の実施形態では、モード混合光ファイバは、波長において少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、またはさらに少なくとも50のモードをサポートする。特定の望ましい実施形態(例えば、ビーム送達用途、モード変換用途、ポンプ光ファイバ用途及び特定のアクティブファイバ用途)では、それは、少なくとも特定の数の誘導モードを波長でサポートするモード混合光ファイバの最内コアである。しかし、他の実施形態、例えばデュアルクラッドアクティブ光ファイバでは、ポンプコアがモード混合コアであり、そのため、少なくとも特定の数の誘導モードを波長でサポートする。
【0028】
決定的には、モード混合光ファイバは、モード混合光ファイバの複数の誘導モードの間にその内部を伝播する波長を有する光放射を実質的に分配するように構成される。モード混合光ファイバは、複数の誘導モード間で光放射を実質的に分配することによって、光ファイバ内で所望の強度プロファイルを有する放射を誘導することができ、所望のモード品質、強度プロファイル(例えば、比較的「フラットトップ」強度プロファイル)、発散、ビームサイズ、及びビームパラメータ積を有する出力を提供することができる。特定の実施形態では、モード混合光ファイバは、光放射の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、さらには少なくとも50%が、基本モード以外のモードで誘導されるように光放射を実質的に分配するように構成される。例えば、モード混合光ファイバは、基本モードでの(例えば、基本モードでの、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、さらには少なくとも95%)で実施的誘導から(例えば、光放射の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、さらには少なくとも50%が、基本モード以外のモードで誘導されるような)複数の誘導モードの間での実質的に分配へと、波長を有する光放射を分配するように構成されることができる。特定の実施形態では、モード混合光ファイバは、光放射の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、またはさらには少なくとも約50%が、基本モード以外のモードまたは第1の高次モード(すなわち、前記基本モードと比較して次により高いモードであるモード、例えば、LP11モードまたはLP02モード)で誘導されるように光放射を実質的に分配するように構成される。特定の実施形態では、モード混合光ファイバは、光放射を実質的に分散して、その結果光放射の90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、またはさらに50%以下が、任意の2つの誘導モードで誘導されるように構成される。
【0029】
例えば、特定の実施形態では、モード混合光ファイバは、その内部を伝播する波長を有する光放射の一部(例えば、その入力端で入力されたまたはコア内で生成または増幅された)をその低次モードからその高次モードに分配するように構成される。モード混合光ファイバの低次モードだけでなく高次モード間の光パワーの分布により、所望の強度プロファイル(例えば、本明細書に記載されているような比較的「フラットトップ」プロファイル)でファイバ内に放射を伝達することができる。同様に、ビームは、例えば、比較的「フラットトップ」プロファイルのような所望のBPP及び/またはビーム形状を有するモード混合光ファイバの出力端から出力することができる。同様に、所望の強度プロファイル(例えば、本明細書で説明するように比較的「フラットトップ」プロファイル)を有するモード混合光ファイバ内で放射を誘導することができる。
【0030】
同様に、本開示に基づいて、当業者は、実質的フラットトップ強度プロファイル(すなわち、ファイバ内)を有する光を誘導するモード混合光ファイバを提供することができる。例えば、モード混合光ファイバは、その平均強度の約20%以内、約15%以内、または約10%以内で、その断面積の少なくとも70%、少なくとも80%、さらには少なくとも90%、を有する強度プロファイル(すなわち、ピーク強度の5%の外周において定義される)を有する誘導放射(すなわち、波長において)を提供するように構成される。
【0031】
本開示は、それが、先に概略を説明した光放射を分配するように、モード混合光ファイバを構成する多数の方法を特定する。例えば、本開示の特定の実施形態では、モード混合光ファイバのコアは、光ファイバの中心線と実質的に同一直線状にないように位置付けされる中心線(すなわち、上述のように定義されるが、ファイバ全体とは反対のコアを基準とする)を有する。換言すれば、特定の実施形態では、モード混合光ファイバのコアは、モード混合光ファイバ全体に対して偏心して配置される。
図3は、最内コア310と、最内コアの周りに配置されたクラッド320とを有するモード混合光ファイバ300の断面概略図である。この実施形態では、最内コア310は、ファイバ300全体に対して実質的に偏心して配置された中心線314を有する。すなわち、最内コア310の中心は、ファイバ300全体の中心線304から横方向にオフセットしている。この実施形態では、モード混合光ファイバは、ステップインデックスプロファイルを有し、当業者は、他のインデックスプロファイルを使用することができることを理解するであろう。
【0032】
当業者であれば、モード混合光ファイバのコアが様々な形状を取ることができることを理解するであろう。例えば、特定の実施形態では、
図3に示すように、コアは、実質的に円形の断面形状を有する。モード混合光ファイバが、断面形状が実質的に円形のコアを有する場合、望ましくはモード間に所望の放射分布を提供することができる。他のいくつかの特徴または特性を含む例えば、上で説明したように、横方向にオフセットしたコアを持つことができる。他の実施形態では、コアは、以下でより詳細に説明するように、モード間で放射を分配するように構成された屈折率プロファイルを有することができる。
【0033】
他の実施形態では、モード混合光ファイバのコアは、実質的に非円形の断面形状を有する。例えば、
図4の断面概略図に示されているモード混合光ファイバ400は、実質的に長方形の形状(ここでは、正方形)を有するコア410を有する。特定の実施形態では、実質的に非円形のコアは、モード混合光ファイバの中心線に沿ってセンタリングされる(すなわち、コアは、光ファイバの中心線と実質的に同一直線状にあるように位置付けられる中心線を有する)。このような実施形態において、コアには、様々な他の実質的に非円形の形状を使用することができる。例えば、コアは、所望の数の辺(例えば、三角形、長方形、六角形)を有する多角形形状(例えば、正多角形または不規則な多角形)を有することができる。当然のことながら、実質的に非円形のコアは、多角形である必要はなく、丸みを帯びているが非円形の形状(例えば、卵形、楕円形、半円形など)を有することができる。
【0034】
特定の実施形態では、モード混合光ファイバのコアは、1つ以上の実質的にアップドープされた領域及び/または1つ以上の実質的にダウンドープされた領域を有し、その伝播モード(「モード混合要素」)の間の放射の所望の分布を提供するように構成される。以下でより詳細に説明されるように、1つ以上のモード混合要素は、多くの方法で構成することができる。当業者であれば、アップドープされたモード混合要素が、波長の光の誘導コアとして作用するためにそれら自体が望ましくは十分ではないことを理解するであろう。任意のアップドープされたモード混合要素は、望ましくは、コアの中心線または光ファイバの中心線に沿ってセンタリングされない(以下に詳細に記載されるように、特定の実施形態では、モード混合光ファイバは、例えば、モード混合光ファイバの中心線に沿って配置される第2のコアを含むことができる)。
【0035】
特定の実施形態では、光ファイバのコアは、その中心線の周りに対称的に配置された1つ以上の実質的にダウンドープされたモード混合要素を含む。例えば、モード混合光ファイバのコアは、コアの中心線と実質的に同一直線状にあるように配置された中心線を有する実質的にダウンドープされたモード混合要素を含むことができる。そのような実施形態の1つが、
図5の断面概略図で示されている。モード混合光ファイバ500は、クラッド520で囲まれたコア510を有する。コア510は、コア自体の中心線に沿って配置された中心線を有する実質的にダウンドープされたモード混合要素515を含む。
【0036】
特定の実施形態では、モード混合光ファイバのコアは、コアの中心線の周りに非対称的に配置された1つ以上の実質的にダウンドープされたモード混合要素を含む。このような実質的にダウンドープされたモード混合要素は、例えば、上述のようにコアの中心線に沿って設けられたダウンドープされたモード混合要素と組み合わせて提供されてもよく、またはコアの中心線に沿って設けられたダウンドープされたモード混合要素がない場合に設けられてもよい。
【0037】
例えば、
図6の断面概略図に示される光ファイバ600は、光ファイバの最内コアの中心線からオフセットして配置された実質的にダウンドープされたモード混合要素615を含む最内コア610を有する(この実施形態では、また光ファイバ自体の中心線からオフセットして配置されている)。別の実施形態として、
図7は、モード混合光ファイバの断面概略図である。モード混合光ファイバ700は、ダウンドープされたリング形状モード混合要素715を含む最内コア710を含み、ここでもまた、ダウンドープされた領域は、その中心が最内コアの中心(及びファイバの中心線)からオフセットされて配置される。
図8は、本明細書に記載のモード混合光ファイバのさらに別の実施形態の断面概略図である。
図8を参照すると、モード混合光ファイバ800は、ダウンドープされたモード混合要素815a、815b、815c及び815dを含む最内コア810を含む。ここで、ダウンドープされたモード混合要素815a、815b、815c、815dは、その中心が光ファイバの中心線804から様々な距離に配置されている。複数のダウンドープされたモード混合要素が設けられている場合、それらはランダムに配置されていてもよいし、または代替的に、規則的な幾何学的配列に配列されていてもよい。
【0038】
特定の実施形態では、モード混合光ファイバの最内コアは、1つ以上の実質的にアップドープされたモード混合要素を含む。例えば、1つ以上の実質的にアップドープされたモード混合要素は、例えば、ダウンドープされたモード混合要素に関して上述された方法のいずれかにおいて、最内コアの中心線の周りに非対称的に配置され得る。他の実施形態では、アップドープされたモード混合要素は、最内コアの中心(例えば、リング形状の領域)の周りに対称的に配置されるが、最内コアの周囲に向かって配置される(例えば、アップドープされた領域の面積の少なくとも1/2、2/3、またはさらには3/4が、最内コアの中心線から離れた最内コアの半径の少なくとも半分に配置されている。存在する場合、1つ以上の高屈折率モード混合要素は、上述のような1つ以上の低屈折率モード混合要素と組み合わせて提供され得る。
【0039】
アップ及びダウンドープされたモード混合要素は、望ましくは、光ファイバのコアの中心からオフセットされる。例えば、本明細書に別途記載される特定の実施形態では、アップ及びダウンドープされたモード混合要素の1つ以上(例えば全て)が、コアの幾何学的中心から少なくとも1μm、少なくとも5μm、少なくとも10μm、または少なくとも15μmだけオフセットされる。このような特定の実施形態では、アップドープ及びダウンドープされたモードの混合要素の1つ以上(例えば、全て)は、コアの幾何学的中心から1μm~100μm、または5μm~100μmまたは10μm~100μm、または15μm~100μm、または1μm~75μm、または5μm~75μm、または10μm~75μm、または15μm~75μm、または1μm~40μm、または5μm~40μm、または10μm~40μm、または15μm~40μm、または1μm~25μm、または5μm~25μm、または10μm~35μmであり得る。
【0040】
本明細書に別途記載される特定の実施形態では、モード混合光ファイバは、例えば、実施例の光ファイバに示されるように、ダウンドープされたモード混合要素として環状形状(例えばリング)を含む。環は、例えば、5μm~100μm、または10μm~100μm、または20μm~100μm、または5μm~80μm、または10μm~80μm、または20μm~80μm、5μm~60μm、または10μm~60μm、または20μm~~60μm、または5μm~40μm、または10μm~40μm、または20μm~40μmの範囲の平均内径を有することができる。環は、1μm~20μm、または2μm~20μm、または3μm~20μm、または4μm~20μm、または1μm~10μm、または2μm~10μm、または3μm~10μm、または4μm~10μm、または1μm~5μm、または2μm~6μm、または3μm~7μm、または4μm~8μmの範囲の厚さを有することができる。
【0041】
モード混合光ファイバのコアは、様々なサイズで形成することができる。例えば、特定の実施形態では、光ファイバコアは、約50μm~約3000μmの範囲、例えば約50μm~約2000μm、または約50μm~約1000μm、または約50μm~約600μm、または約100μm~約3000μm、または約100μm~約2000μm、または約100μm~約1000μm、または約100μm~約600μm、または約200μm~約3000μm、または約200μm~約2000μm、または約200μm~約1000μm、または約200μm~約600μmの範囲の直径(すなわち、コアを横切る半径方向平均距離)を有する。当業者は、所望の数のモードを提供し、入力光ファイバまたは他の光源(例えば、固体レーザ)と重複するようにコア直径を選択する。
【0042】
同様に、全体モード混合光ファイバは、様々なサイズで形成することができる。特定の実施形態では、モード混合光学系は、約100μm~約3600μm、例えば、約100μm~約3000μm、または約100μm~約2500μm、または約100μm~約1500μm、または約100μm~約1000μm、または約100μm~約800μm、または約100μm~約600μm、または約200μm~約3600μm、または約200μm~約3000μm、または約200μm~約2500μm、または約200μm~約1500μm、または約200μm~約1000μm、または約200μm~約800μm、または約200μm~約600μmの範囲の外径を有する。特定の実施形態では、モード混合光ファイバの外径は、コアの外径の少なくとも約1.05倍、例えば、約1.05~約5倍、または約1.05~約3倍、またはモード混合光ファイバのコアの外径の約1.05~約2倍である。例えば、いくつかの実施形態では、モード混合光ファイバの外径は、モード混合光ファイバのコアの外径の少なくとも約1.2倍、例えば、モード混合光ファイバのコアの外径の約1.2~約5倍、または約1.2~約3倍、または約1.2~約2倍の範囲である。
【0043】
当業者が理解するように、様々なアップドープされたモード混合要素及びダウンドープされたモード混合要素は、様々な形状及び様々なサイズで提供されてもよい。特定の実施形態では、様々なアップドープされた及び/またはダウンドープされたモード混合要素は、円形、多角形、(例えば、三角形、六角形、正方形)から選択された断面形状を有する。様々なアップドープされた及び/またはダウンドープされたモード混合要素は、環状形状(例えば、円形リング、または環状多角形)として提供することができる。様々なアップドープされたモード混合要素及び/またはダウンドープされたモード混合要素は、例えば、少なくとも波長のサイズ(すなわち、半径方向平均断面幅)であってもよい。特定の実施形態では、様々なアップドープされたモード混合要素及び/またはダウンドープされたモード混合要素は、サイズが、例えば、約1μm~約2000μmの範囲、例えば約1μm~約1500μm、または約1μm~約1000μm、または約1μm~約800μm、または約1μm~約600μm、または約1μm~約400μm、または約1μm~約200μm、または約1μm~約100μm、または約1μm~約50μm、または約1μm~約30μm、または約1μm~約20μm、または約1μm~約15μm、または約2μm~約2000μm、または約2μm~約1500μm、または約2μm~約1000μm、または約2μm~約800μm、または約2μm~約600μm、または約2μm~約400μm、または約2μm~約200μm、または約2μm~約100μm、または約2μm~約50μm、または約2μm~約30μm、または約2μm~約20μm、または約2μm~約15μm、または約5μm~約2000μm、または約5μm~約1500μm、または約5μm~約1000μm、または約5μm~約800μm、または約5μm~約600μm、または約5μm~約400μm、または約5μm~約200μm、または約5μm~約100μm、または約5μm~約50μm、または約5μm~約30μm、または約5μm~約20μm、または約5μm~約15μm、または約15μm~約2000μm、または約15μm~約1500μm、または約15μm~約1000μm、または約15μm~約800μm、または約15μm~約600μm、または約15μm~約400μm、または約15μm~約200μmの範囲である。特定の実施形態では、アップ及び/またはダウンドープされた領域のコア領域の全パーセンテージは、約5%~約95%の範囲内、例えば約2%~約85%、または約2%~約75%、または約2%~約50%、または約2%~約25%、または約5%~約85%、または約5%~約75%、または約5%~約50%、または約5%~約25%、または約10%~約95%、または約10%~約85%、または約10%~75%、または約10%約50%、または約10%~約25%の範囲内である。
【0044】
1つ以上の実質的にアップドープされたモード混合要素及び/またはダウンドープされたモード混合要素は、コアの残部の屈折率と実質的に異なる屈折率を有する。例えば、特定の実施形態では、各々の実質的にアップドープされたモード混合要素は、コアの残部の屈折率よりも、少なくとも約0.001、少なくとも約0.002、少なくとも約0.003、またはさらには少なくとも約0.005上回る、屈折率(すなわち、波長において)を有することができる。特定の実施形態では、各々の実質的にアップドープされたモード混合要素は、コアの残部の屈折率よりも、約0.050未満、約0.040未満、約0.030未満、または約0.020未満、上回る屈折率を有することができる。例えば、特定の実施形態では、各々の実質的にアップドープされたモード混合要素は、コアの残部の屈折率よりも、0.001~0.050、または0.001~0.040、または0.001~0.030、または0.001~0.020、または0.002~0.050、または0.002~0.040、または0.002~0.030、または0.002~0.020、または0.003~0.050、または0.003~0.040、または0.003~0.030、または0.003~0.020、または0.005~0.050、または0.005~0.040、または0.005~0.030、または0.005~0.020、を上回る、屈折率を有することができる。同様に、特定の実施形態では、実質的にダウンドープされた領域は、コアの残部の屈折率の、少なくとも0.0005、少なくとも約0.001、少なくとも約0.002、少なくとも約0.003、またはさらに少なくとも約0.005、を下回る、屈折率(を有することができる。特定の実施形態では、各々の実質的にダウンドープされた領域は、コアの残部の屈折率の、約0.050未満、約0.040未満、約0.030未満、または約0.020未満の、屈折率を有することができる。例えば、特定の実施形態では、各々の実質的にダウンドープされた領域は、コアの残部の屈折率よりも、0.001~0.050、または0.001~0.040、または0.001~0.030、または0.001~0.020、または0.002~0.050、または0.002~0.040、または0.002~0.030、または0.002~0.020、または0.003~0.050、または0.003~0.040、または0.003~0.030、または0.003~0.020、または0.005~0.050、または0.005~0.040、または0.005~0.030、または0.005~0.020、を下回る、屈折率を有することができる。特定の望ましい実施形態では、実質的にアップドープされた領域及び/またはダウンドープされた領域は、コア内の屈折率不連続の領域として形成される(すなわち、屈折率の変化が、コアの断面に沿って直線距離で、約1μm以内で発生する)。
【0045】
特定の実施形態では、モード混合光ファイバは、モード混合アクティブ光ファイバとして構成されることができる。当業者であれば、「アクティブ光ファイバ」は、(例えば希土類ドーパントを含むことにより)放射(例えば、より短い波長の)でポンピングされたときに動作波長で増幅された放射を放射するように構成された光ファイバであることを理解するであろう。例えば、特定の実施形態では、ラージモードエリア光ファイバは、そのコアに希土類ドーパントを含むことができる。特定の実施形態で好適な希土類ドーパントは、周期律表の元素57~71を含む(例えばランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム)。当該技術分野で「ポンプ」波長として知られている波長のエネルギーを受け取ることに応答して、特定の希土類は、誘導放出を介して異なる「アクティブ」波長の光学エネルギーを提供することができる。放射は、コア(例えば、シードレーザのような信号源から)によって誘導される放射によって、または単にアクティブ光ファイバによって自然に放射されるアクティブ波長での放射によって刺激され得る。したがって、希土類でドープされた光ファイバは、例えば、スーパールミネッセント光源及び第2の波長で光を供給するレーザのような光源として使用することができる。しばしば、第2の波長の光は、発散、空間的及び時間的コヒーレンスなどに関してより高品質である。多くの用途において、希土類ドーパントを含むファイバは、低品質光ビームを受け取り、その光をより望ましい波長のより高品質の光に変換する輝度変換器として作用する。希土類ドーパントで(すなわち、酸化物、水酸化物などのまたはファイバの材料組成に応じて他の種などのイオン形態で)ドープされたファイバもまた、ファイバによって伝播される他の波長の信号を増幅する増幅器として使用されることができる。代替として、当業者であれば、他の利得機構、例えばラマン散乱、ブリルアン散乱を、アクティブ光ファイバによって利用することができることを理解するであろう。モード混合アクティブ光ファイバは、例えば、アクティブコアと、上記のように含まれるモード混合要素との両方で(例えば、上述したような1つ以上の希土類でドープされることにより)構成されるコアを有することができる。このような実施形態では、アクティブ波長で生成された光放射は、高次モードに分配されることができ、したがって、それがファイバ内に誘導されるとき、かつそれがファイバから結合されるときに、所望の強度プロファイルを提供することができる。
【0046】
モード混合アクティブ光ファイバは、マルチクラッド(例えば、デュアルクラッド)ファイバとして構成されることができる。当業者であれば理解できるように、マルチクラッドアクティブ光ファイバは、アクティブ波長の放射を誘導するように構成された内側コアと、内側コアを包囲し、ポンプ波長の放射を誘導するように構成されたポンプコアと、ポンプコアを囲む1つ以上のクラッドと、を含む。このようなモード混合アクティブ光ファイバの一例が、
図9の概略断面図に示されている。モード混合アクティブ光ファイバ900は、上述したアップドープされたモード混合要素を含むマルチモードコア910を有し、(例えば、1つ以上の希土類ドーパントを含むことによって)ポンピングされたときに利得を提供するように構成される。したがって、モード混合アクティブ光ファイバのコア910は、アクティブ波長で少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、少なくとも5つ、または上述の任意の他の数)の誘導モードをサポートし、本明細書に記載されている任意の形態で、アクティブモード混合光ファイバの複数の誘導モードの間に波長を有する光放射を実質的に分配するように(例えば、波長を有する光放射のかなりの部分をその低次モードからその高次モードに分配するように)構成される。モード混合アクティブ光ファイバ900はまた、ここでは六角形の形状のポンプコア918を含む。ポンプコアは、コア910のためのクラッド層として作用する(したがって、当業者であれば「ポンプクラッド」として認識されるであろう)が、ポンプ波長の放射を誘導するようにも作用する。クラッド920は、ポンプ波長の放射をポンプコアに閉じ込めるように作用し、例えば、ガラス層または光ファイバのポリマーコーティングから形成することができる。モード混合要素915及び六角形のポンプコア918が光ファイバの長さに沿って螺旋をトレースするように、アクティブ光ファイバを製造中に回転させることができる。特定の実施形態では、アクティブコア(
図9の910)及びポンプコア(
図9の918)の両方は、アクティブ波長の放射のためのアクティブコアと、ポンプ波長の放射のためのポンプコアとのモード混合を提供することができる。当業者であれば、モード混合アーキテクチャのいずれも、上述のようにモード混合アクティブファイバを提供するのに使用できることを理解するであろうし、本開示は、
図9に示すように、成形されたポンプコアとアップドープされた要素を含むアクティブコアとの組み合わせに限定されない。アクティブコアにおけるモード混合の使用は、例えば、モードのかなりの部分が増幅され、かつ増幅が複数の誘導モードの間で実質的に分散されるように、マルチモードアクティブコア(2または少数モードアクティブコアを含む)のモード間に利得再分配を提供する際に有用であり得る。これは、例えば、高いパワースケーリング、シングル周波数レーザのファイバ長の短縮、ランダムレーザ、スペックルフリーシステム、高安定マルチモードレーザの提供を可能にし、ならびに、上述のような所望の強度プロファイル(例えば、「フラットトップ」)を提供することを可能にするために有効であり得る。ポンプコアにおけるモード混合については、以下でより詳細に説明する。
【0047】
上述したように、特定の実施形態では、モード混合光ファイバは、例えばモード混合光ファイバの中心線に沿って配置された第2のコアを含むことができる。例えば、モード混合光ファイバは、(モード混合)コア内に、例えば光ファイバの中心線に沿って配置された第2のコアを有することができる。特定のそのような実施形態では、モード混合光ファイバは、モード混合コアがポンプコアとして構成され、第2のコアが、モード混合コア内に配置され、モード混合コアが、第2のコアのクラッドとして作用するマルチクラッドファイバとして構成され得る。例えば、第2のコアは、増幅器またはレーザシステムのアクティブ波長のパッシブコア(すなわち、光利得を提供しない)誘導放射として構成されることができる。このようなモード混合光ファイバの一例が、
図10の概略断面図に示されている。モード混合デュアルクラッド光ファイバ1000は、ファイバの中心線に沿って配置されたコア1010を有し、それは、より大きな増幅器またはレーザシステムのアクティブ波長の光放射を通過させるように構成されることができる。コア1010は、より大きな増幅器またはレーザシステムの特定の要件に応じて、シングルモードまたはマルチモードとすることができる。モード混合デュアルクラッド光ファイバ1000はまた、アップ及び/またはダウンドープされたモード混合要素1015を有するポンプコア1018を含む。
図9の実施形態のように、ポンプコアは、コア1010のためのクラッド層として作用する(したがって、当業者であれば「ポンプクラッド」として認識されるであろう)が、コアが誘導されるように構成されているアクティブ波長に関連付けられるポンプ波長の放射を誘導するようにも作用する。クラッド1020は、ポンプ波長の放射をポンプコアに閉じ込めるように作用し、例えば、ガラス層または光ファイバのポリマーコーティングから形成することができる。アクティブ光ファイバは、線引き中に回転することができ、領域1015は、光ファイバの長さに沿って螺旋を描き、螺旋の所望のピッチは、例えば、波長の放射に対して破壊的なマルチモード干渉を提供するように選択することができる。当業者であれば、ポンプコア内のモード混合要素は、モード混合を提供するだけではないことを理解するであろう。
【0048】
図10のモード混合光ファイバはパッシブコアを有するものとして説明されているが、他の実施形態では、マルチクラッド光ファイバは、アクティブコアと、アクティブコアの周りに配置された1つ以上のポンプコア層内に配置された1つ以上のモード混合要素とを有する。
【0049】
他の実施形態では、マルチクラッドファイバのモード混合コアは、例えば、より大きな増幅器またはレーザシステムのアクティブ波長の放射を誘導するように構成されたパッシブコアである。このようなモード混合アクティブ光ファイバの一例が、
図11の概略断面図に示されている。モード混合アクティブ光ファイバ1100は、上述したようにファイバの中心線からオフセットされたマルチモードコア1110を有する。コア1110が光ファイバの長さに沿って螺旋をトレースするように、光ファイバは、線引き中に回転することができる。モード混合アクティブ光ファイバのコア1110は、波長において少なくとも2つ(例えば、少なくとも3つ、または少なくとも5つ、または上述の任意の他の数)の誘導モードをサポートし、上述のようにその内部をその低次の誘導モードからその高次の誘導モードに伝播する波長(例えば、増幅器またはレーザシステムのアクティブ波長)を有する光放射の一部を分配するように構成される。モード混合アクティブ光ファイバ1100はまた、ここでは六角形の形状のポンプコア1118を含む。
図9の実施形態のように、ポンプコアは、コア1110のためのクラッド層として作用する(したがって、当業者であれば「ポンプクラッド」として認識されるであろう)が、ポンプ波長の放射を誘導するようにも作用する。クラッド1120は、ポンプ波長の放射をポンプコアに閉じ込めるように作用し、例えば、ガラス層または光ファイバのポリマーコーティングから形成することができる。特定の実施形態では、パッシブコア(
図11の1110)及びポンプコア(
図11の1118)の両方は、アクティブ波長の放射のためのアクティブコアと、ポンプ波長の放射のためのポンプコアとのモード混合を提供することができる。当業者であれば、モード混合アーキテクチャのいずれも、上述のようにモード混合アクティブファイバを提供するのに使用できることを理解するであろう。本開示は、
図11に示すように、成形されたポンプコアとアップドープされた要素を含むアクティブコアとの組み合わせに限定されない。パッシブコアにおけるモード混合の使用は、例えば、モードのかなりの部分が増幅され、かつ増幅が複数の誘導モードの間で実質的に分配される(例えば、全てのモードの間で実質的に均一な)ようにシードレーザ放射が、様々なモードでのマルチモードアクティブファイバに提供され得るように、マルチモードアクティブコア(少数モードアクティブコアを含む)のモード間に利得再分配を提供する際に有用であり得る。これは、例えば、シード源の開口数を増加させて、マルチモードアクティブ光パワーのより多くのモードを満たすことができると考えられる。これは、例えば、高いパワースケーリング、シングル周波数レーザのファイバ長の短縮、ランダムレーザ、スペックルフリーシステム、高安定マルチモードレーザの提供を可能にし、ならびに、上述のような所望の強度プロファイル(例えば、「フラットトップ」)を提供することを可能にするために有効であり得る。
【0050】
モード混合光ファイバは、様々な長さで提供されることができる。当業者は、モード混合光ファイバの誘導モードの間の放射の所望の分布を高次モードに提供するのに十分な長さを選択することができる(すなわち、上述の任意の形態で)。例えば、特定の実施形態では、モード混合光ファイバは、約1m~約100m、例えば、約1m~約50m、または約1m~約40m、または約1m~約50m、または約1m~約20m、または約1m~約10m、または約1m~約5m、または約5m~約100m、または約5m~約100mの範囲、例えば、約5m~約50m、または約5m~約40m、または約5m~約50m、または約5m~約20m、または約10m~約100m、または約10m~約50m、または約10m~約40mの範囲を有する。本明細書に記載のモード混合光ファイバは、誘導モードの間で放射をより効率的に分配させるために、曲げられてもコイル状にさえされてもよい。
【0051】
特定の実施形態(上述の
図3、4、6~8の実施形態を含む)では、モード混合光ファイバは、円対称の断面プロファイルを有していない。特定のこのような実施形態では、モード混合光ファイバの断面プロファイルは、その長さに沿って螺旋として形成される。すなわち、何らかの外力によってねじられていない状態では、光ファイバの様々な要素が、例えば、約1mm~約100cmの範囲、例えば、約1mm~約50cm、または約1mm~約30cm、または約1mm~約20cm、または約1mm~約10cm、または約1mm~約5cm、または約2mm~約100cm、または約2mm~約50cm、または約2mm~約30cm、または約2mm~約20cm、または約2mm~約10cm、または約2mm~約5cm、または約5mm~約100cm、または約5mm~約50cm、または約5mm~約30cm、または約5mm~約20cm、または約5mm~約10cm、または約5mm~約5cm、または約1cm~約100cm、または約1cm~約50cm、または約1cm~約30cm、または約1cm~約20cm、または約1cm~約10cm、または約1cm~約5cmの範囲のピッチでファイバの長さに螺旋状の構成でねじれる。このような構成を
図12の概略図に示す。偏心したコアを有する光ファイバ900の部分が側面図で示されており、最内コアの中心線1214は破線で示されている。位置A、B、及びCの各々における断面プロファイルが示されている。特に、偏心した最内コアは、ファイバ全体にわたって螺旋として形成される。当業者であれば分かるように、光ファイバに関して円対称ではない任意のモード混合要素は同様に、ファイバの長さに沿って螺旋をトレースする。モード混合プロセスの効率は、そのような螺旋構成を使用することによって大幅に増加させることができる。そのようなファイバは、従来の方法を用いて(例えば、光ファイバの引き出し中にプリフォームを回転させることによって)作製することができる。
【0052】
モード混合光ファイバは、従来の方法を用いて従来の材料から作製することができる。例えば、光ファイバは、様々なシリカベースのガラス(例えば、ゲルマノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、リンケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、フルオロケイ酸塩及びそれらの組み合わせのような珪酸塩)を用いて作製することができる。特定の実施形態では、クラッド(少なくともコアを直に囲む領域)はフッ素ドープされたシリカを含むが、コア(例えば、任意のアップドープされたまたはダウンドープされた領域を除く)は実質的にドープされていないシリカから形成される。他の実施形態では、クラッド(少なくともコアを直に囲む領域)はドープされていないシリカを含むが、コア(例えば、任意のダウンドープされた領域を除く)はゲルマニウムでドープされたシリカから形成される。従来のドープ剤、例えば、ゲルマニウム、フッ素、アルミニウム、リン、ホウ素、を用いて、アップドープされた領域及び/またはダウンドープされた領域を提供することができる。光ファイバを製造する従来の方法(例えば、異なる屈折率の様々なロッド及びチューブを一緒に積み重ね、その後、プリフォームにそれらを折り畳んでプリフォームを引き伸ばす)を使用して、本明細書に記載のモード混合光ファイバを作製することができる。好ましくは、本明細書に記載の光ファイバは、空隙空間を含まない。特定の望ましい実施形態では、モード混合要素は、実質的に規則的な格子を形成しない。
【0053】
本開示に基づいて、当業者は、多種多様なビームパラメータ積を提供するモード混合光ファイバを提供することができ、したがって広範な発散角を提供することができる。モード混合光ファイバの発散が、約40mrad、60mradまたは80mradから光ファイバの開口数までの範囲、例えば、約40mrad~約600mrad、または約40mrad~約300mrad、または約40mrad~約160mrad、または約40mrad~約140mrad、または約40mrad~約120mrad、または約40mrad~約100mrad、または約40mrad~約80mrad、または約60mrad~約600mrad、または約60mrad~約300mrad、または約60mrad~約160mrad、または約60mrad~約140mrad、または約60mrad~約120mrad、または約60mrad~約100mrad、または約60mrad~約80mrad、または約80mrad~約600mrad、または約80mrad~約300mrad、または約80mrad~約160mrad、または約80mrad~約140mrad、または約80mrad~約120mrad、または約80mrad~約100mrad、または約100mrad~約200mrad、または約100mrad~約400mrad、または約100mrad~約600mrad、または約200mrad~約600mradの範囲である。言うまでもなく、当業者であれば、異なる用途に異なる発散角を有するモード混合光ファイバを提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、当業者は、コアのNAと同じ高さのビーム発散角を有するモード混合光ファイバを提供することができる。
【0054】
同様に、本開示に基づいて、当業者は、実質的フラットトップ出力を提供するモード混合光ファイバを提供することができる。例えば、モード混合光ファイバは、その平均強度の約20%以内、約15%以内、または約10%以内で、その断面積の少なくとも70%、少なくとも80%、さらには少なくとも90%、を有するビーム(すなわち、ピーク強度の5%の外周において定義される)を誘導するように構成される。
【0055】
同様に、本開示に基づいて、当業者は、実質的フラットトップ強度プロファイル(すなわち、ファイバ内)を有する光を誘導するモード混合光ファイバを提供することができる。例えば、モード混合光ファイバは、その平均強度の約20%以内、約15%以内、または約10%以内で、その断面積の少なくとも70%、少なくとも80%、さらには少なくとも90%、を有する強度プロファイル(すなわち、ピーク強度の5%の外周において定義される)を有する誘導放射(すなわち、波長において)を提供するように構成される。
【0056】
モード混合光ファイバには、様々な開口数値を提供することができる。例えば、特定の実施形態では、モード混合光ファイバの開口数は、約0.10~約0.60の範囲内、例えば、約0.10~約0.40または約0.10~約0.30、または約0.10~約0.22、または約0.15~約0.60、または約0.15~約0.40、または約0.15~約0.30の範囲内である。
【0057】
コアの屈折率プロファイルの様々な領域は、例えば、散乱(または弱誘導)中心として作用し、光を反射(または誘導)して、コアのより高次のモードを設定することによって、その内部に放射の伝播を撹乱させることができる。本開示に基づいて当業者が理解するように、本明細書に記載のモード混合光ファイバの性能は、例えば、コアの横方向オフセット、コアの屈折プロファイル、開口数、モード混合ファイバの長さ、巻き取り条件(直径及び長さ)、及びコアの屈折率プロファイルの任意の螺旋性を含む複数の設計パラメータによって影響され得る。本開示を考慮すると、当業者は、従来の計算技術を使用して追加の設計に到達することができるであろう。モード混合光ファイバの設計は、所望のコアサイズを提供するために(例えば、使用されるときに別個のビーム送達ファイバのサイズに適合するように)スケーリングされてもよい。
【0058】
本開示の別の態様は、上述したようなモード混合光ファイバと、モード混合光ファイバの入力端に直接光学的に結合された出力端を有する第1の光ファイバとを含む光学システムであり、第1の光ファイバは、波長を有する光放射を伝播するように構成されている。そのような実施形態の1つが、
図13の概略側面図に部分的に示されている。光学システム1330は、入力端1302と出力端1304とを有するモード混合光ファイバ1300ならびに、出力端1344を有する第1の光ファイバ1340とを含む。第1の光ファイバの出力端1344は、モード混合光ファイバの入力端1302に直接的に光学的に結合されている(すなわち、それらの間に実質的な光学構成要素はない)。例えば、第1の光ファイバの出力端をモード混合光ファイバの入力端に融着接続することができる。第1の光ファイバは、光放射をモード混合光ファイバの入力端に結合することができ、その結果、それらの中心線が互いに整列する(すなわち、モード混合光ファイバのコアがモード混合光ファイバの中心線からオフセットしていることがあるとしても)。
【0059】
特に、モード混合光ファイバは、シングルまたは少数モードの光ファイバからの放射を受容し、高次モードへの放射の分布を通じて、(例えば、上述のような)所望の光学特性を有する出力ビームを提供することができる。したがって、特定の実施形態では、第1の光ファイバは波長においてシングルモードである。他の実施形態では、第1の光ファイバは、波長において7以下、6以下、5以下またはさらには4以下のモードを有する。当然のことながら、他の実施形態では、モード混合ファイバは、マルチモード光ファイバからの放射、または固体源からの放射(例えば、自由空間光学による結合を介して)を受け入れることができる。
【0060】
ある有利な実施形態では、第1の光ファイバは、光ファイバレーザまたは光ファイバ増幅器からの放射を提供するように構成される。例えば、第1の光ファイバは、ファイバレーザのアクティブ光ファイバまたは希土類ドープ型ファイバのようなファイバ増幅器、またはある非線形プロセスを介して利得を提供するように構成されたファイバ(例えば、ラマン散乱、ブリルアン散乱)であり得る。
【0061】
特定の実施形態では、第1の光ファイバは、モード混合光ファイバと実質的に同じ直径を有する。このような実施形態は、第1の光ファイバとモード混合光ファイバとの整列(すなわち、例えば融着接続を介した光結合)を単純化することができる点で特に有利であり得る。同様に、特定の実施形態では、第1の光ファイバのコアの直径は、モード混合光ファイバのコアの直径の10%以内、またはさらには5%以内である。
【0062】
特定の実施形態では、モード混合光ファイバは、その第2の端部から所望の光学特性を有するビームを提供することができる。例えば、特定の実施形態では、光学システムは、モード混合光ファイバの第2の端部から自由空間伝播ビームを(例えば、
図13の参照番号1360で識別されるように)発射するように構成される。このような実施形態では、モード混合光ファイバは、ビーム送達ファイバとして作用することができ、例えば、産業環境での取り扱いを可能にするように丈夫にされたビーム送達ケーブル内に構成することができる。必要に応じて、追加の光学系(例えば、コリメートレンズ及び/または他の回折素子もしくは屈折素子)をモード混合光ファイバの出力端に提供することができる。
【0063】
他の実施形態では、光学システムは、第2の光ファイバをさらに含み、第2の光ファイバが、波長においてマルチモードであり、第2の光ファイバが、入力端と出力端とを有し、第2の光ファイバの入力端が、モード混合光ファイバの出力端に直接光学的に結合される。1つの特有の実施形態を
図14の概略図に示す。光学システム1430は、第1の光ファイバ1440と、上述のようにモード混合光ファイバの入力1402に直接光学的に結合された第1の光ファイバの出力1444モードを有する混合光ファイバ1400とを含む。光学システム1400は、入力端1452と出力端1454とを有する第2の光ファイバ1450をさらに含み、第2の光ファイバの入力端1452は、モード混合光ファイバの出力端1404に直接的に光学的に結合される(ここでは融着接続される)。そのような実施形態では、モード混合光ファイバは、第1の光ファイバの出力の光学特性(例えば、強度プロファイル)を、より望ましい状態(例えば、フラットトップ強度プロファイルを有する)に変換して第2の光ファイバに結合するように作用することができる。
【0064】
システムは、第2の光ファイバの第2の端部から自由空間伝播ビーム(例えば、
図14の参照番号1460によって識別されるような)を発射するように構成することができる。このような実施形態では、第2の光ファイバは、ビーム送達ファイバとして作用することができ、例えば産業環境での取り扱いを可能にするように丈夫にされたビーム送達ケーブル内に構成することができる。必要に応じて、追加の光学系(例えば、コリメートレンズ及び/または他の回折素子もしくは屈折素子)を第2の光ファイバの出力端に提供することができる。
【0065】
他の実施形態では、光学システムは、入力端が固体レーザなどの光源の出力に結合されたその出力を有するモード混合光ファイバを含む。自由空間光学系を使用して、例えば、光源をモード混合ファイバの入力端に結合することができる。そのような実施形態の一例を
図15に示す。光ファイバシステム1530は、自由空間光学系1575(例えば、1つ以上のレンズ)を介してモード混合光ファイバ1500の入力端1502に結合されたその出力を有する光源1570(例えば、固体レーザ)を含む。モード混合光ファイバの第2の端部1500から、自由空間伝播ビーム(例えば、
図15の参照番号1560によって識別されるようにされる)を放射することができる。
【0066】
第2の光ファイバのコアの直径は、例えば、既存のシステムでの実装を可能にするために、エンドユーザのニーズに応じて変更することができる。第2の光ファイバのコアの直径は、モード混合光ファイバのコアの直径の約10%以内、またはさらには約5%以内であってもよい。当然のことながら、他の実施形態では、第2の光ファイバのコアは、異なるサイズ、例えば、約50μm~約3000μm、または約50μm~約2000μm、または約50μm~約1000μm、または約50μm~約600μm、または約100μm~約3000μm、または約100μm~約2000μm、または約100μm~約1000μm、または約100μm~約600μm、または約200μm~約3000μm、または約200μm~約2000μm、または約200μm~約1000μm、または約200μm~約600μmの範囲の直径であり得る。
【0067】
本開示の別の態様は、本明細書に記載の光学システムを使用して自由空間伝播光ビームを提供する方法である。この方法は、第1の光ファイバからモード混合光ファイバに波長の放射を伝播させることと、モード混合光ファイバの出力端からの放射を伝播させることと、を含む。システムが上述のような第2の光ファイバを含む場合、本方法は、第2の光ファイバを通ってその出力端から放射を伝播させることをさらに含むことができる。発散、BPP、及び/または平坦度が上記の任意の実施形態に記載されているようなものであるように、本方法を遂行することができる。
【0068】
上述したように、本明細書に記載のモード混合光ファイバ、装置及び方法を使用して、所望のBPP及び/またはプロファイル(例えば、「フラットトップ」プロファイル)を有する出力ビームを提供することができる。このように、モード混合光ファイバは、上述したように、ビーム送達に有用であり得る。モード混合光ファイバは、例えば、スーパーコンティニュームファイバ源から、または広いスペクトル出力を有する別の源から所望のBPP及び/またはプロファイル(例えば、比較的「フラットトップ」プロファイル)を有する出力ビームを供給する際に有用であり得る。本明細書に記載のモード混合光ファイバは、広いスペクトル範囲にわたって所望の出力を提供するように構成することができる。
【0069】
しかし、ここでの説明に鑑みて、当業者であれば、本明細書に記載のモード混合光ファイバは、光ファイバ装置、例えば、光ファイバレーザ及び増幅器、及び光学ポンプカプラ及びコンバイナのような光学装置に使用することができることを理解するであろう。例えば、本開示の別の態様は、本明細書に記載のモード混合光ファイバを提供し、それをポンプカプラもしくはポンプコンバイナに製作することを含む、ポンプカプラもしくはポンプコンバイナを作製する方法である。
【0070】
本明細書に記載されたモード混合光ファイバは、光増幅器または光レーザの(増幅された波長を有する)アクティブ光ファイバにポンプエネルギーを供給するために使用することができる。アクティブ光ファイバに所望の強度分布(例えば、上述の任意の実施形態のような比較的「フラットトップ」強度プロファイル)を有するポンプエネルギーを供給することによって、ポンプ放射(すなわち、波長を有する)と増幅された放射のモード(すなわち、増幅された波長を有する)との間の重複は幾分減少させることができる。これには多くの利点がある。有利には、アクティブ光ファイバに結合されたポンプ放射には、上述したようにアクティブ光ファイバ内の増幅された波長の放射と望ましくは重複するように、所望の強度プロファイルが提供され得る。例えば、これはアクティブ光ファイバの第1の部分におけるポンプ吸収の効率を低下させ、それにより光ファイバの第1の部分で発生する熱量を減少させることができる。このような発熱は増幅の制限要因となることが多く、このような発熱を低減することにより、所与のアクティブ光ファイバで達成可能な増幅量を増加させることができる。したがって、本開示の1つの態様は、第1の端部を有するアクティブ光ファイバと、アクティブ光ファイバの第1の端部に動作可能に結合された出力端を各々有する1つ以上のモード混合ポンプファイバ(すなわち、各々が、ポンプ波長でモード混合を提供するように構成された本明細書に記載のモード混合ファイバ)と、を含む装置である。モード混合ポンプファイバ(複数可)は、より詳細に後述するように、例えば、ポンプカプラもしくはコンバイナを介してアクティブ光ファイバの第1の端部に結合することができ、及び/またはアクティブ光ファイバの第1の端部に接合することができる。
【0071】
例えば、本開示の一態様は、1つ以上のポンプ入力ポート及び出力ポートを有するポンプカプラもしくはコンバイナと、ポンプ波長及び増幅波長を有するアクティブ光ファイバとを、を備える光ファイバ装置であり、アクティブ光ファイバは、ポンプカプラもしくはコンバイナの出力ポートに動作可能に結合された第1の端部を有する。装置は、1つ以上のモード混合ポンプファイバ(すなわち、本明細書に記載されたモード混合ファイバの各々)を含み、1つ以上のモード混合ポンプファイバによって送達される光放射は、アクティブ光ファイバのポンプ波長を有するポンプ放射である。各々のモード混合ポンプ光ファイバは、入力端出力端を有し、各々の出力端は、ポンプカプラもしくはコンバイナのポンプ入力端に動作可能に結合されている。当業者であれば理解するように、ポンプカプラもしくはコンバイナは、ポンプ波長からの放射をアクティブ光ファイバに結合するように構成されている。
【0072】
増幅器として構成された本開示のこの態様による光学装置の一例が、
図16の部分概略図に示されている。
図16の特定の光ファイバ装置1680において、ポンプカプラもしくはコンバイナ1682は、6つのポンプ入力ポート及び1つの出力ポートを有する。装置1680は、各々が入力端及び出力端を有する6つのモード混合ポンプ光ファイバ1600を含み、各々が、ポンプカプラもしくはコンバイナ1682のポンプ入力ポートの1つに動作可能に結合された出力端を有する。
図16の装置では、ポンプ源1688(すなわち、ポンプ波長の放射源)が、各々のモード混合ポンプ光ファイバの入力端で結合され、そのような結合が自由空間またはファイバ結合を介して行われ得ることは、当業者には理解されよう。この装置はまた、カプラ1682の出力端に動作可能に結合された第1の端部を有するアクティブ光ファイバ1684を含む。
図16の実施形態では、装置は、光ファイバカプラの信号入力ポートに動作可能に結合された入力光ファイバ1686をさらに含む。入力光ファイバは、当業者には理解されるように、アクティブ波長でシード信号を提供するために使用することができる。もちろん、特定の実施形態では、入力光ファイバは存在せず、そのような場合には、アクティブ光ファイバを使用して自然放出光を増幅することができる。そのような場合、「アクティブ波長」は、アクティブ光ファイバが利得を提供することができる波長(典型的には、数十ナノメートルの波長範囲)に対応する波長の範囲である。アクティブ光ファイバは、アクティブ波長の放射を誘導するように構成された内側コアと、内側コアを包囲し、ポンプ波長の放射を誘導するように構成されたポンプコアと、ポンプコアを囲む1つ以上のクラッドと、を有することができる。ポンプカプラもしくはコンバイナの出力ポートは、ポンプカプラもしくはコンバイナからポンプ放射を発射して、デュアルクラッド光ファイバのポンプコアに誘導されるように構成することができる。
【0073】
さらに、当業者であれば、複数の光ファイバを融着して引っ張ることによって、多くのポンプカプラ及びポンプコンバイナが作製されることを理解するであろう。そのような実施形態では、モード混合ポンプファイバの出力端が、断熱的にカプラもしくはコンバイナに移行するように、モード混合光ファイバを使用してポンプカプラもしくはポンプコンバイナを形成することができる。
【0074】
図16の装置1680は、同時ポンプピング構成の増幅器として構成されている。そのような実施形態では、ポンプ放射及び増幅された放射は、アクティブ光ファイバに沿って(すなわち、アクティブ光ファイバの第1の端部から第2の端部へ)同じ方向に伝播する。当業者であれば、このような増幅器は、逆ポンピング構成で、または同時及び逆ポンピングで構成することもできることを理解するであろう。例えば、
図17の光ファイバ装置1780は、ポンプカプラもしくはコンバイナ1782の出力ポートに動作可能に結合された第1の端部を有するアクティブ光ファイバ1784を含む。その第2の端部は、シードレーザ1789に動作可能に結合されている。ポンプカプラもしくはコンバイナ1782のポンプ入力ポートは、その出力端でモード混合ポンプファイバ1700に結合されている。
図17の実施形態のように、モード混合ポンプファイバ1400の入力端は、ポンプ源1788に動作可能に結合される。使用時には、ポンプ放射は、アクティブ光ファイバの第1の端部から第2の端部に伝播され、一方、アクティブ波長の増幅された放射は、アクティブ光ファイバの第2の端部から第1の端部に(すなわち、シードレーザ1789からの放射としてのファイバの同じ方向に沿って)伝播される。
【0075】
別の実施形態を
図18の概略図に示す。この実施形態では、ポンプ源をポンプカプラもしくはコンバイナに結合するために従来の光ファイバを使用することができ、一方モード混合ポンプファイバをポンプカプラもしくはコンバイナとアクティブ光ファイバとの間に結合して、所望の強度プロファイル(例えば、「フラットトップ」強度プロファイル)を有するアクティブ光ファイバにポンプ放射を提供する。上述したように、比較的フラップトップ強度プロファイル(例えば、上記の任意の実施形態で説明した)を有するアクティブ光ファイバにポンプ放射を提供することは、ファイバの増幅コアとのポンプ放射の重複量を低減するのに役立つことができ、したがってアクティブファイバに沿ってさらに熱を拡散させ、より高いパワー増幅を達成することを可能にする。
図18の装置1880において、ポンプカプラもしくはコンバイナ1882は、6つのポンプ入力ポート及び1つの出力ポートを有する。装置1880は、各々が入力端及び出力端を有する6つのポンプ光ファイバ1887を含み、各々が、ポンプカプラもしくはコンバイナ1882のポンプ入力ポートの1つに動作可能に結合された出力端を有する。
図18の装置では、ポンプ源1888(すなわち、ポンプ波長の放射源)が、各々のモード混合ポンプ光ファイバの入力端で結合され、そのような結合が自由空間またはファイバ結合を介して行われ得ることは、当業者には理解されよう。この装置はまた、カプラ1882の出力端に動作可能に結合された入力端を有するアクティブ光ファイバ1800を含む。モード混合光ファイバ1800は、カプラ1882の出力ポートによって出力されたポンプ放射が、その内部の様々な高次モードに分配されるように、ポンプ波長の放射のためのモード混合であるように構成される。これは、モード混合光ファイバの出力端において、所望の強度プロファイル(例えば、任意の実施形態で説明した比較的「フラットトップ」強度プロファイル)を有するポンプ放射を提供することができる。モード混合光ファイバの出力端は、アクティブ光ファイバ1884の第1の端部に動作可能に結合されている。
図18の実施形態では、装置は、光ファイバカプラの信号入力ポートに動作可能に結合された入力光ファイバ1886をさらに含む。したがって、シードレーザ信号(または他の供給源信号)をアクティブ光ファイバに結合することができ、そのような場合、モード混合光ファイバは、
図10に関して上述したような第2のコアを含むことが望ましい場合がある。しかし、アクティブ光ファイバにシード信号(または他の供給源信号)を入力する必要がない特定の場合(例えば、装置が増幅された自然放出源として構成されている場合)には、モード混合光ファイバは、第2のコアを含む必要はない。
【0076】
ここでもまた、
図18の実施形態は、同時ポンピング構成で示されているが、当業者であれば、これらの装置は、逆ポンピング構成で、または同時及び逆ポンピング構成の両方で構成できることを理解するであろう。
【0077】
したがって、本明細書に記載のモード混合光ファイバは、アクティブ光ファイバにポンプ放射を提供するのに有用であり得る。
【0078】
他の実施形態では、モード混合光ファイバは、例えばファイバの最内コアに、アクティブ波長の放射のモード混合を提供するために、レーザ及び増幅器システムで使用することができる。アクティブ波長のモード混合は、上述したように、マルチモードアクティブ光ファイバの多数のモードにまたがるシード放射を結合することと、所望の強度プロファイル(例えば、より高いパワー動作を可能にするために、比較的「フラップトップ」強度プロファイルである)を有する増幅されたまたは生成された放射を提供することと、を含む多数の利益をもたらすことができる。したがって、本明細書に記載のモード混合光ファイバを使用して、シード放射源の有効開口数を増加させてマルチモードアクティブ光ファイバの開口数に近づけるために、アクティブ波長のシード放射をシード源からマルチモードアクティブ光ファイバ(アクティブ波長を有する)に結合することができる。
【0079】
例えば、一実施形態を
図19の部分概略図に示す。光学システム1980は、アクティブ波長の放射源1991を含む。供給源1991は、シングル波長または少数モードの(例えば、10以下のモード、7以下のモード、4以下のモード、またはさらにはシングルモード)のアクティブ波長の放射を、その出力で(例えば、その出力ファイバを介して)出力するように構成される。供給源は、例えば、光学システムのシードレーザまたは1つ以上の初期のレーザまたは増幅段とすることができる。装置はまた、信号入力を有するマルチモードアクティブ光ファイバ(例えば、アクティブ波長で5以上、10以上、またはさらには15以上のモードを有する)を含むマルチモード増幅器またはレーザ1992を含む。このようなシステムでは、従来の光ファイバを使用して供給源をマルチモード増幅器の信号入力に結合すると、マルチモード増幅器のマルチモードアクティブ光ファイバの様々なモードが、供給源からの放射と異なる程度で相互作用し、以下でより詳細に説明するように、ファイバの断面積にわたって実質的に変化する増幅された強度プロファイルにつながる。これにより、マルチモード増幅器、ひいてはシステム全体が提供できるパワー量を制限することができる。したがって、
図19の実施形態では、モード混合光ファイバ1900は、供給源1991の出力に動作可能に結合された入力端と、マルチモード増幅器またはレーザ1992のアクティブ光ファイバの入力に動作可能に結合された出力端と、を有する。モード混合ファイバの使用は、所望の強度プロファイル(例えば、任意の実施形態で説明したような比較的「フラットトップ」プロファイル)を有するマルチモード増幅器に供給源からの放射を提供することを可能にし、これにより、供給源の放射は、マルチモード光ファイバのモードの実質的により多くのモードに結合され得る。これは、以下でより詳細に説明されるように、増加したパワー及び改善されたシステム安定性を可能にすることができる。望ましくは、モード混合光ファイバのコアサイズは、マルチモード増幅器のマルチモードアクティブ光ファイバのコアサイズ(例えば、約25%以内、または約10%以内)と同様であることが望ましい。上述したように(例えば、ビーム送達に関して)、マルチモード増幅器の出力にモード混合光ファイバを使用して、出力放射に所望の強度プロファイル(例えば、上記の任意の実施形態で記載されたような、比較的「フラットトップ」プロファイル)を光路内のワークピースまたは次の増幅器または他のシステム構成要素に提供することもできる。
【0080】
代替的に、供給源1991及びマルチモード増幅器またはレーザ1992は、開口数によって特徴付けることができる。相対的に低い開口数を有するシード源は、シード放射の有効開口数が増加するように(例えば、少なくとも10%または少なくとも20%、例えば、マルチモードアクティブ光ファイバの開口数にまで)、本明細書に記載のモード混合光ファイバを介してより高い開口数を有する増幅器またはレーザ内のマルチモードアクティブ光ファイバに結合することができる。ここでも、モード混合光ファイバを使用して、マルチモードアクティブ光ファイバのより多くのモードを満たすことができる。
【0081】
図19に関して上述したようなモード混合光ファイバの使用は、マルチモード増幅器システムにおけるパワースケーリングの増加を可能にすることができる。パワースケーリングは、通常、シングルまたは少数モードの増幅器またはレーザ段から始まり、マルチモード増幅器に徐々に増加する複数の増幅器モジュールを組み立てることによって達成される。最初の増幅段で生成された放射は、後の高出力のマルチモード増幅段をシードするために使用される。
図20の比較に示すように、シングルモードまたは少数モードの増幅器源からマルチモード増幅器に放射を結合する場合、マルチモード増幅器に放射によって占有されるモードの組は、供給源からの放射とモードの空間的重複に依存する。例えば、
図20の左側の画像の組は、モード混合光ファイバが、シングルモードの供給源または少数モードの供給源とマルチモード増幅器との間で使用されない場合、マルチモード増幅器内の強度プロファイルが不均一であり、マルチモードアクティブ光ファイバの広範囲のモードにわたって非効率的な結合の結果として、高強度及び低強度のスポットを有する。シングルまたは少数モードの供給源とマルチモード増幅器またはレーザとの間の結合を行うためにモード混合光ファイバを使用することは、マルチモード増幅器またはレーザに、比較的「フラットトップ」強度プロファイル及び/またはシード源よりも高い開口数(例えば、少なくとも10%または少なくとも20%、例えば、マルチモードアクティブ光ファイバの開口数まで)を有するだけ高い強度プロファイルを有する放射をシードさせることができ、その結果、マルチモード増幅器またはレーザファイバのより多くのモードが励起される。これは、特にモード混合光ファイバがシード放射のスペックル量を低減する場合に、マルチモードアクティブファイバ内の「ホットスポット」の欠如の結果として、高度のパワースケーリング及び改善されたシステム安定性を可能にすることができる。
【0082】
1つの特有の実施形態を
図21の概略図に示す。ここで、光学システム2180は、それをポンピングするように構成されたポンプレーザ2188を有するマルチモードアクティブファイバ2184を含む。具体的には、光学システム2180は、ポンプファイバ2187を介してポンプ入力ポートに結合されたポンプレーザ2188を有するポンプカプラもしくはコンバイナ2182を含む。シードレーザ源2191(マルチモードアクティブ光ファイバのアクティブ波長で動作するように構成されている)は、信号光ファイバ2186を介してカプラ2182の信号入力ポートに結合される。ポンプカプラもしくはコンバイナ2182の出力は、アクティブ波長に対してモード混合であるように構成された(すなわち、本明細書に記載されるような任意の形態で)モード混合光ファイバ2100の第1の端部に動作可能に結合される。モード混合光ファイバ2100の第2の端部は、マルチモードファイバ2184の第1の端部に動作可能に結合されている。ここで、シードレーザ源からの放射は、カプラ2182を介してモード混合光ファイバ2100に結合され、それは、高次モードに結合されて、所望の強度プロファイル(例えば、モード混合ファイバの断面積にわたってより均一に広がる、例えば、上記の任意の実施形態に記載されているように、比較的「フラットトップ」プロファイルを提供するような)を提供することができる。したがって、パワーをマルチモードアクティブ光ファイバの様々なモードに結合することができ、パワースケーリング及びシステムの安定性を高めることができる。システムはまた、マルチモードアクティブ光ファイバから送達される実質的に「フラットトップ」ビームから恩恵を受けることができる。
【0083】
マルチモードアクティブ光ファイバのコアは、モード混合の恩恵を受けることもできる。したがって、特定の実施形態では、モード混合光ファイバは、例えば、
図9に関して上述したように、アクティブコア(例えば、上述した希土類でドープされた)を混合するモードを有する。従来のマルチモード増幅器では、マルチモードアクティブ光ファイバがポンピングされると、例えば、ポンプ放射とモードとの重複、様々なモードに結合されるシード源信号の量、アクティブ光ファイバの利得プロファイル(例えば、ドーパント濃度の結果として)に応じて、モードの1つのみまたはいくつかが効果的に増幅される。アクティブコアがモード混合を提供するように構成されたアクティブ光ファイバを混合するモードの使用は、増幅されたまたは生成された放射を様々な高次モード間に分配するのを助けることができる。したがって、大部分の放射が1つのみまたは少数のモードから発生または増幅されたとしても、そのような放射はファイバの多くのモードにわたって広がり、結果としてファイバの均一な加熱及び所望のビーム出力をもたらすことができる。したがって、このようなシステムアーキテクチャは、例えば、高いパワースケーリング、シングル周波数レーザのファイバ長の短縮、ランダムレーザ、スペックルフリーシステム、高安定マルチモードレーザの提供を可能にし、ならびに、上述したような所望の強度プロファイル(例えば、「フラットトップ」)を提供することを可能にすることができる。
【0084】
そのようなシステムの一例を
図22の概略図に示す。光ファイバシステム2280は、少なくとも部分的に反射性の要素(ここでは、ブラッググレーティング2293)の間に動作可能に配置されたモード混合アクティブ光ファイバ2200を有する光ファイバレーザとして構成される。当業者は、このような実施形態の実施において、従来のファイバレーザキャビティ構造を使用することができる。モード混合アクティブ光ファイバ2200の入力端は、ポンプ源2288に動作可能に結合される(すなわち、ブラッググレーティングを介して)。任意選択で、
図22に示すように、モード混合アクティブ光ファイバの入力端は、(例えば、
図18に関して上述したように)モード混合ポンプファイバ2201を介してポンプ源2288に結合することができる。モード混合光ファイバ2202は、上述したようにビーム送達ファイバとして使用するために、アクティブ光ファイバ(すなわち、ブラッググレーティング)の出力端に動作可能に結合することができる。もちろん、従来の光ファイバを使用して、ポンプ放射をアクティブ光ファイバに結合し、レーザ放射を送達することができる。
【0085】
図16~21に関して説明した実施形態は、増幅装置として、すなわちアクティブ光ファイバを含むレーザキャビティなしに構成されている。当業者であれば、これらの装置の各々は、代替的に、光ファイバレーザ装置すなわち、
図22に示すように、ファイバブラッググレーティングのような2つの部分反射要素の間に動作可能に配置されたアクティブ光ファイバとして、構成され得ることが理解されよう。
【0086】
別の実施形態では、パッシブモード混合ファイバの部分を、利得均質性を高めるのを助けるために、レーザキャビティ内に(すなわち、アクティブ光ファイバと共に)配置することができる。そのようなシステムの一例を
図23の概略図に示す。光ファイバシステム2380は、少なくとも部分的に反射性の要素(ここでは、ブラッググレーティング2393)の間に動作可能に配置されたモード混合アクティブ光ファイバ2384を有する光ファイバレーザとして構成される。モード混合アクティブ光ファイバ2384の入力端は、ポンプ源2388に動作可能に結合される(すなわち、ブラッググレーティングを介して)。任意選択で、
図23に示すように、モード混合アクティブ光ファイバの入力端は、(例えば、
図18に関して上述したように)モード混合ポンプファイバ2301を介してポンプ源2388に結合することができる。また、モード混合光ファイバ2302は、上述したようにビーム送達ファイバとして使用するために、モード混合アクティブ光ファイバ(すなわち、ブラッググレーティングを介して)の出力端に動作可能に結合することができる。もちろん、従来の光ファイバを使用して、ポンプ放射をアクティブ光ファイバに結合し、レーザ放射を送達することができる。この実施形態では、本明細書に記載のモード混合光ファイバが、アクティブ光ファイバと少なくとも部分的に反射要素との間に結合される。反射要素間の連続的な通過により光が増幅されるので、アクティブ光ファイバ2384における任意の空間利得の不均一性は、モード混合光ファイバ2300により利得プロファイルにおいてより平坦に広がることができる。したがって、従来のビーム送達ファイバを使用して増幅された放射を出力した場合であっても、実質的にフラットトップビームをレーザから出力することができる。特定の実施形態(例えば、モード混合光ファイバ2300が十分に高い濃度のゲルマニウムを有する場合)において、出力グレーティング2393は、モード混合光ファイバ2300自体において形成され得ることを、当業者は理解するであろう。
【0087】
本発明者らは、特定のモードにおいてのみの放射の増幅または生成の特別な問題は、光ファイバ増幅器及びレーザに限定されないと判断した。むしろ、他のマルチモード装置アーキテクチャは、可能なモードのうちの1つのみまたはいくつかのモードで、放射が生成/増幅されるという問題を抱えている可能性がある。したがって、本開示の別の態様は、本明細書に記載のモード混合光媒体として構成された光利得媒体(すなわち、ポンプ放射によってポンピングされると放射を生成または増幅することができる媒体)を含む光学装置である。例えば、光利得媒体は、上述したようなダウンドープされた及び/またはアップドープされた構造を含むことができる。当業者であれば、光利得媒体は、例えば、実質的にいかなる固体材料(すなわち、ガラスに限定されない)であってもよいことを理解するであろう。
【0088】
本開示の様々な態様及び実施形態を、以下の非限定的な実施例を参照してさらに説明する。
【実施例】
【0089】
本明細書に記載された特定のモード混合光ファイバのモード混合効果は、数値的及び実験的に実証された。
【実施例1】
【0090】
実施例1において、全体的な試験構成は
図14に示されており、モード混合ファイバが、大モード領域シングルモードファイバからの放射出力をビーム送達ケーブルに変換するように構成されている。
【0091】
モード混合光ファイバは、
図24の概略図に示され、劈開されたファイバ端面が
図25の写真に示されている。モード混合光ファイバは、ステップインデックスプロファイルを有するゲルマニウムで被覆された直径が60μmのコアを有する。コアは、0.11の開口数を有し、光ファイバ全体の中心線に対して20μmだけ横方向にオフセットされている。全体のファイバ直径は、360μmである。
【0092】
第1の光ファイバは、20μmの直径のコア、0.06の開口数、及び全体の直径が400μmである従来の大モード領域シングルモードファイバである。第2の光ファイバ(すなわち、ビーム送達ケーブルの)は、特定の商用の装置に適合し、100μmの直径のコアと、0.22の開口数と、360μmの全ファイバ直径と、25mの長さを有する。
【0093】
計算結果は、
図26~28に示される。ビーム送達ケーブルで励起されるモード間のパワー分布は、
図26に示される。ビーム送達ケーブルによってされる全出力強度は、
図27に示され、対応するビームプロファイルは、
図28に示されている。出力ビームは、フラットトップ形状であり、BPPは、約3.4mm・mradと推定される。
【0094】
図29~31に示すモード混合ファイバを使用しない場合とこれらの結果を比較すると、モード混合ファイバによって誘導されるモード混合効果が明確に現れる。そうでなければ同じパラメータで、モード混合光ファイバなしで実行されたシミュレーションは、先鋭なピークの出力ビームを提供する、
【0095】
実験結果も収集した。モード混合光ファイバがない場合(
図29~31に関して説明したように)、従来のビーム送達ケーブルから出てくるビームは、近接場強度プロファイル及びBPPを記録することによって特徴付けられた。結果を
図32に示す。モード混合の度合いが低いため、ビームプロファイルは非常に不均一であり、測定されたBPPは、特に所望される範囲である3~4mm・mradのうちの2.5mm・mradである。対照的に、モード混合光ファイバを使用する場合、
図24~28に関して上述したように、近接場プロファイルは、3.5mm・mrad前後のBPP値を有する良好な均一性(
図33)を示す。
【実施例2】
【0096】
この実施例では、システムは、光ファイバをビーム送達ファイバとして混合するモード(例えば、
図13に示すように)で構成されていた。ここでも、シミュレーションと実験の両方の結果が示される。ここで、モード混合光ファイバは、0.22の開口数を提供するのに十分なダウンドープされたフッ素クラッド層で囲まれた直径100μmのシリカコアを有し、360μmの全体のファイバ直径を提供するシリカ外側クラッドを有する。コアは、フッ素ドープシリカによって形成された低屈折率リングを含む。このリングは環状厚さ4μmであり、その内径は30μmであり、その中心は光ファイバの中心線から12μmだけ横方向にオフセットしている。設計は、
図34の概略断面図に示され、劈開されたファイバ端面が
図35の写真に示されている。第1の光ファイバは、実施例1で上述したような従来の大モード領域シングルモードファイバである。計算結果を
図36~38に要約し、モード混合光ファイバにおいて励起されるモード間のパワー分布を
図36に示し、モード混合光ファイバの第2の端部によって送達される全出力強度が
図37に示され、対応するビームプロファイルが
図38に示される。
【0097】
上述したように、この実施例では、モード混合ファイバは、ビーム送達ケーブルとして構成されている。モードアップコンバージョンは、
図36のパワー分布を示すプロット(最初の100モードのみを明確にするためにプロットしたもの)に実証される。これらの正確なパラメータでは、BPPは約4mm・mradと推定された。しかし、出力ビームは、(ガウスビームに比べて著しく平坦ではあるが)正確にフラットトップ形状であると計算されない。これは、ファイバの設計、コア要素のサイズ及び場所を適切に修正することによって、当業者によって変更され得る。
【0098】
図34及び35のモード混合ファイバを使用するアップコンバージョンビーム送達ケーブルによって生成されるモード混合の実験的実証を
図39に示す。
図37に示された測定された強度及びビームプロファイルは、3.9mm・mradで測定されたBPPで良好な均一性を実証、ビーム送達ケーブルとして使用されるこのファイバでモードアップコンバージョンが発生することを実証する。これは、
図30に示す結果と比較することができ、従来のビーム送達ケーブルの使用に起因する。低屈折率リングは、最大強度と比較して50%強度コントラストを有する出力強度プロファイルに現れる。このリングコントラクトは、ファイバ設計を適切に修正することによって低減することができる。
【実施例3】
【0099】
100μmコアモード混合光ファイバを構成した。切断されたファイバ端面の画像を
図40に示す。これは、
図34の光ファイバと実質的に同じパラメータを有するが、中心から外れた環状リングを形成するフッ素ドープ層のNAが0.025(すなわち、
図34のように0.1の代わりに)である。ファイバ結合ダイオードレーザ(1060nm、NA~0.1、100mrad)を、長さ100mのモード混合光ファイバに融着接続により結合した。長さ100mの端部におけるモード混合ファイバの出力を測定した。2D強度グラフと1D強度グラフ(2Dグラフの中央を水平に横切る)が
図41に示される。モード混合光ファイバの長さを5mに短縮し、測定を繰り返した。結果を
図42に示す。
【実施例4】
【0100】
図43に示すプロファイルを有する50μmコアモード混合光ファイバを構成した。ファイバ結合ダイオードレーザ(1060nm、ガウスビーム、NA~0.038、38mrad、20μmコア/400μmクラッド送達ファイバ)を、融着接続を介してモード混合光ファイバの長さ5mに結合した。長さ5mの端部におけるモード混合ファイバの出力を測定した。2D強度グラフと1D強度グラフ(2Dグラフの中央を水平に横切る)が
図44に示される。
【実施例5】
【0101】
25μmコアモード混合光ファイバ(ダウンドープ要素としての円形環状リング、0.175NA、8μm内径、3.5μm厚、コア中心から3μmオフセット、コア対クラッドNA=0.22)をシミュレートした。5mの長さの端部でモード混合ファイバのシミュレートされた出力が
図45に示される。
図46は、ダウンドープ要素を有さない同様のファイバ(実線の三角形)と比較して、このファイバの計算されたモードパワーデータ(白抜きの円)を示す。
【実施例6】
【0102】
ファイバピッグテール化L4ポンプダイオード(915nm、0.5mピッグテール)の出力を測定した。2Dグラフを、
図47に示す。2m長さのモード混合光ファイバ(105μmコア、125μm、実施例3に関して説明したものと同様のコア設計、
図48に示す切断されたファイバ端面)をピッグテールに接続し、測定を繰り返した。
図49にその出力を示す。スペックリングは、モード混合光ファイバの使用によって低減される。
【0103】
特許請求の範囲及び上記明細書において、「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」、「持っている(carrying)」、「有している(having)」、「含有している(containing)」、「包含している(involving)」などの全ての過渡的な句は、制限がないと理解される。「~からなる(consisting)」及び「基本的に~からなる(consisting essentially of)」という過渡的な句のみが、制限付き、または準制限付きの過渡的な句でなければならない。
【0104】
特に定義されていない場合、添付の特許請求の範囲に含まれる用語「a」、「an」、または「one」の使用は、制限がなく、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味すると理解される。明確さを改善し、「1つの(one)」または類似の用語の制限のない性質を想起させるために、本明細書での「少なくとも1つの」または「1つ以上の」という用語の時折の使用は、本明細書の他の例における単独の用語「a」、「an」、または「one」の使用が限定されており、したがって単数形に制限されていることを暗に意味するものではない。同様に、「一部の」、「少なくとも一部」、または類似の句(例えば、「少なくとも一部」)の使用は、他の場所でそのような句が存在しないことを何らかの形で限定することを意味するものではない。
【0105】
次に、例えば、最初に言及された「少なくとも1つ」に対する限定の属性を指定するための、「前記少なくとも1つの」という句などの「少なくとも1つ」という句への言及は、さらなる仕様がそのように適用される特許請求の範囲において具体的に列挙されていない限り、特許請求の範囲が、物品、組成物、機械、またはプロセスに関して読まれるかどうかを決定する際に複数が検討下にある場合、本明細書が限定のあらゆる例に適用されなければならないことを必要とするとして解釈されないものとする。
【0106】
「AまたはB」のような「または」の使用は、A及びBの組み合わせをその範囲から除外する「排他的または」の論理的関係とは解釈されていない。むしろ「または」は、制限がなく、例えば、BなしのA、AなしのB、AとBを一緒にしたものと、他の制限のない列挙を含む全ての置換を含み、A及びBに加えて他の特徴も除外しない。
【0107】
上述の任意の1つの観点に関連して上記で説明された特徴のいずれも、本発明の開示を研究する当業者に明らかであるように、上記の態様の他のいずれかによる本発明の実施と組み合わせることができる。
【0108】
当業者は、本明細書に記載された本発明の具体的な実施形態に多くの等価物を慣用的な実験以上のものを用いることなく認識するか、または確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は単なる例示として提示され、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内で、本発明は具体的に記載される以外の方法で実施され得ることが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載の個々の特徴、システム、材料、及び/または方法に関する。加えて、そのような特徴、システム、材料、及び/または方法が相互に矛盾していると明示的に教示されていない場合、2つ以上のそのような特徴、システム、材料、及び/または方法の任意の組み合わせが本発明の範囲内に含まれる。
【0109】
様々な態様及び実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様及び実施形態は当業者には明らかであろう。本明細書で開示された様々な態様及び実施形態は、説明のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではなく、真の範囲は、そのような特許請求の範囲が権利を与えられている等価物の全範囲に沿って、以下の特許請求の範囲によって示される。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。