(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-22
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】炙り式喫煙具及び真空断熱型の加熱ユニット
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20200101AFI20220203BHJP
F16L 59/065 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
A24F47/00
F16L59/065
(21)【出願番号】P 2019135946
(22)【出願日】2019-07-24
【審査請求日】2019-11-08
(31)【優先権主張番号】201810820205.2
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519269606
【氏名又は名称】深▲ゼン▼麦克韋尓科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】蒋路生
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204070517(CN,U)
【文献】国際公開第2018/054793(WO,A1)
【文献】中国実用新案第205409674(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
F16L 59/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管(11)及び内管(12)を含む真空断熱型の加熱ユニット(1)において、
前記外管(11)は前記内管(12)の外側に覆設され、前記外管(11)の両端部が前記内管(12)の外壁面に固定接続され、前記外管(11)の内壁面と前記内管(12)の間に真空領域(13)が形成され、
前記内管(12)は、管状の基材(19)と、前記管状の基材(19)の表面に形成されて通電後に発熱する加熱回路(14)を含み、前記管状の基材(19)における前記加熱回路(14)の軸方向の位置は、前記真空領域(13)が存在する軸方向の区間内に位置
し、
前記内管(12)のうち前記外管(11)から伸出する外壁面には、前記加熱回路(14)に電気的に接続されるリード線(15)が設けられていることを特徴とする加熱ユニット。
【請求項2】
前記加熱回路(14)は、セグメント別に設置されており、且つ、セグメントごとにリード線(15)とそれぞれ電気的に接続され、各セグメントの前記加熱回路(14)は前記管状の基材(19)の軸方向に分布しており、及び/又は、各セグメントの前記加熱回路(14)は前記管状の基材(19)の周方向に分布していることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱型の加熱ユニット(1)。
【請求項3】
前記加熱回路(14)は、印刷により前記管状の基材(19)に形成されることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱型の加熱ユニット(1)。
【請求項4】
前記管状の基材(19)は、ステンレス、チタン合金、ニッケル基合金及びジルコニア、セラミックスのいずれかを含む低熱伝導材料であることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱型の加熱ユニット(1)。
【請求項5】
前記外管(11)の両端と前記内管(12)は、真空溶接により接続固定されることを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の真空断熱型の加熱ユニット(1)。
【請求項6】
前記加熱回路(14)は前記管状の基材(19)の内側に位置し、前記内管(12)のうち前記外管(11)から伸出する外壁面には、前記加熱回路(14)に電気的に接続されるリード線(15)が設けられており、前記リード線(15)は前記管状の基材(19)の側壁を貫通して前記加熱回路(14)に電気的に接続されることを特徴とする請求項
5に記載の真空断熱型の加熱ユニット(1)。
【請求項7】
前記内管(12)は、ロールすることで形成されることを特徴とする請求項
6に記載の真空断熱型の加熱ユニット(1)。
【請求項8】
前記加熱回路(14)は前記管状の基材(19)の外側に位置し、且つ、前記加熱回路(14)は前記真空領域(13)内に位置することを特徴とする請求項
5に記載の真空断熱型の加熱ユニット(1)。
【請求項9】
前記内管(12)のうち前記外管(11)から伸出する外壁面には、前記加熱回路(14)に電気的に接続されるリード線(15)が設けられており、前記内管(12)の外側面には、前記リード線(15)と前記加熱回路(14)の間に接続される配線(16)が更に設けられており、前記配線(16)を前記外管(11)と前記内管(12)との間の溶接材料(18)から絶縁するよう、前記配線(16)は絶縁層(17)により被覆されていることを特徴とする請求項
8に記載の真空断熱型の加熱ユニット(1)。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれかに記載の真空断熱型の加熱ユニット(1)を含むことを特徴とする炙り式喫煙具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタバコの代替品分野に関し、より具体的には、炙り式喫煙具及び真空断熱型の加熱ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
低温タバコには断熱方式として真空断熱管が常用されており、一般的に、従来技術は加熱管と真空断熱管を個別に設けることで実現されている。しかし、加熱管が高温部材であることから、加熱管と真空断熱管の相対的な固定を維持するためには、その他の耐高温且つ熱伝導係数の低い材料で固定する必要があり、通常は耐高温のプラスチックが用いられる。
【0003】
個別に設けられる加熱管と真空断熱管には、次のような弊害が存在する。
【0004】
1.加熱管は高温部材であるため、その他の耐高温且つ熱伝導係数の低い材料で固定する必要があり、通常は耐高温のプラスチックが用いられる。しかし、これらの材料は非常に高価であり、全体のコストが著しく高騰する。
【0005】
2.加熱管の固定部材は熱を加熱管から導出するため、断熱問題が複雑化する。真空管は加熱管周囲の断熱についてしか解決することができず、上下の断熱については別の薄壁部材によって実現せねばならない。また、相対的に劣悪な上部の固定部材については、更に専用の放熱設計を講じる必要がある。
【0006】
3.個別に設計されることから、周囲の断熱についてしか解決できず、上下両方向から逃げる熱が多くなるため、全体としての熱効率が非常に低くなる。
【0007】
4.個別の2つの部材はより大きなサイズが必要なことがあり、全体のサイズがかなり大型化してしまう。
【0008】
5.2つの部材自体がいずれも高コストのため、全体としての費用負担が非常に大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した熱が逃げやすく、断熱構造が複雑化するという従来技術における欠点に対し、炙り式喫煙具及び真空断熱型の加熱ユニットを提供することを解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、技術的課題を解決するために以下の技術方案を用いる。
【0011】
外管及び内管を含む真空断熱型の加熱ユニットを構成する。
【0012】
前記外管は前記内管の外側に覆設され、前記外管の両端部が前記内管の外壁面に固定接続され、前記外管の内壁面と前記内管の間に真空領域が形成され、前記内管は、管状の基材と、前記管状の基材の表面に形成されて通電後に発熱する加熱回路を含み、前記管状の基材における前記加熱回路の軸方向の位置は、前記真空領域が存在する軸方向の区間内に位置する。
【0013】
好ましくは、前記加熱回路は、セグメント別に設置されており、且つ、セグメントごとにリード線とそれぞれ電気的に接続され、各セグメントの前記加熱回路は前記管状の基材の軸方向に分布しており、及び/又は、各セグメントの前記加熱回路は前記管状の基材の周方向に分布している。
【0014】
好ましくは、前記加熱回路は、印刷により前記管状の基材に形成される。
【0015】
好ましくは、前記内管のうち前記外管から伸出する外壁面には、前記加熱回路に電気的に接続されるリード線が設けられている。
【0016】
好ましくは、前記管状の基材は、ステンレス、チタン合金、ニッケル基合金及びジルコニア、セラミックスのいずれかを含む低熱伝導材料である。
【0017】
好ましくは、前記外管の両端と前記内管は、真空溶接により接続固定される。
【0018】
好ましくは、前記加熱回路は前記管状の基材の内側に位置し、前記リード線は、前記管状の基材の側壁を貫通して前記加熱回路に電気的に接続される。
【0019】
好ましくは、前記内管はロールすることで形成される。
【0020】
好ましくは、前記管状の基材にはセラミックス材質を用い、前記管状の基材の内側には、セラミックスを隔離して相転移及び高温イオン化を防止するよう介在層が設けられており、前記加熱回路は前記介在層の外側に位置している。
【0021】
好ましくは、前記介在層はガラス層である。
【0022】
好ましくは、前記加熱回路は前記管状の基材の外側に位置し、且つ、前記加熱回路は前記真空領域内に位置する。
【0023】
好ましくは、前記内管の外側面には、前記リード線と前記加熱回路の間に接続される配線が更に設けられており、前記配線を前記外管と前記内管との間の溶接材料から絶縁するよう、前記配線は絶縁層により被覆されている。
【0024】
炙り式喫煙具であって、前記真空断熱型の加熱ユニットを含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明の炙り式喫煙具及び真空断熱型の加熱ユニットを実施することで、以下の有益な効果が得られる。
【0026】
加熱ユニットの管状の基材は加熱には直接関係せず、内管から外部への放熱速度を低下させられるため、熱があまりにも急速に外部へ拡散されるとの事態を回避できる。また、管状の基材は加熱には直接関係しないため、外管と内管の間に専用の断熱構造を設ける必要がない。よって、外管と内管との固定方式を簡略化でき、加熱及び断熱部分のサイズがよりコンパクトとなる。これにより、部品がいっそう少なくて済み、構造設計がシンプルとなるため、製品体積が縮小されてより携帯しやすくなる。
【0027】
以下に、図面と実施例を組み合わせて本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例における加熱ユニットの組立構造を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の加熱ユニットの断面構造を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施例における加熱ユニットの組立構造を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4の加熱ユニットの分解構造を示す図である。
【
図6】
図6は、
図4の加熱ユニットの断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の技術的特徴、目的及び効果をより明確に理解すべく、図面を参照しながら本発明の具体的実施形態について詳細に説明する。
【0030】
図1及び
図2に示すように、本発明の好ましい実施例における炙り式喫煙具は加熱ユニット1を含む。加熱ユニット1は、外管11と内管12を含む。
【0031】
外管11は内管12の外側に覆設され、外管11の両端部が内管12の外壁面に固定接続される。また、外管11の内壁面と内管12の間には真空領域13が形成されている。真空領域13は断熱効果を発揮可能なため、内管12の熱が外部に拡散するとの事態が防止される。
【0032】
内管12は、管状の基材19と、管状の基材19の表面に形成されて通電後に発熱する加熱回路14を含む。内管12における加熱回路14の軸方向の位置は、真空領域13が存在する軸方向の区間内に位置する。
【0033】
加熱回路14は通電すると熱を発生し、内管12に挿入された低温タバコを炙り加熱できる。管状の基材19は加熱には直接関係せず、内管12から外部への放熱速度を低下させられるため、熱があまりにも急速に外部へ拡散されるとの事態を回避できる。また、管状の基材19は加熱には直接関係しないため、外管11と内管12の間に専用の断熱構造を設ける必要がない。よって、外管11と内管12との固定方式を簡略化でき、加熱及び断熱部分のサイズがよりコンパクトとなる。これにより、部品がいっそう少なくて済み、構造設計がシンプルとなるため、製品体積が縮小されてより携帯しやすくなる。
【0034】
内部の管状の基材19には低熱伝導材料を使用すればよいため、製品コストが低下するとともに、熱伝導係数が低くなる。管状の基材19の材質としては、ステンレス、チタン合金、ニッケル基合金及びジルコニア、セラミックスのいずれかを含めばよい。加熱ユニット1は外部への放熱が少なく、他の部材との接触箇所における温度が低いため、断熱設計がシンプルとなる。
【0035】
内管12の加熱回路14はセグメント別に設置されており、且つ、セグメントごとにリード線15とそれぞれ電気的に接続されている。各セグメントの加熱回路14は管状の基材19の軸方向に分布してもよいし、管状の基材19の周方向に分布してもよい。また、軸方向と周方向の双方に加熱回路14を分布させてもよい。加熱回路14をセグメント別に設置することでセグメントごとの加熱が可能となるため、被加熱物は一度に加熱が完了するのではなく、セグメントごとに順に加熱される。
【0036】
好ましくは、加熱回路14は、印刷により管状の基材19に形成される。これにより、生産効率が向上し、コストが削減される。その他の実施例において、加熱回路14は内管12に接着又は溶接又は嵌設してもよい。
【0037】
加熱回路14を外部電源に接続しやすいよう、内管12のうち外管11から伸出する外壁面には、加熱回路14に電気的に接続されるリード線15が設けられている。これにより、リード線15を介して外部電源に接続し、加熱回路14に電気を供給することが可能となる。また、セグメント別に加熱効果を制御できるよう、加熱回路14の各セグメントは個別に電源に接続可能とする。
【0038】
外管11の両端と内管12は、真空環境下で真空溶接により接続固定される。これにより、外管11と内管12との組み立て工程を簡略化可能であるとともに、溶接位置において内管12から外部への放熱を考慮せずともよい。
【0039】
図1~
図3の組み合わせに示すように、一部の実施例では、加熱回路14が管状の基材19の内側に位置し、リード線15が内管12の外側に位置している。リード線15は内管12の側壁を貫通して加熱回路14に電気的に接続される。
【0040】
好ましくは、内管12はロールすることで形成する。加熱回路14を形成した後に、管状の基材19とともにロールすることで、加熱回路14を内管12内に位置させればよい。
【0041】
本実施例において、管状の基材19にはセラミックス材質を使用する。管状の基材19の内側には絶縁及び断熱のための介在層が設けられており、加熱回路14は介在層の外側に設けられる。通常、介在層はガラス層であり、内管12におけるセラミックス層の相転移に伴うセラミックス層のサイズ変化や、高温イオン化によるセラミックス材料の超伝導化を防止する。セラミックス材質の管状の基材19は、外部への放熱速度を低下させられるため、低温タバコに対する加熱効果が向上する。また、その他の実施例において、管状の基材19には上述したその他の材質を用いてもよい。
【0042】
図4~
図7の組み合わせに示すように、他の実施例において、加熱回路14は管状の基材19の外側に位置しており、且つ、加熱回路14は真空領域13内に位置している。この場合、管状の基材19は直に筒状に形成し、筒状とした管状の基材19の外側に加熱回路14を設けてもよいし、管状の基材19をロールすることで形成し、加熱回路14をロール前又はロール後に管状の基材19に設けてもよい。加熱回路14が内管12の内側に設けられるか外側に設けられるかに関わらず、いずれの場合も管状の基材19の材質は同じとすればよい。
【0043】
加熱回路14は真空領域13から引き出さない限り、リード線15に接続されて通電することができない。そのため、内管12の外側面には、リード線15と加熱回路14の間に接続される配線16が更に設けられている。配線16は絶縁層17により被覆されているため、配線16を外管11と内管12との間の溶接材料18から絶縁することができ、溶接材料18との短絡が回避される。
【0044】
なお、上記の各技術的特徴は、制限を受けることなく任意に組み合わせて使用することができる。
【0045】
以上は本発明の実施例にすぎず、これにより本発明の請求の範囲は制限されない。本発明の明細書及び図面の内容により実施される等価の構造又は等価のフローの変更、或いは、その他関連の技術分野における直接的且つ間接的な運用は、いずれも同様の理由で本発明による保護の範囲に含まれる。