(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】タイヤをチェックする装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/954 20060101AFI20220203BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20220203BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G01N21/954 Z
G01B11/24 K
B60C19/00 H
(21)【出願番号】P 2018548397
(86)(22)【出願日】2017-03-30
(86)【国際出願番号】 IB2017051822
(87)【国際公開番号】W WO2017175099
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-03-17
(31)【優先権主張番号】102016000034800
(32)【優先日】2016-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】598164186
【氏名又は名称】ピレリ・タイヤ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ボッファ,ビンチェンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルド,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】レゴリ,ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】バッラルディーニ,ヴァレリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】カサディオ トッツィ,ジュゼッペ
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0226644(US,A1)
【文献】特開平10-274515(JP,A)
【文献】国際公開第2015/004587(WO,A1)
【文献】特開2001-249012(JP,A)
【文献】特開2016-001131(JP,A)
【文献】特開2015-145851(JP,A)
【文献】特開2012-112838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
B60C 1/00 - B60C 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤをチェックする装置(1)であって、
- 支持フレーム(2)と、
- 前記支持フレームを前記装置の移動部材(102)に取り付けるために、前記支持フレームに固定されたフランジ(3)と、
- タイヤの面の3次元画像を取得するための取得システム(4)であって、前記取得システム(4)は、前記支持フレームに取り付けられ、
- 光軸(6)を有する
マトリクスカメラ(5)と、
- 伝播面(8)および伝播軸(9)を有するリニアレーザビームを放射するように構成されたリニアレーザ源(7)と、
- 前記伝播軸(9)の第1の部分(16)および第2の部分(32)と、前記光軸(6)の第1の部分(14)および第2の部分(31)とをそれぞれ特定するように、前記伝播軸(9)および前記光軸(6)の両方に交差する反射面(12)を有する反射要素(11)と
を含む、取得システム(4)と
を含み、
前記伝播軸(9)の前記第1の部分(16)および前記第2の部分(32)は、それぞれの入射点で前記反射面(12)に入射する直線部分であり、前記伝播軸(9)の前記第1の部分(16)および前記第2の部分(32)は、前記それぞれの入射点における前記反射面(12)に垂直な線に関して互いに鏡像をなし、
前記光軸(6)の前記第1の部分(14)および前記第2の部分(31)は、それぞれの入射点で前記反射面(12)に入射する直線部分であり、前記光軸(6)の前記第1の部分(14)および前記第2の部分(31)は、前記それぞれの入射点における前記反射面(12)に垂直な線に関して互いに鏡像をなし、
前記第1の部分(14、16)は、前記それぞれの入射点に対してそれぞれ前記マトリクスカメラ(5)の側および前記リニアレーザ源(7)の側に位置し、
前記光軸(6)の前記第1の部分(14)と第2の部分(31)との間に形成される第1の角度(50)は鈍角であり、
前記伝播軸(9)の前記第1の部分(16)と第2の部分(32)との間に形成される第2の角度(51)は鈍角である、装置(1)。
【請求項2】
前記光軸(6)の前記第1の部分(14)または第2の部分(31)において、前記光軸(6)と前記反射面(12)との間に形成される第3の角度(13)は40°以下であり、かつ20°以上である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記伝播軸(9)の前記第1の部分(16)または第2の部分(32)において、前記伝播軸(9)と前記反射面(12)との間に形成される第4の角度(15)は40°以下であり、かつ20°以上である請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第3の角度(13)は30°以上であり、前記第4の角度(15)は30°以上である、請求項2に従属する場合の請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記マトリクスカメラ(5)、前記リニアレーザ源(7)、および前記反射要素(11)は、前記支持フレーム(2)に対するそれぞれの固定位置で前記支持フレーム(2)に一体的に固定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記支持フレーム(2)は、第1の方向(21)に沿った主展開部を有する細長い形状の直立材(20)を含み、前記直立材は、前記フランジ(3)が取り付けられた第1の端部(22)と、前記第1の方向(21)に沿って前記第1の端部(22)の反対側にある第2の端部(23)とを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記支持フレーム(2)は、第2の方向(25)に沿った主展開部を有する細長い形状の横材(24)を有し、前記横材は、前記直立材(20)の前記第2の端部(23)にある第1の端部(26)と、前記第2の方向(25)に沿って前記第1の端部(26)の反対側にある第2の端部(27)とを有し、前記第2の端部(27)は自由端であり、前記反射要素(11)は、前記横材の前記第2の端部(27)に取り付けられる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の方向(21)および前記第2の方向(25)は、互いに対して実質的に直角である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記光軸(6)の前記第1の部分(14)は、前記第2の方向(25)に対して実質的に平行であるか、または前記伝播軸(9)の前記第1の部分(16)は、前記第2の方向に対して実質的に平行である、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記光軸(6)の前記第1の部分(14)は、前記第2の方向(25)に対して実質的に平行であり、かつ前記伝播軸(9)の前記第1の部分(16)は、前記第2の方向に対して実質的に平行である、請求項7または8に記載の装置。
【請求項11】
前記伝播面(8)は、前記伝播軸(9)の少なくとも前記第1の部分(16)において、前記第1の方向(21)に対して実質的に平行である、請求項6~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記光軸(6)の前記第1の部分(14)は、前記マトリクスカメラ(5)から前記反射面(12)まで延びる、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記伝播軸(9)の前記第1の部分(16)は、前記リニアレーザ源(7)から前記反射面(12)まで延びる、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記リニアレーザ源(7)および前記マトリクスカメラ(5)は、前記直立材(20)の前記第2の端部(23)で前記支持フレーム(2)に取り付けられる、
請求項6に記載の装置。
【請求項15】
前記リニアレーザ源(7)および前記マトリクスカメラ(5)は
隣接する、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記光軸(6)の前記第1の部分(14)および前記伝播軸(9)の前記第1の部分(16)は、前記伝播面(8)に実質的に直角な共通平面に位置する、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記光軸(6)の前記第2の部分(31)と前記伝播軸(9)の前記第2の部分(32)との間に形成される第5の角度(30)は5°以上であり、かつ40°以下である、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記第5の角度(30)は20°以下である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記リニアビームの伝播方向における前記反射要素(11)の下流には、前記光軸(6)に沿って前記反射要素(11)より向こうに、または前記伝播軸(9)に沿って前記反射要素(11)より向こうに、さらなる反射要素はない、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記リニアビームの伝播方向における前記反射要素(11)の下流には、前記光軸(6)に沿って前記反射要素(11)より向こうに、および前記伝播軸(9)に沿って前記反射要素(11)より向こうに、さらなる反射要素はない、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記反射要素(11)は、ベース体(40)と、前記ベース体(40)に固定され、前記反射面(12)を有する光学要素(41)とを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記ベース体(40)は、前記横材(24)の前記第2の端部(27)に一体的に固定され、前記反射面(12)は単一の物理的な面であり、平坦である、請求項7に従属する場合の請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記反射面(12)は、前記マトリクスカメラ(5)および前記リニアレーザ源(7)に面する前記光学要素(41)の外側面である、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記光学要素(41)は、前記マトリクスカメラ(5)または前記リニアレーザ源(7)を基準とする近位端から遠位端に向かって先細りになっている、請求項21に記載の装置。
【請求項25】
前記反射面(12)は、前記マトリクスカメラ(5)または前記リニアレーザ源(7)を基準とする近位端から遠位端に向かって先細りになっている、請求項1~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記ベース体(40)は、前記マトリクスカメラ(5)または前記リニアレーザ源(7)を基準とする近位端から遠位端に向かって先細りになっている、請求項21に記載の装置。
【請求項27】
前記マトリクスカメラ(5)は、画像面(29)を画定するセンサと、前記光軸(6)、焦点面(17)、および被写界深度を有する対物レンズ(28)とを含み、前記画像面(29)は、前記光軸に直角で前記対物レンズを通る基準面(33)と鋭角(34)をなし、前記鋭角(34)は、前記焦点面(17)が前記伝播面(8)と45°以下の角度をなすように、前記リニアレーザ源(7)が配置された側に頂点を有し、画像面(29)と基準面(33)との間の前記鋭角(34)は、20°以下であり、かつ5°以上である、請求項1~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記マトリクスカメラ(5)は、前記面の一部分のマトリクス画像を取得するように構成され、
- 前記マトリクス画像において、前記リニアレーザビームを用いて前記面部分の直線部分を照明することで生じるレーザ線を表す反射レーザ線を特定し、
- 前記面部分の前記直線部分の高さ輪郭に関する情報を含む3次元画像を取得するために、三角測量によって前記反射レーザ線を処理し、
- 前記マトリクス画像自体において、前記反射レーザ線に実質的に直角な方向に沿って、取得したマトリクス画像の部分画像を選択する
ように構成された処理ユニットを、機械本体(5a)に含み、前記レーザ線を特定し、三角測量によって前記反射レーザ線を処理する前記作業は、前記画像の部分画像に対して実施され、
前記取得した画像の前記部分画像を選択する前記作業の後、前記反射レーザ線に実質的に直角な前記方向に沿ったピクセル数は、200ピクセル以下である、請求項1~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
タイヤをタイヤ生産ラインでチェックするためのステーション(100)であって、セットされるタイヤ(101)をサイドウォールを支えにして支持し、前記タイヤを前記タイヤの回転軸(140)のまわりに回転させるように構成された支持体(120)と、請求項1~28のいずれか一項に記載の、タイヤをチェックする装置(1)とを含み、前記装置(1)はその移動部材(102)に取り付けられる、ステーション(100)。
【請求項30】
タイヤをチェックする方法であって、
- チェックされるタイヤ(101)を用意することと、
- 請求項1~28のいずれか一項に記載の、タイヤをチェックする装置(1)を用意することと、
- 少なくとも前記反射要素(11)を前記タイヤの内部空間に挿入することと、
- レーザ線を発生させるように、前記タイヤの内側面の直線部分を前記リニアレーザビームで照明することと、
- 内側面の前記直線部分を含む内側面部分のマトリクス画像を取得し、前記マトリクス画像は、前記レーザ線を表す反射レーザ線を含むことと、
- 前記マトリクス画像において、前記反射レーザ線を特定することと、
- 前記
直線部分の高さ輪郭に関する情報を含む前記
直線部分の3次元画像を取得するために、三角測量によって前記反射レーザ線を処理することと
を含む方法。
【請求項31】
前記マトリクス画像自体において、前記反射レーザ線に実質的に直角な方向に沿って、前記取得したマトリクス画像の部分画像を選択することを含み、前記反射レーザ線を特定し、三角測量によって前記反射レーザ線を処理する前記作業は、前記画像の部分画像に対して実施される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
- 前記タイヤの第1の内側面領域の一連の異なる直線部分が、少なくとも前記伝播面(8)において、前記マトリクスカメラ(5)の被写界深度内に連続して位置するように、前記第1の内側面領域を前記装置に対して並進させることであって、前記取得システム(4)は、前記リニアレーザビームで照明する前記作業を連続的に繰り返すために、前記並進中に連続して動作し、前記第1の内側面領域の前記一連の異なる直線部分のそれぞれの一連の3次元画像を取得するために、前記それぞれのマトリクス画像を取得し、前記それぞれの反射レーザ線を特定し、前記それぞれの反射レーザ線を処理し、それぞれの3次元画像を取得し、前記一連の直線内側面部分で得られた前記一連の3次元画像を組み合わせることで、前記第1の内側面領域の完全な3次元画像が得られることを含み、
前記第1の内側面領域は、前記タイヤのショルダ部(104)の内側面領域である、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
- 前記タイヤの第2の内側面領域の一連の異なる直線部分が、少なくとも前記伝播面において、前記マトリクスカメラ(5)の前記被写界深度内に連続して位置するように、前記第2の内側面領域を前記装置に対して並進させることであって、前記取得システムは、前記リニアレーザビームで照明する前記作業を連続的に繰り返すために、前記並進中に連続して動作し、前記第2の内側面領域の前記一連の異なる直線部分のそれぞれの一連の3次元画像を取得するために、前記それぞれのマトリクス画像を取得し、前記それぞれの反射レーザ線を特定し、前記それぞれの反射レーザ線を処理し、それぞれの3次元画像を取得し、前記一連の直線内側面部分で得られた前記一連の3次元画像を組み合わせることで、前記第2の内側面領域の完全な3次元画像が得られることを含み、
前記第2の内側面領域は、前記タイヤのサイドウォール(105)の内側面領域である、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
- 前記タイヤの第3の内側面領域の一連の異なる直線部分が、少なくとも前記伝播面において、前記マトリクスカメラ(5)の前記被写界深度内に連続して位置するように、前記第3の内側面領域を前記装置に対して並進させることであって、前記取得システムは、前記リニアレーザビームで照明する前記作業を連続的に繰り返すために、前記並進中に連続して動作し、前記第3の内側面領域の前記一連の異なる直線部分のそれぞれの一連の3次元画像を取得するために、前記それぞれのマトリクス画像を取得し、前記それぞれの反射レーザ線を特定し、前記それぞれの反射レーザ線を処理し、それぞれの3次元画像を取得し、前記一連の直線内側面部分で得られた前記一連の3次元画像を組み合わせることで、前記第3の内側面領域の完全な3次元画像が得られることを含み、
前記第3の内側面領域は、前記タイヤのビード部(106)の内側面領域である、
請求項33に記載の方法。
【請求項35】
チェックされる前記タイヤは、サイドウォールを支えにして水平にセットして配置され、少なくとも前記反射要素(11)を前記タイヤの前記内部空間に挿入する前記動作は、上部から行われる、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の内側面領域、前記第2の内側面領域、および前記第3の内側面領域の中の少なくとも1つは、中央線平面を基準に前記タイヤの上側半分に属する、
請求項34に従属する場合の請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、タイヤの面に存在する可能性のある検出可能な欠陥を検出するために、特に、タイヤの内側面の画像を取得し、さらにその画像を処理することで、タイヤ生産ラインでタイヤをチェックする装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「チェック」とは、タイヤの品質チェックを意味する。
【0003】
「タイヤ」とは、通常、完成した、すなわち、構築、成形、および加硫ステップ後のタイヤを意味するが、場合によっては、構築ステップ後で、成形および/または加硫ステップ前の未硬化タイヤも意味する。
【0004】
通常、タイヤは、動作時のタイヤの回転軸を囲む略トロイダル状の構造を有し、回転軸に直角な軸方向中央線平面を有し、前記平面は通常、幾何学的な(概ね)対称面である(例えば、トレッドパターンおよび/または内側構造などのいくつかのマイナーな非対称部を無視する)。
【0005】
タイヤは、両側の端部フラップをそれぞれ有する少なくとも1つのカーカスプライを含むカーカス構造体を含み、端部フラップは、通常、「ビード部」の名称で特定される、半径方向内側で回転軸に対して実質的に直角なタイヤの端部円形部分に組み込まれたそれぞれの環状固定構造体と係合する。「チューブレス」タイヤでは、半径方向内側のカーカスプライは、通常「ライナ」と呼ばれ、最適な気密特性を有し、ビード部の一方から他方まで延びる、好ましくは、ブチル系のエラストマー材料層で内側を被覆される。繊維または金属の補強コードを有する1つまたは複数のベルト層は、カーカス構造体に対して半径方向外側の位置に結合することができる。トレッドバンドは、ベルト層に対して半径方向外側の位置に付けられる。エラストマー材料からなるそれぞれの側部インサートは、それぞれがトレッドバンドの円形端部エッジの1つから、ビード部のそれぞれの環状固定構造体まで延びるカーカスプライの横面で、軸方向外側位置にさらに付加される。
【0006】
「クラウン」とは、トレッドバンドと、ベルト層と、ベルト層の半径方向内側の対応するカーカス構造体部分とを含むタイヤの部分を指す。
【0007】
「サイドウォール」とは、互いに対向し、クラウンの両側からビード部まで実質的に半径方向に展開する2つのタイヤ部分の1つを意味する。したがって、各サイドウォールは、対応するカーカス構造体部分および前記側部インサートを含む。
【0008】
「ショルダ部」とは、クラウンとそれぞれのサイドウォールとに隣接する各タイヤ部分を意味する(言い換えると、2つのショルダ部は、タイヤの半径方向および軸方向外側の、2つの円の「縁部」に配置される)。各ショルダ部は、回転軸に対して実質的に垂直な円形展開部を有する。
【0009】
タイヤの外側面または内側面とは、それぞれ、タイヤを取付リムと結合後、依然として目に見える面と、前記結合後、もはや目に見えない面とを意味する。
【0010】
「タイヤの内部空間」という用語は、対象となる点を通り、タイヤの軸に平行な直線が、対象となる点に対して両側に配置された2つの部分でタイヤに交差する点の集合を指す。
【0011】
「サイクル時間」という用語は、少なくとも1つのワークステーション、好ましくは複数のワークステーションを含み、タイヤ製造用のプラントに組み入れられた生産ライン内において、最大速度で、加工されるタイヤがタイヤ自体の構成要素の少なくとも一部を構築するワークステーションを通過する最大移動時間を指す。例えば、サイクル時間は、約20~約120秒とすることができる。
【0012】
「低い」、「高い」、「下の」、および「上の」という用語は、タイヤの構成要素、タイヤ、装置、デバイスなどの要素の、使用時の地面に対する相対位置、または前記要素の1つの、別の要素に対する相対位置を特定する。
【0013】
幾何学要素(直線、平面、面など)に対して「実質的に直角」とは、これらの要素が、90°±15°、好ましくは、90°±10°の角度を形成することを意味する。
【0014】
前記幾何学要素に対して「実質的に平行」とは、これらの要素が、0°±15°、好ましくは、0°±10°の角度を形成することを意味する。
【0015】
「直線および平面(plane)によって形成される角度」とは、直線と平面上のその直線の直角投影とによって形成される鋭角を意味する。
【0016】
「直線および面(surface)によって形成される角度」とは、直線と、直線との交点で面に接する平面上のその直線の直角投影とによって形成される鋭角を意味する。
【0017】
「2つの直線によって形成される角度」とは、1つの点に入射する場合に、2つの直線によって形成される鋭角を意味する。2つの直線が角度をなす場合に、その角度は、同じ点を通り、それぞれ2つの所与の直線に平行な2つの直線によって形成される鋭角を意味する。
【0018】
「光」、「ライト」などの用語は、必ずしも厳密に光帯域(すなわち、400~700nm)の範囲内に入るわけではなく、少なくともスペクトルの一部分が光帯域の拡大近傍に入る使用電磁放射線を指し、例えば、光帯域のこの拡大近傍は、紫外線から赤外線までの範囲をとることができる(例えば、約100nm~約1μmの波長を含む)。
【0019】
「デジタル画像」、等価的に「画像」とは、通常コンピュータファイルに含まれるデータセットを一般的に意味し、データセットでは、空間座標のタプル(各タプルはピクセルに対応する)の有限セット(通常は2次元であり、マトリクス、すなわち、N行xM列である)の座標の各タプル(通常は各座標対)は、(様々な大きさを表すことができる)対応する数値セットに対応付けられる。例えば、(中間調または「グレースケール」の画像などの)単色画像では、そのような値のセットは、有限スケール(通常は256段階または階調)の単一値からなり、この値は、例えば、表示された場合の空間座標のそれぞれのタプルの明度(または強度)を表す。さらなる例は、カラー画像によって代表され、カラー画像では、値セットは、複数の色またはチャネル、通常は原色(例えば、RGBコーディングのレッド、グリーン、およびブルー、ならびにCMYKコーディングのシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラック)の明度レベルを表す。「画像」という用語は、必ずしも画像の実際の表示を意味しない。
【0020】
特定の「デジタル画像」(例えば、タイヤで最初に取得される画像)に対する任意の言及は、より一般的に、前記特定の画像の1つまたは複数のデジタル処理(例えば、フィルタリング、イコライゼーション、スムージング、2値化、閾値処理、モルフォロジー変換(オープニングなど)、微分または積分計算など)を通じて取得可能な任意のデジタル画像が含まれる。
【0021】
面の「2次元画像」または「2D」という用語は、各ピクセルが、面の反射率/拡散率および/または色を表す情報に対応付けられた、一般的なカメラまたはデジタルカメラ(例えば、CCD)で検出された像などのデジタル画像を意味する。
【0022】
面の「3次元画像」または「3D」という用語は、各ピクセルが、面の高さ情報に対応付けられたデジタル画像を意味する。
【0023】
「デジタルカメラ」または短く「カメラ」は、2次元デジタル画像を取得するように構成され、画像面を画定するデジタル画像センサ(または短く「センサ」)と対物レンズ(円筒対称性を有すると想定されるが、本発明はこれらの対物レンズだけに限定されない)とを含む光電子装置を意味する。
【0024】
「センサ」とは、例えば、CCDまたはCMOS技術によって、入射光を電気信号に変換できる感光性要素(「ピクセル」と呼ばれる)の群を意味する。ピクセルという用語は、センサの単一の感光性要素と、上記に定義したデジタル画像を形成する単一要素との両方を表すために使用され、センサの各ピクセルは、通常、画像のピクセルに対応する。
【0025】
「マトリクスカメラ」とは、そのセンサが、同等の長さの2つの寸法(例えば、2つの寸法は、4x3または3x2フォーマットのように、1桁未満だけ異なる)を有する矩形マトリクスに従って配置されたピクセルを有するカメラを意味する。通常、センサマトリクスの対角線は、数十ミリメートルの長さである。さらに言うと、「マトリクス」画像は、マトリクスカメラによって取得された2次元デジタル画像である。
【0026】
対物レンズの「光軸」とは、対物レンズが回転対称をなす線を意味する。
【0027】
カメラ手段の「焦点面」または「合焦面」とは、対物レンズによってセンサ上に焦点を合わされる対象点の平面である、すなわち、焦点面の各対象点からの光線は、センサ平面(画像面)のそれぞれの点に集束する。
【0028】
「被写界深度」とは、各点が、対物レンズによってセンサ平面に投影された場合に、内接する画像を所定の錯乱円(例えば、5~10μmの直径を有する)に形成する焦点面の近傍の平面群を意味する。
【0029】
「リニアレーザ源」とは、リニアレーザビーム、すなわち、「伝播面」にあるレーザビームであって、伝播面に属し、レーザ源を通る、レーザビームの伝播方向としての「伝播軸」を有するレーザビームを放射するように構成されたレーザ源を意味する。タイヤの面などの、反射/拡散特性を有し、伝播面と合致しない物理面とリニアレーザビームとの交点は、「レーザ線」を発生させる。
【0030】
「反射レーザ線」は、カメラによって取得された画像内の面にある前記レーザ線の画像である。
【0031】
「面直線部分」とは、一方の寸法のサイズが、それに対して直角な他の寸法よりも大きく、通常、少なくとも2桁だけ大きい面部分を意味する。直線面部分の短い方の寸法は、通常0.1mm以下である。
【0032】
反射要素の「反射面」とは、ミラーの場合のような実際の反射面と、(全反射による、または少なくとも1つの内面の鏡面加工による)少なくとも1つの内部反射を使用する反射プリズム、または屈折によって光の進路を変える屈折プリズムの場合のような等価反射面との両方を意味する。実際上、プリズムは、反射で(所与のレーザ波長に対する)プリズムのように挙動する等価反射面でモデル化することができる。
【0033】
車両ホイール用のタイヤの製造および構築プロセスにおいて、欠陥タイヤまたは設計仕様を満たさないタイヤが市場に出るのを防止し、かつ/または製造プロセスで行われる作業の実施を改善および最適化するように、使用する装置および機械を段階的に調整することを目的として、完成品に対して品質チェックを行う必要があると分かっている。
【0034】
これらの品質チェックには、例えば、人間オペレータが、タイヤの目視および触感検査に一定の時間を費やして行うものが含まれ、オペレータ自身の経験および感性に照らして、タイヤが特定の品質基準を満たさないと、オペレータが感じた場合に、同タイヤは、任意の構造上の、および/または質的な欠陥を深く評価するために、より詳細な人間によるチェック、および/または適切な装置を通じてさらなるチェックを受ける。
【0035】
国際公開第2015/122295A1号は、光源、ミラー、およびカメラを含み、ミラーがタイヤの空洞に挿入された後、回転軸のまわりに回転するように構成された、タイヤの内側面の3次元画像を取得するための装置について記載している。
【0036】
国際公開第2015/044196A1号は、レーザ照明手段と、画像取得手段と、照明手段とタイヤ面の照明領域との間に光学的に挟まれた反射器とを含む、タイヤの内側面の3次元画像を取得するための装置について記載している。レーザ照明手段は、タイヤの面に光線を投射することができ、取得手段は、レーザの光軸とカメラの光軸との間に形成された三角測量角に基づいて向きを合わされるマトリクスカメラを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
タイヤ品質チェックの分野において、本出願人は、例えば、面に、または面の周辺に存在し得る欠陥を検出するために、タイヤの内側面のデジタル画像を光学的に取得し、次に、デジタル画像を処理することで、タイヤの内側面をチェックするという課題を定めた。調べる欠陥には、例えば、タイヤまたはタイヤの面の異常(未加硫合成物、形状の変化など)、構造的むら、切れ目、面上の異物の存在があり得る。
【0038】
特に、本出願人は、タイヤの内側面の3次元画像を取得および解析することが有益であると考える。
【0039】
例えば、3D技術(特に、10μm以下の解像度を有する高精細度)を使用して、3次元形状の狂い、タイヤの内側面での材料の欠如または突起、典型的には欠如または気泡、あるいは隆起したワーディングおよびこぶなどのいくつかの形体も検出することができる。
【0040】
本出願人は、チェックがタイヤの製造用プラント内の「ラインで」使用されるために、チェック自体は、前記サイクル時間以下の短縮した時間で、かつコストの削減および/または全体的な規模の縮小を行って実施されなければならないと気付いた。
【0041】
本出願人は、レーザ三角測量技術を用いて、タイヤの内側面、特に、内側サイドウォール、または内側ビード部、または内側ショルダ部などの特にアクセスが困難な内側面部分の3D画像を光学的に取得するタイヤ品質チェック方法において、リニアレーザビームで適切に照明し、レーザ線が当たる面部分のマトリクス画像を取得するのは、特に、大きく異なる寸法特徴部(外径および内径、取付部、コード、ビード部間隔、サイドウォールの様々な形状および幅などの寸法パラメータの大きさ相違)を有する、チェックされるタイヤの顕著な可変性のために困難であると認識した。
【0042】
本出願人はまた、そのような困難に直面した際に、国際公開第2015/122295A1号および国際公開第2015/044196A1号に記載された3次元画像の取得装置は、構造および/または動作が複雑すぎ、かつ/あるいは過度にかさばる、または重いと認識した。これらのすべては、(重量および寸法が原因で)前記取得装置間での干渉という具体的なリスクがあり、それと同時に、コスト(例えば、保守コストが高い)および/または実行時間(例えば、中断事象が多い)が増大する傾向があることから、工業生産ライン内へのそのような装置の組み入れを困難にする。
【課題を解決するための手段】
【0043】
本出願人は、上記の問題に対する問題解決策が、反射要素の配置の観点から構造が異なる取得システムを用いて実現できると考えた。
【0044】
より正確には、本出願人は、反射面での反射の前後のカメラの光軸間の第1の鈍角と、反射面での反射の前後のリニアレーザビームの伝播軸間の第2の鈍角とを形成するように、反射要素の反射面を配置することで、タイヤに挿入して、3つの異なる領域、すなわち、内側ショルダ部、内側サイドウォール、および内側ビード部の画像を取得するのに適するような、空間での取り扱いが容易で融通性のある、コンパクトな3D画像取得装置を得ることが可能であることを発見した。
【0045】
第1の態様によれば、本発明は、タイヤをチェックする装置に関する。
【0046】
好ましくは、支持フレームが設けられる。
【0047】
好ましくは、支持フレームに取り付けられたフランジは、前記支持フレームを装置の移動部材に取り付けるために設けられる。
【0048】
好ましくは、タイヤの面の3次元画像を取得するための取得システムが設けられ、前記取得システムは、前記支持フレームに取り付けられる。
【0049】
好ましくは、前記取得システムは、光軸を有するマトリクスカメラを含む。
【0050】
好ましくは、前記取得システムは、伝播面および伝播軸を有するリニアレーザビームを放射するように構成されたリニアレーザ源を含む。
【0051】
好ましくは、前記取得システムは、前記伝播軸の第1の部分および第2の部分と、前記光軸の第1の部分および第2の部分とそれぞれを特定するように、前記伝播軸および前記光軸の両方と交差する反射面を有する反射要素を含む。
【0052】
好ましくは、伝播軸の第1の部分および第2の部分は、それぞれの入射点で反射面に入射する直線部分であり、伝播軸の第1の部分および第2の部分は、前記それぞれの入射点における反射面に垂直な線に関して互いに鏡像をなす。
【0053】
好ましくは、光軸の第1の部分および第2の部分は、それぞれの入射点で反射面に入射する直線部分であり、光軸の第1の部分および第2の部分は、前記それぞれの入射点における反射面に垂直な線に関して互いに鏡像をなす。
【0054】
好ましくは、2つの第1の部分は、それぞれの入射点に対してそれぞれマトリクスカメラ側およびリニアレーザ源側に配置される。
【0055】
好ましくは、前記光軸の前記第1の部分と第2の部分との間に形成される第1の角度は鈍角である。
【0056】
好ましくは、前記伝播軸の前記第1の部分と第2の部分との間に形成される第2の角度は鈍角である。
【0057】
第2の態様によれば、本発明は、タイヤをチェックする方法に関する。
【0058】
好ましくは、チェックされるタイヤを用意することが企図される。
【0059】
好ましくは、本発明の第1の態様による、タイヤをチェックする装置を本発明の任意の実施形態で用意することが企図される。
【0060】
好ましくは、少なくとも前記反射要素を前記タイヤの内部空間に挿入することが企図される。
【0061】
好ましくは、レーザ線を発生させるように、前記タイヤの内側面の直線部分を前記リニアレーザビームで照明することが企図される。
【0062】
好ましくは、内側面の前記直線部分を含む面部分のマトリクス画像を取得することが企図される。
【0063】
好ましくは、前記マトリクス画像は、前記直線を表す反射レーザ線を含む。
【0064】
好ましくは、前記マトリクス画像で前記反射レーザ線を特定することが企図される。
【0065】
好ましくは、前記直線面部分の高さ輪郭に関する情報を含む前記直線面部分の3次元画像を取得するために、三角測量によって前記反射レーザ線を処理することが企図される。
【0066】
第3の態様によれば、本発明は、タイヤ生産ラインでタイヤをチェックするステーションに関する。
【0067】
好ましくは、セットされるタイヤをサイドウォールを支えにして支持し、タイヤをタイヤの回転軸のまわりに回転させるように構成された支持体が設けられる。
【0068】
好ましくは、本発明の第1の態様による、タイヤをチェックする装置が本発明の任意の実施形態で設けられる。
【0069】
好ましくは、装置は、その移動部材に取り付けられる。
【0070】
本出願人は、前記第1および第2の角度が鈍角であることから、反射要素をクラウンの内側面などのタイヤの内側面に過度に接近させて配置する必要を、内側面と反射要素との間の衝突のリスクと共になくし、それと同時に、装置(ひいては、第1の部分の光軸)を軸方向中心線平面に対して過度に傾斜させる必要を、装置の部品(フレームなど)とビード部との間で衝突が起こる、または装置とビード部との間の接触のために、そのように傾斜させることができなくなるリスクと共になくして、内側ショルダ部などのアクセスが困難な内側面部分を照明し、フレームに収めることが可能であると考える。
【0071】
これは、装置の要素の最適な寸法および配置を可能にして、下記によりうまく説明するように、装置を構造的に単純でコンパクトにし、取り扱いを容易にし、ショルダ部、サイドウォール、およびビード部のすべての内側面の画像を取得するのに使用されるように適合させる。
【0072】
本発明は、本発明の上記の態様の1つまたは複数において、下記に説明する好ましい特徴の1つまたは複数をさらに有することができる。
【0073】
好ましくは、光軸の前記第1の部分または第2の部分において、前記光軸と前記反射面との間に形成される第3の角度は40°以下である。
【0074】
好ましくは、光軸の前記第1の部分または第2の部分において、前記光軸と前記反射面との間に形成される第3の角度は20°以上である。
【0075】
好ましくは、伝播軸の前記第1の部分または第2の部分において、前記伝播軸と前記反射面との間に形成される第4の角度は40°以下である。
【0076】
好ましくは、伝播軸の前記第1の部分または第2の部分において、前記伝播軸と前記反射面との間に形成される第4の角度は20°以上である。
【0077】
好ましくは、前記第3の角度は30°以上である。
【0078】
好ましくは、前記第4の角度は30°以上である。
【0079】
本出願人よれば、角度値のそのような選択は、第1および/または第2の角度の鈍角性を保証するのに加えて、装置の寸法、構造、および融通性の最適化を可能にする。
【0080】
好ましくは、前記マトリクスカメラ、前記リニアレーザ源、および前記反射要素は、前記支持フレームに対するそれぞれの固定位置で前記支持フレームに一体的に取り付けられる。好ましくは、前記支持フレームは実質的に剛体である。このように、装置は、フレームに対して移動する部品を全く有さないので、装置は構造および動作が単純であり、高信頼性である。
【0081】
好ましくは、前記支持フレームは、第1の方向に沿った主展開部を有する細長い直立材を含み、直立材は、前記フランジが取り付けられた第1の端部と、第1の方向に沿って第1の端部の反対側にある第2の端部とを有する。
【0082】
好ましくは、前記支持フレームは、第2の方向に沿って主展開部を有する細長い横材を含み、横材は、直立材の第2の端部にある第1の端部と、第2の方向に沿って第1の端部の反対側にある第2の端部とを有し、第2の端部は自由端であり、前記反射要素は、横材の前記第2の端部に取り付けられる。前記横材は、前記直立材と一体であるのが好ましく、例えば、直立材の第2の端部で前記直立材に堅固に取り付けられる。
【0083】
好ましくは、第1の方向および第2の方向は、互いに対して実質的に直角であり、より好ましくは、それらは直角をなす。
【0084】
好ましくは、前記光軸の前記第1の部分および/または前記伝播軸の前記第1の部分は、前記第2の方向に対して実質的に平行である。
【0085】
好ましくは、前記伝播面は、少なくとも前記伝播軸の前記第1の部分において、前記第1の方向に対して実質的に平行である。
【0086】
直立材および横材の細長い形状と、それらの間の、ならびに光軸および/または伝播軸および/または伝播面に対する空間関係とは、好ましくはロボットアームなどの移動システムによる装置の適切な移動(並進および/または傾転)後に、ショルダ部の内側面およびサイドウォールの内側面の両方の、さらにはビード部の内側面の画像を取得するのに装置を特に融通が利くものにする。
【0087】
好ましくは、前記光軸の前記第1の部分は、前記マトリクスカメラから前記反射面まで延在する。
【0088】
好ましくは、前記伝播軸の前記第1の部分は、前記リニアレーザ源から前記反射面まで延在する。
【0089】
言い換えると、前記反射要素とマトリクスカメラとの間、および前記反射要素とレーザとの間の光路を変えるさらなる要素はない。このように、装置は構造的に単純であり、信頼性が高い。
【0090】
好ましくは、前記リニアレーザ源および/または前記マトリクスカメラは、前記直立材の第2の端部で前記支持フレームに取り付けられる。これは、上記の利点と共に、さらなる反射要素の使用を不要にする。
【0091】
好ましくは、前記リニアレーザ源および前記マトリクスカメラは相互に横並びである。これは、装置の全体的なコンパクト性に寄与する。
【0092】
好ましくは、前記光軸の前記第1の部分および前記伝播軸の前記第1の部分は共通平面に位置する(lie on a common plane)。好ましくは、前記共通平面は、前記伝播面に実質的に直角である。このように、装置構造を特に合理的にするのに加えて、光学的な観点からのシステムの性能が最適化される。
【0093】
好ましくは、前記光軸の前記第2の部分と前記伝播軸の前記第2の部分との間に形成される第5の角度は5°以上である。
【0094】
より好ましくは、前記第5の角度は10°以上である。これは、十分な感度で高さの変化を検出するための反射レーザ線の十分な動的可動域をもたらす。
【0095】
好ましくは、前記第5の角度は40°以下である。
【0096】
より好ましくは、前記第5の角度は35°以下である。このように、重すぎるマトリクス画像を処理しなければならない必要を回避するために、反射レーザ線の動的可動域は過度に広くならない。
【0097】
好ましくは、前記第5の角度は、25°以下、より好ましくは、20°以下である。このように、装置をコンパクトに、全体として全体寸法を小さく保ちながら(したがって、制限された空間においてでさえ、空間を容易に移動する)、比較的短縮された時間で大きな面領域の3D画像の取得が行われる。実際上、マトリクスカメラによって取得および処理されるマトリクス画像は、検出する高さの所与の最大偏倚に対して、(ピクセルに関して)反射レーザ線に直角なマトリクス画像の寸法に収まり、したがって、処理がより高速である。第5の角度が15°の場合の単なる数値例を提示すると、前記問題解決策は、0.1mm当たり1ピクセルの解像度で約25mmの面高さの最大偏倚を検出するために、2048x60ピクセルだけのマトリクス画像を処理することを可能にする。
【0098】
好ましくは、前記リニアレーザビームの伝播方向における前記反射要素の下流には、前記反射要素以外に、前記光軸に沿った、および/または前記伝播軸(9)に沿ったさらなる反射要素はない。このように、装置はコンパクトで信頼性が高い。
【0099】
一実施形態では、反射要素はプリズムを含む。
【0100】
好ましくは、前記反射要素は、好ましくはプレート状のベース体と、ベース体に固定され、前記反射面を有する光学要素とを含む。
【0101】
好ましくは、前記ベース体は、前記横材の前記第2の端部に一体的に固定される。
【0102】
好ましくは、前記反射面は物理的な面である。
【0103】
好ましくは、前記反射面はただ1つである。
【0104】
好ましくは、前記反射面は平坦である。
【0105】
このように、装置は構造が単純であり、かつ/または、例えば、光学構成要素を整列させるための設定が簡単である。
【0106】
好ましくは、前記反射面(12)は、マトリクスカメラ(5)およびリニアレーザ源(7)に面する光学要素(41)の外側面である。この問題解決策では、反射面は光学活性要素の近位面にあり、問題解決策は、反射面が偶発的な接触による損傷を受け得るために、より高い脆弱性をもたらすが、他方で、有利にもミラーの透過性材料内でのカメラおよびレーザの光路の望ましくないあらゆる逸れをなくす。さらに、本発明は、上記のように、反射要素を内側面からより離れた状態に保つことを可能にし、したがって、上記の偶発的接触が発生するリスクを低めるのに寄与する。
【0107】
好ましくは、前記光学要素および/または前記反射面および/または前記ベース体は、マトリクスカメラおよび/またはリニアレーザ源を基準として、近位端から遠位端に向かって先細りになっている。このように、有利にも光軸と伝播軸との間に傾斜があることで可能になる先細りにより、使用時に内側面により接近して配置される端部の反射要素の専有面積が小さくなる。特に、先細りは、使用時に、円周方向のタイヤの内側面の凹部に適合する。これは、その結果として、反射要素を内側面に接近させるのを可能にし、ひいては、内側面との衝突の可能性を低める。比較として、反射要素の矩形型は、反射要素の先端コーナとタイヤの内側面との間の衝突のリスクをもたらし、中心線平面上の内側面の曲率が大きくなるほど(すなわち、中心線平面上の曲率半径が小さくなるほど)、リスクは高くなる。
【0108】
好ましくは、マトリクスカメラは、画像面を画定するセンサと、前記光軸、焦点面、および被写界深度を有する対物レンズとを含む。
【0109】
好ましくは、前記画像面は、光軸に直角で前記対物レンズを通る基準面と鋭角をなし(すなわち、画像面は、通常とは異なり、光軸に直角ではない)、この鋭角は、前記焦点面が、前記伝播面と45°未満、より好ましくは30°以下、さらにより好ましくは10°以下の鋭角をなすように、前記リニアレーザ源が配置された側に頂点を有する。このように、有利にも、焦点面は、リニアレーザビームの伝播面に対して傾斜し、被写界深度は、物体面(すなわち、画像が取得される点からなる平面、言い換えると、タイヤ面上のレーザ線が位置する平面)である伝播面のまわりに展開し、それにより、レーザ線のより良好な合焦を可能にし、絞りは同じである。なお、絞りを絞ると、被写界深度は深くなるが、これは、レーザの照明パワーの増大につながり、複雑性/コストの面での、および/またはレーザの安全面での欠点となる。
【0110】
好ましくは、画像面と基準面との間の前記鋭角は20°以下である。
【0111】
好ましくは、画像面と基準面との間の前記鋭角は15°以下である。
【0112】
好ましくは、画像面と基準面との間の前記鋭角は5°以上である。このように、有利にも、(画像面の法線に沿って展開する)マトリクスカメラの本体は、レーザ源およびレーザ源の伝播面とほぼ整列し、その結果、横寸法が小さくなるので、装置はきわめてコンパクトなままである。
【0113】
好ましくは、前記マトリクスカメラは、前記面の一部分のマトリクス画像を取得するように構成され、前記マトリクス画像において、前記面部分の直線部分を前記リニアレーザビームで照明することで生じるレーザ線を表す反射レーザ線を特定する処理ユニットを、機械本体に含む。
【0114】
好ましくは、処理ユニットは、前記面部分の前記直線部分の高さ輪郭に関する情報を含む3次元画像を取得するために、三角測量によって前記反射レーザ線を処理するように構成される。
【0115】
好ましくは、マトリクスカメラは、前記伝播面に実質的に平行な方向に、より大きい寸法を有する矩形センサを含み、前記より大きい寸法は、その方向に垂直な方向の寸法よりも少なくとも1桁だけ小さい。このように、センサは、レーザ三角測量を行うためにマトリクス画像を取得することが必要な面部分に合わせた寸法でマトリクス画像を取得するように構造的に最適化される。
【0116】
好ましくは、マトリクス画像自体において、反射レーザ線に実質的に直角な方向に沿って、取得したマトリクス画像の部分画像(sub-portion)を選択することが企図され、反射レーザ線を特定し、三角測量によって反射レーザ線を処理する前記作業は、前記画像の部分画像に対して実施される。
【0117】
好ましくは、処理ユニットは、マトリクス画像自体において、反射レーザ線に実質的に直角な方向に沿って、取得したマトリクス画像の部分画像を選択するように構成され、反射レーザ線を特定し、三角測量によって反射レーザ線を処理する前記作業は、前記画像の部分画像に対して実施される。このように、専用サイズのセンサを必要とすることなく、より小さい画像を処理することができる。
【0118】
好ましくは、取得した画像の部分画像を選択する前記作業の後、反射レーザ線に実質的に直角な前記方向に沿ったピクセル数は、200ピクセル以下である。
【0119】
好ましくは、前記ピクセル数は100ピクセル以下である。このように、有利にも、高い3D画像取得速度が得られる。
【0120】
好ましくは、前記面部分は前記被写界深度以内に位置する。
【0121】
好ましくは、前記面部分は、前記伝播面に実質的に直角な横臥面(lying plane)に位置する(および、光軸は、横臥面の法線に対して傾斜する)。この状況において、有利にも、面部分の所望する最大高さ偏倚に焦点を合わせるための被写界深度は、面部分が光軸に実質的に垂直である構成よりも浅い。
【0122】
好ましくは、タイヤの第1の内側面領域の一連の異なる直線部分が、少なくとも前記伝播面において、前記マトリクスカメラの前記被写界深度内に連続して位置するように、前記第1の内側面領域を装置に対して並進させることが企図され、前記取得システムは、前記リニアレーザビームで照明する前記作業を連続的に繰り返すために、前記並進中に連続して動作し、前記第1の内側面領域の前記一連の異なる直線部分のそれぞれの一連の3次元画像を取得するために、前記それぞれのマトリクス画像を取得し、前記それぞれの反射レーザ線を特定し、前記それぞれの反射レーザ線を処理し、それぞれの3次元画像を取得し、第1の内側面領域の完全な3次元画像は、一連の直線内側面部分で得られた一連の3次元画像を組み合わせることで得られる。
【0123】
好ましくは、タイヤの第2の内側面領域の一連の異なる直線部分が、少なくとも前記伝播面において、前記マトリクスカメラの前記被写界深度内に連続して位置するように、前記第2の内側面領域を装置に対して並進させることが企図され、前記取得システムは、前記リニアレーザビームで照明する前記作業を連続的に繰り返すために、前記並進中に連続して動作し、前記第2の内側面領域の前記一連の異なる直線部分のそれぞれの一連の3次元画像を取得するために、前記それぞれのマトリクス画像を取得し、前記それぞれの反射レーザ線を特定し、前記それぞれの反射レーザ線を処理し、それぞれの3次元画像を取得し、第2の内側面領域の完全な3次元画像は、一連の直線内側面部分で得られた一連の3次元画像を組み合わせることで得られる。
【0124】
好ましくは、タイヤの第3の内側面領域の一連の異なる直線部分が、少なくとも前記伝播面において、前記マトリクスカメラの前記被写界深度内に連続して位置するように、前記第3の内側面領域を装置に対して並進させることが企図され、前記取得システムは、前記リニアレーザビームで照明する前記作業を連続的に繰り返すために、前記並進中に連続して動作し、前記第3の内側面領域の前記一連の異なる直線部分のそれぞれの一連の3次元画像を取得するために、前記それぞれのマトリクス画像を取得し、前記それぞれの反射レーザ線を特定し、前記それぞれの反射レーザ線を処理し、それぞれの3次元画像を取得し、第3の内側面領域の完全な3次元画像は、一連の直線内側面部分で得られた一連の3次元画像を組み合わせることで得られる。
【0125】
好ましくは、前記第1の内側面領域は、前記タイヤのショルダ部の内側面領域である。
【0126】
好ましくは、前記第2の内側面領域は、前記タイヤのサイドウォールの内側面領域である。
【0127】
好ましくは、前記第3の内側面領域は、前記タイヤのビード部の内側面領域である。
【0128】
好ましくは、前記第1および/または第2および/または第3の内側面領域は、円周内側面領域である。
【0129】
好ましくは、チェックされる前記タイヤは、タイヤの側面を支えにして水平に横たえて配置される。
【0130】
好ましくは、少なくとも前記反射要素を前記タイヤの内部空間に挿入する動作は、上方から実施される。
【0131】
好ましくは、前記第1および/または第2および/または第3の内側面領域は、中心線平面を基準にタイヤの上側半分に属する。
【0132】
より好ましくは、前記円周内側面領域は、前記タイヤの軸に沿って、約5mm~約20mmの幅を有する。
【0133】
好ましくは、タイヤの前記第1および/または第2および/または第3の内側面領域を前記装置に対して並進させる動作を行うために、前記タイヤを回転軸のまわりに回転させることが企図される。
【0134】
好ましくは、装置の前記移動部材はロボットアームである。
【0135】
好ましくは、装置の前記移動部材は関節ロボットアームである。
【0136】
好ましくは、装置の前記移動部材は、少なくとも5軸を有する関節ロボットアームである。
【0137】
さらなる特徴および利点が、本発明による、タイヤ生産ラインでタイヤをチェックする装置、方法、およびステーションのいくつかの例示的であるが、非限定的な実施形態の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。そのような説明が添付図を参照して下記になされ、添付図は、単に例示を目的として、したがって、限定を目的とすることなく提示される。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【
図1】本発明によるタイヤをチェックする装置の部分概略斜視図を示している。
【
図3】いくつかの部分を削除した
図1の装置の等角平面図を示している。
【
図4】
図1の装置の取得システムの光学系構成を概略的に示しており、明瞭に示すために、反射要素は削除されている。
【
図5a】使用時の
図1の装置の可能な位置を不定の縮尺で概略的に示している。
【
図5b】使用時の
図1の装置の可能な位置を不定の縮尺で概略的に示している。
【
図5c】使用時の
図1の装置の可能な位置を不定の縮尺で概略的に示している。
【
図6】本発明によるタイヤをチェックするためのステーションを示している。
【発明を実施するための形態】
【0139】
図6を参照すると、参照数字100は、タイヤ生産ラインでタイヤをチェックするためのステーションを示している。
【0140】
好ましくは、ステーションは、側面を支えにして水平に置かれたタイヤ101を支持し、タイヤを(好ましくは垂直に配置された)タイヤの回転軸140のまわりに回転させるように構成された支持体120(例えば、第5のホイール)を含む。
【0141】
参照数字106は、タイヤの上側ビード部を示し、参照数字105は、上側サイドウォールを示し、参照数字104は、上側ショルダ部を示し、参照数字103は、クラウンを示している。
【0142】
ステーション100は、タイヤをチェックする装置1を含む。
【0143】
好ましくは、ステーションは、装置1が空間内を移動するために取り付けられた移動部材102(単に概略的に示している)を含む。好ましくは、装置の移動部材はロボットアームである。好ましくは、前記移動部材は関節ロボットアームである。好ましくは、前記移動部材は、少なくとも5軸を有する関節ロボットアームである。図において、参照数字10は、ロボットアームの端部軸の方向を示し、この端部軸は、典型的には、フランジ3の円筒対称軸である。なお、有利にも、使用時に、装置1は、底部からではなく、上部からタイヤ内に挿入される。
【0144】
装置1は、フランジ3を用いて装置の移動部材に取り付けられることを意図された支持フレーム2を含み、フランジ3は、支持フレームに一体的に固定されている。
【0145】
装置1は、光軸6を有するマトリクスカメラ5と、伝播面8および伝播軸9を有するリニアレーザビームを放射するように構成されたリニアレーザ源7とを含む、タイヤの面の3次元画像の取得手段4を含む。
【0146】
好ましくは、取得システムは、前記支持フレームに取り付けられ、反射面12を有する反射要素11を含み、反射面12は、前記伝播軸の第1の部分16および第2の部分32と、前記光軸の第1の部分14および第2の部分31とをそれぞれ特定するように、前記伝播軸9および前記光軸6の両方と交差する。伝播軸の第1の部分16および第2の部分32は、それぞれの入射点で反射面に入射する直線部分であり、それぞれの入射点における反射面に垂直な線に関して互いに鏡像をなす。
【0147】
光軸の第1の部分14および第2の部分31は、それぞれの入射点で反射面に入射する直線部分であり、それぞれの入射点における反射面に垂直な線に関して互いに鏡像をなす。
【0148】
従来どおりに、第1の部分14、16は、それぞれの入射点に対してそれぞれマトリクスカメラ5の側およびリニアレーザ源7の側に配置されている。
【0149】
好ましくは、光軸6の第1および第2の部分間に形成される第1の角度50は鈍角である。
【0150】
好ましくは、伝播軸9の第1および第2の部分間に形成される第2の角度51は鈍角である。
【0151】
典型的には、第1の部分14および/または第2の部分31において、前記光軸と前記反射面との間に形成される第3の角度13は約35°である。
【0152】
典型的には、第1の部分16および/または第2の部分32において、前記伝播軸9と前記反射面との間に形成される第4の角度15は約35°である。
【0153】
好ましくは、マトリクスカメラ5、リニアレーザ源7、および反射要素は、フレームに対するそれぞれの固定位置に、すなわち、使用時にフレームに対して移動しないように、フレームに一体的に固定される。
【0154】
好ましくは、支持フレーム2は、第1の方向21に沿って主に展開する細長い直立材20を含み、直立材は、フランジ3が取り付けられた第1の端部22と、第1の方向に沿って第1の端部の反対側にある第2の端部23とを有する。
【0155】
好ましくは、フレームは、第2の方向25に沿って主に展開する細長い横材24を含み、横材は、直立材の第2の端部23で一体的に固定された第1の端部26と、第2の方向に沿って第1の端部の反対側にある第2の端部27とを有し、第2の端部は自由端であり、反射要素11は、横材の第2の自由端27に一体的に取り付けられている。
【0156】
典型的には、第1の方向および第2の方向は互いに直角であり、使用時にロボットアームの端部軸10に共に直角である。
【0157】
図示した例では、伝播軸9の第1の直線部分16は、第2の方向25に平行である。しかし、本発明は図示しない事例も企図し、その事例では、光軸6の第1の直線部分が第2の方向25に平行であるか、または、その事例では、伝播軸9の第1の直線部分および光軸6の第1の直線部分の両方が第2の方向25に正確に平行ではなくて、第2の方向25と、例えば、それぞれ15°以下の小さい角度を形成する。
【0158】
典型的には、伝播面8は第1の方向21に対して平行である。
【0159】
好ましくは、リニアレーザ源7およびマトリクスカメラ5は、直立材の第2の端部23で支持フレームに取り付けられる。
【0160】
しかし、図示しない本発明の代替実施形態では、レーザ源および/またはマトリクスカメラ5は、直立材の第2の端部23から遠位位置で直立材20に取り付けられる。この場合に、好ましくは、マトリクスカメラ5からの出射部分の光軸6および/またはリニアレーザ源7からの出射部分の伝播軸9は、それぞれ第1の方向21に対して平行または実質的に平行であり、それぞれの光路を上記の反射要素11に向かって逸らすことができるそれぞれのさらなる反射要素がさらに設けられる。
【0161】
図に示す好ましい構成では、光軸6または伝播軸9の光路を逸らすことができる、前記反射要素11以外の余分な(反射または屈折)要素は、前記反射要素11とマトリクスカメラ5の間および前記反射要素11とリニアレーザ源7との間にも、リニアレーザビームの伝播方向における反射要素11の下流にも存在しない。一貫して、光軸6の第1の直線部分14は、マトリクスカメラ5から反射要素11まで延在する光路全体に及び、伝播軸9の第1の直線部分16は、リニアレーザ源7から反射要素11まで延在する光路全体に及ぶ。
【0162】
好ましくは、リニアレーザ源7およびマトリクスカメラ5は相互に横に並び、光軸6の第1の部分14および伝播軸9の第1の部分16は、一例として、伝播面8に直角な共通平面に位置する。
【0163】
典型的には、光軸6の第2の部分31と伝播軸9の第2の部分32との間に形成された第5の角度30は15°であり、それぞれの第2の部分は、リニアレーザビームの伝播方向において反射要素11の下流にある。
【0164】
典型的には、光軸6および伝播軸9のそれぞれの第2の部分31、32は点Pで合流する。
【0165】
典型的は、反射要素11は、横材24の第2の端部27に一体的に固定された、好ましくはプレート状のベース体40と、ベース体に固定され、物理的に平坦な1つだけの前記反射面12を有する光学要素41とを含む。代替案として(図示せず)、反射面は、1つはレーザビーム専用で、1つはマトリクスカメラ5の光学場に専用の2つの異なる副部を含むことができる。
【0166】
好ましくは、反射面12は、マトリクスカメラ5およびリニアレーザ源7に面する光学要素41の外側面である。本出願人は、通常、ミラーの反射面は、反射面を任意の偶発的な接触から守るために、ミラーの透明材料の裏に配置された背面であることに注目する。しかし、本出願人は、透明材料により、取得した画像が二重の反射レーザ線を有するようになり得る、すなわち、いわゆる「ゴースト」現象があるので、本願に対して、透明材料が存在することは不利であると気付いた。実際上、実際の反射面の反射に加えて、(保護ガラスなどの)前記透明材料のために第2の反射が生じることがあり、その結果として、その後の処理が困難になる。
【0167】
好ましくは、光学要素41、反射面12、およびベース体40は、マトリクスカメラ5およびリニアレーザ源7を基準として、近位端から遠位端に向かって先細りになっている。
【0168】
図4は、本発明の取得システムの例示的な光学図の平面図を示しているが、明瞭にするために反射要素11がない。本明細書および
図1~3を踏まえて当業者には明らかなように、本発明による反射要素11を導入することで、
図4に示すものに対して光路が逸れるが、
図4に示す原理から逸脱するものではない。
【0169】
通常、マトリクスカメラ5は、機械本体5aと、画像面29を画定するセンサと、前記光軸6、焦点面17、および被写界深度を有する対物レンズ28とを有する(
図4は、例示として、被写界深度の端面18、19を示している)。
【0170】
【0171】
好ましくは、焦点面17も点Pを通過する。
【0172】
タイヤの内側面は、取得時に、伝播軸9に実質的に直角な横臥面35に実質的に位置すると想定される。面部分の「横臥面」とは、タイヤの面部分の所与の高さを通る任意の平面であり、好ましくは、面高さの最大偏倚の中間高さを通る平面である。
【0173】
好ましくは、
図4に概略的に示すように、マトリクスカメラ5のセンサの画像面29は、光軸に垂直で対物レンズを通る基準面33(単に概略的に示している)と、リニアレーザ源7がある側に頂点を有し、典型的には10°である角度34をなす。
【0174】
このように、焦点面17は、伝播面8ときわめて小さい角度30を形成し、(面の高さ偏倚が展開する)面の横臥面35のまわりの対象となる領域の被写界深度は伝播面8のまわりに展開し、開放絞りの場合でさえ、所望の高さ偏倚に沿って面を照明するリニアレーザビームの容易な合焦を可能にする。
【0175】
装置1を使用することで、本発明のタイヤをチェックする方法を実施することができる。
【0176】
チェックされるタイヤ101は、タイヤの側面を支えにして支持体120上に水平に横たえて配置され、支持体120は、タイヤをタイヤの回転軸140のまわりに回転させるために、ローテーションする関係にセットされる。
【0177】
タイヤをチェックする装置1は、少なくとも反射要素11をタイヤの内部空間に挿入するように上方から接近する(
図5a~5c)。
【0178】
回転により、第1の内側面領域の一連の異なる直線部分は、少なくとも伝播面8において、マトリクスカメラ5の被写界深度に連続的に配置される。
【0179】
取得システムは、内側面の直線部分をリニアレーザビームで照明するステップと、それぞれの内側面直線部分を含むそれぞれの内側面部分のそれぞれのマトリクス画像を取得し、このマトリクス画像は、マトリクスカメラ5のアングルから見た、それぞれの直線面部分によって反射されたレーザ線を含むステップと、それぞれの反射レーザ線を特定するためにマトリクス画像を処理するステップと、直線面部分の高さ輪郭に関する情報を含む直線面部分のそれぞれの3次元画像を取得するために、三角測量によってそれぞれの反射レーザ線を処理するステップとを連続的に繰り返すために、回転中に連続して動作する。
【0180】
このように、第1の内側面領域の上記の一連の異なる直線部分のそれぞれの一連の3次元画像が取得され、続いて、取得した一連の3次元画像を組み合わせることで、第1の内側面領域の完全な3次元画像が得られる。
【0181】
3次元画像の取得速度を上げるために、例えば、反射レーザ線に実質的に直角な方向に沿ったピクセル数が200ピクセル以下であるように、マトリクス画像自体において、反射レーザ線に実質的に垂直な方向に沿って、取得したマトリクス画像を切り取るようにすることが好ましい。
【0182】
図5aに概略的に示すように、好ましくは、第1の領域は、上側ショルダ部104の内側面の円周領域である。なお、「第1の領域」、「第2の領域」、および「第3の領域」という表現は、必ずしも対応する時系列を示唆するわけではない。
【0183】
好ましくは、同じ装置1を用いて、上記の作業を繰り返し、上側サイドウォール105の(第2の)円周内側面領域の完全な3次元画像を取得することが企図される(
図5b)。
【0184】
好ましくは、同じ装置1を用いて、上記の作業を繰り返し、上側ビード部106の(第3の)円周内側面領域の完全な3次元画像を取得することが企図される(
図5c)。
【0185】
上記から、本発明の装置は、ロボットアームを用いた装置の適切な移動(並進および/または傾転)後に、ショルダ部の内側面およびサイドウォールの内側面の両方の、さらにはビード部の内側面の画像を取得するのに特に融通が利くのは明らかである。
【0186】
図7は、レーザ伝播軸の第1および第2の部分によって、ならびに/またはカメラ光軸の第1および第2の部分によって形成されたそれぞれの角度107が直角である取得システム200を概略的に示している。
【0187】
この場合に、ショルダ部104の3D画像を取得するために、反射要素は、上記の装置1が行うことに対応して内側面により接近して配置され、その結果、衝突のリスクが増大する。
【0188】
原理的に、例えば、
図7を参照して、取得システム200を反時計方向にさらに回転させて、レーザの伝播軸および/またはカメラの光軸をタイヤの中心線平面に対してさらに傾けることで、取得システム200の反射面を半径上で後方に維持することも可能である。しかし、そのようなさらなる回転は、例えば、上側ビード部106への衝突を回避するために、取得システム200に付加的な構造上および/または動作上の制限をもたらす。
【0189】
最後に、取得システム200は、上記の取得システム1に関連して、または移動システムに合わせた特定の構造および/特定の連結に応じて、反射要素と、カメラおよび/またはレーザとの間の間隔をより広くすることを必要とすることがある。
【0190】
取得システム200はまた、上側ビード部106の画像を取得するのに使用される場合に、取得されるビード部とは正反対の上側および/または下側ビード部と取得システム自体との衝突を回避するために、前記装置1に対するより大きな制限をもたらす。