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特許6998330針引込みがスライド作動式の血液採取管ホルダー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】針引込みがスライド作動式の血液採取管ホルダー
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/154 20060101AFI20220111BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61B5/154 200
A61M5/32 510H
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018568872
(86)(22)【出願日】2017-06-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 US2017037839
(87)【国際公開番号】W WO2018009329
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-04-10
(31)【優先権主張番号】15/202,179
(32)【優先日】2016-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513066638
【氏名又は名称】リトラクタブル テクノロジーズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Retractable Technologies, Inc.
【住所又は居所原語表記】511 Lobo Lane Little Elm, TX 75068, U.S.A.
(73)【特許権者】
【識別番号】508328486
【氏名又は名称】ショー,トーマス ジェイ.
【氏名又は名称原語表記】SHAW,Thomas J.
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショー,トーマス,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スモール,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,ニ
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0073303(US,A1)
【文献】特開2003-265609(JP,A)
【文献】国際公開第2005/087102(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/154
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後向き流体排出針、及び前記流体排出針から横方向に間隔を存して配置された針引込みチャンバーを含む本体と、
前記本体に関して横方向にスライド可能に配備され、針引込み機構を有する前部アタッチメントと、を具える血液採取管ホルダーあって、
前記針引込み機構は、前方に突出する静脈穿刺針を具え、前記静脈穿刺針は、前記前部アタッチメントが前記本体に関して第1の位置にあるときに前記流体排出と同軸線上に整列可能であり、前記静脈穿刺針は、前記前部アタッチメントが前記本体に関して横方向に再配置された第2の位置にあるときに前記針引込みチャンバーと同軸線上に整列可能であって、前記針引込みチャンバーの中に引込み可能であ、血液採取管ホルダー。
【請求項2】
前記本体から後方に突出する略円筒形容器をさらに含み、前記略円筒形容器は、血液採取管を受け入れて支持することができるように構成されている、請求項1の血液採取管ホルダー。
【請求項3】
前記静脈穿刺針と前記流体排出針との間に配備されたフラッシュチャンバーをさらに含む、請求項1の血液採取管ホルダー。
【請求項4】
前記針引込み機構は、前部アタッチメントの内側に着座された針引込みアッセンブリである、請求項1の血液採取管ホルダー。
【請求項5】
前記針引込みアッセンブリは、前記前部アタッチメントに関して後方に付勢された針ホルダーを含む、請求項4の血液採取管ホルダー。
【請求項6】
前記静脈穿刺針は、前記針ホルダーと流体連通するように配備される、請求項5の血液採取管ホルダー。
【請求項7】
前記流体排出針は、前記本体に固定して着座される、請求項1の血液採取管ホルダー。
【請求項8】
前記静脈穿刺針は、前部アタッチメントに関して選択的に引込み可能である、請求項1の血液採取管ホルダー。
【請求項9】
前記流体排出針は、前記血液採取管と流体連通するように、前記血液採取管に挿入可能に構成される、請求項2の血液採取管ホルダー。
【請求項10】
前記略円筒形容器は、前記本体に取付けが可能である、請求項2の血液採取管ホルダー。
【請求項11】
前記略円筒形容器は、前記本体に螺合可能に係合する、請求項10の血液採取管ホルダー。
【請求項12】
前記針引込みチャンバーは、前向き開口を有する、請求項1の血液採取管ホルダー。
【請求項13】
前記針引込みチャンバーは、前記略円筒形容器と共通の壁を有し、前記本体の一部として成型される、請求項2の血液採取管ホルダー。
【請求項14】
前記前部アタッチメントは後向き表面を有し、前記本体は前向き表面を有し、前記前部アタッチメントは、前記前部アタッチメントの後向き表面が、前記流体排出針と実質的に直交する方向に、前記本体の前向き表面に沿って、少なくとも前記流体排出針から前記針引込みチャンバーまで、前記本体にスライド可能に係合する、請求項1の血液採取管ホルダー。
【請求項15】
前記前部アタッチメントと前記本体との間での相対的スライド移動は、前記前部アタッチメント及び前記本体に対して、指で反対方向の圧力を加えることによって開始される、請求項14の血液採取管ホルダー。
【請求項16】
前記反対方向の圧力は、前記前部アタッチメント及び前記本体にそれぞれ配置された対向するタッチパッドに加えられる、請求項15の血液採取管ホルダー。
【請求項17】
前記静脈穿刺針の少なくとも一部分が前記針引込みチャンバーの中へ引き込まれる前に、前記前部アタッチメントと前記本体との間の相対的スライド移動を機械的に妨げるために、前記前部アタッチメントと前記本体との間に配備され、少なくとも1つの干渉要素をさらに含む、請求項1の血液採取管ホルダー。
【請求項18】
前記相対的スライド移動は、前記干渉要素に対し、手操作にて過剰の圧力を加えることによって開始する、請求項17の血液採取管ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2012年12月14日に出願された米国仮特許出願第61/737,263号及び2013年6月19日に出願された米国仮特許出願第61/836,723号の優先権を主張して2013年9月6日に出願された米国特許出願第14/020,465号の一部継続出願であり、前記第14/020,465号出願は、2012年12月14日に出願された第13/714,819号(2015年9月22日に米国特許第9,138,545号として発行)の一部継続出願である。
【0002】
<発明の分野>
本発明は、体液試料、特に血液などの血管内流体試料の採取及び収集に使用することができるよう構成された医療機器である。本発明の一態様は、2本の針を含む流体採取管ホルダーに関するもので、前記2本の針は、長手方向に分離されて向かい合っており、好ましくは同軸線上に整列可能である。一方の針は、前方を向いて、患者への挿入に適している。他方の針は後方を向いて、体液採取管への挿入に適しており、好ましくはその中に排出される(evacuated)。なお、前方を向いた針の先端が、針の中を体液が流れる位置にあることを使用者に警告するために、2本の針の間に、フラッシュチャンバーを配備することが好ましいが、これは必ずしも設ける必要はない。
【0003】
本発明の他の態様は、スライド作動式の針引込み(needle retraction)が、装置の両側に指の圧力を同時に作用させることによって選択的に開始される血液採取管ホルダー(blood collection tube holder)であり、本発明は、本体と前部アタッチメントが対向すると面との間にスライド面(sliding interface)を含み、該スライド面は、装置内を通る流体流れ方向を横断する。
【0004】
本発明の別の態様は、本体と、本体と横方向にスライド係合(sliding engagement)するように配置された前部アタッチメントと、本体及び前部アタッチメントの中で、反対方向で同軸線上に揃うように着座される2本の針と、本体を通る流体流れ経路から横方向にオフセットした本体内の位置にある針引込みチャンバーと、を有する医療装置である。流体試料を採取した後、使用者は、本体と前部アタッチメントとの境界面(interface)に沿って、元の流体流路を横切る方向に、相対的スライド移動(relative sliding movement)を開始させる。この動きによって、前向きの針は針引込みチャンバーと再び一直線上に整列し、その結果、前向きの針が針引込みチャンバーの中に引き込まれるので、前記針の先端は露出しなくなり、針が偶発的に突き刺さって傷がついたり、流体に運ばれた病原体で汚染される可能性は低減される。針の後退は、任意選択的に、前方に突出した針を患者から引き抜く前後において、また、流体採取管(静脈穿刺処置中にしばしば使用されるVacutainer(登録商標)などの血液採取管)を患者の静脈から引き抜く前後において行われることができる。
【0005】
本発明の別の態様において、本体の前部アタッチメントに対する横方向への再配置を行うのが時期尚早とならないようにするのに有用な任意選択的構造についても開示する。そのような構造の例として、限定するものでないが、ロック式キャップを挙げることができる。前記ロック式キャップは、本体に係合するか、又は、装置の本体に関する前部アタッチメントの横方向への早すぎる移動を制限する他のバリアに係合する。なお、前記バリアは、破断可能、破損可能、破壊可能、摩擦係合可能、又は選択的に変位可能な物理的バリアである。
【背景技術】
【0006】
<関連技術の説明>
米国特許第5,810,775号及び再発行特許第39,107号は、1本の両頭針を有する血液採取管ホルダーなどの医療装置であって、前記両頭針が、使用後に、管ホルダーの円筒形本体の中に引き込み可能な医療装置を開示している。この特許では、流体採取管を取り外してヒンジ付きキャップを閉じると、同軸上に揃えられた内側スリーブが前方に移動して、後方に付勢された針が解放されて、針の後退が開始する。
【0007】
米国意匠特許第645962号及び米国意匠特許第660420号は、体液採取装置のハウジングに関するもので、前方に延びる円筒形ノーズを有する略円筒形部と、開放後端部と、前記円筒形部の各側部に配置された長手方向に延びる複数のリブとを含むハウジングを開示しており、細長いアームが、管ホルダーの上向きスロットの上でハウジングの後部近傍に回動可能に取り付けられている。
【0008】
米国特許第8,496,600号は、再使用が不可能な血液等の体液採取装置を開示しており、前記装置は、米国特意匠許第645962号と同様に構成されたハウジングを有し、後方に付勢された1本の両頭針が、回転可能に取り付けられたラグリングにより、針の引込み前は拘束されている。装置の本体に回動可能に取り付けられたトリガを押圧して、ラグリングに接触して回転させると、針は、引込み中に解放され、その後、前記トリガが、ハウジングを通る中央の長手方向軸と交差する角度に配置されている間、針ホルダーが、トリガの内部に設けられた引込みキャビティの中に駆動される。
【0009】
米国特許第9,247,899号は、米国特許第8,496,600号の装置と形態及び機能が同様な1本の引込み可能な両頭針を有する血液採取装置を開示している。なお、前記米国特許第8,496,600号の装置と異なる点は、保持クリップが下向きに付勢された両頭針を保持していることであり、アクチュエータ(’600特許のトリガと同様のもの)の前部が下向きに回動すると、針ホルダーが保持クリップから解放され、その後、圧縮ばねが拡張して、針ホルダーは、ハウジングを通る中央の長手方向軸と交差する角度に配置されているアクチュエータ内部の引込みキャビティの中へ挿入される。
【0010】
米国特許第8,469,927号に開示されたアクチュエータは、ハウジングに対して移動するが、後向き針を有さず、ハウジング内に挿入可能な流体採取管と共に使用するものでない。
【発明の概要】
【0011】
<発明の要旨>
本発明の医療装置は、前方に突出する静脈穿刺針と、血液採取管に挿入するのに適した後向きの第2の針を含む流体採取管ホルダーと、使用後に前記前方突出針の針先を安全にするように構成された針引込み機構と、前記前方突出針と横方向にオフセットした位置にある針引込みチャンバーと、を含み、前記針引込みチャンバーが、使用後、前記前方突出針と同軸上に揃う位置に横方向に移動可能であり、2つの前記針の間の流体流れ経路を遮断し、前記前向き針の前記針引込みチャンバーへの引込みを開始させることができる。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、本発明の医療装置は、少なくとも2つの前向き開口を有する本体をさらに含み、一方の開口が、本体の内側に着座した後向き針と同軸に整列するボアへの開口であり、他方の開口は、本体から後方を向いた細長い針引込みチャンバーの前端部へのアクセスとなる開口である。一実施形態において、針引込みチャンバーへの開口は、装置の使用前に前方に突出する針の上に配備されたロック式針キャップの後方の突出するロック式ラグと係合可能である。任意選択的に、別の実施形態において、本体は、前述したように、装置の使用前に前方に突出する針の上に配備されたロック式針キャップの後方の突出するロック式ラグを受けるように構成された2つの前向き開口の間に位置する第3の前向き開口の後方に突出するロック式ラグと係合可能である。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、本発明の医療装置は、後方に付勢され前方に突出する針を有する前部アタッチメントを含み、前記針は、装置の組立て中、本体に着座された後向き針と同軸上に整列可能な前部アタッチメントの段付きボアの内部に配備された針引込み機構によって支持される。前部アタッチメントは、好ましくは、本体とスライド可能に係合して、本体の前向き表面と前部アタッチメントの後向き表面との間にスライド面を形成する。前記スライド面は、前方向突出針と後向き針が同軸上に整列しているとき、これらの針を通る流体流れ経路に対して略横方向の面に沿っている。このような構成において、使用者が、本体と前部アタッチメントとの間で横断面内の相対的なスライド移動を、選択的に開始することができ、針引込みチャンバーを、前部アタッチメント及び前方突出針に対して再配置することができる。
【0014】
針の後退は、好ましくは、本体と前部アタッチメントの略対向する接触面にそれぞれ反対方向の圧力を加えることによって行われ、針引込みキャビティの中の開口が後向き針の後部と実質的に同軸上に再配置される。前方突出針が患者の中に挿入されていない時はいつでも、本体及び前方突出針の何れか一方又は両方は、指圧を各々の接触面に作用させることにより他方に関してスライドすることができるが、前方突出針が後退中に患者の中にまだ挿入されている時はいつでも、本体が前部アタッチメントに対して横方向にスライド移動することが望ましい。これは、針引込みチャンバーの前向き開口を前向き針の後端部の方にスライドさせて前記後端部と同軸上に整列させるのに十分な反対方向の力を本体にタッチパッドに作用させた状態で、前部アタッチメントのタッチパッドに抵抗力だけを加えることによって行われる。前方突出針を患者から直接後退させ引っ込めることにより、使用者は、針から血液を滴下したり飛散させる可能性を低減させることができ、また、最初に前向き針を患者から引き抜いて、次いで後退を開示させる場合と比べて、血液媒介病原体を広めるリスクを低減することができる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、本発明の医療装置の本体は、後向き針と同軸上に整列するよう配備された略円筒形の流体採取管ホルダーと、前記流体採取管ホルダーから横方向にオフセットした位置にあり、前記後向き針を通る流体流れ経路と実質的に平行な長手方向軸を有する一体成形された針引込みチャンバーと、を含み得る。本発明の別の実施形態によれば、本発明の医療装置の本体は、略円筒形の流体採取管ホルダーと共通の壁を有する一体成形された針引込みキャビティを含む。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、本発明の医療装置の本体は、後向き針引込みチャンバーと、横方向に間隔を有するねじ式コネクタ等のアタッチメント構造とを含む。前記アタッチメントは、従来の流体採取管を受け入れて支持し、協働作用が可能なサイズに構成された後向き開口を有する略円筒形の流体採取管のねじ式コネクタと協働して係合可能であり、この流体採取管のねじ式コネクタは、前記アタッチメントと同様な構造であるが、反対方向の向きである。なお、当該分野の専門家であれば、この開示を読むことにより、この本発明の装置の前方突出針及び後向き針の中を通る流体流れ経路と流体連通する流体採取管ホルダーを受け入れて支持する他の同様に有効な手段を、ここに開示した発明の範囲内で用いられることは、明らかであろう。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、本発明の医療装置の本体は、本体及び前部アタッチメント間の相対的摺動移動に抵抗する干渉要素を含むことができ、前記干渉要素は、ロック式針キャップが取り除かれた時、本体又は前部アタッチメントが誤って又は偶発的に横方向にずれて、前向き針が早期に後退する位置へ移動するのを十分に防止し得る抵抗力をもたらす。干渉要素は、例えば、前部アタッチメントの一部と接触する位置で本体の前向き表面から外方向へ突出する小さな突出部又は突起であって、本体及び前部アタッチメントのタッチパッドに対して前記抵抗を超える圧力を加えて、針の引込みが起こる位置への移動を可能にするのに十分な圧力が加えられるまで、前記位置にて、相対的スライド移動に対して針の早期引込みを回避し得る十分な抵抗をもたらすことができる。干渉要素の他の例は、弱接続構造又は小架橋部材であってよく、これは、切断、分断、破断、破裂、引裂、摩擦低下による離脱のように、本体及び前部アタッチメント間での針引込みを可能にする相対的なスライド移動ができなくなるまで、本体及び前部アタッチメントを、前方突出針が後向き針と同軸線上に整列する相対的位置で保持する。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、本体が実質的に透明なポリマー材料から成形されるとき、前方突出針と後向き針との間にフラッシュチャンバーを任意選択的に設けることができ、針と針との間の流体の存在を視覚的に確認して、前向き針の先端が患者の体から流体の流れを受けるのに適当な位置にあることを使用者に知らせることができる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、本発明の医療装置の本体は、好ましくは、血液採取管を受け入れて支持するように構成され、後向き針と横方向にオフセットされた針引込みキャビティをさらに具えている。前部アタッチメントは、好ましくは、前向き針と針引込み機構とを含む。使用中、前向き針と後向き針は、患者から血液採取管への流体流れ経路の形成に際して、同軸線上に整列されて協働することが好ましい。使用後は、装置の本体を前部アタッチメントに対して横方向に移動させて、前向き針を針引込みキャビティと同軸線上に揃うように再配置して、前向き針による本体の針引込みキャビティ内へ後退を開始させて、前向き針の先端が前部アタッチメントの前向き開口から出て前方に突出するのを十分に防止する。
【0020】
本発明の一実施形態は、体液の試料を採取するのに有用な流体採取管ホルダーに関し、前記管ホルダーは、好ましくは、流体採取管に着脱可能で係合可能な本体と、前記本体と横方向にスライド係合に配置された前部アタッチメントと、前記本体から後方に面する第1の針と、前記前部アタッチメントから前方に突出する第2の針と、を具え、前記第1の針と前記第2の針は、本体及び前部アタッチメントと協働作用して、流体源から、前記本体に係合するよう動作可能な流体採取管への流体流れ経路を形成する。本発明の別の実施形態は、流体採取管を受け入れて支持するように構成された本体を有する流体採取管ホルダーを含み、前記本体は、本体を通って流体採取管への流体流れ経路から横方向にオフセットした位置に前向き開口を有する針引込みチャンバーと、流体採取管ホルダー及び針引込みチャンバーとの間に配置された共通の壁と、を有する。
【0021】
本発明の別の実施形態は、2本の針が同軸線上に対向するように配置された流体採取管ホルダーに関するもので、1本の針は本体内に配置された引込み不能な針であり、1本の針は前部アタッチメントの中に配置された引込み可能な針であり、前記引込み可能な針は、同軸線上に揃えられた針を通る流体流れ方向を横切る方向に、横方向へのスライド移動を円滑にするスライド面に沿って、本体にスライド可能で係合可能である。本発明の医療装置の使用中、本体と前部アタッチメントは、好ましくは、協働作用可能で同一線上に整列可能であり、前記装置を通る略直線状の流体流れ経路を形成する。装置を使用し、流体採取管を取り外した後、管ホルダーの本体全体が、前部アタッチメントに関して横方向に移動され、本体の中に配置された引込み不能な針から平行にオフセットした位置にある針引込みチャンバーの中へ、針引込みが開始する。
【0022】
本発明の別の実施形態は、2本の分離した針を有する医療装置に関するもので、本体内に着座され後向きの先端を有する第1の針と、前部アタッチメントの中着座され前向きの先端を有する第2の針と、を含む。本発明の別の実施形態は、前向き針と、後向き針と、前記2本の針の間に配置されたフラッシュチャンバーを有する医療装置に関する。
【0023】
この出願の発明の要旨の項目の中には、発明の分野の項目の中で記載した説明も組み入れられる。本発明のこれら及び他の特徴、目的及び利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を図面と共に鑑みることにより、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明のシステム及び方法について、以下の図面に関連してさらに記載し、説明する。
図1図1は、本発明の一実施形態の医療装置を上から見た正面斜視図である。
図2図2は、図1の医療装置を上から見た正面斜視図の分解図であり、図1には示されていないロック式針キャップも示されている。
図3図3は、図1の医療装置の平面図であり、医療装置の中に、血液の試料採取に使用するための流体採取管が挿入されている。
図4図4は、図5の4-4線に沿う断面平面図である。
図5図5は、図3の医療装置の右側面図である。
図6図6は、図3の医療装置の平面図であり、本体を前部アタッチメントに関して横方向に再配置して針を後退させた後で、流体採取管を本発明の医療装置の本体から引き抜く前の状態を示す。
図7図7は、図6の医療装置について、図9の7-7線に沿う断面平面図である。
図8図8は、図1の医療装置の正面斜視図であり、本体を前部アタッチメントに関して横方向に再配置して針を後退させた後、図3~7及び9で示される流体採取管を、本発明の医療装置の本体から引き抜いた後の状態を示す。
図9図9は、図5と同様の医療装置の右側面図であり、本体を前部アタッチメントに関して横方向に再配置して針を後退させた後で、流体採取管を本発明の医療装置の本体から引き抜く前の状態を示す。
図10】本発明の別の実施形態の医療装置を上から見た正面斜視図である。
図11図11は、図10の医療装置を上から見た正面斜視図であり、本体を前部アタッチメントに関して横方向に再配置して針を後退させた後の状態を示す。
図12図12は、図10の医療装置を上から見た正面斜視図の分解図であり、図10には示されていないロック式針キャップも示されている。
図13図13は、図10の医療装置に図12のロック式針キャップが取り付けられた医療装置の正面図である。
図14図14は、図10の14-14線に沿う横断面を90度回転させた図である。
図15図15は、図10の医療装置の正面図であり、本体を前部アタッチメントに関して横方向に再配置して針を後退させた後の状態を示す
図16図16は、図15の16-16線に沿う横断面を90度回転させた図である。
図17図17は、本発明の医療装置の他の実施形態(ロック式針キャップが前方突出針の上に配備されている)であり、図示の本体は、別個の流体採取管ホルダーに接続されている。
図18図18は、図17の医療装置を上から見た正面斜視図の分解図であり、流体採取管ホルダーが示されていない。
図19図19は、図17の医療装置の横断面平面図であり、流体採取管ホルダーに接続された本体を示している。
図20図20は、図19の医療装置であり、ロック式針キャップを取り除いた後、本体を前部アタッチメントに関して横方向に再配置して、前方突出針を後退させた状態を示す。
図21図21は、図17の医療装置を上から見た正面斜視図である。
図22図22は、本発明の医療装置の他の実施形態の平面図であり、本体を前部アタッチメントに関して誤って横方向に再配置する可能性を低減するために、摩擦要素が設けられている。
図23図23は、図22の一部を拡大して詳細に示す図である。
図24図24は、本発明の医療装置の他の実施形態の平面図であり、本体を前部アタッチメントに関して誤って横方向に再配置する可能性を低減するために、本体と前部アタッチメントとの間に、破損可能又は切断可能なリンクが設けられている。
図25図25は、図24の一部を拡大して詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<詳細な説明>
図1図9を参照すると、血液採取管ホルダー22として構成された体液試料採取装置は、好ましくは、本体30と前部アタッチメント32とを含み、前記前部アタッチメントは、本体30が前部アタッチメントに対して横方向にスライドすることができるようにスライド可能に係合される。本体30は、内部ボア58を有する略円筒形容器40を含み、前記内部ボアは、フランジ42によって囲まれた後向き開口(図では見えない)を通じて流体貯留管(図3図7に見える)を受けるのに十分に大きな直径を有する。針引込みチャンバー38は、本体30のボア58から横方向に離間し、1つの開端部と1つの閉端部とを有する。針引込みチャンバー38はまた、細長い円筒ボア36を含み、前記円筒ボアには前向き開口34を通じてアクセスされる。この実施形態では、略円筒形容器40と針引込みチャンバー38は、適当なポリマー材料で一体成形され、図7に最も良く示されるように、共通の壁67を有する。しかしながら、容器40と針引込みチャンバー38の長手方向に延びる側壁は、横方向に離間しており、共通の壁を有しないことは理解されるべきである。本体30の前部は、略円筒形カラー60を含み、前記略円筒形カラーは、前部アタッチメント32に対する本体30の横方向のスライド移動を容易にするために、前部アタッチメント32の上部レール54及び下部レール56を夫々受け入れて支持するように構成された上部スロット78及び下部スロット78を有する。
【0026】
前部アタッチメント32は、針引込みチャンバーと反対の側に横方向外向きの指タッチパッド44をさらに含む。ノーズ46は、前部アタッチメント32の摺動可能に係合された部分から前方に突出し、長手方向に延びる複数のリブ48が円周方向に間隔をあけて配備されており、例えば、図2及び図4に示される取外し可能な針キャップ26と摩擦係合する。図1に示されるように、先端が斜面の針先52を有する静脈穿刺針50が、ノーズ46から前方に突出している。静脈穿刺針50は、好ましくは、針ホルダー68によって支持され、前記針ホルダーは、図1では、前方に延びる先端62が示されている。
【0027】
図2を参照すると、図1では見えない追加の構造要素が示されている。取外し可能な針キャップ26は、ロッキングアーム64をさらに含み、前記ロッキングアームは、径方向外向きに突出し、針キャップ26、前部アタッチメント32及び本体30の全てが図3に示される組み立てられた状態のとき、後方に延びる先端が、本体30の開口34の中に挿入可能である。この位置にあるとき、ロッキングアーム64は、使用前の出荷及び保管中、本体30と前部アタッチメント32との互いの位置ずれを防止する。再び図2を参照すると、前部アタッチメント32を本体40に取り付ける前に、針ホルダー68及び圧縮ばね66を含む針引込み機構を前部アタッチメント32のノーズ46の内側に着座させるのが望ましい。圧縮ばね66の内径は、針50を超えて針ホルダー68の細長いシャフト部の上をスライドさせることができる大きさである。針ホルダーはまた、大径ヘッド70を有しており、圧縮ばね66の前向き端部がノーズ46の内側に着座するとき、前記大径ヘッドは、圧縮ばね66の後向き端部に当接して針を圧縮状態に保持する前向き環状表面を提供する
【0028】
流体シール72は、本体30の前面37の開口34から横方向に離間した円筒形凹部35の内側に着座することが好ましい。前面37は、レール54、56の間に配置された前部アタッチメント32の後向き表面(図2では見えない)と協働作用して、静脈穿刺針50及び流体排出針74を横切る前部アタッチメント32と本体30との間に別のスライド面を提供する。本発明の満足のいく実施形態によれば、静脈穿刺針50、ホルダー68の中を通る長手方向のボア、流体シール72の中を通る軸方向ボア、及び流体排出針74は全てが、同軸線上に揃えられることができ、体液の採取中に血液採取管ホルダー22を通る連続的な流体流れ経路を形成することができる。流体排出針74の前方に延びる端部は、流体シール72のすぐ後ろに着座することが望ましく、流体排出針74が流体採取管のストッパーの中に挿入されていないときはいつでも可撓性シース76によって被覆される。流体採取管を容器40から取り外すと、可撓性シース76は再び拡張し、好ましくは、患者から管ホルダー22の中にトラップされたあらゆる血液若しくは他の体液、又はまだ管ホルダー22の中へ流れているあらゆる血液又は他の体液を保持する。
【0029】
図3及び図4を参照すると、血液採取管24などの体液採取管(典型的には1つの閉端部27及び1つの端部ストッパー90を有する)が本体30の容器40の後部開口に挿入されるときはいつでも、流体排出針74がストッパー90に接触して、穴をあける。これにより、可撓性シース76は崩壊して、図4に示される位置まで移動する。ロック式針キャップ26を取り外し、静脈穿刺針50を患者に挿入した後、血液は、針50、流体シール72及び流体排出針74を通り、血液採取管24の中の真空容器25に流れ込むことができる。管24の中に試料を集めた後、管を取り外すと共に、別の試料を採取するために別の管を挿入することができる。さらなる流体試料が必要でない場合、本体30は、患者から静脈穿刺針50を取り外さずに、試料採取位置から針引込み位置に移動させることができる。このため、針引込み機構のばね66は、静脈穿刺針50を患者の血管系から引き抜く前に、針ホルダー68及び針50を針引込みキャビティの中に後退させるのに十分な強度を有することが好ましい。この使用方法は、偶発的な針の突刺し及び血液媒介病原体の広がりの可能性を低減するために好ましいが、本体30及び前部アタッチメント32の2つの要素間に形成されたスライド面に沿って、前記2つの要素の一方が他方に対して相対移動する前に、静脈穿刺針50を患者から取り除くこともできる。
【0030】
本体30及び前部アタッチメント32は、両者の間に形成された横方向のスライド面に沿った互いに相対移動する場合、その移動は、前部アタッチメント32のタッチパッド44又は本体30の針引込みチャンバー38の外向き壁の前部に対して、手操作で反対方向の圧力又は指圧を作用させることによって行われることが好ましい。静脈穿刺針50がまだ患者の体内に挿入されている場合、針が後退する前に、患者の静脈に挿入されている静脈穿刺針先端52が移動しないように、手操作により、針引込みチャンバー38の外壁に圧力を作用させて、前部アタッチメント32の指タッチパッド44に抵抗圧力だけが加えられるようにすることが望ましい。
【0031】
図1図9を参照すると、管ホルダー22の使用後、本体30が前部アタッチメント32に関して横方向に移動すると、静脈穿刺針50は、針引込み機構により、第1の位置から横方向に第2の位置へ運ばれる。ここで、第1の位置は、針50が流体シール72及び流体排出針74と同軸上に揃う位置であり、第2の位置は、針50が、針引込みチャンバー38のボア36の前向き開口と同軸上に揃う位置である。横方向への移動中、後方に延びる針ホルダーヘッド70は、ばね66によって付勢され、本体の前面37と当接する。開口34の直径が針ホルダーヘッド70の外径よりも大きいので(図2)、静脈穿刺針50と針ホルダー68が針引込みチャンバー38のボア36と同軸線上に整列すると、ばね66はさらに伸張し、針ホルダー68及び静脈穿刺針50を上向きに駆動して針引込みチャンバー38の中に移動させるので、針50の先端が前部アタッチメント32のノーズ46から前方へ突出することはなく、針が偶発的に突き刺さることはないので、装置は「安全」である。同様に、血液採取管24を容器40からの取り外すときに流体排出針74は、可撓性シース76が拡張することによって再び被覆されるので、病原体に汚染された血液が、容器40の後向き端部の開口を通じて接触することはない。
【0032】
本体30と前部アタッチメント32は両方とも、所望される用途に適した成型可能なポリマー材料から成型されるのが望ましい。流体シール72は、使用中の漏れを防ぐのに必要な膨張と収縮が達成されるように、エラストマーポリマーから作られることが望ましい。また、使用中又は使用後の流体の漏れの防止を補助するために、必要に応じて、追加のシール要素を開口35の周りに配置することができる。静脈穿刺針50は、例えば、接着剤、又は紫外線若しくは他の放射線下で急速に硬化する他の接着剤の使用などの任意の既知の手段によって、針ホルダー68の内側に固定されることが望ましい。流体排出針74は、本体30を通る流体流れ経路内の適所に保持されることが望ましく、前記保持は、接着剤又は他の接着剤組成物により、或いは、本体30又は流体シール72との摩擦係合により、或いは、本発明の他の実施形態に関して以下で詳細に説明する追加の着座要素を用いることによって行うことができる。
【0033】
図10図16を参照すると、血液採取管ホルダー100として構成された体液試料採取装置は、本体102と前部アタッチメント104とを含み、前記前部アタッチメントは、本体102が、同軸線上に整列可能な静脈穿刺針124及び流体排出針150を横切る方向の少なくとも1つのスライド面に沿って、前部アタッチメント104に対して横方向にスライドすることができるようにスライド可能に係合される。静脈穿刺針124は、長手方向ボア123を有する針ホルダー122によって保持され、使用前及び使用中に前部アタッチメント104のノーズ120から前方に突出する。ロック式針キャップ130(図12図14)は、好ましくは、使用前に静脈穿刺針124を被覆するもので、アタッチメントカラー136の内側と、ノーズ120の周りにて円周方向に間隔をあけて配備された長手方向に延びる複数のリブ126との間の摩擦係合により、前部アタッチメント104に対して着脱可能に取り付けられる。この実施形態では、ロック式針キャップ130のロッキングアーム132は、追加された前向き小径開口134によって画定される凹部と着脱可能に係合可能となるように構成され配置される。なお、前記小径開口は、針引込みチャンバー108の中の楕円形開口114と、本体102の円筒形容器106の前壁154の中にある大径開口156との間にある。
【0034】
発明のこの実施形態において、針引込み機構は、針ホルダー122と圧縮ばね140とを含み、好ましくは、図1~9の実施形態に関して説明した前部アタッチメント104の内側に着座し、同軸の流体通路143を含むエラストマー流体シール142が、本体102と前部アタッチメント104との間に配置されている。図12及び14を参照すると、流体シール142は、アタッチメント要素148内側の開口144に配備され、前記アタッチメント要素は、流体排出針150と可撓性シース152の基部153を支持し着座させる。血液採取管ホルダー100を組み立てる間、アタッチメント要素148(流体排出針150及び可撓性シースが既に取り付けられている)は、摩擦係合により、又は、必要に応じて適当な接着剤を使用することにより、大径開口156の内部に都合良く挿入され着座される。次に、前部アタッチメント104は、本体102の内部に着座されたアタッチメント要素148に対して着脱可能であり、上部及び下部係合アーム146が前部アタッチメント104の本体116の後方に面する側に配置された少なくとも1つの横方向に延びる支持レールにスライド可能に係合するようにしている。同様に、本体102の後側は、好ましくは、本体102の上面、下面又は前向き面112とスライド可能に係合する横方向に延びるスライド面を含み、前部アタッチメント104と本体102との間の少なくとも1つのスライド面に沿って、前部アタッチメント104の本体102に対する横方向のスライド可能な係合を容易にする。
【0035】
図12図14を参照すると、前向きの楕円形開口114は、開口114と針引込みチャンバー108内の針引込みキャビティ113の残部との間に連通する傾斜部162を含む。本体102が前部アタッチメント104の面を横切って横方向に移動して、所定の流体試料を引き出した後の針引込み工程中に、針ホルダー122及び静脈穿刺針124が、流体シール142及び流体排出針150が同軸上に揃わない位置に達したとき、傾斜部162は、針ホルダー122及びばね140を針引込みキャビティ113への移動を開始するガイドして作用する。なお、図1~9の実施形態に関して既に説明したように、ロック式針キャップ130がまだ所定位置にあり、傾斜部162が完全に見える位置にあって、本体102が前部アタッチメント104に対して横方向に移動していないため、図13は、試料が引き出される前の血液採取管ホルダー100を示していることに留意されるべきである。
【0036】
図15図16を参照すると、本体102は、タッチパッド118及び針引込みチャンバー113の外壁に対して、手操作で反対方向の圧力を加えることによって前部アタッチメント104に対して再配置される。再配置を行うのは、フランジ110の後向き開口を通って円筒形容器106の内部165から体液採取管(血液等の体液を採取するのに用いられる)を取り除く前でも後でもよいが、この再配置が行われると、静脈穿刺針124はもはや流体排出針150と同軸線上に整列されず、流体シール142及び流体排出針150を通る静脈穿刺針124の流体流れ経路は、前部アタッチメント104の本体116によって塞がれる。図16に示されるように、次に、ばね140が拡張して、針ホルダー122及び少なくとも静脈穿刺針124の主要部を、針引込みチャンバー108内の針引込みキャビティ113内に押し込むので、針124のどの部分もノーズ120から前方に突出することはなく、針が偶発的に突き刺さることはないので、装置は「安全」であり、また、病原体の汚染や病気の広がりなどの危険性もない。
【0037】
図17図21を参照すると、血液採取管ホルダー200として構成された体液採取装置は、好ましくは、本体202と前部アタッチメント204とを具えており、前記本体及び前部アタッチメントは、同軸線上に整列可能な静脈穿刺針232及び流体排出針225に関して横切る方向の少なくとも1つのスライド面に沿って、本体202が横方向にスライドすることができるように、スライド可能に係合される。本発明のこの実施形態では、体液採取管(図示せず)を受け入れられるように構成された円筒形容器216は、本体202とは別に作られ、本体202の一部として一体に成型されたねじ式コネクタ226によって本体202に対して選択的に取り付けられることができる。ここでは、ねじ接続が示されているが、他の同様に有効なコネクタ構造を本発明の範囲内で使用できることは理解されるべきである。なお、本体202と円筒形管容器216は協働作用する大きさ及び構造であることが好ましいが、その他の例として、限定するものでないが、スナップ式コネクタ又はバヨネット型コネクタであってもよい。ねじ式コネクタ226の後方に配置された先端部228は、シース227が流体排出針225の上に配置されたとき、可撓性シース227を受けて摩擦係合し、前記シースに着座できるように構成されている。
【0038】
図17図19を参照すると、血液採取管ホルダー200は、本体202と、スライド係合可能な前部アタッチメント204と、ロッキングアーム208を有するロック式針キャップ206と、を具える。前部アタッチメント202は、上面205、前向き面207、後向きの上部レール254及び下部レール256をさらに具えており、前記レールは、本体202の上面上及び下面上の協働作用可能なレール250にスライド可能に係合するよう形成された凹部252を画定し、前向き静脈穿刺針232及び同軸線上に整列可能な後向き流体排出針225を通る長手軸を横切るスライド面に沿って、本体202の前部アタッチメント204に対する横方向のスライド移動を容易にする。針引込みアッセンブリは、圧縮ばね230と針ホルダー234とを含み、前述したように、前部アタッチメント204の中に設置されるように構成される。円筒形流体シール236は、前面に、静脈穿刺針232と針ホルダー234との間で流体連通を確立するのに適当な流体経路を含み、後面に、流体送給針225を有する。可撓性シース227は、流体排出針225によって穿刺可能であり、可撓性シース227が流体採取管に挿入されていないとき、流体送給針225を覆うことができる。本体202の前向き表面207内の前向き開口210、220及び224は、開口210が針引込みチャンバー212への前方アクセス、開口220がアーム208をロックするための開口220背後の凹部への前方アクセス、開口224が流体排出針232への前方アクセスを可能にする。
【0039】
本体202は、指タッチパッド245を有する針引込みチャンバー212を含み、前記指タッチパッドは、本体202と前部アタッチメント204との間で横方向のスライド係合を容易にするための上下レール250と協働作用する上下係合アーム222から離間方向側で目視可能である。前部アタッチメント204に関する本体202の再配置は、静脈穿刺針232がまだ患者の中に挿入されているとき、タッチパッド244に対して反対向きの抵抗を手操作で加えながら、タッチパッド245に指で押圧することによって行われる。或いは、針の引込みを開始する前に、静脈穿刺針232を患者から引き抜く場合、本体202に対する前部アタッチメント204の再配置は、針ホルダー234が開口210と同一線上に揃えられて針232の引込みが完了するまで、タッチパッド244、245の両方に反対方向の力を同時に作用させて、本体202及び前部アタッチメントを、その両者のスライド面に沿って反対方向に強く押すことによって行われることができる。
【0040】
図20図21を参照すると、円筒形容器216は、後部フランジ214によって画定された開口と内部容積240を含み、前向きネック部229を有する。前記前向きネック部は、雌ねじを含み、前記雌ねじは、針引込みキャビティ242を含む針引込みチャンバー212に関して横方向に間隔を存して本体202から後方に突出するねじ式雄型コネクタ226と協働作用して係合するように構成される。ねじ式コネクタ226と針引込みキャビティ212との間は、適当な直径の円筒形容器216が配置されることができるように、横方向に十分な間隔を設けることが好ましい。
【0041】
図22及び図23を参照すると、血液採取管ホルダー300の他の実施形態が示されており、前記血液採取管ホルダーは、開端部345を通じてアクセス可能な内部容積340を含む円筒形容器337を有する本体333と、針引込みキャビティ339と、可撓性シース344によって囲まれた後方突出流体排出針338と、を含む。本体333の前向き端部とスライド可能に係合する前部アタッチメント334は、ロック式針キャップ330によって示される位置で保護された前方突出静脈穿刺針332を含む。図23の詳細図を参照すると、血液採取管ホルダー300から取り外された後で、ロック式針キャップ330及びそれに関連するロッキングアームの使用前又は使用中に、本体333と前部アタッチメント334との間で横方向の相対的移動が偶発的に起こる可能性を低減するために、干渉要素335が設けられ、前記干渉要素の形態は、本体333から前方に延びる小さな突起である。干渉要素335は、本体333の一部として成型可能な小突起として示されているが、この開示を読めば、それ以外にも、本体333又は前部アタッチメント334が、偶発的に又は不注意で時期尚早で横方向移動する可能性を低減するために、例えば、破断可能、破損可能、破壊可能、摩擦係合可能又は変位可能な物理的バリアなどの他の同様に有効な構造を使用できることは理解されるであろう。
【0042】
図24及び図25を参照すると、血液採取管ホルダー400の他の実施形態が示されており、前記血液採取管ホルダーは、開端部445を通じてアクセス可能な内部容積440を含む円筒形容器437を有する本体333と、針引込みキャビティ439と、可撓性シース444によって囲まれた後方突出流体排出針438と、を含む。本体433の前向き端部とスライド可能に係合する前部アタッチメント434は、ロック式針キャップ430によって示される位置で保護された前方突出静脈穿刺針432を含む。図25の詳細図を参照すると、本発明のこの実施形態では、小さなフラッシュチャンバー435が、静脈穿刺針432の後向き端部と、流体排出針438の前向き端部との間に設けられている。
【0043】
当該分野の専門家であれば、本明細書を添付の図面に関連して読むことにより、本明細書に開示された装置について他の変更及び修正を成し得るであろう。それゆえ、本発明の範囲は、発明者らが法的に権利を有する添付の特許請求の範囲の最も広い解釈によってのみ制限される。
図1
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